二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産
日時: 2015/07/13 03:02
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

”読者の皆様へ”

 はい、どうも読者の皆様、自分はタクと申します。どこかで、見かけた事があるかもしれませんね。二次で、ポケモンとか、デュエマの小説を書いていました。
 今作は、ポケットモンスターXYのストーリーをモデルとしたものです。
また、オリジナル要素が多々あります。そして、今作から後書きを付けることにしました。まあ、書く事がないときは、何も書いてないかもしれませんけど。応援、よろしくお願いします!

ポケモン第六世代を最初に飾るゲームソフト、XYのノベライズ化!! 最後まで是非、ご覧あれ!!

登場人物紹介>>12
 
プロローグ
>>01

アサメタウン編
>>09 >>10 >>11

ハクダンシティ編
>>21 >>22 >>23 >>40 >>41 >>42 >>45 >>47

ミアレシティ編
>>50 >>51 >>52 >>53 >>56 >>57 >>61

コボクタウン・パルファム宮殿編
>>62 >>68 >>69 >>71 >>76 >>77 >>79 >>80

コウジンタウン編
>>83 >>86 >>87 >>90 >>95 >>96 >>99 >>102 >>103 >>104 >>110 >>111 >>112 >>113

ショウヨウシティ編
>>114 >>115 >>119 >>120 >>121 >>124 >>125 >>126

シャラシティ編
>>127 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147 >>149 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>158 >>161

ヒヨクシティ編
>>164 >>165 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>173 >>174 >>175 >>176 >>179 >>182 >>183 >>184

ミアレシティ編2
>>185


ss・短編置き場

1.木登り騒動 >>148

飽き性な作者ですが、応援よろしくお願いします。また、読者の皆様の意見を聞きたいので、コメントには感想を添えてくださると幸いです。

第十五話:多勢に無勢 ( No.53 )
日時: 2013/12/01 02:23
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「ケロマツ、水の誓い!!」

 地面から吹き出した間欠泉で、1匹を撃破するケロマツ。また、1匹が突っ込んでくるのを華麗にかわして襟元のケロムースで目潰しし、頭へ強烈なキックをお見舞いした。しかし、後続の1匹が嘴で突いてくる。

「ケロマツ、水の波動!」

 そこを超至近距離で飛び道具を放ち、何とか危機を脱出した。ドードーは倒れる。が、同時にケロマツもその場に崩れる。

「く、くそっ・・・・・・!」

 しかし、疲労していたケロマツは倒れた。残り1体。その時だった。ドードーが鳴き声をあげる。直後、遠くにいた仲間が駆け寄ってくるではないか!しかもその数、4匹。カルムは、ため息をつき、ティエルノに言った。

「ティエルノ、先に行ってろ。トロバ背負えるなら、背負っていけ!お前らだけ、逃げろ!」
「嫌だよ!僕も一緒に」
「ダメだ!!今のうちに-------------------連中が来る前に、助けを呼びにいけ!!」

 カルムの真剣な眼差しを見たティエルノは頷き、

「オーライ!幸運を祈るよ!」
「カルム君、無茶しないでくださいね!!」

 2人がいなくなるのを確認したカルムは呟いた。

「バーロォ、無茶ならとっくにしてるっての。いけ、ニャスパー!!」

 今度はニャスパーを繰り出すカルム。こちらの全快のポケモンは、もういない。ニャスパーだけが頼りである。

「サイコショック!!」

 ニャスパーは念じ玉を次々に放ち、ドードー1匹へぶつけた。思ったよりも、効いてドードーは倒れる。しかし、ドードー4匹が素早いスピードで突っ込んできた。電光石火だ。

「くそっ!ニャスパー、まだいけるか!?」

 ニャスパーは力なく鳴いた。まずい、そろそろ無理か。

(やっべーな、いい加減逃げることを考えなきゃいけない。どうする?どうすればいい!?)

 次の瞬間だった。ドードーのうち、1匹が電撃を浴びて倒れた。そこには、さっきのプラスルの姿。

「プラスル、お前・・・・・・!」

 プラスルは、こくりと頷く。どうやら、助っ人に入りたいらしい。

「何が何だがよく分からんけど、助っ人なら大歓迎だ!」

 すると、ドードー達がプラスルへ向かって突進してきた。

「えーっと、確かあいつは電気タイプだから・・・・・・プラスル、電気ショックだ!!」

 カルムの指示した通りに、プラスルは電撃を放った。同時に、3匹のドードーが電気を浴びて倒れた。効果は抜群だ。しかし、唯一倒れていないドードーがいる。恐らく、群れのリーダー格か。

「どうする?奴の動きを止めたい・・・・・・!」

 カルムはそう呟いて、図鑑を開いてプラスルのデータを確認した。

「覚えている技は、電気ショックに、電光石火、仲良くするにほっぺすりすり・・・・・・!?よし、これだ!」

 カルムは、自信満々の笑みを浮かべて叫ぶ。

「プラスル!ほっぺすりすりだ!!」

 次の瞬間、プラスルは自分の頬を擦り出す。電気が生まれ、勢いよくそれをドードーへ擦りつけた。直後、ドードーの体に電流が流れ出し、それを食らったドードーは体が痙攣し出す。
 ほっぺすりすりは、ダメージと同時に麻痺の追加効果を必ず与える技だ。

「麻痺状態になったのか!よし、チャンスだ!プラスル、仲良くする!」

 プラスルは、ドードーに近づいて可愛らしい笑みを浮かべる。---------------が、ドードーはプラスルに電光石火を食らわせた。しかし、プラスルはあまりダメージを受けていない。
 仲良くする、は相手の戦意を削って、攻撃力を下げる技だ。ある意味、黒い技である。

「ってわけで--------------------とどめの電気ショック!!」

 プラスルは、ドードーへ向かって電撃を放った。ドードーはその場に崩れ落ちて、倒れた。




「さーて、ドードーも目覚めた奴から逃げていったし、結果オーライだな。」

 しかし、分からないのが1つある。プラスルは、あのあと自分の頭の上に乗っかったままである。

「なんで、僕は帽子取られたんだ?よくわかんないな。」

 すると、人影がいくつか見えた。セレナとサナ、ティエルノとトロバだ。

「無事でしたか、カルム君!」
「へっ、ちょろいもんだぜ!」

 カルムは得意げに言った。すると、セレナがプラスルを指差した。

「あら?その子は?」
「このプラスルか?僕の帽子を取って、勝手について来るんだけど?」

 それを聞いたセレナは、はぁーとため息をついた。そして、サナと顔を見合わせて、クスクス笑う。カルムは何が何だか分からない、といった顔だ。

「ちょっ!なんだよ!何がおかしいんだよ!」
「ほーんと、お隣さんって乙女心が分かってないわ。」
「は?オトメゴコロ?」
「よーするに、気に入られたんだよカルタロ!ゲットしてあげたら?」

 まあ、どうなのか分からないが、カルムはボールを取り出した。そして、自分の頭に乗っかったプラスルに、こつんとボールを当てる。すぐに、カチッと音がした。

「・・・・・・セレナ、さっきのは、どういう意味だよ!?」
「だーかーら、要するに好きな子の気を引きたくて、意地悪しちゃったのよ!貴方、ポケモンによく好かれるわね!」
「はぁ!?」

 全く、この手のことに疎いカルムには、理解ができなかった。

(悪戯したのに?え?えぇー?)

 と、若干混乱しかけていたのであった。




 ------------------プラターヌポケモン研究所。ようやく揃った、5人の図鑑所有者を前にして、博士は目を細めた。そして、カルムの頭に未だに乗っかっているプラスルを見ると、すぐに褒めた。

「おや、まさか今の間に新しいポケモンを捕まえてきたのかい?」
「え、ええ。そうですね。」
「流石、僕が認めただけはある!」

 そして、博士は続けた。

「じゃあ、本題に入ろう。まず、メガシンカについてだ。例えば、これ。ドラゴンタイプでも、無類の強さを誇る、マッハポケモンのガブリアス。」

 博士が投げたボールから、現れたのは、サメのようなヒレがついたポケモン、ガブリアスだった。

「確か、フカマルの最終進化系のポケモンで、これ以上は進化しませんよね。」

 カルムは言った。しかし、博士の反応は意外なものだった。

「ああ-------------------------だけど、君はガブリアスがもう一段階進化するって聞いたら、信じるかい?」


後書き:今回、少し短いです。まあ、自分はだいたい、2500文字から3300文字くらいを目安に書いています。という訳で、カルムに新しい手持ち、プラスルが加わりました。折角、xyで夢特性が追加されたので、プッシュしておこうと思いましてね。ちなみに、マイナンと同じく、自分が好きなポケモンでもあります。自分はだいたい、ポケモンでも電気ネズミを好む傾向にありますね。はい。あとは、フライゴンやルカリオは、好きな部類に・・・・・・おっと、長くなりそうなので、今回はここまでで。次回は、メガシンカの秘密に迫っていきます。それでは、また。

Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.54 )
日時: 2013/12/01 13:24
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 どうも、交通事故は誰にでも起こるものだと実感した白黒です。皆さんも自転車などに乗る際はお気を付けください。

 ようやくミアレシティに到着しましたか。そしてすぐさま始まったマルチバトル……一番謎だったのが、マロンの手持ちの傾向が読めないことですかね……
 しかし、誓の技ですか、懐かしいですね。白黒も一作目では使っていましたが、これが意外と描写しやすく、お世話になりました。
 その誓の技もあって、爆発的な攻撃力で攻めることのできたセレナとサナのコンビが勝ちましたね。まあ、攻撃が一体分に集約されるとはいえ、この時点で威力150の技が飛んできたらまず耐えられませんよね。
 バトルが終わればトロバとティエルノの登場ですか。ティエルノはなんだか空気っぽかったですが、トロバは妙に目立っていますね。
 あ、カルムは秘密の琥珀をあげちゃうんですね。トロバがプテラを使用するのは知っていましたが、白黒はいつかトロバと戦う時カルムが「お前のプテラと違って、こっちのプテラにはメガシンカがある!」みたいなことを言うのかと思ってたので、ちょっと驚きました。

 そして今度はプラスルの登場と、群れバトルですか。タクさんの作品なら、プラスルかマイナンか、はたまたその両方かは出ると思っていました。関係ないですが、草結びをナチュラル・トラップと呼んだのは面白かったです。
 群れバトルは厄介ですよね。白黒も初めてズルッグの群れに遭遇した時は、砂かけを連打されて攻撃が当たらず、手持ちが半壊しました。あんな序盤で全体攻撃なんてあるわけがないというのに……
 プラスルは順当にカルムの仲間になりましたね。ということは、プラスルの相方は彼女が……? というか、セレナが乙女心を語るということは、このプラスルはメスなんですね。いや、確かにメスっぽい容姿ですけど。

 ちなみに、白黒はわりとまちまちですが、少ないときは3500前後、多いときは4000字以上がザラにあるので、よく返信した後に修正して足しています。日常回なら文字数を押さえられるんですが、バトルになるとどうしても描写が多くなってしまうんですよね……なんとか3700字ギリギリに収めようとはしているんですが。

Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.55 )
日時: 2013/12/01 14:46
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

白黒さん
 
どうも、コメントありがとうございます。マロンの手持ちには、規則性が殆ど無いと言っても、過言ではありません。一応、エースはバオッキーという設定ですが、一撃でやられてしまいましたね。

プテラVSプテラ・・・・・・。今思えば、そうしても良かったのですが、実はあるポケモンも使ってみたいと思いまして、ゲームで手に入るカントー御三家の代わりに、このタマゴから生まれるポケモンが、手持ちに入ります。当初は、カルムがコウジンタウンで復元したプテラが、暴れまくって激闘の末に捕獲するというシナリオだったのですがね。

プラスルの相方は、多分セレナじゃないと思います。基本、カルム以外の手持ちはゲームに準拠しているので。それでも、いろんなところでオリジナル要素を入れていきたいですね。
また、前作が行き詰まってしまったので、前作第二部の主人公の代わりに、というのもあります。それに、折角夢特性が追加されたのですから、使いたかったんですよ。プラスル。マイナンも、いつか出すつもりです。

逆に自分は、描写が少なくなりがちなのが悩みです。字数も少なくなってしまうんですね。

それでは、また。

第十六話:フレア団・狙われたメガストーン ( No.56 )
日時: 2013/12/05 19:14
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「ガブリアスが、もう一段階進化・・・・・・!?」
「そう。進化といっても、一時的なパワーアップのようなものだよ。そして、これらの現象をメガシンカと、僕たちは呼んでいる。」
「メガシンカ、ですか。」 

 カルムは頭の中で反芻した。このような現象が、本当に起こり得るのか。

「それらは、トレーナーの持つキーストーンと、ポケモンが自身に対応するメガストーンの2つが共鳴することで、初めて起こるんだ。
「やべぇ、脳が理解することを拒絶している・・・・・・。」
「頭悪いわね。」
「冗談に決まってるだろ!!」

 再び睨み合う、セレナとカルム。

「バトルは弱い、頭も弱い。」
「んだとこらぁ!?もっかい言ってみろ!」

 今にも掴みかかりそうな雰囲気の2人。完全に険悪ムードである。

「で、そのメガシンカも、博士が言っていた、螺旋状の2つのエネルギーが関係しているんですか?」
「してる・・・・・・かは分からない。話を戻すけど、条件は2つ。まず、ポケモンがそのポケモンに対応するメガストーンを持っていること。例えば、トロバ君が持っている、プテラナイト。そして、カルム君が持っているバシャーモナイトも、それだね。」
「あ、これってバシャーモナイトって言うんですね。」

 カルムは照明の光に石をかざした。とても綺麗な石だ。

「さてと。もう1つの条件は、トレーナーがキーストーンを持っていること。これは、シャラシティのマスタータワーに行けば分かるかもしれないね。」
「シャラシティのマスタータワー、ですか。」

 すると、博士は立ち上がった。そして、テイルに話しかける。

「それじゃあ、テイルくん。皆に見せたいから、この間手に入れたメガストーンを取ってきてくれないかい?」
「あ、はい。分かりました!」

 テイルはエレベーターを経由して、いそいそと下へ降りていった。

「他にも、いろんな種類があるんだ。それを、テイル君が取りに行ったから、後で見に行こうか。」

 サナ達は、それを聞くとはしゃぎだした。それを見ながら、カルムはくすくすと笑っていた。そして、頭の上のプラスルを撫でると、嬉しそうな鳴き声を出して甘えてくる。そして、ボールを投げた。

「ニャスパー、お前も見てみるか?」

 ニャスパーも、ボール越しにさっきの話を聞いていたのか、「ニャー」と嬉しそうに鳴いた。





「おっ、ここだここ。この鍵を使えば。」

 1階の金庫の鍵を開け、石を取り出すテイル。この金庫は、厳重な警備をしており、電子ロックが2重に敷かれている。が、態々こんなところへメガストーンを取りに来る連中もいないから、ほぼこれがある意味は皆無。と、テイルは思っていた。

「皆喜ぶだろうな。とっとと博士んとこに戻るか・・・・・・」

 と、次の瞬間だった。突然の爆破音。テイルは手を止めた。巻き起こる煙。同時に背後へ、何者かの気配。振り向けば、そこには赤いスーツの男女2人がいた。赤いグラサンを掛けており、マフィアのようだった。見れば、電子錠をかけていたドアは完全に破壊されている。

「な、何だあんたら!!」

 テイルは叫んだ。男女は答える。

「我々は、泣く子も黙るオシャレチーム、フレア団!」
「メガストーンを頂戴しに来たぜ!」

「もしもし?警察ですか?何か妙な格好をした、おかしな男女がおかしなことを言って、うちの研究所に侵入して・・・・・・。」

「「通報ヤメテ!!」」

 男女は叫んだ。確かに、ここで通報されたら、元も子もないが。

「いや、あんたら完全に不法侵入だし。」

 的確にえぐいところを突いていくテイル。男女は慌てふためき始める。

「いや、そうだけど!!こ、こうなったら・・・・・・!いけ、アサナン!」
「いけ、ユンゲラー!」

 そう言って、2人はポケモンを繰り出した。念力ポケモン、ユンゲラーと、瞑想ポケモンのアサナンの2匹。しかし、テイルも見計らったようにポケモンを繰り出すのであった。

「こんな狭いところでポケモン出しやがって・・・・・・速攻で決めてやる!!頼んだぜっ、エモンガ!!」

 そう言って、相棒のモモンガポケモン、エモンガを繰り出したのだった。

「アサナン、めざめるパワー!!」
「ユンゲラー、念力!!」

 2体は飛び道具を使って、攻撃を仕掛けてきた。しかし、こんなところで暴れられたら、メガストーンがただでは済まない。

「エモンガ、電磁波ッ!!」

 テイルは咄嗟に指示を出し、2匹が技を繰り出す前に、動きを止めにかかる。案の定、エモンガが放った2筋の電撃は、2体のポケモンを貫き、そのまま動けなくした。

「麻痺の状態異常だ。これで動けねえだろ。」
「く、くそっ!お前ら、戻れ!つ、次のポケモンさえ出せば・・・・・・!」
「いーや、無駄だ!いけ、シビルドン!」
 
  テイルは次に、電気魚ポケモンのシビルドンを繰り出す。ヤツメウナギのような体を持ち、太い腕の怪力は計り知れない。男女は、身の丈、いや、それ以上の大きさを持つシビルドンを前にして、怯えきっている。

「そのまま、あの無礼な侵入者どもに、ちーと痛い目見せてやりな!」

 直後。両腕で頭を掴まれた2人の頭が、そのまま近づいて衝突した。そのまま2人は伸びてしまう。

「よし、今のうちに・・・・・・。」

 テイルはそう言って、ポケモン2匹を戻す。そして、まだ立ち上る煙の中を、メガストーンの入った袋を抱えて走り出したのだった。


「逃すわけがなかろう。」


 低く唸るような女の声。次の瞬間だった。テイルは腹部に激痛を感じ、そのまま意識を手放した。

「心配するな。”柄”で突いただけだ。」

 女の声が聞こえる。直後、テイルは意識を手放した。女はそれを見ると、表情を1つも変えずにメガストーンの入った袋をテイルの腕からひったくる。そしてレーダー装置のようなものを見ると、呟いた。

「ふっ。あと、”2つ”-----------------------------3階にあるな。」





「おっせぇなー、テイルさん。」

 カルムは、ため息をついた。プラターヌ博士も首をかしげる。

「確かに。少し遅いな。様子を見に----------------------」

 そのとき、博士が言い終わらないうちにエレベーターのドアが開いた。いや、確かに開いたのだが、なにか違った。普通、横に開くドアが縦に開くのは、明らかにおかしかった。

「・・・・・・。」

 その場にいた全員は絶句した。次の瞬間、ドア(だったもの)が蹴飛ばされ、バラバラと落ちる。

「嘘だろォー!?斬った!?まさかエレベーターぶった切ったのか!?」

「騒がしい・・・・・・。」

 エレベーターから現れたのは、男物の和服とスーツを組み合わせたような、和洋折衷の衣装を着た女だった。常に鋭く開いている瞳孔。裂けたような目。その眼差しは、とても冷たかった。髪もまるで人形のように綺麗な黒。それをポニーテールにしている。その目は、何かを探すかのように追っている。そして、1つのものに目を留めた。
 一方のカルムは辛うじて声を絞り出す。

「あ、あんたは一体・・・・・・!!」
「拙者の名は、バーミリオン。フレア団、”七炎魔将”の1人。異名は『炎魔恐慌(アンラ・マンユ)』だ。」

 ”フレア団”や”七炎魔将”、そして”『炎魔恐慌(アンラ・マンユ)』など、よくわからないワードが出てきて、混乱しかけたカルム。ふと、カルムはバーミリオンが腰に差している”棒”、に目を留めた。だが、よく見ればそれは棒ではない。正しく、”刀”だった。それに気づいた瞬間、全員の背筋に悪寒が走った。

「か、か、か、刀ァー!?」
「貴様ら。この、”聖剣エクスカリバーZ”の餌食にされたくなければ、大人しくメガストーンを渡せ。プテラナイトとバシャーモナイトが、ここにあるのは分かっている。嫌なら斬るぞ。」
「それ、刀に付ける名前じゃないよね!?名刀ムラマサとか、そんなのつけない!?」
「今、どうでもいいんだけど!!」

 カルムのツッコミに、セレナがさらに盛大に突っ込む。すると、今度はバーミリオンが下げている袋にプラターヌ博士が気づいた。

「そ、その袋は・・・・・・メガストーンが入っている・・・・・・!」
「ガキが1人。金庫にいたが、気絶させてやった。それで奪ってきてやったのだ。だが、私は基本。邪魔するものは全員斬る。そういう考えだ。さあ、渡せ。さもなければ、1人づつ斬っていくぞ!!」

 凄みのある声で迫るバーミリオン。博士のガブリアスも、成す術なし、と言った状態だった。サナに至っては、半泣きだった。さらに、次の瞬間。照明が消えた。つまり、停電が起こったのだ。それでも、外がまだ明るいので、部屋が見えなくなることはなかった。それを見て、バーミリオンは、少し微笑んだ。

「発電所の方も、上手くやってくれたか。」

 一方の、カルム達は停電どころではなかった。博士が、カルムに問う。

「ど、どうするんだい、カルム君!」
「メ、メガストーンをすぐに渡すなんて、私は嫌よ!!」

 セレナは言った。断固、戦おうということだ。しかし、

「・・・・・・簡単じゃないすか。トロバ、それ貸せ。」

 トロバが返事を出さないうちに、メガストーンをひったくる。そして、2つともバーミリオンに投げ渡した。

「な、なんで!!」
「セレナ。メガストーンがどんなに大事なものかは、分かる。だけど、今本当に大事なのは皆の命だ。」
「懸命な判断だ。」

 そう言うと、バーミリオンは口笛を吹いた。次の瞬間、ポケモンがこっちに突っ込んでくる。それは、鋼色の体をした鎧鳥ポケモン、エアームドだった。窓ガラスを盛大に割り、部屋へ降り立った。

「さらばだ。」

 そう言うと、バーミリオンはエアームドに跨って開いた穴から空へ飛び立っていった。




 その後。警察から事情聴取を受けたカルム達。しかし、結局あのバーミリオンとかいう女の居所は掴めなかった。その後、テイルは案の定気絶していた。少し吐血していたものの、少し入院するだけで、命に別条はないという。次の日、カルム達は研究所を去った。その際に、5人で集まった。

「えぇー!?ジム開いてないのか!?」
「どうやら、昨日の停電の影響で、ここサウスサイドの復旧は終わったらしいの。だけど、ほかの被害が思ったよりも大きくて、ジムリーダーが手を離せなくなったかららしいわ。」

 セレナに聞いたら、そういうことだった。そして、今度は再び5番道路で落ち合おうという話になった。しかし、その際にセレナが言った。

「ねえ、お隣さん。」
「ん?何だよ。」

 思わず聞き返すカルム。すると、セレナは続けた。

「ちょっと、カフェ・ソレイユに後で来てくれないかな?」


後書き:今回、フレア団が初めて出てきました。ゲームではまだ後ですね。そして現れた幹部格、七炎魔将の1人である女。バーミリオンが登場しました。今作で登場するオリジナル幹部の1人です。侍女という設定は、結構なさそうであったりするのですが、今回は専ら冷たい悪人ということで落ち着きました。刀の名前がズレているのは、思いつきです。ただ、突っ込ませたかっただけです。そういう意味では、少し抜けている人物だったりします。あと、テイルが毎度毎度ひどい目にあっていたりしますね。次回は、いよいよミアレシティ編も最後です。この次からは、結構ゲームでのイベントが長いので、すっ飛ばしたりしていきます。それでは、また。

というか、次のジムがある街への道のりが異様に長いんだよな・・・・・・。

第十七話:フラダリとカルネ ( No.57 )
日時: 2013/12/05 20:38
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

 --------------------カフェ・ソレイユはおしゃれな感じのカフェだった。クラシック調の音楽が心を落ち着かせ、派手ではないデザインの店内は、落ち着いてコーヒーが飲める雰囲気だった。しかし、カルムがここに来たのは、決してコーヒーを飲みに来るためではなく・・・・・・いや、それもあっただろうが。何より、一番の要因はセレナに呼ばれたことだった。

「一体、何の用なんだ?」

 苛立ちつつ、扉を開けるカルム。すると、そこにはセレナが立っていた。が、さらに奥の方には2人の人物が話をしていた。一方は、男性だった。赤い髪と大きな髭を持つ若い青年だった。もう一方は女性だった。綺麗なドレスを着た女性だった。

「いつまでも、若い役を演じたいとは思いませんか?カルネさん。」

 男は、女性------------------カルネに向かってそう言った。女性は、きっぱりという。

「おかしな質問ね。人が年をとるのは当たり前。おばあちゃんになったら、その時はその時で、また違う役を演じることを楽しみたいわ。」
「成る程・・・・・・ですが、いつまでも若々しく、そして美しく演じ続けるのが、大女優として選ばれた貴方の指名じゃないですか?私だったら、世界を破壊してでも、その美しい姿を原型に留めておきたい。世界が醜く変わっていくのを見るのは、耐えられません。」

 カルムには、さっぱり見覚えのない2人だった。セレナが言う。

「あっ、来たわねお隣さん!あの人・・・・・・ホロキャスターの開発者であり、プラターヌ博士の友人である、フラダリさんと、カロス地方の大ッ、大ッ、大ッ、大女優の、カルネさんよ!!」
「ホロキャスターの開発者と大女優、か。」

 ホロキャスターは、カルムも持っている、”それ”だった。ホログラム投影機が実装されており、まるで相手がその場にいるかのように会話ができるのだ。
 というか、さっきからセレナの様子がおかしい。カルネの話をするときだけ、興奮している。恐らく、こいつ大ファンだな、と思ったのは誰にでも明確だった。

「でも、どういう組み合わせかしら。」
「知らないよ。」

 カルムはため息をついた。すると、話が終わったのか、カルネとフラダリがこちらへやって来た。

「おや?トレーナーさんかしら?」
「カ、カ、カ、カ、カルネさん!!」

 セレナは、すごく緊張しきった様子で固まっている。

「まあ、楽にして。そちらの君は、お友達かしら?」

「「いえ、ただの隣人です。」」

 セレナとカルムの波長が、珍しく会っていた気がする。すると、フラダリはカルムに話しかけてきた。

「博士から話は聞いています。初めまして。私は、フラダリ。プラターヌ博士のところで、色々と学ばせてもらっています。」
「は、はぁ。こちらこそ、初めまして。」
「先日は大変だったようですね。」

 ”先日”とは、昨日のフレア団襲撃のことだろう。

「まぁ、大丈夫ですよ。それより、一体何を話されていたのですか?」
「カルネさんと一緒に、”美しさ”について意見交換をしていたのですよ。」
「ええ。この地方の最大のテーマは、”美しさ”。そうよね、フラダリさん。」

 どうやら、聞いた話によると、このフラダリという男は交友関係が多い人物らしい。そして、親しみ易く、話しやすい人物だった。この、カルネという女性も、そうだった。





「きゃぁ〜!!カルネさんから、サイン貰っちゃったぁ〜!!」
「はしゃぎすぎ。」

 カルムは、セレナを窘めた。にしても、なかなかすごい人物に会ってしまったものだ。引っ越して早々、これは幸先がいい。と、勝手に回想するカルムだった。

「で、結局僕に何の用だった訳?」
「ああ---------------------昨日、ありがとう。」
「は?」

 突然お礼を言われて、困惑するカルム。セレナの顔が少し赤くなる。

「・・・・・・もぅ。昨日さ、私は友達よりメガストーンを守ることに必死で、ついつい本当に大事なものを忘れてたような気がするの。」

 「それでね。」と続けるセレナ。

「迷わずメガストーンを渡した貴方の行動で、それを思い出せたの。」
「当たり前だよ。」

 カルムは言葉を遮った。


「当たり前。結局大事なのは友達の命じゃないか。」


 そう、言って。

「・・・・・・すごいわね。いつでも、方向を見失わないで前を向いてるんだもの。」

 彼女の表情は、どこか気丈ないつもの物とは違った。そう、カルムは感じた。

「さっきは、ただの隣人だなんて言っちゃったけど、私は貴方のこと、ライバルだと思ってるんだよ?じゃあね、カルム君!5番道路で13時!落ち合いましょ!」

 そう言って、セレナは駆けていった。すると、カルムは1つのことに気づいた。

「あれ?最後、僕の名前呼んだよね?」

 そして、彼女の言葉を繰り返した。


---------------------ライバル・・・・・・か。




「ふぇえ〜。ているせんぱい、ダメですよ。まだ、動いちゃいけないって言われてるじゃないですかぁ〜。」
「うるせぇ!!」

 腹に巻いた包帯を引き剥がし、いつものシャツと服を羽織るテイル。腹に激痛を感じたが、何も感じなかったふりをして、立ち上がる。

「あの女、バーミリオンって言ったな!!」
「は、はいっ!そうです!」
「へへへ・・・・・・久しぶりに、バチバチしてきやがった・・・・・・!!」

 バチバチ。それは、テイルが自分の気分が相当燃え上がっている時に、使う言葉である。つまり、バーミリオンとポケモン勝負にすらならなかった弱い自分への激しい怒りを表しているのである。

「俺は行くぞ!!絶対、あの女をぶっ潰す!!」
「・・・・・・。」

 マロンは、唇を噛み締めた。自分では、彼を止めることはできないのだと。ならば------------------

「あたしも・・・・・・あたしも連れて行ってください!!」
「なっ、マロン!お前・・・・・・ダメだ。危険すぎる!!」
「実はまだ、のこってためがすとーんが1個あるです。」

 そう言って、1つの石を取り出した。

「・・・・・・”デンリュウナイト”・・・・・・!!」
「せんぱいっ!!せんぱいがいくなら、あたしも着いて行きます!!せんぱいとなら、火の中水の中ッ!!溶岩の中にだって着いて行きます!!」
「・・・・・・へっ、マロンからそんなアプローチを受けるなんてな。」

 それを聞いたマロンは、顔を真っ赤にする。耳まで、赤くなってしまった。

「ち、ち、ちがうんです!!へ、へんなこと言わないで下さいです!」
「馬鹿、じょーだんだ。そこまで言う奴を置いていく理由もねえ。勝手について来い。」

 恥ずかしそうな彼女を見て、テイルはクスクス笑った。少し、可愛いと思ったのは、多分気のせいかも知れない。と、頭の中で勝手に打ち消した。



 今、2人の少年と少女の物語が、交錯しようとしていた。


後書き:今回は、前回に比べれば少ないですね。同時に、テイルも旅に出ます。次回は・・・・・・まぁ、順当に行けばティエルノ戦ですね。お楽しみに。


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