コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 二話解禁
日時: 2011/09/01 02:20
名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
参照: http://loda.jp/kakiko/?id=758.jpg

初めての投稿です!!そして初めての小説です。まだ途中ですががんばって書いていきたいと思います!!内容の細々とした設定は後々追加していく予定ですのでどうかよろしくおねがいします!!そして、初めて書くので全然下手で文章力もないですが、荒しとか、下手だからやめとけとか言わないでください。そう思うならとっとと帰っちまえ!!とおもう所存ですゆえ・・・。^^;
タイトル変更のお知らせ 【紅蓮の契約者】からErret Crimson〜紅蓮の契約者〜になりました^^;オリキャラ募集は引き続き行っています^^;おねがいします〜

参照200突破したので主人公から一言—————「え?は?おまえなにいっちゃってんの?そういうのは作者がするもんだろ?」———いいからいいから———「いいからじゃねーよ!恥ずかしいだろ!?」———いいからやれよ馬鹿!!———「逆切れされた!?」———・・・いつまでもこのヘタレが私に逆らってくるので今回はこの辺で———『一言終了』

参照300突破したのでヒロインから一言—————「こんにちは、エルシャロン・ユアハーツです♪この度は私と裕介のイチャイチャラブストーリーを読んでくださり」———ちょ、エルさん?違う、違うからね?———「・・・はぁ?人間風情が気軽に私の名前を呼ぶんじゃないわよ」———おーい・・・本性でちゃってますよ〜———「ていうかそもそもこれを裕介が見るわけじゃないんだし、一言とか必要ないじゃない」———・・・あー、エルさんが帰っちゃったので今回はこの辺で———『一言終了』

参照400突破したので先生から一言—————「こんにちは(キラッ)髪の毛がワイルドなほどに生えている雉田信之助デスッ(キラッ)」———うそはよくないと思います、先生———「う、うそじゃないもん!!ほんとだもん!!」———きもいんでやめてもらえますか?———「フン・・・キサマはどうやらこの私を怒らせてしまったようだな・・・喰らえ!!ハゲビーム!!」———えー、この先生相手にするのがめんどくさいので———『一言終了』

参照500突破したので西野から一言—————「始めてまして、西野です。鎖牙裕介の友達やってます。好きなことはゲームで趣味はゲームで将来結婚したいのはゲームで」———おいオタク。お前は自己紹介でなにいってやがんだよ———「今発言してきた人は無視してください。ゲームの中の登場人物の声ですので」———おいお前、作者にむかってそんなこといってっと登場させないぞ?———「では、ここらで俺がオススメするゲームを紹介し」———・・・どいつもこいつもまじめな挨拶ができないと私が失望したのでここらへんで———『一言終了』

参照600突破したので昌子から一言もらおうと思ったけどもうなんか前のやつらがとてもめんどくさい反応をしていたのでこの企画はなかったことに———「ちょ、ちょっと作者さん!!私にもやらせてくださいよぉ!!」———えー・・・だってどうせふざけるんでしょ?———「ふ、ふざけないです!!だからお願いします!!」———まぁそこまでいうならやらせてあげないでもないけど———「そうですか?ならもうあなたには用はないのでとっとと帰・・・」———はいはい、強制終了します—————『一言終了』

参照700突破したのでサブキャラクターみたいな感じになっている佐々木さんから一言—————「う、うぇ?わ・・・わたしですか?」———うん、おねがいね———「う・・・うう・・・あ、あの・・・こ、この物語は・・・ええと・・・あの・・・そのぅ」———緊張しなくていいよ〜、一言いってくれればそれでいいから———「え、あ・・・はい。え・・・と、この作品は、んと・・・」———む、無理しなくてもいいよ?———「ふぇ・・・お、お役に立てなくて申し訳ありません」—————というわけで、一番まともな挨拶をしてくれようとした佐々木さんに盛大な拍手を!!『一言終了』

もうすぐ一話終了だっていうことで、ここでひとつ、主人公に一言もらおうと思います、どうでしょう?こんどこそやってもらえますね?—————「よ・・・よし、今度こそはいけそうだ。ちゃんとやってやる」———そうこなくっちゃな、主人公さんよ———「うーん・・・若干作者がうざいけどまぁしょうがねぇ・・・やってやらんこともないぜ」———いいから黙って始めなさいこのヘタレ主人公———「あーあー!!わかったよくそっ・・・えーと・・・なになに?」———プッ・・・セリフも覚えられてなかったのかよこの子———「うぐっ・・・う・・・うるせぇこの駄作者!!ちょっとだまっとけ!!」———といわれて黙る私だとお思いですかな?———「・・・もしかして、最初のやつ根に持ってんのか?」———・・・———「ぷっ・・・器のちっちぇやろうだなぁ」———・・・えーと、では、次回から主人公はこのヘタレ男ではなく雉田先生に———「え?まじ?よっしゃああぁぁ!!この髪の毛がワイルドなほどに生えている雉田信之助様にすべておまかせあれええぇぇぇ!?」———「先生はだまってろ・・・!!」———「なんだと?このワイルドなほどに髪の毛・・・もといワイルドなほどに髪の毛が生えているこの雉田信之助様にただのヘタレのお前が勝てるとでも?ハーッハッハッハ!!」———「・・・ハゲ、育毛剤、つるつる、カツラ、テカテカ、抜け落ちる髪の毛、ワイルドほどになにもなかツルツル頭」———「うわああぁぁ!!ヘタレ男がいじめるううぅぅ!!」———「きしょいんだよこのくそやろう!!くっつくんじゃねぇ!!」———
・・・と、いうわけで、一話終了まじかの一言でしたー、また次回〜———「「っておいなにかってに終わらせてんだこのくそ作者!!」」———そういうところだけはそろうんですね、そしてきしょくが悪いですね、先生———「うわあああぁぁん!!」———というわけで、まぁ・・・最後ぐらいはお前に閉めさせてやるよ、ほら、最後に挨拶ぐらいしときなさい———「ぐっ・・・まぁいい、ていうか一言とかなにもいってないような気がするけど・・・ま・・・いいか。んじゃ、Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜の一話を読んでくださりありがとうございました。引き続き、二話もこの駄作者が書いてくださるということなので、期待せず、むしろ作者を罵倒しながら待っていてください、んじゃ・・・というわけで」———一言終了。そして作者から一言
—————————まだエピローグが終わってないんだぜ——————————


最近かいてて思ったこと『別の小説に熱が入ってしまってなかなか進まない・・・』

山下愁様による、この作品の宣伝文です!!なんというかもう神ですね^^小説本編が宣伝文に劣っているという真実が———^^;


————————

「僕は君を——守りたいんだ」


夕日が赤く染める空き地で、少年は少女に『力』を入れられた。
それは、彼女を守る為の能力——。

その日を境に、主人公・裕介の物語は始まった。


それから高校生になった裕介の日常は、至って普通だった。
幼なじみと登校し、
友達と馬鹿騒ぎを起こし、
普通に授業を受けると言うありふれた人生を送っていた。

人生の脇役を演じる裕介の前に現れたのは、


1人の転入生だった————。


そして、その転入生は、裕介が昔好きだったと言う女の子だった。


予測不能なファンタジー小説が、コメディライトにて活躍中!

裕介の未来はどうなってしまうのだろうか?!


    Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜


「この世界に空気が存在するように、光が存在するように、太陽が存在するように月が存在するように、『これ』も存在するの」

————————




>>6 登場人物紹介&オリキャラ素材

第一話 サブタイトル【邂逅】
プロローグ>>0
一章、始まりを運ぶ者 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>7 >>8
二章、再会の意味を知る者 >>8 >>9 >>10 >>11 >>13 >>18 >>23 >>25 >>26
三章、紅蓮の契約者 >>29 >>32 >>33 >>34 >>39 >>43 >>44
四章、幽霊屋敷の能力者 >>47 >>48 >>49 >>52 >>53 >>54 >>55 >>57
五章、孤高の翼をもつ者 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>71 >>74
六章、孤独の愛する者 >>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>88
七章、結社最初の襲撃者 >>89 >>92 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>103 >>104 >>105 >>106 >>107 >>109 >>115 >>116 >>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126 >>127 >>132 >>172 >>176 >>177 >>180 >>182 >>183 >>184
エピローグ>>186 >>187 >>188



第二話  サブタイトル【解禁】
プロローグ>>199



参照800突破初企画始動 裕介、中学時代のバレンタイン >>133 >>134 >>135 >>136 >>137 >>138 >>140 >>147 >>148 >>149 >>155 >>158 >>162
>>165 >>166 >>167 企画END

魔法の詳細てきなもの>>142
秋原かざや様による小説紹介文>>185

作者自作イラスト(裕介) >>56 >>110 (エル) >>67 >>93 >>189 (リーナ) >>91   扉絵>>0
凡さまの神イラスト>>170

スペシャルサンクス(コメントをくれたお客様) >>67

では、そんなこんなで本編スタートです!!↓ 

 

   プロローグ、涙とともに消える記憶

「この世界に空気が存在するように、光が存在するように、太陽が存在するように月が存在するように・・・『これ』も存在しているのよ」

なにもない。ただの空き地となってしまったこの場所で、一人の幼くも美しい、それでいて不気味な雰囲気をまとっている少女の声が響く。

夕日に照らされた少女の髪はオレンジ色に染まり・・・顔は、影にかくれて見えない。草が適当なサイズに切られているこの空き地には、もう一人の少年らしき人物がたっていた。
その少年らしき人物は少女の声に聞き入り、うんうんとうなずきながら、少女のほうをみつめている。その少年のほうは影になっておらず、六、七歳の男の子だということがわかる。とくにといった特徴の無い顔、少しだけ長い漆黒の髪、身長はその少女よりも少しだけ大きい。

少女は子供が無邪気に笑っているのとは程遠い、美しい笑みを浮かべながら、その少年のことを見ている。その少女の雰囲気には、まるで愛しい人をみているかのような空気がまとっているようにも思えた。

少年は早く続きが聞きたいのか、早く早く、と少女のことを急かす。少女はニッコリは笑った後、再び声をだす。

「『これ』は使える人には使える。たとえば、それが得意な人にとってはそれが簡単にできて、それが得意じゃない人はそれは簡単にできない。つまりそういうことなの。『これ』は、私のように使える人にとっては簡単に使えて、あなたのように、使えない人にはできないの。わかった?」

首をかしげながら少女は少年に聞く。少年はそんな少女の言葉にガッカリした雰囲気をだしていた。それを察した少女は、慌てて言葉をつけたした。

「あ、あ、でもね、あなたも使えるようになれる方法が一つだけあるよ」

それに少年は顔を上げる。その少女の顔を見ながら少年が感じたのは、疑問だけだった。まだ幼い少年の頭では、理解ができなかったのだ。
だが少女は、やはり愛しそうにその少年を見つめる。見つめながら顔をよせてきて、理解できていない少年の耳元でそっと・・・ささやく。

「そう・・・ひとつだけ。私の力をあなたに入れる。そうすれば、あなたは『これ』を使えるようになる」

「ほ、本当!?」

そのときはじめて少年は歓喜の声をあげた。だけど少女の言葉はまだ続いていて・・・

「でも・・・それをやったらあなたは、あなたの人生は・・・捻じ曲がる。私のような狂った化物しかいない、最悪の人生・・・違う、もう人生ともいえない道を進むことになる・・・それでも、いいの?」

さっきとは裏腹、少女の声には寂しさが宿っていた。それは自分に対する言葉でもあったかのように、少女は寂しそうに顔をゆがめる。
少年はそんな少女の顔を見るのが嫌いだった。少女とあって二ヶ月の間にこの表情を何度みたことだろうか、見るたびに、少年の頭の中にはひとつの言葉が浮かび上がる。————守りたい————と。

それは小さい子供の我が侭な感情なのかもしれない。でも少年は、自分のことなんかどうでもいいから、少女を守りたい・・・と、そう思うのだ。好きな人を———守りたいと、思うのだ。
だから少年は、すぐ近くにいる少女の腰に手を回し、思い切り抱き寄せてから、言うのだ。

「・・・僕は君を、———を守りたいんだ」

その言葉に少女は目を見開き、驚きの表情を見せる。今までに無かった反応に少年は笑いながら、もっと強く少女を抱き寄せる。その細くてしなやかな体を、抱き寄せる。

少女は少年の抱擁をうけいれながら、うれしさに笑顔を見せる。今までに自分に近づいてくる奴は大抵汚いやつばかりだった。『これ』を使おうと自分を利用したりする、汚いやつらだったり、この力を恐れた連中による、自分を殺そうとするものばかりだった。だけど、この少年からはそんな汚いものは見えない。あるのは、自分を守りたいという純粋な・・・気持ちだけ———

「じゃぁ・・・力をいれるよ?」

そう小さく少女が呟く。うれしさを押し殺したかのような声で、そうつぶやく少年はその少女の言葉に返す。

「どうやって?」

少女はやはり、愛しそうに少年の言葉を聞く。だけど、ちゃんと答えてあげないとだめだと思った少女は、少年の胸から少しだけはなれて、目をみて言う。

「簡単だよ〜。ただあなたの手にわたしの力を込めた手を重ねるの」

よくわからない、といった表情をみせた少年だが、一応少女から離れて、両手を前に突き出す。少女は少年の行動の速さに納得して、両手に力を込める。その瞬間、その小さく滑らかな手に黒い幾千の文字が生まれていく。その手を少年の手に重ねるようにして差し出した少女は、こう呟く。

「はい、これで私の力があなたのなかに入った。でも、最後の言葉を交わさないと、契約は完成しないの」

「契約?」

「そ、力を分け与えるための契約の儀式。その段階が今ので、言葉がこれから言わなければならないもの」

「えと・・・なにをいえばいいの?」

「ただ私のことを愛しているといえばいいの」

「え・・・」

「もしも愛していないもの同士が力を共有すると・・・その力は互いを拒絶して、暴走してしまうの・・・あ、あの・・・それで、あなたは私のこと、嫌い?」

「き、嫌いじゃ、ないよ」

「じゃぁ言ってよ、好きだって」

少年の顔が真っ赤に染まっていく。夕日に照らされている今でもわかるほどに、紅く染まっていく。それに少女は笑い、言葉を発する。

「私は、裕介のことが好きだよ」

おそらくその少女の顔は、真っ赤に染まっていたのだろう。わからないのは、影にかくれているからだ。
そして———、少年は言葉を発する。少女を愛しているといおうと、言葉を発しようとする。
そこで———————すべての物語は始まったのだ。ゆっくりと、着実に・・・鎖牙裕介の物語は、始まったのだ。

        

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Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 更新速度低下 ( No.121 )
日時: 2011/03/05 20:16
名前: だいこん大魔法 (ID: ikrpTGuK)

そして俺は、その言葉にビクッと反応してしまう。・・・わかっているさ。俺がこの世界にむいていないことなんて、初めからわかっていたさ。でも・・・どこかで俺は、空手をやっていたときのように、主人公であったときのように、この世界で主人公になりあがろうとしていたのだ。壁を乗り越えて、主人公になろうとしたいたのだ。だけどそれはかなわなかった。脇役風情が主人公に成り上がる術は———人間の、日常の世界にも、こちらの、化物の世界にも———なかったのだ。
俺はヨロヨロと後ろにさがっていく。屋上の入り口にあるドアのノブをつかんで、それを回す。ローラはもう俺をみていなかった。自分達の恩人の契約者というだけのつながりしかなかった俺たちは———当然のような、対応とでもいえよう。そう・・・ローラはもう、俺に失望していた。
それは蛍も同様だった。そもそも、蛍と俺はあまり話しをしていないから、仲がよかったとはいえない。だから蛍は、俺に一言を言わなかった。ただただこのような結果を、予想していたといわんばかりの様子でもあった。
ルミとレイは、若干戸惑った様子で俺の事を見ていた。だけど、やはり俺のことを最終的に見なくなる。それも当然の反応ともいえよう。
だけど・・・やはりルミだけは、俺のことを、寂しそうな表情で見ていた。
だが俺は、その視線にたえられなかった。これから俺のやる、凄く汚い、怖くなったから逃げる・・・という行為を正当化するために、おもいきりドアを開く。その様子をみていたグレンが高笑いをする。だが今はもうそんなことはどうでもいい。だから・・・だからもう、こんな醜いを俺を・・・見ないでくれよ———エル。

「裕介・・・」

その声に俺の体はピタッととまる。今まで人間の心に押しつぶされそうになっていた俺の化物の心が暴走し始める。主を守れ、逃げるな。
そう言っているように思えた。だがしかし、俺の人間の心が、逃げたいという心がそれに打ち勝つ。・・・エルなんかよりも、エルなんかの命よりも・・・他人なんかの命よりも———わが身そのものが、大切だ。
俺は振り返らない。そのままドアを通り抜け、エルのことをみないように、ドアをしめる。もういいのだ。大切な人だとかそんなんはいいのだ。俺は強くない、心も体もまだ化物ではない。だから、もういいのだ。大切な人を守ろうだとか、そんな意地張ってまでも俺は主人公にならなくてもいいのだ。脇役のほうが———平凡で、毎日つまんないけど———命の危険にさらされる機会は滅多に来ないではないか———そう思って———ドアをしめきろうとしたその瞬間———俺のご主人様の———どこか安堵しきったかのような感じと・・・そのなによりも、寂しさの混じった声が———きこえた。

「裕介———さようなら———そして、私に生きる意味を教えてくれて———ありがとね」

その声を聞いた瞬間俺はもう———階段を思い切り駆け下りていた。
結界の効果で動かなくなってしまった生徒たちの合間合間をすり抜けて俺は必死に逃げる。もうなにも考えないで、逃げる。途中で転んだ。
何度も転んだ。制服をところどころやぶけさせながら、それでも俺は必死に逃げた。もういいのだ。もういいのだ———なのにどうして俺は、さっきの場所に———戻りたいと思うのだろうか?
だがしかし、俺は頭をブンブンふってそれを振り払う。俺はもう戻らない。戻ってしまったら、再び俺は———エルを悲しませるだけだ。
自分で悲しませないとかなんだのと心に決めておくだけで、けしてそれは実行されない。俺はにとって・・・邪魔な存在なのかもしれないだ。俺がいるせいで———エルは悲しんでしまうのだ。人間である俺と、魔術師であるエルとは———つなぎとめておく鎖が細すぎたのだ。
無我夢中で俺は走る。早く、早く結界の外にでて、今までどおりの普通の人生を暮らそう。隣には昌子がいて、西野がいて———そんな平凡な人生を送ろう。化物だのなんだのは———青二才の俺にとっては、脇役の俺にとっては———速すぎたのだ。
そして俺は、校庭にでる。校舎をぬけて、上履きのまま外にでる。そんなささないことは気にならなかった。そして俺はその瞬間に再び無様に転がり、地面に頭を思い切りぶつける。
痛くは———なかった。平凡な人間、化物の世界と交わらない普通の人間ならば、顔面を強打すればそれは悶え苦しむぐらいに痛いはず。
なのに俺は、痛みを感じていなかった。それは俺が化物である証拠であり、エルとつながっている証拠でもあった。

「・・・なんだよ———俺は化物なんかじゃない」

それは、ある意味エルたちのことを化物だといっているのと同じだった。だけども、判断力がにぶってしまっている俺にはそれがわからない。
俺は起き上がらなかった。
ただその場で、地面顔をつけながら、うつぶせで倒れているままだった。起き上がる気力がないのだ。早くこの場から、結界から、化物の
世界から逃げ出したいのに、俺の体は動こうともしなかった。
上からは、激しい戦闘の音がきこえる。時折億条のどこかの部分が魔法に砕かれて校庭におちてきたりもしている。それをみて再び、どうして俺は逃げているんだろう、とか思う。だけどそれはもう遅い。逃げ出してしまったから、エルを悲しませてしまったから———もう戻ったって、なんの意味もない。
俺は涙を流す。九年ぶりに再会した———俺の、初めて恋をした女の子をほってきたことが、俺の人間の心に突き刺さる。主をほってきたことが、化物の心に刺さる。二つのことが同じ相手のことで、痛みを覚える。

Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 更新速度低下 ( No.122 )
日時: 2011/03/05 20:44
名前: だいこん大魔法 (ID: ikrpTGuK)

そんな中・・・俺は、エルの顔を思い浮かべる。俺といるときはいつも楽しそうで、いつも喜んでいて・・・いつも俺のことを、やさしい表情でみつめてくるエルの顔を、思い浮かべる。そんなエルを俺は、いつもいつも悲しませていた。九年前なんてそうだ。記憶を失ったとはいえエルのことを一切思い出そうとせず、そのまま生きてきてしまった。エルが≪企業≫やらなにやらに追われているのをしらないで、そのまま平々凡々と生きてきてしまっていた。俺は・・・なんでこんなにも、エルのことを悲しませるような行動を繰り返しているのだろう———しかも、今の俺は———自分勝手な思いで、エルのことを、いや、一緒に戦ってくれるといった仲間を、裏切ってしまっている。
それはけして許される行為ではない。なのに———どうして俺は、それを正当化しようとなんてしたんだろうか?
———!!
その瞬間、俺の人間の心が、それ以上考えるなと制止するように警鐘を鳴らす。それをねじ伏せようと再び化物の心が口にしろ、そうすればお前は主を助けられる———という。
俺は自分の心で考える。人間と化物がまじりあった、今の俺の心で考える。涙をなさけなく流しながら俺は、考える。俺は今どうしたい?
俺の心は今、どっちに動いている?エルを見捨てて、仲間を見捨ててまで自分の道を、人間だけの道を進みたいのか?それとも———主を、初恋の相手を、仲間を———助けたいのか?
ドーン、という音が聞こえた。結界の中にいる今、そんな音がなるのは屋上しかありえない。だから俺は屋上のほうを見る。そこからは、するどい音と煙と、コンクリートのかけらが舞っている。その中では、今もエルたちは戦っているのだろう。俺がいなくなっても、ローラたちはエルを、恩人を守りたいと思っている。
・・・俺は?俺はいったいなにをしている?エルを今、守っているといえるのか?いや・・・客観視しなくてもわかる。俺は今、生存欲の赴くままに行動をしていた。自分の命がなによりも大事だと思って逃げ出した。大切な人をおいて、自分の命を捨ててまでも守ると誓った大切な人をおいて———逃げ出していた。
そして俺は立ち上がる。
さきの思い、それは完全に・・・エルを、仲間を守りたいというのは、自分の心で考えたことだった。だだがむしゃらに主を守りたいという化物の心ではなく、ただ生存欲の赴くままに行動する人間の心ではなく。俺自身で———決めたものだった。
ローラたちは、エルの契約者、魔術師が一生ともに過ごすための愛しい人ではない。魔術師自身は一生その契約者を愛し続けるということはローラから聞いた。だけど契約者はすべてが人間だ。もとから魔術師の血を引いているわけではない。だからその魔術師を裏切る事だってある。それでも魔術師は契約者を愛する。そう。エルは間違いなく俺を愛してくれている———そして俺は、それに見合うほどの人間ではない。だけども、契約者になった今、恩人だからという理由だけで命を捨てる覚悟をしているローラたちに———負けてはならない。
俺は目にかかる前髪をはらう。そしてそのまま屋上を睨みつける。そこでは主を害するものと、主と、仲間がいる。俺はその輪からはずれた。だけど———今ならおそらく、誰も死んでいない。屋上から感じる魔力を見るに、それは断定できる。ならばまだ間に合う。誰も死んでいない今なら———まだ、俺の出番もどこかにあるはずだ。
さぁ・・・今もどるぜ・・・我が主君さんよ
俺は無意識で手に力をこめる。すると、それは『詠唱』なしに生まれる。『イフリートティア』の継続時間の十分とくにすぎているのに、魔法の炎が俺の腕全体を包み込む。その違和感に俺は気がつかないまま、もう一度手に力を込める。すると今度は、両足をつつみこむようにして炎が生まれる。それはもう完全に『イフリートティア』ではなかった。だけど、俺はやはりそれを気にしない。そのまま足をまげて、力をためる。屋上をにらみつけつつ、俺は力を溜め続ける。どこまで飛べるかわからない。だけども、今から校舎を走って屋上に戻ったらそれこそ手遅れになってしまうかもしれない。だったら———

「だったら・・・屋上まで跳んじまえばいいんだよっちゅー話だよなぁ!!」

その瞬間、俺は地面から足をはなし———空中に飛翔する。

Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 更新速度低下 ( No.123 )
日時: 2011/03/07 00:42
名前: だいこん大魔法 (ID: ikrpTGuK)

・・・エルは一体、どんな反応をしてくれるんだろうな。
あの寂しさでいっぱい、生きる意味を無くしたかのような顔は、もう二度と見たくない。それは、俺がエルからはなれてしまえば二度と見ることはないだろう。だけどそれの場合、その表情だけが、俺の頭のなかにずっと焼きついて消えないだろう。だから俺は、エルと一緒にいたい。それは我が侭だ。ただの我が侭だ。でも俺は、エルと一緒にいたい、エルのそんな顔をみたくない。エルを笑わせてやりたい。仲間になったばかりだけど・・・ほかのやつらの笑顔だって、みたい。人間だれしも———いや、化物でもなんだろうと、笑っていられれば———なんとかなっちまうもんだ。
凍り付いてしまっている空気を俺は引き裂きながら中に舞う。屋上のフェンスをそのまま跳び越え、そのまま一度フェンスの上にたつ。バランスを崩すことなくフェンスの上に立った俺は、一度戦況の確認をする。
———完全に、グレンの優勢だった。ただ一度グレンが武器、ロンギヌスを振るうだけで空気は凍てつき、そこから衝撃が生まれて、それがエルたちに襲い掛かる。それを何度も何度も繰り返すだけで、エルたちはピンチにおいこまれている。そう、たった一個の攻撃方法だけで、エルたちは一気にピンチに陥ってしまっている。生きる気力を無くしたという顔でエルは炎の盾を展開している。それは、エルが負けず嫌いだからだ。生きる気力を無くしたものは、普通魔法なんて使ったりしないでそのまま死んでしまうだろう、だけども、エルは負けず嫌いだ。それが幸いして、今エルは戦っている。ただ負けたくないといわんばかりに。
リーはそんなエルを守りながらグレンに対抗して禁呪を使用していた。だけどその力は完全にグレンのロンギヌスに劣っていて、リーはもうそろそろ倒れてしまいそうなほどだった。・・・リーにはまだ、禁呪を長い時間維持させておくほどの魔力は、ないのだ。
ローラは防御しながらも、隙をついて攻撃をはかっていた。二つの本を開き、一つは防御の魔法を展開させて、もうひとつは攻撃の魔法を展開している。だけど、それはものすごくむずかしいようだ。防御に力をいれれば攻撃は弱くなる。攻撃に力をいれれば防御は弱くなる。
だから、二つのバランスをとるのには相当な精神力が必要になる。そのためか、この中で一番疲労しているのはローラだと思われる。
闇の力を、夜の力を行動力として戦う蛍は、完全に攻撃に徹していた、それは、防御魔法を展開したところですぐにやられてしまうからだと判断したためだろうか、一切防御魔法をつかっていない。だけどまだやられていない。昼間の先頭のために一番魔力の低い蛍は、守られながら戦っているのだ。それを、ローラを援護するかのように防御魔法を展開しているのはレイだ。同じ氷属性同士というのもあって、レイはグレンの攻撃でそこまでダメージをうけないようだ。だけど魔力の量が違いすぎるから、やられるのも時間の問題だ。弱き魔力のものは強き魔力のものに打ち砕かれる。それは同属性であろうとも例外ではないのだ。
ルミはローラと同じように防御と攻撃役を買っていた。だがそれは、二つの魔法を同時展開するのではなく。防御魔法をそのまま攻撃魔法にしてしまうという荒業だった。ルミがはなった防御魔法、天高くのびる闇の障壁は、グレンの攻撃に打ち砕かれながらも前に進んでいく。
つまり、それが、その闇の障壁じたいが防御魔法にもなっていて攻撃魔法にもなっているのだ。
・・・よく戦っている。全員必死だった。生きることに、生き延びることに———守ることに、必死だった。それなのに、俺は仲間を見捨てて、逃げ出した。こんなにも必死に生きようと思って戦う仲間たちを見捨てて、楽に生き延びる道をえらんでしまった。
ならば———それを償う。
俺も男だ。ヘタレとか関係なしに俺は男だ。女の子だけおいて逃げたのはものすごく恥ずかしい。だけど俺にはグレンを倒す力はない。圧倒的に足りない。ならば———力を合わせようじゃないか。俺がいたところでどう戦況が変わるかは知らんが、男として、もう逃げるわけには———いかない。誰も死なせるわけには———いかない。
その身を犠牲にしてまでも。

「天地を揺るがす劫火———その銘はすべてを焼き尽くす炎剣、その役は負を払う聖なる炎」

俺はフェンスの上からグレンを見据えて、その言葉を口にする頭に突然思い浮かんできたその言葉を、ただ口にする。その瞬間、足をおおっていた炎が消えうせ、それが両腕に宿り始める。右腕に宿っていた炎は形を変えていき、形状固定化魔法に変わっていく。左も同じように変化していく。
ぎゅっと俺は、その武器の柄をにぎる。右手に現れたのは、炎の刀だった。一振りの、俺の体の半分ほどの大きさをもつ業炎のすべてを焼き尽くす炎の剣———左手に現れてたの、白い炎を宿す西洋の剣を模した形の剣だった。その白い炎は俺の左腕全体を包み込んだかと思うと、腕全体に、白い、まるでゲームに登場するような伝説の勇者が装備しているような———ガントレットが生まれた。これは———なんだ?・・・まぁわかんないから今は『形状固定化防御魔法』とでもいっておこう。その形状固定化魔法は俺の左腕にフィットしていて、今まで以上に体が軽くなったような気がした。自分の体重がもう、ないように思えるほどに。最終的にそれは、肩当てまで作り出し、左腕は完全にガントレットでつつまれた。それを見て俺は初めて・・・これが『イフリートティア』ではないことに気がついた。
だが———
「このさいそんなこと関係ねぇ・・・」

そう、関係ない。だからもういくぜ?準備は完璧だ———
さぁて・・・これからが本当の戦いだ【氷翼の魔術師】

「『アスカロン』!!邪なる『ロンギヌス』を———焼き尽くせ!!」

その掛け声とともに、俺はグレンにむかって一直線に跳んだ

Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 更新速度低下 ( No.124 )
日時: 2011/03/08 22:00
名前: だいこん大魔法 (ID: ikrpTGuK)

人間だれしも不可能を可能にする力をもっているのだという。それは、本人の努力次第による結果だったり、本人の運のよさだったりといろいろな理由があるわけだが、その中には覚悟という言葉もはいるのだと思う。
絶体絶命。あいつは俺よりも足が速い!!だけど俺はこいつと正々堂々と戦う覚悟をした!!絶対に勝ってやる!!と本番直前に思ったりなんなりすると、あら不思議。その足が速いと思っていた奴は昔足がはやかっただけで今は自分のほうが足は速かった———とかな。自分では不可能だと思っていることでも、なんやかんやの覚悟を決めるだけでその不可能があんがい覆ったりもするのだ。
俺にはそんな経験が一度だけある。空手の大会で、たまたま体格が俺よりもでかくて帯の色も一段階うえのやつに当たったとき、俺は絶対に負けない。この大会で優勝すると決めたんだ!!とかなんとかいった言葉を胸に、覚悟をきめてその相手と戦い、見事勝利した。まぁそのときは準優勝で終わったのだけれど、自分で勝つことは不可能だと思った相手に勝つことが出来た。
そう・・・いうなれば、人間と不可能を可能にすることが可能だ。最初にいったと思うけど、これは一番重要なことだ。
———だから、これはその延長ともいえる。空手で優勝するんだと覚悟を決めて、体格のでかくて帯も一段階上の相手に勝ったはいいけど準優勝で終わってしまった———とかなんとかの時の、延長なのだ。
勝負は決勝戦。七対一だが力は俺たちのほうが下。だけども、あきらめさえしなければ、不可能を可能とする事だってできるはずなのだ。
俺は両手の武器をふりかぶる。制服のボタンが逆風、グレンの持つロンギヌスの魔力のせいでふきあれる強風を真正面からうけていたせいで、ふきとんでいってしまう。俺の制服は自然と全開になるが、幸いなのはズボンがちゃんとしまっていてくれたことだ。・・・こんな真面目な勝負にパンツ一丁ってのはありえないからな。
俺は一気に両方の武器をふりおろす。頭上で交差するようにかまえられていた剣は弧を描くように振り下ろされ、そこから炎撃波が生まれ、それも交差するように、Xの形をとってグレンにせまっていく。
まず第一に、リーがそれに気がついた。最初は新手の魔術師だと思ったのか、険しい顔をこちらにむけてきたが、俺だと見た瞬間、顔を一気にほころばせる。ローラもそんなリーの表情をみて、俺のほうをむく。そして俺のことを確認すると、フッと笑って、よく戻ってきましたといわんばかりの表情をする。それは蛍も同じだった。蛍は俺が攻撃をはなったと知った瞬間すぐにグレンから距離をとって、グッと親指をたてて、ナイスッといいたげな表情になる。ルミはグレンの攻撃をふせいでいるため俺に気がつくことはなかった。レイも同じようにグレンの攻撃を防いでいたが、なんとなく俺がいることに気がついたのだろう。だから険しい表情をいっぺんさせて子供らしい、無邪気な笑顔になる。
———エルは、俺のほうを見ていなかった。ただグレンの攻撃を防ぐのに必死で、ただ負けたくないという思いでいっぱいで・・・ただ俺が無事に逃げれたのかどうか心配するように結界の外を見透かそうと横を見て———涙を流しているだけだった。
・・・だがそれは後だ。俺が戻ったことをエルに伝えにきたわけではない。俺がヘタレじゃないとかエルに言いにきたわけじゃない。俺はエルたちを守りにきた・・・いや、逃がしに来たといってもいい。自分の命をぶち壊してまでも、こいつらだけは、生かさないといけない。
これからどんな魔術師やらなにやらがエルの命を狙うか分からない今、弱い俺よりも、強いこいつらのほうがたよりになるからだ。だから、この勝負でグレンを倒せないでも、エルたちが逃げることによって打開策が生まれるかもしれない。次は負けないように強くなろうとするかもしれない。そうなればきっと・・・こいつらは、無敵だろう。だから、ここで俺の命がぶっ壊れようがなんだろうが知ったこっちゃねぇ。最初からあきらめて逃げようとした奴の命なんて、ゴキブリ並の価値しかねぇってもんよ。
俺はもう一度さきの行動を繰り返す。武器を振り上げ振り下ろす。それをもう一度、もう一度、さらにもう一回、もうさらに一回。何度も何度も振り上げては振り下ろし、グレンにせまりながら炎撃をはなちまくる。
第一陣が、グレンの間じかにせまったとき、グレンは強者の余裕の表情を消して、俺のほうを振り向く。だがその瞬間にはもうXを描く炎撃はグレンをとらえ———爆発、炎の柱をあげた。

「ぬううぅぅああああっ—————ああああぁぁ!!」

それをきっかけに次々と俺のはなった炎撃がグレンにぶつかっては炎の柱を上げる。最初は電信柱なみの太さの炎の柱が、次々に肥大化していき、最終的には千年ものの大樹の太さぐらいまでになった。
————『アスカロン・ディザスター』。それは太古の戦争で炎の女神が武器を振るうたびにはなたれた邪を祓う炎撃。いつのまにか覚えていた魔法をいまさら頭の中で整理しながらも俺は、空中で一度宙返りをして炎の柱の目の前に着地する。・・・あやうく自分の炎に殺されるところだったぜ・・・。
って・・・おいおい、今の俺って二刀流の剣士みたいなんじゃね?・・・くぅ———!!モ○ハンで『双剣』ばっかつかっているだけあってやっぱり俺このスタイル好きなんだよなぁ・・・ってだめだ。今そんなこと思っている場合じゃねぇ・・・とか、いつものごとくピンチなわりには結構余裕な俺である。

Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 更新速度低下 ( No.125 )
日時: 2011/03/17 20:42
名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)

地震に負けるかああぁぁ!!地震のせいでパソコンがフリーズして小説のデータがUSBにのこしてたの以外全部消えたって絶対に負けるもんかああぁぁ!!という思いを叫ばずにはいられないだいこん大魔法です。
とにかく・・・地震は怖いですね。主に再びデータがすっとんだというところが怖いです・・・^^;でもそんなことではくじけていられない・・・というわけで、一応上げます^^;



「ユー!!」

タタタと、小走りでリーが俺のほうにむかって、心底うれしそうな顔でくる。・・・炎の柱はまだその効果を保っている。グレンがこの魔法をやぶるのは時間の問題だが、まだ問題はないだろう。だから俺もリーのほうにかけよっていき

「・・・いやぁ、ごめんな、逃げないで」

俺に真正面から抱きついてきたリーは、俺の胸に顔をうずめて、笑う。グリグリと頭をおしつけながら、笑う。そういった行動をリーがとるたびに、俺の鼻孔をなにやらいいにおいがくすぐる。・・・っていかん、そんな場合じゃねぇや

「ユー、戻ってきてくれてうれしい・・・です」

「あん?なにかしこまってるんだよ?」

えへへと笑いながらまたグリグリと頭をこすりつけて、リーは笑う。その中にはもう二度と話さないといわんばかりのものがあって・・・それは、今日の深夜にも、したはずの、約束だった。
もう二度と———

「またボクから・・・トモダチがいなくなっちゃうんじゃないかって思ってた」

いや、違う。二度とという言葉ではない・・・そう。もうこれから一生、友達でいよう。という、約束だった。
俺はそっとリーの頭を撫でてやる。剣は『イフリートティア』と同じ要領でしまっている。だがこれの継続時間は『イフリートティア』よりも長いし、そのうえだしていないとき、つまりしまっているときはその範囲外に値する。つまり、だしていないときに魔法が消滅したりすることはない。タイムリミットがおとずれないということだ。

「あんときのお前・・・、俺を逃がそうとしてくれたときのお前、めっちゃかっこよかったぜ」

「・・・むぅ、ボクも女の子なんだよ?だ・・・だからね、かっこいいとかじゃなくて、か、かわ、かわ・・・」

「でもま、あん時の凛とした態度は消えてるし・・・どっちかっていうと今は甘えん坊のかわいい妹ってところか?」

「な———か、かわい・・・かわいい!?」

俺が冗談交じりにそんなことをいうとリーがなぜか病的に白い肌を赤く染めて、恥ずかしそうにする。自然と俺から距離をとって、近くまできていたローラの影にかくれてしまう。だけど顔はローラの後ろからだしているし・・・え、なにがしたいんだ?ていうか俺、なんかまずいことでもいったかな?
ポリポリと後ろ髪をかきあげるようにしてかく。そんな俺に今度はローラが近づいてきて、手をさしだしてくる。

「・・・よくもどってきましたね。———魔術師になってからたった一日で、あそこまで強大な力を見せ付けられれば誰でも逃げ出してしまうはず。それは・・・エルシャロンさまの契約者だって同じはず、と思っていましたが、それはどうやら私の見当違いだったようですね。・・・あなたにはいろいろ驚かされます」

だが、俺はその手を握らない。それは、別にローラが嫌いだからとかじゃない。ただ・・・今が握るべきときではないことが、わかっていたからだ。
それにローラは笑う。ニヤリと、不敵に笑う。そして俺も、そのような笑みを浮かべていただろう。握手すんのは・・・あいつを倒してからか、それとも、全員無事に逃げ切った後か———だからな。

「驚いたか?」

「ええ・・・それはもう、世界がひっくり返るぐらいに」

「・・・おいおい大げさだなぁ」

「いや・・・私も実際、そんくらいおどろいたんだがな」

「お前らはそろいもそろって大げさなのか?」

後ろから近づいてきた蛍が、ローラの言葉をさえぎって登場してくる。だがしかしその内容はローラがいおうとしていたそのもの、つまり蛍も同じように驚いていたということだったため、ローラは苦笑いをしながら炎の柱のほうにむきなおる。それはそうだ。いくらグレンが油断していてたまたま俺の攻撃がうまくはいったからといって、それがとどめでもなければダメージでもないかもしれない。だから俺が戻ってきた理由とかを聞いている暇なんて実際ない。だけども、せめて俺と言葉をかわしておきたかったのだろう。逃げるときの俺と今の俺、自分でいうのもあれだけで少しは変わっていると思うから———もう一度、こいつらに失望されることはもう、ないと思うから。
蛍は俺の肩に一度ポン、と手をおいて、不敵に笑う。俺もそれに笑い返すと、もう蛍はローラと肩を並べてグレンをつつみこむ炎の柱に目をむけていた。状況把握のお得意な二人は、後であしらうのが大変そうだなとか笑いつつも、ローラという逃げる壁がなくなってしまったリーに目をむける。リーはおどおどとしだしたかと思えば、こちらに走りよってきていたルミとレイの後ろに回りこんでそのまま走っていってしまう。・・・俺、嫌われてんのか?いやいや、それはないだろう・・・ないと信じたいな。これでも俺は男だし、あんなに可愛くて美しい・・・人形のような可憐さをもつ少女に嫌われると、それなりに、いや、かなり傷つく。
・・・ま、そんな俺の心境なんて、今は関係ないさ。俺は、左右から俺に抱きついてきたルミとレイの頭にポン、と手おいてやる。いつのまにか俺はこの二人に好かれていたらしい。・・・ルミはあれか、自分にしか見えないと思っていた、感じることがないと思っていたやつを俺と共感できる・・・という点からかな?んでレイは・・・馬鹿同士でなにかつながるところでもあったのか?俺も馬鹿だしこいつも馬鹿だしな。

「アタイはお前が戻ってくるって分かってたからな!!」

「お・・・お前て・・・仮にも俺は年上だぞ?」

「はん!!魔法とかに関してはアタイのほうが先輩なんだからな!!」

「・・・ごもっとも」

「第一な、お前のその、アタイが馬鹿だと言いたげな口調がイラッとするのよね!!だからとっととアタイのことを天才さまと呼んで最強さまと呼んで讃え祀り上げて欲しいんだからな!!」

「自分のことを信仰の対象と考えている自意識過剰やろうのどこが天才だって?」

「う〜・・・、もういい!!あとで打ち殺す!!」

「・・・へーいへい」


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