ダーク・ファンタジー小説

I live with ヴぁんぱいあ。【1/22更新】
日時: 2019/01/22 23:11
名前: はるた

「しばらく更新停止します(通常更新です)」 byはるた


 




 初めましてor(知っている人がいましたら)お久しぶりです。
はるたと申します。

 はるたの五作目となる今回の小説のテーマは「ヴァンパイアと人間の少女の恋」になっております。
今回は皆様に少しでも「ドキドキした」と言ってもらえるようなお話にしていきたいと思っています(思っているだけ)ので、どうぞよろしくお願いします。





【参照記念】

 参照300記念小説 >>55
 参照600記念小説 >>81
 参照900記念小説 >>111
 参照1200記念小説 >>112
 参照1500記念小説 >>121








【お客様】

◇ゴマ猫様
◆ひよこ様 
◇雨空様
◆朔良様
◇覇蘢様
◆占部 流句様
◇いろはうた様
◆錦歌赤兎様
◇紗悠様
◆如月 神流様
◇みるく様
◆波璃様
◇星来様
◆蒼様
◇美奈様
◆ゆーき。様
◇戒壇様
◆ことり様
◇顔無し@様
◆村雨様
◇佐渡林檎様
◆Garnet様


【目次】

*Prologue >>09
*Episode01 >>113



【設定資料集】

*「ゆたか&鉋」 >>77
*「八朔&海里」 >>78
*「恭也&庵」 >>104
*「悠真&千影」 >>105





 参照9000感謝です。
 



では、物語の世界へどうぞ。





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Re: I live with ヴぁんぱいあ。 ( No.185 )
日時: 2017/09/02 20:57
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg





 Blood20「運命」



 二人が両想いになるまで、時間はかからなかった。
 祐輔の両親も、ゆたかの存在には気づかなかった。それくらい、自分の息子なんてどうでもいいと思っていたのだろう。
 二月になってゆたかが、とんでもない告白をした。
 今まで言わなくてごめんね、と困った顔で笑いながら。

「私ね、もうすぐ死ぬんだ」

 それは自分の気持ちに気づいてしまったとき。
 もう後戻りが出来なくなってしまった状況で、彼女は退路を断った。

「ごめん。私、祐輔くんにお礼もできずに死んじゃう」

 声は震えていた。今にも泣きそうな顔で、綺麗な長い黒髪が揺れた。
 
「ごめん」

 何度も繰り返し、その言葉を紡ぐ彼女にどう答えればいいのか分からなかった。適当に返事なんてできない。
 真剣なその表情に、嘘だろ、なんて言えない。
 マグカップに入っていたココアを少しだけ口に含んだ。ゆたかの入れてくれた甘ったるいココア。でも、感情がぐるぐるで味がよく分からなかった。

 あと少しってどれくらいなんだろう。タイムリミットが近づいてきていたから、だからゆたかは俺に真実を告げた。そんなこと、分かっている。


 いつか、いなくなることは分かっていた。
 自分との出会いは、運命じゃないってことも。偶然、ただ偶然出会って、家に連れてきた、猫のような存在。
 だから言えない。言えないのだ、言ったら悲しくなるって分かってるから。




「私ね、祐輔くんのことが好きだよ」

 外は雪が降っていた。子供たちが雪だるまを作っている光景が窓の外から見えた。
 ゆたかの顔が見えない。早く、自分の顔を隠したい。
 あふれてくる涙を隠すことができる奴が、きっと大人なのだろう。
 けれど、まだ……俺は子供なんだな。

「――俺も、好きだよ」

 まだ自分は子供で、ゆたかが死ぬことについて、きっと甘く考えていたのだろう。「死ぬ」ということに対して、知識がなさすぎた。
 きっとゆたかは全部わかった上で告白したのに、最低だ。

 何よりも、想いが勝った。ゆたかを誰にも渡したくないという感情が勝ってしまった。

 祐輔はゆたかをぎゅっと抱きしめて、呟いた。

   「ずっとずっと、俺のそばにいて」
   「俺より先に、死なないでくれ」


 その願い事が、叶ってしまったのが運命のはじまりだった。



 
 

***



 恋人同士になって、初めてのバレンタインでゆたかはそわそわしていた。祐輔に「チョコレートどんなのがいい」なんて聞いてきたりして、そんな彼女が可愛くって、愛おしかった。
 冬になっても変わらず彼女を匿い続けた。最初は毎日のようにやっていた女子高生行方不明事件のニュースも、ミーハーなメディアはすぐに捨てた。
 その日は九時からの練習だった。いつもの場所とは違い、隣町のサッカー場での練習試合ということで、ゆたかの弁当を持って外に出た。
 雪の降る、二月九日。

 その日、祐輔の目に映ったのは地面だった。あと、その地面にへばりつく血液。
 頭が痛いなと思って髪を触ると、手のひらにはそれと同じ赤。



 「あーあ、これ……やぁばい、やつじゃん」

 意識がもうろうとする中、トラックの運転手が青ざめた顔でこちらを見ているのが見えた。震える唇と、震える手。持ったスマートフォンが今にも落ちそうだった。
 もしもし、と彼がか細い声で電話に語りかける。人を、轢いてしまいました。






 少しだけ思ったことがある。俺の人生、最後までゆたかの傍にいられないのかって。やりなおしたいなって、この時ばかりはそう思った。


 十七年と九か月。加瀬雄介の人生は、呆気なく終わりを迎えた。

Re: I live with ヴぁんぱいあ。 ( No.186 )
日時: 2017/09/09 19:16
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg








【お知らせ】


 こんにちは。秋ですね、読書の秋です。
 久しぶりに図書館に行くと読みたい本がいっぱいで大変でした。
 と、前置きはさておいて、嬉しいお知らせを。

 本作が2017年の夏の小説大会で金賞を頂きました。投票してくださった皆様、本当にありがとうございます。本作はコメライの方で書き始め、その時に銅賞を頂きました。それからこちらのシリダクに来て銀賞を、そして今回初めて金賞を頂くことが出来ました。
 賞のために小説を書いてるわけじゃないのですが、目に見える結果(読者さんがいること)を知ることのできる機会として、私は小説大会がとても好きです。
 趣味の範囲で書いているので「どうしてこんなに面白くない作品が金賞とるの? 私が書いた小説の方が面白いのに」とか言われても「そうですね、私もそう思います」とかしか言えないので悪しからず(笑)

 また「シリダクは今過疎っているから、誰でも賞とれるだろ」って方、本当その通りなので是非シリダクで小説書いてみてください。過疎ってて本当に寂しい。賞とる人も固定になってきてるので、新人さん本当来てください。昔よく見かけたミステリーなんかも絶滅しちゃったし、私書けないので、誰か書いてください。読みたいです。ほんと誰か来てくれ(懇願)
 

 私のカキコ歴も四年になり、それなりに色々あったな、と過去を振り返ることが多くなりました。普通に活動していても誰かしらから恨まれることもあり、まぁ正直言いますと疲れました。
 私の作品が嫌いな人は嫌いでいいし、それなら放っといてくれと思いました。そういう奴です、私は。
 突然のお知らせで申し訳ないのですが、私はこの作品が完結後、もう「はるた」という名義で小説を書くことはやめます。他の作品は既に削除依頼済みですし、この作品が完結したら削除依頼をして終わりにしようと思います。
 長くて短い四年間、たくさんの人たちと関わることが出来て本当に幸せでした。憧れの作者様とも仲良くなることが出来まして、本当に嬉しかったです。
 またいつか、皆様と関わる機会があれば嬉しいです。本当にありがとうございました。
 と言いつつ、まだ本作は終わる気配を見せておりませんので、あと一年ほどはまだふらふらカキコにいると思います。それまで、どうぞ宜しくお願い致します。

 本作は10月1日で三周年を迎えます。長期の連載に関わらず読み続けてくださる皆様、本当にありがとうございます。これからもどうぞ宜しくお願いします。



Re: I live with ヴぁんぱいあ。【お知らせ】 ( No.187 )
日時: 2017/11/28 17:46
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg





 Blood21「一緒」



 「なにそれ、変なの」

 物語を語り終えた鉋に、私が思わずこぼした言葉はそれだった。
 過去に私と会って、恋に落ちて、そして死んだ。じゃあ、物語はそれで終わりじゃないか。

「死んでしばらくして、一人の少年に出会ったんだ、すごくいい奴で俺はすぐに仲良くなった。いっぱい一緒に遊んで、俺が吸血鬼の就職試験を受けに行く時も応援してくれた」
「吸血鬼ってお仕事なんだね」

 鉋は大きく息を吐いて、こちらを見た。その青く澄んだ瞳に吸い込まれそうになる。

「で、そいつ自分の正体を隠しててさ、実は神様だったわけ」
「神様って、あの神様?」
「ゆたかがどの神様を指してるのかはわかんないけど、まぁ一番偉い人だったわけ」

 暗い部屋に灯る小さな明かりは、弱弱しく、今にも消えてしまいそうだった。
 
「それが、八朔だったんだ」






 
 一瞬、息が止まった。それは予想もしていない物語だったから。




「ちょっと待って!!! 八朔ってなに、化け猫なんだよね?」
「そう、あいつは神様だから何にでも化けられる。化け猫にだって」

 冬の冷たい風が窓の隙間を通り抜けて、部屋を駆け巡った。ぶるっと体が震えたのは、きっと鉋の話が衝撃的だったからではない。確かに前から変なところはあったけれど、だけど、まさか。


「八朔が全部知ってるのは――」
「そう、神様だから。俺がもう一度人生やり直せてるのも、全部八朔のおかげ。あいつはいい奴だから、俺の願いを叶えてくれてるんだ」


 陽気に言う鉋に、私は笑えなかった。
 だって、話を聞くからに最終的な結末はどうあがこうが私が死ぬ。私が死ぬことで完結するのだ。じゃあ、結局鉋が幸せになることはない。何度もやり直しても、結局は私と鉋は結ばれない。ハッピーエンドは迎えられない。
 じゃあ、なんのために鉋は人生をやり直しているのか。そんなの、


「じゃあ、鉋は――私が死ぬのが怖いって、知ってるんだね」


 私の言葉に鉋は薄い笑みを浮かべながら頷いた。
 そっか、やっぱりそうだったんだ。


 初めて血を吐いたとき、酷く動揺した。病院で余命の話をされたとき、すごく怖かった。
 お母さんもお父さんも、私が壊したのも同然だった。それに加えて私は悠真の幸せになる道を絶たせてしまった。
 全部私のせいなのに。それでも、私は死ぬのが怖かった。



 「死ぬときは、鉋が一緒にいてくれるんだよね」
 「うん。いるよ。ずっと」

 ぎゅっと鉋に抱き着いて、私は自分の涙を隠した。あふれ出る涙は、悲しいから出るものじゃなかった。
 ゆっくり目をつむると、鉋がそっとキスをしてくれた。触れた唇に熱を感じる。このまま、ずっと時が止まってくれればいいと思った。そんなのできるわけないのに。それでも私は願わずにはいられない。このままずっと鉋と一緒にいられる未来を。
 だけど、私は思い出す。八朔のあの言葉を。




「 好きになってもゆたかと鉋は絶対に結ばれないんだよ。 」




 八朔が神様なら、どうして私を死ぬ運命にしたのだろうか。私が何をしたのだろうか。私が幸せになることはいけないことなのだろうか。
 私は神様を恨まずにはいられない。神様がいるというならば、私を生かしてください。私に生きる道をください。
 かなわない願い事をたくさんしながら、私は鉋の腕の中で泣いた。
 好きだ。このまま、このまま鉋と一緒にいたい。ずっとずっと一緒にいたいよ。



Re: I live with ヴぁんぱいあ。 ( No.188 )
日時: 2018/02/02 16:16
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg





 お久しぶりです、更新スピードが年々低下しております、はるたです。
 四周年は迎えたくないよねと最近のレスにありましたが、高確率で迎えますね。じゃあ、五周年にはならないようにと変更しておかねば(汗
 このレスが今年初めてのレスになりますね。こんにちは、平成三十年。平成も来年で変わってしまうと思うと名残惜しいです。新しい年号は何になるのでしょうね。
 そして、すごく今更なのですが、参照が10,000を突破しておりました。ありがとうございます。長い道のりでしたが、たくさんの方に読んでいただけたのだなと思うと、とてもうれしいです。つたない文章ではありますが、この作品は私が一番愛する作品です。最初と構想はすこしずつ変わっていっているのですが、それでも根本に置いたストーリーは変わっておりません。
 素敵なハッピーエンドはどうしても書けませんが、私なりの彼らの幸せを探して執筆していきたいと思います。三年もこの作品を書き続けていられたのは読んでくださる、コメントをくださる皆さんのおかげです。何回もやめようと思ったことはありましたが、私が作ったキャラたちを好きだといってくださった皆さんの優しさを知り、やっぱり手放せないと思いました。まだ長くなるとは思いますが、どうぞ最後までこの作品におつきあいいただけたら嬉しいです。


 本当に、ありがとうございました。
 次の更新は三月を予定しております。生きてたら更新しますね(^^)

Re: I live with ヴぁんぱいあ。 ( No.189 )
日時: 2018/03/10 22:12
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg

 Blood22「愛情」


「もし、さ。――私が消えたら鉋はどうする?」

 涙がようやく止まって頭が冷静になった気がする。私の質問に鉋は小さく笑ってちょっとだけ唇を噛んで「わかんない」と呟いた。その声はか細くて、いつもの鉋とは違って見えた。
 鉋が望んでもう一度人生をやり直して、結局私と一緒に生きることができたとしても結局結末は変わらないじゃないか。私たちが幸せになる選択肢はない。そもそも鉋が好きになったのは私じゃない。鉋が好きになったのは鉋が生きてた時に出会った私だ。

「そっか、そうだよね」

 私の右頬を撫でる鉋の左手は少し冷たくて、自分が生きてるということを実感できた。
 覚悟はできている。最初から。
 大事な人たちを捨ててここまで逃げて来た時からちゃんと覚悟はできていたのだ。

「ねぇ、かんな……好きって言ってみて」


 今日死ぬのも明日死ぬのも変わんないと思っていた。悠真が家を燃やした時もどうせ死ぬと思ってた。この現状から逃げても私は悪くないと思ってた。どうしようもないから。だから、私は悪くないって思いたかったのだ。
 ――全部私が悪かったのに。不幸だと決めつけて、悠真を殺したのは私だった。悠真にその選択肢を選ばせてしまったのは私だった。


「好きだよ」


 心の中で何度も何度も懺悔し続けた。囁くような小さな声で鉋が私に届けた言葉は、私が一番欲しかった言葉だった。誰かに愛されたかった。誰かに必要とされたかった。
 誰かに私は、



「だから、生きてよ。ゆたか」



 生きてほしいと言われたかった。願われたかった、私がいる未来を。





 皮膚に触れる鉋の手のひらは冷たかった。
 鉋の牙が私の首筋を勢いよく噛んだのに気付いた。きっと、私の血は鉋好みに甘くなっているだろう。もうタイムリミットだ。




***



 鞄の中に荷物を全部詰めて、玄関に向かった。窓から見えた朝焼けが眩しくてつい目を瞑ってしまった。ゆっくり目をあけると、私の足元には仔猫がすり寄っていた。にゃあ、と小さな声で鳴き、ゆっくりと姿を変えていく。少年の身体に変わった後に、彼は大きくため息をつき「ばか」と呟いた。馬鹿はどっち、と思ったけど八朔の感情は私にはよく分からなかった。

「俺が間違ってた。こんなんになるんだったら、全部最初からなしにしとけばよかった」
「なにそれ。八朔は悪くないでしょ」
「鉋の好きはニセモノじゃないよ。ちゃんとゆたかに対しての愛情だよ」
「うん。知ってる」
「それでも出ていくの? 鉋の願い事を叶えてあげないの? ゆたかにしかできないんだよ」


 ごめんね、と八朔に笑いかけて私は玄関のドアを開けた。振り返ると八朔は泣きそうな顔でこちらを見ていた。これからの未来、彼は知っているのだろうか。悲しい結末になることを分かっているから止めるのだろうか。それでもよかった。

「ありがとう、八朔。素敵な思い出をありがとう。――ばいばい」



 幸せだった、と思えただけで十分だ。
 これからどうしようかな、と考えながら私は足を進める。地面を蹴る足が少しずつ速くなる。
 バス停で時間を確認しながら私はふいに空を見上げた。清々しいくらいの青空だった。

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