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彼女が消えた理由。 完結 そして、
日時: 2011/08/31 01:40
名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
参照: http://lyze.jp/ix3x/

キャラ説明
>>79

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Re: 彼女が消えた理由。 ちょっとしたお知らせ ( No.185 )
日時: 2011/08/18 13:14
名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/

そう言われると嬉しい限りです。
ありがとうございます。
>比泉 紅蓮淡さん


ドロドロした物語を書いてみてください。
朝倉はそういうドロドロしたお話、本当に大好きですから。
曖昧な終わり方……そうですね。 読者の記憶に少しだけ残るような、
そんなセンチメンタルな終わり方ができたら……
どんなにいいでしょうかね。
>風猫さん


朝倉は人間の欲とか、嫉妬とか、そういうのが大好きです。
なので、書いているとテンションが上がってしまいます。 危険。
だから、クライマックスになるといつも執筆がめちゃくちゃ速いです。
複雑なのに単純、とはまさに、そうです。
お互いがお互いを好きか、嫌いか。 それだけなんです。
>紅蓮の流星さん


そうですね……。
ヒロカは弱い人間だけど、少し変な方向に強気な所があります。
そこは、まだ名前もでてきていない、少年Aの回想にて、
ヒロカのすべてを見届けてください。
> NAHOさん

Re: 彼女が消えた理由。 ちょっとしたお知らせ ( No.186 )
日時: 2011/08/18 14:08
名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/


『今日もミユキさん寝込んでるんですか。 仕方ありません。 また後日、蓮奈さんの人間関係についてお話を伺いにいきます。 ……あ、あと、たまには陽忍さん、通学してください。 ミユキさんにつきっきりだと、本当に留年しますよ。 ……はい、それでは。 はい、はい』



電話をきる。
安藤さんの自宅訪問を断ったのは、これで3回目だ。
言えるわけがない。 ミユキが消えた、なんて。

「────そんなこと、じゃなくて」

違う。
いま、俺が人に会いたくないだけだ。
考えることが多すぎる。

どういうことだよ。

ヒロカは、俺の母親を好きだったってことか?
3日前、吉川と一緒にミユキの家に行って見つけた、ヒロカの恋文。
ノートにびっしりと書き込まれた、俺の母親・千里への想い。

「ヒロカは俺の母親が好きで……でも、親父と浮気していて……」

知りたいことがあるのに、ノートには想いだけが書かれており、肝心な浮気の理由がまったく書かれていない。
母を好きなら、どうして親父と関係を持ったのか。 いや、それよりもまず。

──どうして、ミユキを産んだのか。

「ミユキの父親さえ分かれば、会って話を聞くこともできるのに……」

あの後、ミユキの家を一通り見たけれど、父親に関しての痕跡はなかった。
安藤さんに聞いてみるか……? いくらミユキの幼なじみであれと、プライバシーな情報は教えてくれないかもしれない。

「だーもーどうすりゃいいんだよ」

彼女がどこにいるか、それさえ分かることができたら。
ミユキ……








「おまえ、そんなにニーチャンが恋しいの?」

目を開けると、五鈴の顔があった。

「ッ、うあ!」 「何驚いてんだよ。 傷つくわー」 「どっから入ったんだよ」 「合鍵。 前に作らせてもらった」

陽忍五鈴。 27歳。 俺の兄。
俺が6歳のとき、両親とめちゃくちゃ仲が悪かったコイツは、高校に入ってすぐ一人暮らしを始めた。 夏休みに10年ぶりの再会をして、しばらく一緒に住んでいたけど、都会に帰ったはずだ。

「ひ、曳詰兄弟は……?」
「あいつらは家にいる。 あいかわらずだ」

曳詰サイは学校を自主退学して、いまはヤスと五鈴と暮らしているらしい。
学校では密かに宇宙人だったんじゃないか、なんて噂もあるけど。

「なんでここに来たんだよ」
「園松ミユキの叔母、殺されたんだろ。 ちょっち心配になってさ」
「よく言うよ」

汗を手でぬぐい、五鈴の足を少し蹴る。

「いま、ミユキどこにいんだよ」
「……知らない」
「は?」
「消えた」

完結に今の状況を伝えてみる。 五鈴はポカンと口を開け、何かを考えて、

「それ、ミユキ叔母殺しと関係あんじゃね? 失踪したってこと?」
「誘拐か、失踪か、家出か……。 でも、俺が刑事を駅まで送っている間に消えてたんだ」

わずか、数十分程度の時間に。

「ケーサツには?」 「言ってねえよ。 公にしたくない」 「殺されてる確立は?」 「無くは無い」

はあ、と長いため息をする五鈴。 こいつ、髪がまた伸びてるけど、切らんのかな。
親父に似てるから、少し気持ち悪い。 思春期真っ盛りの女子高生になった気分。

「あのさ、五鈴に聞きたいことあったんだけど」
「あー? どしたよ」
「…………ヒロカって、同性愛者だった?」

しばらくの沈黙。 耳にかけてあった五鈴の長い前髪が、ハラリと垂れる。

「………………………………………………え、なんで知ってんの?」
「俺からすれば、なんでお前が知ってるのかってなるんだけどな」

ますます意味がわからない。
ヒロカが同性愛者だと、五鈴は知っていたのか? 何故?

「誰から聞いたんだよ」

五鈴の答えを聞くまで、俺はまったく知らなかった。
本当に何も知らなかったのは、どこの誰でもなく、俺なのだと。





「ミユキの父親だよ。 ……小さいときに、お前も会ったろ?」



Re: 彼女が消えた理由。 ちょっとしたお知らせ ( No.187 )
日時: 2011/08/18 15:11
名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/


俺が……ミユキの父親に会った?

「何言ってんだよ、五鈴。 ミユキの父親は、ミユキが生まれる前にはもういなかったじゃねえか。 それからヒロカはずっと独身だったろ」

ミユキに父親がいるのか?

「だけど、一度会ったじゃん。 ……ああ、お前けっこう小さかったもんな。 お前が5歳くらいのとき」
「どこで? どこで会ったんだよ」

過去を何度も振り返っても、そんな記憶はどこにもない。
ミユキの父親という衝撃な人物との遭遇だったら、俺は絶対に覚えてるのに。

「ここの近くのスーパー。 俺が糞親父と喧嘩して家から出たとき、お前もついてきたじゃん。 スーパーで涼んでたら、高校生が話しかけてきたじゃん」

五鈴が親と喧嘩して家出、なんてことはしょっちゅうだから、覚えてない。

「すっげえヤンキーでさ。 絡まれるって思ったけど、お前にアイス渡して、『ミユキのこと、よろしくな』って言ってた。 んで、俺がじっとそいつ見てたらさあ、」



────俺、ミユキの父親。 ヒロカはレズだけど、これらは内緒にしててな。 陽忍五鈴クン。



「そう言われて、すっげえビックリした」
「……あ〜なんとなく……覚えてる……気もする」

顔はよく覚えてないけど、ドラマに出てくる不良みたいな男……のような気がする。
ああ、思い出せない。 声とか、顔…………ダメだ、まったく。

「そいつにはあれから会ってねえけど、たぶん地元の奴だろうな」
「なんでわかるんだよ」
「ここらでしか販売されてない、マコト★トコマのキーホルダーをつけてた」

……ああ、なんか商店街を賑わせようとかで、マスコットキャラクターみたいなのがいたな。
なんか……タヌキみたいな。

「俺、そいつ見つける」 「は?」 「それで、ヒロカのこととかもいろいろ聞く」 「なんでだよ」

コイツはバカじゃねえのか?

「ヒロカが同性愛者なら、なんでミユキが産まれるんだよ!! なんでうちの親父と関係もったんだよ!! いろいろ不自然すぎるだろう? ただでさえミユキが消えて、切羽詰まってんのに……っ、それより、そんなことよりも……」

10年前、ヒロカは俺の母親に殺されてんだぞ。

「ヒロカの気持ちが……わからねえ」

ああ、ハッキリと分かってしまった。
俺は園松ミユキを好きなわけじゃない。

いまでも、俺は、あの頃と同じだ。

園松尋花を、愛してるんだ。





△        △        △         △



ヒロカがどうして俺に何も言わずに子どもを出産し、育てていたのかはわからない。

だけど、久しぶりに再会したら、2歳くらいのミユキがいて、驚いた。

「可愛い……」 「そりゃ、キミとわたしの子どもだから」

撫でてみると、ふやふやと柔らかかった。

これが自分の子どもなのだと、素直に嬉しい。

「おろすって言わなかったか?」

「少しだけ……気が変わったの」

「なんだそりゃ。 情でもわいたのか?」

ふわふわしたミユキを抱いて、完全に母親の表情をしていたミユキは、

ゆっくりと俺を見て、ぞっとするほどキレイな声で、顔で、言った。

「まさか」

そして、こうも付け足した。

「復讐するの。 わたし、復讐者になるんだよ」

Re: 彼女が消えた理由。 ちょっとしたお知らせ ( No.188 )
日時: 2011/08/20 11:48
名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
参照: http://ameblo.jp/ix3x-luv/



園松ミユキが消えて、2週間経った。


「なんだ、ニーチャン。 俺らのことを待ち伏せか?」
「ここに来るって思ってました」

俺はどうかしている。
ミユキを助けるよりも、ヒロカの過去を調べることに躍起になっているのだから。
状況が、まったく変わった。
ヒロカが同性愛者だと知ってから。

「にしても、平日の昼間から堂々とスーパーにいるって……どうなのよ。 ニーチャン、高校生でしょうが」
「まあ、そうなんですけど」

五鈴が言うには、ミユキの父親と思われる人物のナリはヤンキーのようだと。
星野さんは見た感じちょっと不良そうな人だし。

「アンタ、陽忍千尋……だっけ」

乾いた声がして、星野さんと一緒に居る男が声をかけてきた。
……この男、前に吉川とミユキの家に行く前にも会ったな。 その時も星野さんといて、俺に名前を聞いてきた奴。

「ちぃ、よく覚えてるよな。 俺なんかニーチャンって呼んでるのに」
「月無、お前のほうがずっと年上だし、もうオッサンだ」
「ちぃだってオッサンじゃねえか」

ちぃ……ちー? この人のあだ名? この年になってあだ名なんて珍しい。

「お二人は仲がいいんですね」
「幼なじみだ。 もうかれこれ……20年以上」
「昔っからワルばっかしてたけど、もう落ち着いたよなぁ。 今じゃお互いガキがいて、スーパーでガキの菓子選びだ」

ちぃという男は、星野さんとは対照的だ。 髪も黒いし、雰囲気も落ち着いている。
可愛らしいあだ名とは大違いだ。

「んで? 俺らをスーパーで待ち伏せしてた理由は?」
「────聞きたいことがあって」

まあ、五鈴の印象とか年代とかであたってみると、この人たちが近いし。 案外、ミユキの父親と知り合いとかだったりして。

「園松尋花っていう人……知ってたりしますか?」
「ヒロカぁ? 全然知らねえ。 ちぃは知ってるか?」
「知らない」

外れか……。
まあ当てずっぽうだしな。

「そうですか。 すいません、忘れてください」
「ああ、了解。 あとさあ、ニーチャン。 ガキが喜ぶポテチの味って何かな」
「────うすしお、じゃないですかね」


Re: 彼女が消えた理由。 ちょっとしたお知らせ ( No.189 )
日時: 2011/08/20 20:55
名前: 夜兎__〆 ◆8x8z91r9YM (ID: 4CT2wXi/)

ヒロカが切ない……。
終わりが近いので一回一回の更新にドキドキしますね。
人間ドラマもどきを書いている僕ですが、ストーリーの深さというか、底の見えなさには本当に脱帽です。

ポテトチップスが何故か食べれない僕です。脂っぽくてきついです


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