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- 彼女が消えた理由。 完結 そして、
- 日時: 2011/08/31 01:40
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
キャラ説明
>>79
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- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.120 )
- 日時: 2011/08/02 18:23
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
番外編
『きみが触れるかげ』
「園松、遅刻だ。 さっさと席に座れ」
熱血な男教師が、今日もミユキに説教する。
今年赴任してきた担任は、いろんなことに熱血で、すごく面倒くさい。
学校に連絡もいれず、堂々と遅刻をしたミユキは、担任を視界に捉えず、自分の席に座った。
「もう中2だぞ、園松。 ちゃんと挨拶くらいできんのか」
理不尽に挨拶を要求する担任。
ミユキは鬱陶しそうに担任を睨み、 「……おはようございます」 小さく答えた。
それに満足したのか、担任は何も言わず授業を進める。
園松ミユキは、学年で一番可愛いと評される、俺の幼なじみだ。
幼なじみ、というか、お互いの親が浮気していた仲なんだけど。
あの事件後、俺とミユキは同じクラスになることはなかったんだけど、中学2年生になって久しぶりにクラスが一緒になった。
中学の奴らなんて、俺たちと同じ小学校だった奴のほうが多いんだから、自然と俺らふたりの過去は広まっていて。
俺はこの性格だから、それなりに喋れる奴もいるけど、ミユキは違う。
「あんな性格だから、皆から逞しいとか思われるのかね」
「………独り言でかいよな、陽忍」
前にいた吉川が振り向く。 そんなに大きかったか?
「ごめん。 ……吉川、あほ毛たってねえ?」
「ええっ? マジで? うっそどこだよ!」
「ここ」
吉川はいい奴だ。 小学校の時から仲がいいけれど、事件のすぐ後に、誰も俺に話しかけてくれなかったのに、コイツだけは気楽に接してくれた。
「吉川はポヤ〜ンとしていていいよな」
「………それ褒めてる?」
休み時間は、ミユキの周りに女子数人が集まる。 バカでかい声の女が一人いて、そいつのおかげで離れて喋っている俺と吉川にも、会話の内容が筒抜けだった。
「ミユキまじやっべぇよ。 あのゴリラ相手にあの態度!」
「絶対アイツ悔しがってるよ。 もっと言ってやんなよ」
ケラケラ笑う女子の中心で、ミユキも笑っていた。
俺には決して向けない、笑顔。
「園松って意外に女子から人気だよな。 キツいし、けっこう同性から嫌われるタイプかと思ってた」
ぼんやりと吉川が言う。
コイツはミユキのことを好きなんだろうけど、見てるだけでいいっぽい。 憧れなんだと言っていた。
「大人相手にもキツいこと言うから、カッコいいんじゃねえの」
「美人だしな」
「ああ」
ヒロカに似ている。
忘れたくても、ヒロカの顔と瓜二つの奴がいるんだから、仕方ない。 ヒロカのことなんか、大嫌いだと。
言ってやりたいのに。
未だに過去にすがっているのは、俺なのかも。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.121 )
- 日時: 2011/08/02 18:41
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
△
息を吐いて、温かい体温の残るシーツに体を埋める。
脱力感。
今日、何日だっけ。
「……家の人は?」 「あいつら、仕事で家あけてるから」
隣で同じように息を吐いているミユキが、チラリと時計を見る。
夕方の6時だった。
「あんたのこと、放ったらかしなんだ」
「ただの遠い親戚だし。 あと1年ちょいの我慢。 高校生になったら一人暮らしする」
あっそう、と興味無さそうに返事をし、ミユキが起き上がる。
首に、俺が噛んだ噛み跡が残っていた。
「噛むのやめてよ。 痛いし、痣になる」
「ごめん」
ミユキと肌を重ねるようになったのは、いつからだろう。
最初は、ただ、ミユキがヒロカに見えて。 ちょうどそういうのに興味をもつお年頃で。
──ヒロカ……。
「わたしを、おかあさんだと思ってこんなことしているの?」
軽蔑するわけでもなく、無表情な瞳で彼女は聞いてくる。
「まさか。 俺はちゃんとミユキが好きだよ」
「わたしはアンタのことも、アンタとそっくりなあの女も大嫌い」
ミユキが母親であるヒロカに似ているように、俺も自分の母親に似ているらしい。
そのことが、ひどくミユキを不快にさせているらしい。
「じゃあどうして俺とこんなことしてんだよ」
別に拒否されたら止めるのに。
「───アンタに、わたしとおかあさんは違う存在なんだって知ってもらうためよ」
園松ミユキが、笑う。
それは今日、クラスの女子に見せた笑顔ではなく、どこか不敵で、妖艶で、官能的な笑み。
ヒロカに、似ている。
「いつまでもおかあさんの幻想を見ているんじゃなくて、早く目を覚ましてほしい。 わたしは、おかあさんの身代わりじゃないの」
そうは言うけれど。
自分の存在が母親ではないと証明するために、母親の身代わりになっている彼女の行為は、矛盾している。
矛盾だらけだ。
ミユキが俺を嫌いだと言いつつもこうして関係を保っていることも、俺はミユキが好きだと自覚しているのに、ヒロカの影を追っていることも。
むじゅんだらけ。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.122 )
- 日時: 2011/08/02 18:42
- 名前: 夜兎_〆 ◆8x8z91r9YM (ID: 4CT2wXi/)
包帯戦争がなかなか読み終わらずアセアセ。
途中で更新ストップな、いわば旧作をじっくり読んでいた事に気が付いて本編に移行しました。傑作だぜ。
包帯戦争も彼消えも、無駄がない描写とぞくっとする台詞のオンパレードで舌を7周りくらい巻いてしまった。
章の題名がなんか好きです。
番外編ktkr
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.123 )
- 日時: 2011/08/02 19:12
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
そんな言葉をいただいて、感無量でございます。
ありがたいです。
コメントは朝倉のエネルギーなので、大切に
読ませてもらっています。
章のネーミングは、ときどき考えてますが、
ほぼアドリブみたいにサッと出てきたものを
題名にしちゃってます。
なんということだ←笑
- Re: 彼女が消えた理由。 ちょっとしたお知らせ ( No.124 )
- 日時: 2011/08/02 19:15
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
お知らせです。
ブログをリゼ様から、アメーバ様に移転します。
URLはこちら。 ★をpにしてください。
htt★://ameblo.jp/ix3x-luv/
なお、カキコ内でアメーバ様でブログを書いているという
人がいたら、仲良くしてほしいです。 うぴぴ。
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