ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 彼女が消えた理由。 完結 そして、
- 日時: 2011/08/31 01:40
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
キャラ説明
>>79
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- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.110 )
- 日時: 2011/08/01 14:01
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
ヤス、サイは正真正銘ヤシロの子どもです。
ヤシロは男性なので、奥さんがいます。
結婚はしてません。 ヤシロは、そういうの無理そうです。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.111 )
- 日時: 2011/08/01 15:55
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
△彼らの理由
曳詰兄弟と、その母親に会ったのは1年前だった。
興味のあったヴィジュアルバンドを見ていたら、視界の端に居る少年たちのことのほうが気になってしまった。
ふたりとも白い髪で、熱狂しているファンの中、不自然にボケーとしていた。 他のファンに負けないゴシックな服。
兄弟だろうか。
小さいほうは、前髪が長く、顔の左側を包帯で巻いていた。
「五鈴、次の曲始まる前にトイレ行っとくか」
「連れションは趣味じゃ無ぇ。 行って来い」
ひとりになって、暇になったから。
気づけば、その少年たちのほうへ足が進んでいた。
「なあ、あんま楽しそうじゃねぇけどつまらんか?」
「音がうるさいと思う」
見ず知らずの男に話しかけられても、臆することもなく返事をしてくれた。
まだガキだからか、素直な感想をぶつけてくる。 包帯を巻いている奴は、全然こちらを見ない。
「その包帯……怪我? ファッション? んーでもヘンだよそれ。 包帯の巻き方」
直してやろうと、手を伸ばす。 その手をすごい力で掴まれて、ぐいぐい引っ張られる。 ライブハウスの外まで来ると、いきなり、
んー?
ん、いきなり、ん。
刺された。
「ちょ……ッ、はあぁ!? な、なに……いっでえええええ!」
肩から血が。 っていうか、何これ。
包帯を巻いていないほうの目が俺を睨んでいた。 えーなにこれ。 死ぬの? 死ぬのか?
死ぬのか?
「気づいた? 血の割には傷は浅かったから大丈夫よ」
目をあけると、見覚えのない天井と見覚えのない女が見えた。
上半身を裸にされて、包帯を巻かれていた俺は、上半身を起こす。
痛みはあったけど、それよりも状況を判断するべきだと思った。 刺されたはずなのに。 ここはどこだ。
「えっと……どうも。 あの……あの子たちは……」
「サイとヤスのこと? ふたりでお風呂に入ってるから。 ここ、ホテルの中ね。 びっくりしたわ。 サイが慌てて電話してきたから」
サイとヤス……。 あいつらのことか。
「こんなこと言うのアレなんだけど……警察に言わないでほしいの。 あの子らのこと。 刺し傷まで作らせといてなんだけど」
「ああ……もういいっすよ。 手当までしてくれたし」
この女、あいつらの母親だろうか。 目元がよく似ている。
ただ、雰囲気がまったく違った。
「あの子らの父親がかなり……変人だから、ああなったのかも。 わたしも協力してるんだけどね」
憂いげな眼差しを向けてくるその女を、多少は美人だなーと思ったり。
「あなた、もしよかったらあの子らの友だちになってあげて」
「は? ていうか、年離れてるしい……。 何歳っすか」
「サイが16歳。 ヤスは15歳よ」
「俺26なんすけど」
快活に笑ったその女と、サイとヤスというふたりはあまりに似ていて。
だけど、あまりに違っていた所があった。
グズグズの、どろどろ。 負の感情が溢れている、そんな、気色悪い彼らの目。
曳詰兄弟に興味も持ったのは、母親と子どもらの目の違いだったと思う。
だから、彼らが父親にどのように虐げられているのかを見て、同情してしまったのかもしれない。
守りたいと、思ったのも事実だ。
──五鈴、あのさあ。 頼みたいことがあるんだよねェ。
不安定な彼らを、俺が、支えてやりやかった。
あんな外道な父親の手ではなく、俺が。 「友だち」 として。
──父さんが求めてる、ノリトって奴を捜したいんだ。
──もしさ、そいつが父さんに会ってくれたら、俺たちが父さんの
子どもだってわかるだろ。
──そしたら……俺たちのこと……ノリトじゃなくて、俺とヤスの
ことを……好きだと言ってくれるかなぁ……。
俺の所まできて、泣きながら、サイは懇願した。
ノリトを捜してほしいと。
そして、父親の目を覚ましてほしいのだと。
俺は、その願いを了承した。
ただ、それは。
ノリトを見つけて父親の目を覚ますことが目的ではなく。
もう、兄弟が望んでいるような父親は返ってこないのだと、彼らに分からせるためであった。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.112 )
- 日時: 2011/08/01 16:01
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
第5章
『もしも、その嘘が虚偽だとしたら』
どうして俺らを産んだのか、お母さんにきいてみた。
お父さんはノリトに夢中で、そんな人の子どもを産んだって、
お母さんは悲しくなかったのかって。
「わたしがノリトになろうとしたのよ」
お母さんは笑ってこう言ったけど、すぐにまた悲しい顔をした。
「でも、ダメだった。 あの人はけっきょく、そのノリトって人だけが
好きだったのね」
なら、お母さんは?
お母さんはお父さんのことが好きなの?
そう言うと、お母さんは恥ずかしそうに笑った。
けっきょく、お母さんがお父さんのことをどう思っているのかは、聞けなかった。
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.113 )
- 日時: 2011/08/01 16:19
- 名前: 朝倉疾風 (ID: 0nxNeEFs)
- 参照: http://lyze.jp/ix3x/
もうすぐで10月だ。
秋といえば、みたいな感じで小学生のとき、自分にとっての秋を紙に書かされた記憶がある。
俺、なんて書いたっけ。 ……昼寝の秋って書いた覚えがある。
「着替えがもうないの」
真っ白な病室。 薬の匂いが少しキツい中、園松ミユキはしれっと俺に言い放った。
「わたしの家からとってきて」
「そういう事は蓮奈さんに言えよ。 なんでお見舞いに来た時に言わなかったんだ」
「忘れてた」
忘れたって言えば何でも許してもらえると思うなよ。
「俺がお前の家行ったら、絶対に部屋とか探索する」
「────変態じゃないの」
「仕方ねェだろ、好きな女の部屋なんだから」
真面目に引かないでほしい。 こっちが苦しくなる。
でも、俺なら服とか持ってくる最中に下着盗みそう。 ……ああ、冗談です。 冗談だと言っておきます。
「あいつ、生きてるの?」 「誰のことだよ」 「名前知らない。 頭のおかしい奴」
曳詰ヤスのことだろうか。
「左の顔がケロイド化してるやつ?」
「そう」
「あいつは退院して、今は精神科行ってるけど」
あのとき。
白伏公園で対峙していたミユキとヤスを、間一髪の所で止めた。
ヤスの鳩尾を思いっきり殴り、気絶させたのは我ながら正当防衛だと思う。 ミユキも刺されていたし。
その傷が思ったより深かったため、ミユキただいま入院中。
まあ今回はミユキはけっこう蚊帳の外だったよな。
彼女からしてみれば、クラスメイトにジュースあげてたらその妹に誤解されて刺されたっていう。 いわば被害者なんだから。
「せーしんか……。 ふうん。 頭のおかしい奴が行く所ね」
「まあ、ねえ」
「あんたは行かなくていいの?」
挑発的なミユキの口調。
俺が攻めると恐怖で歪んだ顔になるくせに、こういう時は本当に女王様顔だ。
「行かなくていいんだよ」
「────曳詰くんの目と、アンタの目、似てるから。 行くのかと思った」
嫌味な女だな。
俺をあんなのと一緒にしないでほしい。
「なあミユキ。 捜しても見つからない人間が居たとしたら、おまえはどうする?」
曳詰サイから聞いた、今回のオチ。
けっきょくノリトという奴は数十年前に死んでいて。 彼らが望んでいた結末にはならなかったというわけだ。
しかも、
そのノリトが死んだ理由に少なからずあいつの父親が関係していたらしい。
どんなバイオレンスな状況だったんだよ。
「もう捜さない」
俺の質問にたっぷり数十秒は考えて、ミユキは答える。
「そんなに捜しても見つからないなら、もういいやってなる」
「そっか」
もういいや、か。
「だけど」
ミユキは少しだけ楽しそうに、口角を上げて、
「わたしが隠れている人なら、ずっとずっと捜してほしいと思うけれどね」
- Re: 彼女が消えた理由。 ( No.114 )
- 日時: 2011/08/01 21:04
- 名前: 黎 ◆YiJgnW8YCc (ID: WbbkKfUP)
はじめまして、黎と言う者です。
前々から朝倉疾風様のお名前は耳にした事があったので、足を運ばせていただきました。
スクロールバーが下がらなくなるまで、読み始めから最後まで物語に引き込まれました。
本当凄いです……こんな話が書けるようになりたいと思いました。
それに加え、絵も上手いとは……憧れますね!!
執筆頑張って下さい。
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