【三次元】運命の人が男と女とは限らない【ナマモノ注意!!】
作者/ 枝豆豆腐

〝初恋〟-3- ※学パロ 視点 小林
でも最近は気にもしていなかった。
昔の記憶はいずれ消えてしまうものだと思う
それに、いつか懐かしい思い出だと話せる日が来ると思っていたし。
確かに佇んでいた設楽は冷や汗をかきまくりながら
俺を置き去りにして、どこかに走り去ってしまったことは覚えてる。
だけどあの後設楽が親に教えて救急車を呼んだことを知って
許せる覚悟が出来た。
…………なのに。
「………もしかして。まだ気にしてるの?」
「……久しぶりに見ちゃうと、なんかな……………」
ずっと俺に気を遣って生きてきたんだ。
今も襲わないでいるのも、傷のせいなだけで
俺のことが好きだからっていうのじゃないんだ。
久々に自分の額の小さな小さな古傷が嫌になった。。。
「……………あのさ小林、「襲えばいいじゃん」
「えっ?」
「この古傷だけで設楽は襲うのをやめるのか?」
「どういう意味?」
「ずっとお前はあの時から俺に気を遣って生きてきたのか?」
「おい、小林」
「俺のこと好きだからずっと一緒に居た訳じゃなかったんだな!!!!!」
「小林!!!!!!!!!!!」
おれは
おれは
幼稚園児の頃からずっと
小学生の頃からずっと
中学生の頃からずっと
「………昔からお前が大好きだったのに!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
時空が音を立てて止まる。
設楽はきょとんとした顔で俺を見ている。優しい風が吹く。
今日は秋の割りにぽかぽかとした気温だなぁ
その場を飛び出した。
走って、走って、教室に戻った。クラスの奴らの視線なんか
気にしないで荷物を持って外に飛び出した。
秋空が永遠に続く
自分の家路を帰っていく。泣きながら、ボロボロと
設楽とよく一緒にこの道歩いたなぁ。
歩き方とかしゃべり方を真似しながら帰ったっけ。
またやってしまった。今度はやり直すことなんて出来ない気がする
設楽の横顔、口癖がまだ悔しいほど好きなままだ
あんな事をされても嫌いになんてなれないよ。
だってその倍大好きだから。これ以上遠くに行かないでほしい
もう遠くで見るだけでかまわない。
友達だっていい
特別じゃなくていいから
昔から大好きだったのにって勝手に叫んだとき
設楽の前で泣いたりしないから
見られちゃったかな?
天気予報では晴天と言っていたのに
雲はだんだんと黒くなって、ポツポツと雨が降ってくる。
丁度いい。今日は雨の気分だ。
ポツポツからダァーとどしゃ降りになっていく。
冷たい。けど何故か心温かい
これだったらたとえ今泣いてたとしても雨だって言える。
思いっきり泣いた。
止まらない、涙は今の雨みたいに止まない。
ずぶ濡れになって家に帰ると
タオルで拭かないで そのまま自分の部屋のベッドで寝てしまった。
一階で親がお風呂に入って温まりなさい、と言っている。
聞こえたけど。その後睡魔に襲われて眠りに落ちてしまった。
次の日。案の定風邪をひいた。
***
「ごほっ、ごほっ…………最悪…………………だ、ごほっ」
一応病院に行ったら、ただの風邪と診断された。
あと昔の俺が悩まされていた喘息もまじっているらしい
だから普通の風邪なのに苦しすぎる。
そして挙句の果てには親に怒られて、相当なダメージをくらった。
喘息のせいで病弱だったなぁ、俺。
その時はいつも設楽が背中さすってくれてたっけ。
「………なんだろう…………ごほっごほっ……寂しい……………」
ベッドでごろごろしながら、カーテンを少し開けてみる
日の光が眩しすぎるほど入ってきて思わずカーテンを閉めた。
息が出来るけど普段と比べると全然息が出来ない。
「ごほっごほっごほっ!!!!」
…………苦しい。
吸引機、はどこだ?
あちらこちら探してみる、あれ吸引機はどこ?
「………息が……出来ない……」
ベッドから出て、探すけど見当たらない。
もしかして一階にあるのかな?
でもこの状態で階段ほ歩くのは危険すぎる。
へなへなと倒れこんでしまった。誰か助けて…………。
「…………ぜー……ぜー……死んじゃうよ……げほっ!!」
するとガチャとドアが開いたと思ったら
そこにはもう二度と会わないと思っていた設楽が居た。
「おい、どうしたんだよ!!!」
「………苦しい………助けて………」
設楽はあたふたしながら、とりあえずベッドに戻そうと思ったらしい。
俺のことを軽く持ち上げて移動する。どきんと心臓が鳴る。
そしてベッドに座らされた。そしてはいっと吸引機を渡された。
「これ渡しといてって、おばさんが」
「………ありがとう。」
「……えっ、使わなくていいの?」
「うん。なんか治まっちゃったらしい」
設楽に会えたし、だっこもされちやったし。
なんかこの二つのおかげで発作が治まっちゃったみたいだ。
そういえば今回の喘息はストレスによるものだと医者が言っていた。
少しだけ ストレスが解消したってことか。
沈黙が続く。昨日のこともあったからかお互い気まずい
今日も設楽の顔は酷いことになっていた。かなり喧嘩をした様子だ
気付いたけど、右目が青く腫れてるし
左目は痛々しく二重に青紫色の痣が出来ていた。
「……また喧嘩してきたの?」
「………あぁ、まぁ今回は手強かったけど勝ったし」
「……………身体も酷いことになってんじゃないの?」
「………まぁね」
そう言うと、設楽は制服のYシャツをべろんと上げた。
無数に痣が出来ていた。少しだけ顔を顰める。
今回は奇跡的にも紙一重の戦いだったんだよと笑いながら設楽は言った
俺には自分で自分も傷つけてるようにしか見えないよ 設楽。
思わず抱きしめてしまった。
やめろって言われるんだろうなって思ってたら
何も言わないでいる。ゆっくりと離れてみると設楽は
なんともいえない顔をしていた。
「………あんな風に怪我させて、逃げた俺を嫌うことなく
高校まで追ってきて………どんだけ俺のこと好きなんだよ。。。」
「だって好きなのはしょうがないじゃん。
………でも。設楽は好きな人居るんだもんね」
俺がそう言うと、設楽はまだ分かんないのかよ!!と大声で叫んだ。
えっ?
「だって設楽、好きな人いるんでしょ?」
「お前ってさぁ……なんでこういうとこは鈍感なんだよ!!!!」
「……言ってる意味が分からないよ」
「もう分かるだろ。俺はお前のことが好きなんだよ」
ありえない。こんなことありえないよ。
「俺だって昔から小林のこと大好きだったよ。
だからお前に怪我させちまった時は頭が真っ白になったし
もう俺と一緒に居てくれないとも思ったよ。だけど小林は
少しも嫌にならないで俺の傍に居てくれた………。
しかも俺なんかに気を遣って前髪伸ばしてたろ?」
「……………知ってたんだ」
「知ってたよ、だってずっと見てたから。お前のこと」
設楽も最初は俺が設楽の好きだと知ったときは驚いたらしい。
だから設楽は俺の古傷に気を遣ってた訳じゃなく
告白するタイミングを探っていたらしい。
「やっとタイミングを掴んで屋上に呼び出したのに。
なんか知らないけど話膨らませるし、聞かないしさぁ。
そしてアイスの棒なげてくるわだし……でもあれは反省してるよ」
あの後と設楽は罪の償いみたいな感じで自分を傷つけるために
喧嘩に明け暮れた日々を過ごしていたという訳だ
つまり
「………両思いだったのに、勝手に片思いにしてたってこと」
「そのとーり。まぁ俺もそういう行動とったのも悪いしね」
「どうしてそこまで自分を痛めたの?」
「分かんない。けど自分に嫌気がさしたからかも」
必死すぎる自分にね、と言って設楽は溜め息を吐いた。
俺は嬉しくて 笑ってしまった。
ずっと女子からの質問に答えなかったのは
俺のこと好きだったからだって。
設楽の好きな人が俺だったって。
「設楽」
「ん?どうし………」
襟元を引っ張って強引にキスをした。
唇を離せば、驚きすぎて面白い顔をしている設楽が(笑)
「もう喧嘩しないって約束しないと、キスさせないから」
「やめます、やめます。だからチューさせて」
「風邪うつっても知らないよ」
そして俺らは初めての恋人なキスをした。
end

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