二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産
日時: 2015/07/13 03:02
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

”読者の皆様へ”

 はい、どうも読者の皆様、自分はタクと申します。どこかで、見かけた事があるかもしれませんね。二次で、ポケモンとか、デュエマの小説を書いていました。
 今作は、ポケットモンスターXYのストーリーをモデルとしたものです。
また、オリジナル要素が多々あります。そして、今作から後書きを付けることにしました。まあ、書く事がないときは、何も書いてないかもしれませんけど。応援、よろしくお願いします!

ポケモン第六世代を最初に飾るゲームソフト、XYのノベライズ化!! 最後まで是非、ご覧あれ!!

登場人物紹介>>12
 
プロローグ
>>01

アサメタウン編
>>09 >>10 >>11

ハクダンシティ編
>>21 >>22 >>23 >>40 >>41 >>42 >>45 >>47

ミアレシティ編
>>50 >>51 >>52 >>53 >>56 >>57 >>61

コボクタウン・パルファム宮殿編
>>62 >>68 >>69 >>71 >>76 >>77 >>79 >>80

コウジンタウン編
>>83 >>86 >>87 >>90 >>95 >>96 >>99 >>102 >>103 >>104 >>110 >>111 >>112 >>113

ショウヨウシティ編
>>114 >>115 >>119 >>120 >>121 >>124 >>125 >>126

シャラシティ編
>>127 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147 >>149 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>158 >>161

ヒヨクシティ編
>>164 >>165 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>173 >>174 >>175 >>176 >>179 >>182 >>183 >>184

ミアレシティ編2
>>185


ss・短編置き場

1.木登り騒動 >>148

飽き性な作者ですが、応援よろしくお願いします。また、読者の皆様の意見を聞きたいので、コメントには感想を添えてくださると幸いです。

Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.143 )
日時: 2014/07/13 03:01
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)

 この前、ネットに接続する機会があったのでそちらのサファリを訪れたら、ドゴームとヒメグマが出て来ました。ノーマルタイプみたいですね。
 ただどうしても三体目が出て来ないなと歩き回っていて、後で調べたら、あれって一度でも同時にネット接続していないと、三体目は出て来ないんですね。面倒なシステムつけやがるぜ任天堂……!

 と、それはともかく。本編ではバトルシャトー編と称して、カルムたちがパーティーに招かれましたが……早くも終わりそうな予感がします、バトルシャトー編。
 最初はのほほんとしたパーティーで、カルムの幼馴染が登場と、ラブコメの匂いがするなぁとか軽く思っていたら、どちらかと言えばヤンデレでしたか。いや違うと思いますけど。
 カーマイン大佐も名前からして、もしやと思っていましたが……序列一位だったんですね、炎魔将の。異名も『炎魔王邪タルウィ』と、どこぞの《暴剣王邪》で《クロスファイア》な《ハリケーン》を思い起こさせますが、流石に無関係ですね、はい。
 そして幼馴染のシェナは、『破壊の遺産イベル・ミゼル』とこの作品のタイトルまんまの異名らしきものが出て来ましたね。後の話からすると、能力名って言った方が正しいのでしょうか?
 なんにせよそのネーミングからして、この作品におけるキーパーソンであることは間違いないですね。その能力も、ダイレクトに生命力を奪い取るとか、ポケモンバトルでは軽く反則級の技ですね。モノクロのポケモン三作目(ないしは二作目)でも、トレーナーがバトルに干渉することはありましたが。
 しかし、このご時世に奴隷身分て……いやまあ、リアルの世界とこの作品の中じゃあ、文化に多少の違いがあるのかもしれませんが、奴隷にされたのではなく身分というのは、違和感がありますかね。人身売買かなにかで奴隷にされた人のことを奴隷身分と総括して言っているのかもしれませんけど。
 ところでアヴァロンと言うと、本来はイギリスだかどっかだかの伝説の島で、楽園ですが、それがあえて監獄島になっているというのは面白いですね。モノクロはこういう、ネーミングモデルとは逆の性質を持たせたりするのが好きなので、重要そうではないと思いながらも、気になりました。いつかカルムたちは、その島に行ったりするんですかね。

 さて、カルムは政略結婚らしきものを断って、結果的に敵陣のど真ん中に誘い込まれて袋の鼠状態になってしまったわけですが、ここでたびたび登場していた少年が出て来ましたね。
 なんでブラックなんて名乗っているんだろうと疑問を感じずにはいられませんが、ブラックと言うとモノクロがBWをプレイしていた頃の主人公の名前なんですよね。懐かしいなぁ……
 と、そんな懐かしさに浸っている場合ではないですね。ライ……ブラックのリオも、シェナの力でやられてしまい、カルムとブラック、カーマインとシェナのペアが戦う構図となりましたが。
 さてこの戦いはどうなるのか、と思っていた矢先、また謎のキャラクターが登場して、本当にこの作品は謎が増える一方だなぁ、とすべての謎が明かされるその時が楽しみになります。もうどこまで謎なのか、記憶が一部欠落していそうですが。

 しかし最後のガルーラはともかく、カーマインはゴウカザルですか。友情の証という設定は最初からあったのかもしれませんが、タクさんの近況が強く影響しているようにも感じますね。
 モノクロもその時にはまっているものを作中に取り入れたいのですが、時期的にもっと先の展開で使った方がいいな、ということでその時まで温存していると、いざその時になってみると違うところに興味が行ってしまったりするので、なかなかその時その時で自分に興味のある事柄を作中に取り入れられないんですよね。

 ……随分と長く語ってしまったなぁ。ここまでで1600文字弱って。
 とりあえずは、カルム&ブラック、カーマイン&シェナのバトルの行方がどうなるのかを、色々と予想しながら楽しみにするとします。

Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.144 )
日時: 2014/07/23 04:01
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

>>白黒さん

返信遅れてすみません。
3体目の件は取り合えず、この間の分で済んだので良かったです。またいつか、対戦お願いします。

今回のバトルシャトー編ですが、カルムの過去を徐々に明かしていくと同時に、『絶望の使徒』がどれほどのチート能力を持っているかを見せ付けるためのものです。とにかく、この先の展開をお楽しみください。
ちなみに仰せの通り、『炎魔王邪』はそれから取ったちゃったんですね。この作品にも度々デュエマなんかのネタがちりばめられているので、探してみてください。

そして、シェナたちの異名は能力名をそのまま取ったものになっています。
そして、何故この時代に奴隷が存在するのかも(リアルでも未だにそういった階級の人間がいるのが哀しいですが)後々明かしていくつもりです。
アヴァロンに付いては、今はまだ覚えておく程度で十分です。

そして、一度やってみたかったんですよ。袋のネズミと言う絶望的な状況を。ですが、それを打開する助っ人も現われたましたが、彼の手持ちに新たにハクリューが入っているのは、少なくとも前作とは違う編成だと言う事を分からせたいからなんですね。

謎だらけ……それを楽しんで欲しいですね。あれやこれや妄想なり何なりして続きを考えてみてください。結構、この段階でも伏線はかなり張っていますが、それが今作の特徴です。
そしてそれらは終盤で一気に回収すると思うので。

カーマインのゴウカザルのみならず、七炎魔将上級の3人はそれぞれ、カロスではない別の地方の御三家最終形態の1体を所持しています。
バーミリオンとオペラが何を使うかは、これもまた新たな謎と言う事で。

続きは作中で。そのほかのことは今まで語ってしまったこともあるのではしょります。それでは、また。

第六十一話:七炎魔・上級 ( No.145 )
日時: 2014/07/30 09:21
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

「リュー、火炎放射!!」
「ハッサム、バレットパンチ!!」

 口から火炎を吐き出そうとするリューに、弾丸の如き速さで、正に鉄拳が打ち出される。
 呻き声を上げたリューは一瞬怯んだが、それでも至近距離で炎を浴びせた。が、流石七炎魔将のポケモン。弱点を疲れたところで、倒れないほど鍛えられている模様。
 赤い鎧に身を包んだ虫ポケモン、ハッサムは非常に硬い鋼鉄の身体を持つ。無論、拳も例外ではない。拳と言っても、カニのような鋏なのだが、それを威嚇に振り上げたかと思ったら、本当に振り下ろしてくるので、非常に危険極まりないポケモンだ。
 そして、その危険性を更に助けるのが先ほど繰り出された”バレットパンチ”であり、これはハッサムの決して高くはない素早さを補う強力な技である。その名の通り、弾丸のように打ち出された拳は----------

「もう一度、バレットパンチ」

 ----------衝撃波だけで全てを吹っ飛ばしてしまった。
 風で机が舞い、壁に穴が開く。
 何とも酷い惨状である。
 
「貴様は一体、何者だ? 只者では無い気がするのだがね」

 鋭い視線を浴びせるカーマイン。威厳と威圧に満ちたそれを目の当たりにして怯みそうになる。

「目的はなんだ? 誰の差し向けだ? そして、どこから来た?」

 ----------おー、おっかねーな、このじーちゃん。

「いーじゃん。こんなやつの話、聞いてらんないよ。クチート、じゃれつく」
「させないよ! ゲコガシラ、アクアジェットで食い止めろ!」

 さえぎるようにカルムが叫んだ。
 突貫。それを動きでそのまま表したか。
 突っ走ってリューへ襲い掛かるクチートを水を纏ったゲコガシラが身を挺して突き飛ばす。
 さらに、

「ゲコガシラ、煙幕!」

 ボンッ、と何かが弾けたかと思えば煙が辺りに広がった。

「小細工を……ハッサム、羽で煙を吹き飛ばせ!!」

 途端に、ハッサムは羽を羽ばたかせで煙を吹き飛ばす。もうもうと視界がだんだん晴れていき、そこには--------------

「ゲコガシラ、グロウパンチだ!!」

 ゲコガシラの拳があった。顔面へまともにそれを喰らったハッサムは、仰向けに倒れこむ。

「やったか!」
「成長したとは言ったが、まだまだ甘いぞ」

 びゅんっ!! という空気を切り裂く音に続いて弾丸拳(バレットパンチ)がゲコガシラを捉えた。
 お返しと言わんばかりに顔面にぶつけられた鉄の塊。
 同じように仰け反って倒れた。
 さらに、後ろからクチートの姿が。
 ガバァッと開かれた角-----------いや、大顎がゲコガシラに襲い掛かる。
 
「回避! んでもって、もう一発グロウパンチだ!!」

 そこは流石切り込み隊長。素早い動きで襲い掛かる大顎を避ける。
 だが、床は抉られてしまった。
 あの顎の破壊力が見て取れた。
 恐れずに低く構えたゲコガシラが、”成長した拳”をクチートの胴へ向けた。
 しかし、軽い足取りで飛び上がったクチートは大顎を向けてゲコガシラへダイブ。
 
「不意打ち。相手の攻撃を利用して畳み掛ける技だよ」
「っ……癪だけど、強くなったじゃねえか!」
「そろそろ、一気に決めるとしよう……長引かせる意味も無いな」

 カーマインが呟く。そういって、自身がいつも手に持っていた杖に飾られた宝石に触った。
 続けて、シェナも腕に嵌められたリングに手をかざした。
 直後、眩い光がほとばしり、2体を包み込む。

「ハッサム、進化を超えろ、メガシンカ!!」
「行くよクチート、メガシンカ!」


 ***

「さーて、プラターヌ博士。メガシンカについての研究データを全て教えて貰いますよ?」

 ゲホッ、ゲホッと咳き込む博士に詰め寄る下っ端。背後には手持ちのズルズキンの姿が。先ほど、”死の輪”の範囲を逃れたにも関わらず、一行に奪われた活力が戻らないセレナ達は反撃する手段も失われていた。
 拷問をしてでも吐かせるつもりなのか。
 刹那、”何か”の拳がズルズキンを吹っ飛ばす。

「甘く見るんじゃねぇぞ、くそたったれがよ……まだまだバトルは終わっちゃいないぞ!!」

 テイルのシビルドンだ。そして、辛うじて彼自身も立ち上がっている。
 効果抜群のドレインパンチを喰らったズルズキンは伸びてしまった。

「へへっ、こんなときこそビリビリしてくるってもんだぜー!!」

 景気付けに雄たけびを上げた彼は、身体に力が入らない博士を背負って、下っ端達に拳を突きつける。

「シビルドン、”暴れる”!!」

 途端に瞳を真っ赤にしたシビルドンが腕を振り回し、一瞬で周りを取り囲んでいたポケモン達を薙ぎ倒してしまった。
 
「すごいよ……テイル君……! この短期間でシビルドンがここまで成長するなんて……」
「へへっ、どんなもんですか!」
「いや、シビルドンだけじゃない。君の背中も心なしか見ない間に大きくなった気がする……!」

 ふふ、と笑みを零しながら博士は言った。
 褒められて思わずにやけてしまうのを抑えてテイルは、限界が近づいている肉体に力を入れて、地面を踏み込んだ。

「随分と雑魚を倒して有頂天になっているようだな、ワッパが」
「浅はかとしか言い用がありませんね」

 戸が開いた。そこから聞き覚えがあり、尚且つ虫唾の走る2人の男女の声が響いた。
 執事服にモノクルでショートカットの金髪を生やした二枚目の男に、ポニーテールで結んだ黒髪で背の高い女が立っていた。
 七炎魔将、バーミリオンとオペラだ。
 まさか、と思った。
 炎魔将の中でも上級が3人、揃ってしまうとは!

「首領からの命令は、貴方達の拘束。今まで散々邪魔してくれましたからね、本気で捕らえろとの事です……む?」

 オペラは言った途中でステージの上に立っている序列1位であるカーマインが今にもメガリングに手をかざしている姿--------ではなく、下でそれのポケモンと戦っているカルムとブラックの姿を目に留めた。
 ----------成る程……まあ良いでしょう。
 
「さて、テイル君でしたね。貴方1人のポケモンでは、我々2人を倒すことはできない。それは分かりきってるでしょう。大人しく、投降するのはいかがですか」
「チッ……!」
「そして、新入りも紹介しましょう」
「切り裂いてやるぞ。貴様には散々やられたからな!!」

 そういって、2人はモンスターボールを放った。

「実験開始ですよ……投入、ジュカイン」
「未来を切り裂け、出て来い、ダイケンキ!」

第六十二話:破滅の盤上に立つものたち ( No.146 )
日時: 2014/07/31 09:22
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

 顕現した2体のメガシンカポケモン。ただならぬ覇気を発しており、あふれ出るそれがおぞましいものすら感じさせる。
 クチートは、頭の後ろに付いていた角(つまり大顎)が2つに増えている。さらに目の色に下半身袴型、そして袖の部分がピンク色に変色していた。
 一方のハッサムは羽根と鋏が若干大きくなり、さらに頭部には菱形を伸ばしたような飾りがついており、やたらヒーローのような姿になっていた。

「嘘だろ!? クチートもハッサムもメガシンカするのかよ!」

 流石に動揺を隠し切れないブラック。
 そこに響く声。

「フレア団の正義は、勝ァーつ!! ハッサム、バレットパンチ!」

 主、カーマインの叫びに呼応するように、ハッサムは地面を蹴り、ゲコガシラ目掛けて弾丸の速さで飛ばす鉄拳を放った。
 ---------回避----------ダメだ、指示を出すのも間に合わない!
 避けられない。余りにも速すぎる。そのまま胴にそれを食らって、仰け反る。

「っ!?」
「援護するぞ! リュー、火炎放射------------」
「さっせないよー♪」

 にぃーっと笑ったシェナの口から指示が飛び出た。

「クチート、不意打ち!」

 途端に再び、物凄い勢いで突っ走るクチート。火炎放射のモーションを待たずして、だ。そして、大顎による一撃がリューにクリティカルヒットする。
 それだけならよかった。が、途端にリューの身体は地面に倒れてしまった。

「なっ!? なんだこの威力は! タイプ一致でもねぇのに!?」
「クチートはね、メガシンカすると特性が”力持ち”、つまり物理攻撃技の威力が”2倍”に跳ね上がるんだよ?」
「物理技の威力が---------2倍、だと!?」

 まずった。超攻撃型の2体が揃ってしまった以上、並みのポケモンでの受けは不可能。
 さらに、鈍足な2体はそれを補うかのように素早く繰り出せる技を所持している。
 
「戻れ、リュー」
「くっ、ゆっくり休んでくれ、ゲコガシラ!」

 既に手持ちがこの2体のために2つ戦力を失っている、カルムとブラック。
 絶体絶命。そんな言葉が過ぎった。

「頼んだぞ、ワカシャモ!」
「ナック、てめーの出番だぜ!」

 ワカシャモを繰り出すカルム。対するブラックはナックと呼んだフライゴンを繰り出す。

「奴らの共通弱点は炎だ! 一気にそれで攻め落とすぞ!」

 焦った声でブラックが言う。

「分かりました!」
「させんぞ! ハッサム、バレットパンチ!」
「クチート、じゃれつく!!」

 4体の技が、交錯する----------------
 
 ***

 貫禄ポケモン、ダイケンキ。そして密林ポケモン、ジュカイン。前者はイッシュ地方に生息する巨大なアシカのようなポケモンであり、後者はホウエン地方の密林に生息するという……のは以前博士から聞いたばかりであった。

「く、くそっ!! 何でてめーらの相手までしなけりゃなんねーんだ!」
「知りませんね? まあ命令なので」

 テイルは、はぁはぁと息を切らしながら、目の前の宿敵を見た。

「そういうわけで、とっとと消えていただきますよ! ジュカイン、ドラゴンクロー!!」
「ダイケンキ、シェルブレード!!」

 ジュカインは両手の爪を覇気で纏わせ、一方のダイケンキは前足に装備された刀、通称:アシガタナを振り回し、襲い掛かってきた。

「シビルドン……はダメか、戻れ!」

 ”暴れる”の副作用で混乱しているシビルドンを突っ張らせるよりも、別のポケモンにしたほうがよっぽど有利だ。ここは---------

「行け、エモンガ! エアスラッシュ!」

 ジュカインに弱点、ダイケンキには普通に効くエアスラッシュで攻撃する。
 ------------ここで、テイルは1つポカをした事に気付いた。
 1.エアスラッシュは1体にしか当てられない(止められるのは良くて1体)
 2.そして奴らの攻撃はどちらかでも避けなきゃ死ぬ(誇張表現)
 3.そして避けられない(つまりオワタ)

「え、ちょ、おま」

 ザクン、という鋭い音がし、あーコレ終わった感がテイルを支配した---------が、そうはならなかった。
 ジュカインはテールナーが、そしてダイケンキはヘイガニが受け止めている。

「あの変なオーラって範囲を抜ければそうでもないみたいね!」
「ここから反撃開始だねぇ」

 セレナとティエルノだ。

「てめーら……!」
「テイルさん、私たちは大丈夫です!」
「僕達にも手伝わせてください!」

 舌打ちするバーミリオン。邪魔をされたのが気に食わないのだ。不機嫌そうに、刀を一度振るうと、言った。

「貴様等……私の邪魔を何度も!! 生きて帰れると思うな!」

 何ともおっかない光景である。

「まあまあ、バーミリオンさん。我々の目的は彼らの拘束ですよ-------------ですが対象の生死は問われていませんか、クク」

 ずばり、殺しても構わないと言う事か。改めて、彼らがイカれていることを実感する。

「そういえば、あちらの方が若干手薄になっていますね? 単対多戦闘は慣れているでしょう? 私はあちらの方に行くとしますよ」
「仕方あるまい、頼む」

 あちら---------つまり、先ほどからマロン達が戦っている方向だ。
 好い加減、好転しない戦況を憂いたのか、オペラはバーミリオンに背中を預け、その渦中へ。

「フラエッテ、妖精の風!」
「テールナー、火炎放射!」

 一方のサナとトロバも襲ってくる団員のポケモンを蹴散らしていく。
 カルム達が戦っているのに、自分達がそれに甘んじるわけにはいかない、という思いがより一掃彼らに眠る闘志を掻き立てる。
 先輩であるマロンの助けも在り、今のところは完璧だった。
 しかし。

「ジュカイン、リーフストーム!!」

 突如、その場にいた下っ端達やそのポケモンを巻き込んで強力な竜巻が放出された。
 後にはそれを避け切れなかった大量の下っ端やポケモンの無残な姿が。
 オペラだ。オペラが無慈悲にも部下を巻き込んでジュカインにリーフストームを撃たせたのだった。
 しかし、その成果あり、テールナーとバオッキーは戦闘不能に。フラエッテも爆風に飛ばされて壁に叩きつけられる。

「そ、そんな! 仲間を巻き込んで技を撃たせるなんて!!」
「関係ないですね。それが今の技を撃たない理由にはなりません。あまり煩いと、貴方達も同じ目にあわせますよ? ---------ジュカイン、彼らを少々痛めつけてやりなさい!」

 その声で戦闘が始まった。

 ***

 かくして---------フレア団七炎魔将、上級に位置する3人が揃ったことにより、バトルシャトーで始まった激戦はさらにその激しさを増すこととなった。
 また、メガシンカしたポケモン、そして別の地方のポケモンを繰り出す彼らに成す術がない。
 破滅の盤上はくるくる回る。
 3人の少年を、軸にくるくると回る。
 そして、不安定なそれらは余りにも大きなものを乗せすぎていずれ----------崩壊するかもしれない。

第六十三話:苦戦、死闘 ( No.147 )
日時: 2014/08/02 01:37
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

 ***

「ダイケンキ、シェルブレードだ!!」

 アシガタナが水の刃を飛ばした。何て威力だ。床が一瞬で縦に割れる。
 水圧がよほど高いのか。
 セレナは前に水の切れ味と言うものを父から教えてもらったことがある。
 それは下手をすれば、鋼鉄でも切り裂くことができる威力だと。
 故に、水タイプの技は鋼タイプに対して威力が弱まらない数少ない技なのだ。
 ぞくり、とセレナは改めて目の前にいる”敵”が強大なものであることを実感した。
 肌が泡立ち、思わず息をすることも忘れる緊張感。
 それに押し負けないように、気合を込めてハリボーグに指示を出す。
 それに、隣にはテイルとティエルノもいる。
 決してフェアではない戦いだが、こうでもしないと勝てないことは目に見えている。
 一方のティエルノも、ダンスの会場などとは比べ物にならない圧力を感じていた。
 相棒のヘイガニが何時になく震えているのが分かる。

「ヘイガニ……僕も今回ばかりは少し緊張しているかな」
「落ち着いていきましょう、ティエルノ!」
「よし、おめーら。準備は整ったか? こっちのポケモンの相性はアイツに対して有利だ。俺のエモンガが電磁波で痺れさせる。その隙に、畳み掛けるぞ!」

 こくり、とうなずく2人。

「作戦会議は終わったか? では----------遠慮なく行かせて貰うぞ! ダイケンキ、メガホーン!」

 バーミリオンが叫ぶ。
 そして、ダイケンキが吼えた。
 来た。虫タイプの物理技では最高級の威力を誇るメガホーン。巨大な角をオーラに纏わせて、突貫する。
 
「へへっ、奴さん考えもなしに突っ込んできやがった! エモンガ、電磁波だ!!」

 旋回しながら、微弱な電気をダイケンキに流すエモンガ。
 ---------電磁波の成功率は100%!! 決まったぜ!!
 突貫するダイケンキの速さは落ち-------------なかった。
 それどころか、より速さを増したか。
 
「……その程度か?」
「なっ!?」
「私のダイケンキが、その程度でトロくなるとでも思っていたのか!!」

 まずい。敵の機敏さ、というか根性は(特性ではない)予想以上である。
 本当ならば、ここでハリボーグがニードルアーム、ヘイガニがクラブハンマーで畳み掛けるところだったが、そうもいかなくなった。
 突貫してくる敵。
 しかし。

「エモンガ、ボルトチェンジ!」

 眩い閃光を放つエモンガ。強烈な電撃を浴びたダイケンキは、今度こそ完全に止まった。その瞬間に物凄い速さでエモンガはボールへ戻っていく。

「っ!?」

 そして、ボールから再び現われたのは、既に混乱状態が回復したシビルドンだった。

「甘いのはどっちだ、コラ。好い加減こっちもバリバリしてきたところだぜ!!」
「おのれ、貴様、味な真似を!」

 叫ぶバーミリオン。ボルトチェンジは攻撃して、すぐに他の手持ちと入れ替わる技である。
 故に、普通に交代させるよりもラグが少ないのだ。

「ハリボーグ、ニードルアーム!」
「ヘイガニ、クラブハンマー!」

 さらに、死角からハリボーグが棘に覆われた腕を振り下ろし、ヘイガニが鋏を叩きつける。
 -----------が、

「ダイケンキ、冷凍ビームだァー!!」

 刹那、辺りを構うことなく冷凍ビームが乱出された。あちこちが凍りつく。テーブルや床は最早、えらいことになっている。
 さらにハリボーグにシビルドン、そしてヘイガニもそれを喰らい、その場に凍りついてしまった。
 氷柱。
 まさしくそれである。

「ッー!!」
「冷凍ビームの温度は-320度。そんなものを喰らえば、一瞬で生きたまま凍るのは目に見えているぞ。さあ、どうする?」

 それはおよそ、液体窒素とほぼ同等の温度である。触れた瞬間、蒸発し、そして触れたものを即凍りせる氷タイプ及び水タイプがよく所持している技だ。

「っ……ハリボーグ!!」
「ねえ、返事をしてよヘイガニ!!」
「仕方ねぇ、一旦ボールに戻せ」

 なんと言う強さだ。下手をすれば、あのガブリアスを軽く超えるかもしれない。ガブリアス同様攻撃重視の戦法であることには変わりないのだが、それ以上に-----------
 -------------”レベルの差が桁違い”つーことだ!!

「うろたえるな。まだ戦いはこっからだろうが!!」

 とはいえ……凍らされたことで、動けない手持ちが1匹。完全に機能停止させられたよりも厄介である。

「ふ、他愛も無い連中よ! 切り裂いてくれようぞ、貴様らの未来も! 希望も!」

 ***

「ジュカイン。リーフブレード」

 一瞬で見境なく周りのものを切り裂くジュカイン。
 よく見れば、腕や首に妙な鎖をつけていた。
 観察力のあるトロバがいち早く気付いたのだった。
 あのジュカイン、今のままでも十分凶暴だが、どこか動きがぎこちない感じはしたのだ。

「マロンさん! あの鎖って!?」
「分かんないですけど……何かを押さえ込んでいるような感じはします?」

 それを聞いたオペラは、くくっと喉で笑った。

「何がおかしんですか!」

 憤慨するマロン。
 
「いえ、失礼。これは流石に私でも外すわけにはいかないんですよ」

 ご丁寧にも説明し始めるオペラ。

「この鎖は、あまりにも凶暴すぎたこのジュカインが余りにも私には手に余る代物だったので付けたものですよ。これを外したら、私でも手に追えなくなります」
「凶暴って……!」
「一種の強制催眠のようなもので、ポケモンの闘争本能を常に保たせるために、これにはある薬を投与しているわけです。凶暴になったのはその反作用ですが、全て計算のうちですかね」

 何という男だ。自分の研究のためならば、ポケモンの”心”がズタボロになってもいいというのだ。

「さあジュカイン、やってしまいなさい。奴らはお前の敵だ……痛めつけてしまえ!」

 その声を聞いた途端、虚ろだったジュカインの目がくわっと開いた。
 まるで、その声に抗いたくても抗えないような。
 狂ったような表情で吼えたそれは、地面を蹴り、一気に間合いをつめる。
 フラエッテとテールナーは既に瀕死寸前。このまま戦わせるのは得策ではないと判断したそれぞれの主人-----------トロバとサナは2匹をボールに戻すと、新たなポケモンを繰り出した。

「いっくよ! エネコロロ!」
「頼みましたよ、プテラ!」

 ボールから新たに繰り出されたのは、化石ポケモンのプテラ、そしてお澄ましポケモンのエネコロロだった。エネコロロは以前サナが所持していたエネコが進化したもの。プテラはトロバが秘密の琥珀をコウジンタウンで復元したものだった。
 一方のマロンはバオッキーがまだ戦える上に相性的に有利のため、そのまま戦わせることに。
 そして、飛行タイプのプテラならば少なくともジュカインには相性が良い。

「受け止めろ、プテラ!」

 鋭い牙を装備した大顎でジュカインの腕に噛み付くプテラ。悲鳴を上げたジュカインは即座にもう片方の腕をプテラの頭に振り下ろすが、そこで何かに見とれているのか、腕が止まってしまう。
 ---------おや? 何が起こったのでしょうか。

「プテラ、フリーフォールだ!!」

 そのままプテラはジュカインを天井付近まで連れ去り、そこから-----------突き落とした。
 ズドォン、と落下音と言う名の痛々しい音が響き渡った。

「まさか----------!!」

 エネコロロの異性を惹き付ける誘惑の体制、これは正しくメロメロだった。
 メロメロとは、異性を惹き付けることで攻撃させにくくする技。サナとしても一か八かの賭けだったのかもしれないが、こうも決まるとは。
 しかし。

「ギィエエエエエアアアアアア!!」

 再び、落下地点からジュカインが吼えた。
 天井付近から落とされてもそこそこのダメージしか食らっていないのは、間違いなく彼が高低差の激しい場所出身である”密林ポケモン”だからであろう。

「実験は最終段階……そろそろ本気で叩きのめさないと、ですね!」

後書き:すっごい久々な気がする後書きです。今回、七炎魔の上級連中が御三家(冒険の最初にもらえる3匹のポケモン)を使ってきたわけですが、これにもきちんと法則はありまして。
バーミリオン→刀のイメージがあるダイケンキ
オペラ→メガシンカでドラゴンが追加されるジュカイン
カーマイン→作者が運よく4Vヒコザルを手に入れていたため、ゴウカザル

といった具合です。ちなみにジュカインはメガシンカするかというと、それは最後までわかりませんよ? 作者って結構話の方向変えたりするので。


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