二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ポケモンバトルM・EVO【サン・ムーン編突入!】
- 日時: 2016/12/23 03:17
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
『読者の皆様へ』
どうも、初めましての方は初めまして、タクです。今回のこの小説は、所謂対戦実況小説といったところでしょうか。
現在、他の小説の進みがなかなか良い感じになっているため、この小説の連載を決意しました。
タイトルはM(メガ)・EVO(エヴォ)、その名の通りメガシンカをテーマにした作品になると思います。また、第六世代で追加要素のあったポケモンに視点を当てていきたい所です。
また、今回のサン・ムーン発売に合わせて、第七世代を舞台にした対戦も描いていく予定です。
そして、この小説は種族値、努力値、個体値とった3値やHABCDSVなどの記号や、略称なんかが出てくる、所謂「廃人仕様」となっております。
一応、初心者の方にも配慮したような表現を極力心がけたいですが、あらかじめこういったことを知っている前提で読んでほしいと思います。
また、この作品と舞台は違いますが世界観を共有している、モノクロさん著『BOHパ対戦記録譚』があります。そちらの方も、よろしければご覧下さい。
ちなみに、作者のフレンドコードも載せておきます。XYにおけるフレンドサファリのタイプはノーマルで、ヒメグマ、ドゴーム、ラッキーが出ます。
フレコ:2809−9638−8089
※注意※
・本作品はバトルビデオを元にして作られたノンフィクションと一部フィクションです。
・そして、ストーリー中心です。小説という以上、当然ではありますが。
・ポケモンの擬人化あります。つーか、それらのポケモン中心です。
・分かりづらいかもしれない設定多々。
・選出画面があったり無かったり。
・イラストは後々用意するかもしれませんが、クオリティは期待しない方が良いです。
・メタ発言? んなもん日常茶飯事。
・にわか発言&下手糞プレイ? んなもん日常茶飯事。
・対戦相手の名前は改変して使用します。
・対戦相手への誹謗中傷はおやめください、メガボーマンダのスカイスキン捨て身タックルとシャンデラの眼鏡大文字が襲い掛かります。
・BGM置いてるけど、ポケモンじゃないかもしれない。
また、作者は対戦・交換などは大歓迎です。フレコは自分の雑談スレ『タクのノベルス・ポケモン図書館』に置いています。バトルビデオをこの小説に使わせていただくかもしれません。
以上のことを守ってうちのポケモン達の活躍を生暖かい目で見守ってやってください。
目次
第一部:エリア開放編
プロローグ
>>01
パート1:謎の敵・静炎邸
>>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>10 >>11
パート2:遮断された箱庭・氷海水域
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20
パート3:湖の決闘・中部緑域
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>32
パート4:忍の街・群雲街域
>>33 >>34 >>35 >>36 >>37 >>38 >>39 >>40 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47
パート5:この風が泣いている・天獄峡域
>>48 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63
パート6:雷電霹靂・雷電械域
>>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>88 >>89 >>90 >>91 >>92
パート7:暴龍警報・頂龍山域
#1:絶望の淵へ
>>103 >>104 >>105 >>106
#2:反撃の狼煙
>>107 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>115
#3:龍の守護者
>>116 >>117 >>118 >>119 >>120
#4:最後の守護級
>>121 >>126 >>127 >>129 >>131 >>134 >>135 >>136
パート8:仲間達が待つ場所へ
>>137
第二部:新世代編
パート1:セントラル・フィールドへ
>>138 >>139 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154
パート2:留学生は突然に……
登場携帯獣紹介
>>70
用語解説
>>71
番外編:始末屋の日常と非日常
パート1:前々前作でラスボス役やっててもキツい奴はキツいので以下略
>>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32
- パート1:セントラル・フィールドへ ( No.152 )
- 日時: 2016/12/23 21:36
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
【闘技場の守護級が勝負を仕掛けてきた!】
【いけっ、ルカ!】
擬人化体が解除され、ルカはその真の姿を現し、地面に降り立った。
青い体毛に身を包み、鋼の棘を拳から生やした攻撃的な外見。
波動ポケモン・ルカリオ。それが、彼女の種族だ。
「さーて、俺もボマー程じゃねえが抜きエースとしての自信はあるんだよねェ。さあ、最初は誰が来る?」
【相手の影はブラッキーを繰り出した!】
相手の初手はブラッキー。悪タイプで、主に物理受けとして投入されることが多いポケモンだ。
が、しかし。
「オイオイ、ガルーラもノーマルで俺に弱点取られるんだぞ? 舐めてんのかゴラ。格闘一貫しすぎなんじゃねーの、お相手さんよォ!!」
所詮、彼女の敵ではない。
このままならばまだしも、ルカの手にはメガストーンが握られている。
「ルカ? どうするネ?」
「相手は流石に交換してくるはずだ。此処で積んで全抜きするぜ!!」
キラリ、と進化の輝きを放つルカリオナイト。
それがマスターの持つメガストーンと共鳴する。
距離は離れてこそいるもの、セントラル・フィールド内、ボックス内ならばメガシンカの使用は可能だ。
「そんじゃ行くか、メガで全抜き——」
そういって彼女が身を乗り出したその時だった。
【相手の影はブラッキーをひっこめた!】
「へっ、やっぱりか」
思わずルカは目を細めた。
予想通りだ。大抵の相手ならばこのまま起点にして全抜きが出来る——
【相手の影はトゲキッスを繰り出した!】
「ゲッ……」
——そう、交代先がトゲキッスでさえ無ければ。
フェアリー/飛行というタイプは、格闘を4分の1にする、まさに天敵とも言える複合。
しかも——トゲキッスの場合、ある可能性を考えなければならないのだ。
「流石にスカーフキッスの前で居座ったら……」
「ハメて殺されるネ……」
「トゲキッスか——シェムの奴を思い出すなァ」
【タクのメガバングルとルカリオナイトが反応した!】
バチバチィッ!! と進化の火花を散らし、そして光に包まれる。
そして——ルカは更なる進化の果てへと昇華した。
「まぁいい。取り敢えずメガシンカは出来た。これでいけるな」
【ルカはメガルカリオにメガシンカした!】
『ポケモンDETA
ルカ:ルカリオ♀
性格:戦闘狂にしてアルコール狂。強い敵を追い求め、戦うためならば手段を択ばないことから手が付けられない。が、それだけではなく、バイセクシャルで酒が絡むと男女関係なく襲うため、ガブリに懇願されたマスターによって左遷された……など数々の武勇伝を持つ問題児。
性能:メガシンカ後は高い素早さと特性:適応力による一致技の火力で非常に受け辛い存在。技のレパートリーも豊富。防御も低くはなく、少し上昇しているので不一致抜群は耐えることも。半面、特防は殆ど上がっていないので、不意の一撃で落ちることもある高速低耐久アタッカーの典型であるが、特殊、物理、共に強力な積みエースに成りえる存在である。
火力:B(S) 速度:B(A) 耐久:C 自覚:C スタミナ:C
アルコール依存度:S』
「とはいったものの——」
【ルカの悪巧み! 特攻がぐーんと上がった!】
「積んだのは良いが、俺は特殊型……キッスに先制取れる保証が無い以上、というか俺にわざわざ出て来た辺りスカーフくせぇな……」
つまり、今のルカではトゲキッスに対して有効打がない。
トゲキッスは素の素早さがメガルカリオを下回っている。にも関わらず、受けに来たと言うことは——というよりルカリオに繰り出してきたということは、上からエアスラッシュか大文字が飛んでくる可能性が高いのだ。
メガルカリオの特防は決して高くはない。メガシンカで強化される防御と違い、補強されてないので不一致弱点の大文字でも落とされる可能性があるのだ。
「ど、どうするんですか!? 突っ張るのはまずいですし……」
「仕方ねえ」
言ったルカはモーターの方を振り向いた。
彼女も頷く。
「戦略的撤退だ! 逃げるわけじゃねーからな!」
「分かってるネ!」
【ルカ、交代! 行け、モーター!】
不利対面では交代しかない。
ルカは全抜きエース。下手に動かしてロストさせることは許されないのだ。
相手のトゲキッスも技の態勢に入る。
放ったのは——
【トゲキッスのエアスラッシュ! 効果はいまひとつのようだ】
『モーター残り体力123/157』
——エアスラッシュだった。
大文字で火傷を負わずに済んだのは大きい。
これでスカーフなら、退いてくるはずだ。世の中には、そのまま退かずにエアスラでロトムを落としたアホみたいなトゲキッスもいるが。
「ひぇーっ、やっぱハメてくるスカーフかよ。きっついことしてくるじゃねえか。だが、そ れ が 良 い」
「怖いのです!!」
「アホなことやってないで、さっさとこいつを落とすデース! エアスラ怯みなんて甘え、シェムにも何度も言ってマース!」
「シェムのアレはマジで反則級だけどなあ。ヒートロトムをエアスラだけで落とした奴はちげーよ」
「ふん、こんなやつ、シェムの足元にも及ばないネ!」
本来の姿に戻った彼女の今回の姿はウォッシュロトムだ。
そのまま、照準を定めて電撃を放つ準備に入る。
「十万をぶち込みマース!」
ビリビリ、と音が鳴り出す。
そして、そのまま放った——
「Fire!!」
【相手のトゲキッスは引っ込んだ!】
「!?」
引っ込んだ。
誰に交換するのか。
ブラッキーが特殊受けならば出てくる可能性はある。
しかし——この場で出てきたのは、敵のエースであった。
【相手の影はガルーラを繰り出した!】
現れたのは環境の破壊神。
多くのメガシンカポケモンが生まれたORAS環境でも尚、止まることを知らない最強のポケモン。
「ガ、ガルーラ——!!」
「ふっ、交換してきたり、撃ってきたり……慌ただしい奴等だね……!!」
【モーターの10万ボルト!!】
『ガルーラ残り体力:60%』
シュウウウ、という音がする。
一致等倍で、Cにはあまり振ってはいないとはいえ、メガシンカ前でもこの耐久だ。
「モーターさん、どうするんですか!?」
「……此処は、ワタシに任せるネ! デリートするネ!」
気概は良い。
しかし、相手はガルーラ。
その恐ろしさは——
「それじゃあ鼠共——お前らに本当のメガシンカを見せてやるよ!」
【黒い影の怨念が瘴気を生み出す——!!】
- パート1:セントラル・フィールドへ ( No.153 )
- 日時: 2016/12/23 21:54
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
【ガルーラはメガガルーラにメガシンカした!!】
現れてしまった。
最強のメガシンカポケモン・メガガルーラ。
特性・親子愛による二回攻撃は勿論、耐久・速度ともに文句なし、ノーマルタイプであるが故に弱点が格闘のみというイカれた性能の持ち主だ。
まさに、言うなればゲーフリの誤算、環境に巣食う災厄と言えるほどのぶっ壊れである。
「メガシンカッテノハネェ——コウイウモンダヨ!!」
「コウイウモンダヨ!!」
【相手のガルーラの猫騙し!】
「ッ……!!」
その実態は、メガシンカパワーによって成長した子供による。
バチン、と目の前で手が叩かれ、怯むモーター。
そのうちに、親、そして腹の袋から飛び出した子による二連撃が襲い掛かる。
メガガルーラの最大の特徴は、この2回攻撃だ。親による攻撃、そして0.5倍の威力の子供の攻撃が加えられる。
これによる脅威は威力強化のみならず、追加効果を2回発動させる、タスキ貫通など枚挙にいとまがない。
『モーター残り体力84/157』
【モーターは怯んで動けない!】
子供も合わせて、拳を構える。
交換読みの地震を警戒してルカに退かなかったのが裏目に出た。
しかし、次に飛んでくるのはグロウパンチか恩返しだ。
ルカに受けさせるのはきつい。
「おい、モーター、俺に交換を——!!」
「絶対に嫌、ネ!!」
吐き捨てるようにモーターはいう。
戦術というのは勿論ある。
しかしそれ以上に、同じシンオウ組としてルカには弱みを見せることが出来なかったのだ。
「サア、キテンニサセテモラウヨ!!」
「モラウヨ!!」
「来るなら、来るネ——!!」
ギッ、と目の前の敵を睨みつける。
物理受けさえも起点にする脅威の技のレパートリー。
その一端が見せられようとしていた。
【相手のガルーラのグロウパンチ!! ガルーラの攻撃が上がった!】
『モーター残り体力68/157』
【モーターはオボンの実を食べて体力を回復した! 体力107/157】
再びガルーラの拳がモーターを捉えた。
がたん、と崩れる彼女だが、隠し持っていたオボンの実を洗濯機の蓋を開けて放り込み、体力を回復して見せる。
だが、もう1撃が残っている。
それを食らい、彼女は地面へ叩き落された。
「あ、ぐっ——! まだ、まだやれる——ネ!」
【ガルーラの攻撃が上がった!】
『モーター残り体力95/157』
グロウパンチは、攻撃するたびに攻撃力の上がるメガガルーラの最大の積み技。二回攻撃の為、1度放てば攻撃が二段階も上がる恐ろしい技と化す。
そのため、今のメガガルーラの攻撃は倍増しているわけだが——
「——まだ、いけるデース!!」
【モーターの鬼火!】
ぼうっ、と青白い炎がゆらめきながら放たれた。
それがメガガルーラを焼いていく——!!
「ギッ、コイツ——!!」
【相手のガルーラは火傷した!】
これにより、能力上昇は完全にプラマイゼロになった。
更に、火傷を負ったことで、ガルーラは更にダメージを負う。
『ガルーラ残り体力50%』
「へへへ——まだ、これでも起点にするつもりデスか? ハイドロポンプと火傷ダメージを食らえば、今度こそアナタは機能停止——ジ・エンドネ」
「オ、オノレ——最強ノ、最強ノアタシニ——!!」
ギリッ、と目を血走らせてガルーラはモーターを睨んだ。
流石物理受けと言ったところか。
ガルーラの足止めに成功している。確かにグロウパンチを積めば攻撃は元に戻せるが、もうそうなると次のモーターの攻撃で確実にガルーラは体力が赤ゲージまで削られることになるのだ。
「舐メルナアアアアアアアアアアアア!!」
【相手のガルーラの恩返し!!】
ガンッ!! ガンッ!!
メガガルーラは力のままにモーターを殴りつける。子供も一緒になり、追撃した。
成程、凄まじい火力だ。
しかし、それでも——
『モーター残り体力4/157』
「——!!」
「これで、これでやっと後を頼めマスね——」
にい、と無理な笑みを浮かべると、モーターは続けた。
「モーター、おまえ」
「貴方は昔っからボマーに似てるところが多すぎネ——自堕落で、我儘で、理不尽で——大っ嫌いな貴方がボマーに似てるから、余計気に食わなかったネ」
だけど、と彼女は続ける。
「それでも頼りにしてるってことダヨ! ワタシは、ルカにこっちに来てほしいネ!!」
ふっ、とルカは笑みを浮かべてみせた。
【モーターのボルトチェンジ!!】
『メガガルーラ残り体力:15%』
閃光がフィールドを包んだ。
そして、場に立っていたのは——ルカだった。
「——よお、自称最強。名乗って最強なら、俺もメガシンカ最強だな」
「ルカリオ——オ前ゴトキガ、カ……!? ナメルナヨ——!!」
「そりゃ、こっちのセリフだ。もう、動けねえだろ。俺の可愛い仲間がお前を機能停止に追い込んでくれたおかげで、な」
うっ、とメガガルーラは呻いた。
火傷ダメージだ。これでもう、体力は10%も満たない。
『メガガルーラ残り体力:10%未満』
「ギ、ギギギギギギ!! 勝ッタト、オモウナヨ——!!」
「ああ、残りの奴も全部俺がぶち抜く。皆、血の雨に濡らしてやるよ」
ひゃは、と狂った笑みを浮かべると、体中に迸った波動をルカは容赦なくぶつけた。
【ルカのラスターカノン!!】
【メガガルーラは倒れた!!】
交代読みを兼ねて撃ったラスターカノンであったが、やはりトゲキッスは飛んでこなかった。
最強のメガシンカポケモンは、血涙のルカを前にして——倒れたのだった。
「よし、1匹撃破!!」
「で、でも、まだトゲキッスが——」
【相手の影は、トゲキッスを繰り出した!】
現れたのは、予想通りトゲキッスであった。
此処でガルーラを突破されても、まだトゲキッスによる全滅エンドが残っている。
しかし、それも——
「ルカ、アタシに代わるね!」
「おうよ!」
【戻れ、ルカ——行け、モーター!!】
体力ギリギリで繰り出されたモーターが受けに飛び出して行く。
案の定、トゲキッスは再び空気の刃を放ってきた。
【トゲキッスのエアスラッシュ! 効果はいまひとつのようだ】
【モーターは倒れた!】
どさあ、と遂にモーターは倒れる。
しかし、犬死だったわけではない。トゲキッスの相手をするのは——
「ムゥちゃん、頼むネ!」
その声に押されるように、彼女は答えた。
自分の役割。それは——今此処で、エースの障壁となるものを駆逐すること。
「はいっ!」
戦場に渦巻く吹雪のように、彼女は本来の姿を現して降り立った。
- パート1:セントラル・フィールドへ ( No.154 )
- 日時: 2016/12/23 03:16
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
【ゆけっ、ムゥ!!】
巨大な雪原の獣が姿を現した。
此処でやるべきことは、分かっている。
トゲキッスの排除。これに尽きる。どの道、相手は動きからしてスカーフであることが予測されるため、飛んでくるのもエアスラッシュだろう。
故に——
【ムゥの氷の礫!! 効果は抜群だ!!】
『トゲキッス残り体力40%』
——強襲型であることが生きてくる。怯ませてくるなら、怯む前に攻撃するまで。先制技の氷の礫がトゲキッスを貫いた。
【トゲキッスのエアスラッシュ!】
『ムゥ残り体力87/181』
互いに確定2発の攻撃。
しかし——先手が取れるムゥが次のターン撃ち合った場合、勝利する。
確定した要素を前にして、運ゲーの申し子・トゲキッスは狼狽した。
此処で倒れれば、メガルカリオの突破はほぼ不可能になるのだ。
「これで、決めます!」
「ムゥちゃん、やっちゃうネ!!」
ルカに抱きかかえられたモーターが叫ぶ。
それに鼓舞されたかのように氷の礫が放たれるが——
【相手のトゲキッスは引っ込んだ!】
【相手の影はブラッキーを繰り出した!】
「!!」
——その攻撃は通らない。
高い耐久を持つブラッキーに吸い込まれてしまうことに。
『ブラッキー残り体力85%→食べ残しで95%』
まずい。このままではブラッキーに止められてしまうことに。
さらに、此処で引っ込めば交換による読み合いが発生しかねない。
下した判断は——
「ルカさん」
「?」
「——あなたがボマーさんに似てるってのはすこーし分かる気がします。やっぱり、私達のようなポケモンはエースがあってこそ——詰めは、任せました」
「……ヘッ」
それを聞くとルカは笑って見せる。
「——誰にンな口利いてんだ。安心して、俺が暴れんのを見てな!!」
乱暴な返答。
しかし。そこには何処か安心感を感じることが出来た。
今ここで、自分が手を出さずにトゲキッスを攻撃する方法、それは——
【ムゥのステルスロック! 尖った岩が辺りに漂った!】
「ソレガナンダ……? イマサラ、オマエニナニガデキル!!」
浮遊する岩。
しかし、それはブラッキーには通用しない。
故に——ブラッキーはムゥに対し、苛烈な攻撃を仕掛ける。
【ブラッキーのイカサマ!!】
【ムゥは倒れた!!】
ドサァ、と音がする。
その巨体はフィールドに倒れ込んだ。
イカサマ。相手の防御に相手の攻撃力を利用して叩き込む悪タイプの技。攻撃力のわりに防御がそこまで高くないムゥにはきつい一撃であった。
しかしそれは——
「よお」
血涙のルカが、再び戦場に現れることを意味していたのだった。
【行け、ルカ!!】
「元気かー? ブラッキー。テメェを今度こそ仕留める。逃げんなよ?」
狂ったような笑みをルカは浮かべた。
この場で退く事は流石にできない。さっき、交代読みラスカをガルーラにブチ当てたような相手には——無理だ。
【ルカの悪だくみ! ルカの特攻がぐーんと上がった!】
ブラッキーはぞっ、としながら退いた。
もう、これしかない。
【ブラッキーのイカサマ! 効果はいまひとつのようだ】
『ルカ残り体力109/145』
「効かねえ」
にやあ、とルカは再び笑みを浮かべた。
最早、逃げ場はない。影の携帯獣に待っているのは——
「果てな」
【ルカの波動弾!!】
——消滅、のみだ。
【相手のブラッキーは倒れた!】
シュウウ、という音を残してそこには何も無かった。
恐ろしい程の火力であった。
特性:適応力で補強された上に悪巧みを積んだ波動弾。オーバーキルにもほどがある。
【相手の影はトゲキッスを繰り出した!】
「オノレ……サイゴハワタシガ——」
遂にルカと1対1で相対できるトゲキッス。
しかし、ぬか喜びするのも早かった。
ぐさり、ぐさり、と彼に尖った岩が突き刺さる。
「ス、ステルスロック——!!」
岩が効果抜群なトゲキッスに対し、ステルスロックのダメージは体力の4分の1。
そのため、残るトゲキッスの体力は——
『トゲキッス残り体力:10%』
「幾ら威力を強化した真空波でも、テメェはフェアリーでしかも飛行タイプ。4分の1のダメージしか出ねえ」
つか、つか、とルカは歩み寄りながらしゃべる。
「だからこそ、俺は積んだ。流石に、1回積んだ適応力真空波なら——テメェの残り体力全部削るだけなら造作ないさ」
「ギ、ギギギギギギ!!」
この状況まで持って来れたのは、ムゥとモーターのおかげだ。
特に、ムゥのステルスロックは決め手となったと言ってもいいだろう。
もう、トゲキッスに攻撃を受けるだけの体力は残っていない——
「落ちろ蚊トンボ」
【ルカの真空波!! 効果はいまひとつのようだ】
ずしゃあああ、と影を撒き散らし、トゲキッスは、否、影は地面へ墜落していく。
トゲキッス残り体力——0%
【トゲキッスは倒れた!】
「てめーみたいな紛いモンより、シェムの方がなんべんもつえーよ。あいつのは理不尽なんてもんじゃねえ」
カカカ、とルカは笑って見せる。
そして、勝利を表すかのように、拳を突き上げて見せたのだった——
「な? 俺に任せてよかっただろ?」
【影の携帯獣に勝利した!】
彼女の笑みは——さっきと打って変わり、輝いていたのだった。
***
——画して、地下闘技場に現れた影の携帯獣は討伐された。現在、闘技場はメンテナンスされており、再び使えるようになるまで時間がかかるようだった。
「で、ルカ姉。結局ボックスに戻るのか」
「たりめーよ。しばらく退屈だったしな」
戦いぶりを見ていたボマーとしても、流石に断ることは出来なかった。
これだけの火力があれば、十分戦力にはなる。
ムゥとモーターの方をちらり、と見た。
「ボマーさん、私はまだルカさんのことが怖いって思いますけど」
あの戦いや、あの笑顔を思い出すように、ムゥは言う。
「少なくとも、悪い人じゃないと思います」
「おー、ムゥちゃん。姉さん嬉しいよ」
「Shit! ルカ、おさわりはNGだからネ!」
「ちぇ」
まだぎこちないが、少しは打ち解けたということで良いのだろうか。
フレイも仕方なさそうに言う。
「ま、しょうがないわよ」
「そう、だな。マスターの命令、だしなあ……」
「何だかんだ言って従うんだ」
「拾われた身だし、無下には出来ねえ」
機嫌が悪そうに言った彼は、ルカに向き合う。
「おい、酔っ払い」
「何だ? ボマー。俺の戦いに惚れたか?」
「……仕方ねえからこっちに入れてやる。腕が酒で鈍ってねえってことを確信しただけだから勘違いすんなよ」
「ふふん、そうか」
何とか、ボマーも受け入れることにしたらしい。
まだ、素直ではなかったが、少なくともあの頼り甲斐のある背中、頼っても良さそうだと判断したのだろう。
「よろしくお願いしやすぜぃ、ルカの姉御」
「おう、隠密機動。お前もよろしくな」
「ルカさん。問題はあまり起こさないでくださいね?」
「わぁーってるよ、フレイ」
「んじゃ、帰るか。マスターのとこに事後報告しねーといけねえしなあ」
「ケケ、そうか」
楽しそうに笑ったルカはモーターの方に向き直る。
ふん、と不機嫌そうな表情だった彼女だが、手を差し出す。
「……またよろしくネ、ルカ」
「怖い顔すんなよ、モーター。こっちこそな」
ぎゅっ、と2人の手が繋がれた。
遠くから見ていたムゥは不思議そうに言う。
「あの2人も、何かあったんでしょうか?」
「昔、色々な」
「……」
影の携帯獣や、ルカ。
多くの謎を残すことにはなったものの、セントラル・フィールドの騒乱はこれで一先ず解決したことになったのだった。
——そーいや……。
ボマーはふと空を見上げた。
——あの緑トカゲと決着付けられなかったな……。
***
「ライ。あれが影の携帯獣、ってやつだったとしたら……」
「それはあいつらに任せてていいだろ。俺らはまだ借金残ってるしな」
「でも雷切さん……」
「んだよ、キモイ。黙ってろよキモイ。俺は、あの龍舞空飛びトカゲをめざパで凍らせることが出来なかったから機嫌が悪いんだ」
「だがな、雷切よ。お前にも無視できない話だが」
「何だ」
「例の新設サーバーの話だ」
……。
雷切は黙りこくった。
そう、遂に始まろうとしていたのである。
「——いつか、ケリをつけるさ。”第七世代”の決戦の場でな——」
- パート2:留学生は突然に… ( No.155 )
- 日時: 2016/12/23 22:18
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
「遅いぞ、ボマー」
「時間ちょっきりだろうがよ、ガブリ姉」
つか、つか、といつものジャージを羽織り、サングラスを掛けたボマーが入った先は——会議室であった。
既に、6つの席のうち、4つは埋まっている。
中央区域の中央に存在する、通称・頂点機関。
此処に座れるのは、マスターが認めた破壊力SS級のフラッグエースと呼ばれる者達のみ。
つまり、ボックスでも数多の戦いで活躍した者達だ。
「さっさと座るんだね、ボマー。ともかく一大事なんだわさ」
——第一世代フラッグエース:ルーラ DN:ガルーラ
「相手が影の携帯獣である以上、対策を迫られることは確実だ」
——第二世代フラッグエース代理:メイル DN:キングドラ
「……まあ、マスターがこうして集めたんだからただ事じゃねえのは分かるぜ」
——第三世代フラッグエース:ボマー DN:ボーマンダ
「幾つもの戦いで活躍したエースを集めた会議。気を引き締めろ」
——第四世代フラッグエース:ガブリ DN:ガブリアス
「そうね。早く始めるわよ」
——第五世代フラッグエース:フレイ DN:シャンデラ
「まあまあ、皆さん。そんなにせかさんどいてもええやないの」
——第六世代フラッグエース:エクレア DN:ニンフィア
影の携帯獣として戦った種族の者もいるが、それだけにその能力は十分に信頼に値する。
いずれも、爆発的な火力を持ち合わせており、またそれなりの耐久も持っている面子だ。
「では、始めるとしよう。本日の議題、それは——第七世代・サンムーンサーバーの解禁の件だ」
ざわっ、と全員に戦慄が走る。
第七世代、サンムーンサーバー。
新しい世代に移行する以上、今までの面子ではポケモンバンクが解禁されるまでは戦えなくなると言う。
「ポケモンバンクが解禁されるまでは、アローラ図鑑のポケモンでの対戦が基本となる。だが、バンク解禁まで待っている暇は無い。我々は少数精鋭で、新しい面子を加えて戦うことが求められるということであるな」
「……実は、セントラル・フィールド各地でも影の携帯獣と見られる個体が度々確認されている。新サーバーのエリアにも出現されることが予測される以上、パーティの構築は必須だ。しかし、我々も手持無沙汰というわけではない。それぞれがそれぞれのやるべきことがあり、すぐにサンムーンサーバーに行けるわけではない」
「せやねえ。うちも妖花園域の修復作業があるし……」
となれば、送り込める面子は限られてくるのである。
故に元々影の携帯獣の対策に当たっている彼らが浮上するのだ。
つまり、チームボマーの出番だ。
「そいつは厄介な事になったな。だけど、アローラ図鑑も結構数があるんだろ? 御三家以外でもチームボマーの面子だけで結構サンムーンサーバーに送り込めそうな気がするぜ」
「そうね。あれだけ数があれば、せめて3匹くらいはあたし達のところから持っていけそうなものだけど」
「問題は、そこなのだ」
え? とボマーとフレイはきょとん、とした顔をした。
しかめっ面でガブリは言った。
「チームボマー、及びそれに加担出来そうな面子は?」
「えと、アクアとチャモは今戦闘出来ねえけど、どうせ御三家だから除外。それ以外なら俺様とフレイ、レイドにムゥ、モーター、ガメリオにルカ姉か。後、呼びかければトトも参加できるだろうし、ツムジのやつも説得すれば——」
「では、その中でアローラ図鑑に登録されているポケモンを言おうか」
びしり、とボマーに指を突き出し、ガブリは言い放った。
「——ボマーとルカだけだ」
……。
ボマーとフレイは沈黙した。
しかもそれだけではない、とガブリは付け加える。
「しばらくルカは、ボックス内での手続き等がある。参戦は出来ない。よって、お前たちのチームの中でも今すぐサンムーンサーバーに送り込めるのはお前1人だけ——」
「ちょ、ちょ、ちょ、待てや!! 本当に俺様だけってか!? マジで!?」
「私やエクレアは図鑑に登録されているが、我々も用があって向こうにはいけない。よって——しばらくの間、ボマー。お前1人でサンムーンサーバーで追加される、新エリアの調査に当たってもらうことになる。”チームボマーから”はな」
意味深気な言い方に、ボマーは眉をひそめた。
つまり、やはり助っ人がいるということなのだろうか。
「既にマスターは、サンムーンサーバーでポケモンの育成に成功している。すぐさま、お前にもサンムーンサーバーに行くためのデータを渡すらしいが、それ以外に何人か海外からの留学生を派遣するらしい」
「海外から、だと——!?」
「せやねえ、うちも賛成なんよ。あの子達なら大丈夫やと思うでえ」
「同感である。聊か危険そうな面子ではあるが」
「何言ってんだい、人は外見じゃないんだよ、メイル」
「そ、そうではあるが」
ごくり、とボマーは息を呑んだ。
留学生。危険。その言葉にどこか不穏なものを感じたのだ。
正直、あのマスターの言うことだから嫌な予感しかしなかった。
「では、次の議題に移る」
「……」
「大丈夫?」
フレイは声を掛ける。
うんざりした様子で、ボマーは「ぜんっぜん」と返したのだった。
***
後日、ワープエリア。
しばらくサンムーンサーバーをいつもとは違う面子で戦うことになってしまったため、うんざりはしていたが、同時に期待もしていた。
留学生——一体どのような面子なのか。
「ボマー!」
後ろから声を掛けられた。
見れば、そこにはフレイの姿があった。
「今度はあたし達いないけど、頑張ってよね。あんたはボックスのエースなんだから」
「わーってるよ。お前に励ましてくれるから、何とか頑張れそうだ。何とか、な……」
「うわ、顔青くなってる。でも、言っておくけど——」
と言ったその時であった。
ふよよよよ、と何かがやってきた。
「ボマーサン、そろそろ時間デス」
「ん? 何だお前」
それは、煙のようなポケモンであった。
円らな瞳に、紫色の体、何処か神秘的な容姿だ。しかし、その容姿はどこかメカメカしい。
「私はサンムーンサーバーの案内役、コスモッグ型ロボの”ナビモッグ”と申しマス」
「へえ、ナビモッグっていうのか」
「可愛いじゃない」
「実は、そろそろ留学生を呼ぼうと思いまシテ」
「留学生を——呼ぶ?」
「はい。そろそろ時間なのデ——」
ぱっ、と手のようになっている部分を天に向かって突き上げると、言い放った。
「いあ——いあ——ぱらさいと——」
「え?」
「いあ——いあ——えくすぱんしょん——」
「ねえ、何この子!? いきなりクトゥルフめいたことを——」
「ふんぐるいむぐるうなふうるとらるるいえうがふなぐるふたぐん」
「止めろ! 何か邪神とか呼びそうだぞコイツ!!」
叫ぶボマー。しかし、ナビモッグは仕上げと言わんばかりに叫んだ。
「おいでませ、ビーストたち——アローラ!!」
「おいでませ!?」
「アローラ!?」
突っ込む間もなく——次の瞬間、空に穴が開いた。
「アローラ!!」
刹那。穴から飛び出した何かに——ボマーは踏み潰されたのだった。
- パート2:留学生は突然に… ( No.156 )
- 日時: 2016/12/25 00:57
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)
「アローラ!! 此処がボックスサーバーですな!! 吾輩、留学生の——あれ? ボマー殿は?」
「下だと思うよー、タケっちー」
「おおう!! これは失礼致した!!」
現れたのは、膨れ上がった肉体を持つ蚊のような生物と、クラゲのような生物であった。
その姿は、ポケモンという言葉を使う事すら憚られる感情すら沸いてくる。
恐らく原型なのだろうが、こいつらポケモンと呼んでも良いのだろうか。起き上がったボマーは、現れたそれに軽く戦慄しながら、横のフレイを見た。立ったまま気絶している。
「吾輩、”次元領域”からの留学生・マッシブーンのタケミカヅチであります!! ボマー殿、此度の作戦に於いて、貴殿と戦う事が出来、光栄でありますぞ!! 吾輩の!! 筋肉が!! 激しく燃える!!」
「ああ、うん……よろしく……」
背中を抑えながら、その恐ろしい姿にぞっとする。
これ、ポケモン……? と。
「おっと、忘れていた。擬人化体というものを使うのであるな、このボックスでは」
次の瞬間、パズルのピースのように、タケミカヅチの肉体が削げ落ちていく。残ったのは、人間のような姿であった。
それは、両腕に赤いパワーグローブを取り付けた、ボマーと同じくらいの背丈の男であった。筋骨隆々ではあるが、原型のようなずんぐりした体型ではなく、動きやすくするためかスマートになっている。どうやら本当にポケモンだったようだ。
一方の、さっきからうねうね動いているクラゲのような生物もポケモンなのだろう。明らかな異形であるが。
「んあー、私の名前は——もーめんどくせ、帰ろ」
「ちょっと待てやオイ!!」
「此処まで引っ張っておいて帰るの!?」
「えー、めんどくせー……仕方ないなあ」
またもや、パズルのピースのようにクラゲの体が人間の体に構築されていく。擬人化体だ。
それは、帽子を被った白いコートの少女と言った趣で、マフラーを首に巻いている。しかし、両腕にはまたもパワーグローブのようなものが付けられており、タケミカヅチ同様サイバーチックなデザインの装具だった。
「次元領域から派遣された留学生・ウツロイドのヒルコって言いまーす……よろしくう」
——早速キャラが濃い奴が2人も沸いて出てきたんだけどォォォーッ!?
ボマーは頭を抱える。新規のポケモンはこんなんばっかなのか。最早ポケモンですら疑わしい造形といい、キャラといい、不安要素しかない連中である。
「私から説明しよう」
「! ガブリさん!」
「ガブリ姉!?」
今度は背後から声がする。
やってきたのはガブリだった。
「2人は”ウルトラビースト”。マスターが新たに投入した、新戦力だ」
「ウルトラビースト……? スペースビーストの亜種か何かか?」
「それは違うウルトラでしょ!?」
「第七世代の新規の準伝説枠と言ったところだな。異次元からやってきたポケモンだ。ただし、向こうの世界では一般的なポケモンだからか、複数の個体が存在するものもいるため、準伝説とはまた違う新しい括りとして認識してくれ」
ウルトラビースト。
ゲームでの特徴を上げるならば、いずれも何かに特化した尖った種族値を持っており、強烈な個性を持っているという。
「そして、現在マスターが投入に成功したのは、2匹のウルトラビースト——ウツロイドのヒルコとマッシブーンのタケミカヅチだ」
「海外っつーか次元外の連中じゃねえか!!」
「だが、腕前はマスターのお墨付きだぞ? まずは一緒に対戦してみてはどうだ?」
「な、なるほどな……」
正直、不安は尽きない。しかし、折角協力を申し出ているのに無下にするのも無粋というもの。
「まあ、いい。今までそういうのにあんまり手を出さなかったマスターが投入した準伝説枠……いや、伝説じゃねえのか。だが、影の携帯獣を倒すのに協力してくれるってなら」
「勿論!! ボマー殿の武勇伝、我々ウルトラビーストの耳にも届いておりますがゆえ、光栄である!! ぜひ、こちらこそ!!」
「お、おおう……」
「タケっち、暑苦しいけど我慢してあげてねー」
くるり、とフレイの方を向くと、ヒルコは言った。
「君も知ってるよー、フレイ。超火力の五世代のフラッグエース……」
「あ、あはは……でも、抜きエースならウルガモスとかいるのに、何であたしって話なんだけどね」
「謙遜は美徳だけどさー、私結構君みたいな子、ライバル視しちゃうかなー」
「え?」
くすくすと笑うと、ヒルコは身を翻した。
「とにかく、早いうちに2人の実力を見たいなあ」
「あ、あたしはまだ戦わないわよ? 一応、マスター曰くデータを転送できないことはないみたいだけど」
「ん? フレイ、お前もついていくのか?」
「あ……う、うん」
こくり、と彼女は頷く。
「あたしみたいに、アローラ図鑑に登録されてないけど、特別な方法で戦闘データを入手できる子もいるみたい。ムゥちゃんとかもそうね。だけど、まだマスターが入手できてないから、着いていくだけ。あたしは、あんたのお目付け役よ、忘れてる?」
「そ、そうか」
「他の皆も、早く戦いたいはずよ。今はそれが出来ないけど」
「まあ、何だ。今度もよろしく頼むぜ」
「……うん」
画して。
バトルスポット・サンムーンサーバーへの調査隊が完成したのだった。
***
第七世代。
グラフィックが変更されたわけではないので、第六世代の延長線とマスターは捉えているが、それでも多くの変更点があった。
まず、ファイアロー、ガルーラ、ゲンガーの弱体化。
道連れの仕様変更に、メガシンカ後の素早さの処理。
そして——大量に追加された準伝説枠と、Zワザ。
これらにより、早速環境は大きく動いていたのである。
「Zワザァ?」
「ZリングとZクリスタルが合わさることで発揮される、必殺技よ」
「メガシンカと両立は出来ねえのか……今回はZワザ推しってことなのか」
「だけど、あんたの需要も高まってきてるみたいね」
「へっ、需要なんざカンケーねぇぜ。俺様は俺様のバトルをするだけだ」
「おおっ!! 素晴らしいお言葉ですぞ、ボマー殿!! 吾輩も、見習い、より精進せねば!!」
「お、おう……」
サン・ムーンでセントラル・フィールドに追加された新たなバトルスポット。
此処で、彼らは対戦相手を待っていたのだった。
そして——ナビモッグが通達を届ける。
「対戦相手を見つけマシタ!」
「——ボマー殿、来ましたぞ!」
「うっし。それじゃあ、七世代最初の——祭りの始まりといくかな!」
「めんどくせー、さっさと終わらせようよー」
「……不安だわ」
画して。
このメンバーでの最初の戦いが始まろうとしていた。
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