ダーク・ファンタジー小説

I live with ヴぁんぱいあ。【1/22更新】
日時: 2019/01/22 23:11
名前: はるた

「しばらく更新停止します(通常更新です)」 byはるた


 




 初めましてor(知っている人がいましたら)お久しぶりです。
はるたと申します。

 はるたの五作目となる今回の小説のテーマは「ヴァンパイアと人間の少女の恋」になっております。
今回は皆様に少しでも「ドキドキした」と言ってもらえるようなお話にしていきたいと思っています(思っているだけ)ので、どうぞよろしくお願いします。





【参照記念】

 参照300記念小説 >>55
 参照600記念小説 >>81
 参照900記念小説 >>111
 参照1200記念小説 >>112
 参照1500記念小説 >>121








【お客様】

◇ゴマ猫様
◆ひよこ様 
◇雨空様
◆朔良様
◇覇蘢様
◆占部 流句様
◇いろはうた様
◆錦歌赤兎様
◇紗悠様
◆如月 神流様
◇みるく様
◆波璃様
◇星来様
◆蒼様
◇美奈様
◆ゆーき。様
◇戒壇様
◆ことり様
◇顔無し@様
◆村雨様
◇佐渡林檎様
◆Garnet様


【目次】

*Prologue >>09
*Episode01 >>113



【設定資料集】

*「ゆたか&鉋」 >>77
*「八朔&海里」 >>78
*「恭也&庵」 >>104
*「悠真&千影」 >>105





 参照9000感謝です。
 



では、物語の世界へどうぞ。





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Re: I live with ヴぁんぱいあ。 ( No.164 )
日時: 2015/10/03 06:02
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg
参照: 来週中にはコメ返します。もう暫く待ってください。





 ご無沙汰しています、はるたです。

 取り敢えずの言い訳です。
九月中、何かしらバタバタしていてPCに触ることすらできず、携帯からカキコを見ながら「感想もらっているのに返事が出来ない……」と申し訳なさを噛み締めながら日々を過ごしていました。基本的に私はパソコンからでしか小説を書いたり感想、コメ返をしたりしないので更新等がとにかく遅いのです。携帯って打ちにくいよね、と同志様を募ってみたり。
 兎にも角にもお知らせを10月にすると言ったからには10月1日にするよね。とか思っていたものの無理でした。
 10月1日をもちまして、この作品も1周年に至りました。最初1年以内に完結できたらいいねーとか言っていたのを懐かしく思います。そんなの不可能だ、全くその通りです。
 この1年、本当色々あったなーなんて思い出しながらまた執筆を再開しようと。あれですよ、この作品で「初めまして」の人が多いんです、お客様欄を見ると分かるように。この作品を通じてたくさんのカキコ住民の方と出会えたのは本当に嬉しいことだと思います。賞もいただけた作品でもありますし、これからも多少形は変わると思いますが頑張って完結まで持っていけたらと思います。
 これからも本作を宜しくお願いします。




■お知らせ


 この作品の本編が更新されなくなってから早半年が経過しました。
私も読み返しながら、そう言えば修正作業サボってたなーなんて思い出しました。やらないとですね。
 大事な話(そこまで大事ではない)をする前に、一つどうでもいい話を。――この作品を書く前に2つヴァンパイアの小説を書いたんです。
 一つ目はヴァンパイアの少年とハンターの女の子のお話。あれです、殺し屋vsターゲット的なやつです。最終的にこれはバッドエンドでした。
 そして二つ目、これはこの作品を書こうと思って幾つかあげた案の一つでした。ヴァンパイアと監禁された女の子のお話です。もうラブ要素しかないくらいの恋愛小説でしたね。この作品はエンドが思いつかず駄目になりました。
 その二つを原点にしてこの作品を作りました。バッドエンドになるのは覚悟でプロローグを書き、一章を書ききりました。でも、書いていくうちに私の悪い癖が出てしまったのです。
 私は長編を書いていくうちに話を掘り下げすぎていってシリアス風味な作品になってしまうのです。多分、私の小説をいくつか読んでくださっている方は分かってくださると思います。うん、きっと分かってくれる!
 この作品の結末と向き合ったのも三月くらい(一章終了後)だったのですが、結局自分の思うようにできず暫く保留ということで番外編等で凌がせてもらってました。
 ようやく八月中に結末も決まり、書こうと思ったもののやっぱりこの作品は「シリアス要素」が強い作品だということが完結が見えたことによって深く感じるようになりました。元々シリアスだったのですが、恋愛要素があったため普通にコメディになるはずさ、なんて軽いノリで書いてた自分が今では懐かしい……(笑)

 最終的に何が言いたいのかというと、
この作品のこれからの本編更新は「コメディ・ライト」ではなく「シリアス・ダーク」で書かせていただきます、ってことです。
 長々と書いたのに結局この一文で皆様に伝えたいことは終わりです。
この作品の更新を放棄することも考えたのですが「更新がんばってください」や「続き楽しみにしています」という皆様のお優しいお心が、勝手ながら私のこの作品を完結まで頑張りたいという気持ちを刺激してくれました。本当にありがとうございます。
 理由は、上にも書いた通りもうこの作品は「コメディ」にはならないからです。恋愛要素はこれからも入れていって多少は明るい話になると思いますが、これからは一章よりもっと暗い展開になると思われるので、コメライでの執筆は自粛させていただきます。

 シリアス・ダークの方で執筆いたしますが、わざわざ別の板まで足を運んでいただくのは悪いので、良ければほかに書いているコメライ作品を再開させますのでそちらでお会いしましょう。でも、もし時間があったり話の続きが多少なりとも気になるみたいな感じになったらちらりと覗いていただけると幸いです。
(移動は十二月くらい。〈人気キャラ投票〉が終了しましたら管理人様にお願いしようと思ってます。それまでは番外編等載せていきますので良かったらどうぞ)
 主はコメライの方で活動していきますので、これからも仲良くしてくださいませ。

 そして、暫くは明るい話が書けるように少しづつそういう練習をしていこうと思います。それと同時にたくさん小説を読んで学んでいこうと。
 そのため、また皆様の小説に長文の意味不明な感想を置いていってしまうと思うのですが、その時は皆様の寛大なお心で受け入れてください。怒らないで!

 もう暫くお付き合いください。
こんな長い文章を読んでくださりありがとうございました。そして、お疲れ様でした。

Re: I live with ヴぁんぱいあ。【1周年です】 ( No.165 )
日時: 2015/11/22 23:34
名前: はるた ◆OCYCrZW7pg






佐渡林檎さん


 こちらはまず最初に、憧れの佐渡林檎さんに小説を読んでいただいた上にコメントを頂けたことを驚きまくっているところです。いやはや、いらっしゃいませ。まさかこんなところに来ていただけるとは……うぅ、もう少しちゃんと片づけをしておけば、いやここは私の部屋ではありませんでしたね。
 受賞のお祝いの言葉、ありがとうございます。一か月くらい経って、ようやくじわじわと実感がわいてきました。
 いえいえ、こちらの方がこんなやつの小説に佐渡林檎さんがコメントを……?!と変な汗をかいているところなんですから。
 最後まで目を通していただけたようで。長かったでしょう、良ければこちらで一服していきませんか。


 選ばれる価値なんぞ多分ありませんよ。私は本当に文才の欠片もなく、深みに嵌っては小説を書くことをよく諦める駄目な奴です。ネットで小説を書きだすまでは完結をさせた作品も片手で数えられるほどで。でも、カキコで書きだすと読んでくださる方がたくさんいて、こんな拙い文章にアドバイスや応援コメントをくれる人ができたんです。ありがたいことだなと常々思います。未だに文才があるかどうか、そう質問されて首を大きく横に振ることしかできませんが、こうやって賞を受賞できたのもたくさんの方が私の小説を批評してくださったおかげなのです。と、何だか長々と語ってしまって恥ずかしい限りです。
 基本的に他の人にコメントするのは苦手なので、好きな小説にしかしないんですよね。だから、もう一回言います。憧れの佐渡林檎さんに来ていただけて昇天しそうです←

 血が苦手というのにこの小説を読んでくださったのですね。それは、申し訳ないのです。とか言いながらも、それでも読んでくださった佐渡林檎さんのやさしさについ涙をこぼしてしまう私であります。
 ラブコメや家族もの。私にとって身近なものを書くことによって、リアリティーを追及してたんです。でもそのせいで異常に暗くなっちゃいましたけど。あれです、現実はそんなに甘くないぜ!てきな。
 実は私も血が苦手なんですよね。この前道端で猫が亡くなっていたのを見て思わず目を逸らしてしまいました。これは当たり前のことなのですが、私は現実でぼたぼたと血が落ちるのを見ると手が動かなくなってしまうんです。だから大丈夫なのは二次元だけなんです。
 血が苦手なのにヴァンパイアものを書いている自分。いいのでしょうかね(笑)

 私も猫触れないんですけど、猫大好きです。一緒ですね。
動物が怖くて触れない自分が恥ずかしくて、いつも友達の陰に隠れているのは内緒ですよ、内緒ですよ!
 では、八朔から手紙をもらったのでおいていきますね。とりあえず、この手紙を見ながら私何がしたんだろうと反省しました。先に謝っておきます。スライディング土下座以上のことはしますのでお許しを。
 コメント、ありがとうございました。




『林檎へ


 初めてのお客さんなのに、俺に票を入れてくれるみたいで、ってことは俺の事もう大好きだよね。鉋とか、他の奴に入れないってことはきっと俺だけしかもう見えてないってことなんだよね。そうじゃないんだったら、俺拗ねるから。
 あれだろ、俺のこと飼いたいとか言いながら、実は飼われたい側なんだろ。俺がいっぱいいいこと教えてあげる。
 たとえば……ツナ缶の上手な開け方、とか。


                     八朔』




ゴマ猫さん


 ゴマ猫ちゃん、いらっしゃいです。
はい、何故かいつの間にかダブル受賞していたみたいです。すみません、時間が無くて一気に投稿したいがためにお礼の言葉はあんな感じにさせていただきました。
 な、な、な、なんと!ゴマ猫ちゃんに仲がいいと思っていただいている!うわぁぁぁぁ、何これ、嬉し過ぎますよ。どうしましょう、口元がおかしいくらいに緩まってます。はるたもゴマ猫ちゃんとはとても長いお付き合いをしているので、これからも仲良くできるといいなと思ってます。
 ゴマ猫ちゃんの短編も毎度楽しみにさせていただいていますし、また長編が読めるのもワクワクして待たせていただいています。
 私は冬は検定が続くので消えがち(今も……)ですが、応援してますね。
 化け猫で親近感わきましたか。はるたはHNに特に由来はないのですが、たまに同じ名前の人がいた時とか親近感がわきます。今まで一番親近感がわいたのは、自分の好きな小説に出てくるキャラで春太(はるた)っていうのがいたんですけど、その子が私と同じホルン奏者だったのです。ちょっと運命感じました。
 はるたも最近はお菓子やケーキ、パンとかを作っている時やそんな描写のある小説を執筆しているときにはゴマ猫ちゃんのことを思い出すようになってきました。実はこの前はガトーショコラを作ったのです。と、どうでもいい情報でした。

 八朔に票を投じていただけるようで、では八朔から手紙を受け取っているのでおいていきますね。
 コメント、ありがとうございました。



『ゴマ猫へ


 ゴマ猫なら俺に票入れてくれるって信じてた。ってか、絶対入れてくれるって思ってたから。だから、すっげー嬉しい。
 今度俺んち遊びに来るよな。鉋はどっかにやるから二人っきりで遊ぼう。
 俺、ずっとゴマ猫の作ったケーキとかパンとか食べたかったんだ。だから、お、俺も手伝うから一緒に作ろ?
 ゴマ猫と一緒にお菓子作り出来るとか思うと今からすっげー楽しみだ!

                         八朔』




朔良さん


 ご無沙汰しています、朔良ちゃん。
はい、お陰様でこんな小説が賞を頂いてしまいました。いいのでしょうか、うーん。
 そして、ご配慮の方ありがとうございます。
 流石と言いたいのは朔良ちゃんの方ですよ。はるたなんか足元にもおよびません。必死でもがいて朔良ちゃんやゴマ猫ちゃんの後姿を追いかけているところです。でも、少しづつ上達していると勝手に思い込んで「これからも頑張ろう!」とかほざけるようになりました。昔から少しネガティブなところがあったのですが、そこも改善されていっているみたいです。
 もう一つの方は、諸事情でロックさせていただいているのですが、また再開したいと考えています。本当に時間があればでいいので覗いていただけると幸いです。
 
 コメント、ありがとうございました。




ひよこさん


 今更ながらひよこさんとは一番長い付き合いになるので、コメントをもらうと昔のことを思い出しながら星を見たくなる気分になります。まるではるた、ロマンチストみたいですね。
 今更昔のことをぶり返すのですが、ひよこさんが昔言ってくださった言葉を思い出しました。
「もっともっとたくさんの方々に、はるたさんの小説を読んでもらいたいと私なんかが願っています。」
 久しぶりに昔の小説チラ見していたらなんだか泣けてきました。ひよこさんの仰ってくださっていたようになったのですね。少しは成長できたでしょうか。こんなに長い期間、はるたなんかにお付き合いくださったひよこさんには感謝の気持ちを表しきれないです。
 
 私も毎回ひよこさんの小説楽しく読ませていただいています。
これからも、ひよこさんやひよこさんの小説が大好きですし、それはきっと変わらないですね。本当に好きなんです。何回言ってもきりがないくらいに。

 か、鉋に一票ですね。了解です。
こちらに彼から手紙が届いているのでおいておきます。
 コメント、ありがとうございました。


 

『ひよこへ


 ひよこなら俺のとこに来てくれるって信じてた。
いや、ごめん。当たり前だよな、俺ちゃんとひよこのこと信じ切れてなかったかも。ひよこなら俺を選んでくれるって、ちゃんと分かってたはずなのにほんとごめん。
 すねんなよ、ほらこっち来い。
 今日だけはずっとお前の傍でお前だけを見てるから。他の奴なんて絶対見ない、お前だけを愛してる。


                     鉋』



Re: I live with ヴぁんぱいあ。【お知らせ】 ( No.166 )
日時: 2015/12/31 11:19
名前: 榛夛 ◆OCYCrZW7pg







 Blood15「逃道」



 時が経つほどに、自分が何者なのかが分からなくなっていく。
私が鉋と出会ってから、約一か月。最近年を越してまた新しい年がやってきた。私は鉋に抱くこの不思議な気持ちを伝えることはなく、ただ淡々と日常を過ごしている。


 ヴァンパイアである鉋に出会ってから、私の人生の歯車が大きく狂いだした。いや、悠真が居なくなったあの日から私の人生はもうすでに狂っていたのかもしれない。
 隣で可愛い寝息を立てて眠る鉋を横に、私は彼をじっと見つめた。こいつは、また私のベッドにもぐりこんできたな。睨みつけながらも、それが「嫌」なことではなく、私は怒ることさえできない。
 遠い存在、けど一番近いのは私。
 壊れた私を救ってくれた鉋に近づきたくても、私は気づいてしまう。私が彼を好きになってはいけないのだと。溢れそうになる涙を隠すように、私は服の袖で涙を拭った。


「あれ、ゆたか。泣いてるの?」


 時刻はもう4時近くになっているのだろうか。もう寝ていると思ったのに、ドアの前には眠そうに目をこすった子供の姿があった。



「…………八朔?」


 こんな時間にどうしたのだろう。もしかして起こしてしまった?
 私は隣で眠る鉋から目を逸らして、ベッドから降りた。
 冬の朝はとても冷え込む。八朔は寒いのかぶるぶると震えていた。私が八朔の方に向かうと、彼はついてきてと言わんばかりにリビングの方のこたつに走っていった。小さな背中が弟の姿と重なって、私はさっき我慢した涙がまた溢れそうになる。
 また、夢みたいなこと考えちゃった。



 悠真もお母さんもお父さんも元気で、笑っている光景。
 絶対にないって分かっているからこそ、だから求めてしまうのかもしれない。
 今、鉋や八朔といる日常もとっても楽しくて嬉しくて……かけがえのない日々だというのに。どうして、どうしてこんなにも胸にぽっかり穴が開いたように感じるんだろう。



「ゆたか、座って」


 珍しく八朔はこたつに潜ることはなく、普通に足だけ入れて座って見せた。驚きながらも私もこたつの中に入ると、見えたのは八朔の真剣な顔。
 こんな八朔初めて見た。いつもふざけたように……バカっぽく笑っている八朔とはまるで別人だ。
 「演じていた」――と言わんばかりの、そんな、



「ど、どうしたの? 八朔」
「話があってさ」
「う、ん?」

 喉の奥から込みあがってくる気持ちは、これはきっと恐怖。


「ゆたかは、さ。鉋のこと、好き、なの?」


 この言葉、聞いたことがある。
 私がこの家に来た、一番最初に八朔が私に尋ねた言葉だ。
 あの時は私は無表情でその言葉の真意を分かった上で否定できた。だって私は鉋のことなんか絶対に好きになんかならないって、そう信じてたから。
 そうだ、恭也のことすらも一ミリたりとも「好き」だなんて思わなかったんだ。だから、私には自信があった。


 鉋のこと……好きにならないってあの時はそう思ってたんだ。




「――う、いや。まぁ、えっと。………………うん」


 やっぱり、八朔には嘘はつけない。
そう思って私はこくりと頷いた。
 私がゆっくり顔をあげると、目に映ったのは悲しげな表情の八朔の姿。私からも目を逸らして、ただ表情をを濁す。
 八朔はこたつから出て窓の外の景色を見に行くという、いつもなら絶対にすることがない行動をしながら、私にようやく振り向いてぽつりと言葉を零した。



「やっぱり、ゆたかはは鉋のことが好きになっちゃうんだね。――これって運命ってやつなのかな。……ああ、前もそうだった、ゆたかも鉋もいつのまにか好きになって、結局悲しい思いをするのは二人だったんだよ。ねぇゆたか、現実は残酷だよ。好きになってもゆたかと鉋は絶対に結ばれないんだよ。だからさ、俺、もう「また」傷つく二人の姿を見たくないんだ」



 意味の分からない言葉を零す八朔は、儚げな表情がよく似合う少年だった。
 何を言っているのだろう。
 八朔はゆっくりと窓を開けた。冷たい風がびゅーっと音を立てて中に入ってくる。それでも八朔は動じることなくその風を受け止めた。
 いつもなら寒い寒いってこたつに脱兎の如く飛び入るのに、それも嘘みたいに彼は寒空を見つめる。

 好きになっても、「無駄」ってことを八朔は私に伝えたかったのかな。


 そんなの、私の方がよく分かってるよ。




「――鉋とゆたかはさ。ずっと前に、出会ってるんだよ」






    空気の張りつめた、冷たい、雪落ちる日に。



 

Re: I live with ヴぁんぱいあ。 ( No.167 )
日時: 2015/12/04 23:00
名前: 榛夛 ◆OCYCrZW7pg







 Blood16「夜風」



 暗い闇が太陽の光によって照らされて、辺りがぱぁっと色づいていく。八朔は空を見つめて、長ーい溜息をついた後こちらに振り返っていつもの笑顔で笑ってみせた。
 

「今のは、もう忘れて」

 八朔の笑顔はいつもと同じはずなのに、なぜか不気味だった。
私は忘れることなんてできない、そう思ったけれど軽く頷く。
 暫く経って、ぎゅるるるっと可愛いお腹の音が聞こえたかと思うと、八朔はしゃがみこんでぎっと私をにらんだ。
 お腹がすいていたのだろうか。だから目が覚めて私とお話でも、みたいなくだりだったのかな。私はこたつから足を出してキッチンの方足を進めた。

「ちょっと待っててね。今からご飯作るから」
「ごめんね、ゆたか。すっごくお腹すいてて」



 表情を崩して笑う八朔は、さっきの八朔とは別人だ。
 本当は「――鉋とゆたかはさ。ずっと前に、出会ってるんだよ」っていうさっきの言葉の意味を知りたいけれど、それを聞くことはできなかった。それを聞けば、何かが終わってしまうような気がした。何かが、傷ついて、何かが、壊れるような……。
 ただ分かること、これは私が触れちゃいけないことってこと。



 キッチンに立って、私は冷蔵庫から幾らか材料を取り出して朝ご飯を作り始める。溶いた卵を熱されたフライパンに流し込んでじゅーと音がたったとき、階段から誰かが下りてくる音が聞こえた。
 「おはよー」と大きな欠伸をしてリビングに入ってきた鉋は、まだ目がちゃんと開いていない。こたつで蜜柑をほおばっていた八朔の隣に腰を下ろし、料理をする私の背中をぼーっと見ていた。


「なぁ、ゆたか」
「…………な、なに?」

 鉋はやっぱり私の背中をじーっと見ている。
振り返ると、じっと私を見つめる鉋の姿。彼と目を合わせるのが少し怖いのは、きっとさっきの八朔の言葉が引っかかっているからだ。八朔は私に何かを伝えてくれようとしているのに、当の本人である鉋は何も言おうとはしない。


 鉋は、私に何も教えてはくれない――


「変な顔してるぞ」
「……は、え? 変な顔なんかしてないよ」
「いや、何かむすってなってる。機嫌悪いのか」


 表情筋が固まっていたのか、確かに私の表情は暗かった。
 表情筋を緩ませるように口角をぎゅっと上にあげるけれど、それでも笑うことはできなかった。
 

「鉋、俺がゆたかにちょっと話をしたんだ」
「……ん、話って」
「ゆたかと鉋の昔ばな――」

 言い切る前だった。
 バシーン、大きく鳴り響いたその音に、私の息が止まった。
目に映ったのは、鉋の怖い表情。見たこともないような、鬼のような形相。八朔は鉋にはたかれた頬を右手で軽くそえて、鉋をにらみつけた。
 睨まれても一切表情と態度を変えない八朔もすごいが、鉋のここまでキレた姿も初めて見た。

「ちょっと、二人とも……」


 仲裁しようとしても、これはきっと無理だ。
震える声。私はビクついて持っていた包丁をストンと落してしまった。床に突き刺さった包丁にまたビクつきながら、私は目に涙をためた。
 いつも仲がいいはずの二人の雰囲気が急に悪くなると、こんなにも怖いんだ。


「わたしは、わかんないよ。だって、私と鉋は会うの初めてでしょ? 絶対に私は鉋となんか会ったことないもん。それなのに、昔話なんておかしいよ。今朝も言ってたけど、私と鉋がずっと前に会ってるなんて、そんなの嘘だ。八朔、私はそんなウソ信じない!」


 八朔は私の表情を確かめるように一度こちらに目線を逸らし、すぐに八朔の方に向き直った。
 そして、はーと深いため息をついた後、やっぱり悲しげな表情をして言葉を紡いだ。



「ゆたかは何にも知らないよ、知ってるのは当の本人だけ。鉋だけが覚えてるんだ、そして俺はそれをただ遠いところから見てただけ。――ゆたかはまだ俺たちのことが信じれないみたいだから、だから言おうかどうか悩んだんだ。でも、ゆたかはまた鉋のことを好きになってた。だから、もう、運命は変わんないから。だから、ゆたかはまた「死んじゃうんだ」。ゆたかが死ぬ運命は、絶対に変わんない。ねぇ、ゆたか。一つだけゆたかには知っていてほしいんだ……。


 ゆたかはね、今年の二月十五日に、渡せなかったチョコレートを握りしめて、死んじゃうんだ。
 大好きな人に、「好き」と伝えてしまった罪悪感とともに、死んじゃうんだよ」




 私の知らない、私の話は、とてつもなく残酷な物語だった。



Re: I live with ヴぁんぱいあ。【11/30更新】 ( No.168 )
日時: 2015/12/02 16:58
名前: Garnet


こんにちは、Garnetです。柘榴石です。
今更のこのことやって来ました。
何となく頭が働かないので 誤字や文としておかしいところが多いかもしれません、先に謝ります、ごめんなさい(笑)


先月は、態々わたしのスレッドへのコメントを下さり、有難う御座いました。

……テンション低く見えるのは気の所為です、ハイ。


ゆたかちゃんが迷子になって、怪しい男の正体が発覚したところまで読みました。
ひとつの区切りかなと思い、きたねぇ文字をぽちぽちと打ち込んでいます←

わたしにも、恋とか愛とか、よく解らないです。
何時も一方通行なので。此方からにしても、相手からにしても。
同じ方向を向いていたとしても、捻れの位置。虚しいことこの上ない。
……今のひとりごとです色々すみませんでした!((スライディング土下座


こんな阿呆餓鬼ですが、これから時々"読んだよ報告"をペタッと残しに来ます。
また彼奴が来やがったなと思いながらでも構いませんので、良かったら構ってやってください(笑)
Garnetは何気にかまちょです、めんどくせー女子です(^^;

ゆたかちゃん、どうなっちゃうんだろう……?!
早速続きを読んできます。

失礼しました。



P.S.的なもの

Twitterをやっていたら、「いろはるた」さんという方にフォローしていただいたのですが、はるたさんでしょうか…?
違うかなとも、思ったのですが。
念のため、確認させてください(汗)

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