コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜
- 日時: 2012/07/10 23:37
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
ついについについに来ました!
どるさんとの合作!
このお話はどるさんのキャラクタ—設定を元に、私緑野が文章を作らせてもらってファンタジーギャグ(シリアスもたまに)のお話です!
今までの作品を見てきた方たちは少し驚くくらい作風が変わりましたが、みなさん楽しんでくださいね!あ、お話を。
それではどるさんと読者さんに感謝しながら、
このお話を書き進めていきたいと思います!
そして出来れば感想が欲しいです!待ってるよー!!
ここからギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜の世界に……
↓レッツゴー!!!(^O^)/
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.6 )
- 日時: 2012/07/11 21:54
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
*
「……大丈夫ですか?」
私は持ってきていた水筒の中身を飲み干し、「ふぅー」と息を吐く。
その横でまだプレッツェルは心配そうにオロオロしていた。
でもこうやって街中を歩いているだけでも気分が少し良くなった。
私は意識した笑みを浮かべ。
「うん。ちょっとはましになったかな?」
プレッツェルはほっとした表情になり、私もそれを確認するとさっきから不思議に思っていた事を口にする。
「私、ガナ—ドはもっと騒がしい所かと思ってた」
「あぁ、そう思う人も多いけど、ここは魔物が多く出るからあまり発展はしてないんだ」
「あ、そうなんだ……」
私はそれを聞いてお婆ちゃんを恨んだ。
あの人嘘言ったのか?
でもまあ正直ありがたい。そんな騒音と喧騒が激しい(勝手な自分の想像だけど)の所に行っていたら、確実に私はアウトだっただろうから。
周りに広がる無駄にだだっ広い畑。可愛い洋服は泥だらけになってしまっているのにお構いなしに、草原を駆けまわる子どもたち。
……懐かしいな。
とミルクレープは目を細めたが、思えばついさっきまでいた自分の故郷を懐かしむのはおかしいと少し笑った。
「どうしたんだ……ですか?」
プレッツェルは首を傾げて尋ねる。
「いや……」
私ははしゃぎまわる子どもたちを昔の自分と重ねながら、独り言のように答える。
「故郷の事を思い出しちゃってね」
「……故郷を?」
プレッツェルも私と同じ様に子どもたちをじっと見つめ、やがてはにかみながら言った。
「……良い故郷だったんだな……です」
と良い事を言ったにも関わらず。また彼の敬語はぎこちなくて。思わず笑ってしまうと少し拗ねたような顔を向けられた。
そして二人で顔を見合わせて笑い合った。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
振り返るプレッツェルに微笑み返したその時だった。
背後から猛スピードで馬車が走り去り、私のスカートの裾に微量だが泥がついてしまったのだ。
急いで泥を払おうとするも、泥は僅かに湿っていて思うように取れない。
「あっちゃー」
顔をしかめて懸命に泥を払おうとするが、そこで気が付いたのが何故かプレッツェルは肩を震わせ怒っていた事。
「え?何?どうしたの?」
動揺しながらも恐る恐る尋ねると、プレッツェルはきっと顔を上げいきなり怒声を上げた。
「貴様なんて事をしてくれたんだー!!!」
貴様こそ何を言っているんだー!!
私はドン引きしてしまったが、それでもプレッツェルの怒りは収まらず。遂には腰に差してあった大きな剣に手を伸ばす。
その途端私は彼が何をしようとしている事を理解し、みるみるうちに健康的な桃色だった頬は青ざめていった。
「キャー止めて止めて止めて!大丈夫だから!」
大慌てで止めさせようとするが、うるさいと言いたげに睨まれてしまった。
ヒィィィィィィ!?どうして私が睨まれなくちゃいけないのよぉー!
内心叫び出したい気持ちでいっぱいだったが、なんとか止めさせようとプレッツェルの腕を掴む。
「止めろっ!」
どんっ!
そして私はプレッツェルにつき押され案の定土の上に倒れそうになりましたとさ……。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.7 )
- 日時: 2012/07/11 21:56
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
*
あぁ、ぐしゃっという土の音とプレッツェルが悲鳴を上げる光景が目に浮かぶ。
私、憧れの地ガナ—ドでお気に入りの服を泥だらけにするんだなぁ……マジかよー。
背中にくるだろう鈍い衝撃を想像して、固く目を瞑った。
ふわっ……
しかし実際に背中に与えられた衝撃はなんとも柔らかく温かいものだった。
ん?
驚いて瞳を開けると、予想していたよりも近くに可愛らしい顔があった。
「大丈夫ですか?」
その子は心配そうに眉を顰め、私をじっと見つめた。
まるでルビーのように真っ赤で綺麗な瞳—。
「……あの?」
私はその子の顔に見惚れてしまったため、ハッと我に返った。
「あっ、ごめんね!」
態勢をなおし、改めてその子と向きあう。
薄い桃色の内巻きのボブカットが可愛らしかった。
その子はまるで花のように愛らしい笑顔を浮かべた。
女の子の私でもドキッとしてしまう。まぁそれくらい可愛らしい子だった。
「……良かったぁ。怪我とかしてないですね」
どうやら私の事を心配してくれていたらしい。私もにっと白い歯を見せて、
「うん、全然平気だよっ!」
腕をぶんぶん振りまわして見せた。
女の子は長い睫毛をぱちぱちとさせ瞬きをすると、小さく笑い声を上げた。
その仕草がまた可愛らしい。
「わたしマフィンと申します。貴方は……?」
「私はミルクレープ!よろしくね」
ミルクレープが手を差し出すと、マフィンもその手を握り返してくれた。
私の手の中にその手がすっぽりと収まってしまうぐらい、マフィンの手は小さかった。
「……へぇ、あんたミルクレープって言うのか……ですか」
後ろでプレッツェルがそう言ってから、私はまだ自分が名乗ってなかったことに気が付く。
て言うか突き飛ばしておいて謝らないってどうゆう事?
しかしプレッツェル本人は呑気な事、大きなあくびをひとつ。
もう終わり良ければすべて良しって感じだ。
私意外に傷ついたんですけどぉ……。
でもマフィンがクスクスとその愛らしい顔で笑いだしたから、なんだかどうでも良くなった。
後ろでプレッツェルも恥ずかしそうに俯いた。
でもまあ自業自得。笑われたくないならそのぎこちない敬語を直しなさい。
と私は心の中でひっそりとほくそ笑む。
「あ」
突然マフィンが声を上げた。
「あ?」
私も首を傾げて、オウム返しをする。
「……土が」
そう言って私のスカートの裾を指差す。
……あぁ、私も忘れかけてた。
「大丈夫だよ。これくらい」と言いかけた私の声はマフィンの焦った声に掻き消されていく。
「大変!染みになっちゃう!ミルクレープさん私の御店に来て!」
「……は?」
予想外の提案に、私は間抜けた声を出した。
「……え?」
それはプレッツェルも同じだった様で、二人して顔を見合わせる。
私達どうやら、マフィンちゃんの御店に行かなくてはいけなくなったようです。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.8 )
- 日時: 2012/07/11 22:00
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
*
そしてマフィンちゃんについて行くがまま、たどり着いたのは「Dolce Del Canard」と書かれた看板がかかっている、こじんまりとした、しかし味のある喫茶店だった。
ぽけーとしたままそれを見上げていると、マフィンが少し自慢げに笑う。
「すごいでしょ。私あのお店のウェイトレスなんです。店長は私のお姉ちゃんなんですよ?」
「へぇー、そうなんだ」
もういろんな事が起きすぎて、勝手にしてって感じ。
なんだかんだで結局はこんなカフェにまで来てしまった。
「ついて来てください」
マフィンはさっそく店の中に入ってしまうし、それの後に続くのはプレッツェル。
おい、いいのか。と私はつっこみたい。がもはやつっこむ気力も無い。
疲れ切った足を引きずるようにして、私も後に続く。
趣のあるアンティーク調の扉を開けると、中は意外ににぎわっていた。
「お姉ちゃん!」
マフィンが珍しく大声を上げて、厨房の奥から姿を現したその人は……。
「何?マフィン」
間の前のマフィンちゃんとそっくりな外見をしていた。
その人は私達に気が付くと、肩眉を上げ私ではなく、プレッツェルを獲物を見つけたライオンのごとく睨みつけると、
「チッ」
盛大に舌打ちをした。
何故に!?
唖然とその人を見つめていると、あッと言う間にマフィンの周りに人だかりが出来てしまった。
「待ってたよマフィンちゃん。君のお姉ちゃんったら相変わらず無愛想で口もきいてくれないんだ」
「マフィンちゃん!酷いでしょー!僕なんて危うく殺されかけたよー!」
どうやら客たちもマフィンの姉に対し相当な不満を抱いているらしい。
あらら……と肩をすくめたその時だった。
じゃき。と音がした。
一瞬でさっきの騒々しさが嘘だったかのように静かになる。
そしてその理由は……、
「お前らその手を離せ」
マフィンちゃんのお姉ちゃんが構える銃だった。
その銃口はマフィンちゃんのか弱そうな肩に触れている客に、確実に向いている。
「なんならお前のその汚れた手。二度と使えないようにぶち抜いてやろうか……?」
マフィンちゃんのお姉ちゃんの瞳は真剣そのものだった。
……真剣(マジ)!?
客は生唾を飲み込み、恐る恐る手を離す。
他の客たちもそろりそろりと後ずさりしていった。
完全にマフィンの周りに誰もいなくなると、お姉ちゃんは静かに頷きやっと、銃をしまった。
もちろん私が抱いたこの人の第一印象は……。
「シスコン?」
だったが、すぐさま睨みが飛んできて、
「違う」
即効否定。
「……そうですか」
いや完全にシスコンでしょ。貴女。
と言いたいが言ったら今度こそ殺されそうなので黙っておく。
「もう駄目だよ、お姉ちゃん!せっかく来てくれている御客さんなんだから、もっと大切にしないと!」
マフィンのお姉ちゃんは、顔をしかめたが、どうやら妹には逆らえないらしく、
「……分かった」
短くそう答えた。
まあこの場面を心温まる姉妹愛と感じる人もいるかもしれないが、私はこう感じた。
いや、だから貴女シスコンじゃん。やっぱ。
多分プレッツェルも同じ事を考えていたのだろう。
「シスコンだ……」
背後でボソリと呟いたのが聞こえた。
「だからシスコンじゃないって言ってるだろう!」
さっきよりももの凄い睨みが飛んできた。
どんな地獄耳だよ。
「はいっ!」
びくりと体を動かして、プレッツェルは何故か兵士とかがよくやる、敬礼のポーズをした。
いや、何で。この人大佐なの?そのくらい上の人なの?違うだろ。と内心つっこんでおく。(口に出して言う気力も無いから)
焦りすぎてついやってしまったのだろう。プレッツェルは耳まで真っ赤になって俯いていた。
まあこの人の威圧感は、王様並みのものだけどね。
私はそんなにマフィンちゃんのお姉ちゃんを見ていたのだろうか、目があってしまった。
条件反射でふいと視線を逸らす。
あまり見るのは止めよう。なんか……殺されそうな気がする。
しかしマフィンの前では別人のように、やんわりとした表情になり、
「お姉ちゃんあの子がね、今日初めてできたお友達!」
「そうか……新しい友達が出来て良かったな」
なんて笑って言っている。
いや、もう完全シスコンだよ。あの人。
そう、だから私達を見るあの人は口元では笑ってはいるが、目が笑ってないのだ。
なんていうんだろう……こう、殺気だだ漏れ☆って感じ。
正直上手く笑えていないだろが、頬をひきつかせながら、
「どうも、ミルクレープと申します」
「オレはプレッツェルだ」
「……だ?」
凍てつくような視線にプレッツェルは体をびくりと震わせ、慌てて言い直す。
「プッ、プレッツェルと申します!」
マフィンの姉は舐めるように私達をまじまじと眺めまわすと、鼻をふんと鳴らす。
どうやら認めてもらえたようだ。
「ワタシはシフォンだ。見ての通りマフィンの姉だ。よろしく」
必要な単語だけをならべ、シフォン踵を返しすぐ厨房に戻ってしまった。
まだ呆然とシフォンの消えた方向に眼をやっていると、マフィンが「あ!」と声をあげた。
またこのパターンだよ。
「早く染み抜きしなくちゃ!来てください!」
ぐんと強く腕を引かれる。
そしてまたまたこのパターンだよ!
「えっ、あのっ、ちょっと!?」
まるでさっきと同じように、私はマフィンに腕を引かれて走りだす。
「あっ、おい!?」
プレッツェルが呼びとめようとしたが虚しく、嵐のごとく二人は去って行ったのだ。
諦めてオレは近場の席に腰を下ろすと、奥の厨房からシフォンさんが出てきた。しかし不審に辺りをキョロキョロ見渡し。不敵に頬を吊り上げると、
「良かったあの二人はいないようだな」
「……え?」
震えが止まらないオレをシフォンさんは見下ろして、そしてにっこりと笑う。
「歯ぁ喰いしばれ」
そしてもちろん私達はその場にいなかったので、そのあとプレッツェルが何をされたのかは今もって不明なのである。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.9 )
- 日時: 2012/07/11 22:42
- 名前: 美璃夜 (ID: E0cJIekf)
またまた来させていただきました^^
プレッツェルの勘違いっぷりがすごい…
面白くてお腹がいたいです
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.10 )
- 日時: 2012/07/11 23:33
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
美璃夜様がまたまた来てくださいました。
もう本当に感謝感謝で涙が……。
しかも笑ってくださったと。
本気で嬉しいです。
実はこんなギャグは笑ってもらえるのかと内心心配だったんです。
本当嬉しい!
これからも末長くよろしくお願いしますです。
それでは最後に読者の皆さま、この後のラプッツェルの絶叫ぶりと慌てっぷりにこうご期待★
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32