【三次元】運命の人が男と女とは限らない【ナマモノ注意!!】

作者/ 枝豆豆腐

〝コイスル〟-2-    視点 日村


ほら、だって設楽は忙しいから
話のネタもないし
だからこうやってドッキリみたいなのを仕掛けて
いずれテレビで話すに決まってる。

……………だから、俺も協力しないと

「………………」
「………なに日村さん?」

いつしか設楽の横顔を覗くことが好きになった。
どこから見てもカッコイイ。
少しぐらい欠点があればなんて相方ながら思っていたりする
だんだんと気付いて赤らむ設楽。ほんと恥ずかしがり屋だ

「…………キスして」
「えっ、ヤダよ」

もろに露骨な顔をされ、少し傷つく
しょぼんとしながらくるりと後ろを向いた。やっぱりだ
設楽は俺のことなんて好きじゃないんだと思った瞬間

ちゅ

「嘘だよ。冗談、冗談(笑)」

後ろから抱きしめられキスされた。
今度はほっぺじゃなくおでこだった
顔が真っ赤になる、見られたくなくて伏せると設楽は笑っていた。
日村さんって可愛いねなんて言いながら。

嘘だと知っている、けど自分が恋していると素直に分かってきて
悔しくなるくらい好きだから。


こんな設楽遊びは一週間続いた。
そして、今日は設楽より遅れて仕事場に到着
もうみんなスタジオのたまり場に集まっている時間だ
急いで楽屋に向かい、衣装に着替えようとしたが
………俺の衣装はガチャピンの着ぐるみだけだった。

あれ?………あぁそうか。今日のキカナイトはそういう特集なのか
考えている暇もなく俺は着替えた。
ジャストサイズよりも大きくてダボダボする。
着ぐるみってそういうもんだもんな

急いでスタジオに着くと、まだ収録の時間に間に合ったらしく
みんなが着ぐるみを着て待機していた。

息を切らしながら来た俺をみんなは見る。そして

「…………なんだよそれ!!!!!!!」

グルーミーの着ぐるみを着た有吉の言葉で爆笑が生まれた。
からかわれてるようで恥ずかしくなる、自分を惨めに思った。
するとひょこひょこと誰かが近づいてきた。誰かと思えば

「超可愛いな。ガチャピン似合ってるよ」

リラックマの着ぐるみを着た設楽が言う。。。
嬉しいはずなのに、なんか今回だけは違くて
なんか嘲笑うように見えて、苦笑いしているように見えて
…………なんか……なんか…。爆発してしまった。

「うるせー!!!!!!!!!!!!」

そう叫んで、スタジオを飛び出す。
笑ってる有吉が目に浮かびながら楽屋に戻った。
そしてはぁとため息を吐いて壁に寄りかかりながら座る

自分のことが嫌いになった。
あれほどお遊びだと知っていたのに、なんか期待しちゃって
設楽なら物凄く喜んでくれるのは当たり前だなんて思っちゃって
俺はなんてニブいんだ。
きっと気付かないうちに設楽を困らせて

乙女みたいな瞳で見ていたのかな?
それとも
情けを欲しがる顔をしていたのかな?

いくら設楽が優しくても 俺みたいなやつが
アイツに恋をするなんて 愚かだ。

バタンとドアが開く音がした。
上を向けば設楽が居る。
ドアを閉めると設楽は俺の傍に来た。

「…………どうしたの?」
「………リラックマ、似合うな」

そう言うとありがとうと言った。

「で、なに?」
「いいかげんにしてくれよ。いつまでこんなお遊びを続けるんだ!!」

全てを打ち明けた。すると設楽はいつもと違って不思議そうな顔をする
あと何か不安そうな顔があった。

「………ねぇ、教えてくれない。
俺は日村さんに嫌われるようなことしたかな…?」

えっ?

「だだって俺のこと好きって嘘だろ??」
「なに言ってんの。本気で告白したんだよ日村さんに」
「………だとしてもあの時手を振り解いたじゃん。」
「あれは………好きって言った直後だったし
俺ってさぁ結構恥ずかしがり屋だし、だから酷いことしちゃった。
それは本当に謝るよ。ごめん」
「……………でも今までのことだって設楽のお遊びだったんだろ」