二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー
日時: 2012/11/23 17:03
名前: しろお (ID: 1umF9w7B)

「俺が……、エースか」
 伝説の高校生ストライカー豪炎寺修也———を従兄弟に持つ普通の高校生、豪炎寺真人(まさと)。彼は親の仕事の都合で日の出島という、自然豊富な田舎へ越すことになった。初日、見晴らしのいい岬で彼は大きな石につまずきそれを壊してしまう。実はその石というのが、ただの石ではなくかつての大戦の戦死者の慰霊碑だった。
 “サッカーに勝たないと消える”
 全てを賭して、呪われたピッチに少年は立つ。 
 
 イナズマイレブンシリーズ第4弾。
 呪われたフィールド! エース
 
テーマは「代償」
 

 〜作者挨拶〜
 ジョーカーの更新始めました
 


『強くなれ』
 愛媛にある至って普通の高校、花丸高校に入学した不動は、性格正反対、生涯のライバルとなる正義漢、立沢仁之介と出会う。
 競り合い、そして成長する中である日、試合中に謎の人物が乱入してくる。
 それこそが本当の、波乱に満ちた2人のサッカー人生の始まりだった。
 強さとは何か? 正義とは何か? 
 2人の少年はサッカーを通してその答えを求める。
 
 イナズマイレブンシリーズ第四弾
 呪われたフィールド! ジョーカー
 
 テーマは「正義」

 


                      ……多分

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Re: イナズマイレブン4   呪われたフィールド! エース ( No.124 )
日時: 2012/04/14 15:55
名前: しろお (ID: ncbR.D/v)

次の日。
 夏のIH予選が行われた。が、春で準決勝に行っている日の校は、一回戦がシードのため、明日の二回戦からが試合となる。
 試合前日ということではやめに練習をきりあげ、ウォームダウンをして帰る部員たち。
 源田と佐久間は鬼道の家に居候しており一緒に帰るのだが、源田は買い物がしたかったため途中で二人と別れた。
 その帰り。河原の横道を歩いていると、ふと昨日のことを思い出した。
「(昨日はあの謎の女のせいで、ろくに本が読めなかったな……。明日返却日だし、今読んじゃおうか)」
 源田は片手で本を読みながら、芝生坂の昨日と同じ場所に腰を降ろそうと、まずバッグを地面に置いた。
 今日も偶然、太陽が沈みかけて、オレンジ色の空に染まってきたころだった。
「ん?」
 背後に気配を感じた。ちらっと後ろを見ると、あの文学少女がいた。
 風は弱いが、少し吹いている。源田は首を元の向きに戻し、川を見るとも無く眺める。
「(いやあぁぁああぁぁ!!!!!!  いやぁあぁぁあぁぁあぁぁ!!!!)」
 源田は心の中で絶叫こそしているものの、ポーカーフェイスを貫いている。
 文学少女は満面の笑みを浮かべて源田の背中を見ている。よほど昨日が楽しかったのだろう。
「(し、しまったあ! 見つかったあ……!!! このシチュエーション、おそらく彼女はまたロマンチックで非現実的なボーイミーツガールを期待しているんだろう……!)」
 源田は静かに腰を降ろす。文学少女は、まだ立ったままでいる。
「(夕日のきれいな河原で、孤独に本を読む少年に声をかけてもらいたいわけですねえー……。……重力振り切ってんじゃないの!? 精神が!)」
 文学少女は笑みをやめて、遠い目をしている。すでに彼女の中でターンは始まっている。
「(ほらー! もうなんか遠い目しちゃってるしい! ロマンチック乙女ゲージ満タンなのが目に見えて分かるしいー!」
 文学少女は源田の近くにざっざっと歩み寄る。すぐ後ろに立っており、昨日よりも距離が近い。
「(このやろう……! 俺があの訳の分からん台詞しぼりだすのがどれだけ苦痛だったか、分かってねえな……!? しかしい、俺はキングオブキーパー。ここで逃げるわけには行かないな。またあのお笑い空間に踏み入ることになろうとは……! 飛ばすぜ、スカした言葉をぉ!)」
 冷たい風が吹き、静かになる。
「風が……冷たいな(……しまった。これ普通の会話だ! かっこよくなあい!)」
「む……ん……んん……?」
 文学少女は微妙な表情を浮かべている。
「(あーちょっと微妙そう……! 落ち着け俺、頭を捻れ!)……寒波が来る……!(だから落ち着けぇ! しかもこれから来るの夏だろおお!! ごめんなさい、次こそは。次こそは!)……シベリアから、今年一番のやつが……(あれえっ!?)」
「……ん!? ん……むむ……」
「(ごめんなせっ! すんまっせ! えっと、えーっと……。よし来たぁ!)」
 風がやむ。タイミングを見計らい、起死回生の一言を喉元で押さえる。
「今日は風がきらめいてやがるな……(……これだあああ!!!!)」
「ぶふっ!」
「(笑われたぁぁぁ!!!!)」
 

Re: イナズマイレブン4   呪われたフィールド! エース ( No.125 )
日時: 2012/04/14 15:56
名前: しろお (ID: ncbR.D/v)

 次の日。6−1と快勝した日の出高校。
 午前中からの試合だったため、まだお昼である。船の中で部員たちは談笑したり、自分たちの課題について話し合ったりしている。
「どうしたんですか源田くん。今日は、らしくないミスがあったじゃないですか」
 今日の源田はぼーっとしていて、普段完璧すぎる分何かとミスが目だった。
「ああ、堤か。きのう、いろいろあってな……」
「試合が早く終わったので、いったん学校に帰って練習するそうですよ。今日も大変ですよねー……」
「ああ……。あ、俺、本の返却日だから図書館寄ってから行くことにしようと思ってるんだが」
「そうですか。伝えておきますよ」
 港につき、図書館で用を終えて学校に向かう源田。やはり河原の道を通るのが一番だが、非常な危険が伴う。
 けっこうな距離を歩いて疲れていた源田は、芝の上に腰を降ろして『そろそろ着く』と鬼道にメールを送る。
 まだ日は暮れていないが、いつぞやの気配を感じた源田。   
「(来たか……。何度来ようが、俺はこの河原から立ち退くつもりは無い。逆に俺が貴様を追い払っ……ん?)」
 文学少女はうつむいて、申し訳なさそうにちんまりと立っている。
 昨日笑ってしまった失礼に対し、気に病んでいるのだろう。
「(心配ご無用。男子高校生は、傷つけられるのは慣れっこっす。だが謝ろうという行為はとてもいい。変な妄想ワールドを展開してお笑い空間に俺を引きずり込むより、一言謝るほうが人として成長できるだろう)」
「あ、あの……!」
 文学少女が何かを言いかけたところで突風が起こり、閉めていなかった鞄から原稿用紙がズラララと飛んでいった。
「(何してんのおおお!?)」
 文学少女は急いで追うが、紙は鳥になった気分で空を駆けていった。足元を見ずに走ったため「ひっ!」と声を洩らして転んだ。
「(ほんと、何してんのっ!?)」
 文学少女が倒れながら自分の手を見る。血こそ流れてないが、軽い擦り傷ができている。
「(げげっ、ちょっ! いかん!)」
 怪我が多いスポーツをしている源田は、常にポケットに絆創膏を携帯している。それを取り出し、立ち上がって文学少女の元に向かおうとする。
「うっ……くっ!」
 半べそをかきながら文学少女は源田が到着する前に、自分のポケットから絆創膏が入ったケージを取り出した。「(何ぃ!?」)」と源田は面をくらう。
 しかしなかなかセロハンテープがはがれず、ムキになればなるほどセロハンテープはぺったりと張り付いていく。
「(早く開けてくださいぃ……!)」
 源田は笑いと苛立ちを露骨に表情に出して唇を噛んでいる。
 文学少女はぱっと何事も無かったかのように絆創膏をあきらめ、源田の座るところへ戻っていった。「(あきらめんなよぉっ!)」と源田は心の中で叫ぶ。
 文学少女は平静を装いながら鞄からペットボトルを取り出して水を飲む。しかし勢いよく傾けすぎて、むせた。がばっと水を噴出す。
 源田のイライラが募る。しかしコントのようなタイミングのよすぎる文学少女の動きに、笑いもこみ上げてきている。
「ごほっごほっ、ごほっ、うっっくしゅ!」
 文学少女は、むせながらくしゃみを出し、飲んだ水を鼻から出してしまった。
「(いい加減にしろおーっ!!)」と源田は手を額にあてて必死に自分を押さえている。笑いを我慢しすぎて、目には涙を浮かべている。
「(人が必死に笑い堪えてんのに畳み掛けやがって! いつまでたっても空気が整わねえよっ!)」
 泣き出しそうになりながらもまずはポケットティッシュを取り出す文学少女。
「うう……あっ!」
 勢いあまってすべてのティッシュが出て戻そうと詰め込んだら中途半端にくしゃくしゃになってしまい、またもや突風に飛ばされてしまった。
「(人を笑わせる天才かおまえはっ!)」
 文学少女は慌ててティッシュを追おうとしたが、さきほど自分が噴出した水で芝が湿っており、足を滑らせてつるっと宙に舞った。
 源田は頭にかかと落としをお見舞いされ、悲鳴をあげる間もなくその場に崩れる。
 文学少女は訳が分からなくなり、ついに声をあげて泣きはじめてしまった。
 倒れながらも源田は冷静だった。
「(いや……いいと思いますよ? かっこつける必要なんてないんです……。かっこ悪いところを見せて行きましょうや……。それが本当の自分なんだから……)」
 たらたらと血を流しながら、源田は心の中で語りかけた。
 文学少女はぐずりながら立ち上がり、服についた芝をはたいて落とす。
 源田も起き上がり、ふらふらしながらも、また芝の上で座る。
「……心配せずとも、怒ってませんよ。ですから、元気を出し……」
 源田が立つ。すぐ背後に立っていた文学少女の鼻に勢いよく後頭部がぶつかってしまい、鼻血を出して文学少女は背中から倒れた。
 源田は後ろを振り返る。文学少女が気を失って眠っている。
「なんでだよおおおーーー!!」」
 






 そして次の日。
 二階堂がミーティングを始める。
「えー、今日は新しいマネージャーがいる。梅宮理沙さんだ」
「よろしくお願いします!」
 源田は凍った。まさしく今まで彼を苦しめ続けた、文学少女その人だった。
「なんでだよおおおーーー!!!」 
 

Re: イナズマイレブン ( No.126 )
日時: 2012/04/16 00:01
名前: ユリック (ID: lyvuYd3F)

しろお様は春ですか。僕は年中眠いですw
睡魔との戦いは連敗記録を更新し続けております…

わぁ、混じってますね。世界観は大丈夫ですか?
時間のある時にゆっくり読みたいと思います♪

源田のキャラが分からない…;
梅宮さんといたら笑いと心配が絶えないでしょうねw

Re: イナズマイレブン4   呪われたフィールド! エース ( No.127 )
日時: 2012/04/16 21:01
名前: しろお (ID: BojjKUtd)

ありがとうございます!

学校楽しいなチクショー…
でも勉強もしないと; テストは本当に面倒ですね

どの世界観もキャラも、大切にしてますっ。
時間のあるとき気が向いたら、読んでみてください

源田は寡黙なので、何を考えてるか分かりづらく、気難しいうえに動かしづらい困ったキャラです

ですので今回の話でも、無理やりギャグにあてはめた感が少しありますね^^;

…あ! マネージャーの名前、松竹梅で揃えればよかったー…!
くっ…!

Re: イナズマイレブン4   呪われたフィールド! エース ( No.128 )
日時: 2012/04/18 17:20
名前: しろお (ID: SOGiHJ/a)


 6月4週





「日本人は練習しすぎ。練習が嫌いになるから、サッカーを嫌いになる。基礎とスタミナを鍛えて、あとは自由にやらせておいて、たまにレベルの高い海外チームと試合させるくらいで良い。厳しい練習は、その場しのぎの育て方でしかない。90分はとても長いし、フィールドはとても広い。長い目で見てこそ本当の監督、そして一流の指導者」
 と二階堂はミーティングにて言う。
「日本の強豪高校は『実力』がある。ユースには『インスピレーション』がある。この二つを掴むために、……効率の良い、有意義で厳しい練習をする。あと、あさっての祝日に韓国選抜の2軍と試合するから。つまり韓国選抜の候補には上がったけど、落ちた子たちな。言っとくけど、めっちゃ強いから。フェアプレー心がけろよー」
 部員たちは二階堂の極限すぎるヴィジョンに、苦笑いしかできなかった。 




 

 ハイレベルなチームとの練習試合をこなしながらも、順調にIH予選を勝ち進めていく日の出高校。
 寝ても覚めてもサッカー。晴れの日は猛然とボールを追いかけ、走り、走りこみ、ボールを蹴っては追いかけ、筋肉を鍛えに鍛えて、雨の日は湿度の高い室内練習場で吐き気と汗を飲み込み、嫌になるほどサッカーにすべての体力、精力を凝縮する。
 大会で勝ち進むのは嬉しかった。しかし、強豪高校がごまんといる東京ブロックで勝つには、それこそ死ぬ覚悟で苦痛を受け入れなければならない。再来週に控えている準決勝の対戦相手は因縁の関東第一高校だ。
 夏の猛暑の中室内でサッカーをするなど、自殺行為に近い。だからこそ夏本番に備え、室内練習場の設定温度は34度となっている。これも二階堂の計らいである。
 堤と宮市が水分を補給しては、練習場の外へ行ってからっぽの胃を嘔吐する。
 休憩時間に、山田がぼそっと苦言をこぼす。
「オイラもう、無理でやんす。本当に、サッカーが苦しいでやんす……」
 その言葉は真人にもよく分かる。事実、死人が出てもおかしくない練習量だった。
「気持ちは分かるよ山田くん。でも、みんなの目を見るんだ」
 山田は曇るメガネ(練習中はコンタクトレンズをつけている)で、回りを見る。鬼道、佐久間、源田ですら疲労困憊している様子だった。他の部員たちはもちろん死にかけている。
「……みんな死んでるでやんす」
「……そうだな。俺も、喋るのも辛いよ。水飲むと宮市みたいに吐くから飲まないでいたら、ほら。ぺっ」
 真人は己の手の平に唾を吐く。つばと言っても出てきたのは、水分の無い白い小さな塊だった。「唾なんて出やしない」
「見せなくていいでやんすよそんなの……」
「みんな辛い。辞めたいって俺でも思う。逃げたい。サッカーを辞めたい。でも、今。それでも今全員いる。再来週は関東第一高校との準決勝戦だ。冬、あいつらに惨敗したときを思い出してみろよ。きっと今ここにいるのは、あの時本気で国立を信じたやつと、信じてるやつだけだぜ!!」
 真人は目を血走らせて言う。
 山田も唾を吐いてみた。汚い、白いカサカサの塊が手の平に落ちる。山田は黙った。
「想像するんだ! ロスタイム残りわずか、俺たちは一点差で負けてる。相手のドリブルを山田くんが止める! カウンター! クロス! 俺のシュート! ……そうさ! サッカーやろうぜ、山田くん!」
 疲労でおかしくなったか、脅迫に近い調子でそう言う真人の目は狂気を帯びている。
「む、無理でやんすー!」


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