二次創作小説(紙ほか)
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- ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産
- 日時: 2015/07/13 03:02
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
”読者の皆様へ”
はい、どうも読者の皆様、自分はタクと申します。どこかで、見かけた事があるかもしれませんね。二次で、ポケモンとか、デュエマの小説を書いていました。
今作は、ポケットモンスターXYのストーリーをモデルとしたものです。
また、オリジナル要素が多々あります。そして、今作から後書きを付けることにしました。まあ、書く事がないときは、何も書いてないかもしれませんけど。応援、よろしくお願いします!
ポケモン第六世代を最初に飾るゲームソフト、XYのノベライズ化!! 最後まで是非、ご覧あれ!!
登場人物紹介>>12
プロローグ
>>01
アサメタウン編
>>09 >>10 >>11
ハクダンシティ編
>>21 >>22 >>23 >>40 >>41 >>42 >>45 >>47
ミアレシティ編
>>50 >>51 >>52 >>53 >>56 >>57 >>61
コボクタウン・パルファム宮殿編
>>62 >>68 >>69 >>71 >>76 >>77 >>79 >>80
コウジンタウン編
>>83 >>86 >>87 >>90 >>95 >>96 >>99 >>102 >>103 >>104 >>110 >>111 >>112 >>113
ショウヨウシティ編
>>114 >>115 >>119 >>120 >>121 >>124 >>125 >>126
シャラシティ編
>>127 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147 >>149 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>158 >>161
ヒヨクシティ編
>>164 >>165 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>173 >>174 >>175 >>176 >>179 >>182 >>183 >>184
ミアレシティ編2
>>185
ss・短編置き場
1.木登り騒動 >>148
飽き性な作者ですが、応援よろしくお願いします。また、読者の皆様の意見を聞きたいので、コメントには感想を添えてくださると幸いです。
- 第八十五話:風来の影探偵 ( No.183 )
- 日時: 2015/01/20 23:01
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
「やだ、ブラックさんが------------!!」
セレナの顔が恐怖で真っ青になる。がくり、とその場に崩れ落ちた。
カルムも奈落を覗き込もうとするがクリスティに「やめろ!」と肩を引っ張られた。
「でも、ブラックさんが!!」
「あいつはあの程度で死ぬタマじゃない、それよりも-------------!!」
とクリスティが言葉を綴ろうとするが
「う し ろ」
その前にぞくり、と2人は背筋が泡立った。振り向けば、クロームがメガフーディンと共に凍りつくような視線を向けながら浮いていたからだ。
ふーディンの指先が”光った”。
そして、次の瞬間に”何か”がカルムの頬を掠める。
肉がぱっくり、と割れてそこから血が垂れてきた。
余りの一瞬の出来事に痛みを感じなかった程だった。
「離れろ、カルム!!」
テイルの声で痛みと共に我に返った彼は、咄嗟に彼女から距離を置いた。
次の瞬間にテイルのシビルドンがフーディンの背後を取って電撃を纏った全身で体当たりを仕掛ける。
ワイルドボルト。
メガフーディンの超能力は驚異的だ。
しかし、超能力に全てを頼った反動で肉体は衰えているといえる。
テイルのシビルドンの筋力は鍛え上げられており、そこらの個体とは比べ物にならない。
つまり、電撃を纏ったそれをぶつければいくらメガシンカポケモンといえども、フーディンならば倒せる可能性があるのだ。
あるのだ、が--------------
「金縛り」
冷たい彼女の台詞と共に、シビルドンの体が一瞬で止まった。
電撃は止まる。
フーディンの体には紫電一閃触れられていない。
馬鹿な、今の速度に反応したというのか、とテイルは冷や汗を垂らして喉から搾るように「くっ」と呻いた。
「特性:悪戯心をトレースした。もう、並みのポケモンではフーディンに対処は出来ない」
カルムは疑問を抱いた。
本当に、彼女は七炎魔将序列六位なのだろうか。
正直、此処までの戦いぶりを見ればバーミリオンやカーマインを凌ぐほど、にも見える。
「何で、彼女ほどの実力者が下級という座に甘んじているんだ……!?」
「大方、臭いものに蓋をした、といったところか」
クリスティが突然進み出て言った。
「彼女も能力者、なのだろう」
その力の全貌が明かされていない以上、『絶望の使徒』には及ぶかどうかは分からんが、と彼は加える。
大方、先ほどセルリアンが言っていた「欠陥品」もそのことだろうか。
「これは僕の推理だが、彼女の能力が強くとも何か欠陥のあるものだったとすれば、『絶望の使徒』などという大層な役には就かせられないような欠陥があったとすれば、だ。フレア団は仮にも一度、組織の内部に就かせた人間を外に出すことも出来んから、今の位置に甘んじさせているのだろう」
「その能力って----------!!」
「僕の推理によれば、だが」
まず、1つ目は先ほどの既存のものとは異なる新たな”技”。
そこから-----------
「技を新たに作り出すことが出来る、能力か。つまり、ポケモンの力を120%以上引き出せる能力ということだ」
次に2つ目。フーディンの力を借りずにセルリアンを吹っ飛ばしたこと。
「もう1つは、普通に超能力、といったところか」
というのが彼の推理だった。
しかし、所詮は憶測の域を過ぎない。
「さて、落ちたブラックだが、あいつの心配は後だ」
「で、でもあの高さから落ちたら死----------」
「後だ!!」
クリスティは声を荒げる。その鬼気迫る態度にカルムは思わず口ごもってしまった。
そして、クリスティはまだ投げていないボールに手を掛けた。
中から現れたのは-----------
「頼むぞ、エンブオー!!」
丸っこい体躯の大柄な二足歩行の豚のポケモンだった。エンブオーと呼ばれたそのポケモンは図鑑では認識できなかった。
ただし、容貌は少なくとも、頭脳派の彼にはミスマッチに見えたが。
「こいつはイッシュ地方の格闘タイプのポケモンだ。1つ、奴の動きを観察したが確実にフーディンを倒す方法を見つけた。ジュペッタとエンブオーの2匹掛かりでな」
「か、格闘ォ!?」
今度は驚きを通り越して呆れる。エスパーポケモンに対して悪ポケモンを出すという発想は無いのか、この人は。
「た、タイプ相性分かってるんですかあんたはぁ!?」
「分かっている。だからこそ、奴を此処で倒せる自身がある」
「いや、格闘タイプはエスパータイプに弱いですよね!?」
「とにかく、だ」
クリスティはまず「セレナを下げておけ、精神的に疲労しているだろう」とテイルに指示を出した。
次にカルムに「ここから先、絶対に声を出すなよ」ときつく言った。
最後に------------
「こちらから仕掛けさせて貰う。エンブオー、フレアドライブ!!」
唐突に攻撃を開始した。
大火豚は火炎を纏ってメガフーディンに突撃する。
ただし、どすん、どすん、とのろのろと走りながら。
思わずカルムは「遅っ!?」と声に出してしまいそうになった。
当然のように金縛りが襲い掛かってエンブオーの体はそこで硬直してしまった。もう、動けないだろう。
「馬鹿馬鹿しい。こんな遊びいつまでもやってられな-----------」
がしり、とフーディンの細身の胴に実体の無い影の手が掴まれた。
足元を見ればフーディンの影から伸びている。
「忘れたのか? 僕がジュペッタも出していたことを」
シャドーダイブだろう。エンブオーを囮にジュペッタを影にもぐりこませたのだ。
くっ、とクロームは苛立ち気に呻くと「サイコキネシス」とフーディンに指示を出す。
エンブオーの金縛りは解けてしまうが、ジュペッタを倒した後に鈍足のエンブオーも片付けてしまえば良い事だ。
あの程度のフレアドライブ、避けようと思えば避けられる。「くっ、し、しまった!」とクリスティの声もする。
策を破られて悔しがっているのだろう、と彼女は呆れた。
とっとと倒し-------------
轟!!
と熱風と共に、拳がフーディンの体に迫った
さっきまでのろのろと移動していたエンブオーの拳だ。
それも、鈍足のエンブオーにしては有り得ない程の速さだった。
「さぞ僕が本気で悔しがっている----------と思っていたのか?」
クリスティの顔は不敵に、そして無敵に笑っていた。
「これでも昔は”風来の影探偵”として、ぶらぶらしながら通りかかった事件を解決し、イッシュの各地を回ったものだ。そこで養った洞察力、思考力は僕の最大の武器だ」
彼は続けた。
「”あいつ”に出会ってから僕は確固たる”目的”を見つけた。そして、ライ……いやブラックとも出会って沢山の思い出が出来た。そして、応用力という最大の武器を身につけることに成功した」
クリスティは最後に訴えるように叫んだ。
「僕が変えるんだ、お前らによる破滅の未来を!」
エンブオーの拳、動きは普通からは考えられないくらい速く、フーディンにぶつかるのは秒読みだ。
「”ふいうち”だ。お前のサイコキネシス、利用させて貰ったぞ」
--------そうか、ふいうちは悪タイプの技で、さらに相手が攻撃したときのみ限定だけど、先制技! フーディンが先に攻撃した場合は、フーディンよりもさらに先に動けるんだ!
そのために、ジュペッタを餌にフーディンを攻撃させたのだ。
カルムはクリスティの発想に思わず舌を巻く。
が、しかし。
「この程度----------!!」
ひゅん、とフーディンの姿が消える。
テレポートですぐ上空まで移動したのだ。
失敗だ。
ふいうちは不発に終わってしまう。
だが、クリスティは相変わらずの笑みを浮かべ、叫んだ。
「まだ分からないのか。フーディンの足元の影に潜っていたジュペッタは既に移動した!! そして、この技はガード不可能! さあ、耐えられるかな?」
次の瞬間、ジュペッタの体がフーディンの背後から現れる。
フーディンの体の表面に照明の光が当たっていない部分、つまり背中の影から現れたのだ。
完全なる死角。エンブオーのふいうちを避けるのに精一杯だったのだ。
反応など、出来なかった。
「ゴーストダイブッ!!」
ジュペッタの影の爪が、フーディンの背中を---------------切り裂いた。
- 第八十六話:奪還 ( No.184 )
- 日時: 2015/01/24 14:29
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
フーディンの背中はばっさりと3本のラインに切り裂かれており、鮮血が吹き出た。
「じ、自己再生!!」
クロームが指示を出す。ふらふらのフーディンはギリギリのところで持ちこたえ、そのまま自身の体を再生させ、傷を一瞬で治してしまう。
「そのまま、サイコ爆弾(ボム)!!」
切羽詰った様子で叫んだ彼女だったが、そのときだった。今度は奈落のそこから「うおおおおあああああ、俺を舐めんなぁぁぁぁぁ!!!」という咆哮と共に大の字の炎が迫る。
------------それは、フライゴンのナックに乗ったブラックだった。
今度は大の字の炎がフーディンの体を焼き尽くす。
一撃だった。
力尽き果て、ぐらり、と今まで空中でとっていた座禅のポーズが崩れる。
そのまま力なく、ぐったりと金網のフロアへ落下していき、ごしゃあっ、と凄い音を立てて倒れたのが分かった。
「あ、が……」
その時。フーディンが倒れたのとほぼ同時にクロームの様子が急変する。
ふらふら、と揺れるように動いた彼女はばったり、と音を立てて文字通り倒れてしまった。
ローブが脱げて、緑色の髪が露になる。
「お、おーほっほっほっ!」
次の瞬間、セルリアンの高笑いが聞こえた。側頭部から血が溢れてはいたが、ふらふらと何とか立ち上がっていた。
「この発電所をフレア団のものにすることには失敗しましたわ。ですが----------”アレ”を動かすだけの電気は送り込めましたわ。作戦は一応は成功ですわ!!」
総員、撤収! という声と共に、下っ端たちが一斉にボールを投げた。
そこから現れたのは蝙蝠ポケモンのゴルバット。そこから、一気に発電所のドーム状になっている天井付近にあるエリアへ飛んでいく。
セルリアン自身もボールを投げて、中から現れたポケモンの脚に掴まる。
オニトンボポケモン、メガヤンマ。
赤いレンズのような複眼を持ち、凶悪な外見をしたトンボの虫ポケモンだった。
去り際に空気の刃、エアスラッシュを放つと、そこから衝撃波が巻き起こり、怯んだカルム達は追跡することもままならなかった。
また、空中にいたジュペッタとブラックが乗ったフライゴンが行方を阻むが、今度はゴルバット軍団の怪しい光が炸裂。
混乱してぐらぐらと空中を彷徨うナックはそのまま、カルム達がいるフロアへブラックの「うおおおああああ」という今度は恐怖の咆哮と共に墜落。
まあ、あの奈落にもう一回落ちなかっただけまだマシだったが。
そしてジュペッタの方も混乱して動きがままならなくなったが、こっちはクリスティがすぐに引っ込めたので無事だった。
***
「だから言っただろう、カルム。こいつは今まで何度も修羅場を潜り抜けてきたんだ、撃たれても火の中から蘇ってくるぞ」
「無茶言うな」
改めて、この2人の実力の高さをカルムは思い知った。
ブラックとクリスティ。
彼らはただのトレーナーではない。特に、ブラックは先ほどの状況から自分が木っ端微塵になる前にフライゴンを出し、上昇してきたのだろう。
それも、クリスティがフーディンを追い詰めるあの瞬間まで待っていたというのだ。
「さーて、全く懲りねえなお前らも。カルムにセレナに、テイル。お前ら3人はフレア団から相当マークされてるんだぜ?」
「い、いやそうだけども」
「一応、連中も計画があるみたいでな、それが忙しくてお前らを直接襲いには来ない。今のところは、な」
クリスティが溜息混じりに言った。心労だろうか。
「でも冷や冷やしましたよ! ブラックさん、あそこで落ちちゃうから!」
ようやく顔色の戻ったセレナも言う。
「さて」
とテイルがぶっ倒れて未だ目を覚ます様子の無いクロームを担いで言った。
「こいつをどうするか、だな」
「いよいよ犯罪者に見えてきましたけど」
「黙れバカルム。仮にも七炎魔将6位だ。どっかに放り込んでおくのが一番だろう」
「いや、普通に警察に引き渡せよ」
彼女のボールでフーディンをボールに戻し、テイルは続けた。
「ちなみに俺は今、やましいことは何一つ考えていねぇからな?」
「まだ何も言ってませんけど」
「監禁・緊縛プレイとかそういう趣味は持ち合わせていねぇからな?」
「自分から誤解される方向に進んでないか、アンタ」
「ともかく、メインコンピュータのロックとかをこれで解除っ、と」
冷や汗たらたらのテイルが自分のノートパソコンを繋げてフレア団のシステムを全て解除し、発電所のぶっとい芯に電気が再び流れ出る。流石、技術者の卵と言ったところか。
ついでに変体の疑惑がかかったのも言うまでも無い。
彼の名誉のために言うと、疑惑は間違いなく誤解だ。多分。
ともかく、これで、再びカロス中に電気が行き届く。
こうして、発電所の騒動は無事、収まったのだった----------------
***
「次は何にせよ、ミアレシティだな」
駆けつけた警察にクロームの身柄を引き渡した後、発電所の前でテイルは言った。
セレナが「そういえば」と挟んだ。
「ミアレの停電が無くなったってことは、プリズムタワーにも行けるようになったってことですよね!」
「そうだ。ジムにも行けるようになったのか」
カルムが相槌をうつ。丁度いい。そこで5つ目のジムに挑めるというものだ。
「じゃあ、早速ジムに挑みに行ってきますね!」
「おいおい、もう行く気かよ……」
「ま、道中気をつけろよー、とりま俺も後で行くからよー」
テイルが後ろから呼びかけた。
セレナの背を追い、カルムもまたミアレシティへと駆けていく。
砂漠の荒野の中、彼はふと呟いた。
「そういえば、ブラックさん達いつの間にか居なくなってるけど」
「ま、またどっかで会えるんじゃないか? フレア団の脅威が消えた訳じゃないけど、まずはミアレシティに行こう」
そう、言葉を交わしながら、2人はローラースケートで荒野を走り抜ける。
しばらくしただろうか。目の前にミアレシティに続くと思われるゲートが見えた。
「ポケモン……花のポケモン……永遠の命を与えられた、花のポケモン------------」
カルムは突然、自分の周りの時が止まったようだった。
振り返れば、身の丈は3メートルもあろうかという大男とすれ違ったのが分かった。
------------永遠の、命? 花の、ポケモン?
そう思考する前に、彼の姿は視界から砂で隠れてしまう。
「うっそ!? 何でいきなり風向きが変わるのよ! 服が砂だらけ!」
セレナの声など意にも介さず、カルムは消える人影を振り向きながら見つめるだけだった--------------
後書き:やばいよ。合作もあんのに、自分の作品の方が筆が進むってどゆこと。とりあえず、後で向こうのほうにも顔を出したいのですが、ぶっちゃけ持つか分かりません。体力が。でもこの作品も下げ続けているのもアレだと思ったんです、すいませんでした。そんなこんなでカロス発電所編、というかヒヨクシティ編終了です。やっと一段落ついたってところです。ストーリー的にはまだ半分も行っていない予感。
次回からはまたミアレシティ編……ですが、問題は章の名前どうするって話なんですね。だってもう、ミアレシティ編やってるし。被るし。どうしよう。
というわけで、のろのろ更新ですが、アニメよりも展開を早くしていきたいところです。当初はアニメに追いつく、が目標でしたからね。
合作のほうも顔見せないとな……。
それでは、また。
- 第八十七話:電脳世界に巣食う魔物 ( No.185 )
- 日時: 2015/02/07 22:47
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
「---------------!!」
ミアレシティ、プリズムタワー管制室。臨時電源のみで動いていた部屋だが、いきなり主要電源に切り替わったのを見て、金髪碧眼の少年は腰を抜かした。
「停電が、収まった!?」
先ほどまでウンとも言わなかった主要電源がいきなり生き返ったので、驚きを隠せないのだ。
思わず、立ち上がり「いやったぁぁぁーっ!!」と歓声を上げるが、突然視界がぐらりと揺れる。そのまま彼はバランスを崩して椅子ごと床に倒れこんでしまった。
傍で丸くなっていたルクシオが、その音で目を覚まし主人の下に駆け寄った。
「ルク、ルク」
「……ああ、ごめんルクシオ。君にはいっつも心配かけてばっかりだね、あははは」
ルクシオは呆れたような、心配するようなそんな表情で彼の顔を覗き込む。
見るからに眠たそうだった。
「ふぁあ〜あ、最近完徹ばっかしてたからなぁ、おやすみ……」
うとうと、と視界が歪んでくる。床に寝転がったまま、
少年はそのまま意識がまどろみ、ネバーランドに旅立って-----------
「シトロン兄ちゃん、3日前から部屋から出てないけど大丈-----------ちょっとお兄ちゃん! 何で真昼間から、こんなところで寝てんのよ!!」
---------しまうということはなかった。突然響いてきた少女、それも妹の声によって。
彼女もまた金髪碧眼だが、少年よりも遥かに幼い。まだ6,7歳ほどだろうか。
シトロン兄ちゃんと呼ばれた少年は目をこすり、妹の姿を目に留めると、情けない声で言った。
「うええ、ちょっとは寝かせてよ……」
「せめて仮眠室で寝てよ、もーう!! お兄ちゃんはいっつもいっつもだらしないんだからっ!」
「だらしなっ……そ、そんなぁ、もうふらふらなのにぃ」
「ルクシオ、放電」
バリバリッ、と電撃が迸った。彼は「ぎゃひぃぃぃっ!!」と悲鳴を上げて起き上がった。
「ユリーカぁぁぁーっ! 何てことするんだよぉぉぉ! それにルクシオも!! 何で僕に電気を浴びせるのさぁぁぁ!」
「ルク」
ぷいっ、とルクシオはそっぽを向いてしまった。
ユリーカ、と呼ばれた妹は怒ったように言った。
「ルクシオだって、お兄ちゃんに遊んで貰ってないから怒ってるんだよね、あたしもだよ」
「ルク、ルク」
「そ、そんなぁ、僕だってやることはいっぱいあるのにぃ」
「ほら、そんなに眠いなら仮眠室に!」
そのまま言い返すこともままならず、仮眠室までシトロンはユリーカとルクシオに引っ張られていったのだった。
「うあああー、痛いー、引きずらないでぇぇぇ」
ぴーぴぴぴぴぴぴぴ
ぽしゅうん
データヲスベテシュトクシマシタ
ヒキツヅキホウコクヲ
***
「え? 変な音がする? コンピュータからですか?」
「ああ、そうなんだよ」
プリズムタワーのメインコンピューターを操作していた1人の従業員が言った。
シトロンとユリーカはコンピューターの方へ向かう。
「お兄ちゃん、いけそう?」
「何、僕に出来ないことはないんだ。心配しなくて良いよ」
「本当ー?」
どーれ見せてくださいー、と2時間程仮眠をとり、目の輝きが戻ったシトロンは、どこか楽しげにコンピューターを操作していたが、だんだん表情が曇ってきた。
「あ、あれぇ……? おかしいな。何でユーザーページに入れないんだろう」
「お兄ちゃん、出来ないことはないんじゃなかったの」
「い、いや、それが----------」
決まりが悪そうに返した彼は、「おかしーな」と何度もアクセスを試みた。
要するに管理をするページのことであるが、何度入ろうとしても弾かれてしまうのである。
と、次の瞬間だった。
「ピー、ビビビ、ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ」
画面が一転する。激しいフラッシュとノイズ音と共に、コンピューターには訳の分からない文字の列が並んでいた。最初はフラッシュをまともに浴びた反動か、視界がぼんやりとしていたが、だんだんそれが数列だと分かる。0と1のそのままでは意味を成さない、いや意味が理解できない二進法の数列だ。
「う、うるさぁぁぁぁい! おにーちゃん、何とかしてぇぇぇ!」
「そんなこと言われてもぉぉぉ!!」
いや、それだけではない。
数字と数字の間に、
「こ、これは」
”何か”がいる。
「そ、そんな! このタワーが急激に電気を吸収してしまっているぞ!!」
「こ、”このタワー”が!?」
いったい、何が起こっている、というのだ。
「そうだ! 何とかしてこいつを炙り出しましょう! そのためには……」
うーむ、うーむ、としばらく考え込んでいた彼だったが、すぐに
「ビリっときたあああああ!!」
と叫び、いきなり工具を取り出して部品をかき集め、すぐその場で”何か”を作り出した。
10分、20分、30分。しばらくしたろうか、彼が「完成です!」と叫ぶ。
「サイエンスが未来を切り開くとき、シトロニックギア・オンッ!!」
きらり、と彼の眼鏡が心なしか光で反射したように見えた。
その機械は大きな箱のようだったが、モニターがついている。USBケーブルをコンピュータに接続してシトロンは得意げに言う。
「名づけて、”コンピューターウイルス全駆逐マシーン”!!」
「お兄ちゃん、ネーミングセンス0だね」
ずばり、と言った。
「……とにかく、これでコンピュータに進入した何かを炙り出せます! ウイルスだろうが、なんだろうが、これを接続すればすぐに割り出せますよ! さらに、そのウイルスを解析して、即駆逐することも可能です! さあ、ウイルスめ駆逐してやりますよ!!」
「シトロン君、いつになくテンション高くない?」
「お兄ちゃんがああなのは、いつものことじゃない?」
特に、この手のコンピュータウイルスには情報のある場所に食らいついていく習性がある。
このマシン、というかプログラムはそれらが好みそうな偽の情報を流し、ウイルス等色々釣り出すことが出来るのであるが、
「あれ、何か機械から変な音が-------------------」
***
プリズムタワーは輝いていた。
ただし、めっちゃ点灯を繰り返しており、見るだけで目が痛くなる、というものだったが。
カルムは目を擦った。何だこれ、と。
「ちょっと、おかしくないか、これ」
「明らかに……だってプリズムタワーって全ての照明がいつも点いているのよ」
「あ、カルタロー! セレナー!」
明朗な声が聞こえる。見れば、サナの姿がそこにあった。先に別のルートでミアレに点いていたのだろうか。
「さっき、プリズムタワーが点灯したと思ったら、ずっとこんな調子で」
「おかしいよな、やっぱりそう思うよな!?」
うーん、とサナは考え込んだ後、続けた。
「そうだ、サナの友達にシトロン君って人がいるんだけど」
「シトロン?」
「うん! 機械やインターネットとかに詳しくて、しかもこの街のジムリ-------------」
ズドォォォン
会話を遮るように突如轟音が轟いた。
……は? と3人がその方向、即ちプリズムタワーの最上階付近だが、そこから白い煙がもくもくと伸び、窓ガラスが割れたのが見える。
すぐに、何が起こったか理解が出来た。
「ば、ば、ば、ば、爆発したぁぁぁーっ!?」
- 第八十八話:電脳戦士 ( No.186 )
- 日時: 2015/07/13 03:34
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
***
「----------か」
声が聞こえる。だが、誰のものかははっきりとは分からない。
「----------お-----------か」
ようやく、自分が寝ていることに気付いた。
「おい! 大丈夫か!」
視界がぼやけてよく見えない。
だが、呼びかけと体に掛かる揺さぶりで、ようやく光のようなものが見えてくる。
目をゆっくりと見開くと、そこには------------
「しっかりするんだ、君!! 自分の名前、分かるか!!」
サングラスを帽子にかけた少年の姿があった。
***
「何であれ---------今、僕の友達が、あのポケモンを食い止めている!」
カルムは、碧眼の少年に呼びかけた。
人だかりを潜り抜け、避難して誰もいないタワーを非常階段で駆け巡り、サナに案内されるがままに頂上のコントロールルームにやってきたところまでは良かった。
そこには、”何か”が居たのだ。
その何かは、目が痛くなるような赤と青で構成された体を持っており、それがバラバラに分離したりくっついたりを繰り返しながら、電撃を見に纏っていた。
そして今は、サナのテールナーと戦いを繰り広げていた。テールナーが木の枝から炎を放つも、それを軽々とよけて、電撃を放っていく。
「あれって……ポケモンなのか? カロスには生息していないみたいだから、図鑑が弾いちゃったけど」
「間違いありません。あれはポケモンです」
碧眼の少年は、ようやくぼーっとしていた頭が戻ったのか、起き上がった。
しかし。それで冷静になったのか、思い出したように叫ぶ。
「----------それより、ユリーカは!? 僕の妹を知りませんか!?」
「ああ、小さい女の子が居たよ。危険だから、従業員の人と一緒に連れ出したんだ」
「そ、それは良かった……!」
「カルタロ! 助けて! テールナーがやられちゃった!」
ふと、声が聞こえた。サナだ。見れば、テールナーは体毛を焦がし、倒れていた。電撃をまともに浴びたのか。
しかし。丁度良い。そろそろ自分が暴れる番だ、と。
「サナ! 僕が行く! 下がっててくれ!」
「うん! ありがとう、テールナー! ゆっくり休んで!」
テールナーを戻したサナはたっ、とカルムの居る方へ下がっていく。手持ちは全員消耗しているらしく、もうまともには戦えないだろう。
「交代だよ! お願い、カルタロ!」
「ああ! 任せておけ!」
意気込んだ彼は、そのまま飛び出した。そして、金髪碧眼眼鏡の少年に問うた。
「おい、君! あれは一体何なんだ! 知ってるのか!?」
「あれは……恐らく、人間が作ったポケモンです! 惑星開発ように作られたバーチャルポケモンがいるというのは知っていましたが、あの姿は一体--------!? 何かプログラムに合わないパッチを当てて、無理矢理機能を拡張したんでしょうか?」
「よくわかんないけど、人が作ったポケモンってことで良いんだな、あいつは!」
「はい! ですが、このままでは僕も黙っていられません!」
少年は立ち上がり、モンスターボールを手にした。見れば、ボールの中に入れていたルクシオは「早く出せ」と言わんばかりに、睨み付けてくる。
「はは、お転婆なんだから」
苦笑しながらそう言うと、彼はボールを投げた。
それが弾け、本来の姿を投影し、質量を持った獣へと変換する。
「行きますよ! ルクシオ!」
「相手は電気技を使う----------なら、モノズ! ドラゴンタイプのお前の出番だ!」
一方のカルムも遅れは取るまいとモノズを繰り出した。
「頼んだぞ! モノズ! お前の根性で、奴を止めるんだ!」
「あのポケモンの名前はポリゴン----------ですが、様子がおかしいです! ノーマルタイプのポケモンですが、”タイプを変える”ことがあるんだとか」
「タイプを変える? にわかに信じがたいけど……やるだけはやるさ!」
そのまま、目の前のポリゴンと呼ばれたポケモンと対峙した2人は、タイミングを見計らい-----------
「ルクシオ、スピードスター!」
「モノズ、頭突き!」
----------一気に攻め立てた。
コントロールルームのモニターの正面に、電撃を放ちながら奇妙な動きを続けるポリゴンは、それを両方共まともに食らう。
しかし。
2体の攻撃は、まるですり抜けられるように貫通。そのまま空振り、モニターに激突してしまった。モニターは頑丈なのか、損傷はないようであったが、何よりもノーマルタイプのはずの敵に、この技が通用しないのが驚きだ。
「----------まずいな」
「微々たる動きなし、ですか-----------」
眼鏡を押し上げて、分析するように言った少年は、再度畳み掛けるように指示を出した。
「ルクシオ、10万ボルト!」
「モノズ、岩雪崩を叩き込め!」
今度は飛び道具による遠隔攻撃。
しかし。電撃は何故か、吸い込まれるようにポリゴンに吸収され、さらにポリゴンの真上から召喚された岩を食らうも、それを弾き飛ばしてしまった。
「これは……どういうことだ?」
「やはり、タイプを変える噂と何か関係があるのでしょうか……何であれ、早く奴を片付けないと!」
「このままじゃ、このタワーが占拠されてしまうってことだな! よし、いくぞ!」
「言われるまでもありません! ルクシオ、氷の牙!」
先陣をきって、ルクシオがポリゴンに噛み付く。そこから冷気が溢れて、ポリゴンを徐々に凍らせていった。
そこに----------
「モノズ! 龍の息吹!」
-----------強烈な一撃を叩き込んだ。
直撃であった。
そのまま、爆発音と共に煙が上がり、ポリゴンは床に投げ出される。
「……やったか」
「機能は停止したと思います。流石に今の攻撃は流せなかったよう-----------」
ビリビリビリィッ!!
そう、安堵したそのときだった。
一気に電撃が迸る。それが床、そしてルクシオとモノズめがけて、襲い掛かった----------!!
「こいつ、まだ動けたのかよ!」
「つくづく、”やったか”は禁句ということを思い知らされますね」
「何だそれ、僕が悪いの!?」
「い、いえ、そういう意味では---------」
しかし。タイプを変える上に、電気を放ち続けるこの敵の前に、2人、そして2匹は消耗を隠せないでいたのだった------------!
- 第八十九話:反撃、電撃戦 ( No.187 )
- 日時: 2015/09/01 01:17
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
「モノズ、龍の息吹!!」
「ルクシオ、もう一度10万ボルト!!」
龍のブレスと、電撃が共に襲い掛かる。
今度もポリゴンは自分の体色を変えていく。直撃。余り入らないかと思われたダメージ。
しかし、今度は普通に通用したらしい。
ビリビリ、と電気を全身から放っているものの、それは家電製品がショートして故障したときのそれに近かった。
だが、一方のモノズとルクシオも既に息を切らせていた。
----------まずい、これ以上の長期戦は不利か!? 相手の防御面にばかり注意がいってたけど、こいつ攻撃力も十二分に高い!
----------これは余り良くないですね……! どうにかして、打開しなければ!
そう思ったときだった。
ぐる、ぐるぐる、と目まぐるしく体の分離したパーツを動かし始めたポリゴンは、それらから一気に3つの光を繰り出す。
炎の赤。
氷の青。
雷の黄。
それらがぐるぐる、と回って一気に飛んでいった。
ルクシオとモノズは、それを叩き付けられ、悲鳴をあげる。
「何なんだよ、この技は!?」
「トライアタックです! ノーマルタイプの技ですが、当たると焼けど、凍結、麻痺のいずれかの状態異常を引き起こす可能性があります!」
「よ、よく知ってんな……」
「はい! 知識には人一倍自信があるので!」
強がって見せた少年だが、かなり疲れが見えていた。肩で息をし、姿勢がやや低くなっているのが何よりの証拠だ。目も心なしか、空ろになっていた。
その後も、何度か攻撃を加えたが、やはり相手の動きがすばやく、なかなか捉えられなかった。
「これ、飲んでくれ」
ぐいっ、と押し付けるようにカルムは少年の手に缶コーヒーを渡す。
「無理しろとは言わないけど……君がまだ戦うっていうなら、それを飲んで一発スッキリした方が良い。僕はいつもそうしてきたから」
「……お心遣い、ありがとうございます」
少し、笑顔が漏れた。再び、目の前の敵に視線を向ける。
多彩な特殊技もあり、かなりの苦戦を強いられていたが、確信できることは1つだけあった。
「イマイチ、カラクリが読めませんが、今までの行動を見るにタイプを変えるというのは間違いないようですね!」
「ああ! しかも、何かの法則があるみたいだ!」
見えてきた。勝利へのシナリオが。
2人は息をあわせ、叫んだ。
「モノズ、岩雪崩!!」
「ルクシオ、氷の牙!!」
岩がポリゴンの頭上に叩き込まれた。自らの能力によって、再びタイプを変えたポリゴンであったが、今度は冷気を纏った牙が電子の体に強く、深く、食い込む。
「そこにさらに電気を流し込んでください!!」
冷却されていた体に電気が流された。ポリゴンの体自体が抵抗となり、熱を帯びた。
----------この瞬間、ポリゴン自体が電熱線となる!!
熱を帯びたということは、既に凍り付いていた身体の氷は溶けて水となった。
その瞬間を、彼は見逃さなかった。
「10万、ボルトっ!!」
叫んだ彼の声に呼応したのか。一際強力な電撃が至近距離で放たれた。
濡れた体に、それは特攻武器に等しかった。
ばちん、ばちん、と火花を散らしてポリゴンは地面に落ち、そのまま動かなくなった。
どうやら、完全に機能停止したようだった。
その一部始終を見届けていたカルムは、ただただ凄いとしか言いようがなかった。
それは、戦闘を傍観していたサナも同様であった。あまりにも激しい光と光のぶつけ合いに、少々目が疲れてしまったようでもあったが。
-----------すごい、一瞬の間にあれだけのコンボ技を……!
確信した。あの少年は只者じゃない、と。
そう思ったときだった。
「データ収集完了……テッタイス」
機械的な音声が聞こえた。
まさか、と思った。
刹那、ポリゴンの身体が再び組みあがっていく。
しかも、先ほどの戦闘でついていたはずの多くの傷が一瞬で癒えていく。
少年の顔が真っ青になっていく。
「こ、これって……自己再生じゃないでしょうか……!」
「え、何その嫌な予感しかしない技」
「自分自身の体を再生させ、ダメージを回復させる技です」
「……うわあ」
「これでは、振り出しに戻ったも同然、ダメージレースではこちらが明らかに不利ですね……!
事実、少年の言うとおりであったし、カルムも同感であった。
相手には強力な特殊技にタイプ変換がある。更に、体力回復技という凶悪の一言に尽きる技のオンパレード。
一方のこちらは、敵の全てを把握しきれていないうえに、消耗が激しく、完全なジリ貧に陥っているのは目に見えていた。
しかし。現実はそうはならなかった。
ポリゴンはそのまま後退していき、自らが出現したモニターへ、その姿をどんどん埋めていく。
そのまま、電子の身体が再びモニターの中へと消えていった。
不可解だった。何故、わざわざ逃げるような真似をしたのか。さっぱりであった。
「い、一体なんだったのでしょうか……!?」
「さ、さぁ……」
このまま戦闘が続くものと思っていたので、カルムとしては少々拍子抜けであった。
それは、隣のルクシオで戦っていた少年も同じのようだった。
ぺたん、と地面にへたり込むと彼は息を大きく吐き出す。
どうやら今まで溜めていた疲れが出てきたらしい。
「一時はどうなることやら、と思いましたが……」
「そうだな。……大分疲れが見えるけど、大丈夫か?」
「いや、僕はだいじょう----------」
が、しかし。その言葉は続かなかった。
そのまま、少年は仰向けに倒れてしまった--------------
「っておい!! 言った端から!!」
「す、すいません……もう力が……おっかしいな、仮眠は取ったのに……」
***
その後、ミアレシティ・プリズムタワー爆発事故は大騒ぎとなった。真相は、ポケモンによる襲撃ということになったが、肝心のそのポケモンの正体が伏せられていたため、住民達の不安を煽ったことは言うまでもあるまい。
何であれ、あの後眼鏡の少年は一先ず体には他に異常が無かったのでそのまま仮眠を取ったらしかった。
そして、カルムがその少年から呼び出しを受けたのは、思ったよりも早かった--------------
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