ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 彼女が消えた理由。 完結 そして、
- 日時: 2011/08/31 01:40
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
キャラ説明
>>79
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- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.29 )
- 日時: 2011/06/30 16:40
- 名前: 朝倉疾風 (ID: HijqWNdI)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
右から2番目の鉢植えの下。
過去の記憶をたどって思い出した鍵の隠し場所は、いまも変わらなかった。
俺の住むアパートから徒歩5分。 ミユキの家は、ここらでは珍しい洋風の一軒家だ。 辺りが田んぼばかりのここらでは、けっこうめだつ。
鍵を手にして、裏口から家に入る。
ほんの少し、木の匂いがした。
「忘れてた。 そこに鍵あったこと。 よく覚えてたよね」
「俺も忘れてたよ」
ミユキの家はけっこう久しぶりだ。
だけど10年前と何も変わっていない。 木の匂い。 ひんやりとした床。 シンプルな内装。
すべてが同じすぎて、妙な錯覚を抱いてしまう。
「壁紙、変えたんだ」
ただ一つ違うことは、キッチンの壁が白から薄い桜色に変わっていることくらい。
「あのままだと血がめだちすぎるから……」
「この下、赤いわけ?」
「知らない」
吐き捨てるように言って、ミユキが奥に消える。 わかりやすいな。 さすがに剥がしてみようとは思わないけど。
そういえば、床は変えてないのか。 あんなに血を染み込ませていたのに。
きちんと拭き取ったのか?
自然と屈みこんで、床に触れてみる。 やっぱり冷たい。
ここに倒れたあの人たちも、冷たかった。
「なにしてるの」
背後から声をかけられる。
「なにもしてねえよ」
「床は変えてないから……あのときのままだよ。 綺麗にしたから、問題ないって叔母さんが」
おそらく服が入っているだろう紙袋を持ったまま、ミユキが立っていた。
「あ……っ、うん……?」
重なる。
見えてくるのは、小さいころのミユキ。
大人たちはなにか怒鳴ってて、ミユキは泣いていた。
ここで。 この場所で。 彼女は、失った。
俺も、失ってしまった。
「 千尋?」
あれ、名前で呼んでくれたの久しぶりだ。
ちょっと嬉しい。
「大丈夫。 俺は……大丈夫だから」
「近寄らないでよ」
再び警戒される。 俺のなにかが復旧したことに、気づかれたのか。
ひどく加虐心をくすぐられる表情。
「あんた、あの女に顔が似てるから大嫌い」
「男は女親に似るっていうしね」
「喋り方も性格も顔も似てる。 あの女そっくり」
「父さんは誰かさんの家に入り浸りだったから、母親がしつけてくれたんだ。 だからじゃない?」
ミユキの顔が、傷ついたという顔になる。
「なにそれ……わたしのおかあさんが悪いって?」
「そんなこと言ってねえじゃん」
「じゃあなによ。 嫌味?」
「ちがうよ」
昔からそうだった。
どこか不安定でそのくせ強がって嘘ばかりで周りに気を引きたいだけの、そんな彼女が、
欲しくて。
「ミユキの傷ついた顔が好きなだけ」
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.30 )
- 日時: 2011/06/30 21:50
- 名前: 朝倉疾風 (ID: HijqWNdI)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
ブログの絵描。にて、陽忍千尋の絵をUP
しました。
また鉛筆でチャラ落書きです。
この小説の主人公ですが、外見はシリアス
じゃないです。はい。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.31 )
- 日時: 2011/07/02 10:19
- 名前: 朝倉疾風 (ID: STEmBwbT)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
土日はミユキの家に出向いたこと以外、特になにもなかった。
ずっと家にいて、外になんか行かなかった。 暇と言えば暇だったけれど、ときどきミユキが癇癪を起して対決したくらい。
それ以外は本当に時間が余りすぎて、久しぶりに学校が恋しくなった。
「そういえば席替えしてたっけ。 隣だったよな、俺ら」
「外で話しかけないで。 ていうか、なんであんたと一緒に学校行かなきゃならないの。 わたし自転車で行く」
「バカ。 もう自転車じゃ間に合わねえって」
そんなやりとりがあって、いまミユキと駅のホームにいる。
朝なのにけっこう暑い。 昼くらいからまた温度が上がるらしいけれど、冗談じゃない。
暑さのせいか口数も少なく、ミユキなんかどこぞのヤンキーみたいに地べたに座りこんでいる。
おっさん座り。 ギリギリパンツは見えてない。
「あれれ……。 陽忍くん?」
この暑さのなか聞くと少々イラッとする声。
振り向くと、徳実さんがうちわで自分をあおぎながら立っていた。
「おはよう。 今日めちゃくちゃ暑いよね」
「本当にね」
「でも……ぜんぜん暑そうに見えないなあ」
暑いよねと同意見を求められたから肯定したのに。 いや、実際暑いけど。
そんな徳実さんが、俺のすぐ隣でペタリと座り込んでいる少女、ミユキに気づいた。 ミユキは興味なさそうにぼんやりと線路のほうを見ている。
「────彼女?」
「そうだよ」 「死んじゃえ」
下から否定と殺意のこもった声が聞こえたけど、無視。
「あれ、でもその子……あれだよね。 史人の彼女だった子……だよね」
「ふみと?」
「末長のこと。 わたし、あいつと小学校から同じなの」
末長って下の名前史人っていうのか。 知らなかった。
「俺とミユキもそうだよ。 もう10年の付き合いになる」
「幼なじみってわけね。 んーまあでも、わたしのはもういないしね」
末長の死を、はははと笑いながら語る幼なじみ。
強がっているのか、本当にただの昔話でしかないのかは、わからないけど。
「史人はさあ凄く優しいよ。 わたしにだけじゃなくて、みんなに優しい。 いじめられていた子がいたら助けるし、泣いていた子がいると慰めるし……。 なんだか、陽忍くんみたいだな」
「俺みたい?」
冗談だろ。
どこが似てんだよ。
「陽忍くんだって、孤立している子がいると放っとけないタイプじゃん。 んー……そう見えるよ。 みんなから頼られてる。 親しくされてる。 すごく史人とそっくりだよ」
踏切の音。 電車がもう来る。
ミユキがのっそりと立ち上がり、首をコキッと鳴らせて、はじめて徳実さんを見据える。
「ぜんぜん似てないから」
驚愕した徳実さんの顔。
2番線に電車がきて、ミユキがさっさと乗り込む。 想像していたよりあまり人は乗っていなかった。
抜け殻のように電車に乗り込んだ徳実さんとは、一度も視線を合せなかった。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.32 )
- 日時: 2011/07/02 18:49
- 名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: nx/9fFvO)
千尋君は美青年って感じのいけめそですな。
千尋君もミユキさんもお互いに対して徹底してますね……。
幼馴染が死んで、徳実さんはどんな気持ちなんでしょうかね。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.33 )
- 日時: 2011/07/02 23:46
- 名前: 朝倉疾風 (ID: STEmBwbT)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
徳実さんのキャラがいまだに掴めていないです。
自分が動かしているキャラって、自分がキャラに
なりきらないとだめなので、難しいです。
だから、末長くんが死んで徳実さんが何を思っているのか、
実はわたしが一番わかってません。 うひゃー。
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