【三次元】運命の人が男と女とは限らない【ナマモノ注意!!】

作者/ 枝豆豆腐

〝貴方の恋人になりたいのです〟-2-    視点 有吉


差していた傘を閉ざす。
俺は今日お久しぶりに仕事を休んだ
別にいいですけど、自分の身分を考えてくださいねなんて
嫌味を言われちゃった。まぁそれぐらい今のテレビ業界は
俺のことを必要としてくれているのだろう。

…………アイツも そう思ってたのか

携帯を開けば、告白メール。しかも意外な奴からだった

「………有吉に告白されるとは」

なんていう夢みたいな御伽噺なんだろう。
確かに最近有吉とは仲がいい。でもまさかこう思われてるとは………。

自分は既婚者である

その事は今日になるずっと前から肝に銘じていた。
だから好きになってはいけない、惚れてはいけないと
自分を咎め、押さえ込んでいたのに………。

「なのに、こんなこと言われちゃうと
諦めたいにも諦められなくなってしまったなぁ~~~」

今OKとメールを返信すればいいのに
何故か躊躇っている。

待ち受けを見れば、笑顔の有吉が居る。
こんな笑顔を向けてもらえるようになったこと、その幸せを
俺は日々かみしめる。


欲張るな


欲張るな


今がサイコーに幸せだと思え
それが難しいことだってのは、わかっているけど………。

メールの返信出来ずに五時間になる。

俺は今何を文面に打てば正解なんだろう?

自分の欲望を満たすか
有吉に幸せを追いかけてもらうか

灰色の雲の隙間から真っ青でキレイな空が顔を出す
虹が円を描いている。

…………………………………。

有吉の体温を初めて知ったときから、たまらなく疼いて
這いずるように自分の体温がせり上がってくるように感じるのは…



きっと






気の迷いだ。。。





<すみません。
俺は有吉が期待しているほど、イイ男じゃない。
だから俺のことは諦めて下さい

それでは、さようなら>







送信。
悔いだけがここにある

「…………有吉もこの空見るかな?」

秋の匂いがした。

実を言うとまだ未練たれたれだったりする

「どんな人が好き?」

有吉にそう聞くと、落ち着いた冷静沈着な人がいいと言われたから
次の日からそのキャラにしてみたり

「髪の長さは?」

また有吉に聞いてみると、あともう少し伸ばして
おでこ隠れるくらい。それで片方はきっちりとしていて
もう片方は無造作にしてくださいなんて無理難問を言われたけど
やってみたり。昔はおでこ出してツンツンヘアーだったけど
これで最近は人気だもんなぁ。。。

「…………まずは髪型を変えよう」

有吉とのそういう感じを無くすために
なのにまだ 知りたいことがたくさんあるのはなんでだろう?

捨てなきゃ未練を。


その時

遠くから声が聞こえた気がした。
その声は懐かしくて 
聞きたくて仕方なかった筈なのに
嗚呼聞かなきゃよかったと思ってしまった。

だって 

未練を捨てられなくなってしまう


「………設楽さーーーーーん!!!!!!!!」

部屋着姿の有吉が走ってくる。

可愛いなぁなんて思ってしまったのはここだけの秘密

「……有吉…………なんでここが分かった?」
「………はぁ……だって……メールの最後に……書いてあったから…」

息を切らしながら有吉は言った。
やはり、ちゃんとお別れ出来なかったか

「………なんでですか?」
「なんでって言われても………それが答えだ。」
「けど俺、本気で設楽さんのこと好きなんです。。。」
「俺はお前が思っているほどの男じゃないよ
しかも既婚者だし。有吉にはもっとイイ人が居るって」

それじゃあ、とその場を去ろうとした。
するとガシッって強い力で腕を掴まれる。
振り向けば泣いてる有吉がいた。除々に力が無くなっている。



「………どんなに…少ない時間でもいい…っ……設楽さんが……
……心変わりするまででいいからっ………………一緒に………………」



搾り出すようにして言葉をひとつひとつ話す有吉。
そういえば、ある日突然土田さんがこんなことを言っていた。