コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜
- 日時: 2012/07/10 23:37
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
ついについについに来ました!
どるさんとの合作!
このお話はどるさんのキャラクタ—設定を元に、私緑野が文章を作らせてもらってファンタジーギャグ(シリアスもたまに)のお話です!
今までの作品を見てきた方たちは少し驚くくらい作風が変わりましたが、みなさん楽しんでくださいね!あ、お話を。
それではどるさんと読者さんに感謝しながら、
このお話を書き進めていきたいと思います!
そして出来れば感想が欲しいです!待ってるよー!!
ここからギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜の世界に……
↓レッツゴー!!!(^O^)/
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- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.26 )
- 日時: 2012/08/21 23:49
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
*
あの時の二人は、心の奥でプレッツェル(オレ)いじめを楽しんでいたのは、見ての通り。
こうゆうところで息が合ってしまうのは、何というか、やられているこちらとしては迷惑というか……。
オレはさっきの事を綺麗さっぱり忘れているんじゃないかと疑うほど、自然なミルクレープを横目で見ながら、深いため息を吐く。
今はノエルの家から少し南に行った、まぁ、あそこよりかは幾分かおしゃれな町に来ていた。
町と言っても小さな町で、大きな企業も無いし。これと言って有名な特産物がある訳でもない。
ただ、町じゅうに笑顔が溢れている。のどかで平凡な、良い町だ。
背後では木の棒を振り回す幼い子どもと、文句を言いながらも着いて行っている小さな女の子が通り過ぎていく。
……幸せだなぁ。
そんな事をぼんやりと考えていると、ついついと袖を引っ張られる。
「ねぇ、これなんてどうかなぁ?」
尋ねられ、そのままミルクレープに眼をやると、彼女の胸元に綺麗な蝶のペンダントが揺れていた。
普通ならそこで「可愛いね」とか「綺麗だね」って褒めるんだろうけど、オレはそんな気持ちにはこれっぽっちにもなれなかった。
あぁ、一ミリもさ。
「……良いんじゃない?」
適当にそう返事を返すと。
「……何よそれ」
不機嫌に頬を膨らまされる。
上目づかいでそう言われたって、オレの気持ちはもう動かないぞ。……少なくとも今は。
空はもう茜色に染まり、向こうの方はすでに紺色に変わりつつある。
つまりこんな時間になるまで、ミルクレープの買い物に付き合わされているという訳。
傷ついた心を持っているオレにも、少しは気を使えよ……。
そしてもう一度ため息。
今日は一体何回ものため息を吐いただろうか。
オレは今日どのくらいの幸せを逃がしてきただろうか。
……少なくともtぐらいの単位まではいってそうだけど。
お店の御爺さんはさっきから、にこにこと微笑んでいるだけで。こんな時間だっていうのにオレ達を追い出す事はしない。
この近くには街灯がない。明かりが無ければ商売も無理だろうに。
「ねぇ、プレッツェル君。これなんかどうかなぁ?」
「あ〜、はいはい。そうですね。良いと思うよ?」
オレはもうミルクレープに見向きもせず、面倒くさいという態度を隠しもせずにそう言った。
「もうっ!ちゃんと見なさいよぉ!」
……煩いな。
「わーったよ!見る見る見る!見ますから!」
オレはどうせ同じような物しか身につけてないんだろうと、興味はないし見たくもなかったが渋々振り返る。
そこには……今までと違う彼女がいた。
「……どう?」
瞳をゆっくりと開けると、日が暮れかけているのもあってか、長い睫毛が落とす頬の影。
露わになる耳元。
ミルクレープの前髪には、ステンドガラスがはめ込まれた、金色の綺麗なヘアピン。
ピンといっても、飾りが大きいのでピンの部分はほぼ見えず。
彼女の金髪に、突如大きなガラスが現れたみたいで、少しおかしかったけど。
ガラスの薄い橙色や優しい緋色は、彼女の長い金髪によく似合っていた。
不意に風が吹く。
あぁ、なんて良いタイミングで風が吹くんだろう。
薄ぼんやりと暗くなっていく日の光に当たって、彼女の金髪から光の粒が落ちていく。
「……うん。そうだな」
ミルクレープは薄ら微笑んで。
「……良いと思うよ」
さっきとは違う雰囲気を、その言葉に感じたのだろう。
彼女は目を細めて「ありがとうっ」と言った。
不覚にも、今のには少し心を揺り動かされたかもしれない。
「可愛いよ……ホント」
言いながらも顔が赤なっていくのが自分でも分かる。
オレ、こんなに「可愛いよ」って言うの、恥ずかしく感じるのは初めてかもしれない。
「えと……ミルクレープ?」
最後が疑問形だったのに、ミルクレープも気が付いたようで、嬉しそうに、照れたように頬を染め。
「ミルで良いよ」
「……じゃあ。ミルっ」
彼女が頬を染めて笑っていたのが、彼女もオレと一緒で少し恥ずかしかったからなのか、はたまた夕日のせいなのか。それは分からない。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.27 )
- 日時: 2012/08/21 23:50
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
*
このヘアピンは結局オレがわがままを言って、ミルにプレゼントすることになった。
ミルは不思議そうに首を傾げていたが、実はオレ自身も良く分かってない。
ただ無性に、買ってあげたくなった。プレゼントしてあげたくなった。
自分でも言っていてよく分からない。
帰ろうとする頃にはもう、空は真っ暗になっていて。
御爺さんは「良いねぇ」と笑って、お代を半額にしてくれた。
最後に「気をつけてね」と手を振って、オレ達は暗い夜道を並んで歩いた。
ただ今日は満月で、星も綺麗に出ていたから光に困る事はなかったけど。
夜空の下の彼女の髪のヘアピンも、月の光でキラキラ光っていて、さっきとは違う、夜の美しさを漂わせていた。
手が触れるか触れないかのほどほどの距離を保って、家へ帰ろう。きっとティラミスさんがおいしい夕食を作って待っていてくれている。
もちろんノエルさんだって。
ただこの時は誰も予想していなかったのだ。まさか今日の出来事が、あんな事件につながってしまうなんて。
ただこの時オレ達は月明かりに照らされて、少しだけふわついた足取りを沈めるように、互いの呼吸に集中して。
ただほんの少しだけ、こんなのも良いかなって思ったんだ。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.28 )
- 日時: 2012/08/21 23:51
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
*
どこ—?
会いたい。会って御礼が言いたいの。
ううん。御礼だけじゃない。もっとたくさんの事を話したい。
わたし……貴方の事が……。
突如耳の中に、冷たくて液体状のものが流れてきた。
驚いて目を覚ますと、それはどうやらわたしの瞳から流れ出したもののようで。
……恥ずかしい。この年になってまで夢で泣いてしまうなんて。
鼻をすんすんと鳴らした。
閉じたカーテンの隙間から、朝の木漏れ日が漏れていた。
あの光りは私の王子様に似ている。
あの光りのように優しく包み込んでくれる。わたしを夜という存在から、あの狂犬から救ってくれた。
「ねぇ、どこに居るの?早く迎えに来てよ……」
そう呟いてみても、答える者はいなく。余計にこの虚しさを膨らませただけだった。
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.29 )
- 日時: 2012/08/22 00:28
- 名前: 月露 (ID: IAQru7qe)
元美璃夜です^^
あの、本当にごめんなさい・・・。
全然来なくて・・・ごめんなさい・・・。
〜PCに向かって土下座しまくり中〜
ぜーはーぜーはー・・・。
ヘアピンのこと、次の>>28がすごい初々しい感じがして・・・
ちょっと微笑みがこぼれますね(〃‾ー‾〃)((あ、自分の微笑み気持ちわる・・・ぅぇ・・・
ますます綺麗な文体を面白く並べてあって笑えます。
頑張ってくださいね!
- Re: ギルドカフェ 〜Dolce Del Canard〜 ( No.30 )
- 日時: 2012/08/23 17:49
- 名前: 緑野 柊 ◆5Qaxc6DuBU (ID: DnOynx61)
どうもです!
名前変わったんですね!毎度毎度コメントありがとうございます!
本当コメント来るたびPCの前で踊り狂います(ToT)/~~~
ありがとうございます……!!!!
よしっ月露さんのコメント見て元気でたから頑張りますよ!
ここから本編です
↓
*
昔、そうあの日。王子様は、少しすりむいてしまっただけだというのに、大げさに頭に巻いていたバンダナをぐるぐる巻いて。
「これでよしっ!」
満足げに頷いた。
わたしは少し疑いの念を瞳に込めて。
「本当にこれでいいのかな……?」
あの人は少し唸ってから、また大きく頷いて。
「大丈夫だって!絶対!多分!」
どうやらあの人は頭を使うのが苦手らしかった。
それでも自信ありげにどうどうとそう言ってしまうのが、呆れるような、頼もしいような。
「……なんて」
でもあの人も自分の頭の悪さを良く思ってはいなかった。
「駄目だよな。こんな根拠もないこと言っちゃあ。女の子一人救えねぇよな。こんなんじゃ」
あの人はとても辛そうに、悔しそうに手に力を込めた。
微かに肩が震えている。
急に彼が可愛そうに見えてきて、私はぐるぐるに巻かれたバンダナを指差して。
「私は助けてもらったよ!貴方に!」
彼は驚いて様に目をパチクリとさせた後、笑ってくれたが。どうやらわたしの言葉を本気で受け止めてはくれなかったらしい。
それが少し悲しかった。
しばらくの沈黙。
わたし達の間に乾いた風がカラカラと廻った。
「……オレさ」
沈黙を破ったのは彼のほうだった。
「将来兵士になりたいんだ」
「……兵士?」
「うん」
彼は懐かしむように、目を細めて語り出す。
「昔さ、オレを助けてくれた人がいたんだ。その人と出会ったのはオレがまだ小さい時、たまたま出かけた町で、小さな女の子を苛めている軍団に出会ってオレはただ許せないっていう気持ちだけで奴らに向かって行って……」
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