複雑・ファジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- Ultima Fabura—終焉へ向かう物語—スレ移行
- 日時: 2012/04/28 09:41
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: YsvlUcO/)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=12685
サイト移行しました(参照)↑
Clickいただきましたッ! 感謝感激雨嵐☆
はじめましての方ははじめまして、久しぶりなひとはお久〜! ファジー初、Aerithです♪←
Ultima Faburaの読み方は「アルティマファブラ」(省略=α)。
※ルールいろいろ※
■けんか、他の人を中傷、わいせつ(エッチ)、恋人募集、チェンメ等の話題は禁止です。
■一話につき、2000文字を超える駄文の長文が亀更新ですが気長にお付き合いできる方だけで。
■話はそこまでシリアスではないですが、グロ描写ちょいちょいと。心臓の弱い方は回れ右ですね。
■漢字、フリガナのスペースがミスってる箇所を指摘などなど、頼りない私を支えてくれる方感謝!!
■自分寂しがり屋なのでコメくれると嬉しいです^^
__________。o*★*o。_________
SPECIAL THENKS !!!
○・。右左様 ○・。ヴィオラ様 ○・。霊夢様 ○・。yuri様 ○・。缶コーヒー様 ○・。桜庭遅咲様 ○・。ダンボール戦機様
○・。nata様 ○・。フレイア様 ○・。暁月様 ○・。風そら様 ○・。風様 ○・。涼様 ○・。アキラ様
○・。蒼天の彗星様 ○・。七星様 ○・。文学少女様 ○・。ザクラ・ノイザ様 ○・。淡雪様 ○・。怜茄様
○・。ミロカロス13様 ○・。夜兎____ ≠様 ○・。青雅様 ○・。フェイト様 ○・。海底2m様 ○・。水月様 ○・。ベクトル様
・.━━━━━━━━━━━━ † ━━━━━━━━━━━━.・
α情報
11.03.04
AM 00:26【Ultima Fabura—〝最後〟の物語— 設立】
11.10.14【prologue】
11.10.23【第六章 第十四話SHOT 1〝あなたの手で〟】
11.10.26【〝 〝 SHOT 2〝預けられた背中〟】
11.12.23【〝 〝 SHOT 3〝聖星へ〟】
11.12.28【〝 〝 SHOT 4〝天界と過去〟】New!!
.・━━━━━━━━━━━━ † ━━━━━━━━━━━━・.
C O N T E N T S
〆第一章〝雷水の魔導士〟 -Lightning conductor and who Mofa water-
>>0289 Chapter CONTENTS
〆第二章 〝水地の魔導士〟 -Mofa of Water and Landwho guide-
>>0290 Chapter CONTENTS
〆第三章 〝闇に魅入られし魔導士達〟 -The magician reaches into the darkness mummy-
>>0291 Chapter CONTENTS
〆第四章 〝時の白魔導士〟 -At the time of White Mage-
>>0292 Chapter CONTENTS
〆第五章 〝高貴なる血筋〟 -Serene bloodlines-
>>0293 Chapter CONTENTS
第六章 〝光の戦士達の想い〟 -Worriors of light feeling-
>>0395 Chapter CONTENTS
S U B
>>0002 世界観 >>0046 お知らせ >>0047 世界地図
【登場人物】
>>0003 〜雷水の魔導士編〜 >>0066 〜水地の魔導士編〜 >>0209 〜時の魔導士編〜 >>0388 〜高貴なる血筋編〜
>>0241 イメージソング〜Ultima Fabura〜
>>0103 イメージソング〜第一章ver.〜 >>0105 イメージソング〜第二章ver.〜
>>0117 イメージ声優まとめ
========♪√.・○ おまけ ♪√.・○=========
>>0116 リク完成品めにゅ〜&オリキャラテンプレ
>>0203 小ネタ集【1、2】
>>0221 小ネタ集【3〜5】
>>0216 UGSAのコーナー!【1】
>>0255 UGSAのコーナー!【2】
>>0274 UGSAのコーナー!【3】
>>0278 UGSAのコーナー!【4】
>>0380 UGSAのコーナー!【5】
>>0225 UGSAのコーナー!〜ヴィル好きさんに20の質問〜
>>0237 UGSAのコーナー!〜フェルド好きさんに20の質問〜
===========================================
>>0153 敵キャラ〜王とその16人の混沌の戦士達〜 Pert I >>0154 Pert II
【愛すべきオリキャラたちとその創造神様方】
>>0007 アルス・Z・ベルゼビュート -蒼天の彗星様 ご提供-
>>0009 リトゥス・レフトベッカ >>186 技 -右左様 ご提供-
>>0032 フィニクス・グリモワル >>171 技 -ヴィオラ様 ご提供-
>>0036 テフィル・ディ・シャイアーネ >>168 技 -フレイア様 ご提供-
レフィーナ・ディ・シャイアーネ >>223 イメソン[オリ]
>>0404 ゼノン・ケルクォリア
>>0037 アール・ノヴェル >>173 技 -七星様 ご提供-
>>0049 セルペンテ・ディスペラジオネ >>177 技 -月夜の救世主様-
>>0093 カイズ=ワイヴァーン >>174 技 - 缶コーヒー様 ご提供-
>>0100 ヒュドラ・ワイヴァーン
>>0199 シグレ
>>0107 ノーヴァ・ヒュールン >>185 技 -風様 ご提供-
>>0349 グラス・K・ルース -水月様ご提供-
==================至福.・+=====================
11.03.08#参照100突破。
11.03.26#参照200突破。
11.04.02#参照300突破。
11.04.07#参照400突破。 返信100突破
11.04.18#参照500突破。・・・え?
11.05.03#参照600突破。
11.05.03#参照700突破。
11.05.17#参照800突破。
11.05.24#参照900突破。 返信200突破。
11.05.29#参照1000突破。・・・1000!?
11.06.03#参照1100突破だなんて感謝の言葉が見つかりません・・・
11.06.12#参照1200突破。右片上がりぃいい!!
11.07.02#参照1300突破! 勢いがもはや怖いですよ!!(汗汗)
11.07.15#参照1400突破。・・・これは夢?
11.07.17#返信数300! 皆様有り難う!!
11.07.25#参照1500突破。どこまで上っていくのかもはや楽しみです!
11.08.03#参照1600突破。えーーと・・・そろそろ現実味がわかなくなりましたι
11.08.13#参照1700突破。し、知らないうちに・・・
11.08.20#参照1800突破。え、えへへへへ(←壊れた)
11.08.27#参照1900突破。もうすぐ2000!
11.08.30#参照2000突破!!2000行ったよーーー!!
11.09.03#参照2100突破。現実の状況的に更新がキツい。
11.10.14#参照2400突破。返信数400行きそうです!
11.10.26#参照2500突破。返信数が!後一歩!!しかもFF零式いよいよ明日発売!!
11.12.28#参照2700突破。返信数400突破!昨日で15歳になったたい!返信数と参照数がバグ起こしてるぅー☆アハハ☆(故障)
11.02.25#参照3000突破。いやもうワケワカランてw
===============================================
- Re: Ultima Fabura—〝最後〟の物語—敵キャラ限定募集 ( No.59 )
- 日時: 2011/03/29 00:38
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
- 参照: エアリスとライトニングを同じ天秤になんてかけられない。
>>56 文学少女様
よくぞいらしてくださいました!
か、神だなんて!そんな、崇拝なんてしないでください!あわわ、私なんかに勿体無いです!;
(携帯私持ってなーい!)←黙れ
リトゥスちゃんですか。あれは右左さんにいただいたオリキャラです。気に入ってくださいましたか!
右左!気に入ってくれたって!よかったねー!
オリキャラ投稿してくださるんですか!?
楽しみに待ってます!
>>57 うゆー
うん。ドンマイだね。ははは。|||
でもね、気づいたのさ。メモ帳のアプリで少し書いてた(前半)約1000文字ちょいが残ってたの!
ああ、小説の神様〜〜!(いつもはここで字数確認するときに全文消すんだよ。たまたま残ってた。)
ところでリトゥスちゃん、キャラ崩壊とか平気かな?;
>>58 yuri様
yuriさ・・・え!!?yuriさん!!?
こ、こんなこれにこりゃれれあわわわ・・・(コワレタwww
ベスト3ですか!そりゃ嬉し・・・ぐはっ!
ば、バレたっ!ちょっそれはあのそのうぎゃあああ・・・
うん!言うっきゃない!
意識しました!!(どかーん
ついでに、坂本真綾様とも書きましたが・・・あれも意識しました!!(どどどどかーん!!
え?Aerithも、Lightningもそりゃ両方意識しましたよ!!!
キャラ全然違うのは後でのお楽しみ・・・ククク(ちょ
- Re: Ultima Fabura—〝最後〟の物語—敵キャラ限定募集 ( No.60 )
- 日時: 2011/05/08 00:20
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
- 参照: 筆記体で[Lightning]書いてみ! めっちゃカッコイイよ!!!←
第三話 銀水まといし水の歌姫
>>51 Before Episode >>61 After shot
SHOT 1 遠い記憶
ソウギン
『青銀 鎖が 記憶を 奪って
優しく 包んだ 声から 離すの
消えたの 出ないの あなたのその声
わからない 誰なの? 旅中探すの』
———誰、なんだ?
見たこともないのに。知りもしないのに。
なんでだ? 聴いたことがある気がする。 ・・・その、歌声。
あった。これだ。遠い記憶の中に、そいつの歌声を感じる。だけど、それは俺自身の記憶じゃない気がするんだ。
「ウッ・・・!!」
頭が割れるような頭痛が突如走る。ヴィルは頬杖つきつつ自分の目の前が真っ暗になるのを感じていた。
それと共に、自分の知らない記憶が走馬灯のように脳内でひた走る。
『守るのだ。星を。俺達を始めとする、15人の戦士全員で』
『———そうじゃの。わらわ達がやらなかったのであれば・・・誰がやるのであろうの?』
『王ではない。あやつは・・・正式な王の兄を殺し、王位に上り詰めた闇に染まりし忌まわしき男じゃ』
『兄を・・・!?それは、本当なのかッ!?』
『このようなことで嘘をつく理由などありはせぬ。それに、あやつは———— 』
フラッシュ。
意識の暗闇の中で光が点滅し、強風のような雑音が場面の切り替わりの節目に耳へ響く。
『貴様ら、王の私に背く反国者め・・・!世界を敵に回す気であるのか!!!』
『貴方は王ではない。真の王を殺した、ただの人殺しだ!!!——世界?私達はそれを守るんだ』
『黙れ!!!戯言を・・・。たった十数人、何ができるのだ!』
『お主の手から———この星を救うこと、じゃな』
ガンッと再び頭痛がし、今度は意識が飛びそうだった。しかしそのおかげで、ヴィルの目に映っているのはサーカス団のテントに戻っていた。
目の前の歌姫の声と自分らしき声が会話していた相手の声が重なる気がした。
『氷の 鍵なら 私に 力を
貸しては 助けて ヒントも くれるの
夢では 私は それだけ 聞いたよ
天使の 翼と 救いの 鍵には・・・。』
何かの、メッセージ。
不思議とヴィルの頭は自然にそう理解していた。
青銀の鎖———・・・。
まるで誰かに導かれているかのように、自然に向かったヴィルの目線の先にはメロウの髪をきつく結い上げている鉄のリングがあった。何故だか判らない不思議な自信があった。
あれを壊せば・・・。
刹那、12時を告げる真夜中の鐘がガラァン、ゴロォンと世闇に鳴り渡る。
残念そうに、団長はボールの上で逆立ちをしたまま片手だけでたつと、マイクをもう片方の手に口を開いた。
「おォッと!もうこんな時間か。シンデレラ・メロウはもうお帰りの時間!!」
ひと跳びのバク転で台上—5、6Mはゆうにあるだろう—に軽々飛び乗ると、メロウは小さくお辞儀をした。と、同時にどこからか生み出された水の帯がしゅるりと彼女の体を包み込み、銀の水球と化した。
水球が消えた時、そこにメロウの姿は無かった。
「!!」
軽くアセるヴィル。・・・俺は、あいつに会ってみなきゃいけねーのにッ!!
確かめなきゃいけねーんだ。
「ではでは、fioreも本日は閉店といたします。本日もありがとうございました!」
花束と、おひねりが舞台へ飛んでいく。
同時に人々はぞろぞろと立ち上がり、その波は狭い出入り口へと流れていった。
再び逸れないようにと隣の席を見たフェルドは脱力した。
「・・・やられた」
そこに一番逸れるヴィルの姿は、既に無かった。
顔をしかめたフェルドの肩をたたいたアルスは、ある方向を指差して叫んだ。
「アレ!ヴィルさんですよ!」
ヴィルの後姿は、舞台の後ろへと続く道——舞台裏へと消えていった。
* *
水に包まれて消えたものの、少しも濡れた様子の無いメロウは溜息をついて自分の姿実の前に腰を下ろした。
頭の中に駆け巡る悪夢。
拭いきれない不安は、鏡に映った自分の顔にもその色を見せていた。
すると隣から鏡の中に入ってきた茶髪の—団長の真娘のリズという—女性がメロウの肩に手を乗せた。
メロウにとって、リズの存在は家族の無い彼女の姉のようなものだった。
「どうしたの?・・・また、怖い夢でも見た?」
「・・・・・」
黙ったまま、迷子の子供のようにメロウはこっくりと頷いた。
リズは向かい側の自分の席に腰を落ち着けると、そこに山積みに鳴っていた白紙に手を伸ばしそれを渡した。
戸惑いを少なからず瞳に宿した顔をメロウは上げる。
「教えてくれる?」
「・・・・・」
「———言いたくないんなら、いいよ」
今度は首を横に振った。
普通の人間が口から言葉をつむぎだすように、メロウの震える両手から躍り出た水は紙に言葉を綴る。
〝星が闇に呑まれる夢・・・〟
「闇に?」
〝そう〟
予知夢なのか。
ついこの前も団長が化物に襲われる夢を見たメロウ。それは本当にその日起こってしまった。
今回もそうなのだろうか。とにかく、不吉以外の何者でもない。
でもリズはメロウがまだ何かを隠していることを感じた。促すと、青くなってメロウは首を横に振る。
「そんなに悪いこと?」
〝みんなが・・・・・血溜まりの上に倒れている夢〟
「・・・!」
必死に言葉を綴ったメロウの口元はわなわなと震えている。リズは彼女を抱きしめた。
メロウは〝声〟を失っている。記憶と、声。
涙は失っているわけではないけど、彼女は決してそれを私にさえ見せたことは無かった。
「大丈夫。私達はずっとあなたのそばにいるわ」
〝・・・わかってる〟
「うん。そうだよ。安心して、ね。私先に寝るよ。お休み」
〝お休み、リズ。ありがとう〟
リズはにこっと笑ってテントを後にした。
強張った笑顔で手を振っていたメロウはしかし、まだリズに伝えていなかったことがあった。
血溜まり。
死体の山。
その中の、自分。
返り血を浴びた、自分——。
トントン。
テントの扉を叩くノック音。
顔を上げたメロウは首をかしげた。こんな時間にたずねて来るなんて。
だれ?
リズが、戻ってきたのか。それとも団長?団員の誰か?
声を出せないメロウは仕方なく扉を開けた。
「こんばんわ。メロウ・P・シャーフィナー。・・・いや、〝水不死鳥〟ミュレア・U・フェリーラ嬢」
月光が照らし出す大きな影。
背筋に走る、寒気。
だれ? 誰?
・・・わたしは・・・誰。
- Re: Ultima Fabura—〝最後〟の物語—参照200突破! ( No.61 )
- 日時: 2011/05/08 00:28
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
- 参照: 今年から受験生?うそーん(誕生日4日後に年越無いわ〜)
>>60 Before shot >>62 After shot
SHOT 2 わたしは誰
だれ。誰。
水不死鳥って、誰。ミュレアって・・・誰。
わたしは? ・・・誰?
〝目を覚ませ!〟
この声は・・・?
わからない。世界の何もかも。自分は誰なのか。どうしてここにいるのか。なぜ生きているのか。
冷や汗が流れる。
いやな汗が頬を、背中を伝う。
〝わからないのか!?お前は、ただの魔術師ではないんだぞ!〟
「・・・ゎ・・・」
!!?
今、わたし声が出た・・・!?
どういう事!?
目の前の男が、軽く舌打ちする。隣の小柄な人影の襟首を掴む。
「おいっ!どういうことだ!?こいつは喋れねェはずだ!あの方が言っていただろ!?本当にコイツか!?」
「・・・っ!え、ええ、間違いありません、兄者。でもこいつ記憶もないだろうし・・・」
「へー?やっぱアタリっぽいじゃん」
頭上から降ってきた声に、全員がテントの上を見上げる。
そこにいたのは少年のような影。彼はテントの下に下りてちらりとこちらを見た。
誰・・・?
わたしは、知らない・・・?
〝いや。知ってる〟
そう。そうだよ。わたし、この人知ってる。
でもどうして? 貴方は・・・誰?
「誰だ、貴様は!!」
「俺ぇ?知らねェの、俺のこと?・・・ふーん。ま、いっか」
「てめェこそ俺が誰か知っているのか!俺は1億の賞金首、デリベラ・ビューロッセ様だ!」
刃物を取り出し、嘲る様にそう大声を張り上げるデリベラ。
しかし少年はひるむ様子などまったく見せず——むしろ、向かってきていた。メロウは慌てる。
「・・・ぇ、・・・ぇて」
駄目だ。声はまだちゃんと出ない。なんで出るようになったのかもわからないけど、まだ本調子じゃない。
その時。
気づかなかった。後ろにも、デリベラの手先がいたなんて。
パリィン。
何かの破片が視界に入る。
青銀・・・。
夢に出てきた〝鎖〟の色とおんなじだ。
そう確信した瞬間、意識が遠のいた。体はぐらりとかしぎ、視界は闇に包まれつつあった。
メ
「!?貴様、その瞳は・・・!!」
少年の瞳は銀蒼だった。それを目にしたデリベラは目を見開く。
しかし時既に遅く、デリベラは少年の右手から発せられていた蒼白い稲妻をもろひ腹部に食らっていた。
「ぐ・・・ぁあああ!!!」
雷は明るさを増し、メロウを照らし出した。
ばさりとほどけた金髪は銀月のような銀色へと変わっていっていた。
稲光の中、メロウの瞳に映った少年の後姿は彼女のそれに焼き付けられた。
メロウの瞳の色は銀翠だった。
* *
真っ黒焦げになって口から煙を吐いているデリベラ。
まぁ戒め程度だし、死んではいないだろ。そのくらいの手加減、俺は心得てる。(・・・つもり)
そして自分が救出した姫さんを眺めるため振り返ると・・・彼女はなんと、そこにはいなかった。あんぐり口を開けるヴィル。ねぇ、これってもしかして救出損!!?
ボカッ。
「あでっ!!?」
「何があでっ、だ。お前、急にいなくなってこれか」
2発目の拳をいさめ、足元に転がる真っ黒焦げのデリベラを見やったフェルドは溜息をつく。
一方リトゥスは低空飛行でさっきまで姫さんがいたところに飛んでいった。
拾い上げたそれは、たったさっき敵が砕いたあの青銀の鎖というやつ。
「ん?それは歌姫さんの髪輪じゃないですか」
「あいつに会ってたのか、ヴィル?」
「はっは〜ん・・・・・そうなんだ、ふ〜ん、へぇ〜」
「な、なんだよ」
“明らかに怪しい”という目で見ているリトゥスの視線を不快に感じたヴィルは眉をひそめ一歩後ずさる。
・・・まぁ、リトゥスからしたらからかってるだけだが。
目的は別にある。
だがそれを知る由も無いヴィルは頭上に「?」マークを浮かべ、警戒するだけ。
恋愛私情に興味の無いフェルドが「これ見たのか?」と懐から取り出したのは一枚の手配書。
ヴィルは目を丸くする。
「〝水不死鳥〟ミュレア・U・フェリーラ・・・!」
「賞金首だ」
「そうそう。その子高いよね。1ヶ月前から行方不明らしいわよ」
何でもない風を装ってリトゥスは手配書を指先でトントンと叩いた。ヴィルは賞金額に目を留める。
あんぐりと顎が落ちたかと思うくらい下に勢いよく開いた。
「6億・・・4000万!!?」
「あ、ありえないですその額・・・」
戦ったら相当強ェな。いや、俺達が束でかかって勝てんのかな?
ぼんやりとそんなことを考えていると、フェルドは少し疑問に思ったふうに紙をヴィルの手から引いた。
「ん?お前、知らなかったのか?」
「全然。そういえばこいつ、あのメロウってやつに似てね?」
「あのなぁ・・・」
手配書の写真は間違いなくメロウのような気がするが、瞳に宿った鋭さがあいつとは少し違う。
瞳の色は銀翠。おろした長い髪の色は銀。
息を切らしているのか、少し開いた口から見える舌に刻印されていたのは魔方陣だった。
「え!!?これ・・・!?」
「俺達みんなあいつが〝水不死鳥〟ってことも気づいてた。お前もそうかと・・・」
「で、メロウさん・・・いえ、ミュレアさんは?」
「悪ィ。それが・・・。いなくなっちまった」
はァ!?
闇夜にそんな声が響くのも当然だった。
- Re: Ultima Fabura—〝最後〟の物語—参照200突破! ( No.62 )
- 日時: 2011/05/08 00:35
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
- 参照: もっと小説を書く時間がほしい。
>>61 Before shot >>63 After Capter prologue
SHOT 3 氷の護符
============================================================
団長、リズ、fioreのみんなへ。
今まで迷惑かけて、ごめんなさい。
もうこれ以上、みんなに迷惑はかけられない。
記憶は戻ったし、声も戻ったし力も戻った。
でも、だからこそわたしはもうここには留まれない。それを思い出した。
わたしの本当の名前は、ミュレア・U・フェリーラ。
賞金首なの。みんなの・・・普通の魔術師たちの、敵。
それを思い出した以上、ここにいればみんなにも危害が及ぶ。
本当のわたしは〝ミュレア〟だけど
みんなと過ごしたわたしは〝メロウ〟だから。
メロウとしてのわたしを忘れないで。
ミュレアとしての、犯罪者のわたしは忘れて。
それがわたしの〝メロウ〟としての最後の願いです。
さようなら。もう、二度と会うこともないね。
——メロウ・P・シャーフィナー
============================================================
月光が差し込む戸口の奥でサーカス団員達の安らかな寝息が聞こえる。
メロウことミュレアは普通の人間なら見えない闇の中を普通に見ていた。恐らく彼女の血縁のせいだろう。最後の置き手紙を音を立てないよう静かに、すっとテーブルの上に載せる。
旅装は整えた。もうここにいる理由はない。見つかる前に去らなければ。
「さようなら」
微かにそう呟く。
銀色のつややかな髪は月光を静かにたたえ、銀翠の瞳は神秘的にきらめいている。
旅装のミュレアは白いタンクトップ、短パンにブーツ。マントは夜空にも夏の海のようにも見える藍。
背を向けたミュレアの背後で何かが動いた。
「メロウ・・・?」
リズが起きたようだった。
振り返ったミュレアの瞳の色に驚愕する。
「ごめんなさい。リズ・・・さん」
「メロウ、あなた声が!?」
「わたしは、メロウではありません。あなたの知っているメロウは、もういないんです」
どうしてそんなによそよそしいの?
リズは変わり果てた姿と態度のメロウ——ミュレアに混乱する。
初めに会ったときの服。
旅装を整えている彼女の姿に混乱する。
初めに会った日、雨に降られた。
団長である父と団のトラックのカーテンを新しく買ってきた帰りだった。
『降ってきたな』
『あれ?あんなとこに女の子』
赤い服を着た女性が、雨に濡れるがままそこで立っていた。だがなんだか妙だ。女の周りの人々は全員倒れている。
尋常じゃない。
『ん?本当だ。おーい君!そんなとこにいちゃ濡れるぞ!』
振り返った金髪の銀の瞳の少女は走り寄って来た二人の姿に振り返ると、力が抜けたように倒れた。
ぱちゃ、と倒れたところが音を立てる。赤かった。
雨じゃない。血だ。
『大変だ、リズ!この子すごい熱だ!わしが運ぶ、リズはカーテンを持ってくれ!』
赤い服じゃない。
血だ。
ここだけ赤レンガの色が濃い。
血だ。
吐きそうだった。その場で戻してしまいたい衝動にかられた。父さんは女を抱き上げた。リズは嘔吐しそうな衝動をこらえつつビニール袋に包まれたカーテンを持った。
それからずっと一緒だった。姉妹のように。
後で知ったが、回りに倒れていた人々は人攫いだったらしい。
〝力〟が強すぎた彼女が、抵抗したために傷つけてしまったんだとリズは解釈した。こんなに大人しい気の少女が人を殺しただなんて考えたくもなかった。
メロウは私達を家族のように慕っていた。
いつも笑っていた。
一体どこに行く気なの?ここにいるのはいやだというの?
そんなのって。
「安心してください。わたしはもう、あなたたちに迷惑はかけない」
迷惑?
一緒に支えあうことが家族じゃないの?
ほとんど身寄りのない私達は家族も当然じゃなかったの?あなたにとって私達は本物になれなかった?
少なくとも私にとっては家族だった。
なのに。
「・・・駄目よ。あなたはここにいるの。ここがあなたの居場所」
「わたしもそう思っていた。でも違った。だからここを去ります」
強い陣旋風。
思わず目を瞑ると、目を再び開けた次の瞬間そこには誰もいなかった。
暗闇の中、リズは一人脱力した。
「・・・何者だ」
クレパスの中にドスの効いた低い声が響いた。
声の主、氷竜は目の前の女を見下ろし言い放った。
「あなたの待ち望んだ者」
少女は凛とした瞳で見返した。
銀翠の瞳の持ち主。
戦うとなればただでは済まされないことは判っていたが、相手にその気がないことも判っていた。
「何?」
「翼に傷を負い、貴方はここに身を潜めた。そしてここまでたどり着いたある魔導士の一団に、治癒の魔術を扱える者を連れてくるよう依頼した・・・そうですね?」
女は銃と剣が合体した武器を振り回しながらこつこつと歩き、言った。
氷竜はふ、と笑った。
「いかにも」、、
「そしてその4人を氷の魔術で縛り付けた」
「そうだ」
「これで判りますね?」
「我の傷を治せる、というのか?」
「信用するなら目を瞑ってください。少々眩しいので」
仮にも相手は銀翠の瞳の持ち主。油断は禁物だ。
しかし氷竜はなぜか信じてみようという気になった。
目を閉じてまもなく、瞼の下からでも判るほど何かが発光していた。
光の収まる気配とともに翼の熱は引き、痛みも感じなくなった。
瞳を開く。
「ほう・・・やはり、天使族」
「母が。——父は神霊族でした。特殊な神霊だった父の子を腹に宿した母はわたしを産んですぐ死にました」
純白な翼を持った銀翠の瞳の女は氷竜から視線をそらし、感情もなく喋った。
瞳にちらりと赤い光が走ったのは気のせいだろうか。
確認するまもなく光は消えた。気のせいだったかもしれない。
「目的は?」
「今ので約束は成就されました。1、彼らの呪縛を解くこと。2、あなたの氷晶頂きたい」
氷晶。
それは氷の竜だけの持つ魔力を宿した氷。
しかしそれを渡すことは相手に信頼を持った証拠。簡単には渡せない。渡すとそいつには歯向かえなくなる。
「それを守るか?」
呪縛を解きつつ氷竜は言った。
氷竜の隣に4本の巨大なつららがどこからともなく現れ、地面に墜落した。
「命に代えても」
女は自分の翼から落ちた羽を氷竜に渡した。
それは彼女の念がこもった羽だった。それには治癒の魔力もこもっている。
自分が死んでもその魔力は続く。天使族の秘術だ。
「・・・仕方ない。持ってゆけ」
氷竜は女に氷のタリスマンを渡した。銀の水色っぽい雫形のイヤリングを3つ、かたどったものだ。
女はそれをサイドテールより少し緩く下のほうに結わえている髪とは反対側の右耳につけた。
しゃらん、とそれは彼女の耳元で音を立てる。
「ありがとうございます。・・・では、また会いましょう」
天使族の女は冷気を巻き上げ、双方満月の浮かぶ空へ飛行した。
今日から〝聖月夜〟だ。
——第一章 〝雷水の魔導士〟 完
- Re: Ultima Fabura—〝最後〟の物語—参照200突破! ( No.63 )
- 日時: 2011/04/29 00:53
- 名前: Aerith ◆E6jWURZ/tw (ID: hQNiL0LO)
- 参照: もっと小説を書く時間がほしい。
第 二 章
prologue
天使族だった祖父。
精霊族だった祖母。
天使族だった母。
神霊族だった父。
——闇の、神霊だった父。
同じ血が流れているわたし。
穢れた血を継ぐわたし。
忌まわしき存在であるわたし。
それを知っても尚、君はそばにいてくれたね。
傷つけてしまうかもしれないことを知っても。
わたしが誘ったのにね。
突き放そうとしたのにね。
優しすぎるよ。
駄目だよ。 でも行かないで。
矛盾してるのはわたし。
『黙って殺されるの? だったら一緒に逃げようよ』
今わたしは自分の言葉を後悔してる?
宿命から逃げる。君に連れられ、君を連れて。
でも無理だったよね。君もわたしの宿命に巻き添えを食らった。
空を統べる雷。
母なる海は水。
道を作った地。
雷水に加わった。ひとつ。君が加わってしまった。
なんで?
なぜ?
どうして喜ぶの? わたしといられるから?
いつものフザけた態度。時折見せる哀しい顔。厳しい顔。
憎悪から、復讐から救ってくれたって君は言ったね。
それだけのこと? それだけのためにわたしといられれば悪魔にも魂を売るって?
駄目だよ。
もう傷つけたくないのに。
わたしのために傷つく人は見たくないのに。
でももう巻き込んでしまった。後戻りは——できない。
守らなきゃ。君も。わたしが。
>>62 Before Capter >>64 After shot
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