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彼女が消えた理由。 完結 そして、
日時: 2011/08/31 01:40
名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
参照: http://lyze.jp/ix3x/

キャラ説明
>>79

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Re: 彼女が消えた理由。 ( No.4 )
日時: 2011/06/20 21:41
名前: 朝倉疾風 (ID: xJyEGrK2)
参照: http://lyze.jp/ix3x/



第1章
『誰かの不幸、他人事』



窓際の一番後ろ。
1ヶ月ごとに行われる席替えの6回目は、教師の目が届かない、好ましい位置になった。
ただ一つ不満があるとすれば、クーラーの風が当たり過ぎて、冷えるってことくらいかな。

「あ、また近くじゃん。 ちょいーっす」
「どうも。 いちいち振り向くなよ? うるさいから」
「ひでーなー」

前の席の吉川とそんなことを話しながら、チラリと視線を隣に向ける。
席替えで浮き足立っている他の奴とは違い、一言も喋らず、誰とも目を合わせようとしない女生徒がいた。
園松ミユキ。
学校でも美人だと有名な子で、顔を見ると、ああなるほどなと思うくらいべっぴんさんだ。

「金曜の6限目に席替えねえ。 こういう心情で帰るのか」
「どういった心情になってんだよ」
「なんかさ、席替えした日って興奮しねえ? 月曜早く来い! みたいなさぁ」
「どんな性癖だよ、吉川」

入学したての中学生か。 でもちょっとわかるかも。
吉川はケラケラと笑いながら、俺と同じように、視線を俺の隣に向ける。
吉川の視線を無視し、園松ミユキはさっさと帰る準備をしだす。 担任の話が終わらないうちに、おそらくカラであろう鞄を持って、席を立った。

「ちょっと園松さん。 まだ話してるから、座って」
「それは、私にとって関係のあるものですか」

担任に真っ正面から言い切り、強気の姿勢を見せる園松ミユキ。

「関係あるでしょう。 一週間前に亡くなった末永くんは、ここのクラスだったんだから」

いまの発言もどうかと思うけどね。
わざわざ末永の死をむしかえさなくても。

「末永くんのことは、残念です。 でも、私にとって彼はただの他人です。 それに、どうして今さらその話をするんですか」
「……犯人がまだ見つかっていないから、気をつけてって言ってるんです」
「私には、末永くんの死をむしかえして、私たちの不安感を煽っているだけに思いますけど」

ぐうの音もでない、かな。
そう吐き捨てて、園松ミユキは平然と教室から出て行った。
担任は簡単に話をまとめて、あと4分を残して授業を切り上げた。

「すっげえよな相変わらず……。 園松ってけっこう言うこと外れてないよな」
「そうかな。 バカ正直なだけじゃない?」
「いやいやそれだけじゃねえって。 超こえー」
「あんがい、弱虫だったりもするんだけど」
「なんか言ったか? ヨワムシ?」

もう靴箱の所まで行ったかな。

「なんでもねえよ。 んじゃ、俺用事あるから。 じゃあな」
「ん、おう。 じゃあな」

教室を出て、彼女の後を追うため、小走りになる。
ああ楽しみだ。
いろいろと、いろいろと。

Re: 彼女が消えた理由。 ( No.5 )
日時: 2011/06/21 00:55
名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: L7bcLqD7)
参照: http://koku54.blog97.fc2.com/blog-entry-1.html

文章が変になるどころか更に洗練されてる……。

プロローグもそうなのですが、本編もどことなく既に狂った感じが漂い始めていて…この感覚が好きです。
園松さん……痛いとこを突いてくるなあ。なかなかのやり手ですな。
あと、教室にクーラーがあるってとてもうらやましいです。

Re: 彼女が消えた理由。 ( No.6 )
日時: 2011/06/23 17:43
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: .cKA7lxF)

初めまして、風と申します。 下らない小説を多数執筆しています。
前々から、名は存じていました。 包帯戦争は、素晴らしい作品だと記憶しています。
新作を読める事嬉しく思います。

シリアス・ダークらしい根底の狂った雰囲気が良いですね。 現実味が無いようで有り、有る様で無い……そんな感覚が素敵です。
どうなって行くのか楽しみです。

Re: 彼女が消えた理由。 ( No.7 )
日時: 2011/06/23 19:10
名前: 朝倉疾風 (ID: STEmBwbT)
参照: http://lyze.jp/ix3x/

余談ですが、わたしの高校にもクーラーがあります。
設定温度、28度。
それでもけっこう涼しいです。

園松さんは、少し毒舌な子だといいなあ…という願望。←
キャラがいまいち定まっていません。 
>紅蓮の流星さん


包帯戦争…懐かしいです。
当時はけっこう頑張って書いてたけど、今改めて読むと…恥ずかしいです。 黒歴史…。←

いまいちシリアスな語りが勉強不足ですが、応援よろしくお願いします。
近々、小説見に行きます。 絶対に、くだらない小説なんかじゃないです。
>風さん

Re: 彼女が消えた理由。 ( No.8 )
日時: 2011/06/23 19:50
名前: 朝倉疾風 (ID: STEmBwbT)
参照: http://lyze.jp/ix3x/


小走りで靴箱まで行ったんだけど、園松ミユキはもういなかった。
もう帰ったかと思ったけど、チャリで登校していたことを思い出して、自転車置き場に行ってみる。
いた。
後ろ姿がもう美人さんだから、すぐにわかる。 ていうか、めだつ。

「先生にあんなこと言うとか、フツーできねえよ。 すげえな、ミユキ」

ビクリと、華奢な肩が震える。
続いて、ひどく拒絶するように睨まれた。

「ンな怖い顔すんなって。 超ぶっさいくになってるぞ」
「関わらないで」 

無視。

「席隣になれてよかった。 いっぱい話せるし」
「話すことないじゃない」
「でも、末長のことは意義ありかな。 なんで関係ないみたいな言い方したわけ」

あんなに仲良くしてたのに。 てか付き合ってただろうが。

「いなくなったら、そこで終わり。 死体がわたしのこと、構ってくれるはずないから」
「俺なら、ずっとミユキに構ってやれるけど」
「遠慮する。 ていうか、近い」

俺に内緒で、末長とニャンニャンやってただろうが。
怒らないけど。 俺とミユキはただの幼なじみだし。

「そこどいて。 わたし帰りたいから」
「おまえさあ、末長殺したりしてねえよな」

5月の終わり。 末長は自宅で何者かに撲殺されていたらしい。
この平凡な田舎町で、ちょっとしたニュースになった。 まだ犯人はつかまっていないらしい。

「なんでわたしが末長くんを殺すの。 あなたは何が言いたいの」
「俺ら、付き合わねえ?」

苦虫を噛み潰したような顔をされた。 そんな意外だったかな。

「俺、めちゃ甘やかすよ?」 「わたし、あなたが嫌いなの。 死んでほしいって思ってるの。 そこをどいてほしいとも思ってる」 「わかってるよ」

俺がどかないから、ミユキは自転車に跨ったまま、進めないわけだし。

「ぜんぶわかってる。 もう何年の付き合いだと思ってんだよ」
「どいて」
「どかない」
「じゃあ、もういい」

ミユキがペダルに片足を置き、 「轢くから」 突っ込んできた。
片手でカゴを止める。 ガゴンッという音と、衝撃。 ミユキの体が一瞬浮く。
不快そうに顔をしかめられた。

「俺はミユキが好きなんだけど」

決して、嘘ではない。
ずっと昔から好きだった。
どんな綺麗な女と付き合っても、寝ても、片隅にあるのは、

「わたしは、あなただけが嫌い」
「うん。 わかってんだけどねえ」

道の横に避ける。 これ以上やると、本気で殴られそうだったから。
通り過ぎる後ろ姿を見送りながら、ため息をつく。




「殺されるかと思った」



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