ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 彼女が消えた理由。 完結 そして、
- 日時: 2011/08/31 01:40
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
キャラ説明
>>79
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.85 )
- 日時: 2011/07/21 08:35
- 名前: 朝倉疾風 (ID: /QbsIKZ4)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
第3章
『影濁り、闇現る』
「あの人」はいつも求めていた。
幼い頃に失った 「彼」 を。
僕にあるべき名前を捨てさせ、「彼」 として育てた。
やめろ。 僕は 「彼」 じゃない。
「あの人」 はどこか病んでいる。 普通じゃない。
ああだけど。
「あの人」 の血を継いでいる僕らも、化け物だ。
絶対に×××を見つけてやる。
見つけて、×××となった僕を愛しているのだと、
「あの人」 に言わせてやる。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.86 )
- 日時: 2011/07/21 10:59
- 名前: 朝倉疾風 (ID: /QbsIKZ4)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
翌日、9月に入ってまだ2日だというのに、実力テスト云々があるため、朝から憂鬱な気分だった。
テストのこともあるけど、五鈴が俺のベッドを占領したため、ソファで一夜を過ごしたのも、不機嫌の原因の一つだ。
テストでざわつく教室に入ってきて、その光景を見るまでは、そんな小さいことが不機嫌の理由だったんだけど。
「両親を事故で亡くすなんて……今までつらかったね、園松さん」
「つらい時もあったけど、今は楽しいよ」
俺の席に座って、ミユキに親しげに話しかける曳詰。
ミユキは、満面の笑顔で曳詰と話していた。
「お、陽忍クン。 悪いけど、席かりてるよ」
曳詰が俺に気づく。 ミユキは少しだけ鬱陶しそうな顔で俺を見た。
……まただ。
末長の時だって、こうだった。
「いや、いいよ。 でもテスト勉強したいから」
「リョーカイ。 見た目によらず真面目だねェ、陽忍クン」
自分の席に戻っていく曳詰を睨みつけ、鞄を乱暴に机上に置く。
「邪魔しないでよ」
ミユキの刺々しい声が聞こえた。
彼女はいつもの冷たい目で俺を一瞥する。
「今度のターゲットは曳詰なわけ。 また嘘の生い立ちを話したんだ」
「うるさい」
「どうせ、すぐにバレるよ。 俺らに何があったか、知らない奴より知ってる奴のほうが多いんだから」
噂でも陰口でも。
どうせ、曳詰にはミユキの本当の過去が伝わるに違いない。 教室であれだけ親しそうに話していたんだ。
クラスメイトの誰かがこっそりと告げ口してくれるだろう。
「ていうか、両親が事故死したってより、そっちのほうが同情してくれるんじゃねえの?」
「10年前のことを笑いながら語れるほど、わたしは無神経じゃない」
「その割には、男をたぶらかすのが上手いな」
いきなり、ミユキが俺の腹を蹴ってきた。
不意打ちで、しかもかなりの力だったため、そのまま倒れる。 隣の机に頭をぶつけた。 痛い。
「アンタなんか、大嫌い」
見下ろし、俺への感情を吐き捨てるミユキ。
パンツ見えるかなーとか考える暇もなく、腹にもう一回蹴りをいれられた。
あ、ヤバい。
ちょっと、ねえ。 ミユキ。 おまえさあ、あのさあ
「ヒロカに似てんだよ、チクショー」
吐き気をこらえて立ち上がり、ミユキの腕をつかんだ。
クラスメイトが見ている前で、ミユキの体を壁におしつける。
「センセー呼ぶけど」
「またおかしく言われるんじゃない。 10年前に狂った子どもだから、仕方ないって言われるにきまってる」
「そうかもな。 少なくとも、普通は幼なじみを足蹴りにしない」
手に力を込める。 この際、彼女の手首に痣ができてもいいと思った。
クラスメイトの数人が、教室から出て廊下を走っていく。 きっと、教師を呼びに行ったんだろう。
「家に帰る。 テストは受けない。 はやく手を放して」
「───わかったけど、もう暴れんなよ」
小学校と中学校のとき、ミユキの教室内での自殺未遂を思い出す。
警戒しながら手を解くと、ミユキは鞄を持って教室から出て行った。
クラスの奴らが、俺を遠慮気味に見てくる。
慣れている。
この好奇の視線にも、噂話にも。
慣れている。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.87 )
- 日時: 2011/07/21 13:41
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: COM.pgX6)
私の小説にコメントくださり有難う御座います。
一通りコメント書いたら(シリダクの小説に)本格的に執筆して直ぐに終らせる体です(黙れ
へぇ、そんなに考えているのですか? 私は、適当に被らないようにやってます。
まぁ、それと言うのもらしい日ばかりが誕生日なことなんて有りませんし……
千尋からしたら「このクソ作者が……」って所でしょうね(苦笑
最初から依存がキーワードだと……って言うか、気付かないで書いていてここまで突き詰められる物なの?
まだまだ、突き詰める余地は有るですが……近親相姦なんてのは、依存以外の何者でもないですしね。
あれ、吉川君生きてた!? アニメの録画なんたら言ってる時点でかなり、共感できたから嬉しいです!
兄上の言葉は、絶対適当ではないのだろうな……千尋に、兄上の此処、数年の行動の詳細など分るはずも無し……
そんな、普通な所が好きなんじゃないのか?などと思ってみたり……ミユキの事。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.88 )
- 日時: 2011/07/22 15:48
- 名前: 朝倉疾風 (ID: /QbsIKZ4)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
吉川くんはただ今病院で入院中です
なんとか生きてます。
彼は普通なので、普通な趣味を持つ、常人です。
気づきませんでした←
なんか……ああ、依存してるなって。
もう趣味の産物なので、申し訳ないです。
五鈴は10年間プラプラしてたと思います。
……というか、朝倉自身まだ五鈴が何をしていたのか
決めてないです……。
うわわ。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.89 )
- 日時: 2011/07/22 23:19
- 名前: 朝倉疾風 (ID: /QbsIKZ4)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
あの後、慌ててきた担任を軽くあしらい、無事テストを終えた。
正直、入院している吉川と、早退したミユキを除けば、俺はクラスで最低点を獲得するくらいの自信はある。
ナルシストだと言われたことはないんだ、あはは。 何が面白いのか分からないけど。
ついでに言うと、どうして曳詰サイが俺をストーカーしているのかも、分からない。
「────あのさあ、狙うんだったら可愛い女子高生でも狙えば」
「まあ、そう言うなよ千尋」
「なんで俺の名前を呼ぶんだ」
「そっちもサイって呼んでいいんだぜェ。 てか、なあアンタってミユキの幼なじみだったのなァ」
……次の口調は五鈴に似てるな。
「それが何。 どうせ10年前のことも聞いてるんだろ」
「ああ。 互いの親が浮気しあって、お前の母さんに殺されたってやつ?」
「────大まかには合ってるかな」
俺が自分の母親を殺したことは、公にはなっていないらしい。
何はともあれ、駅までの時間をコイツとのお喋りに使うつもりはない。 大人しく引き下がってくれればいいんだけど。
「なあ、いつまで着いて来る 「気にくわねェなァ」
肩を掴まれて、無理やり目を合わせられる。
「なんだ、その暗い目。 死んだみたいな……自分だけが世界の不幸をすべて背負いこみましたみたいな目……。 潰してェ」
薄い色素の目。
この目を見て、思い出した。
殺しをしている俺の母親と、同じ目。 本気の殺意を込めている目。
周りを見る。
くそ、人がいない。 いざとなったら目撃者がいるんだけど。
「そんなことは思ってないよ。 ……ただ、キミの目の奥はからっぽだなって」
「何を考えてるのか分からないってか? ああそうかも」
ひんやりと冷たい手を頬にあてて、にやりと笑う。
「キミの大切なあの子を寝取っちゃうかも」
軽くあしらい、再び歩きを進める。
べつにスルーしたつもりはない。 たとえ彼がミユキの体を奪っても、俺と彼女には、決して切れない縁があるのだから。
焦りはない。
「俺、キミに聞きたいことあるんだわ」
「────なにかな」
「昨日、吉川が心無い人に刺されたらしい。 ……心当たりはあるんだろ」
「ああ、ある。 その様子だと、キミも気づいてるらしいねェ」
だから腕を肩に回すな、鬱陶しい。 ただでさえ暑いのに。
「俺のかーわいい兄弟がやったんだろうな」
「見つかったのか? さっさと捜して言い聞かせろ。 メーワクだ」
「俺も捜してんだけど……全然見つからないわけ」
ゾクリと。
何かが背筋を駆け上がる感じがした。
「どこ行ってんだろうなァ。 ていうか、目立つはずなんだけど」
誰かが、こちらを見ている。
嫌な予感。
身震い。
曳詰がひっついているのに、冷や汗がでてくる。
視界の隅に、一人の人間が映った。
傷んだ髪は白く、短い。 真っ白な日傘に、白いゴスロリな服。
薄く化粧をしているが、男性とも女性ともとれる人間だった。
そいつが、俺を見て笑う。
「サイにも友だちがいたなんて……わたしは知らなかったな」
不気味だった。
あまりにも、不気味だった。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46