二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー
日時: 2012/11/23 17:03
名前: しろお (ID: 1umF9w7B)

「俺が……、エースか」
 伝説の高校生ストライカー豪炎寺修也———を従兄弟に持つ普通の高校生、豪炎寺真人(まさと)。彼は親の仕事の都合で日の出島という、自然豊富な田舎へ越すことになった。初日、見晴らしのいい岬で彼は大きな石につまずきそれを壊してしまう。実はその石というのが、ただの石ではなくかつての大戦の戦死者の慰霊碑だった。
 “サッカーに勝たないと消える”
 全てを賭して、呪われたピッチに少年は立つ。 
 
 イナズマイレブンシリーズ第4弾。
 呪われたフィールド! エース
 
テーマは「代償」
 

 〜作者挨拶〜
 ジョーカーの更新始めました
 


『強くなれ』
 愛媛にある至って普通の高校、花丸高校に入学した不動は、性格正反対、生涯のライバルとなる正義漢、立沢仁之介と出会う。
 競り合い、そして成長する中である日、試合中に謎の人物が乱入してくる。
 それこそが本当の、波乱に満ちた2人のサッカー人生の始まりだった。
 強さとは何か? 正義とは何か? 
 2人の少年はサッカーを通してその答えを求める。
 
 イナズマイレブンシリーズ第四弾
 呪われたフィールド! ジョーカー
 
 テーマは「正義」

 


                      ……多分

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Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー ( No.169 )
日時: 2012/11/25 11:44
名前: しろお (ID: ST7NNh1R)

 入学から五ヶ月が経った今。
 花丸高校サッカー部は、それなりのチームだった。3年6人、2年8人、1年9人と、至って普通の部活である。その中に不動もいるが、当然、他校との練習試合で少し活躍するだけでは、スカウトの目にとまるはずはなかった。
 不動明王という名前自体、珍しい物ではある。U−14日本代表が世界大会を制したのは今では有名な話で当然不動も何度か試合に出ているのだが、豪炎寺修也、円堂守、鬼道有人、吹雪士郎などの活躍が大きすぎ、また不動はベンチスタートが多かったために、実際に不動が期待したほど愛媛ではネームバリューが無かった。また髪型がもうモヒカンではないことも大きいだろう。
 しかし不動はそこで終わって満足する男ではない。1年の時から、すでに中盤で存在感を放つレギュラーとしてチームの一角を担っている。
 3年にとっては最後の大会となる冬の選手権大会予選、川横高校との試合、一回戦。
 後半ロスタイム。点差は花丸高校が一点負けている。
「あ、あ、あ、……また負けちゃうんスかねぇ……」
 後半から交代で出ている増太郎が言った。花丸高校はいつも大会一回戦負けが多い。
「く、くそ……」
 不動の目にも疲労が見え、膝に手をついている。こんなときに豪炎寺のようなストライカーがいてくれたら……
 味方のFWが1人怪我をしてしまった。花丸高校監督の佐和田が、ベンチの控え2年FW、岩崎の名を呼んだ。しかし返事が無い。「お、おいおい。岩崎はどこに行ったんだ」
 代わりにピッチの中から、高らかに声が響いた。



「ちょっと待ったあ!」

Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー ( No.170 )
日時: 2012/11/25 11:50
名前: しろお (ID: tsWXvbMZ)


 川横高校のゴールポストの上に、誰かが立って腕を組んでいる。周囲の目は一気にそこに集まる。
「な、なんスかあいつ!?」
 太陽をバックにそれはポーズをとりながら、
「広い銀河の地球の星に、ピンチになったらあらわれる! イキでクールなナイスガイ レッド参上!」と叫んだ。ヒーロー船隊さながらの変身スーツをまとい、そのうえに花丸高校のユニフォームを着ている。「ふはははは!」と声高に笑って着地をすると、レッドとやらは言った。
「諸君! 私が来たからにには安心したまえ!」
「な、なんスかあいつ……!?」
 増太郎は驚きを隠せない。それすら越えて、ちょっとかっこいいとさえ思ってしまっている。
 逆に不動としては単純明快な答えが出ていた。岩崎がベンチにいないのなら、あの変態ヒーローのスーツの中に岩崎先輩がいるに決まっている。
 とにもかくにも、試合再開と共に、レッドを名乗る奇妙な男は劇的なボレーシュートで同点弾を決めた。
 不動と面白いほど連携がとれ、とうとう残り1分で逆転という奇跡を起こしてしまった。試合が終わったとき、ベンチが騒がしいのが不動には分かった。そして驚愕する。それもそのはず岩崎がなにくわぬ顔で、ベンチに座っていた他の選手達に囲まれている。
 レッドは、不動の後ろにいる。
「いやあ、悪い悪い。急にハラの具合が悪くなってちょっとトイレによお……」岩崎は腹をさする。
「えええ!? い、岩崎先輩!? じゃああれは一体……」
 と、誰かが言った。試合後のミーティングも忘れて、花丸の部員達はレッドと岩崎を交互に見つめる。「なんなんだよお前ら、俺の顔になにかついてるか?」岩崎は顔を気にする仕草をしてみせる。彼は未だピッチのうえの不審な人物に気づいていない。

   
 
 謎の人物「レッド」が試合中にあらわれ、ヒーローのごとく逆転を決めた。
 それは不動明王と立沢仁之介の波乱に満ちた、サッカー人生の始まりだった……

Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー ( No.171 )
日時: 2012/12/16 13:17
名前: しろお (ID: 5FJRtBSO)






第一章

 
 赤いともだち





8月4週




「おやじ、俺はプロサッカー選手になるぜ」
「……夢を見るとおれのようになるぞ」
「あんたは弱かっただけだ。俺は違う……俺は強くなる……誰よりも。そして手に入れた金で豪華な家を建てて、母さんを喜ばせてやるんだ」
「強さ……か」



 夏も終わりの頃、朝、昔の夢を見た。父親と話していたということは、小学生のときの夢だろうか。
 ああ、小学生のときからプロを目指してたのか。
 のんきにそんなことを、布団にくるまって考えていた。
 おかげで不動は朝練に遅刻した。

「おい不動。遅刻だぞ」
 その少年は短いショートヘアで、わずかにおでこにかかったその前髪の隙間から汗を流している。
 1年のリーダー的存在であり、もっとも不動が嫌がる存在、正義感の塊のような男それがこの立沢仁之介(たちざわじんのすけ)である。そりが合わない二人はたびたび衝突する。
「いくら上手いからといって、練習に遅れるやつはまず外周でもするんだな。でなきゃちゃんと時間通りに来てるやつに申し訳が立たないはずだ」
「俺だって遅れたくて遅れてる訳じゃねえんだよカタブツ。テメーこそその固い頭がほぐれるように、脳の準備体操でもしたらどうなんだ」
「口がバナナ臭いぞ、バナナモヒカン野郎。喋ることをお勧めしないな」
「今はモヒカンじゃねーだろうが。テメーの目は節穴だなぁ、おい。目だけに、ジャガイモの芽でもつっこんどくか? そうすりゃ少しはピッチがみえるようになって、いまよりかはマシなパスがだせるかもなあ?」
「そうだな。お前のフザけた顔面にもいいシュートを撃つことができそうだ。さぞ気持ちがいいんだろうな」
「笑わせんな、脳みそ岩のやつにサッカーができるかよ。岩らしくその減らず口閉じて一生黙ってやがれ」
「お前は俺を怒らせたいようだな。いいだろう、望むなら、またお前の側頭部を禿げさせてやってもかまわんよ。モヒカンバナナ」
「うるせえよ、ジャガ目カタブツジジイ」
 そしていつものように、女子マネージャーの霧島が仲裁に入る。
 

Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー ( No.172 )
日時: 2012/12/16 13:20
名前: しろお (ID: kiExTfeY)




9月1週


 夏休みが終わり、新学期が始まった。
 一日目の朝のHR。県立花丸高校1年4組の教室にて。
 立沢は隣の湯田に話しかける。
「なあ湯田くん。いったい昨日の人は、なんだったんだろうな」
「見るからに怪しい人だったでやんすけど、あのシュートはすごかったでやんすね」
 彼が語尾に『やんす』という言葉をつけるのは、語尾に『やんす』づけを流行させたサッカー少年の栗松鉄平に影響されたからである。
「もう、シュート力がすごかったな」
「あーあ……あんな人がウチのサッカー部にいれば、国立も夢じゃないんでやんすけどねえ」
 はははと笑ったあとで、立沢は「あんまり情けないこと言うなよ」と真顔で言った。
 国立とは12月から1月にかけて行われる冬の高校選手権大会、全国トーナメントのことだ。それにでるにはまず8月から10月にかけての予選トーナメントを勝ち抜かなければいけないが、ここでほとんどの無名・弱小校は消える。立沢のチームはレッドという謎の人物によって、この間の一回戦を突破している。
「ねえねえ、なんの話?」
 黒髪の少女が立沢に聞いた。彼女の名前は小晴。
「ああ、昨日さ、試合中突然……変な格好のやつがさ」
 ガラッと教室の戸が開く。
「グッドモーニングスチューデンツ! 今日はみんなに大事な知らせがあるぞー!」
 彼は本村。1年4組の担任である。いい教師ではあるが、いまいち頼りがいがないという印象を立沢は持っている。「転校生だ!」本村は嬉しそうに言った。
「愛と正義の戦士、レッド参上! みんな、これからよろしく!」
 黄色のマフラーをなびかせて、あらわれたのは昨日のレッドそのものだった。相変わらずヒーロー戦隊もののようなスーツで全身をまとっている。目は青いバリスティックゴーグルでおおわれ、額にはブーメランが逆三角形になる形でついていた。
 これが、教室が騒然とする理由にならない訳がない。
「ねえ、怪しい格好の人って、あんな感じの?」と小晴が訊いた。立沢は目が点になっている。「というか、本人だよ……」

Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー ( No.173 )
日時: 2012/12/17 21:25
名前: しろお (ID: G.ZTkXYK)

 放課後。
 来週には二回戦を控えている。当然厳しい試合になるのはわかっていたが、その練習前に顧問兼監督の佐和田は集合をかけた。
「おいみんな聞いてくれ、新入部員が入ったぞ」
 佐和田は冴えない髭オヤジで、今は割りと丁寧な指導を心がけているが昔は熱血漢で本気で国立を目指すサッカーバカ監督だった。白髪の増えた今では、その面影はもう消えている。
「愛と正義の戦士、レッドだ! みんなよろしくな!」
 まさか本当にサッカー部にくるとは、と立沢は舌を巻いて呟く。「おかしなことになってきたでやんすねえ」湯田は不思議に思いながらも口元は少しニヤついていた。
 実力試しにシュート練習を見せてもらったところ、レッドはネットを突き破らんばかりのシュートを披露した。
 本人によるとサッカーの経験はないらしい。佐和田のいうところでは、運動神経が抜群なのだろうとのことだった。レッドの格好については彼は特に触れない。
 指導を請いたい、レッドは佐和田に言った。その役を任されたのが立沢だった。
「先輩、よろしく頼む」
「は、はは。落ち着かないから立沢でいいよ。とりあえずスタミナが大事だから、ケガしないように走りこむのがいいんじゃないかな」
 まかせろと言って、レッドはすぐに走りに向かった。
 俺もうかうかしていられないな。
 思うやいなや、立沢もすぐさま練習に向かった。


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