コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜
日時: 2012/07/10 23:37
名前: 緑野 柊  ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)

 ついについについに来ました! 

 どるさんとの合作!

 このお話はどるさんのキャラクタ—設定を元に、私緑野が文章を作らせてもらってファンタジーギャグ(シリアスもたまに)のお話です!


 今までの作品を見てきた方たちは少し驚くくらい作風が変わりましたが、みなさん楽しんでくださいね!あ、お話を。


 それではどるさんと読者さんに感謝しながら、

 このお話を書き進めていきたいと思います!
 
 そして出来れば感想が欲しいです!待ってるよー!!

  ここからギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜の世界に……
 ↓レッツゴー!!!(^O^)/

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Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.58 )
日時: 2012/10/22 22:56
名前: 緑野 柊 (ID: DnOynx61)

どるさん!至急……じゃなくてもいいです。総合掲示板のほうへ来てください!!

Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.59 )
日時: 2012/10/24 22:07
名前: 緑野 柊 (ID: DnOynx61)

                * 

 私が先生からシフォンより至急カフェに来てくれとの連絡が来たので、いそいでカフェに向かうと、そこで待っていたのは、見知らぬおじさん、気だるそうなシフォンさん、そしてちいさな紙切れだった。
「……なんですか?それ」
 私としては当然のことを聞いたつもりなのだが、シフォンさんは馬鹿にしたよう笑って。
「お前らの初仕事に行先だ」
「「初仕事!?」」
 私と同じように呼び出されたであろうプレッツェル君も驚いたような顔をしていた。
 私たちは思わず顔を見合わせて。
「もうですか?」
「なんだ、断ったほうがいいか?そうしてもらったほうがこちらとしても嬉しいのだが」
「「いえいえ!」」
 私たちは本気で断ろうとするシフォンさんに慌てて首を振った。
 今度いつ仕事が来るのか分からないんだ。こんなチャンスを逃してたまるか。
 私はシフォンさんに先を急かすように促す。
「それでそれでっ?」
 シフォンさんは私の態度の変わりように少し呆れたように、だがちゃんと説明してくれた。
「行先はアニス。ここから少し東に行ったところだ。一日もかからないだろう。この人の息子さんはコニャック山というところに連れていかれたんだ」
「えっ!?居場所分かってんですか!?」
 プレッツェル君は意外というように声を上げた。
 それは私も思った、誘拐されたんだから最初は情報収集かとおもっていたのだが。
 シフォンさんはその弱弱しいおじさんを指さして。
「実はこの人が、その一部を見ていたらしい」
「「ええっ!?」」
 おじさんは私たちのその声におびえたように肩をすくめて、面目ない……とうつむいてしまった。
 だが私はこれに怒りを感じて。
「どうして目の前で息子さんが連れていかれたのに助けなかったんですか!」
 思わずカウンターを思い切り両手でたたいて、そう責め立てた。
 おじさんは今にも泣きだしそうで、がくがくと震えながら。
「だって……、相手はあの反政府組織のグラニュー党だぞ!足がすくんじまって」
 私はもはやそう言い訳をするおじさんに何かを言うことでさえ馬鹿らしくなってきた。
 この人はなんて臆病ものなんだろう。
 そして私はこの人の臆病が一生かけて治らないこともなんとなく感じていた。
 だったらもう、何も言うことはない。私たちがその息子さんを助けるだけだ。
「それで……その息子さんの名前は?」
「……シャスールです」
 おじさんは震える声でそう答えた。
 情けない。
 私は深いため息を吐くと。
「わかりました。それでシフォンさんそのアニスにはどう行けばいいんですか?」
「あぁ。その前に少し待て。いい助っ人を呼んでおいたから」
「「助っ人??」」
 私たちはそういわれても、いまいちピンとくる人が出てこなかったので、首を捻るしかなかった。
 でもまぁ、助っ人は嬉しい。どうせシフォンさんも面倒くさいとか言ってろくに手伝ってくれなさそうだし。
 私はもはやこの人に期待することもなくなった。シフォンさんの性格はもうずいぶんと理解している。
 ちょうどその時、扉が開くのと同時に。「どうしたんですか。こんな時間に」ともう聞きなれてしまった声が聞こえてきた。
「あぁ、悪いな。仕事中だったか?シャルロット」
 シャルロットは腰に手を当てて、私を見て、見知らぬおじさんを見ると、眉間に皺を寄せた。
「誰ですか?」
「客だ」
 シフォンさんはそう淡々と答えた。
 いや、それは分かってるでしょう。
 私は思わず心の中でそうツッコんだ。
「……そうじゃなくて」
「いやそういう意味じゃない。ギルドのほうのお客だ」
 そうシフォンさんが言うと、シャルロットの目つきが鋭いものに変わったように私には思えた。
 シャルロットは声を低めにして。
「……事件ですか?」
 シフォンさんはその問いに静かに頷いた。
 シャルロットは疲れ切ったように大きなため息を吐き。「そうですか」と短く答えた。
 その様子を見て心配したのかプレッツェルは、シャルロットに声をかけた。
「悪いな……こんな忙しいそうなのに」
 私は目を疑う。そうプレッツェルが言った途端にさっきのがまるで別人のようにシャルロットは人のよさそうな笑顔を浮かべて。
「いえ、いいんですよ。これくらいでプレッツェル様の役に立てるなら光栄です」
 ……光栄だってさ。
 さっきまで嫌そーな顔してたのに、プレッツェルが心配した途端これだよ……。
 本当女って怖いよね。同性の私が言うのもなんだけどさ。
 まぁとにかく、プレッツェルのおかげ(?)でシャルロットも同行することになった。
 でも現役の兵士さんがついてくれるのは、心強い。
 プレッツェル君なんか、兵士歴一日だったから、まったくもって戦略とかには歯が立たなそうだし。
 それに……。
「兵士さんもついて行ってくれるんですか?それなら安心だぁ……」
 らしいしね。
 兵士というものは、どうやらこの国の国民から相当な信頼と安心感を持たれているようだった。
 兵士……すごい。
 そう私が思ったのは、まぁこれが最初で最後だけど。

Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.60 )
日時: 2012/10/24 22:38
名前: 緑野 柊 (ID: DnOynx61)

                *
 
 アニスという町までは少し遠いだけなのだが、もうこんな時間だ。歩いていては日が暮れてしまう。ということで私たち一行は馬車でアニスまで移動することとなった。
 あ、もちろん。お金は経費ということで、シフォンさんに払ってもらいました。
 シフォンさんは半泣き状態でずっと財布の中身を見つめていたが、私たちは癪だが、シャルロットからそのグラニュー党について話を聞いていた。
 聞くところによるとグラニュー党は反政府組織だがこの国を変えようと思っていたり、政府に異論を唱える人たちが、集まってただ講義をしていたらしい小さな集団だったようだが、ここ最近、デモが過激化。みな銃や爆弾を持ったり、最近は人も殺し始めている大きな犯罪組織になりつつあるらしい。
 私はそこである質問をした。
 それはどうしてそうなってしまったかの理由だった。
 シャルロットはそれを聞いたとき、少し話したくなさそうな顔をしたが。きちんと答えてくれた。
 ただし、今も私は聞かなければよかったと思っている。
「ある兵士が、強盗事件が起きた時。犯人に人質にとられてしまった、その幼い少女を誤って殺してしまったんだ」
 そしてこの話はひどく気分の悪くなる話だった。
 その兵士は民間人を殺したとして罪に問われることを恐れて、たまたま見かけたグラニュー党に入っていた男を、何の罪もない少女を殺したと罪をなすりつけて、その男を射殺したんだという。
 もちろんこの男には何の罪もなかった。
 男は妻子持ちの、他人を気遣う心を持つ、気の優しい男だったという。
 これにグラニュー党は激怒。
 もちろんこの兵士の悪事はすぐにばれ、男は死罪となったが。罪のない仲間を殺されたグラニュー党の怒りは収まらなかった。
 これにただ単に暴れたいだけの馬鹿どもや、自分に利益ができるからと革命を起こし始めた人々も加わって。今のグラニュー党になってしまった。という訳だ。
 私はこの話を聞いて、吐き気がこみ上げてきた。
 プレッツェルも、複雑そうな表情をしていた。
 シャルッとも、もう思い出したくはないというように、うつむいていた。
 ただ安心できたのが、ここで一番パニックを起こしそうなマフィンがいなかったことだ。
 マフィンはシフォンさんが無理やり、カフェに留まらせた。
 シフォンさんが誰か一人いないと、店が開けないから!と必死に言い聞かせた結果だ。
 あぁ、でも安心して。店で出す料理はすべてシフォンさんの作り置きだから。
 ……ここでいったん話をもどすと。そうゆうことを知っていたから、このおじさんは息子が連れ去られてしまった時も、ただ茫然とその小さくなっていく後姿を見つめることしかできなかったという訳だ。
 だけどやっぱり、私はまだ少しこの話についてイラつきを感じていた。
 やっぱり最愛の息子が連れ去られてしまったら、思考よりも体が勝手に動いてしまうんじゃないだろうか。
 どうしてただ見つめることしかできなかったのか。
 私はそんな疑問も抱き始めたのであった。

Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.61 )
日時: 2012/10/25 22:00
名前: 緑野 柊 (ID: DnOynx61)

                *            

 たどり着いたアニスという小さな集落は、思ったよりもひどく荒れていた。
 馬車から降りると、むわっとした空気とともに、異様なにおいが鼻を通った。
 私は思わず顔を歪めて、鼻を手でつまんだ。
「何?このにおい?」
 プレッツェルも鼻をつまみながら、ただ一人大丈夫そうなシャルロットにそう尋ねた。
「……死体のにおいだ」
 ……!?
 私はシャルロットがそう静かに答えた言葉を、疑った。
 これは死体のにおい?じゃあこの周りには……人が死んでいるの?
 そう思った途端、吐き気がこみ上げて、私は思わずうずくまぅた。
「ミルっ!」
 プレッツェルが心配そうに、私の背中をさすってくれた。
 口の中が胃液ですっぱくなっていく。
「……ここはみんなこうだよ。僕なんかずいぶんましだ」
 そう悲しそうに言うおじさんを私は見つめていた。その憂いを秘めた瞳は一体何を隠しているのか?
 だから服の裾を突然引っ張られたときは、心臓が止まるかと思った。
「ひゃぁっ!」
 思わず悲鳴を上げて、見た先には恐ろしいものがいた。いや、恐ろしいと思ってはダメだ。それは私と同じ生き物なんだから。
「あ……あぁ食べ……の」
 それは頬は痩せこけ、肋骨が浮き出るほどやせてしまっていた。言葉になっていないものを口から発しながら、一生懸命何かを訴えている。
 とたんに私は背中にどうっと冷汗が流れ出した。
 視界がぼやける。
 怖い怖い怖い!
 それは私の服の裾を話そうとせず、ゆっくりゆっくり近づいてきた。
 私は情けないことに、腰を抜かしてしまい。その場から動くことができなかった。
「悪い。離して」
 プレッツェルはそれの手をつかんで、私にこれ以上近づかないようにしてくれた。
 それの手はプレッツェルの手のひらにすっぽり収まってしまうほどにガリガリだった。
 それは怯えたように、また一歩一歩と私から離れていく。
 私は恐怖と安堵に襲われて、震えが止まらなくなってしまった。
 こんなに……こんなにひどいことがこの国で起きているなんて!
 プレッツェルは今にも泣きだしそうな私の肩を、優しくさすってくれた。
 その暖かさに、若干恐怖は和らいだように思えた。
「……ひどい」
 シャルロットがそう呟いた。
 そしてその後に。
「何の罪もない国民をこんなに衰弱させて。グラニュー党。許さん……」
 シャルロットは怒りに震えるように手のひらを強く握りしめて、そう言った。
「先を急ぎましょう。一兵士としても人間としても。このままこの国民たちを放っておくわけにはいきません」
 シャルロットはおじさんに視線を向けて。
「協力してくれますね」
 そう尋ねた。
 おじさんは静かに頷いた。
「……はい」

Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.62 )
日時: 2012/10/25 22:33
名前: 緑野 柊 (ID: DnOynx61)

                *             

 コニャック山は荒れ果てていて、足元には大きな石や岩がゴロゴロと転がり、なるほどこれは案内がなければ迷ってしまうだろう。
 私はこっそり前にいるプレッツェルに話しかける。
「なんだ?」
「さっき、ありがとうね」
 私は少し照れながら、こっそりプレッツェルに耳打ちする。
 プレッツェルは少し頬を赤くして「別に」と言った。
 そんな私たちに呆れたようにシフォンさんは。
「早く来い。国民の命がかかってるんだ。あの人達が死んでしまってもいいのか?」
 ……あの人達。
 私はまたさっきの映像が脳裏に浮かびあがって、ぞっと寒気が走った。
 でもあの人たちは何の罪もない国民なんだ。苦しめられている人たちをほおってはいけない。
「……ミル。早く行こうぜ」
「うん」
 確かにこんな和やかな雰囲気ではいけない。ここはもうあのグラニュー党のアジトがあるのではないかと言われているコニャック山なんだ。それにこの事件には子供の命がかかっている。緊張感を持って急がなくては。
「……こちらです」
 おじさんはさっきから緊張しているのか、声が震えている。
 それもそうだろう。この人はただの一般人なんだ。そしてそれは私もほぼ変わらない。なぜなら先生に私はまだ魔法を教わってはいない。今日こんな日のためにあんなに必死に勉強をしたのに。
「まだ。お前には早い。お前はまだ魔法の怖さを知らなイ」
 そう言われてしまった。 
 私はそれを思い出してまた、悔しい思いに駆られた。
 私は何の役にも立っていないんじゃないだろうか。さっきから迷惑をかけてばっかり……。
「ミルッ!そこ危ないぞ!」
「えっ?……キャッ!?」
 そんなことを考えて、ボウッとしていたからだろうか。私は道の端のぎりぎりに立っていることに気が付かなくて、そのまま道を踏み外して転落しかけて所を、プレッツェルに腕をつかまれなんとか助かった。
 ガラガラと小石が転がっていくのを、ただ茫然と見つめる。
「おいミル!大丈夫か!?」
「まったく。あなたまで信でどうするんだ」
 シャルロットとシフォンが慌てて駆け寄ってきてくれる。
 だが私の心はまた迷惑をかけてしまったと、ブルーに染まっていた。勿論皆が心配してくれたのは嬉しかったけど。
「ミル大丈夫か?さっきからぼうっとしてるけど」
「大丈夫。ごめんね」
 私は立ち上がりながら、おしりに付いた砂を払い。「先を行こう」と皆に呼びかけた。
「あっ。あぁ……」
 プレッツェルは、まだ少し困惑しながら頷いた。
 駄目だ……。私はなんて役立たずなんだろう。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ。さぁ、先へ急ぎましょう」
 私はなるべくみんなを心配させないように微笑んだ。
「……そうですね。みなさん!次はこちらです!」
 おじさんはさっきより少し声を張り上げてそう呼びかけた。
 皆はおじさんの後にぞろぞろとついて行く。その先に何が待っているのかも知らないくせに。


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