コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 二話解禁
- 日時: 2011/09/01 02:20
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id=758.jpg
初めての投稿です!!そして初めての小説です。まだ途中ですががんばって書いていきたいと思います!!内容の細々とした設定は後々追加していく予定ですのでどうかよろしくおねがいします!!そして、初めて書くので全然下手で文章力もないですが、荒しとか、下手だからやめとけとか言わないでください。そう思うならとっとと帰っちまえ!!とおもう所存ですゆえ・・・。^^;
タイトル変更のお知らせ 【紅蓮の契約者】からErret Crimson〜紅蓮の契約者〜になりました^^;オリキャラ募集は引き続き行っています^^;おねがいします〜
参照200突破したので主人公から一言—————「え?は?おまえなにいっちゃってんの?そういうのは作者がするもんだろ?」———いいからいいから———「いいからじゃねーよ!恥ずかしいだろ!?」———いいからやれよ馬鹿!!———「逆切れされた!?」———・・・いつまでもこのヘタレが私に逆らってくるので今回はこの辺で———『一言終了』
参照300突破したのでヒロインから一言—————「こんにちは、エルシャロン・ユアハーツです♪この度は私と裕介のイチャイチャラブストーリーを読んでくださり」———ちょ、エルさん?違う、違うからね?———「・・・はぁ?人間風情が気軽に私の名前を呼ぶんじゃないわよ」———おーい・・・本性でちゃってますよ〜———「ていうかそもそもこれを裕介が見るわけじゃないんだし、一言とか必要ないじゃない」———・・・あー、エルさんが帰っちゃったので今回はこの辺で———『一言終了』
参照400突破したので先生から一言—————「こんにちは(キラッ)髪の毛がワイルドなほどに生えている雉田信之助デスッ(キラッ)」———うそはよくないと思います、先生———「う、うそじゃないもん!!ほんとだもん!!」———きもいんでやめてもらえますか?———「フン・・・キサマはどうやらこの私を怒らせてしまったようだな・・・喰らえ!!ハゲビーム!!」———えー、この先生相手にするのがめんどくさいので———『一言終了』
参照500突破したので西野から一言—————「始めてまして、西野です。鎖牙裕介の友達やってます。好きなことはゲームで趣味はゲームで将来結婚したいのはゲームで」———おいオタク。お前は自己紹介でなにいってやがんだよ———「今発言してきた人は無視してください。ゲームの中の登場人物の声ですので」———おいお前、作者にむかってそんなこといってっと登場させないぞ?———「では、ここらで俺がオススメするゲームを紹介し」———・・・どいつもこいつもまじめな挨拶ができないと私が失望したのでここらへんで———『一言終了』
参照600突破したので昌子から一言もらおうと思ったけどもうなんか前のやつらがとてもめんどくさい反応をしていたのでこの企画はなかったことに———「ちょ、ちょっと作者さん!!私にもやらせてくださいよぉ!!」———えー・・・だってどうせふざけるんでしょ?———「ふ、ふざけないです!!だからお願いします!!」———まぁそこまでいうならやらせてあげないでもないけど———「そうですか?ならもうあなたには用はないのでとっとと帰・・・」———はいはい、強制終了します—————『一言終了』
参照700突破したのでサブキャラクターみたいな感じになっている佐々木さんから一言—————「う、うぇ?わ・・・わたしですか?」———うん、おねがいね———「う・・・うう・・・あ、あの・・・こ、この物語は・・・ええと・・・あの・・・そのぅ」———緊張しなくていいよ〜、一言いってくれればそれでいいから———「え、あ・・・はい。え・・・と、この作品は、んと・・・」———む、無理しなくてもいいよ?———「ふぇ・・・お、お役に立てなくて申し訳ありません」—————というわけで、一番まともな挨拶をしてくれようとした佐々木さんに盛大な拍手を!!『一言終了』
もうすぐ一話終了だっていうことで、ここでひとつ、主人公に一言もらおうと思います、どうでしょう?こんどこそやってもらえますね?—————「よ・・・よし、今度こそはいけそうだ。ちゃんとやってやる」———そうこなくっちゃな、主人公さんよ———「うーん・・・若干作者がうざいけどまぁしょうがねぇ・・・やってやらんこともないぜ」———いいから黙って始めなさいこのヘタレ主人公———「あーあー!!わかったよくそっ・・・えーと・・・なになに?」———プッ・・・セリフも覚えられてなかったのかよこの子———「うぐっ・・・う・・・うるせぇこの駄作者!!ちょっとだまっとけ!!」———といわれて黙る私だとお思いですかな?———「・・・もしかして、最初のやつ根に持ってんのか?」———・・・———「ぷっ・・・器のちっちぇやろうだなぁ」———・・・えーと、では、次回から主人公はこのヘタレ男ではなく雉田先生に———「え?まじ?よっしゃああぁぁ!!この髪の毛がワイルドなほどに生えている雉田信之助様にすべておまかせあれええぇぇぇ!?」———「先生はだまってろ・・・!!」———「なんだと?このワイルドなほどに髪の毛・・・もといワイルドなほどに髪の毛が生えているこの雉田信之助様にただのヘタレのお前が勝てるとでも?ハーッハッハッハ!!」———「・・・ハゲ、育毛剤、つるつる、カツラ、テカテカ、抜け落ちる髪の毛、ワイルドほどになにもなかツルツル頭」———「うわああぁぁ!!ヘタレ男がいじめるううぅぅ!!」———「きしょいんだよこのくそやろう!!くっつくんじゃねぇ!!」———
・・・と、いうわけで、一話終了まじかの一言でしたー、また次回〜———「「っておいなにかってに終わらせてんだこのくそ作者!!」」———そういうところだけはそろうんですね、そしてきしょくが悪いですね、先生———「うわあああぁぁん!!」———というわけで、まぁ・・・最後ぐらいはお前に閉めさせてやるよ、ほら、最後に挨拶ぐらいしときなさい———「ぐっ・・・まぁいい、ていうか一言とかなにもいってないような気がするけど・・・ま・・・いいか。んじゃ、Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜の一話を読んでくださりありがとうございました。引き続き、二話もこの駄作者が書いてくださるということなので、期待せず、むしろ作者を罵倒しながら待っていてください、んじゃ・・・というわけで」———一言終了。そして作者から一言
—————————まだエピローグが終わってないんだぜ——————————
最近かいてて思ったこと『別の小説に熱が入ってしまってなかなか進まない・・・』
山下愁様による、この作品の宣伝文です!!なんというかもう神ですね^^小説本編が宣伝文に劣っているという真実が———^^;
↓
————————
「僕は君を——守りたいんだ」
夕日が赤く染める空き地で、少年は少女に『力』を入れられた。
それは、彼女を守る為の能力——。
その日を境に、主人公・裕介の物語は始まった。
それから高校生になった裕介の日常は、至って普通だった。
幼なじみと登校し、
友達と馬鹿騒ぎを起こし、
普通に授業を受けると言うありふれた人生を送っていた。
人生の脇役を演じる裕介の前に現れたのは、
1人の転入生だった————。
そして、その転入生は、裕介が昔好きだったと言う女の子だった。
予測不能なファンタジー小説が、コメディライトにて活躍中!
裕介の未来はどうなってしまうのだろうか?!
Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜
「この世界に空気が存在するように、光が存在するように、太陽が存在するように月が存在するように、『これ』も存在するの」
————————
>>6 登場人物紹介&オリキャラ素材
第一話 サブタイトル【邂逅】
プロローグ>>0
一章、始まりを運ぶ者 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>7 >>8
二章、再会の意味を知る者 >>8 >>9 >>10 >>11 >>13 >>18 >>23 >>25 >>26
三章、紅蓮の契約者 >>29 >>32 >>33 >>34 >>39 >>43 >>44
四章、幽霊屋敷の能力者 >>47 >>48 >>49 >>52 >>53 >>54 >>55 >>57
五章、孤高の翼をもつ者 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>71 >>74
六章、孤独の愛する者 >>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>88
七章、結社最初の襲撃者 >>89 >>92 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>103 >>104 >>105 >>106 >>107 >>109 >>115 >>116 >>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126 >>127 >>132 >>172 >>176 >>177 >>180 >>182 >>183 >>184
エピローグ>>186 >>187 >>188
第二話 サブタイトル【解禁】
プロローグ>>199
参照800突破初企画始動 裕介、中学時代のバレンタイン >>133 >>134 >>135 >>136 >>137 >>138 >>140 >>147 >>148 >>149 >>155 >>158 >>162
>>165 >>166 >>167 企画END
魔法の詳細てきなもの>>142
秋原かざや様による小説紹介文>>185
作者自作イラスト(裕介) >>56 >>110 (エル) >>67 >>93 >>189 (リーナ) >>91 扉絵>>0
凡さまの神イラスト>>170
スペシャルサンクス(コメントをくれたお客様) >>67
では、そんなこんなで本編スタートです!!↓
プロローグ、涙とともに消える記憶
「この世界に空気が存在するように、光が存在するように、太陽が存在するように月が存在するように・・・『これ』も存在しているのよ」
なにもない。ただの空き地となってしまったこの場所で、一人の幼くも美しい、それでいて不気味な雰囲気をまとっている少女の声が響く。
夕日に照らされた少女の髪はオレンジ色に染まり・・・顔は、影にかくれて見えない。草が適当なサイズに切られているこの空き地には、もう一人の少年らしき人物がたっていた。
その少年らしき人物は少女の声に聞き入り、うんうんとうなずきながら、少女のほうをみつめている。その少年のほうは影になっておらず、六、七歳の男の子だということがわかる。とくにといった特徴の無い顔、少しだけ長い漆黒の髪、身長はその少女よりも少しだけ大きい。
少女は子供が無邪気に笑っているのとは程遠い、美しい笑みを浮かべながら、その少年のことを見ている。その少女の雰囲気には、まるで愛しい人をみているかのような空気がまとっているようにも思えた。
少年は早く続きが聞きたいのか、早く早く、と少女のことを急かす。少女はニッコリは笑った後、再び声をだす。
「『これ』は使える人には使える。たとえば、それが得意な人にとってはそれが簡単にできて、それが得意じゃない人はそれは簡単にできない。つまりそういうことなの。『これ』は、私のように使える人にとっては簡単に使えて、あなたのように、使えない人にはできないの。わかった?」
首をかしげながら少女は少年に聞く。少年はそんな少女の言葉にガッカリした雰囲気をだしていた。それを察した少女は、慌てて言葉をつけたした。
「あ、あ、でもね、あなたも使えるようになれる方法が一つだけあるよ」
それに少年は顔を上げる。その少女の顔を見ながら少年が感じたのは、疑問だけだった。まだ幼い少年の頭では、理解ができなかったのだ。
だが少女は、やはり愛しそうにその少年を見つめる。見つめながら顔をよせてきて、理解できていない少年の耳元でそっと・・・ささやく。
「そう・・・ひとつだけ。私の力をあなたに入れる。そうすれば、あなたは『これ』を使えるようになる」
「ほ、本当!?」
そのときはじめて少年は歓喜の声をあげた。だけど少女の言葉はまだ続いていて・・・
「でも・・・それをやったらあなたは、あなたの人生は・・・捻じ曲がる。私のような狂った化物しかいない、最悪の人生・・・違う、もう人生ともいえない道を進むことになる・・・それでも、いいの?」
さっきとは裏腹、少女の声には寂しさが宿っていた。それは自分に対する言葉でもあったかのように、少女は寂しそうに顔をゆがめる。
少年はそんな少女の顔を見るのが嫌いだった。少女とあって二ヶ月の間にこの表情を何度みたことだろうか、見るたびに、少年の頭の中にはひとつの言葉が浮かび上がる。————守りたい————と。
それは小さい子供の我が侭な感情なのかもしれない。でも少年は、自分のことなんかどうでもいいから、少女を守りたい・・・と、そう思うのだ。好きな人を———守りたいと、思うのだ。
だから少年は、すぐ近くにいる少女の腰に手を回し、思い切り抱き寄せてから、言うのだ。
「・・・僕は君を、———を守りたいんだ」
その言葉に少女は目を見開き、驚きの表情を見せる。今までに無かった反応に少年は笑いながら、もっと強く少女を抱き寄せる。その細くてしなやかな体を、抱き寄せる。
少女は少年の抱擁をうけいれながら、うれしさに笑顔を見せる。今までに自分に近づいてくる奴は大抵汚いやつばかりだった。『これ』を使おうと自分を利用したりする、汚いやつらだったり、この力を恐れた連中による、自分を殺そうとするものばかりだった。だけど、この少年からはそんな汚いものは見えない。あるのは、自分を守りたいという純粋な・・・気持ちだけ———
「じゃぁ・・・力をいれるよ?」
そう小さく少女が呟く。うれしさを押し殺したかのような声で、そうつぶやく少年はその少女の言葉に返す。
「どうやって?」
少女はやはり、愛しそうに少年の言葉を聞く。だけど、ちゃんと答えてあげないとだめだと思った少女は、少年の胸から少しだけはなれて、目をみて言う。
「簡単だよ〜。ただあなたの手にわたしの力を込めた手を重ねるの」
よくわからない、といった表情をみせた少年だが、一応少女から離れて、両手を前に突き出す。少女は少年の行動の速さに納得して、両手に力を込める。その瞬間、その小さく滑らかな手に黒い幾千の文字が生まれていく。その手を少年の手に重ねるようにして差し出した少女は、こう呟く。
「はい、これで私の力があなたのなかに入った。でも、最後の言葉を交わさないと、契約は完成しないの」
「契約?」
「そ、力を分け与えるための契約の儀式。その段階が今ので、言葉がこれから言わなければならないもの」
「えと・・・なにをいえばいいの?」
「ただ私のことを愛しているといえばいいの」
「え・・・」
「もしも愛していないもの同士が力を共有すると・・・その力は互いを拒絶して、暴走してしまうの・・・あ、あの・・・それで、あなたは私のこと、嫌い?」
「き、嫌いじゃ、ないよ」
「じゃぁ言ってよ、好きだって」
少年の顔が真っ赤に染まっていく。夕日に照らされている今でもわかるほどに、紅く染まっていく。それに少女は笑い、言葉を発する。
「私は、裕介のことが好きだよ」
おそらくその少女の顔は、真っ赤に染まっていたのだろう。わからないのは、影にかくれているからだ。
そして———、少年は言葉を発する。少女を愛しているといおうと、言葉を発しようとする。
そこで———————すべての物語は始まったのだ。ゆっくりと、着実に・・・鎖牙裕介の物語は、始まったのだ。
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- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【自作絵4つ目】 ( No.96 )
- 日時: 2011/02/18 01:28
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
ポン、とエルの頭に一度手をおいて、そのまま俺は歩いて玄関にむかっていく。その間にもリビングから、くそチビってだれのことかなぁ?とか完全に喧嘩口調になってしまっているリーの声が聞こえてきたりもしていたが、俺は無視を貫き通してそのままドアをあける。そのさいに一度、外の光による攻撃で俺の目は一瞬クラッときたが、昨日ほど天気がいいわけでもなく、それは何事もなくすぐにおさまってくれた。
エルの部屋のすぐ近くにあるエレベーターのボタンをおして、ついたそれにのる。俺がボタンを押した階にむかってそれは下っていき、やがてチン、という音がなると、ドアがひらく、俺はそこからでて、広い広場のようなマンションの入り口をぬけて、外にでる。
エルのマンションは、最近できたもので、しかも宮西高校とけっこう近かったりもするのだ。だから俺は、携帯をとりだし、昌子から入っているメールの中身を確認しながら、歩きだす。
まぁ、昨日今日で完全に俺の日常がぶっ壊れるはずもなく、時はただ動きはじめる。日常から外れようとしている俺を、日常はあとすこし、あとすこしだけ、といいながら連れ戻していく。昨日の魔法だのなんだので殺されかけた俺を、前を走り去っていく、部活に遅れてしまいそうな同じ学校の生徒の姿が、日常につれもどしてくれる。
ま、なんだかんだいっても、かわったのは俺を取り巻く環境だけだ。ほかの人はなにもかわらない。今までおおくの日常とかかわってきた俺を、一瞬にして非日常につれだすのはむずかしいといえる。その証拠に、俺と昌子の関係は幼馴染で、西野とはゲーム仲間で、同じ学校の生徒は同じ学校の生徒で、クラスメイトはクラスメイトだ。俺がまだほかの人にとって普通の平凡な高校生であるかぎり、俺の日常は消え去らない。とはいっても、その全員が、俺の目に見えないところにいってしまえば、日常もそれまでだ。そこからは俺は、魔法の訓練だのなんだのやったりし始めて非日常に一気に変わる。その間にもいろいろな敵がおそいかかったりしてわーやばい、これ死ぬとかいいながら戦ったりして、別に町の平和を守るヒーローでもないのにがんばっちゃったりして、完全に非日常全開モードに変わってしまう。
ああっとぉぉ・・・そういえば学校で思い出したんだけど、昨日俺、中西のこと蹴り飛ばして謝りもせずそのまますごしちゃったんだよなぁ。まぁからむのはめんどくさいしからまれるのもめんどくさいからそのまま無視の方向で突っ走りたいとは思うんだけど、不良の先輩たちがきちゃったら俺がいつびびって魔法をつかっちまうかわかんねぇからなぁ・・・どうするか?
そんなことを思い悩みながら五分、俺は学校の校門についてしまった。だるい体を動かしながら俺は道に沿って歩いていく。その間にも、グラウンドのほうから野球部やらサッカー部やらどっちがどっちだかわかんないような声が聞こえたりしてきたが、無視。うるさいだけだし、俺はどっちにも興味をもっていない。でも少し聞こえた。山田くぅんとか、山田先輩かっこいいですとか山田先輩大好きですとかそんな女子の黄色い悲鳴には耳を傾けてしまう。いやぁ、青春っていいねぇ、すっげぇ嫉妬心が湧いてくるんだけど、山田って誰だよおい、そしてなんでお前らは朝っぱらから部活もしないでそいつのこと応援しにきてんだよ、暇人かおい?
「・・・あら?あらあらあら?もしやもしや、この中途半端に長い髪の毛の持ち主は———さーが君ではないか!!」
「・・・俺をどこぞのサーガみたいにいってんじゃねぇよ、西野」
俺が、サッカー部おら野球部やらのどっちかにいる山田というやつに声援をおくっている女子たいして毒をはいていると、突然後ろから声がかけられる。それは聞き覚えのあるちょっとぽっちゃりとした感じの、聞いているだけで和むやらイラつくやらのどちらかにしてほしい声で、そいつの正体は当然のごとく西野だった。
「いやぁ、さーが君は今日も速いんですねぇ。あれか?お前も俺と同じく親におこられるから学校でゲームを———」
「・・・お前と一緒にすんなよ?」
「つれないなぁ鎖牙。今日はゴッドイーター俺もってきたんだけどなぁ」
「あー、ゴッドイーターか、そういえばお前、バーストを楽々クリアしたからむずいほうやってんのか」
「おう、最近はめっきりはまりこんじまっているぜ」
「そりゃよかったな」
ポケットに手をつっこみながら気軽に話しかけてくる友人にたいして俺は、少しだけ笑ってしまう。やっぱり俺はまだ、日常からは離れていないのだと実感することができるから、日常がまだくずれていないと、確信することができるから、俺は笑ってしまう。それに西野は不気味なものを見るかのように俺のことをみてきて、心底いやそうな声でいってくる。
「・・・あの鎖牙が、まるで自分は人生の脇役なんだといわんばかりに根暗な鎖牙が・・・まるで主人公のように晴れ渡るような笑みで笑ってやがる・・・うわぁ、さわやかすぎて気持ち悪・・・」
「・・・てめぇの毒舌は相変わらず健在だなぁ、今日もそれで雉田を困らせてやれよ。俺じゃなくてな」
「ん?言われなくてもそのつもりだが?」
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【自作絵4つ目】 ( No.97 )
- 日時: 2011/02/18 02:16
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
そんなことを、当然といってのける西野にたいして俺は軽くわらい、頭をはたいてやる。西野はやりかえしてきて、俺は再び西野の頭を軽くはたく。西野も次のいってを決めようとしたが、なにを思ったか、両手で俺の頭をはたいてきた。
「ふっ・・・一回は二回の法則だぜ?」
そしてそういいながら、重そうな体をゆらしながら走り去っていく。図体の割には異常に早い逃げっぷりに俺は関心しながらも、おいかける。
正直にいえば、今の俺は本気で走るだけで現役アスリートなんか軽く追い抜けるほどだ。だけど俺は当然のようにそれをださない。いつも走っていたペースにあわせて走っていく。まぁ足はそれなりに速い方ではあったので、西野に切り離されることなく、むしろおいついてしまう。
「一回は二回の法則!?はっ、なら俺は二回は十回の法則だ!!」
「テメェせこいぞおい!!ていうかお前からやってきたんだろうがああぁぁ!!」
鬼気迫る表情で西野は校舎に入っていく。そのまま外履きを脱ぎ捨てて俺に投げつけてくる。俺はそれをちょっとずるをして本気をだし、手を顔の前で交差するようにかまえてそのまま振り下ろしつつ西野の外履きを楽々ととる。それをそのまま西野のほうにほうりすてて、軽く三発だけはたく。
「ぐああぁぁ・・・やられたぁぁぁ」
そういいながら西野は白目をわざとらしくむいて倒れこむようなそぶりをみせる。それに俺は苦笑いを浮かべて、外履きをぬいで上履きにはきかえる。ロッカーのなかはすっからかんになってしまったが、すぐそこに外履きがはいるので問題はない。一応ロッカーの鍵をしめた俺は、西野の頭をたたきながら
「お前じゃ俺には勝てないぜ」
という。それに西野は泣きそうな顔で
「・・・くうぅぅ、ゲームではお前なんかに負けないんだからな!!」
といってくる。俺はそれを無視するように教室までの道のりを歩いていく。後ろからダカダカと西野が追いかけている気配を感じるが、今は無視、と。
ガラッと勢いよく教室のドアをあける。そこには当然誰もいなくて、お、俺一番のりか?とか子供のように思ってしまう。だがそれは一瞬で、教室のなかに漂う、異様なボンド臭に・・・俺は顔をしかめるはめになった。
「・・・ておいおい、俺の椅子妙にもりあがってねぇ?」
とか一人でにつぶやくと、後ろから西野も教室にはいってきて、うわっ、なんだこのボンド臭!!とさけぶ。そして俺の椅子の惨状をみて、おいおいひでぇなこれは、という。
「・・・あー、見事にかたまってやがんなぁ」
自分の机まできて椅子のボンドをたしかめると、みどこにゴツゴツしていた。それをみてどうしようか悩んみながら、机に手をおくと、こちらも妙にゴツゴツしている、というか、デコボコしている。それ俺はなんだ?と顔をしかめて、机を見てみる。すると・・・机上が大変なことになっていた。
死ね・・・キモイ・・・学校にくるな・・・消えろ・・・カス・・・調子にのるな・・・雑魚・・・
ありとあらゆる罵詈雑言が俺の机の上に描かれていた。それは彫刻等かなにかで書かれたらしく、一生ものの傷であることはたしかだった。
「・・・おいおい、古風のいじめだなぁ」
俺はこれをみて、少しだけ泣きそうになってしまったりもしたのだが、犯人は・・・大体予想がついた。あいつ一人でやったとも考えられないが、いままでとくにといって調子こいてたわけでもないし、ほぼ空気としてこの学校ですごしてきた俺だ、一日二日でこんないじめがおこなわれるわけがない。だから理由があるとすれば、それは昨日の・・・中西だろう。
あー・・・喧嘩で負けたことが悔しかったのかなぁ?
そう思いながら俺は、西野、ちょっと手伝ってくれ、といって西野を呼ぶ。西野は俺のことを気まずげに見ていたが、なんの表情の変化も見せない俺に目を見開きながらも近くにくる。そんな友に俺は、こいつと友になれて、けっこうよかったのかもな、と思う。普通、こんな傍目から見たらすごいいじめをうけている生徒に、近づこうなんていうやつはいない。たとえそれが友達であったとしても、自分に飛び火するのが怖くて、近寄らないはずだ。なのにこいつはきてくれるのだ。・・・うーん、こいつ毒舌のわりにはいいやつなんだなぁ。
「んじゃちょいとこの机を多目的室においてきてくれ、そしてできたら真新しい、ピカピカの机と取り替えてきてくれ」
冗談を加えながらそういうと、西野はハッと口の端をつりあげて笑い、まかせとけ、といいながら俺のひどいありさまの机を外にはこびだし、多目的室にむかっていく。今の時間たいなら校舎にいる人は少ないから、人目を気にする必要もない。いやぁ、速めに気といてよかったなぁ。
さぁて、じゃぁこの椅子はどうするかなぁ?と俺は思う。そこでひとつ、ピンとアイデアがひらめいた。
「・・・誰もいないよな?」
辺りを見回して確認する。当然西野がここからでていってしまったのでもう今は誰もいない。ならばいい、学校には結界をはってあるとローラがいっていたし・・・【魔法】をつかってもなんの支障もないはずだ。
俺は右手を椅子にむかってむける。頭の中でボンドだけを燃やし尽くすと思いながら・・・その呪文を、詠唱する。
「Dhe forcen tone, drita skuqem dhe per te mbrojtur kryesor『我の力となり、その紅蓮は主を守る光となる』」
・・・呪文の意味とまるで違うところで使ってしまっているが、まぁそんなのは関係ない。魔法の大量使用は自分の中にある魔力を枯渇させてしまう可能性があるのであまりできないが、この程度の、木工用ボンドを燃やし尽くす程度のものなら、全然魔力を使わなくても大丈夫だ。
俺の右手に、黒い幾何学模様がうかびあがっていく。それはうずをまきながらさまざまな文字に変化していく。そのあちらこちらから炎がうかびあがり、俺の手をつつみこんでいく。そして俺は、その炎を、今まで以上に力を抑えたこの炎を、椅子のボンドだけにむかってはなつ。
するとどうだろう、あっさりとボンドはとけていく。実際なら木でできている椅子は簡単に燃えてしまうはずだが、俺がしつこくボンドだけを燃やせと炎に命令していたので、その現象はおこらない。ボンドはあっさりとその姿をけして、さらに、この部屋に充満していたボンドの臭いまで消えていく。それに俺はありがたいと思いながら手に宿る炎を消去し、椅子にふれる。椅子は無傷で、ボンドがあったかなんてまるでわからなくなっていた。・・・元の状態にもどったというわけだ。
「おーいさーが君、お前椅子はどうすんだって・・・あれ?ボンドは?」
丁度いいタイミングで西野が戻ってくる。するとどうだろう、西野は俺のいったとおり本当に真新しい机をもってきてくれた。いやぁ、こいつ使えるねぇ。
俺はボンドなんてあったっけ?といわんばかりに不思議そうな顔をする。それに大して西野は、ボンドだよボンドといいながら俺の椅子を指さすが、当然そこにボンドはない。なにいってんだお前と俺はいいながら、机を西野からうけとり、おく。
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【自作絵4つ目】 ( No.98 )
- 日時: 2011/02/18 02:17
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
そしてそのまま俺は椅子に座り、携帯をとりだす。昌子はどうやらもう学校にむかっているらしく、ついたらすぐに俺に会いたいのだという。まぁ・・・うん、今の問題は解決したし、それもいいか。昨日のあれもまだ聞いてないしな。・・・いやね、奥にはいって昌子は幼馴染以上の関係になろうとなんて考えはしないが、一応幼馴染というのよしみだ。相談があるなら聞いてやろうと思っている。
「・・・にっしてもお前、どこでなにをやらかしたんだ———ってそうか!!お前昨日中西をボコボコにしたからいじめられてんだな!!」
「・・・んー、まぁそうなんじゃね?」
「お前すげぇなぁ、なんであんなにひどいことやられて平気なんだ?俺なら絶対学校休む」
「なんでといわれてもなぁ。全然心がこもっていない罵倒なんて耳の穴かっぽじっても、眼球を見開いても頭の中にはいってきたりしないからなぁ」
「うわー・・・脇役の能力すげー」
「そういうお前も脇役だけどなんの能力もねぇなぁ?」
「んだとこのくそ根暗やろう」
お互いふざけあいながら時間をすごす。俺は西野の悪口を笑いながらいい西野も俺の悪口を笑いながらいう。中学時代ではこんな仲のいい友達ができなかった俺にとっては、こいつは・・・案外、ずっと仲良くやって生きたいなとも思えるほどだった。
そんなときに、コンコンとドアがノックされる。俺たちのほかにクラスメイトがきていなくて、しかも、こんなあさっぱらから先生が教室にはいってきたりもしなければ忘れ物をとりにきたりもしない。だったら、その相手はあいつしかいないだろう。
「ん?だれだ?」
西野がそういいながら立ち上がり、ドアにむかっていく。・・・そういえば、西野は俺と昌子が幼馴染だということをしらない。聞かれてもいないし、教えても俺にはなんの得もないからだ。
「はいはーい・・・って———つ、椿さん!?」
恐ろしく狼狽したような声が聞こえた。・・・そういえば日ごろから、西野は昌子のことをかわいいよなぁとかなんだのいっていた。たしかに、西野の趣味趣向、好みやタイプの話を聞いている限り、昌子のような、清楚でおとなしそうな容姿とは裏腹に、おでこまるだしのヘアピンてきな・・・いわゆるいまどきふうな感じのギヤップがある可愛らしさが西野は好きなのだ。だから昌子のことは俺はあえて言わなかった。自分とあいつが幼馴染だということをあえていわなかった。
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【自作絵4つ目】 ( No.99 )
- 日時: 2011/03/10 22:40
- 名前: だいこん大魔法 (ID: 00biOyrM)
「あ、あ、あのあのあの、う、うちのクラスになんの御用で?今はこの私めとなんの変哲もないただの平凡男しかいませんですよ?」
完全に緊張しきっている西野を見て、昌子は苦笑をする。それを見て俺は立ち上がって、ドアのところまでいく。
「えーと・・・西野君、だったっけ?しばらくだけど、君のお友達を借りるね〜」
「・・・どういうことか説明してもらおうかくそ平凡にんじんくそったれやろう」
「すさまじい勢いで態度を豹変したなぁ。お前って結構単純・・・」
西野に、俺とこいつは幼馴染なんだとてきとうにいって教室からでる。今はちゃんと事実をいっておいたほうがこいつの憤りはおさまるだろうし、なによりも隠す気はあまりなかったのだ。
その言葉にたいして西野は、口を唖然とさせていて、この平凡がうちの学校のアイドルと幼馴染?といわんばかりの顔をしていた。・・・お前失礼なやつだなぁ。ほっとけよ、たしかに俺はなんの特徴もない平凡そのものの顔立ちだけど、べつにいいじゃねぇか。
「えっと・・・昨日はなんで帰ってこなかったの?」
廊下にでると、昌子は歩き出す。どこにいくのだろうとついていってみると、突然昌子が口にする。
「昨日は大事な話があったんだよ?ひどくない?」
「・・・っていわれてもなんも聞かされてないし、俺の事情とお前の事情がたまたま運悪く重なっただけだろ」
「・・・運悪くかぁ、そういえば昨日、転校生が裕介のクラスにきたんだよね?」
「ああ、まぁきたな」
「私はその子のこと知らないんだけど」
「え?」
突然そういった、怒りの孕んだ声でそういった昌子にたいし、俺はまぬけな声をだすしかない。
「だから、私はその子のことしらないんだけど?裕介は知り合いだったってごまかしたらしいね。だけど私はその子のことなんて知らないよ?何年か幼馴染やってきてるけど、裕介に女の子の知り合いがいるなんて聞いたことないもん」
「・・・んだよそりゃ?」
その昌子の言葉に、つい俺もイラッとしてしまう。俺は語気を荒らげ、昌子を睨みつけるように見る。いつのまにか俺たちは・・・昨日のように、立ち止まっていた。
「それに仲がいいなんておかしいよね?ご両親には友達の家にとまるって理由で家をあけたって聞いたけど、実際はその子の家にでもいったんじゃないの?」
「・・・だからそれがお前になんの関係があるんだよ?俺とお前はただの幼馴染、それ以上の何でもねぇだろうが。なのになんで俺がやる行動をいちいちお前に説明しなきゃなんねぇんだよ?お前は俺のなんだ?恋人か?友達か?違うだろ?ただの・・・ただの幼馴染だろ?」
俺は昌子を本気で睨みつける。内にある力を少しだけだしてしまうほどに、俺の心は乱れていた。突然、昨日突然俺と一緒に学校にいこうとかいいだして、それまでは俺のことを別段気にしている風もなく、そう、本当に突然俺と仲を深めようとしてきた。それに俺はふざけるなと思う。その上、今まで俺の私生活なんてなんにも気にしていなかったくせに、聞いてくるのだ。俺を離れさせるような理由をつくり、俺がかまって欲しくないときにもうざいほどからんできて、前に俺はいってやった。これ以上俺にかかわるんじゃねぇと。それ以来昌子は俺と話すことをやめた。それが中三のころの出来事だった。まぁそのことは俺から謝ったからいいんだ。だけど昌子はやはり———そのことを反省しようとせず、さらにもっと深く俺にからんでくるようになった。・・・本当にふざけるなよ?俺はこれ以上お前とからんで、お前に人生を左右されたくはないんだ。俺は俺のすきな道を進みたいんだ。お前にかかわることのない・・・化物の道を。
「・・・」
ただの幼馴染だろ・・・という言葉に、昌子がひどくつらそうな顔をする。だけど俺はそんなとこでは止まらない。今までこいつらたまらされたストレスを今解消させてもらう。今まで俺がどんな思いでこいつと接していたのかを、吐き出す。
「俺が今までお前とどんな思いでせっしていたのかわかるのか?俺が今までお前のことをどう思っていたか分かるのか?わからないだろ?それは俺とお前が幼馴染というつながりしかもってねぇからなんだよ!!友達同士とならば、つきあっているだけでこいつは俺のことを友達と思ってくれてるんだなとかなんとなくわかるもんだし、恋人同士ならつきあっているだけでこいつは俺のことが好きなんだなってなんとなくわかるようなもんだ。たしかに俺に恋愛経験はないし最後のやつは曖昧だが、これだけはいえる。俺とお前はただの———たまたま隣同士の家になった、ただの幼馴染だ。それ以上のなんでもねぇ」
俺はいってやった。俺たちはただの幼馴染だと。深い関係なんてなにひとつもない、自然と仲互いしていく幼馴染なのだと。それに昌子は、今まで俺に見せたことのないような、ひどく、ひどく悲しそうな顔をする。めには涙をうかべ、口元を大きくゆがめ、ほろりと、涙をながす。それに俺は再び怒りを募らせる。こいつはどうして、なんのために、俺なんかと話ているのか、なんのために、俺なんかと仲良くしようとしているのか———そして俺は、なんのために、こいつから距離をとり、幼馴染という言葉を使って深いところにはいろうとしないのか。どうして・・・こいつの話を、聞いてやろうとしないのかと、自分に対する怒りょ募らせる。自分のいいたいことをいって、俺は冷静に考えたのだ。昌子は・・・なぜ突然俺との仲を深めようとしたのか、と。それにはなにか・・・絶対に理由があるはずだった。それで昨日も、曖昧な雰囲気で終わってしまったのだ。
だから俺は、優しく昌子を見つけて、微笑をうかべる。それに昌子は不思議そうな顔をしながら俺のことを、弱弱しく見つめる。それはまるで・・・大好きな人が、自分のことを嫌いだと言ったときみたいに・・・失恋したかのような、表情だった。
「・・・でもま、そんなことは今はどうでもいいんだ。なにか理由があるんだろ?俺と急に仲良くなろうとしたわけがあるんだろ?」
そういいながら、俺は再び歩き始める。そういえば、この道のりは体育倉庫に行くまでの道のりだった。体育館やグラウンドからはなれている体育倉庫は、今現在はただの倉庫とかしてしまっているが、誰もそのことを気に留めず、教師までもそれを撤去しようとしたりはしない。ドアにカギもかかってはおらず、毎晩そこでカップルがイチャイチャしているんじゃないかと噂がたっていたりもする。まぁ現実的には不良の溜まり場になっていそうなんだけどね。
顔をうつむかせながら昌子は俺についてくる。ついてきながら、俺のことをチラチラと見てきて、タイミングをうかがうかのようにして口を開く。
「・・・裕介は、私のことが嫌いなの?」
うーん・・・さきほどの、俺が怒鳴ったときの剣幕は相当なものだったのだろう、昌子が若干怯えたような顔でたずねてくる。それに俺は、
「・・・嫌いだったなら幼馴染なんてやってないさ」
そう、できるかぎり優しくいってやる。そのことに昌子は少しだけうれしそうな顔になり、すぐに真剣な顔にもどる。それから俺の顔をまじまじと見てきて———なにかを決意したかのように、声をだす。
「・・・裕介、真剣に聞いて欲しいの」
「おう」
「・・・実は、今日の朝、中西君が私の家にきたの」
「・・・中西が?」
中西がどうして昌子の家に?ていうかいままでの話となにか関係しているのか?それ?と思いながらも鸚鵡返しに聞き返す。昌子は少しだけ戸惑ったような顔になりつつも、再び真剣な顔になる。
「・・・うん、そのとき、私はこういわれた。『鎖牙裕介を体育倉庫にうまくよびだせ、さもなければ族の仲間に頼み込んでお前らの家族両方とも殺す』・・・っていわれたの」
・・・おい、昌子。昨日の大事な話ってやつを今するんじゃないのかよ?なんで今日の出来事になってんだよとか俺はいろいろなつっこみを頭の仲でうかべながらも、うなずく。
「それで私、怖くなって・・・、警察に電話しようとしたの。だけど———中西君が突然言えの仲に入ってきて、さらにガラの悪い男の人たちが数人はいってきて・・・どうすることもできなくて、私はそれに従ったの。今でも・・・、お母さんとお父さんが人質にとられてる」
「・・・大事な話だなぁ」
「・・・本当に大事なんだよ!!今は私の親だけしか人質にとられていないから大事にはなっていないけど、裕介の家には・・・麗帆ちゃんが入るんだよ?あんなに可愛い子に、男が手を出さないわけがないじゃない!!」
「それで・・・お前は俺を呼び出したってわけか。んで?そっちはわかったけどよ、昨日の大事な話ってのはなんだ?」
「そ、そんな私個人のことなんて今はどうでもいいの!!」
「んじゃなんで転校生のこととか聞いてきたわけよ?」
「それは———中西君が、裕介とその転校生が仲がいいのが許せない・・・とかわけのわからないことを言っていたから、すぐにでも裕介からその真意をたしかめたくて」
ああ・・・そういうわけか。なぁに誤解してんだよ俺は、誤解したあげく怒鳴って、かっこわりぃなぁ・・・。それが俺のもてない理由なんじゃないのか?勝手に突っ走ってしまう癖があるからこそ、俺はだめなんじゃないのか?
「・・・まぁそっちの話は後で聞いてやる。んで、相手は何人いる?」
「・・・ふぇ?」
「だから、相手は何人いるかっていってんだよ、中西と、後その仲間は何人だ?」
「ゆ・・・裕介?一人で喧嘩しようとなんてしてないよ・・・ね?」
「ん?どこに俺の仲間がいる?」
その言葉に昌子は愕然となる。深い悲しみの色が顔にうかぶ、後悔の色が顔にうかぶ。もしかしたら昌子は、先生か誰かにたのんで警察を呼んでもらい、事態を収拾するつもりだったらしい。だけど、こういった類の連中は、だいたい檻の中からでてくるとまたこういったことを簡単にやってしまう。だからこそ、実力行使でいくしかない。そもそも・・・その連中と俺の力の差は大きすぎるのだ。人間レベルで最強の強さをほこるやつであろうが誰であろうが、化物レベルで最弱の俺に、勝てるわけがないのだ。人間と化物、その力の差はでかすぎるから———。
「んじゃま、ちょっくら殴られてきますかね?」
「ま、まって・・・このことは先生に———」
「あー、男には拳で殴りあわなければならないときがあるんだよ」
「か、かっこいいセリフをいったって誤魔化されないんだからね!!いくら裕介が昔空手で強かったからって喧嘩慣れしている人には———」
ズバシン!!という音が、空気を切り裂き、昌子の目の前で止まる。内に秘める力を全解放して、今俺は、昌子にむかって寸止めをはかった。その速度に、その空気を切り裂く音に、昌子は目を見開き、言葉を失ってしまう。俺は苦笑いをして、昌子につきだしていた腕をひっこめて
「なぁに、心配すんな。一回は五十回の法則で少し成敗してきてやるだけだからな」
そう冗談めかして言う。実をいうと、少し我慢の限界だった。昌子をつかい、俺を誘い出すところが気に食わない、昌子の家族を人質にとるのが気に食わない。なによりも、正面からこないでねちねちとやってくるところが気に食わない。いい加減殴ってやりたい。我慢の限界なのだ。俺の幼馴染をこんなに辛そうにしたことに対して、苛立ちが募ってくるのだ。俺とエルが仲がいいだけでどうして忌み嫌われなければならない。昨日負けたものがどれほど悔しかろうが、脅迫という犯罪に手を染めていいものではない。いくら平凡でグーダラしている俺だって、やるときゃやるんだ。不良でもそこらへんはわきまえて欲しいものだぜ。
そして俺は体育倉庫まで歩きだす。後ろから昌子がついてくる気配は———なかった。
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 【自作絵4つ目】 ( No.100 )
- 日時: 2011/02/19 11:06
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
「・・・おおっとぉ、今日の主役の登場だぜぇ?」
体育倉庫、無駄に広いその中には、いまどきこんな格好をしている不良がいんのかよと思うほどの不良チックなやつらが二十人ぐらい待機していた。そいつらは下卑た笑いで俺を嘲笑し、馬鹿にする。その中には当然中西もいて、とくにそいつが一番俺のことをあざ笑うかのような態度で見ていた。
ブチ・・・と俺の中で何かが切れる音がする。それは怒りからくる圧迫で血管が切れた音かもしれない。だけど俺はそれをほうっておく。
すぐにでも俺に殴りかかってくるような奴らがいないか見極めながら、中西のほうを見る。
「・・・ご使命ありがとうございますねぇ。それで本日はどういったご用件で?」
なるべく皮肉に聞こえるようにそういってやると。突然あたりの不良たちがいきり立つ。頭の回転がおろしく速いようで、今の俺の発言をちゃんと皮肉だち理解したようだった。その間にも俺は頭の中で言葉を思い浮かべている。ただの人間相手に使うなんて魔力がもったいないのだが、身体能力をあげてなお魔法を人の目には触れさせない、『イフリートティア』を使わなければ、流石に一発か二発ぐらいもらってしまうだろうとふんだからだ。頭の中で完成した呪文は、俺は小声で詠唱して、炎が噴出さないように最初から腕の中に納めておく。これで十分間俺の身体能力は完全な化物になったわけだ。
「決まってんだろ?お前をサンドバッグにするんだよ。そのために先輩たちも呼んで来たしこのなかにゃ族の仲間だっている。お前一人でどうにかなる相手じゃねぇことはわかってるよな?」
「そりゃご苦労なことで。俺一人のためにどんだけ時間を食ったのか知りたいねぇ」
「・・・てめぇ、調子こいてんじゃねぇ!!」
後ろから、体育倉庫のドアの前で待機していた一人で俺にむかってなにかを振り下ろす。それを見て俺は、おいおいシャレにならねぇぞといいながらその・・・釘つきバッドをかわす。そいつの行動によって怒りがたまっていたほかの不良も俺に鉄パイプやら木製バッドやらをふりかぶってくる。それに俺は、目を細め、軌道線を読み取り、回避行動に移りなおかつできるかぎりの反撃をおこなうことにした。
この人数の不良を相手にする主人公———ああ、なんという漫画なんだろう、なんという小説なんだろう。いつから・・・ていうか昨日からどうも俺の人生はそういった現実的にはありえないものに移り変わってきてしまっている。でもそれもいいと思う。こんなにスリルがあって、こんなに楽しいのなら———脇役として人生をすごすより、やっぱりこっちの・・・化物の道を進んだほうが、楽しいと思う。
俺はおそらくすさまじい勢いでせまるバッドをまず片手でうけとめ、それをにぎりしめる。たったそれだけでバッドの先端も俺が手にしていた部分は粉々に砕けてしまう。それに驚いた不良の一人は俺のによってその場から離脱する。『イフリートティア』を使っている今なら、こいつらの動きはなめくじのように遅く見える。だから、どんな攻撃をされようが、俺に届くことは絶対にありえないと思う。
鉄パイプを殴って折り曲げ、それをつかんでぐいっとひっぱってその持ち主の腹にむかって膝蹴りをはなつ。そこまで本気で蹴っていないのに相手はギャァァとか言いながら味方を巻き込んで吹っ飛んでいってしまう。ほかの不良たちはその異変に気がつくことなく、たった一発蹴っただけで、六十キロ前後ある人間が簡単に吹っ飛んでしまうという違和感に気がつくことなく、俺にさらに武器や拳を、蹴りをはなってくる。
「ああめんどくせぇなぁおい!!」
そういいながら俺は回し蹴りをはなって数人さらに吹き飛ばす。次に一番近くで少しだけキレのいい動きをするやつにむかって頭突きを食らわして消沈させ、後ろからバッドを振り下ろしてきた奴にむかって後頭部で頭突きを食らわしてやる。そして俺はそいつのバッドを強奪してぶん回しながらあたりにいたやつらをなぎ払って、最後にちょっとはなれたところにいたやつにむかってバッドを投げつけて、そいつも消沈させる。
いつのまにやら、不良はもう俺の近くにはいなかった。まだ俺の攻撃を食らっていない不良は完全に俺を化物を見るかのような目でみていて、怯えきってしまっている。それに俺はハァとため息をついて
「・・・もうめんどくせぇからさぁ、とっとと昌子の家で待機しているやつを帰してくんねぇかなぁ?さもなければ・・・」
そこで俺はニヤァと笑う。その表情に中西以外の不良が怯えてしまう。中西は怯えていない・・・というか、完全に震えきってしまっていて、俺のその表情をみてさせもいなかった。
「テメェら全員、この世の者じゃないぐらいに顔面をぐちゃぐちゃにしてやったっていいんだぜ?」
完全に悪役になりきった俺は、おもしろくてしょうがないといわんばかりに笑ってやる。そしてそんなことを平気でいってのける俺にたいして、不良たちは———
「わ、わかりました、兄貴。今度から兄貴には一生逆らいません!!」
・・・あ?
「中西のやろうは後でぶん殴っておきますからどうか見逃してください兄貴!!」
・・・あ゛あ゛?
「お、おい!!兄貴が怒っちまったじゃねぇか。早く椿の姉御の家で待機しているやつを呼び戻せ!!・・・すいませんね兄貴、もう大丈夫ですよ。椿の姉御には手をだしてませんし椿の姉御のご両親にも手を出していませんので」
・・・だから、あ゛あ゛?っつってんだけど?
次々と完全に不良、今まで何人もの人を殴ってきたであろうやつらが俺を兄貴と呼んで慕ってくる。・・・上下関係。強いものは長となり、弱いものは従となる。ヤクザそのものの設定はわからないが、昔みた不良漫画にはそんな感じのことがのっていた。さきほど俺は、こいつらにむかって圧倒的なまでの力をしめしてやった。だから、力の差を完全に思い知ったこいつらは、俺のことを兄貴と慕ってきたのだろう。
・・・といっても、絶対こいつらのほうが年上なんだけどね?
「連絡終わりました!!椿の姉御の家で待機しているやつらは戻ってきます!!そのとき二、三発殴っておきますのでどうかやつらのことは許してやってください兄貴!!」
「あ・・・ああ、じゃ、じゃぁ俺はもう行くけどいいな?」
「おつかれさんした!!兄貴!!」
「お勤めご苦労様です!!」
「あー・・・それと、お前ら、今度人前で俺のことを兄貴だのなんだのと呼んだら殺すからな?」
「承りました!!」
「了解です兄貴!!」
そして俺は、結構満足していたのである。兄貴って呼ばれるのもなんかいいね。
こうして———楽々と事件の収拾はすんだのである———だけどこれが、この事件こそが、この後におこる戦闘の始まりの合図だということは———兄貴と呼ばれて優越感に浸っていた俺には、まったくもって予想できなかったのである。
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