ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 彼女が消えた理由。 完結 そして、
- 日時: 2011/08/31 01:40
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
キャラ説明
>>79
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- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.44 )
- 日時: 2011/07/04 17:32
- 名前: 朝倉疾風 (ID: STEmBwbT)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
「男女の三角関係ってややこしいよな」
「────何を言ってらっしゃるの?」
おまえこそなんだその喋り方は。
学校も見事にサボった俺に、提出日が明日までの課題を良心で届けてくれた吉川は、俺の家にいるミユキを見て驚愕していらっしゃる。
「説明! 説明を求めるぞ俺は!」
「幼なじみだって言ったろ」
「ああ言ったさ。 言ったけど、そーゆー仲だとは言ってねえぞ!」
「訳あって一週間同棲してた。 だけど今日で終わり。 ミユキは家に帰る」
最低限の説明をしたら、うぬぬと唸ってひとまず暴れるのをやめてくれた。
ミユキは変な顔で吉川を見ている。
「爛れた関係ではないんだな」 「ありえねえよ」 「ならいいけど。 俺、園松の課題持ってきてねえよ?」
ミユキがやるわけないだろ。
「ああそれはいい。 ていうか俺も課題やんねえから」
「ええっ。 やれよ〜なんのために俺が持ってきてやったと思うよ〜」
「おおかたアレだろ? 俺が陽忍クン家にもっていきますって、優等生ぶったんだろ」
「なっ! ひでえよ陽忍〜」
なんか、小動物を棒でつついている時と同じ感覚がする。
面白いな、やっぱり。 吉川といると。
「はいじゃあお前も帰れ。 アレだろ? お前もどうせ課題やってねえんだろ」
「うるせえ。 次メロンパン奢れよ。 お前と松園が休んでて、めちゃ席さみしかったんだからな「
「はいはい」
メロンパンを連呼させながら、吉川が階段を下りていく。 その姿が見えなくなってから、中に戻った。
「意外だった」 「なにが」 「あんた、普通に笑ってたから」
俺の課題をじっと見ながら、ミユキが言う。
「いつも笑ってるけど、あんなの嘘でしょ」
「吉川とは気を使わないんだ」
「わたしは、あの人好きだけど、吉川クンは恋人より、友だちを優先させそうだから、いや」
課題を床に放り投げて、ミユキがソファに座りなおす。 そういえば、髪が長すぎやしないか。 暑がりなのもそのせいか。 また美容院に連れて行こう。
「末長は、友だちより恋人を優先させてたか」
「うん。 わたしが嘘の生い立ちを言ったら、ものすごく心配してくれた。 嬉しかった」
そうやって人の良心につけこんで、同情を煽って、甘やかされるのが好きなのか。
手がかかることこの上ない。
「蓮奈さん先に帰ったよ」
「知ってる」
「俺は、夕方頃出かけるけど」
「…………………」
ミユキには全部話した。
俺がこれからやることと、その理由を。
「10年経っても、やっぱり立ちきれないね」
むなしそうに言う彼女の横顔を見て、それが尋花に見えた。
似ている。
本当に、似ている。
「わたし、先に帰ってる。 ていうか、いまから帰る。 遅くなったら叔母さん、心配するし」
「────それがいいよ」
これが最後かも知れない。
過去に囚われた殺人犯と、未来に縛られている殺人犯と、
現在に依存している、彼女。
「バイバイ、チヒロ」
その言い方があまりにも尋花に似ていたから、
おもわず、
抱きしめてしまいそうになった。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.45 )
- 日時: 2011/07/05 18:28
- 名前: 朝倉疾風 (ID: STEmBwbT)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
△彼女の理由
彼を殺すことに何の躊躇いもなかった。
何かを考えること自体、できなかった。 あんなに怒った彼を見たのは、初めてだったから。
気づけば花瓶で頭をかち割ってた。 その指紋をハンカチで拭いていた。
あんなに大好きだったはずなのに、彼を殺しても涙一つ出なかった。
なんだろうこれは。 この、清々しいとすら思える気持ちは。
良い思い出もそれなりにあったけど、嫌な気持ちにされることもあった。
いつのまにか大好きだった彼を、苦手とするようになった。
だけど、彼なんかよりも、もっと嫌いだったのは、彼にできた恋人だった。
あいつは大嘘つきだ。
嘘の生い立ちを彼に話して、同情をしてもらっていた。 彼の優しさをあいつは利用していた。
どうしてやろうか、あの女。
塾帰りにこんなこと考えるのもアレだけど、本当に毎日これしか考えていない気がする。
責めぬいて殺してやろうか。
それとも…………彼女のトラウマとなっている10年前のことを、本人に言ってやろうか。
「ヘーイそこのお嬢さん。 俺とお茶しない?」
────は?
振り返る前に、肩に手をおかれる。 一瞬体が強張ったけど、顔を見て安心した。
「陽忍くん…………」
「けっこう古かったかな。 いきなり声をかけて驚かれないように、あえてお茶目な感じでやってみたんだけど」
「────普通に名前呼ばれるほうがよかったかもね」
陽忍くん。
クラスは違うけど、みんなが格好いいと噂しているから、昔から名前くらいは知っていた。
最近、よく喋る。
「塾の帰り……かな。 制服だから」
「そうだけど、陽忍くんは何してるの」
確か陽忍くんの家とは逆方向だったよね、こっち。
なのに徒歩でふらついて。
「俺? 俺はねえ、殺人犯と逢引きしてんの」
あ、れ。 知ってたの。
「────驚かないんだ」
「どうしてそう思うのかな」
「否定でも肯定でもなく、疑問ときたか。 もう少しヒステリックになるのかと思ってたよ」
陽忍くんが、少しだけ笑う。
いつもの嘘笑いじゃなく、本当の微笑みだと思った。
「じゃあ、うん。 話そうか。 徳実柚木の嘘物語を」
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.46 )
- 日時: 2011/07/05 20:29
- 名前: 夜兎_〆 ◆8x8z91r9YM (ID: 4CT2wXi/)
はあああ。最近全然パソコンが出来なくて小説書いたり読んだり出来なかったああ。
はあ。何度読んでも文章の合間合間に覗く狂った雰囲気が良さ過ぎる。西尾維新とか入間人間の文体を参考にして僕も書いてるけど、これの足元に及ばない悲しさ。
当然のよう狂って狂っているのが普通のような文章。
欲しいです。
そして物語の進行もスムーズで飽きない……物語の展開法……欲しいです。
参考にしてますwすいません。
更新の速度が速くて凄いな、と思いました。僕は一週間に三回くらいしか更新できなかったのでww
では、続き楽しみにしてます。嘘物語ktkr
この暑い季節、僕は冷房ガンガンですが、朝倉sも体調が崩れぬようにお気を付けて下さいねっ。
では
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.47 )
- 日時: 2011/07/06 00:54
- 名前: 紅蓮の流星 ◆vcRbhehpKE (ID: nx/9fFvO)
よ…予想外の展開っ……。
あれ、徳実さんが犯人だったんですか。全然予想してなかった。
ああもう、飽きさせないなあ。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.48 )
- 日時: 2011/07/06 06:12
- 名前: 華京 ◆wh4261y8c6 (ID: ThA8vNRQ)
テスト終わって久しぶりに読みに来たら凄い進んでて驚きました。
ゆっくり読ませていただこうと思います。
更新速度の速さとか速いけれど落ちない文章力とか凄すぎるだろ、とか言ってパソコンの前で小説読んで騒いでから一人項垂れております華京です。
これからも更新頑張ってください。
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