二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産
日時: 2015/07/13 03:02
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

”読者の皆様へ”

 はい、どうも読者の皆様、自分はタクと申します。どこかで、見かけた事があるかもしれませんね。二次で、ポケモンとか、デュエマの小説を書いていました。
 今作は、ポケットモンスターXYのストーリーをモデルとしたものです。
また、オリジナル要素が多々あります。そして、今作から後書きを付けることにしました。まあ、書く事がないときは、何も書いてないかもしれませんけど。応援、よろしくお願いします!

ポケモン第六世代を最初に飾るゲームソフト、XYのノベライズ化!! 最後まで是非、ご覧あれ!!

登場人物紹介>>12
 
プロローグ
>>01

アサメタウン編
>>09 >>10 >>11

ハクダンシティ編
>>21 >>22 >>23 >>40 >>41 >>42 >>45 >>47

ミアレシティ編
>>50 >>51 >>52 >>53 >>56 >>57 >>61

コボクタウン・パルファム宮殿編
>>62 >>68 >>69 >>71 >>76 >>77 >>79 >>80

コウジンタウン編
>>83 >>86 >>87 >>90 >>95 >>96 >>99 >>102 >>103 >>104 >>110 >>111 >>112 >>113

ショウヨウシティ編
>>114 >>115 >>119 >>120 >>121 >>124 >>125 >>126

シャラシティ編
>>127 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147 >>149 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>158 >>161

ヒヨクシティ編
>>164 >>165 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>173 >>174 >>175 >>176 >>179 >>182 >>183 >>184

ミアレシティ編2
>>185


ss・短編置き場

1.木登り騒動 >>148

飽き性な作者ですが、応援よろしくお願いします。また、読者の皆様の意見を聞きたいので、コメントには感想を添えてくださると幸いです。

Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.43 )
日時: 2013/11/17 22:25
名前: 大光 ◆HynV8xBjBc (ID: msPhCitR)

ありゃ?オリキャラ募集は終わってしまいましたか。まあ、仕方ないですね。
そんなことより、テイル戦は実力の差でカルムの負けでしたか。でもセレナには、そんなことは関係なかったようですがね。
続くジムリーダーのビオラ戦は、フィールド的に不利な状況でしたが、カルムがポケモンのことを第一に考えながら戦うことに気付き、見事に巻き返せましたね。果たして、カルムはビオラの最後のポケモンを倒すことができるのか!?

Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.44 )
日時: 2013/11/18 07:33
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

大光さん

どうも、コメントありがとうございます。オリキャラ募集の件、すみません。意外にも早く沢山集まったため、早く締め切ろうとしてしまいました。
テイルは、今作では相当な実力者です。カルムの先輩的なポジションで、彼を支えていきます。あと、今作でカルムは結構、負けることが多い・・・・・・かもです。
はい、ビオラ戦ですが、今作ではこのように特殊なフィールドを使ったジム戦が多くなると思います。そのため、クリア済みの方や、まだ未プレイの方でも楽しめるようにしています。

それでは、また。

第十話:VSハクダンジム戦 パート2 ( No.45 )
日時: 2013/11/22 07:05
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「私の2番手、華麗にシャッターを切るのよ、ビビヨン!」

 ビオラは、振りかぶってボールを投げる。中からは、大きい羽根を持つ蝶のようなポケモンだった。鮮やかなカラーの羽根、白いドットが表示された目。そして、1対ずつの小さい腕に足。
 ひらひらと羽根を羽ばたかせ、まるでGホイホイのようなネットがまき散らされた下に、さらにロープのネットで構成されたアリアドスフィールドをガン無視し、微笑んでいた。

「フィ、フィールド意味ねえええええ!!」

 思わずそう突っ込んだ。そもそも、カルムが飛行タイプのポケモンを連れていれば、こんなことにはなっていないのである。

「ってわけで、こっちから行くわよ!ビビヨン、まとわりつく!」
「へっ!?」

 次の瞬間、ビビヨンはニャスパーの体を掴み、締め上げた。これにより、ニャスパーは身動きがとれない。直後、グギッと音がして、ニャスパーは超能力を発していないのに白目をむく。

「あら?超能力を出しているのかしら?でも、何にも起こらないわ。ビビヨン、もう一回、締め上げ・・・・・・じゃなかったまとわりつく!」
「ビオラさん、ギブギブギブ!!3,2,1、ニャスパー、ギブ!完全に気絶してるんでしょーが!!」

 恐ろしいことに、一瞬違う言葉が聞こえたような気がしたが、気にせず続ける。
 これで、プロレスのゴングが在れば、しゃれになったのだろうが、世の中そう都合良くできているわけでもなく、ただただ無念なボールにニャスパーを戻す際の光線音だけが響いたのであった。

「く、くそっ!骨を持って行かれたか!」

 いや、ポケモンはそういう小説ではないので、ニャスパーの骨が持って行かれたわけではない。ましてや、どこかの筋肉ファイターのように戦うのではないので、割愛。

「最後はお前しかいねえ!行け、ケツマ・・・・・・じゃなくてケロマツ!!」
「ねえ、今間違えたわよね、間違えたわよね!!」

 ビオラのつっこみと、ケロマツの冷たく白い視線をガン無視し、カルムは指示を出した。まずは、攻めなければ意味がない。

「まずは、一発!ケロマツ、機動戦だ!飛び上がって、水の波動!」
「シャッターを切らなきゃ、写真は撮れない!攻撃しなきゃ、相手は倒せない!アグレッシブに攻めるわよ、ビビヨン!風起こし!!」

 ビオラの指示と共に、ビビヨンは大きな羽根を羽ばたかせ始める。風が巻き上がり、ケロマツは飛ばされそうになった。が、風こそ吹いているものの、間一髪耐えきりジャンプ。そして、水流が放たれる。
 ビビヨンに見事、水流は直撃。ふらふらと、失墜しそうになるが、立て直す。まだ、風は巻き起こっている。さらに、

「ビビヨン、痺れ粉!」

 直後、ビビヨンの羽根から無数の鱗粉が流れ出る。風に乗った鱗粉は、一気にケロマツに直撃。そして、ケロマツの体が痙攣し始める。

「な、何が・・・・・・そうか、麻痺状態!!」
「そうよ。攻撃重視のアメタマとは違って、私のビビヨンは状態異常を絡めた防御重視タイプ。その戦法は、相手を状態異常にして、その間に好き放題やってしまおうっていう戦法よ。」

 自信たっぷりに言うビオラ。どうやら、戦法を相手に明かしても、なお、勝つ自身があるらしい。本から引っ張り出した知識を、フルに活用し、現在の状況を分析するカルム。このままでは、まずい。状態異常というハンディに加えて、フィールド面でも、こちらはハンディを被っているのである。不利、不利、不利。大事なことなので、3回言いました。

「く、くそっ!ケロマツ、立てるか?」

 ケロマツは頷く。しかし、このままではまずいのは明確。

「どうするの?ギブアップかしら?」
「ネバーギブアップですよ!この一戦、負けるわけにはいかないんだ!」

 そう言って、カルムは缶コーヒーを再び、ぐびっと飲み干した。そして、すっきりしたような顔で、ビビヨンを見据える。

「行くぞ、ケロマツ!お前はまだやれる!飛び上がって、掴み掛かれ!」

 忍者の如き勢いで、飛び上がるケロマツ。しかし、ビビヨンは急上昇して避けてしまう。やはり、麻痺状態では分が悪い。

「もっとだ、もっと飛び上がれ!」

 しかし、さらにジャンプを繰り返し、フィールドの壁から、さらに飛び上がる。

(なんて機動力・・・・・・!それだけなら、私が見てきた中では、麻痺状態を入れても最高クラス・・・・・・!さっき来た子も、すごかったけど、やっぱり最近の新人は強い!けど、こっちも簡単にバッジは渡さないんだから!)

 すると、ビオラはさらに指示を出した。

「ビビヨン、急降下!そのまま、シャッターを切るのよ!シグナルビーム!」

 光線は、ケロマツを吹っ飛ばす。しかし、ケロマツは何とか耐えきる。そして、電流が迸った。それは、ケロマツの体が痺れているということを、明確に表していた。接近しながら、さらに2度目の砲撃を至近距離で放とうとするビビヨン。この距離でシグナルビームをぶっ放されたのでは、もはやケロマツの負けは確定したと言っても過言ではない。

 しかし、一方のカルムにも策があった。

(勝った!奴が接近してきた今、賭けるしかない!)

「ケロマツ、今だ!ビビヨンに掴まれ!」

 次の瞬間、麻痺のしびれを表すかのようにケロマツの全身を迸っていた電流が、止まった。

「なっ・・・・・・!」

 ビオラは声を上げた。つまり、ケロマツは自ら状態異を回復させたのである。

(これは・・・・・・ポケモンとトレーナーが信頼し在ってるからこそ、起こる現象!でも、あの子は実力からして、まだ旅だって間もないはず・・・・・・!)

 何が起こっているのか、それはビオラにも分からなかった。おとぎ話では済まされない。

(まさか、あの子にポケモンを引き寄せる力があるって言うの!?)

「そのまま、ビビヨンをネットにくっつけろ!!」


 しまった-----------------と思っても、もう遅い。ビビヨンは、ケロマツに掴みかかれたまま、地に落ちてもみ合った。そのうちに、羽根にねばねばネットがからみつく。まるで、アリアドスに捕らえられたかのように、ビビヨンの体は完全に束縛されてしまったのである。

「嘘・・・・・・!まさか、あれが仇になるなんて!」

 もともと、ビビヨンが地面に落ちることを想定して作ったフィールドではない。そのため、もはや手の打ちようがなかった。

「いっけえ!ケロマツ、水の波動!」

 水流が炸裂した。ビビヨンは動かなくなり、目を回している。

「・・・・・・カルム君、私の負けよ。戻って、ビビヨン。」

 ビオラは、静かにそう告げた。





「貴方の見事な勝利よ、カルム君。」

 ビオラは、ジムの玄関でカルムに言う。

「私を倒したトレーナーは多いけど、あんな方法で倒されるなんて思わなかったわ!また、バトルしましょ!」
「はいっ!」

 カルムも、ピンチの中楽しんでいた。良い、バトルと言えたであろう。ビオラが、小さな箱を取り出した。

「これは、私に勝って、ハクダンジムを制覇した証である、リーグ公認のジムバッジよ!」

 中からは、カブトムシをイメージしたような、輝くバッジが現れる。

「バグバッジよ!受け取って!」
「あ、ありがとうございます!!」

 こうして、カルムは見事ハクダンジムを制覇し、ジムバッジを手にしたのであった。




「ねえ、カルム君。これね、テイル君からよ。」

 ジムを出た後、ポケモンセンターでパンジーが話しかけてきた。ポケモン2匹を回復させたカルムは、興味ありげに近づく。

「ポケモン勝負の極意を、あいつが感じ取ったって思うなら渡してくれって言われてるの。ほら、ポケモン図鑑!」

 それは、テイルから取り上げられていたポケモン図鑑だった。

「テイル君が、”いきなりこんなマネをしてすまなかった。”って。」
「そんな・・・・・・最後に逃げた僕の方がよっぽど悪いのに・・・・・・。」
「まぁ、その辺は気にしないで良いんじゃないの?そうそう!貴方、次はどうするか決めてる?」

 確かに。ここからは、どこに行けばいいのか分からない。

「ここからは、ミアレシティが一番近いわよ。」
「ミアレシティ・・・・・・か。カロス1の大都市ですよね。観光雑誌で見たことがあります。」
「じゃあ、決定ね。あそこのジムリーダーのシトロン君は、電気タイプの使い手!数々の発明を作り出し、若き天才とも呼ばれているの!」

 若き天才・・・・・・相手にするなら、相当手強い相手になりそうだ。そして、行き先は決まった。
 今日は、ひとまず泊まろう。明日から、大都市ミアレシティに向けて、出発だ。

キャラクターファイル1:カルム ( No.46 )
日時: 2014/10/04 09:44
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)

「この一戦、絶対負けるわけにはいかない!」

カルム 男 13歳

容姿:赤い帽子を被っている。また、サングラスはお気に入り。青いジャージが特徴。
性格:誰にでも優しく、基本好かれる好人物。しかし、自分の眠りを邪魔する者には、容赦ない。バトルでは、好戦的な一面を見せることもある。基本、ボケの立ち位置。たまに、せこい一面が見え隠れすることも・・・・・・。
解説:極度の寝ぼすけで、定期的にコーヒーを摂取しないと、寝てしまう。そのため、バッグはコーヒーメーカーと缶コーヒーで埋まってしまっている。自身も、コーヒー愛好家。いつもは穏やかに見えるが、それは本来の好戦的で乱雑な性格を無理矢理押し殺しているからである。そのためか、危機的状況に遭ったときや、キレた時などに一人称が「僕」から「俺」に変わったり、口調が乱暴になる。
一人称:僕、俺
二人称:君、お前、アンタ

手持ちポケモン

ニャスパー→ニャオニクス:♂
技:サイケ光線、サイコショック、念力、チャームボイス
特性:マイペース→悪戯心
性格:冷静、昼寝をよくする
経緯:3年前の誕生日に貰った、幼馴染み。
解説:遠距離用の、アタッカー。苦手な悪タイプに対しても、弱点のフェアリータイプの技、チャームボイスで応戦可能。
進化して、特殊火力も上がったため、よりエスパー技の需要が上がったといえる。
備考:カルムによくなついている。また、飼い主に似たのか、寝ぼすけの上に眠りを邪魔する者には、必殺猫パンチを炸裂させる。
SSでの特徴:普段は冷静な突っ込み役だが、一度危機的状況に立たされたが最後、まず落ち着こうと素数を脳内で数え始めるが、素数ではなく偶数を数えている程パニックに陥る。一人称は僕、二人称はお前。
過去の技:ひっかく

ケロマツ→ゲコガシラ:♂
技:水の誓い、飛び跳ねる、電光石火、煙幕
特性:激流
性格:せっかち、物音に敏感
経緯:引っ越しの際、サナ達から貰った。
解説:高機動力を生かして、ガンガン動き回る。どんな相手に対しても、向かっていき、電光石火で潰していく。また、強敵には飛跳ねるによる空中からの強襲をお見舞いする。また、煙幕で忍者のように相手を攪乱することもできる。
備考:たまに、名前を間違われる。しかし、カルムのことを主として認めている。ちなみに、進化してからは名前を間違われる事はなくなった。
SSでの特徴:忍者のような話し方をするが、はっきり言ってヘタレでダメなやつの典型。言っていることは正論だがいちいち腹が立つ。後、たまに忍殺語とか某忍者漫画のパクリネタを使ったり。一人称は拙者、二人称はヌシ。
過去の技:泡、水の波動、睨み付ける

プラスル:♀
技:ほっぺすりすり、電光石火、10万ボルト、メロメロ
特性:避雷針
性格:無邪気、逃げるのが速い
経緯:カルムの気を引くために5番道路で悪戯をする。その後、ドードー戦で助っ人に入り、カルムにゲットされた。
解説:悪戯好きで、黒い一面が見え隠れするのは、カルムにも少し似ている。事実、仲良くする、やほっぺすりすりなど、一見可愛らしい技を使うが、結局使われた相手はひどい目にあう。状態異常や能力変化を生かした技を多用。
備考:カルムを気に入っており、いつも帽子の上に乗るように。飼い主に似たのか、やはり黒い一面が見え隠れする、小悪魔系。
SSでの特徴:上記の通りそのままの小悪魔系で、♂勢をメロメロで誘惑しに行く。普段は頼れるお姉さんなのだが……。実は甘えん坊。
過去の技:電気ショック

モノズ:♂
技:竜の怒り、岩雪崩、噛み砕く、頭突き
特性:張り切り
性格:控えめ、好奇心が強い
経緯:オペラに用済み、と捨てられたところをカルムに救ってもらい、紆余曲折を経て自ら手持ちに入った。
解説:高い攻撃力を生かした戦法で、ガンガン攻めまくる。岩雪崩や噛み砕くで、一撃を相手に与え、さらに竜の怒りで追撃を行う。
備考:元はオペラの手持ちだったが、使えないため捨て駒にされた。また、散々虐待を加えられた過去があるため、未だに人を信用していないところがある。しかし、カルムやその周りの人間に対しては警戒を解いている模様。しかし、凶暴竜サザンドラの進化前だけあって、この時点でも高いポテンシャルを秘めている。
SSでの特徴:純朴な性格で大人しい。困ったことがあれば見過ごせない良い子……なのだが、特性が災いしたのか、つい”張り切り”すぎてしまうこともしばしばある。

アチャモ→ワカシャモ:♀
技:スカイアッパー、二度蹴り、ブレイズキック、ニトロチャージ
特性:加速
性格:陽気、喧嘩が好き
経緯:秘密の琥珀と卵をトロバと交換してもらい、その卵から孵った。
解説:戦い時間が長引けば長引くほど動きが速くなる特性・加速によって長期戦を得意とする。また、攻撃力に物を言わせた戦法でどんな相手でも必ず1体は持っていく。
備考:もふもふはカルムのお気に入り。アチャモの頃は寝るときもニャオニクスそっちのけで抱いていたとか。流石に進化してからはそうでもなくなったんだとか。
SSでの特徴:今話題の熱血格闘娘。え、何? 今話題の格闘娘はメガミミロップじゃないかって? 馬鹿! それを言うんじゃない! 
そして修行に信念を燃やしている根性馬鹿。プラスルの悪ふざけにまんまと組み込まれることも多い。

第十一話:レッツ共同戦線 ( No.47 )
日時: 2013/11/28 18:31
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: wJNgr93.)

 4番道路、パルテール街道。ここには、色とりどりの花が満ち溢れていた。・・・・・・かつては。

「確かに、ひどいっすね・・・・・・。」

 カルムは呟いた。先ほど、朝食を済ませ、パンジーにお礼を言い、ハクダンを出たカルム。しかし、そこにあったのは、花畑・・・・・・いや、正確に言えば”葉がない”花畑だった。何と、全ての花の葉が食い荒らされているのである。
 そして、庭師のおじさんが泣いていたのを見かねて、カルムが話しかけたところ、おじさんも「こんなことは初めて」と言っていた。

「葉っぱがなくなったら、花は生きていけないだよ〜!何とかして、原因を突き止めないと、今度はパルテール街道の別の花畑がやられるっぺ!」

 おじさんの初見の判断は、これだった。カルムも、花は好きな方だ。放っておけば、今度は別の花畑がやられるかもしれない。

「僕、協力します!」

 そう元気よく言い、「虫退治」に協力することにしたのだ。





「はわわ〜!ている先輩、どこ行っちゃったですか〜!」

 だぼだぼの白衣を着た女性・・・・・・いや、少女は慌てた様子でうろついていた。綺麗なピンク色をした長髪は、手入れしてないのかボサボサ。可愛らしい顔立ちにも関わらず、所謂”ぐりぐりメガネ”で台無し。要するに、残念な少女だった。
 踏み出したいつものパルテール街道。花で満ち溢れている。しかし、次に足を踏み入れた途端、彼女は”異変”に気付いた。

「なにこれ・・・・・・皆枯れちゃってるです〜!」

「おーう、”マロン”!おせーぞ!」

 低く、凛々しい声がする。見ると、黄色の髪の男、テイルだった。

「ているせんぱーい!先行っちゃダメって、何回言ったらわかるですか!」
「わりぃわりぃ、だけどよ。花畑が一夜で枯れるなんて現象、今までにあったか?」

 テイルは、この現象の解明のために動いていた。そして、花を一つ一つ見ながら、ポケモンの大量発生が原因である、と判断した。

「マロン、葉っぱ喰う虫ポケモン。お前の頭の中から、”捜して”くれないか?」
「了解です!」

 元気よく答えると、マロンは目をつぶった。そして、次の瞬間、

「あった、ありました!」
「そうか!流石、”歩くポケモン白書。”」

 テイルは、そう言ってマロンを褒める。マロンは、照れたように頬を赤くした。テイルは、彼女が仲間になってよかったと頭で繰り返す。プラターヌ博士の言葉を思い出した。




「君は、絶対記憶能力って知ってるかい?」

 1か月前。プラターヌ博士は、麦茶を飲んで休憩しているテイルに向かって、そう切り出した。

「絶対記憶能力・・・・・・っすか。一度覚えたものを絶対に忘れない体質のことっすよね。」
「そう。今度入る新人研究員は、正しく”それ”なんだ。」
「へぇ。」
「それだけじゃない。彼女は、見たものから得れる視覚情報から分かる要素・・・・・・例えば身長なんかを、無意識に頭が計算してしまうんだよ。そして、結果を暗記してしまう。ポケモン図鑑も、その能力を参考にして、さらにパワーアップさせたんだ。」

 テイルは驚いた。入ってくる人間は、恐らく相当の天才なんだと期待していた。しかし、入ってきたのはドジばかりの天然っ娘だった。最初こそ、期待はずれだったテイルだが、今では自分のエモンガの次に頼れる相棒である。





「んじゃあ、何がヒットした?」

 テイルは聞いた。

「せ、先輩・・・・・・。」

 マロンは、答えを言う前に指差した。テイルは、「俺の顔になんかついてる?」と聞いたが、彼女は首を振る。テイルは思わず、振り返った。次の瞬間-------------------------そこにあったのは、”敷布団”と”掛け布団”だった。

「ぬわぁ〜にぃ〜!?なぜに布団!?誰か寝てやがるのか!?寝てんのか!?」

 そう叫んでダッシュ。そして、敷布団を引っ剥がす。当然、上に乗っていた”何か”は、転げ落ちた。
 その正体は-------------------------

「カ、カルム・・・・・・。」

 見覚えのありまくる少年だった。

「あ、おはようっすテイルさん。もう、夜中の12時にはなりましたか?」
「まだ、昼にもなってねーよ馬鹿!何やってた!」

 テイルは思いっきり突っ込んだ。カルムは寝ぼけた様子で答える。

「そりゃあ、今日は徹夜で害虫退治するから、今のうちに寝ておこうと思ってですね。」
「お前も、害虫退治か・・・・・・。」
 
 テイルは呆れたように言った。

「え?ところで、そこの女の子は?先輩の彼女っすか?先輩、ロリコンなんすか?」
「しばくぞ馬鹿。後輩だ。」

 一応言っておくが、テイルは18歳。もう、立派な青年である。

「こいつはマロン。こないだ、研究所に新たに配属された、研究員だ。」
「はわわ〜!とれーなーさん、よろしくです!」

 カルムは布団を片付けながらマロンを見る。確かに、テイルが犯罪者になってしまいそうな体格の少女だ。全体的に華奢で、幼い。

「ちえっ、もうちょいでロリテイルになるところだったのに。」
「俺はロリコンじゃねえぞ!!いっとくけど、お前より背が少し低いだけで、こいつは16だ。おめーの背が高すぎんだよ。」

 驚いた。まさか、16歳とは。ちなみに、カルムの身長は165cmメート程。13歳では、結構高い。

「んじゃ、2人が結婚してもテイルさんは犯罪者にはならないんですね。合法なんスね。」
「いい加減にしろ馬鹿。」

 カルムの冷やかしに、怒りを見せるテイル。「さて-------------」と無理やり本題に入った。

「この辺の害虫、いつ出てくるか分からん。はっきり言って、こいつは昼夜両方で出てくるかもしれんぞ。」
「せーんーぱーい!多分、この葉っぱ食べたのって、レディバじゃないでしょうか!」

 七星ポケモン、レディバ。成る程、それならやりかねないとテイルは思った。考えれば、最近ポケモンの異常発生が多すぎる。

「レディバか。なんなら、話は早いぜ!出てくるまで、待機だ。」

 と、言うとテイルは電子ゲームを取り出し、ピコピコ鳴らし始めた。こんな時にゲームかよ、と突っ込みそうなカルムだったが、また彼の機嫌を損ねかねないので、あきらめた。





「あのー、テイルさん。」

 カルムがテイルの服を引っ張る。

「るっせーな、今ドラゴンファンタジー8やってんだよ、今ラスボスなんだよ、騒がしい。」
「いや、そうじゃなくて・・・・・・。」

 気付けば、自分たちは正しく”それ”-------------------------レディバに囲まれていた。

「しまったぁー!!今何時だ!!」
「夕方の4時です〜!はわわぁ〜!テイルさん、どんだけゲームやってるんですか!」

 ----------------時は数時間前にさかぼる。テイルはゲームをしていて動かない。仕方なく、カルムとマロンは昼食を食べに行った。結構、話が合い、意気投合していた2人は、テイルを放ったまま早4時になっていたことに気づく。そして様子を見れば、案の定テイルは、まだゲームをしていた。止めさせようと、20分経過。そして、いつの間にか、レディバの群れに囲まれていたのだ。----------そして、現在に至る。

「テイルさん、数が多すぎます!僕たちの逃げ場はないっすよ!」
「やべぇ、肩こった。首いてえ。」
「ゲームのし過ぎだよ、アンタ!!」

 レディバは、てんとう虫のようなポケモンだ。硬い羽と薄い羽の二段構成でできた、4枚羽根で飛び回り、小さな虫や葉を食べる。しかし、テントウムシに益虫と害虫がいるように、レディバにも食べる物に好みが分かれる。この場合、害虫だったというわけだ。

「害虫の駆逐!それ、最優先事項っしょ!行け、ケロマツ!」
「俺もだ、行けエモンガ!!」

 モモンガポケモン、エモンガ。テイルは2匹所持しているが、そのうちの1匹を繰り出す。マロンもボールを投げる。

「あ、あたしもですっ!行くです、ノズパス!」

 コンパスポケモン、ノズパス。鼻が、磁石の役割をしている、岩タイプのポケモンだ。

「これで、こっちは3匹。とっとと、害虫駆除と行きましょうか!」
「言われるまでもねえ。ぶっつぶす!」

 3人は、身構える。

「ケロマツ、水の波動!」
「エモンガ、エレキボール!」
「ノズパス、岩石封じですっ!」

 こうして、レディバ退治は、3人がレディバを全滅させることで、終焉したのだった。


後書き:今回、またまた新キャラ登場しました。新人研究者のマロンです。言動も、容姿も幼いのですが、16歳です。彼女の手持ちをノズパスにしたのは、特に意味はありません。ただ、なんとなくです。テイルがゲーマーという設定も、なんとなくです。はい。ちなみに、カルムも13歳にしては背が高いという設定です。それでは、次回をお楽しみに。

・・・・・・にしても、レディバの扱いが酷いことに今更気づく。


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