二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース/ジョーカー
- 日時: 2012/11/23 17:03
- 名前: しろお (ID: 1umF9w7B)
「俺が……、エースか」
伝説の高校生ストライカー豪炎寺修也———を従兄弟に持つ普通の高校生、豪炎寺真人(まさと)。彼は親の仕事の都合で日の出島という、自然豊富な田舎へ越すことになった。初日、見晴らしのいい岬で彼は大きな石につまずきそれを壊してしまう。実はその石というのが、ただの石ではなくかつての大戦の戦死者の慰霊碑だった。
“サッカーに勝たないと消える”
全てを賭して、呪われたピッチに少年は立つ。
イナズマイレブンシリーズ第4弾。
呪われたフィールド! エース
テーマは「代償」
〜作者挨拶〜
ジョーカーの更新始めました
『強くなれ』
愛媛にある至って普通の高校、花丸高校に入学した不動は、性格正反対、生涯のライバルとなる正義漢、立沢仁之介と出会う。
競り合い、そして成長する中である日、試合中に謎の人物が乱入してくる。
それこそが本当の、波乱に満ちた2人のサッカー人生の始まりだった。
強さとは何か? 正義とは何か?
2人の少年はサッカーを通してその答えを求める。
イナズマイレブンシリーズ第四弾
呪われたフィールド! ジョーカー
テーマは「正義」
……多分
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- Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース ( No.159 )
- 日時: 2012/05/15 00:58
- 名前: しろお (ID: eH196KQL)
- 参照: http://http://
『おばあ様! 正気ですか!?』
『正気でこんなことできるわけないじゃろ! 昨日のあやつのやる気のない態度をお前もみたろう!? こうでもせんと……国立など夢のまた夢じゃ!』
「じゃ、じゃあ、部室の火事は、天本さんのおばあちゃんの……」」
「……はい。祖母は、真人くんを追い詰めて、“死に物狂い”で国立を目指してほしかったから……結果は成功でした」
「成功だな……見事に」
「夏のIH、私は真人君たちに負けてほしかった……だからあんな無茶な要求をした。なんでか分かる?」
「いや」
「人を呪わば穴二つ……おばあちゃんは呪いの代償で、ただでさえ残り少ない命をすり減らして死んでしまった。……IHも国立も、サッカー部には勝ってほしくなかった! 勝った分だけおばあさまの呪いに集中する時間がながくなるから……!!」
「そ、そうだったんだ……」
「おじいちゃんは平凡でまじめだけの人だったけど、おばあちゃんのこと本当に大事にしてた。なのにおばあちゃんは若い頃の失われたロマンスばかり追いかけて、あげくのはてに真人さんを呪い、サッカー部を神隠しに合わせた……。私はおばあちゃんが大嫌いだった。でも私には、おばあちゃんしか家族がいない。だから、死んで欲しくないから、私はあんな要求をしたんです。私に両親がいれば……! 影山さえいなければ……! こんなことにはなってなかった……!!」
「……全部おかしな呪いのせいだったんだよ。さっきの話、この話は他の人に話しちゃだめだよ。本気にする人がいるかもしれないから。そう……全部うそだったんだ」
「
決勝戦当日。日の出島は嵐に見舞われていた。雪が空中を白一色に染め、雷が落ちている。
海は荒れ狂っており、船は出れない。神木が連絡をとり、鬼道が東京からヘリか自家用ジャンボ機を出そうかと提案したが、天候が最悪なうえに、飛行機が着陸できるような整った場所は無い。
東京の本土は晴れだという。日の出島近辺だけ、空が荒れているらしい。どんなに天気が悪かろうと決勝戦を辞退するなどありえない。
試合は午後からなのでまだまだ時間はあるが、日の出高校の部員たちは焦っていた。すぐにジャンボジェット機を飛ばしてもらうことに決め、なんとか飛行機に乗った矢先のことだった。雷に接触し海に沈没した。
死者はパイロットを入れて11人。操縦士、山田一輝、富士地洋、島岡武雄、黒野一二三、小山正吾、森本マサル、堤 広信、小林 翔、宮市亮介、香川 司の11人だった。
この事故は日本中に悲しみをもたらせ、日の出島の人々は再び起きた惨劇に涙を流した。
そのかげで、雷に打たれたことでネット上では『違う意味でのもうひとつの“イナズマ”イレブン』と笑う愚かなものたちがあった。しかし彼らは知らない。この日の出島に、全てを賭して呪われたフィールドに立った一人のエースが、夜明けをもたらしたことを。
そのエースだが、その事故で助かった唯一の生存者である。
彼は高校三年間の記憶をすっぽり失い、以前の豪炎寺修也被りの真人に戻ってしまった。
この後、事故での死者のために慰霊碑が立てられたという。
海辺。日は沈んでおり、青と黒の世界があたりを造っている。
静かな波の音、空の暗闇。そういうもの全てが、記憶を失くし今天本と共に海辺に立つ、以前の真人に戻った彼の心中と不思議なほど似つかわしかった。
月の光にざわめく心が、真人の表情を張り詰めていた。
「なあ……思い出せないんだ。とても大事なことがあった気がしたんだけど……」
それで、天本は水平線を見つめたまま呟く。
「いいじゃないですか。過去のことなんて。それに、忘れてほしいこともたくさんありますし……」
作者はここで、本来なら『もうひとつのイナズマイレブン』の事故が何者かの呪いだったのかどうかをはっきりと述べる義務があるのだが、それをすることはあまりにもこの真人という少年が不憫なので、ここで物語を終えようと思う。
」
- Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース ( No.160 )
- 日時: 2012/05/21 21:47
- 名前: しろお (ID: a5DdqbyH)
この小説はイナズマイレブンの二次創作です。
この物語は豪炎寺修也の従兄弟である、豪炎寺真人のストーリーです。万年補欠の彼は呪われ、再建した弱小サッカー部を率いてチームのエースとして呪いと戦い、最終的には勝ったのです。
テーマは代償だといいましたが、これと言って確固とした「テーマ」というものはあまり意識していませんでした。では何を考えていたかというと、「あきらめるな。考えろ。考えるんだ」
どうしたら面白くなるか、小説の意義を出せるか、そういうことを念頭において、僕はただ語り部として小説を書いていました。
この作品がしろおの最後の二次小説となります。
本当に…全てに感謝します。
読んでくれた方々、ありがとうございます。感想をくれた方々、感謝とともに敬意の気持ちを表します。
縁があればどこかで、また会いましょう。
引用したもの
イナズマイレブン
パワプロクンポケット4
男子高校生の日常
リボーン
スラムダンク
ピュ〜と吹く! ジャガー
その他学校名
最後になりましたが、本当に感謝しています
ありがとうございました。
まあ挨拶はここまでにしておいて…
本題ですね!
なぜラストを、こういう終わらせ方にしたのか。
この小説はイナズマイレブン4です。しかし、実際のイナズマイレブンとの接点は、エピソードで出てくるメインキャラたちと、鬼道、源田、佐久間、壁山、南雲、涼野くらいです。もちろん真人と富士は、アニメで出ないだけでゲームにはちゃんとキャラとして存在していますが。
「なんでイナズマイレブンなんだ?」と、書きながらよく考えていました。円堂は主人公じゃないし、雷門中が舞台というわけでもない。イナズマイレブンにする必要あるのか? と。
考えろ考えろ…と頭の中で試行錯誤、推測、まあアイディアを考えたわけですね。
結果…『雷に当たって死ぬ』というEDが思いつきました。
関東第一戦書いているときは本当に楽しかった…
アフロディのときはエンディングを書くのはとても楽しかったですが、これはなんだか、とても苦いラストになりましたね;
僕はこのへんで少し休もうかな、と思っています。これが最後の二次創作…と胸を張っていえるくらい、頑張ったつもりです。
ここまでできたのも見てくれたみなさまそしてなにより感想をくれた方々のおかげです。応援に添えるよう、精一杯書ききりました。
どうだったでしょうか、豪炎寺真人の物語は。よければ、感想、アドバイスなどもらえたら嬉しい限りです。
修正点・矛盾点などもばしばし指摘してくだされば僕は必ずなんとかします。
それでは。最後に、色々な方とお話、そして様々なことを学ばせてくれたこの小説に、作者から感謝します。
ありがとうございました!
- Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース 完結 ( No.161 )
- 日時: 2012/05/21 21:49
- 名前: しろお (ID: a5DdqbyH)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v=ykpWmz1yxkY
「……はい、終わりだよ」
「ええー!? なんでいつも、そこで終わりなのー!?」
「だって主人公が可哀想でしょう?」
「そんなー! お前も続き聞きたいよな、真央」
「うん!」
「おいおい、いつのまにそんな話につくり変えたんだよ」
「あらあなた。起きてたんですか」
「お父さんが本当の話、してやるぞ」
「えーー。お父さん、話すの下手糞」
「くっ……まあ聞け。俺たち日の出イレブンが、何で第二のイナズマイレブンって呼ばれるようになったかっていうとだな。ほら、鬼道財閥が建設して、今すごい人気のリゾート施設、鬼道サンダーリゾートとかいうのがあるだろ? あのとき日の出島の実権は、ほとんど鬼道財閥が握っててさ。日の出高校も色々と改造されちゃってて、冬の国立に出場するときは名前が変わって雷道高校って名前で登録してたわけ。しかも全国制覇したからそれで有名になっ……ってあれ!? 陽介は!? いつのまに……」
「サッカーボール持って、外へ出かけましたよ」
「……あ、ああ。そうか。サッカー好きだな、あいつ」
「稲妻KFCへの入団も決まりましたしね。将来有望です。それにしても真人さん、あなたは、サッカーの練習だけじゃなくてスピーチの練習もしたほうがよろしいのでは?」
今では真人は日の出島を離れ、J2のクラブでプロサッカー選手としてサッカーをしている。天本と共に二児を儲け、過去は忘れ幸せな家庭を築いた。
雷道高校は少子化で消滅したが、その施設の豊富さを利用して鬼道財閥が合宿所に改装し、プロチームのキャンプ場所として大変重宝されている。
「は、ははは……誰かさんのおばあさんのおかげで、高校時代はろくに勉強してないからな」
「いやなことを言いますね」
「お母さんお父さん、喧嘩しちゃダメだよ」
娘の言葉に、怜泉と真人は顔を見合わせる。そして声をあげて笑った。
その他のイナズマイレブン達が今どうしているかについて、少し説明する。
宮市はイングランドプレミアリーグ、香川はドイツリーグで、どちらも日本を代表する一流選手として活躍している。二人とも日本代表スタメンの座を、他のイナイレ世代のライバル達と奪い合っている。
鬼道は言うまでも無いが、イタリアリーグで一躍天才ゲームメーカーの名を轟かせた後、急遽クラブを一時離れて私立中学の帝国学園で指揮をとっている。日本代表としても活躍した。
源田と佐久間だが、源田は順調にJリーグでキャリアを積み、イタリアリーグで鬼道と同じチームで活躍し、海外では円堂以上の評価を受けた。佐久間はというと、高校卒業後、宮市と同じプレミアリーグに挑戦したが大怪我を負い23という若さで引退。しかしサッカーに携わり続け様々な海外チームのマネージャーを務めた後、帝国学園のコーチに就任した。
小山は父の仕事を継いで、林業を続けているらしい。ラジオ越しにいつも真人や他のメンバーたちの試合の様子を聞きながら、仕事をしている。森本と富士の二人は世界中を旅して回り、虫や動物に関する論文やレポートを発表し、それが学会で話題になりニュースにもなった。
山田は日の出島に残り、鬼道サンダーリゾートの案内役をしている。それなりに山田のキャラが観光客に受け、本人も楽しんでいるようだ。ちなみに小林は、日の出島で居酒屋を経営している。堤は学者の道に進み、それなりに研究を進めているようだ。小山と同じようにラジオ越しに真人たちの試合をいつも確認しているため、実験中に教授によく叱られるらしい。
「ああ! 何やってるんですか真人くん! なぜそこでパスを……ああ!!」とじたばたする彼の姿が目に浮かぶ。
島岡は大学リーグで活躍し、見事プロへの道を切り開いた。真人と同じJ2リーグで、常にライバルとして競い合っている。しかし良き友としても交流が深い。黒野だが、博士の言ったとおり冬の国立で雷道優勝後忽然と姿を消し、二度と真人たちの前に現れることはなかった。たまに鬼道サンダーリゾートでそれらしき姿を山田が発見するらしいが、視力の悪い彼のことだから信憑性はかなり低いだろう。
「あ、そうだ。明日、ちょっと出かけてくるから。懐かしいやつらと一杯、飲んでくるわ」
「珍しいですね。どこに行くんですか?」
「ああ。第二のイナズマイレブンに会いに、な」
「せっかくの休日なのに……お父さん!」
と真央は頬を膨らます。悪い悪い、と真人は笑ってなだめる。
「ごめんな真央。エースが試合に行かない訳にはいかないんだ。次の休みは、絶対どっか行こうな」
「約束だよ!」
「ああ、約束だ。お父さんはエースだけど、お父さんだからな!」
全てを賭してフィールドに立った少年は、代償としてこんなにも幸福を手にいれたのだった。
もちろん一歩間違えれば、天本の作り話のようになっていただろう。 だが分かってほしい。彼のようにリスクを冒してこそ、夢というものに近づくことができる。なぜなら運命とは才能が決めるものではなく、自分が決め自分が呼び寄せるものなのだから。
あとはほんのちょっとの運である。
チームにおいて流れや運命を変えられる者、それがエース。
君は、エースになれるか。
END
- Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース 完結 ( No.162 )
- 日時: 2012/11/17 21:26
- 名前: しろお (ID: ZCAmsDAI)
非日常の中で埋もれてしまった日常の何気ない出来事の中でこそ、
次の物語は始まっています。そうサッカーも、ボールがあるところとはまったく離れた場所で常に試合は動いています。
というわけで今日は、呪いのせいであまり書けなかった日の出高校の、普段の姿、明かされていない日常のエピソードを書いていきたいと思います!
いつも通りの朝。いつもどおりうわばきを取り出そうとしたが、何か他のものに触れる感触があった。山田が下駄箱の中を見るとそこには、ハートのシールが貼ってある封筒が置いてあった。山田に衝撃が走る。
「こ……これは伝説のら、ラブレターってやつでやんすか……!?」
急いで教室に行き、まわりの友人に自慢する山田。しかし反応は薄い。山田が中を開けてみると、そこにはこうとだけ書いてあった。
『午後五時。校舎の裏に来てください』
山田は飛んで喜ぶわけだが、やはりまわりの反応は薄い。堤が言った。
「あのですねえ山田君……悪いことは言いません、それはイタズラというやつです。そうやって山田くんの反応を見て面白がってる性質の悪いやつが仕掛けた、ね」
「えぇ!? そうだったんでやんすか! 嬉しかったんでやんすけど。やっぱりオイラも少し怪しいなとは思ってたんでやんす……」
肩を落とす山田を見て、富士が言った。
「そういうイタズラをするやつには、お灸を据えないといけないね」
話はとんとん拍子で進み、今日の午後五時に山田を行かせて、誰がそれを監視しているのか暴きだしてやるということになった。堤や、富士に森本、小山も協力してくれるという。
ミッションだミッションだ、と覚えたたての英単語を連発する男子生徒たちに、みゆきはあきれながら言う。「本物だったらどうするのよ……」
五時。そして時は来た。山田の立つ向こうから、人影が見えたのだ。わざわざ犯人が来たのである。
佐久間だった。「よう山田、俺も来」なにか言いかけたところで富士が合図の奇声をあげ、隠れていた一同は一斉に飛び出し佐久間に向かって突進してきた。
「何を言っても無駄なようだな、かかってこい!」佐久間は戦闘の態勢をとる。
実はこの事件の犯人は鬼道である。源田に気があるサッカー部のマネージャー、梅宮に頼まれて源田の下駄箱に入れたつもりが誤って山田のところへ入れてしまい、事情を察した佐久間が体を張って事情を説明しに行ったのである。
真人はこの日寝坊し、家でゆっくり過ごしていた。鬼道は梅宮の元へ失敗した旨を伝えに言っていた。
源田は何をしていたかというと、河原でひとり、本を読んでいた。そこにラブレター作戦を失敗し落ち込む梅宮が通りがかり、源田に気づき好機と見て駆け寄る。
メール通知の音が鳴る。流れるようにポケットからケータイをとりだして、画面を開く。鬼道と佐久間から一件ずつだった。源田は先着順に鬼道のを先に読む。
『梅宮さんはお前に気があるようだ。よかったな』
源田は無言で携帯電話の画面を額に打ちつけ、佐久間のを読む。
『こっちは体張ったんだ。それなりのことしてもらわなきゃなあ?』
意味が解らなかったため源田は首を捻り、『何のことだよ』と返信しようとしたときふいに背後に気配を感じ、指が止まった。
やはりあの少女だった。源田は佐久間と鬼道のメールからなんとなく状況を理解し、いつか言ったあの台詞を再び言った。
「今日も風が……騒がしいな」
そして返ってくる、源田の腹筋を痛めつけたあの反応。
「でも少しこの風、泣いています」
ここまではあのときの同じ。しかし今の源田は、彼女の気持ちに気づいている。
「だけど……泣くのは悪いときだけじゃあないさ……」
立ち上がった源田は、梅宮のほうを見てやさしく微笑み、紳士のようにすっと手の平を差し伸べた。
「急ごう。風が止む前に」
心地の良い涼風が、夕暮れの河原に吹く。
芝はざわざわと揺れ、川のほとりで鯉が泳ぐ。
- Re: イナズマイレブン4 呪われたフィールド! エース 完結 ( No.163 )
- 日時: 2012/07/12 15:02
- 名前: しろお (ID: vjv6vqMW)
夏の大会が終わり、苦しい練習でうめつくされた夏休みも今日が最後の日だった。
大会が終わったあとはだいぶオフの日が増えた。と言っても日の出島は田舎なのでやることといえば限られてくる。本土へ遊びにでかけるか、地元でのんびりするかだ。
夏休み最後の日はオフだった。とても天気が良い日だ。いつも一緒に自主トレをしていた香川は、真人の父の病院で治療を受けているので、今日は真人1人で島内をジョギングするつもりだ。真人は今、商店街の前で入念に柔軟体操をしている。
「ヘイ真人さ〜ん!」
呼ばれて後ろを振り返ったが、少しばかり車の通りがあるだけで人はいない。
「こっちこっち〜〜!」
声のした方に、浅黒く日焼けした黒野が手を振って居る。真人とは反対の道路にいる黒野は、金色のネックレスをつけて大き目のサングラスをかけている。一瞬誰であるかわからなかったが、気づいた時には絶句した。
(ええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)
黒野は「今そっち行くぜ〜!」と言い、車道を横断する。真人は口を開けて呆然としたままだ。
(い……いろいろ問題あるけどまず……なんで日焼けしてんのロボなのにーーー!?)
突然飛び出してきた黒野に気づいたバイクの運転手は、ぎりぎりで避けた。タイヤの削れる凄まじい高音が真人を我に返らせる。
「危ねえぞクソガキ! 気をつけろ!!」それだけ言って運転手はバイクと共に黒野を後にした。
「だ、だいじょうぶか黒野!?」
黒野はバイクに向かって手でピースする。
「ピースだバカヤロウ!」
(えええ〜〜〜〜!?)
真人はまた黒野の調子がおかしくなったんじゃないかと思っていた。黒野はもともとおとなしく、礼儀正しいロボットである。
「ハッハッハーーー! イエーイ真人さん」
「い、いえーいじゃないよどうしたの黒野! 何なのその格好!?」
「え〜〜別にフツーに夏服だけど?」
「な、夏服って。別にお前暑さとか関係ないだろ! オフの間に一体何があった!?」
「別に〜〜〜夏もフツーにアゲアゲな感じで」
「ア……アゲアゲな感じでーーー!?」
「つーか昨日の雨もアゲアガった感じで良かったよね……」
「ア……アゲアガった感じで!? それは言わないだろ! ていうか明らかに無理あるよ! なんで急にそんなチャラチャラした感じになっちゃったの!? なんか変な友達でもできたの!?
「えー別にそんなんじゃないし。てか〜〜マジそうでも友達のこと悪くいうとかマジ許せねえし」
「いや……だってあまりにもキャラ変わりすぎだから……。別に友達を否定する気はないけどさ、お前までその友達の真似することないだろ」
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