コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 二話解禁
- 日時: 2011/09/01 02:20
- 名前: だいこん大魔法 (ID: qd1P8yNT)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id=758.jpg
初めての投稿です!!そして初めての小説です。まだ途中ですががんばって書いていきたいと思います!!内容の細々とした設定は後々追加していく予定ですのでどうかよろしくおねがいします!!そして、初めて書くので全然下手で文章力もないですが、荒しとか、下手だからやめとけとか言わないでください。そう思うならとっとと帰っちまえ!!とおもう所存ですゆえ・・・。^^;
タイトル変更のお知らせ 【紅蓮の契約者】からErret Crimson〜紅蓮の契約者〜になりました^^;オリキャラ募集は引き続き行っています^^;おねがいします〜
参照200突破したので主人公から一言—————「え?は?おまえなにいっちゃってんの?そういうのは作者がするもんだろ?」———いいからいいから———「いいからじゃねーよ!恥ずかしいだろ!?」———いいからやれよ馬鹿!!———「逆切れされた!?」———・・・いつまでもこのヘタレが私に逆らってくるので今回はこの辺で———『一言終了』
参照300突破したのでヒロインから一言—————「こんにちは、エルシャロン・ユアハーツです♪この度は私と裕介のイチャイチャラブストーリーを読んでくださり」———ちょ、エルさん?違う、違うからね?———「・・・はぁ?人間風情が気軽に私の名前を呼ぶんじゃないわよ」———おーい・・・本性でちゃってますよ〜———「ていうかそもそもこれを裕介が見るわけじゃないんだし、一言とか必要ないじゃない」———・・・あー、エルさんが帰っちゃったので今回はこの辺で———『一言終了』
参照400突破したので先生から一言—————「こんにちは(キラッ)髪の毛がワイルドなほどに生えている雉田信之助デスッ(キラッ)」———うそはよくないと思います、先生———「う、うそじゃないもん!!ほんとだもん!!」———きもいんでやめてもらえますか?———「フン・・・キサマはどうやらこの私を怒らせてしまったようだな・・・喰らえ!!ハゲビーム!!」———えー、この先生相手にするのがめんどくさいので———『一言終了』
参照500突破したので西野から一言—————「始めてまして、西野です。鎖牙裕介の友達やってます。好きなことはゲームで趣味はゲームで将来結婚したいのはゲームで」———おいオタク。お前は自己紹介でなにいってやがんだよ———「今発言してきた人は無視してください。ゲームの中の登場人物の声ですので」———おいお前、作者にむかってそんなこといってっと登場させないぞ?———「では、ここらで俺がオススメするゲームを紹介し」———・・・どいつもこいつもまじめな挨拶ができないと私が失望したのでここらへんで———『一言終了』
参照600突破したので昌子から一言もらおうと思ったけどもうなんか前のやつらがとてもめんどくさい反応をしていたのでこの企画はなかったことに———「ちょ、ちょっと作者さん!!私にもやらせてくださいよぉ!!」———えー・・・だってどうせふざけるんでしょ?———「ふ、ふざけないです!!だからお願いします!!」———まぁそこまでいうならやらせてあげないでもないけど———「そうですか?ならもうあなたには用はないのでとっとと帰・・・」———はいはい、強制終了します—————『一言終了』
参照700突破したのでサブキャラクターみたいな感じになっている佐々木さんから一言—————「う、うぇ?わ・・・わたしですか?」———うん、おねがいね———「う・・・うう・・・あ、あの・・・こ、この物語は・・・ええと・・・あの・・・そのぅ」———緊張しなくていいよ〜、一言いってくれればそれでいいから———「え、あ・・・はい。え・・・と、この作品は、んと・・・」———む、無理しなくてもいいよ?———「ふぇ・・・お、お役に立てなくて申し訳ありません」—————というわけで、一番まともな挨拶をしてくれようとした佐々木さんに盛大な拍手を!!『一言終了』
もうすぐ一話終了だっていうことで、ここでひとつ、主人公に一言もらおうと思います、どうでしょう?こんどこそやってもらえますね?—————「よ・・・よし、今度こそはいけそうだ。ちゃんとやってやる」———そうこなくっちゃな、主人公さんよ———「うーん・・・若干作者がうざいけどまぁしょうがねぇ・・・やってやらんこともないぜ」———いいから黙って始めなさいこのヘタレ主人公———「あーあー!!わかったよくそっ・・・えーと・・・なになに?」———プッ・・・セリフも覚えられてなかったのかよこの子———「うぐっ・・・う・・・うるせぇこの駄作者!!ちょっとだまっとけ!!」———といわれて黙る私だとお思いですかな?———「・・・もしかして、最初のやつ根に持ってんのか?」———・・・———「ぷっ・・・器のちっちぇやろうだなぁ」———・・・えーと、では、次回から主人公はこのヘタレ男ではなく雉田先生に———「え?まじ?よっしゃああぁぁ!!この髪の毛がワイルドなほどに生えている雉田信之助様にすべておまかせあれええぇぇぇ!?」———「先生はだまってろ・・・!!」———「なんだと?このワイルドなほどに髪の毛・・・もといワイルドなほどに髪の毛が生えているこの雉田信之助様にただのヘタレのお前が勝てるとでも?ハーッハッハッハ!!」———「・・・ハゲ、育毛剤、つるつる、カツラ、テカテカ、抜け落ちる髪の毛、ワイルドほどになにもなかツルツル頭」———「うわああぁぁ!!ヘタレ男がいじめるううぅぅ!!」———「きしょいんだよこのくそやろう!!くっつくんじゃねぇ!!」———
・・・と、いうわけで、一話終了まじかの一言でしたー、また次回〜———「「っておいなにかってに終わらせてんだこのくそ作者!!」」———そういうところだけはそろうんですね、そしてきしょくが悪いですね、先生———「うわあああぁぁん!!」———というわけで、まぁ・・・最後ぐらいはお前に閉めさせてやるよ、ほら、最後に挨拶ぐらいしときなさい———「ぐっ・・・まぁいい、ていうか一言とかなにもいってないような気がするけど・・・ま・・・いいか。んじゃ、Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜の一話を読んでくださりありがとうございました。引き続き、二話もこの駄作者が書いてくださるということなので、期待せず、むしろ作者を罵倒しながら待っていてください、んじゃ・・・というわけで」———一言終了。そして作者から一言
—————————まだエピローグが終わってないんだぜ——————————
最近かいてて思ったこと『別の小説に熱が入ってしまってなかなか進まない・・・』
山下愁様による、この作品の宣伝文です!!なんというかもう神ですね^^小説本編が宣伝文に劣っているという真実が———^^;
↓
————————
「僕は君を——守りたいんだ」
夕日が赤く染める空き地で、少年は少女に『力』を入れられた。
それは、彼女を守る為の能力——。
その日を境に、主人公・裕介の物語は始まった。
それから高校生になった裕介の日常は、至って普通だった。
幼なじみと登校し、
友達と馬鹿騒ぎを起こし、
普通に授業を受けると言うありふれた人生を送っていた。
人生の脇役を演じる裕介の前に現れたのは、
1人の転入生だった————。
そして、その転入生は、裕介が昔好きだったと言う女の子だった。
予測不能なファンタジー小説が、コメディライトにて活躍中!
裕介の未来はどうなってしまうのだろうか?!
Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜
「この世界に空気が存在するように、光が存在するように、太陽が存在するように月が存在するように、『これ』も存在するの」
————————
>>6 登場人物紹介&オリキャラ素材
第一話 サブタイトル【邂逅】
プロローグ>>0
一章、始まりを運ぶ者 >>1 >>2 >>3 >>4 >>5 >>7 >>8
二章、再会の意味を知る者 >>8 >>9 >>10 >>11 >>13 >>18 >>23 >>25 >>26
三章、紅蓮の契約者 >>29 >>32 >>33 >>34 >>39 >>43 >>44
四章、幽霊屋敷の能力者 >>47 >>48 >>49 >>52 >>53 >>54 >>55 >>57
五章、孤高の翼をもつ者 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63 >>64 >>71 >>74
六章、孤独の愛する者 >>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>83 >>84 >>85 >>86 >>87 >>88
七章、結社最初の襲撃者 >>89 >>92 >>94 >>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>103 >>104 >>105 >>106 >>107 >>109 >>115 >>116 >>120 >>121 >>122 >>123 >>124 >>125 >>126 >>127 >>132 >>172 >>176 >>177 >>180 >>182 >>183 >>184
エピローグ>>186 >>187 >>188
第二話 サブタイトル【解禁】
プロローグ>>199
参照800突破初企画始動 裕介、中学時代のバレンタイン >>133 >>134 >>135 >>136 >>137 >>138 >>140 >>147 >>148 >>149 >>155 >>158 >>162
>>165 >>166 >>167 企画END
魔法の詳細てきなもの>>142
秋原かざや様による小説紹介文>>185
作者自作イラスト(裕介) >>56 >>110 (エル) >>67 >>93 >>189 (リーナ) >>91 扉絵>>0
凡さまの神イラスト>>170
スペシャルサンクス(コメントをくれたお客様) >>67
では、そんなこんなで本編スタートです!!↓
プロローグ、涙とともに消える記憶
「この世界に空気が存在するように、光が存在するように、太陽が存在するように月が存在するように・・・『これ』も存在しているのよ」
なにもない。ただの空き地となってしまったこの場所で、一人の幼くも美しい、それでいて不気味な雰囲気をまとっている少女の声が響く。
夕日に照らされた少女の髪はオレンジ色に染まり・・・顔は、影にかくれて見えない。草が適当なサイズに切られているこの空き地には、もう一人の少年らしき人物がたっていた。
その少年らしき人物は少女の声に聞き入り、うんうんとうなずきながら、少女のほうをみつめている。その少年のほうは影になっておらず、六、七歳の男の子だということがわかる。とくにといった特徴の無い顔、少しだけ長い漆黒の髪、身長はその少女よりも少しだけ大きい。
少女は子供が無邪気に笑っているのとは程遠い、美しい笑みを浮かべながら、その少年のことを見ている。その少女の雰囲気には、まるで愛しい人をみているかのような空気がまとっているようにも思えた。
少年は早く続きが聞きたいのか、早く早く、と少女のことを急かす。少女はニッコリは笑った後、再び声をだす。
「『これ』は使える人には使える。たとえば、それが得意な人にとってはそれが簡単にできて、それが得意じゃない人はそれは簡単にできない。つまりそういうことなの。『これ』は、私のように使える人にとっては簡単に使えて、あなたのように、使えない人にはできないの。わかった?」
首をかしげながら少女は少年に聞く。少年はそんな少女の言葉にガッカリした雰囲気をだしていた。それを察した少女は、慌てて言葉をつけたした。
「あ、あ、でもね、あなたも使えるようになれる方法が一つだけあるよ」
それに少年は顔を上げる。その少女の顔を見ながら少年が感じたのは、疑問だけだった。まだ幼い少年の頭では、理解ができなかったのだ。
だが少女は、やはり愛しそうにその少年を見つめる。見つめながら顔をよせてきて、理解できていない少年の耳元でそっと・・・ささやく。
「そう・・・ひとつだけ。私の力をあなたに入れる。そうすれば、あなたは『これ』を使えるようになる」
「ほ、本当!?」
そのときはじめて少年は歓喜の声をあげた。だけど少女の言葉はまだ続いていて・・・
「でも・・・それをやったらあなたは、あなたの人生は・・・捻じ曲がる。私のような狂った化物しかいない、最悪の人生・・・違う、もう人生ともいえない道を進むことになる・・・それでも、いいの?」
さっきとは裏腹、少女の声には寂しさが宿っていた。それは自分に対する言葉でもあったかのように、少女は寂しそうに顔をゆがめる。
少年はそんな少女の顔を見るのが嫌いだった。少女とあって二ヶ月の間にこの表情を何度みたことだろうか、見るたびに、少年の頭の中にはひとつの言葉が浮かび上がる。————守りたい————と。
それは小さい子供の我が侭な感情なのかもしれない。でも少年は、自分のことなんかどうでもいいから、少女を守りたい・・・と、そう思うのだ。好きな人を———守りたいと、思うのだ。
だから少年は、すぐ近くにいる少女の腰に手を回し、思い切り抱き寄せてから、言うのだ。
「・・・僕は君を、———を守りたいんだ」
その言葉に少女は目を見開き、驚きの表情を見せる。今までに無かった反応に少年は笑いながら、もっと強く少女を抱き寄せる。その細くてしなやかな体を、抱き寄せる。
少女は少年の抱擁をうけいれながら、うれしさに笑顔を見せる。今までに自分に近づいてくる奴は大抵汚いやつばかりだった。『これ』を使おうと自分を利用したりする、汚いやつらだったり、この力を恐れた連中による、自分を殺そうとするものばかりだった。だけど、この少年からはそんな汚いものは見えない。あるのは、自分を守りたいという純粋な・・・気持ちだけ———
「じゃぁ・・・力をいれるよ?」
そう小さく少女が呟く。うれしさを押し殺したかのような声で、そうつぶやく少年はその少女の言葉に返す。
「どうやって?」
少女はやはり、愛しそうに少年の言葉を聞く。だけど、ちゃんと答えてあげないとだめだと思った少女は、少年の胸から少しだけはなれて、目をみて言う。
「簡単だよ〜。ただあなたの手にわたしの力を込めた手を重ねるの」
よくわからない、といった表情をみせた少年だが、一応少女から離れて、両手を前に突き出す。少女は少年の行動の速さに納得して、両手に力を込める。その瞬間、その小さく滑らかな手に黒い幾千の文字が生まれていく。その手を少年の手に重ねるようにして差し出した少女は、こう呟く。
「はい、これで私の力があなたのなかに入った。でも、最後の言葉を交わさないと、契約は完成しないの」
「契約?」
「そ、力を分け与えるための契約の儀式。その段階が今ので、言葉がこれから言わなければならないもの」
「えと・・・なにをいえばいいの?」
「ただ私のことを愛しているといえばいいの」
「え・・・」
「もしも愛していないもの同士が力を共有すると・・・その力は互いを拒絶して、暴走してしまうの・・・あ、あの・・・それで、あなたは私のこと、嫌い?」
「き、嫌いじゃ、ないよ」
「じゃぁ言ってよ、好きだって」
少年の顔が真っ赤に染まっていく。夕日に照らされている今でもわかるほどに、紅く染まっていく。それに少女は笑い、言葉を発する。
「私は、裕介のことが好きだよ」
おそらくその少女の顔は、真っ赤に染まっていたのだろう。わからないのは、影にかくれているからだ。
そして———、少年は言葉を発する。少女を愛しているといおうと、言葉を発しようとする。
そこで———————すべての物語は始まったのだ。ゆっくりと、着実に・・・鎖牙裕介の物語は、始まったのだ。
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- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 ( No.76 )
- 日時: 2011/02/09 23:30
- 名前: だいこん大魔法 (ID: AEu.ecsA)
結局、打開策は思いつかなかった。何一つとして、思いつかなかった。エルがいうからには、その【氷翼の魔術師】と【孤独の人形師】が二人係でかかってきた場合、俺たちが全員でかかっても太刀打ちが出来ないのだという。【孤独の人形師】の強さはわからないが、それでも【氷翼の魔術師】と同じ位にいるところからして、相当な強さを持っているのだろう。もしかしたらエルの力でもなんとかなる相手かもしれないのだが、そうしたら今度は俺たちだけで【氷翼の魔術師】と戦わなければならなくなってしまう。まず第一に【氷翼の魔術師】を倒すにはエルがいなければ無理だ。ルミ以外【禁呪】が使えないというこのメンバーには、勝つことは不可能なのだ。実際なら【禁呪】をもつ者同士で戦ってもらえれば大丈夫なのかもしれないが、ルミの場合、その【禁呪】の制御ができないのだ。だから、もう打開策はないとしかいいようがなかった。
だけど、俺たちは仲間がいれば、いつどんなときでも希望は見えてくる、という今まで仲間がいなくてずっと一人の戦いをしてきたエルが知ったかぶりのような口調でそんなことをいったので、なんとなく俺たちも大丈夫なんじゃないかと思い、笑った。
その出来事が今から五時間前の出来事だった。
今俺は、エルの家にきている。ローラたちも念のため、ということでエルの家にきている。最初はそんな大人数は入れないんじゃないかと俺が疑問をぶつけたのだが、エルの借りているマンションはどうも・・・超高級マンションであったらしい。すごく部屋が広くてヤバイです、はい。二階建ての俺の家の部屋全部をあわせてもここの広さにはとどかないと思います・・・ってそれ考え直したらすごくむなしくなってきちゃったんですけど・・・。
「裕介、ぎゅってしよ、ぎゅって♪」
そういえば、エルの住み着いたこの一室は、なんと部屋が六個以上も個別に分けられていたのだ。さらに広いリビングがあって、台所まで広いとか言う。なんというかもう、本物のセレブとかしか暮らせないような場所に俺はきちゃっていいのだろうか?とかいう場違い感を露にしながらも、一応俺はエルから一つの個室を与えられている。そこはなぜか俺があらかじめ来ることが予定されていたみたいにキレイで、しかもなんかベッドが天蓋付きだったりするのだ。落ち着かない感じでフワフワすぎるベッドに横たわったのが丁度一時間ぐらい前で、今はなぜかソワソワして眠れない、といった風な状況なのだ。
「ゆぅすけぇ〜・・・ぎゅって、しよ?」
なんだかんだいっても、エルと九年ぶりに再会したのだ・・・、その緊張感、その罪悪感、その歓迎感・・・、そのなにもかもが俺の心臓の動きを活発化させて、さらに脳を眠りにつかせようとはしないのだ。エルはいままで俺がいないところでなにをやっていたのだろうかとかいろいろ気になってしょうがないのだ。エルは俺に愛想をつかしていないかとか俺はエルのことを守ることが出来るのだとか・・・、いろいろなことが脳内で渦巻いてははじけるのだ。
「うぅ〜!!」
「いてててて、いたい!!いたいって、エル!!」
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 ( No.77 )
- 日時: 2011/03/28 14:41
- 名前: だいこん大魔法 (ID: IZus4UZf)
・・・あー、言い忘れてたけど、さっきから俺のベッドにもぐりこんでさらに俺のかぶっている布団の中にもぐりこんで横むきに寝転がっている俺の目の前に来て甘えた声でぎゅってしよ、とか言っていたのはエルだ。俺は恥ずかしさからそれをあえて無視していたのだが、それがどうやらあだになってしまったようだあああぁぁ、いてえぇぇ!!
「なんで無視するの!?」
俺から少しはなれたエルが、俺の手を思い切り握りつぶしながらそんなことを言ってくる。上目遣いに睨みつけられている俺は、手の痛みにひぃひぃいいながらエルのことをなぐさめた。
「い、いや、む、無視はしてないぞっ?その、な、なんだ、女の子に、そ、そんなこと言われたら・・・」
「言われたら?」
「恥ずかしくてなんと反応すればいいかわからなくてですね・・・」
「それで?」
「よし、エル、まぁまずは落ち着け。俺はお前がかわいいから恥ずかしくてしょうがなかったんだ、お前もわかるだろ?超絶イケメンさまがお前にいきなりぎゅっとしよ♪とか言ってきたら恥ずかしくてしょうがなくなるだろ?」
「私は裕介にしかそんなこと言われたくないもーん」
「オーケー、ぎゅってしようぜエル」
手の痛みがすさまじすぎてだいぶ気がおかしくなってきた俺。今自分でなにを口走ったのか覚えていません。そんな俺を差し置いて、エルは突然顔を爆発しそうなほどに染めて、俺の手を握る強さを更に強めて、今度はもじもじと俺のことを上目遣いで見てくる。
そんな時俺は泡を吹きそうになっていたわけですけどね・・・。
「きゅ、九年ぶりにさ、再会したんだし、そ、そのくらいのスキンシップは、しょ、しょうがないよね?」
「そうだなしょうがないなだからはやく手をはなしてくださいおねがいしますいたいですいたいいたいいたいいたいですぅぅぅ」
エルがモジモジしながら可愛らしくそんなことを言っているのを差し置いて俺は区切り無しで一気にそういう。そのとき初めてエルはしまった、といったふうな顔になり、ぱっと俺の手をはなす。俺はすぐにエルのやわらかい手からはなれた自分の手を見る。・・・とくに骨とかは折れていないようだが、紫色になっちゃってるよ。どんだけ威力つよいねんちくしょう・・・。
「え、えっと、ごめんなさい」
シュンとしてしまったエルをみた俺は、ま、べつにこのくらいならいいか、とか思ってしまった。ヘタレだし。抗議とかしたらなんて返ってくるかわかんなくて怖いし。
「ん、じゃぁ俺は寝るぞ」
そういって俺はエルの反対方向をむこうとする・・・だがしかし、エルは俺にだきついて、それを止めた。
正面から向き合う形で抱き合う形となってしまった・・・正直、手の痛みがなければ俺は死ぬほど恥ずかしくなっていたと思う。だけど、フルフルと肩を震わしているエルのことを見ていると、なにかこの行動に裏があるんじゃないか、と気がついた。
そしてそれは的中した———
「・・・九年ぶりに、やっと裕介に会えて———なのに、私は命を狙われている。明日死ぬかもしれないの———だから、今日が最後かもしれないから・・・、裕介の体に抱きつくのも、もう一生できなくなっちゃうかもしれないから・・・、だからお願いします、今日だけは、・・・うぅ、ううぅ・・・」
途中から嗚咽にそれは変わった・・・。
そう・・・、エルは自分よりも強い相手に命を狙われている。確実に自分のことを殺すことができる相手に、命を狙われている。それでもって・・・エルはたしか———
「・・・エル、一つだけ聞きたいことがある」
エルが嗚咽を漏らしながら、俺の胸にしがみついているのを気にせず、俺は言う、ひとつだけ、そう、俺はひとつだけエルに聞きたいことがあったのだ。ローラから聞いた———そう、あのことを
「お前の魔力は・・・枯渇してきているのか?」
俺が極力優しくそういうと、エルは悪いことをして親にそれがバレて怒られているときの気弱さでその言葉に———頷く。
「そっか・・・、なら、なんも問題ねぇな」
そして俺はそれを笑い飛ばす。なにもない、空白の笑顔で、エルを安心させるべく笑う。ただただ、笑うだけ。俺も笑っているから、お前も泣いてないで・・・その美しい顔で笑ってくれといったふうに・・・笑うだけ。
「はっ、【魔力の枯渇した魔術師】はただの人間と同じだろ?だったら、狙われる意味なんてないし、なんの心配もないって!!」
それがなにも意味をしていないことはわかっている。こんな虚実が、エルに通用するとも思えない。だけど俺は、精一杯のヘタレ根性で・・・エルを笑わせたかったのだ。
そしてエルは・・・、目じりに涙をためながらも、か弱い微笑みをうかべるのだった。
(・・・絶対に、俺が強くなって、守ってやるさ)
そしてその言葉は、九年前にいえなかったその言葉は・・・心の中だけにしまっておくことにした———
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 ( No.78 )
- 日時: 2011/02/11 23:40
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
・・・時間はうつる。今俺は、深夜の、真夜中の公園に一人、ブランコをこいでいた。
なにをすることでもなくそこにいるわけでもない。俺は、コーヒーを飲みながら天に光る星を眺めながら、『イメージ』を頭の中でめぐらせていた。
エルが安心しきった、美しさと可愛らしさのまじった、なんというのだろう・・・萌え?とかいうのか?そういったふうな表情で寝ているのを確認した俺は、こっそりとぬけだして、まだおきて周囲の警戒をしていたローラに後をまかせて、一人でエルの住んでいるでかいマンションの近くにあるそれまた広い公園、今そこに俺はいる。時間はさきほどからエルが寝る時間までの一時間が経過している。エルは一時間の間ずっと俺のにおいをかいだり頭をグリグリと俺におしつけてきたりしまいにはキスなんてしてこようとしたりしたのだが・・・、まぁ、なんだかんだで俺はそれを阻止して、今ここにいる。
・・・いくら、いくら俺が弱いといったって、それで納得しているようでは、いけないのだと、俺は思った。それは、【氷翼の魔術師】と【孤独の人形師】にエルが狙われていると知ったときから、思っていた。そんなんで納得していてしまっては、俺はただのまぬけでアホで馬鹿だ。自分がそいつらに絶対に勝てないからって、そんなんで・・・大切な人をあきらめてしまうなんて、本物のアホだ。
一日で、いや、たった数時間で、俺がどれだけ強くなれるかで、もしかしたら———可能性は見えてくるかもしれない。新しい魔法を覚えなくとも、魔法の詠唱時間短縮、感覚のつかみを覚えれば———もしかしたら———。そう、自分にもしかしたらの自己暗示を、俺はかける。人間とはすこし単純な生き物だ。自分でそれができるとかそれになってやるとか将来の希望をその場で口にすると、自然と体や脳がその目標にむかって全身していく傾向があるらしい。どこかしらの学者がそんなことをいっていたことを昔俺はきいて、なぜだかそれだけが俺の頭の中にのこっていた。だから俺はそれを実戦して、自身に自己暗示をかける。俺はエルのことを守り抜くと、頭の中で、思い
「守ってやるんだ———」
そしてそれを口にだす。
今まで俺は・・・誰かのために、戦ったこと、誰かのために強くなったこと、そんなことは一度もなかった。空手だって自分のためにやり、喧嘩だって自分のためにやった。誰かが襲われていたからではない。誰かを守るためではない。だけど俺は、エルと再会して、自分では認識できないほどの、小さな変化を・・・おそらく、覚えている。
俺は変わらなくてはならない。そのためにはまず、エルを守らなくてはならない。なにが大切で、なにが重要なのか・・・、昔そんなことを教えてくれたエルに・・・報わなければならない。
自分でもなにをいっているのかわからないが、それが俺の覚悟、人生の道を捨ててまで、化物しかいない道に歩んだ俺の決意。はは・・・ちょっとシリアスモードになっちまったかな、んじゃ・・・ちょいと始めますかね。なさけない、一人のヘタレの修行を。
「World shkaterrimin zjarr i madh ne dore, ne zjarr dore, ne te gjithe e hani『劫火を手に、業火を手に、我は全てを食らう』」
瞬間、手に持っていたコーヒーの缶が熱で溶ける。右手にもっていたコーヒーの缶で、俺の手をつつむかのようにして現れた炎によって、消えてなくなってしまう。そういえばまだ中身残ってたなとかいらないことを考えながら、俺はブランコから立ち上がる。
・・・前『イフリートティア』を使ったときはローラとの戦闘でだ。そのときは、腕を振るうだけで終わってしまったが———それのほかに、それには一体どんな能力が秘められているのだろうか?
まずはそれがわからない。だからこそ俺は、考える。この魔法はどのくらい強い魔法でどの程度の魔法なら打ち消せてどの程度自身の身体能力をあげることができるのか考える。考えながら俺は行動をおこす。
まずはジャンプをする。ジャンプをすると、それはもう人間ではトランポリンを使わなければジャンプでは到達することの出来ない十メートルぐらい地面からはなれる。そこで俺は、右手の炎に触れたものを全て爆発させる———劫火のほうを、『にぎる』
「———うお!?」
適当ににぎってみただけだったのに、それが吉とでた。俺の腕をつつみこむガントレット状だったものが、右手だけなくなり、手には・・・、一振りの日本刀のような形をした炎の剣が握られていた。
「これが・・・形状固定化魔法か?」
形状固定化魔法は、魔法から魔法による派生の【魔法】だということをエルはいっていた。それを使うには相当な技術が必要で、初心者である俺には使えないとも言っていたが・・・どうも使えてしまったようだ。だがそこで、まだその程度で自惚れるのは速い。これはただ、俺が少しだけ【魔法】の才能があって、できただけなのだ。まだだ、まだまだだ。
「・・・命名、『イフリートブレイド』、すべてを爆砕せよ!!」
頭の中に思い浮かんだ【魔法】の名前と、その効果を口にだし、俺は空中で剣を上に向かって振るう。すると、それによって作られた空気振動が炎による効果をうけ・・・すさまじいいきおいで爆発する。剣をふることによって巻き起こった真空刃もその炎の残留を残しているので、その空気振動に炎がまぎれこみ、さらに炎の軌跡・・・いや、爆発の軌跡を残しながら七メートルぐらい上空にあがっていった。
そのまま俺は落下する。一度中で一回転しかキレイに着地した俺は、まだ手に残る刀とガントレットをみて、左でもなにか作れるんじゃないのかと思い———流石にそれはうまくいかなかった。
「・・・うーん、結構近所迷惑になっちまったか?」
炎をしまい、ポリポリと頭をかく、今時刻は二時半だ。起きている人はいないと思うが、逆に今の音でおこしてしまったら———あー、やばい、自己暗示にかけすぎてそんな単純なことを考えるのを忘れてた———ん?
俺はあたりを見回す。そこにはなにもない、俺の爆発の音が響いていない。炎の残りかすが、煙が残っていない。———どういうことだ?
「あ、もしかしたら俺が炎をしまったから爆発とかも消えたのか?」
そう思ってもう一度炎をだしてみる。だがしかし、さきの残留は見当たらない、どういうことか?と頭をかしげながら、俺は再び辺りを見回す。すると、さきほどまで俺が座っていたブランコに———ひとつの人形がおいてあった。
『人形がおいてあった』
「・・・ん?なんで人形がこんなところに———」
そう言っている途中に、俺はあることを思い出した、エルのことを狙っている魔術師の名前・・・それはたしか———【氷翼の魔術師】と———【孤独の『人形』師】
「———っ!!焼き払え!!」
そして俺はその人形にむかって———継ぎ接ぎだらけのうさぎの人形にむかって、刀を振るった。そしてその衝撃は爆発しながら前に進んでいき、その人形を焼き尽くして———
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 ( No.79 )
- 日時: 2011/02/12 00:18
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
「・・・ラーク、その炎を飲み込んじゃって」
焼き尽くせなかった。それどころか炎は———さきほどの兎に、『すべて吸い込まれていた』
「・・・っておいおい、うそだろ?こんなときに敵さん登場ってまじかよ?」
うさぎの人形は炎を吸い込んで、わざとらしく、ゴクリ、という音をたててくる。それは人形の癖に、自らの意思をもっているかのような行動で———俺は本能的な危険を感じた。
・・・【魔法】、か。
こんな早くに———くるなんてな。
コツ、コツ、コツ
・・・コンクリートでできているこの後援の地面に足音を残しながら、何かが近づいてくる気配を、俺は感じた。それはブランコの近くにある入り口方向から響いてきていて・・・、俺は自然と間合いを取るようにして後ろに跳躍した。
その間にも炎はしまっておく。相手に俺の魔法のひとつを知られないために、しまっておく。
(・・・もしも、もしもこれが【氷翼の魔術師】と【孤独の人形師】二人だった場合———もうどうしようもねぇぞ?)
そもそも一人ではそのどちらかを倒すことも出来ないのに、俺はそんなことを思う。もしも一人だけだった場合ならば、俺が戦っている、というかなんとか生き延びている間にも音や魔力の流れを感じたローラたちが助けに入ってくるはずだ。だから大丈夫———。そこまで思ったとき、俺は思考を止めた。
・・・誰かがいるから、大丈夫?誰かが助けてくれるから、俺もエルを守れる・・・?俺はなにを考えてやがるんだ?それじゃだめだろうが、一人でもなんとかしなければ、だめなのだ。そんな甘ったれた根性だから俺は、昔———死んでしまったのだ。エルを悲しませてしまったのだ。だがもしも———もしも一人ではだめなようならば、自分の力で、自分の足でローラたちの力を借りにいけば———いいのだ。
助けに来てもらうんじゃない。自分の力で、力を求めにいくのだ。そうでなければ———俺はいつまでもヘタレ男のまんまで、クラスメイトから、いや、クラスから空気扱いされたまんまで、昌子にはいつも世話やかせてばっかになってしまう。かわらなければならない。この俺の腐った根性をまず、かえてみせなければならない。
(足音は・・・ひとつ、だけど、もしかしたら片方が飛んでいる可能性もある・・・)
俺は左手に力をためる。左手の中に隠れている炎はそれに反応して、空気中にかすかにある魔力をかきあつめていく。少しでもいい、少しでもいいから、あがくのだ。相手の姿が見える前に、できるかぎりの準備はしておくのだ。
「・・・ラーク、はきだして」
だが———そんなはためで、うさぎが俺にむかって炎を、さきほど俺がはなったそのまんまの爆発の炎をこちらにむかってうちはなってくる。うそだろ、とかいいながら俺はその爆発の衝撃をなんとかジャンプしてかわし———左手だけに炎を宿す。
「喰らえ!!」
そしてガントレットのように炎に包まれた手を振るう。それは爆発の端っこの煙をとらえ、グイグイと吸い上げていき、跡形もなく爆発を消し去り———炎の量を増加させる。
「深紅の炎のガントレット・・・ああ、やっぱりあなたが≪紅蓮の契約者≫だったのね」
俺が落下している最中に、そんな声が公園に響き渡った———いや違う。辺りを確認したときに気がつくべきだった———、今は、結界の
中、透明な、一見したらなにもないように見える・・・結界の中に、その声は響き渡った。
それは幼い、中学生ぐらいの女の子の声だった。だけどそれはどこまでも可憐で、美しく・・・感情がこもっていなかった。
「・・・そういうお前は【孤独の人形師】、か」
その声にたいして俺はただそう呟くだけだった、。相手にむかって軽口を叩いている場合ではないからそういった態度に自然となってしまったのだ。
- Re: Erret Crimson〜紅蓮の契約者〜 ( No.80 )
- 日時: 2011/02/12 12:28
- 名前: だいこん大魔法 (ID: TtH9.zpr)
「・・・ねぇ、それはなんて【魔法】?すこしだけ気になるなぁ」
なにも感情のこもらない声で、少女は俺にそういってくる、俺は、一度空中で一回転して華麗に着地。もうバレてしまった炎を今更隠すわけにはいかず、左手の炎だけのこした状態で少女に向き直る。
・・・美しい少女だ。まるで人形のように、美しい少女だ。金色の髪の毛は暗闇の中でも美しく輝いているかのようで、整いすぎている顔立ちはまるで人形のようで、小さな体はまるで置物のようで・・・そしてそのなによりも、体には、目には、声には、何も感情がこもっていなかった。
どうやら、相手は一人だけのようだった。公園に入ってきたのは一人だけ・・・黒のゴシックロリータ風な服を着ている少女だけだった。
そのことからだいたい【孤独の人形師】だということがわかる。ていうか、【氷翼の魔術師】は男だっていってたしな、これがそいつなわけないだろ。
しかしなんでまた・・・こいつはこんなに感情のこもっていない声をだすんだ?魔術名【孤独の人形師】になにか関係しているのか?
そんなことを思いながら、俺は声をだす。
「はっ・・・、わざわざ敵に教えてやるかよ」
そういうと、少女は腕に抱えている人形、ブランコに座っていた人形より一回り小さいサイズのつぎはぎだらけのうさぎの人形をギュッとにぎって、俺を睨みつける。
「・・・教えてくれないって言うなら、力ずくで『解析』するまで。ラーク、お願い」
少女が俺にむかって指をさしながら、ラーク、という名前を口にだす。そういえば、さきほどからあのうさぎが動く条件として、そのラークという言葉がだされていた、ということは、あのうさぎの名前は『ラーク』というのだろう。
っておいおい・・・、うそだろ?こいつ———属性魔法なんてつかってねぇ、人形を操る、なんてのは属性に入るわけがない、ならばこいつもローラと同じ———『例外魔術師』か。
・・・厄介だ。ていうか一人でどうにかなる相手ではないとわかっているけど、その上での『例外魔術師』はやっかいだ———相手の属性による弱点もなく逆に有利もない、いわゆる何一つとしてすきがないのだ。それほどまでに、属性による有利不利は、大きいものなのだ。
つぎはぎだらけの巨大な人形うさぎが俺にむかって、その気持ち悪い口を開きながらせまってくる。その口はまるでどこかの化物かのようにびっしりと牙をはえそろえ、その先端からは紫色の液体が———
「あれはやばい!!炎よ人形を喰らえ!!」
俺が左手を人形にむかってのばしながら、そう叫ぶ。あれはやばい、もしかしたら・・・一撃で死んでしまうほどの、毒かもしれないのだ。
炎は俺の腕から放たれるとき荒れ狂い、あたり一体に炎の粒子を残しながら竜の頭のような形になり、向かい来る人形にむかって口を大きく開き、その人形を文字通り———喰らう。
俺は内心、かなり驚いていた。一度目はとくにといってなんの変哲もない(自分ではそう思う)炎だったのに、さきほど、人形がかえしてきた俺の右手の炎を喰らって力を増した左手の業火は、圧倒的なまでに力をましていた。
そういえば、と思う、俺の体は深夜だというのにものすごく軽く、力を拳にためればそれまだありえないほどの握力になっていることに気がついた。それは、最初に吸い込んだ俺の劫火が、圧倒的なまでの力をもっていたということがわかる。
俺は人形を喰らい、さらに炎の熱をましたガントレットのような業火を見た後、少女のほうをむく、少女は、やはり感情のこもらない目で、驚きの言葉を口にした。
「ラークが喰われるなんて、思ってなかったよ。≪紅蓮の契約者≫は思ってた以上にできるようだね」
「そりゃどうも」
その言葉に平静を装いながら俺は返す。相手が一体次にどんな攻撃をしかけてくるかわからないから、今のはうまくいったかもしれないけど、次からはうまくいかないかもしれないから、とにかく集中して、集中して、それを悟られないように平静を装う。
ヘタレ根性がどこまでこの『化物』に通用するかわからない、だけど、俺のヘタレ根性はそうとうなものだ。なんとしてでも通用させてやる!!
「でも『解析』はできた。その炎はどうも、『自らより力の弱い魔法』を喰らうらしいね。厄介だ、実に厄介だね。相手の実力がどの程度かわからない今の状態だと、ボクのどんな魔法が喰われるか分かったもんじゃない。しかもその炎は喰らった魔法の威力ぶんだけ力を増すそうじゃないか、うかつに魔法を使うのはまずいね」
・・・一瞬で解析されてたか。これで俺の隠し球のひとつは公にさらされたってことになる。【魔法】を『形状固定化魔法』をあわせたらみっつしかもっていない俺にとっては、かなり痛いところだった。
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