【三次元】運命の人が男と女とは限らない【ナマモノ注意!!】

作者/ 枝豆豆腐

〝自信家でドSな彼がいるんだが、彼は本当は頑張り屋かもしれない〟-1-    視点 小林


自分には、苦手な人間と得意な人間に分別する癖がある。
苦手とは嫌いとかではなく、ただその文字の意味通り捉えてほしい。
相方の片桐さんは物凄く得意な人間だ。
そりゃそうだ、長年コンビ組んでるし片桐さんは単純で素直。
天才だと思ってもいる。

相方の分別は永遠に変わることはない。

でもその他の人の分別は初めて会った印象では治まらず

どんどんその人の面を見ていくごとに変わるものだ。
例えば、ベタな例だと
極悪非道のヤンキーが凄く良いことをすると
もう苦手から得意に。なんならヒーローだと思ってしまう。
あと、普段から優しくて支持されている人が少し悪いことをすると
ぎゅんっ!!と苦手に早代わりしてしまう。
なんなら罪人としか思えなくなってしまったりしてしまう。

…………長々と話した結論。。。

俺は相方以外でずっと変わらない人がいる。

それはそれは 会った時から苦手でしたよ。。。。。

今も苦手です。最近会ってませんけど

………………いや、すみません!!嘘つきました!!!!
週に4回も会ってます。本当です。

だって…………お付き合いしそうなのだから(照)

苦手と嫌いは別物です。ただの自論ですが。
嫌いは、相手の問題であり
苦手は、自分自身のワガママの問題である。

俺はこの人が大好きです。
仕事が絶対に忙しいと思うのに、会いに来てくれる。
何気ない日常を俺のためだけに、サプライズにしてくれる。

それだけで十分なのです。

かっこいいですよ。惚れてしまいました。

……………だけど

「見惚れてんじゃねぇよ(笑)」
「………設楽…………なに言ってんの?バカじゃないの?早く帰れよ!!」


…………………素直になれないまま、時は流れています!!!!!!!!



いやね、お互い気付いていますよ。相思相愛ですよ。
設楽だってね俺の気持ちに気付いているよ。俺だって気付いてるよ
こうも週4ペースで俺の自宅に来ているのだから。
俺だってねぇ鈍感な訳ではないのでね!!

ただただ 俺が素直になれていないだけでもあるし

このね、設楽のね、なんつーの…………そう自信家だ!!!

自信家な態度が苦手というか。なんというか
この優位に立たれてる感、お前より上なんだ感というか

………素顔を頑なに見せてくれない感じとか

俺は見せているのに、ズルいと思う。

だからなのか…………好きなんだけど、苦手だ。



「………なんだよ。可愛くないやつ」
「男に可愛いと言われる為に生きてる訳ではないので」
「……………っち。」

設楽は舌打ちをした。

「片桐に可愛いなって言ったら素直に喜ぶのに」
「あの人は単純明快ですから」

つーか片桐さんには可愛いって言ってるんだってことに驚きです。
俺には可愛くないやつって言うくせに…………。。。
なんだ、お前は素直で単純で………悪く言うとバカが好きなのか!!
…………バカは言い過ぎた。ごめんね片桐さん。

「…………おい。」
「ん?」
「いつまで俺の部屋で寛いでる気だ?
………しかも週4ペースで居座りやがって。」
「いいじゃん。別に」
「お蔭様で妻にコッチじゃないかって疑われてるよ」

そう言って右手でオカマのポーズをした。

「俺だって嫁と娘に疑われてるぜ」
「だっだら来るなよ。毎回毎回言い訳考える身にもなってくれ」
「なんて言ってんの?」
「またバナナマンとユニット組むからそのネタ打ち合わせって」
「いいねぇ、またやらない?」
「君の席とgenico?」
「うん」
「俺はいいけど。貴方たちとおぎやはぎが忙しいでしょ?」

笑いながら嫌味を言ってやると、設楽はぴくっとたれ眉を動かした。
人のソファでゴロゴロしながら寝やがって。

「確かに。俺らは大忙しだわ
お前らだってテレビに出れば大人気だと思うよ。
ルックスだって悪くないし、面白いしさ。なのに出ないんだもん」
「テレビに出てもメリットがないですし嫌いですし。舞台だけで十分」

でもNHKは好いてるんだな。なんて嫌味で反撃された
うっ………と少し声を漏らして、苦笑いになっていると
してやったりと子供みたいな笑顔でこっちを見てやがる。
図星か、図星。と言いながら。

「…………ただ自分の名前が入った番組があるからです」
「あぁそう。小林賢太郎テレビだろ?俺、全部観たよ。面白かった」
「えっ?本当に?…………」
「………うん」
「……………………ありがとう」

多分、また素顔を露わにしてしまっただろう。
まさか設楽に褒められるなんて、予期していなかったから
ふわっとした感じでえっ?本当に?って聞いてしまった。
設楽が真剣な顔で言うから余計顔真っ赤になってしまったよ。

しかも恥じらいながら、ありがとうと言った。
顔を下に向けて。籠もった声で呟いた。

「………あ、そうそう。実は話があって来たんだよね今日は」
「なに?」
「実は俺、舞台に出演することになった。しかも主演」
「……………で?」
「でね、その役がさぁ………王子様の役なんだわ………(照)」
「照れてんじゃねぇよ。」
「照れてねぇよ………今まで演じたことない役なんだよ。」
「だから演技指導してほしいと?」
「そうそう、演出家は居るんだけど。なんつーの
あんま指導しないみたいで。自分自身の演技が消えちゃうからとか」
「それも理不尽だな」

すると設楽は両手を合わせてお願いポーズ。

「お前演技力あるから。俺に指導してくれよぉ、頼む」
「……………いいよ。指導してあげる」

なんか、設楽に頼みごとされるのは嫌な気がしない。

「ありがとう、小林。…………あともう一つあるんだけど」
「なに?煙草切れたから買ってこいだったら嫌だからな」
「…………いや。そんな簡単なことじゃなくて……その…………」
「なに?ハッキリ言えよ。」






「………………俺の主演の舞台の、お姫様役やらないか?」






へ?
あまりに驚きすぎて硬直してしまった。
煙草の灰が素足の足にボトっと大量に落ちた。
その熱さにやっと硬直していた動作と脳が起動してくれた。