コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 二話解禁
- 日時: 2011/09/01 02:20
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id=758.jpg
初めての投稿です!!そして初めての小説です。まだ途中ですががんばって書いていきたいと思います!!内容の細々とした設定は後々追加していく予定ですのでどうかよろしくおねがいします!!そして、初めて書くので全然下手で文章力もないですが、荒しとか、下手だからやめとけとか言わないでください。そう思うならとっとと帰っちまえ!!とおもう所存ですゆえ・・・。^^;
タイトル変更のお知らせ 【紅蓮の契約者】からErret Crimson〜紅蓮の契約者〜になりました^^;オリキャラ募集は引き続き行っています^^;おねがいします〜
参照200突破したので主人公から一言—————「え?は?おまえなにいっちゃってんの?そういうのは作者がするもんだろ?」———いいからいいから———「いいからじゃねーよ!恥ずかしいだろ!?」———いいからやれよ馬鹿!!———「逆切れされた!?」———・・・いつまでもこのヘタレが私に逆らってくるので今回はこの辺で———『一言終了』
参照300突破したのでヒロインから一言—————「こんにちは、エルシャロン・ユアハーツです♪この度は私と裕介のイチャイチャラブストーリーを読んでくださり」———ちょ、エルさん?違う、違うからね?———「・・・はぁ?人間風情が気軽に私の名前を呼ぶんじゃないわよ」———おーい・・・本性でちゃってますよ〜———「ていうかそもそもこれを裕介が見るわけじゃないんだし、一言とか必要ないじゃない」———・・・あー、エルさんが帰っちゃったので今回はこの辺で———『一言終了』
参照400突破したので先生から一言—————「こんにちは(キラッ)髪の毛がワイルドなほどに生えている雉田信之助デスッ(キラッ)」———うそはよくないと思います、先生———「う、うそじゃないもん!!ほんとだもん!!」———きもいんでやめてもらえますか?———「フン・・・キサマはどうやらこの私を怒らせてしまったようだな・・・喰らえ!!ハゲビーム!!」———えー、この先生相手にするのがめんどくさいので———『一言終了』
参照500突破したので西野から一言—————「始めてまして、西野です。鎖牙裕介の友達やってます。好きなことはゲームで趣味はゲームで将来結婚したいのはゲームで」———おいオタク。お前は自己紹介でなにいってやがんだよ———「今発言してきた人は無視してください。ゲームの中の登場人物の声ですので」———おいお前、作者にむかってそんなこといってっと登場させないぞ?———「では、ここらで俺がオススメするゲームを紹介し」———・・・どいつもこいつもまじめな挨拶ができないと私が失望したのでここらへんで———『一言終了』
参照600突破したので昌子から一言もらおうと思ったけどもうなんか前のやつらがとてもめんどくさい反応をしていたのでこの企画はなかったことに———「ちょ、ちょっと作者さん!!私にもやらせてくださいよぉ!!」———えー・・・だってどうせふざけるんでしょ?———「ふ、ふざけないです!!だからお願いします!!」———まぁそこまでいうならやらせてあげないでもないけど———「そうですか?ならもうあなたには用はないのでとっとと帰・・・」———はいはい、強制終了します—————『一言終了』
参照700突破したのでサブキャラクターみたいな感じになっている佐々木さんから一言—————「う、うぇ?わ・・・わたしですか?」———うん、おねがいね———「う・・・うう・・・あ、あの・・・こ、この物語は・・・ええと・・・あの・・・そのぅ」———緊張しなくていいよ〜、一言いってくれればそれでいいから———「え、あ・・・はい。え・・・と、この作品は、んと・・・」———む、無理しなくてもいいよ?———「ふぇ・・・お、お役に立てなくて申し訳ありません」—————というわけで、一番まともな挨拶をしてくれようとした佐々木さんに盛大な拍手を!!『一言終了』
もうすぐ一話終了だっていうことで、ここでひとつ、主人公に一言もらおうと思います、どうでしょう?こんどこそやってもらえますね?—————「よ・・・よし、今度こそはいけそうだ。ちゃんとやってやる」———そうこなくっちゃな、主人公さんよ———「うーん・・・若干作者がうざいけどまぁしょうがねぇ・・・やってやらんこともないぜ」———いいから黙って始めなさいこのヘタレ主人公———「あーあー!!わかったよくそっ・・・えーと・・・なになに?」———プッ・・・セリフも覚えられてなかったのかよこの子———「うぐっ・・・う・・・うるせぇこの駄作者!!ちょっとだまっとけ!!」———といわれて黙る私だとお思いですかな?———「・・・もしかして、最初のやつ根に持ってんのか?」———・・・———「ぷっ・・・器のちっちぇやろうだなぁ」———・・・えーと、では、次回から主人公はこのヘタレ男ではなく雉田先生に———「え?まじ?よっしゃああぁぁ!!この髪の毛がワイルドなほどに生えている雉田信之助様にすべておまかせあれええぇぇぇ!?」———「先生はだまってろ・・・!!」———「なんだと?このワイルドなほどに髪の毛・・・もといワイルドなほどに髪の毛が生えているこの雉田信之助様にただのヘタレのお前が勝てるとでも?ハーッハッハッハ!!」———「・・・ハゲ、育毛剤、つるつる、カツラ、テカテカ、抜け落ちる髪の毛、ワイルドほどになにもなかツルツル頭」———「うわああぁぁ!!ヘタレ男がいじめるううぅぅ!!」———「きしょいんだよこのくそやろう!!くっつくんじゃねぇ!!」———
・・・と、いうわけで、一話終了まじかの一言でしたー、また次回〜———「「っておいなにかってに終わらせてんだこのくそ作者!!」」———そういうところだけはそろうんですね、そしてきしょくが悪いですね、先生———「うわあああぁぁん!!」———というわけで、まぁ・・・最後ぐらいはお前に閉めさせてやるよ、ほら、最後に挨拶ぐらいしときなさい———「ぐっ・・・まぁいい、ていうか一言とかなにもいってないような気がするけど・・・ま・・・いいか。んじゃ、Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜の一話を読んでくださりありがとうございました。引き続き、二話もこの駄作者が書いてくださるということなので、期待せず、むしろ作者を罵倒しながら待っていてください、んじゃ・・・というわけで」———一言終了。そして作者から一言
—————————まだエピローグが終わってないんだぜ——————————
最近かいてて思ったこと『別の小説に熱が入ってしまってなかなか進まない・・・』
山下愁様による、この作品の宣伝文です!!なんというかもう神ですね^^小説本編が宣伝文に劣っているという真実が———^^;
↓
————————
「僕は君を——守りたいんだ」
夕日が赤く染める空き地で、少年は少女に『力』を入れられた。
それは、彼女を守る為の能力——。
その日を境に、主人公・裕介の物語は始まった。
それから高校生になった裕介の日常は、至って普通だった。
幼なじみと登校し、
友達と馬鹿騒ぎを起こし、
普通に授業を受けると言うありふれた人生を送っていた。
人生の脇役を演じる裕介の前に現れたのは、
1人の転入生だった————。
そして、その転入生は、裕介が昔好きだったと言う女の子だった。
予測不能なファンタジー小説が、コメディライトにて活躍中!
裕介の未来はどうなってしまうのだろうか?!
Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜
「この世界に空気が存在するように、光が存在するように、太陽が存在するように月が存在するように、『これ』も存在するの」
————————
>>6 登場人物紹介&オリキャラ素材
第一話 サブタイトル【邂逅】
プロローグ>>0
一章、始まりを運ぶ者 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>7 >>8
二章、再会の意味を知る者 >>8 >>9 >>10 >>11 >>13 >>18 >>23 >>25 >>26
三章、紅蓮の契約者 >>29 >>32 >>33 >>34 >>39 >>43 >>44
四章、幽霊屋敷の能力者 >>47 >>48 >>49 >>52 >>53 >>54 >>55 >>57
五章、孤高の翼をもつ者 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>71 >>74
六章、孤独の愛する者 >>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>88
七章、結社最初の襲撃者 >>89 >>92 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>103 >>104 >>105 >>106 >>107 >>109 >>115 >>116 >>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126 >>127 >>132 >>172 >>176 >>177 >>180 >>182 >>183 >>184
エピローグ>>186 >>187 >>188
第二話 サブタイトル【解禁】
プロローグ>>199
参照800突破初企画始動 裕介、中学時代のバレンタイン >>133 >>134 >>135 >>136 >>137 >>138 >>140 >>147 >>148 >>149 >>155 >>158 >>162
>>165 >>166 >>167 企画END
魔法の詳細てきなもの>>142
秋原かざや様による小説紹介文>>185
作者自作イラスト(裕介) >>56 >>110 (エル) >>67 >>93 >>189 (リーナ) >>91 扉絵>>0
凡さまの神イラスト>>170
スペシャルサンクス(コメントをくれたお客様) >>67
では、そんなこんなで本編スタートです!!↓
プロローグ、涙とともに消える記憶
「この世界に空気が存在するように、光が存在するように、太陽が存在するように月が存在するように・・・『これ』も存在しているのよ」
なにもない。ただの空き地となってしまったこの場所で、一人の幼くも美しい、それでいて不気味な雰囲気をまとっている少女の声が響く。
夕日に照らされた少女の髪はオレンジ色に染まり・・・顔は、影にかくれて見えない。草が適当なサイズに切られているこの空き地には、もう一人の少年らしき人物がたっていた。
その少年らしき人物は少女の声に聞き入り、うんうんとうなずきながら、少女のほうをみつめている。その少年のほうは影になっておらず、六、七歳の男の子だということがわかる。とくにといった特徴の無い顔、少しだけ長い漆黒の髪、身長はその少女よりも少しだけ大きい。
少女は子供が無邪気に笑っているのとは程遠い、美しい笑みを浮かべながら、その少年のことを見ている。その少女の雰囲気には、まるで愛しい人をみているかのような空気がまとっているようにも思えた。
少年は早く続きが聞きたいのか、早く早く、と少女のことを急かす。少女はニッコリは笑った後、再び声をだす。
「『これ』は使える人には使える。たとえば、それが得意な人にとってはそれが簡単にできて、それが得意じゃない人はそれは簡単にできない。つまりそういうことなの。『これ』は、私のように使える人にとっては簡単に使えて、あなたのように、使えない人にはできないの。わかった?」
首をかしげながら少女は少年に聞く。少年はそんな少女の言葉にガッカリした雰囲気をだしていた。それを察した少女は、慌てて言葉をつけたした。
「あ、あ、でもね、あなたも使えるようになれる方法が一つだけあるよ」
それに少年は顔を上げる。その少女の顔を見ながら少年が感じたのは、疑問だけだった。まだ幼い少年の頭では、理解ができなかったのだ。
だが少女は、やはり愛しそうにその少年を見つめる。見つめながら顔をよせてきて、理解できていない少年の耳元でそっと・・・ささやく。
「そう・・・ひとつだけ。私の力をあなたに入れる。そうすれば、あなたは『これ』を使えるようになる」
「ほ、本当!?」
そのときはじめて少年は歓喜の声をあげた。だけど少女の言葉はまだ続いていて・・・
「でも・・・それをやったらあなたは、あなたの人生は・・・捻じ曲がる。私のような狂った化物しかいない、最悪の人生・・・違う、もう人生ともいえない道を進むことになる・・・それでも、いいの?」
さっきとは裏腹、少女の声には寂しさが宿っていた。それは自分に対する言葉でもあったかのように、少女は寂しそうに顔をゆがめる。
少年はそんな少女の顔を見るのが嫌いだった。少女とあって二ヶ月の間にこの表情を何度みたことだろうか、見るたびに、少年の頭の中にはひとつの言葉が浮かび上がる。————守りたい————と。
それは小さい子供の我が侭な感情なのかもしれない。でも少年は、自分のことなんかどうでもいいから、少女を守りたい・・・と、そう思うのだ。好きな人を———守りたいと、思うのだ。
だから少年は、すぐ近くにいる少女の腰に手を回し、思い切り抱き寄せてから、言うのだ。
「・・・僕は君を、———を守りたいんだ」
その言葉に少女は目を見開き、驚きの表情を見せる。今までに無かった反応に少年は笑いながら、もっと強く少女を抱き寄せる。その細くてしなやかな体を、抱き寄せる。
少女は少年の抱擁をうけいれながら、うれしさに笑顔を見せる。今までに自分に近づいてくる奴は大抵汚いやつばかりだった。『これ』を使おうと自分を利用したりする、汚いやつらだったり、この力を恐れた連中による、自分を殺そうとするものばかりだった。だけど、この少年からはそんな汚いものは見えない。あるのは、自分を守りたいという純粋な・・・気持ちだけ———
「じゃぁ・・・力をいれるよ?」
そう小さく少女が呟く。うれしさを押し殺したかのような声で、そうつぶやく少年はその少女の言葉に返す。
「どうやって?」
少女はやはり、愛しそうに少年の言葉を聞く。だけど、ちゃんと答えてあげないとだめだと思った少女は、少年の胸から少しだけはなれて、目をみて言う。
「簡単だよ〜。ただあなたの手にわたしの力を込めた手を重ねるの」
よくわからない、といった表情をみせた少年だが、一応少女から離れて、両手を前に突き出す。少女は少年の行動の速さに納得して、両手に力を込める。その瞬間、その小さく滑らかな手に黒い幾千の文字が生まれていく。その手を少年の手に重ねるようにして差し出した少女は、こう呟く。
「はい、これで私の力があなたのなかに入った。でも、最後の言葉を交わさないと、契約は完成しないの」
「契約?」
「そ、力を分け与えるための契約の儀式。その段階が今ので、言葉がこれから言わなければならないもの」
「えと・・・なにをいえばいいの?」
「ただ私のことを愛しているといえばいいの」
「え・・・」
「もしも愛していないもの同士が力を共有すると・・・その力は互いを拒絶して、暴走してしまうの・・・あ、あの・・・それで、あなたは私のこと、嫌い?」
「き、嫌いじゃ、ないよ」
「じゃぁ言ってよ、好きだって」
少年の顔が真っ赤に染まっていく。夕日に照らされている今でもわかるほどに、紅く染まっていく。それに少女は笑い、言葉を発する。
「私は、裕介のことが好きだよ」
おそらくその少女の顔は、真っ赤に染まっていたのだろう。わからないのは、影にかくれているからだ。
そして———、少年は言葉を発する。少女を愛しているといおうと、言葉を発しようとする。
そこで———————すべての物語は始まったのだ。ゆっくりと、着実に・・・鎖牙裕介の物語は、始まったのだ。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.131 )
- 日時: 2011/03/21 18:56
- 名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)
うへぇ・・・思ったよりも早く参照820に到達してしまった・・・まぁ、これにて回答時間はすぎてしまったわけですが————
>>同志(だまrww 野宮さま
ご回答ありがとうございます!!この私、うれしさで涙がとまらな(ry
ふ・・・ふふふ、実は私、続きが気になるようにあなたには魔法をかけ(だまrww)・・・というのはさておき、羽咲ちゃんの名前ですが・・・そういうしくみになっていたのですか^^なんとなくひっかかりのようなものは覚えていたんですけどなかなかわからなくて少し戸惑っていたのですが、言われて見ればすごくわかりやすく、いい名前だと思います^^;もう一つの小説のほうにもきてくださりありがとうございます!!
No315さま
ご回答、誠にありがとうございます。それに・・・こんな作品におもしろいといっていただけてもう私はうれしくて飛び跳ねて思ったよりも勢いが強すぎて天井に頭をぶつけてそのまま脳天かち割って病院にはこばれ(ry
ありがとうございましたあぁ!!
え〜、というわけで、両名ともバレンタイン企画とご回答なさりましたので、僭越ながらこのわたくし、裕介、中学時代のバレンタインを執筆したいと思います。・・・その間しばらく本編はかけなくなってしまう場合もありますが、・・・まぁ一応、今まで書いた分はちゃんと更新しますので・・・まぁ期待はしていないと思いますが^^;安心はしてください^^
コメント&回答、誠にありがとうございました!!
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.132 )
- 日時: 2011/03/21 19:02
- 名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)
「うん、そう、俺はエルに死んで欲しくない!!ただそれだけ伝えたかったんだ!!えー・・・と、だからそのぅ・・・」
「クス・・・」
「・・・クス?」
しどろもどろになって俺がおかしなことばかりをぬかしていると、エルが・・・目の前で、笑った。なんの余興もなく、エルは、顔を紅くしながら、笑った。ただその美しい顔で、表情という名前の欠片を取り戻したより一層美しい顔で、エルは笑ってくれた。
「クス・・・そうだよね。裕介は・・・昔から一回あきらめかけて・・・それでもすぐに立ち上がって・・・もう一度それをやるっていう性格なんだもんね・・・。それで・・・その立ち上がったときの裕介は、本当に無敵だった」
・・・たしかにそんな記憶もあるっちゃある。俺は昔エルに縄跳びを見てもらったことがある。そのとき俺は、二重飛びに挑戦して、失敗した。なかなかうまくいかないことに腹が立ってそれを投げ出したけど、その十分ぐらい後になにかをつかんだような気がして、もう一度挑戦すると、見事に成功した———というものだ。そのときと今は、ことの大きさが違えど、やっていることは・・・同じだ。
「私の目の前で喧嘩に負けたこともあったね・・・。そのときも裕介は、一度涙を流して、そのまま謝っちゃったよね。自分が悪かったです・・・って。だけど、その喧嘩していた相手が私に触れようとしたとき、裕介は立ち上がって、あっという間にその相手を叩きのめしちゃったよね?」
そんなことも・・・あったのかなぁ?あの時の俺は、エルのことを普通のか弱い女の子だち思っていたわけで、そのことをしっていたら間違いなく手をださなかったんだろうけど・・・まぁ、いいか。そんなことはどうでも。
「・・・そして今回も、裕介は相手の圧倒的な力を前に逃げて・・・だけど———【禁呪】を手に、戻ってきた」
「・・・は?」
「わかるよ・・・。さっき裕介が私におくりこんでくれた『力』が———」
「な———!?ちょっとまてエル!?【禁呪】?俺はそんなんもってないぞ?」
その言葉にエルは不思議そうな顔をする。首をかしげながら俺のことをみつめてくる。だが俺は少し混乱してしまっていたのでそれに気がつくことが出来ない。
それをみたエルは、なにかを納得したかのような顔になって、うれしそうな顔で俺のほおにふれる。・・・さっきの俺のまね・・・か?
「こんなにも早く裕介が【禁呪】を覚えるだなんて思っていなかったから伝えていなかったんだけど・・・【禁呪】はね、最初に発動したときはだいたい無我夢中って時がおおいから、本人にはそれが【禁呪】だとわからないことがあるの。裕介のそれはたぶんね、それだよ」
「・・・っておいおいうそだろ?てかまだ俺は魔術師になって二日だぞ?【禁呪】はおろか初歩の魔法だってろくに使えないんだぞ?」
それにまたエルが不思議そうな顔をする。不思議そうな顔をしながら、いう。
「初歩・・・?裕介の『イフリートティア』は最上位付加魔法だよ?それに、そこから派生した『イフリートブレイド』だって最上位形状固定化魔法だし・・・って裕介、もしかして気づいてなかったの?」
「・・・最上位って・・・まじですか?」
「あー・・・うん。私も裕介がその魔法を使っているのを見て、こんなに早く強い魔法を覚えるなんてってびっくりしたんだけど・・・、裕介は昔から才能あるからね〜って納得してたんだけど・・・本人が無自覚なんて、ねぇ?」
そういってエルは、さきほどの悲しそうな表情をどこへやら、悪戯っぽい表情で俺のことを見上げてくる。俺はうっ・・・とうなりながらも、反論をする。
「しょ・・・しょうがないだろ!?第一魔法は初歩と達人しかないと思ってたし・・・それにまさかそんなに早く強い魔法を覚えるなんて思わないだろ!?」
「ん〜・・・どうかな〜?ただ裕介が鈍いだけなんじゃないのぉ〜?」
「そ、それとこれとは別だろ!?」
「・・・でも、ま、そのことはどうでもいいからおいとくよ?」
「俺にとってはどうでもよくはないんだけどな・・・」
エルにたしなめられてから、俺はエルをたたせてやる。エルはそれに素直に従う。まずエルのことを抱きかかえて、お姫様抱っこの形をとってから、足を支えるほうの手をゆっくりとおろしていき、足を地面につかせてやる。そのままエルはバランスをとって立ち上がり、完全復活・・・ってか?
「裕介の【禁呪】の名前は・・・『アスカロン』。私の中に流れ込んできた魔力の名前・・・かな?たぶんね、『アスカロン』は私の【禁呪】、『ブリューナク』の子供みたいなものなんだと思う。だって・・・それが私の中に入ってきた瞬間、私の魔力が・・・暴走するんじゃないかってぐらいに膨れ上がったんだもん」
エルは、それをうれしそうに語る。魔力が枯渇しかけてきているエルにとって、俺のとった行動は正解だったようだ。俺の魔力はエルのものだ。ということはつまり、俺の今持っている中でもっとも強いと思われる今の魔法をエルに流し込めば、エルの力は強くなるのではないかと思ったのだ。・・・よしよし、ナイスな判断だったな、俺。
・・・っておいおい、そろそろこんなのんきに話している暇はなくなるぞ?
「なぁエル・・・その俺の【禁呪】とかの話はまぁまずおいといて・・・」
「・・・うん、大丈夫。裕介のおかげで・・・ずいぶん落ち着いたし、それに———もう魔力を大気から取り入れる必要も無くなったから」
そういってエルは、その細い右腕に青白い炎を浮かべる。・・・それに一瞬俺は、目を奪われてしまった。極限まで赤を殺し、青を主な色とするその炎は、よく見るガスバーナーの火だったり、ライターの火だったりと、その比ではない。ただ極端に、霞一つ無い、澄み渡る海の水のごとくに・・・綺麗だった。
それに見惚れていたせいで、俺は気がつかなかった。そのときエルは———俺と同じように、詠唱をしていなかったことに。
「・・・【封呪】。それは、その人本人が生まれながらにして持っている魔法・・・」
「って・・・おいおい、どんだけ魔法の種類があんだよ!?」
その言葉を聞いてハッと我に帰った俺は、咄嗟にそのことにつっこんでしまう。エルはそれにたいして困ったように笑うと、曖昧な答えをかえしてくる。
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.133 )
- 日時: 2011/03/22 14:20
- 名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)
あ〜・・・ここでひとつ、昔話をしたいと思う。
突然で悪いんだが・・・まぁ気楽に聞いて欲しいと思う。
まぁ、一年以上も前の話で、俺自身がうまく覚えていて、うまく伝えられるかどうかなんて分からないが、とりあえず、このことはいろいろな人にしっておいてもらいたいと思うから、話そうと思う。
それは、俺が中学時代の話で、たしか・・・バレンタインが間じかに迫る日のことだったかな・・・?最近の濃い出来事ばっかりでそれ自体忘れてしまいそうになるが、まぁ俺がエルと再会だの魔法だの以外に、一番心に残っていることだから、まぁ落ち着いて聞いてくれ。忘れているんならしゃべんなとかいわないでくれ。
んじゃ、とりあえず前置きはこのくらいにしておいて、いっときますか。
この俺、鎖牙裕介が———宮西第二中学校の二年生カップル伝説を無碍にして、唯一の女友達のために・・・尽力を尽くしたお話
裕介「エル、悪いけど今回はおとなしくしててな?」
エル「え〜・・・裕介の浮気話なんてききたくなーい」
裕介「・・・いや、別に浮気とかしてないからね?」
エル「うそだぁ、だって裕介あの根暗小娘と浮気・・・」
裕介「なぁエル?ちょっと怖いぞ?」
リーナ「まったく・・・こそこそなにかやっていると思えば、ボクの悪口を吐いていたのかい?まぁ所詮君のやることなんてその程度のことなんだし、目くじら立てるのも大人げないかな?」
エル「・・・胸もいっさいふくらんでなくて身長もちっちゃくてナイスバディとはつくづく思えない体して、なにが大人げないっていうの?」
リーナ「・・・ハッ、君だって胸はボクとたいしてかわらないじゃないか」
エル「・・・ウフフ、一回痛い目あわせてあげようかしら?根暗小娘」
リーナ「ボクも丁度君には痛い目見てもらおうと思っていたんだ、手加減無しでいくけど、いいのかい?」
エル「のぞむとこ———」
裕介「のぞまんでいい!!二人とも可愛いから、うん、そういうのはやめてくれ」
エル「えっ・・・」
リーナ「か・・・かわいい。ユーに可愛いって言ってもらえた・・・」
裕介「・・・ってああもう!!これ一応タイトル紹介なんだからな!?・・・てもういい。聞いちゃいねぇから・・・それじゃ、俺の中学時代のバレンタイン、楽しんでくださいね〜」
〜バレンタイン四日前〜
「・・・この季節は憂鬱だ」
長い漆黒の黒髪、ちょっと鋭いつりぎみの瞳、それに似合わない子供と大人がまじりあったような顔立ち・・・つまり、鎖牙裕介は今、そこらじゅうできこえる同じクラスの女子どもの、チョコ誰にあげる〜?だの、誰か好きな人いるの?だの本命?だのといった言葉を拒絶するかのように机に突っ伏して、ため息をついていた。
時期は二月。中学二年生である俺たちにとって、受験で大忙しな三年生や、修学旅行の準備で忙しい一年生とは違って、暇なのだ。だから、この学校、宮西第二中学校の二年生は、かならずこの季節に、この話題で大いに盛り上がる。商店街の噂だが、かならずこの季節に、宮西第二中の二年生の三分の一は付き合い始めるのだといわれている。・・・まぁ、顔も平凡、運動もそれといって得意ではなく、毎日をダラダラと脇役として過ごしている俺にとってはまったく縁の無い話で、それだからこそ、自分がのけ者になっているということで憂鬱な気分になってしまうのである。
「・・・お前の気持ちもわかるぜ、ゆう」
「・・・いってくれるか、歩」
そんな俺を、後ろの席にいた、中一のころから中のよい友人、宮川歩が話しかけてくる。歩は身長が高く、バスケ部に所属していて、さらに顔も人並みで、ちょっとはモテルタイプなのだけれども、同学年で、さらに歩よりも背が高くて、顔も絵に描いたようにカッコイイいけ好かないやろうがいるせいで、まったくもてないだ。バスケ部=そいつ・・・のような空気になってしまっているから、それはまぁ・・・もうドンマイとしか言いようが無い。
「まったくなぁ・・・女子どもはなんでこんなイベントできゃいきゃいいえるんだ・・・?」
俺が顔をあげて後ろをふりかえってみると、歩は当然のように死人のような顔で机に頭をつけていた。この時期、もてない男子にとってはつらくてつらくてしょうがない・・・。まぁ俺はまた別の理由でつらいのだが、今は歩に言うべきでは無いだろう。
「・・・ちょっとは俺たちの気持ちにもなってもらいたいよなぁ」
俺は歩に同調するようにそういってやると、歩は泣きそうな顔で俺のことをみつめてきて、
「おぉ・・・わかってるじゃねぇか・・・心の友よ・・・!!」
「・・・ま、今まで幼馴染と母親と妹以外からチョコをもらったことなんてないからなぁ・・・俺は」
「だよなぁ・・・やっぱ身内とかそのへんからしかもらえないよなぁ。でもお前はいいよなぁ、昌子さんからチョコもらえるんだし、しかも麗帆ちゃんも可愛いし・・・かぁー!!やっぱお前は敵だ!!生まれながらにしてなんて運のいいやろうだちくしょう!!」
歩が腕を頭の後ろにやり、体を仰け反らせて絶叫する。だがそれは昼休みの教室の喧騒の中に掻き消えて、とくに目立ちはしなかった。だけど俺はそのことよりも、昌子さんからチョコをもらえる・・・という言葉に少しだけ反応してしまっていた。
「・・・昌子はどうせ・・・あいつにしかチョコは渡さないだろうよ、今年は」
そう自嘲ぎみにつぶやく。それは歩には当然きこえていない。
「あ〜あ〜・・・なぁゆう!!昌子さんに義理チョコでいいからくれないかってお願いしてくれよ!!」
そして、そんななさけないことを吐く。もてない男子、義理チョコでももらえればうれしいってか?それにしてもお前・・・昌子にあれだ、彼氏がいることを知らないからそんなことをいえるんだろうけど・・・実際俺、あいつのことを最近はさけているから、しゃべりかけたくも無いし顔もできればあまりみたくないと思っている。だから・・・そのお願いは、いくら友といえども聞いてやれないな。
だけど、俺は適当に笑顔を取り繕ってから、自分の評価を下げないために、脇役として・・・バスケという自分の舞台で活躍する、未来のある主人公である歩に嫌われないように・・・
「やれるだけはやってみるさ」
その返事に、歩は、うれしそうに顔をほころばせて、俺の肩をおもいきりバンバンと叩いてきた。
「おお!!流石ゆうだぜ!!おれぁ・・・お前と友になれてはじめてうれしいって感じたぜ・・・」
「・・・お前ずいぶんと失礼な言いかたしてくれんじゃねぇか」
俺はお前に、兄から見ても美少女としかいいようのない妹を紹介してやったり、その妹と一緒に遊んでもらったりもしてもらったぞ。なのになにが初めてだこんにゃろう。
「まぁまぁそう怖い顔しなさんなって。それにしても・・・はああぁ・・・昌子さんからのチョコ・・・楽しみだなぁ」
ちなみに、昌子は俺と別の中学校に通っているために、他の男子からは、昌子って誰だ?っていうふうな感じの視線がおくられてきている。
ていうか・・・本当にこいつは昌子のことが好きなんだな。聞けば、こいつは俺たちと同じ小学校に通っていたのだという。その間に一度、昌子と同じクラスになり、一目ぼれしたのだという。その初恋はまだ終わってはいないのだが・・・、ひそかに、その恋は幕を閉ざされてしまっている。本人にも伝えた方がいいのかもしれないが、俺はそこまでできた男ではない。友を悲しませずに、事実を伝えることなんて、できない。だから俺は友の顔色をうかがうばかりで・・・
「なぁ・・・歩、麗帆にも頼んどいてやろうか?歩がチョコほしいっていってたってな」
「ま・・・まじでか!?おまえってやつぁ・・・」
ついに、歩は感動の涙を流しながら俺の肩をつかんでくる。実際、麗帆は一度授業参観の日にやってきて、色々な生徒に見られている。そのことを知っている男子からはお前らだけずるいぞといわんばかりの視線が送られてきていた。・・・お前らにはあげないぞ?もちろん。
「・・・といっても、俺たちは頼まないともらえないほどもてないんだけどな」
「・・・それを言われるとどう反応していいかわからないっていうかすっげぇ悲しい気分になってくるからいわないでくれよ」
そういって、二人してまたずーん・・・と悲しい表情になって顔をふせる。その二人の間に、一つ、近づく影があった。
「な〜にやってんのよあんたら、しけた顔して、もしかして、自分たちがもてないからっていう理由で反省会でもしてんの?」
からかい気味の口調でそういってきた、女子生徒の声。俺はその声の主に暗い表情の顔をむける。すると、うっ・・・とその女子はうなる、が、すぐに笑顔になって俺たちの肩に両夫をポンポンとおいてくる。
・・・彼女の名前は、倉橋愛。愛と書いてまなと読む少し変わった名前の持ち主だ。いろいろな女子生徒からはからかいの念と愛しさの念がまじりあって、あいと呼ばれている。
・・・この倉橋愛というやつは、俺が中学に入って、唯一会話がうまくいって、仲良くなった女子なのだ。
髪は茶色のサイドポニーが特徴だ。その髪の毛を結っている部分はハート型のピンどめという可愛らしいものだ。瞳は大きくクリクリのどんぐり眼、鼻はちっちゃくて愛らしい。口元はちょっと猫をおもわせるかのような感じが特徴だ。顔は小さく、身長も小さい。ということから、胸も必然的に小さいという事実が———
「む?裕介、あんたちょっと今、変なこと考えたでしょ?」
「いや?全然?」
俺は、脇役として、主人公に媚び諂うことによってだんだんうまくなってきたポーカーフェイスでその場を誤魔化す。愛はまだ納得いかない、といったふうな顔をしているけど、まぁいいか、といったふうなため息をついた。
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.134 )
- 日時: 2011/03/22 19:04
- 名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)
「ふ〜ん・・・まぁいいや、それで?なんで二人して暗い顔してたの?」
「・・・お察しの通りで」
「アハハ!!自分達がもてないことの反省会してたんだぁ!」
「バッカ!!大声でいうんじゃねぇよ!!」
歩と愛が、大声でなんとも恥ずかしい会話を繰り広げている。俺は、この二人のように馬鹿なやつだとかかわいそうな奴だとかおもわれないように、そそくさと席を立ち上がりこの場から逃げ———
「おぉっと・・・ゆう、お前、自分は馬鹿じゃないからこいつらと一緒に思われないようにこの場から退散しよう・・・って思ってんじゃねぇだろうな?」
「・・・お前は超能力者ですか?」
俺が立ち上がったのを見るや歩は俺の肩がガシッとつかんでくる。それに俺はうっとおしげな目で見る。実際、俺も頭の出来はよくないとはいえ、そんな恥ずかしいことを馬鹿正直に大きな声でしゃべるほど馬鹿ではない。だからはなしてくれ、俺はお前らと一緒にされたくない・・・自分がモテないことをバレンタイン直前に嘆いて反省会まで開いていたということを公表するような馬鹿と一緒にされたくない!!
「なぁゆう・・・俺とお前は、一年のときからモテないものどうし、仲良くやってきたよな?」
「ああ、残念ながらその通りだな」
「そしてよ・・・今年もそのモテないものどうしで一緒に嘆いていたんだよな?」
「本当に残念だが、そうだな」
「それで・・・なにが不満だっていうんだ?」
「・・・いやねぇ、自分がモテないことを大声で主張するような奴は俺の友達にいなかったなぁと思って———」
「かああぁぁ!!お前はどこまですかしてやがんだちくしょう!!」
「いやおかしいからその反応!?」
なぜか俺に頭突きをきめてこようとする歩を無理矢理引き剥がして、俺は歩の腹に軽くパンチを入れてやる。歩はそれにわざとらしくグフッとかいって倒れかけ・・・
「まだだ・・・まだ終わらんぞ」
と、血とかよだれとかでていないくせに口をジャージの袖でぬぐい、ヨロヨロと俺の真正面に立つ。それに俺は———
「・・・いつから格闘漫画が始まったんだ?」
と、冷静なつっこみをいれてみる。それに歩はそれもそうだな、と落ち着いた声でいい、席にゆっくりと着席した。
そんなやり取りをみていた愛は、笑いをこらえるのに必死なのか、両手を口元にもっていき、おさえている。目じりには涙がうかんでいて、今にでも笑いそうだ。さっきのやり取りのどこがおもしろいのかしらないが、愛の笑いの沸点はおそろしく低いことで有名だ。今は黙っておくのがいいだろう。
「ハァ・・・」
俺はそっとため息をついて、自分の席に着席する。結局、逃げようが逃げまいが、このような奇妙なやり取りをしているせいで俺も同類だと思われていることは間違いないので、自分のやっていた行動が今更なような気がしてきたからだ。
だいたい一分ぐらいたって、やっと愛が落ち着いてきた。愛は俺の机の横にたっていて、その様子がなんとなくわかる。ていうか、俺たちの会話にはいるなら普通、俺と歩の間ぐらいに立っていたほうがいいんじゃないか?とも思ったが、それを口にだすのは野暮ってもんだ。
「あー・・・やっぱりあんたらっておもしろいよね!!とくに裕介!!」
・・・なんという屈辱。俺が歩よりおもしろい=歩より馬鹿ってこと・・・か?いくら愛とはいえども、その言葉だけは聞き捨てなら無いな?
「いやいや、俺より絶対歩のほうがおもしろいって、主に顔が」
「なっ!?顔はお前より俺のほうがかっこいいだろ!!」
「とかいっているところがとくにおもしろ・・・」
「おもしろくねぇぇぇ!!」
突然俺に暴言をはかれた歩は笑いをふくんでいる怒りの言葉をはく。そのやりとりに、今度こそ愛は笑いをこらえきれず、声をあげて笑う。
無邪気に笑う名前どおり愛らしい愛の笑顔、俺は、その愛の笑顔を見るのが好きだった。それは、異性にもつ恋愛感情や、異性に抱く不純な動機からではない。ただ一人の友達として、愛の笑顔を見るのが俺は、好きだった。
それは歩も同じだったのだろう。歩も愛が笑いだした瞬間に大声をだすのをやめて、癒されたように愛の笑顔に見入っている。そのすこしだらけているような表情に・・・おそらく、俺もなっていることだろう。
・・・バレンタインか、そういえば愛は、誰にあげるんだろうな?ふとそんなことを思う。少し前までは自分達がモテないことに悩んでいたというのに、愛がきた瞬間、そんなことはどうでもよくなってきていた。彼女には、そんな魅力がある。彼女が笑うだけで、自分の中にあった不幸な気持ちが、うっすらと和らいでいき、癒されていく。
そんな魅力をもつ、どうみても外見が小学生にしか見えない愛は、一体今年は、誰にチョコをあげるのだろうか?去年は・・・俺たちに義理チョコをくれるつもりらしかったのだが、自分で食べてしまったという可愛らしい失敗をしてしまっている。今年は、やはり俺たちに義理チョコをくれるのだろうか?それとも・・・自分で食べてしまうのか?・・・そして、あまり考えたくは無いことなのだが・・・手作りの心のこもったチョコレートを・・・主に本命といわれるチョコを・・・どこぞの馬の骨ともしれない男にわたす・・・のか?
それを考えた瞬間、俺の中におそろしいほどの寒気が走る。今の季節、寒さは絶頂をむかえている。だが、この感覚は・・・そのかぎりではない。体が凍てつくのではない。心が・・・体の中にあるものが、凍てつくような・・・そんな感覚だった。
「・・・?ゆう、どうした?」
歩が、その俺の様子に気がついて声をかけてくる。だけど、俺はそれに反応することさえできない。・・・かつて味わったこの、自分の中にある心が凍てつくような感覚に惑わされ・・・あることを、思い出していたから。
・・・それは一年ぐらい前だったか。俺が、主人公から、脇役に堕ちた日。空手を失って、次になにをしようとも思えず、毎日精のこもらない日々を過ごしていたあるとき・・・俺が子供の心で、ひそかに恋心を抱いていた幼馴染が・・・彼氏をつれてきて、俺に紹介してきたのだ。そのとき、俺は今と同じような感覚を味わった。自分の人生に絶対不可欠だと思っていた空手を失い、さらに、ちょっと好きになりかけていた幼馴染を失った。そのとき俺は・・・自分が、本当に脇役なんだなぁ・・・と実感した。
その後俺は、空虚な、心のこもらない笑顔をみせて、昌子を絶賛した。その年で彼氏ができるなんてすごいなって。その彼氏のほうにも、昌子と仲良くやってくれよ、とかいっていたような気がする。そして・・・俺はそんな自分が、当たり前に思った。
・・・もしかしたら、そのときと今は、同じなのかもしれない。友達として好きな愛のことを俺は・・・ちょっとずつ、好きになっていっているのかもしれない。一人の異性として・・・。
「おーい・・・ゆう、お前顔色悪いぞ?どうしたんだ?突然風でもひいたのか?」
「だ・・・大丈夫だ、気にしないでくれ」
俺は得意のポーカーフェイスで歩に向き直る。その歩は、本気で俺のことを心配しているようで、手をこちらのでこにもってこようとしている。そんなやさしい友を見て・・・俺は思う。
———もし歩と愛がくっついたら、俺はまた・・・昌子の時と同じように、避けるのか?こんなにもやさしい友のことを・・・裏切るのか?———
ブンブンッと俺は頭をふる。頭をふって、さきほどの考えを切り捨てる。ハッ・・・そんなのくだらない。俺は脇役だ。こいつらは主人公だ。ゲームや小説、アニメとかで主人公とヒロインがくっつくのは当然のこと。そこに脇役がはいるのはありえない。だから俺は脇役に徹して入ればいい。自分はただ、主人公達に媚び諂っていればいいんだ。
「うっわつめてぇ!!おい愛!!ちょっと俺先生呼んで来るからこいつのことみといてくれ」
「ふぇ?わ、わかった!!」
ひぃひぃとまだ笑い続けていた愛は、歩の声で我に返って俺のことを見る。そしておもむろに俺のでこに手をのばして、触れる。そのままびっくりしたような顔になり、突然泣きそうな顔になった。
歩がガタンッと椅子がひっくりかえるのをかまわずに走り出す。自分の利益はなにもないというのに、走り出す。それを見て、やっぱ俺みたいな脇役とは違うねぇ、と自嘲気味に呟く。その間も愛は、あたふたとしていて、どうしようどうしようと泣きそうな顔のままオロオロする。
「おーい・・・愛、俺は大丈夫だから落ち着けって」
そのとき、俺は大分おちついてきていた。自分の中で、ちゃんと整理をつけたから、もう大丈夫だった。もしも、愛が本命のチョコを誰かにあげるとして・・・俺はただそれを、応援すればいいだけだ。友として・・・。
「で、でも裕介、すっごく冷たいよ?氷よりも冷たいよ?」
俺が落ち着けといっても、愛はまだオロオロしている。そして再び俺のでこに手をのばし、また泣きそうな顔をする。・・・こいつ、俺が死んだとでも思ってんじゃないのか?
そんなことを俺が思っていると、突然愛はなにかをひらめいたかのように、泣きそうな顔でポンッと両手を合わせる。そして突然————座っている俺の上に、抱きつくようにすわってきた。つまり、俺の正面に、愛の小さい顔がきていて、互いの息が交差して———
「っておい!?おま、なにやってんの!?」
「か・・・体をあ、温めるときは、人肌が一番っていうし・・・」
「それとこれとは別だろ!?ていうか近い!!近いから!!」
ジャージごしでも伝わる愛のやわらかい肢体。そのことを意識するだけで俺の頭のなかが沸騰しそうなほどに煮えたぎる。思春期真っ盛りの男子にとって、ここまでの女子との密着は・・・やばい、危険だ。
俺は最強の武器であるポーカーフェイスで愛のことを意識しないようにする。愛のことを人形だと思うことにする。
「ど・・・どう?温まってきた?」
心なしか、すごく恥ずかしがっているような愛の声で、ハッと我に返らせられた。愛の顔はもう、これでもかといわんばかりに赤くなっていて、おそらく俺も同じようになっていることだろう。
「あ、あったまったあったまった!!だからもう離れてくれ!!」
そう俺がいうと、再び愛は俺のでこに手をのばす。だけどやっぱり不安そうな顔で、いう。
「まだ冷たいよ・・・裕介、もう助からないの?」
邪気のこもらない、本当の心配している声で愛はそういう。だけど俺はそんなことを考えられなくなっていた。辺りからきこえる野次のせいでさらに恥ずかしくなり、もう・・・意識が———
「ゆ、裕介!!しっかりしてよぅ・・・」
あ、やばい、大分ブラックアウトしてきている。もうだめだこりゃ、意識失うわ。
そう思ったとき・・・愛が、俺の体を強く、抱きしめてきた。そして・・・最後になにかつぶやいていたが・・・俺はそれを聞くことなく、そのまま気絶した。
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【初企画始動】 ( No.135 )
- 日時: 2011/03/23 10:16
- 名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)
〜バレンタイン三日前〜
気分が重かった。
あのまま俺は、気絶して、その後に来た体育の筋肉ムキムキの中下先生が俺のことを保健室にかついでいき、俺はそのまま眠り続け、親父がむかえにきて、そのまま再び中下登場で車にかつぎ入れられ、後は親父の馬鹿力で俺の部屋まで移動させられて、そのままぐっすりと眠ってはい次の日・・・と。なんというか、一日を無駄にした気分だ。
・・・愛のあの、必死に俺のことを温めてあげようとする気持ちはとてもうれしいのだが、無邪気すぎるというのもあれだ、だめだ。第一あいつは俺のことを異性と思っていないのかもしれないけど、俺は思春期男子だ。いくら幼い容姿の愛だって、一人の異性として感じる。
それが・・・好きがどうかに結びつくのはあれとして、やはり女の子と密着するのは死ぬほど恥ずかしいわけで、さらにほかのやつらから、野次を飛ばされるとそれまた死ぬほど恥ずかしいわけで・・・ってああもう、今更こんなこと考えてももうおせぇ。とっとと学校にいく準備しないとな。
俺はベッドからおきあがり、ジャージのまま寝ていた自分の姿を見下ろす。それで、昨日風呂はいってねぇなぁとか思いつつも、時計を見る。時計はもう八時をしめしていて、今から風呂にはいっているようではもう完全に遅刻は確定だった。だから俺は風呂にはいることをあきらめ、若干油ギッシュな顔のまま制服にきがえて、中になにも入っていない軽いカバンをもちあげる。そのまま電気のついていない部屋をあとにして、階段をおりる。その間に、妹が、
「お兄ちゃん大丈夫なの?」
と心配して声をかけてくる。それに俺は
「心配するほどじゃないさ」
という。妹はふ〜ん、といって、部屋に戻っていく。・・・あいつ、学校は大丈夫なのか?絶対今の時間家にいたら間に合わないぞ・・・ってああ、そういえば母さんがこいつのことを溺愛してるからいっつも車で登校してんだった。
俺はそのまま一階におりていき、トイレと洗面所がつながっているところに顔を洗いにいき、そのまま水で顔をあらう。二月の冷たい水が俺の顔全体にいきわたり、眠い気持ちと、昨日の失態と、恥ずかしさを洗い流してくれる。よし、今日も俺は立派に脇役をつとめさせてもらおうか。
顔をタオルでふき、そのまま朝食もとらずに家を後にする。
さぁて・・・今日も憂鬱な一日が始まるぜ
「・・・やっぱ憂鬱だぜ」
時はすぎる。朝登校し、いろいろなやつからいろいろいわれたりした後、俺はつまらない授業にのぞみ、給食制度が小学校と変わらないので給食をくい、今昼休みも再び俺は机に突っ伏してあたりに聞こえるチョコだのなんだのという会話を聞かないようにしている。だけども、そんな努力はむなしく、あたりの声はそんな俺に苦痛を与えるかのようにして聞こえてくる。・・・ああうざい。
「やっぱお前は俺の気持ちをわかってくれるか・・・ゆう」
「昨日もなんとなく同じような会話をしたような気がするんだけどなぁ・・・」
俺が憂鬱だ、とつぶやいたのが耳にはいっていたのか、歩が後ろの席でそんなことを俺にいってくる。後ろに振り返らずとも、歩は俺と同じような格好をしていると思うし、見る必要も無い。
「・・・まったく、つまらないことに現をぬかしてないで来年のための勉強でもしてろっつーんだよ」
「いや、お前がいえることじゃないだろ」
歩がなんとなくもっともらしいことをいったかと思えば、こいつは成績が下の上っていったレベルで、けして頭がいいとはいえない。そんなやつの口から勉強しろだのとは・・・世の中はどんどん腐っていっているような気がする。
「・・・ゆうもそこまで頭はよくねぇだろうが」
「・・・ごもっともで」
かくいう俺も勉強は・・・自分で言うなら中の下だ。できるほうではけしてない。たしかにこいつとつるんでいる時点でちょっと残念な方向に頭が言ってしまっているのだとしても、やはり日ごろの勉強を怠っているせいでこのような結果になっている。
「ってあー・・・バレンタイン直前になんで俺たちは自分達の頭の悪さを確認しあってるんだ?」
「お前が馬鹿だからだろ?」
なぜか突然正気・・・?にもどって歩がそんなことをいうので思わずそうつっこんでしまった。その答えに歩はニカッと笑い、
「お前もな?」
といってくる。それに俺はニヤリと笑って、顔を上げる。上げたあと歩むのほうにふりかえると、歩もこちらをみていて、やはり俺と同じように唇を吊り上げて、なんともいえない憎たらしい顔をしていた。
「まぁまぁ馬鹿ども、落ち着きなさいって」
今にでも一発触発のムードになっていた俺たちに割って入ってくる声があった。その声は・・・幼い、なんともいえないほど幼い女の子の声で、そんなロリボイスをもつやつはこの学校中探しても一人しかいないわけで———
「・・・またお前か」
と、歩は呟く。・・・そうなんだよなぁ、愛はよく、俺たちが一発触発ムードになっていると割って入ってくるのだ。そのことから愛は、喧嘩キラーとまだ俺たちに言われている。それも勝手に。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40
この掲示板は過去ログ化されています。