コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜
- 日時: 2012/07/10 23:37
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
ついについについに来ました!
どるさんとの合作!
このお話はどるさんのキャラクタ—設定を元に、私緑野が文章を作らせてもらってファンタジーギャグ(シリアスもたまに)のお話です!
今までの作品を見てきた方たちは少し驚くくらい作風が変わりましたが、みなさん楽しんでくださいね!あ、お話を。
それではどるさんと読者さんに感謝しながら、
このお話を書き進めていきたいと思います!
そして出来れば感想が欲しいです!待ってるよー!!
ここからギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜の世界に……
↓レッツゴー!!!(^O^)/
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- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.98 )
- 日時: 2012/12/16 21:21
- 名前: 緑野 柊 (ID: wZGUtZTa)
*
それから私たちは二階に上がってすぐ寝床に着くことになった。
あ、もちろんプレッツェル君やクレソンさんとの部屋は別々だよ。
そこはちゃんとバニラちゃんが気を回してくれたから。
「じゃあまた明日ね……」
私はプレッツェル君に軽く手を振る、プレッツェル君もそれに返してくれた
「じゃあな」
早々とベットに向かうプレッツェル君の背中にバニラちゃんは「夜中ミルちゃんを襲いに来ないでくださいね」とどこか本気で心配するように話しかけた。
プレッツェル君は勢いよく振り返って。
「誰がするかっ!」
まぁされても困るけど、そこまできっぱり否定されるのもまた傷つくなぁ。
バニラちゃんはふふっと笑う。
「じゃあお休みなさい」
「じゃーな」
不機嫌そうにプレッツェル君は別れの挨拶を返すと、今度こそぶっきらぼうに扉をしめてベットに直行した……んだと思う。ここらへんは妄想、多分そうだと思う。
私達も顔を見合わせて、いひひっと笑い合うと、ベットに素早く身を埋めた。
バニラちゃんは電気を消して、代わりにランプに火をともすと自分も横になった。
部屋がやんわりとした優しい光に包まれる。
「今日は楽しかったね」
私はバニラちゃんの方に顔を向けて、そう笑いかけた。
「そうですね」
でもこんな楽しさもずっと続かない訳ではないんだ。
バニラちゃんの満面の笑顔を見た途端、私は胸のどこかで寂しさも感じていた。
バニラちゃんはギルドの依頼主で、私達はその願いを叶える者。
この依頼が終わってしまえば、私達はそうしばらく会うこともなくなってしまうんだろう。
「……明日こそ人形遣いを倒せるといいね」
私はバニラちゃんに寂しいと思っていることを悟られたくなくて、業と明るい声を出した。
「……そうですね」
バニラちゃんが答えるまでに少しの間があった。
やっぱりバニラちゃんも寂しいと感じてくれているんだろうか?
そう思うと余計に寂しさがこみ上げてきてしまう。
「……でもこの町の人たち皆陽気で、そんな凶悪な事件が起こってるんなんて思えないや」
私はそんな寂しさを吹き飛ばすため、冗談話としてバニラちゃんに話しかけたのだけど、バニラちゃんはそれを聞いた途端キッと顔を強張らせて。
「それは違います!事実この町から人は消えています!」
「……あ。ごめん」
そうだ私はこの町に来てまだ一日しか経っていないんだ、今日だってバニラちゃんやこの町にしばらく住んでいる人しか気づかない、些細な事件が起きていたのかもしれない。
この町では実際に人が消えている。
バニラちゃんの深刻なその表情が、私の頭に浮かれすぎてはいけないと喝をいれた。
「……明日こそ。この凶悪な事件を終わらせよう」
私もバニラちゃんを目に力を込めて見つめ返した。
バニラちゃんは私が本気でこの問題を解決しようとしていると悟ってくれたのか、力強く頷いてくれた。
「……はい」
「……だから……もう安心できるよ……」
私はバニラちゃんに微笑みかけようとした。だけど、なぜだろう急に猛烈な眠気が襲いかかってきた。
視界は朦朧として、まだもう少し起きていたいという私の思いも儚く眠気はさらに大きな波となって私に襲いかかる。
途切れ途切れになる意識の中で、バニラちゃんが微かに微笑んで。
「はい……だから……もう……お休みなさい……ミルちゃん」
そう言っていた気がした。
その微笑みがどこか悲しげで、私はその微笑みに疑問を抱きながら、まるで気を失うかのように深い眠りに落ちていった……。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.99 )
- 日時: 2012/12/16 21:22
- 名前: 緑野 柊 (ID: wZGUtZTa)
*
「……そろそろ寝たかな?」
バニラはその後ゆっくりと体を起こして、ミルクレープのすべすべな頬にそっと手を触れた。
何も反応はない。ミルクレープは気持ちよさそうにすやすやと寝息を立てただけだった。
「薬が効いたのかな……」
そう。バニラの言う薬とは、風呂上りだと喉が渇いているでしょう?サービスですとミルクレープ達に出した飲み物の中に入っていた睡眠薬のことだった。
睡眠薬を盛られているとなれば、ミルクレープ達に突如とした眠気が襲いかかってくるのも合理がいく。
バニラはミルクレープが確かに眠っていることを確認すると、ポツリ、ポツリと語りだす。
もちろん彼女の話に耳を傾けている者などいないのだけれど。
「許してください。私はミルちゃんのことが嫌いなわけではありません……むしろ大好きなんです。でも、私は、マスターの命令には逆らえないんです。すみません」
バニラは何度も何度も謝りながら、ミルクレープのサラサラとした髪を優しく梳いた。
バニラは最後に今にも壊れそうなほど、とてもとても悲しい笑みを浮かべて。
「……ほんの少しの間でも、楽しい時間を過ごさせてくれてありがとうございました」
バニラの震える声が消えていくのとほぼ同時に、窓辺に現れる一つの影。
「お別れは済みましたか?」
「……はい。マスター」
バニラはゆっくりとその影に振り向く。
影はニヤリと口角の端を吊り上げて笑う。
「それは良かった。心配したんですよぉ?君が途中アイツらとつるんで舞い上がってるんで。ボクのところに戻ってこなかったらどうしようって……君を殺してしまうのは正直惜しい」
「……私はずっとマスターのそばにいますよ。マスターを裏切ることはしません」
影ははっきりと断言するバニラに、満面の笑顔を向けると。
「君は偉いですねぇ〜。ご褒美に君を本当の姿に戻してあげましょう」
影はバニラの顔の前まで手を伸ばしてくると、ニヤリと笑って。
「では、サヨウナラ☆」
その瞬間影は手を思い切り引くと、プツンとバニラの背中から糸のようなものが切れ、バニラはまるで人形のように、動かなくなってしまったのだった。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.100 )
- 日時: 2012/12/16 21:23
- 名前: 緑野 柊 (ID: wZGUtZTa)
*
なんだか寒い。
私はどこからか吹いてくる、夜中の冷えた風に体を縮こませた。
まだ昼間は暑いとはいえども、夜は結構冷えるのだ。
でも。窓なんて開いていただろうか。
私はそう不思議に思いながらも、重い瞼をこじ開けてまでそれを確認する必要はないと判断したため。別に気にすることなく寝返りを打った。
カタン。
しかし何かが落ちる音、そして何かの気配を感じた私は、意外とあっさりとその瞳を開けた。
私は瞳を開けた先の光景を見た瞬間、脳が目を開けなければ危険だと体中に信号を発したに違いないと、そう思った。
それは私のおかれた状況は、確かに目を開けなければとても危険な状態だったからだ。
目を開けた先に広がっていた光景は、大きな手が今まさに私の頭に触れようとしていた、まさにその瞬間だった。
一瞬バニラちゃんかとも思ったが、それは違うと直ぐに確信した。
その影はバニラちゃんぐらいの背丈はあっても、その瞳は私をまるで獲物を狙う獣のように、じぃっと見下ろしていた。
そして私の目が覚めたと気が付くと、口元に浮かぶ気味の悪い、ニタリとした笑み。
一気に背筋に鳥肌が立った。
私はすぐさま身を引いて警戒態勢をとる。
「誰っ!?」
とっさに口から出た言葉はそんなありきたりなものだった。
これで「人形遣いです」なんて言われたら、どうしようというんだ。
私はそんな焦りを感じながら、キッと視線だけはその影に向けていた。
影は考えるように首を傾げて、頭をぼりぼりと掻く。
なんだ?ただの馬鹿なのか?
私はそんな在りえない可能性を考えて、少し気を緩めてしまった。その時だった。
「そうだなあー、ボクはー、うーん……」
影はしばらくそう唸って、ハッと良いことを考え付いたのか、手を叩くと。
「ボクはねぇ、こういう者です」
そう言って私に差し出してきたのは、なんと気を失っているのか、力なく頭を垂れているバニラちゃんだった。
「……なっ!?」
私はショックで目を見開いた。そして次に腹の底から燃え盛るような怒りの感情を感じた。
「あんた……その子を離しなさいよ!」
私は影に向かって、いや正確に言えば影が肩に掲げているバニラちゃんに腕を伸ばした。
だが影はそれをいとも簡単に避けると、窓枠を器用に掴んで屋根の上に登って行ってしまった。
バニラちゃんを抱えたままで—。
私は慌てて窓に駆け寄って上を見上げるが、影はもう屋根の上を二軒ほど進んだ所を走っており、私の視線に気が付くと、足を止めてこちらを振り返った。
そしてまるで「ついてきなよ」とでも言うように、笑うのだ。
正直アイツの挑発に乗るのは気が引けたが、今はそう言っている場合でもない。
「待てっ!」
私は再び踵を返して再び走り出す奴に、声をかけると近くにあった羽織れるものに素早く腕を通すと、扉を勢いよく開いて階段をバタバタと慌ただしく駆け下りた。
その途中で「どうしたんだっ!?」とプレッツェル君に声をかけられたけど、それに答えている余裕なんてなかった。
ただバニラちゃんの安否が心配で、しょうがなかった。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.101 )
- 日時: 2012/12/19 19:38
- 名前: 緑野 柊 (ID: DnOynx61)
*
一体何が起きたんだろうか。
バタンッ!と扉が開かれる音がうるさくて目を覚ましたオレは、その後の慌ただしい足跡で、何かが起きたということを察した。
オレも飛び起きて、ミルの後姿に「どうしたんだっ!?」と話しかけたが、ミルはその問いに答えることはなく、勢いよく階段を駆け下りて行ってしまった。
オレの問いに答える暇もないほどなにかヤバい事件が起きたんだろうか。
オレはまだ眠っているはずのクレソンを起こそうと、「おいっ!」と振り向くが。
なんとクレソンも飛び起きたらしく、しかも窓枠に足をかけたと思えばそのまま飛び降りてしまった。
「なっ!おいっ!」
オレは驚いて、窓から下を覗くがクレソンはかっこよく着地を決めたらしく。ほぼ同時にドアを開けて飛び出てきたミルに。
「何が起きたんだ?」
「バニラちゃんがっ!バニラちゃんが変な奴に誘拐されてっ!」
ミルは切羽詰まった様子で答える。
でもそれはしょうがない。オレだってすごく驚いた。
「えっ!バニラがっ!」
思わず声を上げたオレだが、クレソンはまるでそのことを予知していたかのように、いたって冷静な様子で。
「そう来たか……。よしっ先を急ごう。彼女の身が危ない!」
「……はっ、はい!」
ミルもそんなクレソンの態度に戸惑ったようだが、すぐに大きく頷いて、二人してさっさとその「変な奴」とやらが走って行った方へ走って行ってしまった。
……ていうか。
「オレを置いてくなよっ!」
オレは二人の背中にそう呼びかけたが、二人が止まってくれるわけはないと分かっていたので。
急いで剣を腰に差すと、部屋を飛び出して二人のあとを追った。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.102 )
- 日時: 2012/12/19 19:39
- 名前: 緑野 柊 (ID: DnOynx61)
*
私達が大急ぎで追っているというのに、奴はときどき立ち止まっては、こちらに笑いかけるほどの余裕さ。
悔しかった。
簡単に親友を拉致されてしまったこと、そしてこっちが必至だというのに、敵は笑ってこちらを見下ろしているのだ。
悔しくてたまらなかった。
「ミル殿。アイツはどんなやつだった?」
走っている途中、クレソンさんは私にそう尋ねてきた。
敵の姿を知っているのは私だけだし、何も知らないまま戦うよりはなにかなんでもいいから情報を知りたいのは分かるけども。
「……暗くて良くわかりませんでした」
本当に私が知っていることは、アイツの声と、声からして性別が男だということだけだった。
そんな情報が戦闘で役に立つとは私には思えなかった。
「……そうか」
クレソンさんはその答えを予感していたのだろう。
「……すみません」
「いや、貴女が謝ることはありません。それに奴が何者なのかはだいたい見当がついているしな……奴から出向いてくれるとはありがたい」
クレソンさんは最後にぼそりと呟いたが、私の耳には届いてたため、私は最後の言葉を聞いた途端、ぞくりとした。
「……もしかして、アイツ」
「そのもしかしてだ。アイツは」
クレソンさんが答えようとした瞬間、がんばってここまで追いついてきたプレッツェル君が息も絶え絶えに。
「……人形……使いってか!?」
クレソンさんは途中で自分のセリフをとられたことが気に食わないと、プレッツェル君を苦虫を噛み潰したような顔で睨み付けた。
それをプレッツェル君はちょっと得意げな笑みで返す。
クレソンさんは小さくため息を吐く。
「……そういうことだ」
「じゃあ、やっぱり人形遣いだから、アイツはバニラちゃんを……」
その先の言葉は言いたくなかった、悔しさで胸がつぶれてしまいそうだったから。
しかしクレソンさんは首を振った。
「いいや。それはおそらく違う」
「でも確かにバニラちゃんはアイツにっ!」
突然何を言い出すのかと、反論しようとした私をクレソンさんは制す。
「確かに彼女はアイツに連れて行かれた、だが拉致されたとはまた違う。奴は取り返しに来たんだ」
「取り……返しに?」
私はクレソンさんの言っている意味が分からなかった。
いや違う、脳が理解しようとはしなかった。
その可能性をどうしても否定しようと足掻いていた。
クレソンさんはゆっくりと口を動かす。
プレッツェル君もさすがに黙って、次の言葉に耳を貸した。
「恐らく彼女は……」
……あぁ、やっぱりか。
私はどこかで勘づいていたのかもしれない。
私はクレソンさんが言ったその可能性に、改めて心を射抜かれるようなそんなショックを受けた。
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