二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産
日時: 2015/07/13 03:02
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

”読者の皆様へ”

 はい、どうも読者の皆様、自分はタクと申します。どこかで、見かけた事があるかもしれませんね。二次で、ポケモンとか、デュエマの小説を書いていました。
 今作は、ポケットモンスターXYのストーリーをモデルとしたものです。
また、オリジナル要素が多々あります。そして、今作から後書きを付けることにしました。まあ、書く事がないときは、何も書いてないかもしれませんけど。応援、よろしくお願いします!

ポケモン第六世代を最初に飾るゲームソフト、XYのノベライズ化!! 最後まで是非、ご覧あれ!!

登場人物紹介>>12
 
プロローグ
>>01

アサメタウン編
>>09 >>10 >>11

ハクダンシティ編
>>21 >>22 >>23 >>40 >>41 >>42 >>45 >>47

ミアレシティ編
>>50 >>51 >>52 >>53 >>56 >>57 >>61

コボクタウン・パルファム宮殿編
>>62 >>68 >>69 >>71 >>76 >>77 >>79 >>80

コウジンタウン編
>>83 >>86 >>87 >>90 >>95 >>96 >>99 >>102 >>103 >>104 >>110 >>111 >>112 >>113

ショウヨウシティ編
>>114 >>115 >>119 >>120 >>121 >>124 >>125 >>126

シャラシティ編
>>127 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147 >>149 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>158 >>161

ヒヨクシティ編
>>164 >>165 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>173 >>174 >>175 >>176 >>179 >>182 >>183 >>184

ミアレシティ編2
>>185


ss・短編置き場

1.木登り騒動 >>148

飽き性な作者ですが、応援よろしくお願いします。また、読者の皆様の意見を聞きたいので、コメントには感想を添えてくださると幸いです。

Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.123 )
日時: 2014/03/02 23:59
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

白黒さん

コメント返しで今更感が漂いますが、それは置いておいて、コメントありがとうございます。

まず、フレア団は階級ごとに名前の由来が違うんですね。まず、上級は赤系の色(例として、オペラ・由来はオペラレッド)。中級はセルリアンのように青系の色、そして下級は黄系の色(例としてクローム・由来はクロムイエロー)と言った感じです。

そして、やっぱりフリルは負けました。まぁ、ヌメラの変則的な戦い方に少し苦戦した程度でしょう。

そして、セルリアンが使っているタイプはお察しの通り虫です。ミツハニーは、完全に彼らを舐めて掛かっていたということしか言えません。ビビヨンは保険をかねて、ですが。後、ミツハニーが使っていたのは、虫のさざめきです。うっかり、詳しく描写するのを忘れていました……。

ザクロは、こういう所を二次創作で引っ張っておきたいというものがありました。結果、良い人に。まあ、結果オーライ?ということで。

というわけで、次回もお楽しみください。まあ、今度はデュエマのほうも疎かになるかもしれませんが。後、ポケダンの小説、”ポケモン不思議のダンジョンContinue of Red”連載開始しました。前回のポケダン小説の反省を得て、今回は正統派のクリア後二次創作です。暇があればご覧になってください。

それでは、また。

第四十六話:VSショウヨウシティジム パート1 ( No.124 )
日時: 2014/10/04 09:42
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sPkhB5U0)

「行きなさい、アマルス!」

 ボールが空を切って、スイカ状に割れた。中からは、小さな首長竜のようなポケモン、アマルスが現れる。
 寒色の肌に、長い眉毛が特徴的だが、愛らしい瞳もなかなか良い。

「形式は、2対2のシングルバトル。交代はチャレンジャーにのみ認められます」
「この間と同じか。よし」

 ボールを握り締めて放る。空を切ったボールは、ビーム状の光線を吐き出す。それは、だんだん形を持った質量と化し、ゲコガシラを象った。
 
「氷タイプの技は、水タイプにはあまり効かない。そしてこっちには速さがある。トロい岩タイプはついてこられない!」

 有利だ、という自信がカルムの中に出てくる。
 しかし、カルムは気付かなかった。

 自信と過信は紙一重だということに。

「いっくぜ、ゲコガシラ! 電光石火!」

 先制攻撃。
 目にも留まらない速さで迫っていくゲコガシラ。その姿は、忍そのもの。

「アマルス。電磁波」
 
 ザクロが指を指して叫んだ。
 アマルスの体が少しだけ光る。
 ビリッ、という音が走った。そして、ゲコガシラの体の中を一気にオーバーラップ。ゲコガシラは、アマルスに突撃する直前に体制を崩して腕を着いた。
 電磁波。
 今までに何度も見たことがある技だが、まさか此処で目にするとは思わなかった。どう見ても、岩タイプのアマルスとは無縁だと考えていたからだ。

「ちょっ、ま、えぇっ?!」
「電磁波という技は、電気タイプ以外にも多くの種類のポケモンが覚えることが出来る技です。空気中に常に漂っている微弱な電気-----------つまり、電磁波と呼ばれるものをコントロールするだけの精神力さえあればね」

 もっとも、電気タイプならそんな苦労は必要としませんが、とザクロは続けたのだった。
 まずい。今ので、ゲコガシラの長所といえる素早さは少し消えた。

「そして-------------フリーズドライ!!」

 次の瞬間、乾燥した空気が辺りに漂った。感覚で分かる。肌がカサ付いていく独特の感覚----------何より、唇が乾いていくのが証拠。

 そして、一気にゲコガシラの周りに冷気が纏わりつき、氷塊となる。

 さらに本来ならば、そこまでダメージは大きくないはずなのに、ゲコガシラが既にボロボロだということが驚きだった。
 
「フリーズドライは、水タイプのポケモンに対して効果抜群になる特殊な技です。岩タイプを舐めてもらっては困りますね」
「はっは……失敗、失敗、さあどうするかな……」

 ゲコガシラは既に満身創痍と言った状態だ。
 しかし、カルムとしてはこんなところで、まだ落ちて欲しくはない。

「待て、そうだ! ゲコガシラ、飛び跳ねる!」
「逃がしませんよ、アマルスの攻撃は飛び攻撃が多いんですからね! オーロラビーム!」

 直線状に飛んでいく、虹色の光線。
 だが。カルムには考えがあった。


「そっから、紐なしバンジーだ! 急降下、アクアジェットだ!!」

 
 直線状の光線を横切り、一気にアマルスの背中へ降下するゲコガシラ。
 だが、この程度ならばダメージは少ない。
 そう、この程度ならば。

「連結、グロウパンチ!!」

 連結技。連続で隙のない攻撃を放つ、テイルが使っていた戦法。これならば、かわす暇などない。麻痺しているとは言え、素早さは伊達ではないのだ。
 そして、グロウパンチという格闘タイプの技は、氷・岩タイプのアマルスに対して効果抜群の技だったのだ。サナのテールナーを見て、是非覚えさせようと思い、覚えさせたのだった。
 事実、空を切ったゲコガシラの拳は、アマルスに直線的に到達した。一気に、力が伝わっていく。
 そのまま、弾き飛ばされたかのようにアマルスは倒れた。だが、まだ起き上がって闘志を見せる。

「良いですね……カルム君。その意気です。そのまま、目の前に聳え立つ壁を越えてみなさい!!」
「言われなくても、分かってますよ! ゲコガシラ、煙幕だ!」

 突如、煙幕で体を覆うゲコガシラ。
 しかし、何処にいるかは分かってしまう。
 
「フリーズドライです、アマルス!」
「ざーんねーんでしたッ!」

 冷気は一気に襲い掛かった。カルムも感じるほどに。
 しかし煙幕が晴れると、そこには何も無い。
 気付けば、上空にはゲコガシラが。

「くっ、再び飛び上がっていたわけですか! 本当に忍者のようなポケモンですね、ゲコガシラは……ですが、そろそろアレが発動してもおかしくはない」

 不敵な笑みを浮かべるザクロ。
 急降下するゲコガシラ。
 その時だった。
 ゲコガシラの体の筋肉が引きつった。そして、何も出来ないまま、落ちていく。
 痺れる体でゲコガシラは虚空を睨む。
 まさか、麻痺の効果がここで現れるとは。

「くそっ、何でだよ! だけど、ここで押し切れば!」
「いえ、これで終わりです。アマルス、フリーズドライ!!」

 再び、冷気とともに、ゲコガシラの体が乾燥していく。水タイプは、乾燥が一番嫌いなのだ。
 そして----------------ゲコガシラは倒れた。

「効果抜群の技を一度喰らっても倒れなかった根性と素早さは認めます。が、まだまだ詰めが甘いですね」
「つ、つえぇ……さすがジムリーダー。そのアマルス、まだ闘れるみたいですね」

 さて、どうしたものかとボールを握りなおすカルム。
 少し考えて、ボールを投げた。

「ゴー、ニャスパー!」

 結局、以前のジム戦と面子は同じになったが、まあ良いだろう。と、思いつつ闘うことにする。
 
「行くぜニャスパー! 僕達のバトルはこっからだ!」

 ニャー、と答えるかのように鳴き、ニャスパーは目の前の相手を見据えた。
 さてどうするか。
 まず、電磁波で動きを封じられるのは確実。
 ならば、封じられないようにはしたいが-----------------。

「なら、出鼻を挫く! ニャスパー、行け!」

 たっ、と勢い良く駆け出すニャスパー。また、先制技だろうか。しかし、動きがおかしい。
 直後、パンッとニャスパーはアマルスの眼前で手を叩く。
 驚いて目を閉じるアマルス。
 次の瞬間には、ニャスパーの姿は無い。
 直後、ザクロは気付いた。ニャスパーがアマルスの下------------つまり、四足歩行ポケモンの弱点ともいえる部分に滑り込んだことに。

「猫だまし……ですか!」

 ダメだ、対応しきれない。

「ニャスパー、サイケ光線だっ!」

 超念力の光線が、アマルスを直撃した。
 その後、アマルスはふらふらとよろめいた後、地面にへたり込んで動かなくなった。
 戦闘不能だ。

「良くがんばりましたねアマルス。よく休んでください」

 ザクロはアマルスをボールに戻すと、カルムを見据えた。

「どうやら、思い上がっていたのは私のようです。改めて、お詫びをしたい。ですが、最後の砦はそう容易く落とさせません」
「ええ、僕だって!」

 ここで、最後のバトルが始まる。互いのエース同士のバトルが。

後書き:はい。実に2ヶ月ぶりの更新ですが、待っていただいた読者の皆様、申し訳ございませんでした。デュエマの方に集中していた所為で……。しばらくは、こっちも更新しようとは思うので、何卒応援よろしくお願いします。
それでは、次回はショウヨウジム戦ラストです。お楽しみに。

第四十七話:VSショウヨウシティジム パート2 ( No.125 )
日時: 2014/04/29 23:37
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

「それでは、私の最後の手持ちです。行きなさい、チゴラス!」

 ザクロが最後に繰り出したのは、幼君ポケモンの名を冠すチゴラスと呼ばれるポケモンだった。
 アマルスとチゴラスには、共通した特徴がある。
 それは、古代を生きていたポケモンだということ。今の技術で、化石から細胞を再び蘇らせることに成功し、この世でまた生きることになったのである。
 その中でも、チゴラスの系統は王者として恐れられたポケモン。
 伝わってくる。体こそまだ小さいが、君主としての覇気が。

「ニャスパー、ここが正念場だ! 行くぞ!」

 まず、手始めにヤツの動きを止める、基本である。
 カルムは早速、速攻でケリをつけにかかった。

「ニャスパー、サイケ光線!」

 ニャスパーの眼が白く光る。腕を振り上げると、紫色の渦を巻いた光線が一直線にチゴラスへ。サイケ光線は喰らえば確率ではあるが、相手を混乱させる効果がある。ここで打ったのは正解だ。
 しかし、ザクロとてジムリーダーだ。
 ここで簡単に負けるわけにはいかないのである。

「チゴラス、岩石封じ!」

 光線が届く寸前、3秒、2秒、1秒、そこで岩が一気に降ってきた。
 チゴラスへ到達するための回路はそこで断たれることになった。

「岩を弾除けに!?」
「しただけなら、良いんですけどね?」

 上空を見れば、ニャスパーの真上にも岩が迫る。それも、何十個もの数が。
 岩を降らして、相手の動きを封じる技、それが岩石封じである。
 しかし、今のは明らかにニャスパーを狙っている。

「避けろ!」

 指示が通り、咄嗟の条件反射で一気にかわすニャスパー。しかし、ニャスパーの周りを円を作るようにして一気に岩が降り注ぐ。
 ------------しまった、ブラフか!

「フィニッシュ!!」

 真上から特別大きな岩石が轟々言いながら降ってきた。
 避けられない。
 しかし、止めることならば出来る。

「念力だ、ニャスパー!」

 岩が寸前で止まり、破裂した。
 念力によって、岩を破壊したのである。さらに、同時に全ての岩を吹っ飛ばす。これで、自由にはなれた。

(つっても、このままじゃ一方的な防御ゲーだ……どうするよ、俺)

「まだです、今度は噛み付く!」
 
 やべっ!
 と回避の指示を出す。
 が、間に合わずにチゴラスの大顎がニャスパーに襲い掛かった。
 大顎は、がぶり、とニャスパーの胴へ-------------------。

「ニャ、ニャスパァー!!」

 呼びかけるカルム。
 しかし、当のニャスパーは苦悶の表情を浮かべ、膝を付く。

「くそっ、どうすれば--------------」


 --------------主人、早く指示を---------------!

 頭の中に声が響いた。
 声の主は、最初は分からなかった。
 しかし、直感した。

 正しく、目の前に居るニャスパーが俺に呼びかけているるか、とようやく理解した。

 心を落ち着ける。
 今、ここでどうすれば良いのか。
 弱点技を喰らって、いまにも限界のニャスパー。
 このまま闘わせるならば、どうするべきか。

 -----------俺が今、此処で慌ててどうすんだよ!

 そうだ、今ならば、ここで至近距離でぶつけることができるはずだ。
 一か八か、賭けるしかない!

「オーケー、ニャスパー。サイコショックだ!!」

 応えかたの様に頷いたニャスパーは、眼を白く光らせると、そのまま大量の念じ球をチゴラスにぶつけた。
 驚いて、顎を離すチゴラス。
 
「まだだ!! そのまま、連続で放て放て放て!!」

 どらららら、と念じ球が爆ぜては現れ、爆ぜては現れる。

「この程度じゃ、落とせませんよ! チゴラス、岩石封じ!」

 再び降りかかる岩石の影。

「くそっ、またか!!」

 しかも、今度はさっきの倍ほどの岩石が降りかかってくる。今度は、小細工抜きで一気に倒すつもりらしい。
 岩石がニャスパーを埋め尽くした。
 しかし、カルムは見逃さなかった。
 ニャスパーの体が一瞬光ったところを。

 -------------ご主人、僕を信じて!

 ああ、分かってる。
 お前のことは誰よりも知ってるつもりだ。
 だからよ、驚かせてくれよ!!
 今度も、俺を!

「勝負ありましたね」
「決め付けんなよ、勝手にさ! 案外、人生もバトルもどっちに転ぶか、分かんないもんだぜ!!」

 次の瞬間、光が岩から差し込んでくる。
 一筋、また一筋、と光は増えていく。


 そして------------岩とともに、光が一気に広がった。

 ばちん、という音とともに、そこにいたのはニャスパーではない。
 既に、姿を変えた相棒の姿。
 青い体毛に、くるりと巻いた尻尾。そして折りたたまれた耳。
 抑制ポケモン、ニャオニクス。
 ニャスパーの進化後のポケモンだ。

「こ、これは------------!? まさか、このタイミングで進化するなんて!」

 驚きと同様が隠せないザクロだったが、同時に笑みを浮かべて見せた。

「ですが、尚面白い!! 私達も全力で相手しましょう!! チゴラス、噛みつきなさい」

 ガアアッ、と咆哮したチゴラスが再び迫る。
 しかし、それはカルムの一言でかき消された。


「カッ飛ばせ」


 ざっくりとした言葉だった。
 しかし、一瞬で勝負はついた。
 無数の念じ球がチゴラスへ襲い掛かる。
 全て、高速ならぬ光速で。
 残像が紫色のラインを引っ張っていく。

 勝敗など、わざわざジャッジが確認するまでも無い。


 ***

「私の負けです。まさか、あの状況で進化するとは」
「いや、逆に言えばあの状況で進化していなければ、僕は負けていました」
 
 ザクロの長い手が伸びる。手のひらの上には、茶色に輝くバッジが。

「ウォールバッジです。貴方は久々に、私を熱くさせてくれた。いえ、前置きなんていりませんね。リーグ公認のこのバッジを渡します」
「確かに、受け取りました」

 バッジを指で掴む。

「ありがとうございます!」

 礼を言うと、カルムは足取り早くポケモンセンターへ向かうのだった。

 ***

「何故だ? 何故この時代にこんなものが---------------」

 少年は、呟いた。ルカリオとフライゴンを連れたトレーナーだ。廃工場を見て回ったものの、他にめぼしいものは見つけられなかったのか、後にする。
 唯一つを除いては。

「石-----------か」

 少年は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。

「考えていても仕方がねえ」

 そう言うと、フライゴンに跨る。

「俺は未来を変える。そのために、此処に来たんだ」

 少年の姿は空へ消えた。
 その後姿は、何故かさびしかった。

第四十九話:ちゃもちゃもぱにっく ( No.126 )
日時: 2014/05/04 14:55
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

***

「お、生まれてくるぞ!」

 ジム戦を白星で終えて、ポケモンセンターの宿泊用個室に帰った後、カルムは1つのことに気付いた。タマゴが光っている。もうすぐ、新しい命が生まれてくるのである。
 というわけで、さっきからずっと
 
「なぁ、見てくれよニャオニクス。もうすぐタマゴから僕達の新しい仲間が生まれてくる!」
「ニャオ!」

 嬉しそうな笑みでタマゴを抱えるニャオニクス。

「おいおい、落とすなよ、ハハハ」
 
 タマゴの光がいよいよ強くなった。

「お、生まれてくるぞ!」

 一気に光が差し掛かったとき、ピシッとヒビが割れる。
 ------------来た来たァー!
 ニャスパーが生まれてきたときのことを思い出した。
 あの時も同じような感じだったな。

 タマゴの殻が割れて、出てきたのはヒヨコのようなポケモンで、オレンジ色の体毛、そして黄色い毛が3本ほど頭からはねており、黒々とした愛くるしい眼をしていた。
 が、この時のカルムは-----------。

「かーわーいいい!!」

 すぐさま、生まれたばかりのポケモンを抱き上げた。それは不思議そうに首を傾げる。その仕草でも既にカルムはノックアウト。
 完全に、そのキュートな容姿にハートを射抜かれてしまったらしい。
 
「何だこいつ、すげえ可愛い、やべぇ、僕もう鼻血が出そうなんだけど!? しかもすっげーモフモフしてるし、あったかい! もふもふもふ」

 こりゃダメだ、と言わんばかりにニャオニクスの冷たい視線。しかし、それを気に留めることもなく、そのポケモンを愛でていたカルムだった。

 ***

『そのポケモンは、アチャモって言うんだ』
「へーえ、そうなんですか」

 プラターヌ博士にテレビ電話で聞いたところ、この地方のポケモンではないらしかった。分類はひよこポケモンで、ホウエンに生息するらしかった。

『しっかし、あのタマゴからこんな珍しいポケモンが生まれるとは僕も予想しえてなかった』
「はい! 大切に育てます!」

 大切に育てるに決まってんだろ、と。
 通話を切り、ふと辺りを見渡す。
 さて、先ほどまでアチャモを外に出していたが、どこに行ったか……あれ?
 ”外に出していた”?

「しまったぁー!! ボールに戻すの忘れてたぁー!!」

 いない。何処を見ても居ない。
 まずいことになった。万が一、街の外に出て野性ポケモンにでも襲われたら、まだ上手く戦えないはずのアチャモがどうなるかは、ご想像がつくだろう。

「ちくしょぉ、僕の馬鹿馬鹿、馬鹿ぁ!! どうすりゃ良いんだ!?」

 ***

「ちゃもちゃもちゃも〜♪」

 陽気にトコトコ街を歩くアチャモ。さて、しばらく歩いただろうか。広場のような場所に着いた。見れば、ピンク色の大きな穴が目の前に広がっている。

「ちゃも?」

 首をかしげてみる。だが、好奇心が抑えられず、中へ--------------。

「待てぇぇぇ、アチャモォー!! それはマルノームの口だあああ! 中に入ったら食われるぞぉー!」

 毒袋ポケモン、マルノーム。その大きな口で何でも丸呑みにしてしまう、軟体類のようなポケモン。近くにトレーナーらしき人物が、友人らしき人物と会話しているところを見ると、恐らく、そのトレーナーが連れ歩いていたものと考えて良いだろう。
 主人の叫び声が聞こえたので、振り向くアチャモ。
 だが、マルノームの上あごが迫る。

 間一髪。アチャモはマルノームに飲まれずに済んだ。何故ならば、直前でヘッドスライディングしたカルムがアチャモを腕へ抱き寄せたからである。
 が、

(我が人生に一辺の悔い無し)

 カルムの頭は身代わりに飲まれたのだった。


 ***

「ったく、勝手に出歩くなよ……」

 何とか、マルノームのトレーナーのおかげで助かったカルム。しゅん、と項垂れるアチャモ。

「ああ、でも悪かったよ! ボールに戻してなかった僕もさ」
「ちゃも……」

 ベンチでふぅーと息をつく。そして、いつもの如く缶コーヒーを一気飲み。

「ふぅ〜、落ち着いた……」

 ***

 シャラシティ。この街の名物は、半島に聳え立つ”マスタータワー”だ。しかし、今は外壁が崩れ、多くの作業員が修理を行っていた。

「やはり、襲撃があったのは本当だったらしいな」

 テイルは目の前の、今にも崩れかかりそうな塔を見上げて言った。
 フレア団の襲撃。それにより、多くのキーストーン、つまりメガシンカの際に必要となる石が奪われたのだった。

「畜生、襲撃があったのは俺達がコウジンタウンに行っていたときか」
「ですです。ているせんぱいっ、とにかくフレア団の行方をおわないと」
「たりめーだ、連中ブチのめさないと、俺の腹の虫は納まらない!」

 ***

「どうだ? ここ、カロス地方に来た感想は」
「まあまあって感じかな」
「ああ、そうか。ならば良かった。我輩も年だ、もう足腰が持たんでな。近々、我輩の権限もお前に託そうと思っている」
「もー、弱気なんだから。で、あの子の所在は掴めたの?」
「今は旅をしているらしい」
「そう。なら良いわ」
「さて、この地方に伝わる伝説のポケモンだがな、ようやく復活させることにしたらしい。やはり、アレは伝説のポケモン無しでは動かないらしいからな」
「へーえ、それにしても良いところよ? ここはさ」


----------------”壊す”のが惜しいくらい、ね。


後書き:さて今回、ようやくというべきですか、ショウヨウシティ編がようやく終わりました。アニメでも丁度、ショウヨウシティが終わったところだったので。
次回予告ですが、今回のラストに登場した男女は、後々現れる予定です。いよいよシャラシティ編ですが、もうカルムの手持ちが5体という……。

第五十話:衰弱の変 ( No.127 )
日時: 2014/05/05 13:47
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)

 10番道路、メンヒルロード。見たところ、普通の草原地帯である。そう、所々に石版が連なっている、ということを除けば。
 次の都市、シャラシティを目指してセキタイタウンへと向かうカルム。この草原地帯さえ抜ければ、直ぐに着く、のだが……。
 大昔の遺跡かと思った。
 にしても、妙である。
 と、そこに影。野生ポケモンかと思って、身構える。見れば、ダークポケモンのデルビルだった。しかし、様子がおかしい。
 足腰がふらふらしており、立っているだけでも精一杯のようだった。
 これは、捕獲する分には問題なかった。
 すぐさま、ボールを投げると、すんなりと中へ。あっけなかったほどだ。
 ポケモンを出すまでも無かった。
 辺りを良く見渡してみれば、衰弱して動けないポケモン達が沢山いた。ブルーにシンボラー、ゴビットにヤンヤンマ……。
 妙だ。一体何が起こっているのか、全くわからない。
 ただ、捕獲する分には全く問題なかったが。
 というわけで、ちゃっかりこの辺りのポケモンは、殆ど種類を揃えたカルムであった。

 道をどんどん進む。その時だった。
 カルムは草原の奥に、赤い色を見つける。
 直感した。
 フレア団の下っ端だ。奴らが何かを知っているのかもしれない、とすぐさま走る。が、止めた。
 ここでバトルを挑んでも良い。だが、もっと良い方法がある。
 奴らのあとを付けてさえしまえば、こっちのものだ。
 地面に這い蹲って、相手を見据えて匍匐前進-----------------。

「何やってんのお隣さん」
「ひ!?」

 思わず振り向くカルム。
 セレナだ。
 そして、その声に気付いたのか、下っ端達はこちらを振り向いた。

「誰かいるのかぁー」
「出てきなさい! 早く出てきたほうが、身のためよ!」

 大人の男女の声が聞こえてきた。
 やばい、感づかれたか!

「あー、もうっ!! セレナの所為で全部台無しじゃないか!」
「台無しって、何が!!」
「見たら分かるだろう? あいつらを追ってたんだよ!」
「それで、あんな変なポーズをしてたのね」
「ポーズっつーか、匍匐前進っ!」

 そうこうしている間に、フレア団の下っ端は近づいてきた。

「おうおうおう、お前知ってるぜ? 身の程知らずのガキんちょか」
「大人の世界に首突っ込むと、痛い目見るわよ? 覚悟なさい」

 赤いスーツに、赤いサングラス。
 手にはしっかりと、ボールが握られている。

「突撃! コロモリ!」
「行け、ズバット!」

 蝙蝠のような姿をしたポケモンが2体。だが、余り大したことはなさそうである。

「覚悟すんのは、アンタらだっての!」

 ここに来るまで、メンバーは全員鍛えておいた。
 無論、こいつも例外ではない。

「行け、アチャモ!」

 カルムが繰り出したのは、アチャモだった。この辺の野生ポケモンを倒せるだけの力量は身に付けさせたつもりだ。
 セレナも続けてボールを放った。

「頼んだわよ、アブソル!」

 セレナが繰り出したのは、災いポケモンのアブソルだった。白い体毛に彎曲した角が特徴的である。赤い瞳は、美しくもあり、同時に妖しささえも感じさせた。

「ガキの育てたポケモンに負けるわけがないだろうが! ズバット、エアカッターで連続攻撃だ!」

 ズバットの翼から、真空の刃が放たれた。空を裂き、ぎゅん! という音諸共迫ってくる。

「アチャモ、回避! そのまま動き続けて、狙いを定めさせるな!」
「おほほほほ、そんな戦法通じるとでも思ってたの? コロモリ、念力よ!」

 コロモリの意識が、アチャモへと向かった。アチャモの体が浮かび上がって、叩きつけられる。即座に「大丈夫か!」と声を掛けるカルム。
 しかし、それは一迅の風にさえぎられる。

「あーあー、あんたらがアチャモに狙いを定めてくれたおかげで、こっちはやりやすかったわ。無視してくれたお返し、きっちりと付けてあげるから!」

 セレナの凛とした声が聞こえる。
 気付けば、アブソルの周りを空気の渦が巻いている。そして、アブソルが角を振るうと同時に、エアカッターとは比べ物にならない、空気の渦がコロモリとズバットに襲い掛かる。

 轟! と一瞬、何かが裂けるような音がしたかと思えば、そこにもうズバットとコロモリの姿はない。草むらで隠れて見えないが、今のダメージを食らって、タダで済んだとは思えない。
 現に今、ボールにポケモンを戻していた。


「騒がしいね? 僕を差し置いて楽しそうなことやってるけど」


 人影が近づいてくる。白く染まった髪、黒いサングラスで眼を覆い、そして真っ黒なスーツ。それに、稲光が走ったような黄色の模様が入っている。体型からは、少年のものだと思われた。
 しかし、何者かはすぐに分かった。フレア団の紋様が入ったバッヂを胸に着けている。

「お前も、フレア団だな!!」
「ああ、そうさ。別に名乗って困ることもないし、名乗っておくとするか」

 少年は間を置くと、指を鳴らす。すぐさま、影がカルムとセレナへ飛び込んでいく。
 暗闇ポケモン、ヤミラミだ。それが、自分の喉下につめを宛がっている。もう一匹は抜け殻ポケモンのヌケニンだった。
 両方共、”シャドークロー”の構えをしている。

「少し、大人しくしてもらおうかな。僕の名はネープル。異名は、『炎魔導士(アストー・ウィザード)』だ。覚えててもらおうかな」
「で? これは何のマネよ」
「だから言っただろ? 僕らは自分達の所在を掴まれるのが嫌なんでね。もし、君らが飛行系のポケモンを持っていて、空から追跡されたら元も子もないからね。もしも妙な動きをしたら----------------その時点で喉に風穴開いた変死体が2つ、転がることになるよ? 良かったねー、大ニュースになると思うよ」
「あー、やっぱりバレてた?」
「ああ。匍匐前進しながら、僕らを追おうとしていた君の姿は、お笑いだったぜ」

 ネープルは、皮肉気に笑った。

「まあ、やっぱり気が変わった。お前ら今のうちに潰しておくわ」

 残酷な笑みを浮かべる。絶体絶命。カルムとセレナに、凶刃が迫る----------!


後書き:どうも、最近更新が再び戻ってきたタクです。もう、お察しの方もいるかとは思いますが、当初前作(幻のクロスワード)との関連を入れなかったつもりが、大分入れることになりました。路線変更ってやつですね。
ただ、前作とXYの時系列に注目してみてください。そうすれば、また新たな謎が浮いてくるはずです。
近々、前作を今の文力でリメイクにしようかという考えもあるので、(気が変わるかもしれませんけど)まあ期待しない程度にお楽しみに。
さて、2人はこれからどうなるのか。かなり、他の炎魔の中では残虐な性格のネープルですが、彼……いや彼女の名前の由来はネープルイエローから取ってるんですね。
上級→赤系の色
中級→青系の色
下級→黄系の色
といったようにですね。
そして、階級ごとにも階位があるのですが、あれは炎魔だけではなく、他の中級、上級、に属する下っ端達も入れた階位です。後々、直属部下も募集するかもしれないので。
今回はかなり長くなってしまいましたね。それでは、また。


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