【三次元】運命の人が男と女とは限らない【ナマモノ注意!!】
作者/ 枝豆豆腐

〝等身大のラブソング〟-1- 視点 西島
僕は橘実という人間が大好きです。
人なんて大雑把に分類すれば
みんな似たりよったりなのにさぁ
なんでそのうちの一人だけをどうしよもなく、好きになったりするのか
………ずっと前に自分の疑問を文にしたのがこれだった
しかも仕事の仲間でしかない相方に好意を抱くのか
現在の僕からしたら
なんて馬鹿でくだらない疑問なんだと思う。
だって今の疑問は………………。
どうやって実に告白をするか?に変わっていた。
……………だって僕は
同期の芸人たちが認めるほどのヘタレだからである!!
この想いを本当は伝えたくて仕方が無いのだが
いざって時になると腹痛が伴い、そのままトイレに直行。
このパターンで失敗した数は数え切れないほど……(泣)
今や実が僕の傍に居るだけで
顔が赤くなったり、息が上がったりして
…………実と普通に接せなくなっている自分が情けないのだが
何も出来ず。
「しゅうた………僕どうすればいいの?」
「う~~~ん………なんともいえないなぁ」
よく僕は同期のしゅうたに色々と相談をしている。
「にしじが本当に実ちゃんのことが好きなのは分かった。
けど、実ちゃんがにしじのこと好きなのかは……微妙なんだよねぇ」
「えっ!?なんでそういうこと言うの!!」
「だってさぁ………何回も告白を失敗する男って嫌じゃん?」
グサッと心に言葉の槍が刺さる。
……確かにそうかもしれない。こんなヘナヘナなヘタレ男なんて
実じゃなくても嫌だよなぁ……………。。。
それにしてもさぁ………としゅうたが呟いた。
「にしじ言ってたじゃん。アイツには好意を抱かないって」
「そんなこと言った?」
「言いました。俺がだまさんと付き合い始めたの知ってから」
「………………ごめん。」
「別にいいけど。本題はそこじゃなくて、
…………なんで今更叶うかも分からない恋を追っかけてるの?」
しゅうたが携帯に視線を落としながら言う。
僕は何もやることがなくて、テーブルの下で手をソワソワとしていた。
昔の自分だったら恐らく…………
反吐が出るなんて罵声を飛ばされてたかも。だって昔は
実を利用しているに過ぎなかった。だって彼は身長が低くて
顔も大きいし、あんまりかっこよくないからだ
…………これだったら自分がイケメンってキャラになれる
言わば 僕の惹きたて役。
だから実に恋をするなんてそんな………そんなねぇ…
面白い話があるかって笑っていたのに。
もはや………それも出来ない……。
望んでも仕方ないことは考えないようにしていた。
人生はきっとどうにもならないことばかりだと
どこかで諦めて生きてきた。
それは実に会う前もそうだった気がする。
だからなのか、実が僕に頼ってきてくれても
嬉しい気持ちが多いはずなのに
コイツ………僕のこと好きなのかなって下心もあるのに
すぐ思わないようにしてしまう。
極力自分を傷つけたくない傾向があるんだと思う。
………だから、ヘタレだなんて言われるんだよなぁ
相方なんて絶対に無理だとレッテルを貼って、自分を守っていた。
そこまでしたのに。。。
いつの間にか夜も眠れないくらい、実を想っていた。
無理やり睡眠薬を飲んで寝れたとしても
夢の中で探してしまうくらい。ストレスと想いが募っていて
だったら全部伝えてしまえばいいのに。
この相方という仕事仲間の関係を壊したくなくて
なのに、この友達みたいな感じは辛い。
僕ってワガママだなぁ。
「…………もう寝不足が嫌なんだよねぇ」
僕の言葉足らずの発言にしゅうたはゆっくりと僕の方を見る。
理解してくれたらしい。流石だなと思う。
「不毛だと思わない?」
「へっ?」
「確実な恋じゃないのに、こうやって一生懸命になってる自分に」
「なんでそんなこと聞くの?」
「にしじだったらそう考えるだろなーって思って」
しゅうたが意地悪に聞いてくる。
でも、すぐに否定する言葉は出来ていた。
「不毛だと知りながら、僕は実に恋をしてしまったんだ。
一人でいいからホントに心から好きになれればそれ、一番幸せだと
いう結論にたどり着いたのだ」
本当に僕らしくない。
でも、もう決めた。
カッコ悪くてもいいやって
とにかく実と一緒に居たいとね。
「………なに語ってんだよ。気持ち悪いなぁ
まぁいいよ。手伝ってあげる。にしじの本音が聞けたしね」
「ありがとう!!!!」
嬉しさの反動でしゅうたを抱きしめてしまった。
苦しい………と言いながら笑ってるしゅうた。
その時僕は実がこっちを向いているのを気付いていたが
特に気にも止めていなかった。

小説大会受賞作品
スポンサード リンク