【三次元】運命の人が男と女とは限らない【ナマモノ注意!!】
作者/ 枝豆豆腐

〝コイスル〟-1- 視点 日村
突然の出来事に驚愕している。
正直たった一個の出来事なのだが、この出来事をあと五回くらい
やられたら俺は心臓麻痺で死んでしまうかもしれない。
自分の相方
設楽に、告白された。
「俺、日村さんのこと好きなんっすよ」
二人っきりの楽屋。ペットボトルのキャップをするのを忘れる。
もしも正面で聞いていたら気絶してたかもしれない。
丁度俺は鏡を見ながら髪型をセットしていた。その背に設楽が居る
この場合どういう顔をするのが正解か?
どういうことを言ったら正解か?
ごちゃごちゃと頭の中を整理していたら
後ろから抱きしめられる。
思わずびっくりして、下を向いていたのに鏡を見てしまった。
鏡の中で設楽と目が合ってしまった。目つきの悪い目をしているなぁ
でも。見つめてしまう
色気のあるぽってりな唇。真っ白な肌にたれまゆ
おでこ、ふわふわの後ろ髪、片方だけおろした前髪(ほっぺにかかる)
「聞いてます?」
「………おぉ」
ちゅ。
ほっぺにキスされた
頭の中で整理していた書類の山がまた強風で散らばる。
こんなドSじゃない設楽初めて見た。
なんつーか………甘えてきている???
………これってさぁ、俺に主導権みたいなのがあるよな?
だって言わば告白された身であるのだから、優位に立っている………。
18年間芸人をやってきて、初めて来た下克上!!
「………うーん、どうしょうかなぁ。別にね付き合ってあげても
いいんだけどさぁ、なんt「付き合ってくれるよね?」
首をぎゅと絞められる。
…………はい。そーですよねぇ
「こんな僕でよければ、お友達からよろしくお願いします!!!!」
「………よろしい、よろしい♪」
無邪気な笑顔でそう設楽さんは言った。
たまに魅せるそういう笑顔に俺はやられてしまう。
だって、俺も設楽のことが大好きだったからだ
だって………こんな完璧な人この世に居ないからだ!!!
俺の間逆に立っている人。
…………嬉しいのは嬉しいのだが、
「日村さんも本当は俺のこと好きだったでしょ?」
はい。そうですと言えれば楽なんだけど、
「………………好きかもしれない」
つのる想いを打ち明けた。こう見えても精一杯に
すると設楽は大きく頷いてくれた。
そして、そろそろ本番ですよと言いながら
立ち上がった瞬間に俺の右手を掴んだ。
「!!!!!」
「どうしたの?早く行こう」
「………うん」
初めて握る設楽の左手は温かかった。
二人並びながらスタジオまで歩く
設楽は柄にも無いことをして少しだけ顔を赤らめている。
恥ずかしがり屋のくせして、だから今日はやたらと早足だったり
うん。嬉しい
でも俺は不安が募る一方だったりする
設楽は容姿も声も行動も、全てがかっこいい。
だから設楽に惚れてる芸人たちだって居る。
それはそれは片手では数え切れないほどだったりする
…………そんな相方を持った自分。そして告白された自分。
今までは何も無かった
けど、今日から何かが変わる。
俺はひしひしと伝わっていた。。。。
俺はプライドが高い。
でも設楽の前ではどーしてもプライドを高くはいられない。
初めて会ったときから、俺は一目でこの人に服従しょうと思った
たとえ俺より年下だったとしても、プライドが高かろうと
馬鹿な自分が「服従」なんて言葉が浮かぶくらいだったから。
だから今、この地位に立ててる訳だ
こうやって自分のキャラが成立しているんだ
全て設楽のおかげ
そんな完璧な人を好きになってしまった自分の愚かさ。
…………俺だってコンビ組んでから設楽のことが大好きで
でも。俺みたいな奴に振り向いてくれるとは思ってもみなかった
設楽がそこに居るだけで胸は軽く弾む
ピンの仕事が増えて会えないと不安で寂しくて、切なくなる
ただ設楽の相方で居られることが どれだけの幸せか。
告白されたけど多分
設楽はドSだから嘘にきまってる。
「おはよー」
気がつけば、スタジオに到着。
そういえば今日は若手が大集合してるんだっけ?
一番先輩は俺らかぁ………
すると 繋いでいた手を振り払われた。
えっ?
驚いてる時には後輩と楽しく談笑している設楽の姿。
ついでに言っておくけど、俺を傷つけるのも癒すのは設楽だけ
些細な一言で舞い上がったり、沈んだりする。
………ほーら。とんだ思い過ごしだった
これこそ恋だと思………んな訳あるかっ!!
「日村さーん」
「…………なんだよ、バカリズム」
「いや。暇だったんで」
「なぁバカリズム」
「はい?なんですか?」
「俺さぁ、設楽に告白されちゃった」
はぁ!?とバカリズムは叫ぶと
すぐにあぁ………そうですか……と呟いた。
「だから何ですか?」
「………荷が重いなぁって」
「そうでしょうね。設楽さんは人気ですし」
「そういうこと言うなよ………」
「…………………でも」
でも?と聞き返す
「…………でも。設楽さんが選んだんですから大丈夫です
あの人は本当に好きになった人じゃないとそうは言えないはずだ」
何を根拠にそんなこと言えるんだ?「ただの勘です」
少し微笑みながらバカリズムは言った。
心を見透かされてるようで気持ち悪い………。
「ただ………有吉さんは認めないと思いますけど」
バカリズムが指をさした。
有吉が親指を下に下げて睨んでいる。
「……あれ、地獄に落ちろってやってるよね?」
「知らないんですか?今有吉さんを筆頭に組織を作ってるみたいです」
………………道は長いな。
バカリズムから助言をもらい、普通に収録に臨んだが
やっぱり有吉の攻撃はいつもより強い。
それからというもの有吉と仕事が一緒になると仕打ちを受けるはめに
だけどその分設楽さんと居ることが楽しい。
楽屋で
「運命の人よ」とか「白馬の王子様よ」って
からかうと設楽は照れながら聞き流す。
そして肝心なことはちゃんと伝えてほしいと言うと
ゆっくりとゆっくりと抱きしめてくれる
微笑む設楽の鼓動はリズム。
自分はどうしよもなく好きなんだなって感じる
でも勘違いしてはいけない 所詮これは設楽さんにとってはお遊びだ。

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