コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜
- 日時: 2012/07/10 23:37
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
ついについについに来ました!
どるさんとの合作!
このお話はどるさんのキャラクタ—設定を元に、私緑野が文章を作らせてもらってファンタジーギャグ(シリアスもたまに)のお話です!
今までの作品を見てきた方たちは少し驚くくらい作風が変わりましたが、みなさん楽しんでくださいね!あ、お話を。
それではどるさんと読者さんに感謝しながら、
このお話を書き進めていきたいと思います!
そして出来れば感想が欲しいです!待ってるよー!!
ここからギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜の世界に……
↓レッツゴー!!!(^O^)/
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- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.47 )
- 日時: 2012/09/29 23:39
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
皆さん久ぶりです!何事にもマイペースな緑野です!どるさんとの問題も無事解決ということでギルドカフェ連載?再開です!
どうして……どうしてそいつを守るの?
わたしには分かる。身長はうんと伸び、外見こそあの時のような幼さはなく、ずいぶんと大人びた印象だが。わたしにはすぐ分かった。
彼がプレッツェルだということを。
栗色の髪。無邪気でどこか少年らしさを覚える瞳。何よりも、その剣さばき。あの人に違いなかった。
止めてよ。悪いのはわたしじゃない。そいつじゃないの。
どうしてそんな攻撃的な目で見てくるの?
守るのはアイツじゃなくてわたしじゃないの?
心のどこかで恋心がきりきりと痛んだ。
腕は後ろで縛り付けられて、一番憎いやつと、一番大好きな人に見下ろされて。なんて……惨めなんだろう。
フードをめくられて素顔を見られて。服装まで見られて。
「……この服装兵士か!?」
プレッツェルは酷く驚きそう言う。
「兵士ってプレッツェル君がなりたかった?」
「あぁ、そうだ」
プレッツェルが心ここに在らずといった様子で、わたしをまじまじと見ながらそう答える。
「残念だな〜。あの格好かっこよかったのに」
嘘だ。アイツは少しも残念そうだと本当は思っていない。
なのに、どうして。プレッツェルさん。どうして貴方はそんな頬を赤くしているのですか。
「うっせっ」
その隣で「イシシ」と、意地悪そうに笑う女。
心底イラッとした。
「……どうしてですか?」
突然そんな事を言われたのだ。プレッツェルさんとあの女以外の人達も、びっくりしていた。
わたしは構わずに続ける。
「どうしてそんな奴を庇うのですか!プレッツェルさん!」
女は言った。どうしてそいつ、ミルクレープを守るのかと。
こいつ……プレッツェルの名を呼んだ。コイツら知り合いか?
プレッツェルに視線を投げかけると。
「知らない」と首を振られた。
あの唖然とした表情からして、本当に面識はないのだろう。
じゃあコイツ。どうしてプレッツェルの名を……?それに妙にミルちゃんも敵視していたし。
どうゆう事だ?
兵士の格好をした女は、歯をむき出しにしてすごい剣幕で怒鳴っている。
「貴女のせいよ!プレッツェルさんが兵士を辞めなくてはならなくなったのは!」
「わ、私!?」
ミルクレープはぎょっと目を見開き、声を上げた。
「そうよ!貴女がプレッツェルさんに良からぬ魔法でもかけて兵士を辞めさせたんでしょ!」
「「「はぁ!?」」」
さすがにこれはワタシも驚いた。
なんだそりゃあ!?まだ見習いのコイツが!?そもそもそんなことしてなにになる。
プレッツェルもポカンと間抜けに大口を開け。こちらに視線を向けてくる。
ワタシも眉を寄せることしか出来なかった。
どうやらコイツはとんでもない勘違いをしているようだった。
コイツは驚いた。うん。その一言に限る。
まさかそんな風に考えられるとは……。ミルもとんだ災難だったな。
オレは一旦頭の中を整理するため、顎に手を当て俯く。
「……えっと。それは違うよ?」
「えっ!?」
女の子はまんまると目を丸くして驚く。
いやいやいや。びっくりなのはこっちだから。
……まったく。今日は驚く事ばっかりだな。
オレはもう一度その少女を見つめる。驚きで見開かれる瞳。
「……君は勘違いをしている。オレが兵士を辞めたのはミルのせいじゃない」
「……は?」
その顔は、今でも忘れられない。多分オレがこの先生きていても、もう一生見られない最強の間抜け面だっただろう。
だってあのシフォンさんが口元を押えて笑ったのだから。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.48 )
- 日時: 2012/10/02 21:22
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
第五魔法 ギルドカフェ、誕生。
まったくプレッツェル君は事実を言っているのに、さっきからこの子は一体何なんだ……。
私はほとほと呆れた目でその少女を遠目で見ていた。
さっきからあの少女は呆然とし、間抜けに口をポカンと開けている。
それほど信じられないのかな……。
そう思うと悲しくも思ってきてしまうのは私だけだろうか……。
私は小さくため息を吐き、信じられない様子の少女に一生懸命話しかけているプレッツェルを見守っていた。
しかしあの少女と言えば、当の本人が言っているのにも関わらず。さっきから口を開けば信じられないだの嘘だの。
……ムカつくったらありゃしない。
そうつまりは私のイラつき度を十に例えると、もはやその十を越そうとしているのだ。
……人格が変貌するぐらいマジでブチキレそう。
「……あのね……、アンタそこまで私の事が!」
ついに限界を超え、思いつく限りの悪態を吐こうとした私を、プレッツェルが制す。
「ちょい待ち。それは酷いんじゃないのか?」
その行動に私は少しの感動を覚えながら、びくりと肩を揺らす少女の様子を見ていた。
「……だって」
「だってもないだろ。ミルは本当に関係ない。オレが勝手にしたことだからさ……まったく何度も何度もめんどくせぇ」
最後の言葉に「オイ」とツッコミたくなったのはまだしも、その後私達は有り得ないような光景を目にするのである。
ひっくひっく……
……気のせいだろうか、どこからか小さく嗚咽が聞こえる。
ひっくひっく……
音の根源をたどるが、残念ながら見つからない。
私は首を傾げて、プレッツェルに目配せをする。
プレッツェルも気が付いたようで、耳に手を当て、音のする方を探そうとしていたが。やがて小さく首を振り。
そして視線を再び前に向けた時。
「「いっ!?」」
私達はあまりのことに驚き悲鳴を上げてしまったのだ。
そして数秒差でくる、このドン引き感。
……なんで泣いてんの?
音の根源は目の前の少女からだったのだ。意外というか論外だったよね。まさか泣くとは。
というか今の会話の中で泣ける要素がどこにあったのか、私にはそれが分からなかった。
「えっと?」
私が恐る恐る声をかけて、バッと顔を上げた少女……。
えっ!?えぇえええええええええええええええ!?
そりゃもう叫び声を上げたくなるものでしたよ。同じ女として。
何と言っても涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔。
プレッツェルだって思わず顔を背けてしまうくらいのこの表情。
少女はそんな酷い顔をして。
「だったらわたしもの凄く恥かしい奴じゃないですか!」
何故か私に向かってもの凄い剣幕でそう怒鳴りつける少女は、手は縛り付けられているので手のひらに顔をうずめることは出来ずに、膝に顔を押し付けて。突然わぁわぁ泣きだしたのだ。
「早く言って下さいよぉぉぉ!」
「はいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」
突然泣き出した事、言っている意味が分からないこと。私達はただポカンとすることしかできなかった。
だが私は大声で怒鳴りつけてやりたかった。
前から言ってたよ!
「ほら温かいハーブティーだ。気が落ち着くぞ」
「申し訳ない……」
少女はまるでさっきとは別人かのように、落ち着いた態度で、目のまえに出されたハーブティーを啜った。
私はまだ半分信じられないまま。幸せそうにティーカップから唇を離す少女を観察する。
「……なに」
「いや別に何でもないです……けど」
「そう言えばアンタさ」
「はい何でしょうか?」
そして一番腹が立つのは、この態度の差。なんなのよさっきから!
この少女はもう危険がないだろうとシフォンさんが判断し、もう縄は解かれているが。私に対する態度は始めっから何一つ変わっていない。
こっちはとんだ勘違いをされて殺されかけたっていうのに!
どうにも気に食わなくて、自然と少女を睨んでいると。
「ミル……お前どうした、何か怖いぞ」
「うるさいなぁ今はほっておいて!」
ついそう冷たく言ってしまったのは、悪いとは思ってる。だけど……。
「何、今のその言葉!プレッツェルさんに失礼だとは思わないの!?」
「貴女こそなんなのよぉ!」
プレッツェルにちょぉっとでも冷たくするとすぐ怒られるし。仲良くしてても怒られる。
それじゃあどうすればいいのかって話しだよねぇ。
「いや別に俺はいいんだけど……」
「いいえ駄目です!プレッツェルさんを傷つける奴はわたしが許しません!」
「傷ついてないって!話し聞いて!」
なんかあの子プレッツェルに対する執着心が強いような気がする。
そして妙に私だけに厳しい気がする……。
それを確信したのは、さっきから私にだけは冷たい睨みを飛ばしてくること。何もしてないのに。ただお茶を啜っているだけなのに!
私はだんたんその差別的行為に我慢できなくなり……。
えぇそりゃもうキレるのは当たり前だよね。こんな分かりやすい差別をされれば。
がたんと勢いよく席を立ち。言ってやった。
「さっきからなんなの貴女!私にだけ妙に冷たくしてぇ!」
「煩い。わたしはアンタが嫌いなだけだ!」
「うわ、今さらっと酷い事言ったよね!傷ついた〜!心に傷が付いたから、病院に行くのでお金頂戴」
「意味分かんないから!」
少女が目を吊り上げて、また何か悪態を吐こうと口を開きかけたそのときだった。
ばんっ!
それは私達の金切り声よりも大きくて、さっきから奥で秘かに笑っていたマフィンまでも怯えさせた。
机を思い切りたたき、ゆらりと立ちあがるプレッツェルは、もうなんかパッと見ただけで怒っていることが分かった。
本能的にだが、なんとなく私が怒られる気がして、秘かに身構えていると。
「……謝れ」
「……誰が誰に?」
「お前がミルに謝れ!」
……え?
プレッツェルが怒りの形相で指差していたのは、私ではなく、何とあの少女のほうだったのだ。
私が混乱しているのにも関わらず、プレッツェルはさっきよりも大声で。
「謝れよ!」
その瞳は怒りに燃えあがり、少女は戸惑いと怯えから、小さな声で「すみません」と私に小さく頭を下げた。
私は何だか酷く悲しそうに俯く彼女を、可愛そうに思ってしまい。
「いいよっ、別に」
と笑いかけた。
しかし少女は悔しそうに、しかも私にだけにしか聞こえないように小さく舌打ちをしたのだ。
さっきまで芽生え始めていた彼女に対しての憐みの気持ちが、早くも崩れようとした。
その思いが消えるとあらわれるのは怒りの思い。
「アンタねっ!」
と言いかけると、皆からの不思議そうな視線が私に向けられていることに気が付いた。それはそうだ彼女の舌打ちは私にだけしか聞こえていない。
あ、やってしまったと前を見ると、彼女はべーっと舌を出して馬鹿にしたように嘲笑っていた。
ええそりゃもう、隠し通せない程の苛立ちが襲って来たよ。
私がもう耐えられないと、彼女に一言言ってやろうと口を開くと、タイミングを合わせたようにくるりとプレッツェルの方へ方向転換した。
……この野郎。
プレッツェルは急にこちらに向いた彼女と、私のいらついた顔を交互に見ると。
「申し訳ありませんでした」
突如として下げられた頭を呆然と見つめていた。
「えっ、いや……別に何で?」
「貴方を嫌な気分にさせてしまいました」
少女は頭を下げたままそう言う。
プレッツェルはちんぷんかんぷんといった様子で、頭の上に?マークを浮かべている。
「別に俺はいいよ。問題はミルのことで」
「……ミル?」
夫の浮気現場を見てしまったような冷たい声色にプレッツェルは少し怯えるが。
「……ミルですか」
そう顔を上げた彼女の顔はひどく悲しそうだった。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.49 )
- 日時: 2012/10/02 22:20
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
*
なんだかとてつもなく悔しかった。
ミルクレープとかいう女よりも、わたしのほうが昔からの友人であるのにも関わらず、わたしのことは……。
「……な、何?」
プレッツェル様はわたしの態度が変わったことに驚いているようですが。
だからと言ってわたしの望みをプレッツェル様にこじつけるようなことはしたくない。
でもやっぱり、プレッツェル様は目も合わせてくれるし、笑ってはくれるけど。でもどこかまだ、他人扱い。
あんな風には……話してくれない。
シャルロットはやはり、プレッツェルと仲よさげに話すミルクレープのことをあまりよくは思っていなかった。
「……いえ」
わたしは言いたいことを全て飲み込み、ただそう微笑む。
「……そうか?」
なんてプレッツェル様は納得できないように言うが。うんそれが本当、その言葉はわたしの本心じゃない。
ほんとは名前で呼んで欲しいし。もっとミルクレープよりももっと。わたしのほうが、プレッツェル様と親密な関係に……。なんて言ったら引かれてしまうだろうか。
「そう言えばお前さぁ」
「はい?」
わたしはそう声をかけられハッと我に返る。
ずっと聞きたかった大好きな人の声。
「名前はなんて言うんだ?」
「シャルロットです」
わたしは何事もないようにそう返したが、内心は失敗したー!と赤面していた。
なにが名前で呼んでもらいたいよ、まだ名乗ってもなかったじゃない!
名乗ってもない相手の名前を名乗るなど、超能力者しか出来ないことだ。
「シャルロットって……へ!?あの幹部長の!?」
「あ、はい」
わたしはさも当然という風に答えたのだが、プレッツェル様には慌てて頭を下げられてしまった。
「どっ、どうしたんですか!?」
「そっ、そんなお偉いさんに……今までの無礼お許しください!」
微妙に敬語になっているような、なっていないような言葉で謝られ、わたしは困惑する。
「いえ、別にわたしは……」
プレッツェルは元は兵士だったのだ、わたしのことを知らない筈がない。
「プレッツェル君。いきなりどうしたのぉ〜?」
そしてそんな事を知る筈もないミルクレープが、のほほんとした口調で尋ねた。
それを見て、プレッツェル様は小声で「馬鹿っ!」とミルクレープを叱る。
ミルクレープは意味が分からず目を点にした後、「いきなり何よっ!」と唇を尖らせていた。
「この方はこの国を守る五つのグループを治める幹部長様だぞ!」
「……よく意味は分からないけど、つまりは凄く偉いって事?」
「そうゆう事!」
そうミルクレープに一生懸命説明するプレッツェル様が面白くて、わたしは思わずくすりと笑う。
プレッツェル様はすぐにハッとなって顔を赤くして俯いてしまったけど。
ミルクレープはまだ納得できないようで、うんうん唸った後に。
「ほんとにぃ?」
とまぎれもない本人、つまりわたしに聞いてきたのだ。
さすがにこれにはムッと来て。
「ほんとに決まってるでしょう!」
声を荒げて、しかもため口で答えてしまった。
プレッツェル様は驚いたように目をぱちくりとさせている。
わたしはこほんと一つ咳ばらいをし。
「とにかく、今兵の中にいないプレッツェル様には幹部長とかそういうものを気にせず、ただのお友達として接してもらいたいのです」
……沈黙。皆がポカーンとした顔をしていた。
その瞬間わたしは今ものすごく臭い台詞を言ったのではないかともの凄く恥ずかしくなった。
赤面する頬を抑えるわたしのまえにスッと出される左手。
わたしはその意図が分からなくて、首を傾げる。
すぐ近くの憧れの人は、少し恥ずかしそうに鼻の下を指で擦りながら。
「俺はプレッツェル。これからは友達として仲良くしようぜ!」
「はい!」
プレッツェル様はそう恥ずかしそうに、にっと歯を見せて笑った。
わたしはその言葉も動作も、名前で呼んでくれたことも嬉しくて嬉しくて。
わたしも右手を差し出した。
思えばわたしは初めて大好きな人の体温を感じた瞬間だったのかもしれない。
プレッツェル様の体温は、温かくて。握った手は力強いけど、とても器用そうで。やはり昔から変わっていないのだと思った。
自らの身を呈して他人を守る。優しくて強い。わたしの大好きな人。
「ん?そのバンダナ……?」
プレッツェルはわたしのバンダナを見てそう声を上げたものだから、わたしは少し期待してしまう。
もしかしたらプレッツェル様がわたしと昔出会っていることに気が付いたのではないかと。
しかしプレッツェルの口から出た言葉は、少女の淡い期待を無残にも破り捨て、思わずがっくりと肩を落としてしまうんものだった。
「可愛いな!」
……あぁ。
思わずしらけた顔になってしまう。
「……そうですか」
プレッツェル様が褒めてくれたというのに、なんだろうまったく嬉しくない。むしろ悲しいです。
「……見覚えはないですか?」
だから思わず本音を言ってしまったのかもしれない。
その後わたしがしまったと何度後悔しても、もう遅いのだ。
「え?」
予想はしていたが。プレッツェルはポカンと口を開いてそう言った。
「見覚え……?」
「……あ。はい」
プレッツェル様はわたしの問いに答えようと、真面目に考えてくれたが(しかも長時間)。
「わりぃ。やっぱわかんねぇや」
「……そうですか」
わたしが残念だとため息を吐くと。
「ほんと、ごめんなぁ」
プレッツェル様がすまないとしゅんと肩を竦めてしまった。
あぁ、そんな悲しい顔をさせたかった訳じゃないのに。
「いえ、プレッツェル様のせいじゃ……」
とわたしがプレッツェル様を励まそうとすると。
「ごめんねぇ、プレッツェル君。少々ココが弱いもので」
ひょっこりとプレッツェル様の肩から顔をだしたのはミルクレープ。
ミルクレープは意地悪げに微笑み、自分の頭を指差していた。
「なっ!ミルッお前俺が馬鹿だって言いたいのか!?」
ミルクレープはそれには答えず「えへへへへ〜」などと笑っている。
「……お前なぁ」
わたしはその時のプレッツェル様の表情を見て、自分はなんでこんな事で浮かれていたんだろうと、ほとほと呆れた。
どうしてそんなに……楽しそうなのですか?
プレッツェルは少し頬を赤らめて、口だけではミルクレープに対して怒りの言葉を吐いてはいるが、その顔はどこか楽しそうだった。
それにミルクレープはプレッツェルの右肩に顎なんか乗せちゃって。至近距離で羨ましい。
ほんとさっきまでの自分が馬鹿みたい。
……ほんと馬鹿だった。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.50 )
- 日時: 2012/10/02 22:24
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
*
「ミル、いい加減離れろよ」
「えっ、嫌だよ。なにこんなのも耐えきれないの?」
私はすこしの皮肉もこめてそう言ったやった。
すると案の定。子供っぽいプレッツェルからは子どもの様な回答が返ってきた。
「馬鹿にするなよ……これくらい」
「……ふ〜ん」
私は少し心を弾ませながら、さらにプレッツェルに顔を近づける。
そしてもう少し体重をかけて。
「じゃあこれも平気だねっ」
「……平気っちゃあ平気だけど……」
プレッツェルは少し顔を赤らめて、私とは反対の方向に視線を向ける。
私はさらに自分にとっていい事を思いつき。
「頭が弱いから、体力も弱いんだっ」
そうニヤリと笑ってやった。しかしプレッツェルからは思ったよりもよい反応が返ってこなく。
「お前のその考え方の方がおかしいぞ?」
半分呆れたように鼻で息を吐かれた。少しムッとする。
「何よっ!」
私はプレッツェルの肩から離れて、そう言い返そうとしたその時だった
「そうだナ。それにそれはお前が言えることではないと思うゾ」
……あ。
一番聞きたくなかった声が、耳に入って来てしまった。
私は機械のようにぎこちない動作で、声の方に振り向く。
「……センセイ」
そこには変なオーラをまとった先生こと、ノエルが仁王立ちをしてこちら、というか私だけをじぃっと見つめていた。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.51 )
- 日時: 2012/10/19 21:24
- 名前: 緑野柊 (ID: xy6oYM/9)
はい皆さんこんにちわー!
え、あんなに張り切ってたのにどうしてこんなにも更新が更新が遅れましたですと!?
それは皆様わかっている方もいますと思いますが!中間アンドPCがぶっ壊れるというハプニングがあったからですね!すみませんでしたぁぁぁぁぁ!
というわけで、続きをどうぞ!↓
*
もしここか漫画の世界だったら背景に「ゴゴゴゴゴ……」とものすごい達筆で書かれているだろう。
私は額にダーダーと滝のように流れる冷汗をぬぐいながら。
「せっ……先生」
ここは一か八かだ……!
私はそう心に決めて、もちろん先生が何を言いたいのかは分かってるよ。それでもそのことに気が付かないふりをして。
「あれぇー?どうしたんですかっ!先生まで、もしかして必然〜?」
ふざけててへっと舌をだし、星なんか出してみるが。
……先生の怒りに油を注ぐ結果となってしまった。
プチンと先生の中で何かが壊れてしまうと。あとはもう耳をふさぎたくなるほどの怒涛の嵐。
私はうるさいですと耳の穴に指を突っ込み。
「あー分かりました分かりましたわーかーりーまーしーたー!」
やけくそに叫んだ。
先生はぷしゅうと風船の中の空気がなくなっていくみたいに、急激におとなしくなって。
「わかればそれでいイ」
やれやれと心底呆れたように言われた。
私がほっと息をついたのもつかの間。先生の口から出た言葉は私が予測していなかったものだった。
「それじゃあ、帰るゾ」
……え。
もちろんフリーズしたとも。ええ、言葉が頭に入ってこなかったよ。
しかしそのあと、私は何とも残酷なやり方で我に返されることになった。
「い〜や〜だ〜!!!」
「大人しく帰るんダ!」
ノエル先生はその小さな体からでは考えられない馬鹿力で私をずるずると引きずっていく。
たまに後頭部にくる小さな衝撃に、私は言葉を詰まらせながら。嫌だ嫌だと駄々をこねたが、無駄だった。
「先生〜一生のお願いだよぉぉぉ!」
「バカ!そんな若さで一生のお願いを使うんじゃなイ!」
「そこっ!?」
うぅ……こうやってずるずると引きずられていく内にもカフェの入り口でオロオロとしているマフィンちゃんがだんだんと小さくなっていくぅ……。
「誰か……助けてぇ!」
たぶんこれが初めてだろう。こんなにも可能性をあきらめて誰かに助けを求めることは。
そしてこれからも、そんなことがないと信じたいところだね。
……なんてことを考えていたら、ほんとにマフィンちゃんの姿までもゴマ粒サイズになってきたんだけど。
「ちょっ。誰か助けててってばぁぁ!」
そして私の叫びはこの雨が上がったあとの草原に、悲しく木霊し。
その後、小さな生き物に引きずられ、一人でギャーギャー叫ぶ姿を想像すると、激しく恥ずかしくなったのだ。
まぁ、真に恐ろしかったことといえば。無理やり帰らされ、出迎えてくれたティラミスさんの目が笑ってなかったことだろうか……。
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