二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー
- 日時: 2012/11/23 17:03
- 名前: しろお (ID: 1umF9w7B)
「俺が……、エースか」
伝説の高校生ストライカー豪炎寺修也———を従兄弟に持つ普通の高校生、豪炎寺真人(まさと)。彼は親の仕事の都合で日の出島という、自然豊富な田舎へ越すことになった。初日、見晴らしのいい岬で彼は大きな石につまずきそれを壊してしまう。実はその石というのが、ただの石ではなくかつての大戦の戦死者の慰霊碑だった。
“サッカーに勝たないと消える”
全てを賭して、呪われたピッチに少年は立つ。
イナズマイレブンシリーズ第4弾。
呪われたフィールド! エース
テーマは「代償」
〜作者挨拶〜
ジョーカーの更新始めました
『強くなれ』
愛媛にある至って普通の高校、花丸高校に入学した不動は、性格正反対、生涯のライバルとなる正義漢、立沢仁之介と出会う。
競り合い、そして成長する中である日、試合中に謎の人物が乱入してくる。
それこそが本当の、波乱に満ちた2人のサッカー人生の始まりだった。
強さとは何か? 正義とは何か?
2人の少年はサッカーを通してその答えを求める。
イナズマイレブンシリーズ第四弾
呪われたフィールド! ジョーカー
テーマは「正義」
……多分
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- Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー ( No.174 )
- 日時: 2012/12/17 21:27
- 名前: しろお (ID: G.ZTkXYK)
次の日、
「あ、立沢くん」
廊下で歩いていると、制服姿の霧島に出会った。
「あ、霧島さん。どうしたの?」
「あの、レッド君ってさ、レッドが本名でいいのかな」
「レッドには聞いてみた?」
「それがさー……『ヒーローの正体は秘密なんだ!』とか言って」
誰も、レッドの素顔を見たことがない。授業中もあのままだ。「本村先生はなんて言ってた?」
「『人間だれしも、秘密のひとつやふたつ、持っているものなのだよ。あはっはー!』てな感じ」
じゃあ列土 尋(れつど ひろ)って適当につけちゃえば、と立沢がいったところに、本村が通りがかった。
「んー、マイスチューデンツ。深刻な顔してどうしたー?」
「あ、本村先生。サッカー部の方針について話してたんですよ」
「んー、そうかい? 学生時には大いに悩んでもらって結構。青春は一度きりなんだからね。あっはっはー!」
なんとか霧島がごまかし、本村は上機嫌で職員室へ入っていった。
「次の授業があるから、また後で」
霧島がいなくなり、ふいに立沢は呟いた。
「本当にレッドって……何者なんだ……」と。本当に変な格好をしているだけで、授業中はまじめに挙手し、廊下のゴミを拾い、練習の後片付けにも積極的に参加する。悪いやつではないのだろうが、とにかく落ちつかないのは事実だ。
「気になるかい?」
声に反応して視線をあげると、そこにはレッドが立っていた。立沢は思わずうわっと声をだして驚いた。
「ふっ……正体は謎のままにしておいてくれ」
意味深なことだけ言い残して去っていった。
- Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー ( No.175 )
- 日時: 2012/12/17 21:33
- 名前: しろお (ID: kBuEHw3O)
9月2週
「今日も練習頑張ろうぜ」
そう言ったのはレッドだった。学校に馴染んだとはいえないが、最初は混乱したサッカー部も今では強力なレッドの存在を誰しも認めていた。
『とにかく、こいつがいれば勝てる』
その思いが、レッドの格好の不思議さなど忘れさせていた。
2人、不動と立沢を除いては。
しかし仲の悪い2人がそれについて相談するはずもない。
「おい、レッド」
「なんでしょうか監督」
「調子はどうだ? ルールはわかってきたか?」
「はい。最低限のルールは抑えたつもりです。しかし実践経験でしか身につかない物もおおく、まだまだ練習が足りません」
「そうかそうか。3年がケガででれないようだから、レッド、出ても大丈夫か」
「問題ありません。ありがとうございます!」
「頼もしいな。期待しているぞ」
「レッドのやつ、いきなりレギュラーっスか」
「なに、俺達も負けないように練習しよう!」
立沢自身、なにか不安がなかった訳ではない。
まだそれがなんなのかよくわからないだけなのだ。
厳しい練習を終えたあとで、キャプテンの東(あずま)が立沢に声をかけた。「さいきんよく、頑張ってるな」
「え? そ、そうですかね」
「ああ。みんな、レッドに期待するのは最もだが、俺はお前に期待している。いや、サッカー部自体にいえることだが、自分自身に期待することを忘れちゃいけないんだ。レッドがきたせいで、みんなの注目はどうしてもあっちに行きがちだが、俺はちゃんと見てるからな。この間の試合、よく頑張ったぞ」
「……ありがとうございます」
東がいなくなると、霧島が笑顔で駆け寄ってきて言った。「かっこいいよね〜東センパイ」
「ああ、俺もああいうキャプテンを目指したいな」
「けっ。何が頑張っただよ。ミスばっかりだったじゃねえか」
ボールを大量に抱えた不動が小さい声で呟いた。東に期待されているのが立沢だと知って、内心少し腹が立っていないかといえばうそになる。
立沢はそれをわかっていたので無視した。不動に、「勝った」と思った。
片付けながら、霧島が続ける。
「はっきり言ってこのサッカー部、よくいえば個性的なんだけど、悪く言えば心がバラバラだよね」
「でも東さんがいれば安心できる」
「そうなのかな……東さんだっていつまでもいる訳じゃないし」
もう日も暮れている。
ミーティングを終えた後で、部室に岩崎が「ちぇー参るよなー」と言って貧相な表情をしながら入ってきた。たれ眉と頬骨が出張りが彼の顔の特徴だ。そのうえ貧相な表情でいると、まるで芸人が笑いをとるためのおかしな顔をしているように見える。
どうしたんですか、と一応立沢は声をかけてやる。
「レッドが来たおかげで、俺の影が薄くなっちゃってさぁ、あいつポジションどこでもできるから、スーパーサブの俺の立場がないんだよ、本当に」
「大丈夫ですよ、多分。上手くなればいいんですから」
「俺、東センパイみたいに勉強できないし、女の子にもモテないけど、サッカーだけは自信あったんだけどなぁ〜」
ぼそっと不動が、「サッカーも東さんの方が上手いけどな」とこぼした。
空気が気まずくなり、それから皆黙ってしまって岩崎がどんな表情になったかまともに見れなかった。
(やっぱりこのサッカー部、だめかもな……)
心の中で立沢は大きなため息を吐く。
- Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー ( No.176 )
- 日時: 2012/12/17 21:42
- 名前: しろお (ID: kBuEHw3O)
「にしても、レッドはなにやらせてもうまいな」
立沢が見たところレッドは、キーパーでもフォワードでもなんでもこいと言った具合だった。走攻守三拍子揃った選手とはまさに彼のことだろう。
しかし、それを危険視する者も部員の中にはいる。
「おい、カタブツ。お前はあいつをどう思う」
すでに練習着になっている不動が訊く。「そうだな……」と一拍置いて、答える。「別にいいんじゃないか。部が強くなるんだし、今のところ問題も起こしてない。そこらの問題児とは違ってな。おまえちゃんと授業でてるのか? 勉強はどうなんだ」
「してるに決まってるだろ。霧島からもらったデータから作戦考えたりするのが俺の役目だし。あとイメトレ」
「それはサッカーの勉強だろうが。佐和田先生が先生たちにお願いしてなんとかギリギリの成績を保ってるみたいだが、高校は中学と違って留年があるんだからな」
「プロを目指して何が悪い。……それよりさっきの話だ。俺もレッドは歓迎するね。あんな変態が部にいれば自然に名も売れて、俺のパスがあいつに通れば俺の名もあがる。願ったり叶ったりだ。だが……」
「だが、なんだよ」
「嫌な予感がしないか? 気のせいだとは思うけどよ」
不動が本気で言っているのは間違いない、と立沢は分かっている。不動から話しかけてくることは滅多にないからだ。
「そうそう」
部員の野丸がいつになく険しい顔で言った。「何事も普通が一番ですよ」
邪魔が入ったのが気に食わなかったのだろうか、不動は舌打ちしてウォームアップに向かった。
「おい、不動待て……」
「でる杭は、きっと打たれます。そのうち痛い目にあって、普通になるでしょう。不動くんもレッドくんも、ね」
全てにおいて普通と平均をめざすのが彼のモットーだが、それは普通でないことに気づいていない。
もう何人かアップを始めている。
「有田君、練習中なんだし携帯は……」
細身の少年が、鼻立ちの整った仲間に言う。
「固いこというなよ中嶌(なかじま)ー」
「おい森盛、ジュース買ってきてくれよ」
「え、ええっ。台場くん、またあ? ……自分で行けばいいのに……」 でかい図体を揺らして、台場は「気にすんな!」と豪快に汚い笑い声を飛ばす。
そのうちレッドも、ああいう光景に溶け込むのだろうか。立沢は不動の言葉を忘れて、楽観的にいつもの部の光景を眺めた。
「あ、佐和田先生、ちょっと」
「本村先生。どうしました」
「サッカー部に所属している生徒の学力テストの結果です」
差し出された紙には、サッカー部の主に成績のすこぶる悪い生徒のリストと点数が記載されていた。どうやら不動、有田、台場、中嶌あたりが非常にまずいことになっているようだ。
「あ、こちらが学年平均です」本村の言いたいことは明白だった。
「あんたの言いたいことはわかる。だが、試合に勝つためには練習しなきゃいけないんだ」
「しかしですね、生徒の将来のことを考えると、サッカーで生活できる人間は極めて少ない訳ですし。我々教育者としては……」
「わかった、わかった。あんたの言うことももっともだ。じゃあ、ヒーロー以外の連中は成績が悪ければ部活は休ませるよ」
「お願いします」
本村が行ったあとで、佐和田は渡された紙をびりびりに引き裂いて、ゴミ箱にぶん投げた。
「ふん、何が教育者だ。やりにくい時代になったもんだ」
- Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー ( No.177 )
- 日時: 2012/12/22 21:47
- 名前: しろお (ID: M2c74DBu)
9月3週
二回戦、塩が峰高校との試合。
レッドの活躍で前半に2点奪ったが、後半で1点返された。花丸の守備に疲労がでている。
「うむ、それにしても凄いなレッドは。不動、立沢もよく頑張っているし、これなら国立も……」
監督の何気ない言葉を、ベンチの壁山と湯田は聞き逃さなかった。
「き、きいたでやんすか。今、監督は『国立』って言ったでやんすよね」
「ああ、言ったッス!」
「こうなったらオイラ達も頑張って、本当のことにするでやんす!」
残り時間は15分。双方のチームの守備が疲弊しているこの状況、確実に勝つためには、もう1点必要だ。そう判断し、キャプテンの東は大きな声でチームを指揮する。
「山形、もらい行け!」
2年で今日はボランチ出場の山形が、敵に囲まれた不動のフォローへ向かう。囲まれてキープしながらでも、不動がそれに気づくのは数秒もいらず、ボールを要求する声をかけた次にはもう立沢がボールを持っている。
東が前線へ走り出していた。立沢は気づくのに少し遅れたが、大きめで山なりのパスをだした。
お世辞にもナイスパスとはいえないお粗末なもので、全速力の東でもボールは常にその少し先を行ってしまう。DFがひとり追いかけてきている。
とうとうペナルティエリアが近づくと、キーパーが飛び出した。しかし、東は恐れずボールを追う。
エリア外だが、キーパーが危険なスライディングをし東と激突する。東は膝から地面に落ちた。
審判の笛が鳴り、キーパーにイエローがだされる。
東の様子がおかしい。いつまで経ってもうつぶせのまま、起き上がらない。
騒然とした雰囲気の中、担架で彼は運ばれていった。
東のキャプテンマークは、不動に渡された。
こういう場面でもポーカーフェイスを貫き、決して動揺をみせないという不動の持ち味がここで光る。東もそこに期待していたのだろう。
フリーキックを鮮やかにカーブシュートで直接決め、その後は引いて守る堅守で結果、3−1で逃げ切った。
その後東の病態を訪ねに行ったがしばらく安静が必要らしく、選手権は無理だそうだ。
いいことばかりは続かないもんでやんすね、と湯田が呟くのをレッドは静かに聴いた。
- Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー ( No.178 )
- 日時: 2012/12/22 21:54
- 名前: しろお (ID: ST7NNh1R)
次の日の練習にて。
「東さんがいないんじゃ、選手権は厳しいでやんすね」
「おい湯田くん、そんな弱気なことでどうするんだ。俺たちががんばって、キャプテンの穴を埋めるんだよ!」
「そうだ、そのとおりだ。しかし実をいうともう心配しなくても大丈夫なんだ」
レッドが頷きながら、言った。マスクでわからないがその下は笑顔なのだろう、声が明るい。
「え?」
「でやんす?」
練習が始まる頃、監督が集合をかけた。
新しいチームメイトを紹介する、とのことだった。
「俺の名前はブルー。よろしく頼むぜ」
「こ、今度はブルーでやんすか!」
「ああ、彼はブルー。俺と共に悪と戦う仲間だ。キャプテンが戻るまで力を貸してくれるそうだ」レッドの笑顔の理由はこれだった。
さすがに部員達も、喜んでいいのかそれとも笑っていいのか、分からなくなってきていた。
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