二次創作小説(紙ほか)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産
日時: 2015/07/13 03:02
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

”読者の皆様へ”

 はい、どうも読者の皆様、自分はタクと申します。どこかで、見かけた事があるかもしれませんね。二次で、ポケモンとか、デュエマの小説を書いていました。
 今作は、ポケットモンスターXYのストーリーをモデルとしたものです。
また、オリジナル要素が多々あります。そして、今作から後書きを付けることにしました。まあ、書く事がないときは、何も書いてないかもしれませんけど。応援、よろしくお願いします!

ポケモン第六世代を最初に飾るゲームソフト、XYのノベライズ化!! 最後まで是非、ご覧あれ!!

登場人物紹介>>12
 
プロローグ
>>01

アサメタウン編
>>09 >>10 >>11

ハクダンシティ編
>>21 >>22 >>23 >>40 >>41 >>42 >>45 >>47

ミアレシティ編
>>50 >>51 >>52 >>53 >>56 >>57 >>61

コボクタウン・パルファム宮殿編
>>62 >>68 >>69 >>71 >>76 >>77 >>79 >>80

コウジンタウン編
>>83 >>86 >>87 >>90 >>95 >>96 >>99 >>102 >>103 >>104 >>110 >>111 >>112 >>113

ショウヨウシティ編
>>114 >>115 >>119 >>120 >>121 >>124 >>125 >>126

シャラシティ編
>>127 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147 >>149 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>158 >>161

ヒヨクシティ編
>>164 >>165 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>173 >>174 >>175 >>176 >>179 >>182 >>183 >>184

ミアレシティ編2
>>185


ss・短編置き場

1.木登り騒動 >>148

飽き性な作者ですが、応援よろしくお願いします。また、読者の皆様の意見を聞きたいので、コメントには感想を添えてくださると幸いです。

第四十話:新たなる道へ ( No.113 )
日時: 2014/01/26 15:10
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

 次の日の朝。

「・・・・・・旨いか?」

 「キュィー」と少し弱い鳴き声が返ってきた。少しずつ、だけど確実に。心を開いてきたと感じるカルム。
 -----------だけど、こいつの心の傷は深い。
 さっき、「俺のところに来ないか?」と聞いた際、モノズは初めて自分のほうを向いた。
 だけど、駆け寄ってくるようなことはしなかった。やはり、深いのだ。

 彼の心の傷は。

 ナイフで刺されるよりも深い傷は、外傷以上に酷かったのだ。その傷は、生涯治らないだろう。決して。

「今の僕のメンバーには、お前のその馬鹿みてぇな火力が必要なんだよ。」

 微笑んで、言ってみせた。偽善使いの笑みだとしても。モノズはこっちに顔を向けた。
 洞窟での戦い。あの竜の怒りによる火力は、進化前にも拘らず、強大なものだった。
 
 それでも、尚。

 とまどってる。信用してもいいのか、分からないという表情が読んで取れた。

「その代わり、約束してやる。」

 例え偽善使いでも、これだけは言えた話だ。大したことはできない。すぐに眠くなる上にバトルも言われるほどは強くない。大して女の子にもてるわけでもない。
 目立った長所なんか、1つもない。

「僕がお前を、絶対に守ってやる。お前を二度と、こんな目には合わせない。」
 
 それでも、これだけはできた。こんなダメ人間にも、これだけはできた。


 ”信頼し、護る事”


「まぁ、別に僕じゃなくても気に入ったトレーナーに着いて行けば良いんだけどね。」

 ちょっと意地悪だったと思う。だけど、自分についていくかどうかは、モノズの渠知るわけだし。だが、最後に「でも、僕はお前が放っておけない。だって-----------------------お前は昔の僕に似ているから。」と言って、さっき預けたポケモンたちの様子を見に行くことにした。
 が-------------------

「ぐえっふ!!」

 あごに強烈なスカイアッパーが炸裂。蹲って思わず顎を抑える。見れば、セレナの姿が。

「ちょっと。あれだけ臭い台詞を吐いておいて、まさかモノズを仲間にしないつもりなの?」
「いや、だってさ。助けたのに付け込んで無理やり仲間にするわけにはいかないわけじゃんか、顎痛ッ!!」

 うずくまったまま、そう答えた。

「貴方そういうのばっかりよねぇ〜。どっちかというと、お情けで着いてきてもらってるようなものじゃない。例えばプラスルとか。」
「お情けとは何だ!!これでも一応、此処にくるまでに何匹か捕まえてきたんだぞ!?ズバットにフシデにタブンネ、カクレオン、バルビートにロゼリア、グレッグルにキバゴ・・・・・・。」
「分かった、分かったわよ!悪かったわよ。」

 謝るセレナ。顎の痛みがようやく引いてきて、頭を上げる。が、カルムは自分が今、セレナの正面に座っていたことに気付く。

 -------------中が丸見えだった。

「・・・・・・水色?」
「こんのど変体がァー!!!」

 即座にセレナに蹴っ飛ばされるカルム。彼女が視界から消え、ドシャッという音と同時に、自分が床に衝突したことに気付いた。
 このままでは、ポケモンが回復したのに、自分は瀕死という醜態を醸す事になりそうだった。

「君が悪いんだろ、痛い・・・・・・。」
「ほんっとにデリカシーの欠片も無いのね!」
「そういう君は、おしとやかさの欠片も無いのね!痛ッ!!顎が割れたァー!!」

 そんなやり取りを繰り返すうちに、そろそろ出発の準備をせねば、と感づいたカルムだったが、まずはひりひりする体を冷やしてからになりそうだったのであった。




「すっげーッ!!広い海だなァー!!」
「そうね!」

 リビエールラインの海岸側は、昨日バトルでも訪れたばかりだったが、改めてみてみると、海の壮大さが身にしみてくる。
 セレナと並んで、しばらく広大な水平線を眺めて居た。

「しっかし、さっきから鞄が重い・・・・・・。」
「気のせいじゃないの?」
「いや、今日はまだ缶コーヒーを10本しか買っていないはずなのに・・・・・・。」
「多ッ!?」

 思わず、鞄を下ろした。
 確か、鞄の行方の経緯はこうだった。
 あの後、部屋で少し休んだ。そして、鞄をモノズのケージのあった場所に置いてきたことに気付く。そのとき、モノズはケージの中にいなかった。
 そして、セレナが「結局、モノズったらどっか行って貴方の仲間にはならなかったわね。」と零した。
 そして、鞄の中身は朝整理していたため、大して中身も確認せずにポケモンセンターを出たのだった。

「・・・・・・。」

 鞄の中身を開けてみた。そこには、見覚えのありまくる黒い小竜が居た。というか、頭を突っ込んで、後ろ足だけバタバタさせている。見た目は、全身毛に包まれた、見るからに温かそうな・・・・・・。

「モノズゥゥゥゥゥゥゥ!?」
「鞄に入って着いてきていたのね。」

 鞄に頭を突っ込んだまま、出られなくなっている光景は微笑ましかった。仕方なく、鞄をひっくり返して出してやった。
 どうやらカルムに着いていくつもりらしい。

「かわい〜!改めて見てみると、結構愛着沸くわね!」
「あ、まぁ・・・・・・な・・・・・・。」

 腕にモノズを抱きかかえるカルム。ほんのり温かかった。

「なぁ、僕達と一緒に行くか?」

 疑問形になったが、あくまでもこれは------------確認の問いかけだった。
 モノズは一度大きく鳴くと、頭を差し出した。
 頷いて、カルムはモンスターボールをこつんと額に当ててやる。
 赤い光が収束して、モノズを包み込むと、ボールの中へ入った。

「よし、これからは僕が守ってやるからな。一杯、楽しいこととか教えてやるからな。」

 画して、新たなる仲間を手に入れたカルム。セレナと共に、次の町、ショウヨウシティへ向かうのであった。





「フフッ・・・・・・カロス地方かぁ〜。」

 少女は、果てしなく広がる水平線を見据えると、そういった。
 そして、1枚の写真を手に取る。
 そこには、黒い髪に赤い帽子をかぶった少年と、自分自身の姿。

「やっと会えるんだぁ〜、楽しみだなぁー。」

 微笑む少女の背景には、荒廃し、枯れ果てた大地が広がっていたのだった。


後書き:今回、ようやくコウジンタウン編完結です。さて、次回からはショウヨウシティ編突入です。今回も至って平常運転でしたね、はい。最後に出てきた少女の正体も結構先になるとは思いますが、いずれ明かすつもりです。それでは、また。

第四十一話:探偵 ( No.114 )
日時: 2014/02/06 00:51
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「ショウヨウシティ……2つ目のジムまで長かった、うっうっ」
「いや、泣くほどの事でも無いでしょ」

 目頭を押さえるカルム。確かに、ハクダンからここまで、相当長かった気がする。長いようで短いような……という懐古をやってるうちに、セレナは先に進みだしてしまうのであった。

「ちょっと待て! 置いてくのか!? 人がせっかく感動に」
「浸るくらいなら、とっととジム戦したほうがいいわよお隣さん」

 そういうと、とっとと彼女はジムへすっ飛んでしまうのだった。
 が、一番は彼と一緒に居たくなかった。というより、居られなかったのだった。


 ***

 セレナはジムには居なかった。
 彼女は、ポケモンセンターで1人、コーヒーのブラックを飲んでいた。

「苦ッ……」

 慣れない味で、少し嫌な顔をした。カルムは、平気な顔していつも飲んでいたが、彼女は苦手だった。
 特にブラックコーヒーのような苦い飲み物は。
 
『それに二度と触れるな……!』

 ぞくり

 怖かった。
 でも、カルムはカルムだ。嫌いになれるわけなかった。

 大事な、友達だから。

 自分が足手まといだろうとセレナは感じてしまっていた。
 彼が困っているなら、自分が助けてあげたかった。
 だけど、それはなかなか叶わなかった。

「……私、もしかして……」

 思わず頬がほんのり紅く染まっていくのが分かった。
 知らないうちに意識していた線はある。
 だけど、まだ会ってほとんど経っていない。
 と、言っている間に、既に色々あって1ヶ月経ってしまったのだけれど。
 色んなカルムを見てきた。

『ポケモンバトルの極意って……分かるか?』

 強さを求めている彼も。

『これは俺の戦いだ!! 野郎をぶっ潰さない限り、俺は何回でも立ち上がってやる!!』

 絶対に諦めない彼も。

『……僕、あいつが放っておけないんだ』

 優しい彼も。

「ほんと、どれが本当のカルムなんだろ」

 素がなかなかわからない、それがカルムという人物の魅力でもあった。
 だけど、知りたかった。

 本当の彼が。

「あいつって、本当にブラックコーヒーみたいよね」

 苦い部分も、黒いところも。だけど、優しい香りがするところも。全部ひっくるめて見守っていたくなる。
 失敗しても、助けてやりたくなる。

 ああ、そうだ。

 どれが本当なんて関係ない。
 能力なんて関係ない。


「何が何でも、カルムはカルムじゃない……」


「大方、君は友人の彼の力になってあげたいと思っている」

 声が聞こえた。それも、低調な男の良く響く声だった。

「な、何ですかいきなり!」
「だが、友人の彼は冷たくてなかなか取り合ってくれない。それでも尚、君が彼に執着しているのは」
「カルムは冷たい奴なんかじゃない!」

 男の姿は、季節外れな茶色いコートに同色の帽子、口にはパイプを咥えており、左手には文庫本を携えている、というものだった。
 思わず、その格好を見て呟いた。
 
「探偵?」
「きどりの男と言ってほしい。確かに僕は探偵だ。だが、公式に事務所を構えているわけじゃないから、傍から見れば探偵きどりの嫌な趣味の男ということになる。僕は唯、物事を推理するのが好きなだけなんだけどね」

「さて------」と名探偵は話し始めるときに切り出すという約束がある。今回、男も同様だった。

「さっきの話に戻るが、何故君がそこまで彼に執着するのか」
「な、何が言いたいんですか!」

「そんなの簡単だろう」と男は答えた。表情一つ変えた様子も見せずに。


「それは君が彼のことが好きだから、では不十分かな?」


 図星だった。
 が、即座に口では否定する。

「ちょ、何言ってるんですか! ていうか、会っていきなり……」
「おっとすまない。僕の悪い癖が出てしまった。この地方は平和で、最近事件も無いものだから、推理する機会がなくなってしまったのでね。もっとも、趣味の悪い”赤スーツの一味”がこの地方で暗躍しているのは知っているがね」
「あ、赤スーツ……まさか、フレア団!?」

 男は、驚いたようなそぶりをはじめて見せた。

「ほーう。知っているんだね?」
「は、はい。た、戦ったこともあります」
「ビンゴ。それなら、尚更だ」

 男は、パイプに火をつけて続けた。

「そうだ。さっきのお詫びに、僕の知っていることを教えてあげよう。だが、その前にどこまで知っているか、教えてもらおうか」


 どうやら、男はフレア段のことを調べているようだった。
 そのため、セレナからも情報を聞き出したいようだった。
 その代わり、こちらからも情報を提供するということ。

 つまりは、情報交換ということだ。

 セレナも、フレア団のことが気にならないわけではなかった。むしろ、その逆だ。
 連中を放っておけば、何をしでかすか分かったものではない。
 一度戦いを交えた以上、尚更である。

 彼女の正義感が、奴等の悪事を許すわけが無かった。

 だが、何よりここで聞いたことをカルムに教えて、彼の力になりたかった。

「分かりました。ただ、その前に名前も知らない相手に教えるわけにはいきませんから」
「分かっている。名乗っておこう。僕の名前は、クリスティだ。よろしく」
「私はセレナ。ポケモントレーナーです」

 始めてあった相手のはずなのに、何故か信用が出来てしまう。クリスティという男は、そういう目をしていた。
 まず、手始めにセレナは七炎魔将について話した。そして、奴らが上級、中級、下級の序列に分かれていることも。
 そして、今までに会ったオペラ、バーミリオン、クロームのことも話した。

「……成るほど。僕が思っていた以上に、事は大きいらしい。ならば、こちらからも話しておかなければな。七炎魔将は知らなかった。だが、その代わりに”それらよりも格上”の幹部のことも話しておかなくてはなるまい」
「七炎魔将がフレア団の最高幹部じゃないんですか!?」
「嗚呼。奴らの中でも最上位に位置する幹部。【絶望の使徒(ハッピーエンド・チルドレン)】。」
「は、【絶望の使徒(ハッピーエンド・チルドレン)】!?」

 つまり、彼の言うところはそうだった。彼曰く、それらは四人で構成されている”破壊部隊”であり、カロス以外の地方を襲撃するのが目的だということ。
 それも、警察などの治安部隊だけを攻撃し、反抗を防いでいるということだ。
 カロスでそれを行わない理由は、まだ分かっていないが、本拠地をカロスのどこかに構えていることを悟られるのを防いでいるからだという。
 つまり、カロスではまだ、コボクタウンでしか表立った動きはしていないのである。
 そして驚いたのは、【絶望の使徒(ハッピーエンド・チルドレン)】が名前からも察すことができたものの、全員子供で構成されていることだった。

「ただの子供と侮ってはいけない。奴らは全員、【子供の皮を被った化け物(ミュータント)】と忌み嫌われた。1人だけ、経歴が分からない奴がいるがな。それは置いておいて、全員が迫害によって故郷を追われている」
「ま、まさか異形の能力を持っていたからとか?」
「そうだ。全員が、超能力を持っている。能力というのは、ある北の地方では割とポピュラーだが、そんなものではない。ある者は、気候を操ることが出来、ある者はポケモンと直接ココロを通わせ、ある者は直接命を奪うことも出来るのだからな」

 クリスティはそういうと、もう一度パイプに火をつけた。

後書き:今回、新キャラがまたしても登場しました。自称探偵、クリスティですね。この男がバトルをするかどうかは置いておいて、今作で重要なキャラであることは述べておきましょう。
そして今回、結構重要な単語が色々出てきています。これ、テストに出るぞー(嘘)
それでは、次回更新もお楽しみに。

第四十二話:フリル ( No.115 )
日時: 2014/02/06 04:12
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「あんにゃろォ、どこ行ったんだ?」

 ジムに行くといっておきながら、どこかへ蒸発してしまったセレナ。

「ま、アイツのことだ。大方、手持ちのポケモンの調整だろうなー」

 そういいながら、肩に乗ったニャスパーを見てくしゃりと撫でてやる。
 それよりもうすぐ、タマゴが孵りそうだった。
 見れば、もう光りだしている。
 あと、1時間ちょっと? ぐらいか。
 さてと。ここまで来れば分かるように、カルムは今ジム戦に挑戦しようと決意を固めていた。
 決意を固めていた。
 固めていた。

「……」

 緊張、乙。
 いざ入ろうと思ったら、足が動かない。
 あれ?ジムってどうやって入るんだっけ状態である。
 次の瞬間だった。

「うっ、うっ、またまけちゃった……」

 声が聞こえると同時に、自動ドアが開く。
 思わず、カルムは引き下がった。
 少女。いや、幼女? ランドセルにソプラノリコーダーが似合うこげ茶色の髪を持った少女が、セーラー服を着てポケモンが入っていると思われるモンスターボールを握って自動ドアを潜ってきた。

「……えーっと、君?」

 思わず声をかけた。
 別にナンパとかそういうのではなく。


「君、何歳?」


 明らかに地雷を踏んだ台詞を思わず放ってしまったのであった。

「……よ」
「は?」
「わ、わたしもう13だよっ、ポケモンだって持てるよっ」

 少女は、そういった。
 確かに、そういった。
 たぶん、耳の穴を開拓しても同じだと思うが。
 
 確かに、そういった。

「……あ、そ」

 -----13じゃねえだろおおおお!!
 どっからどうみても、百歩譲っても8、9だよ!?

 と、心の中で突っ込みを入れるカルム。
 ひくひくつり上がる口角。

「うん、何か悪かった……」

 そういうと、身を翻してカルムはポケモンセンターの方向へ。

「……」

 視線を感じた。
 何か、ここから離れてはいけないような気がする。

「ねー、ねー?」
「何?」

 カルムは振り向いて答えた。

「きみって、バトルつよい?」
「あー」

 答えるべきか。
 まあ、もうなるようになれ。

「強いって言ったら、強いけど?」
「ふーん、それじゃあさ」

 彼女は続けた。

「わたしとバトルしよ?」

 ------ですよねェー!!
 強いか聞かれた時点でフラグ立ってたよ!?
 何でだ? 何故だ?
 
 僕はジムリーダーに挑みに来たんだぞ!?

 と、ややヒステリック君になりながら、頭を抱えるカルム。

「目と目が合ったら、ポケモンバトル、だよね?」
「な、何も町の中でやることは……」
「それじゃあ」


 ***

 -------リビエールライン海岸側
 
 波の音が耳を打つ。清清しい潮風が心地よい。砂浜を踏みしめて、カルムは開口一口突っ込んだ。

「場所変えただけじゃねえかァー!!」

 いや、確かに町の中じゃアレとは言ったけども。

「わたし、強くなりたいの」
「強くだあ?」

 見たところ、さっきジムリーダーにボロ負けしてきたみたいだった。
 強くなりたいと思って、自分に勝負を挑んだのか。
 仕方が無い。肩慣らしと思ってやろう、と何だかんだつけてバトルしようと思うカルムだった。

「わたしはフリル。よろしくね」
「ああ、僕はカルムだ。それよりさ、お前見たところさっき負けてきたみたいだけど、戦えるポケモンいるの?」
「いるよ? 二対二だったけど、わたし三匹持ってるから」

 それなら良かった。
 ならば、新しく手に入れた手持ちを存分に活躍させるまで。

「んじゃあ、バトルは一対一のシングルだ。いいな?」
「おーけーだよ? じゃ、いっくよ!」

 そういうと、ボールを握るフリル。
 相手の外見が幼いとはいえ、油断は禁物。どんな化け物を隠し持っているか、分からない。

「でてきて、ヌメラ!」
「……ゴー、モノズ」

 思わず、ボールを放ってしまった。
 フリルが繰り出したポケモンからは、全くと言って覇気が感じられない。
 図鑑を見れば、軟体ポケモンと見たが、これはなんだい状態である。
 あ、ギャグになっていない?

 いや、待て。これは結構、実は化けてました的な?
 実は滅茶苦茶強い的な?

 だが、図鑑にはしっかり”ドラゴンタイプ最弱”と書かれていた。

「しゃーねぇ、モノズ行くぞ!」

 モノズは、高らかに声を上げると相手を見据えた。
 小さい。手のひらサイズといったところか。

「一気に蹴りつけるぞ! モノズ、噛み砕く!!」

 直後、モノズは地面を蹴ってヌメラへ飛び掛った。鋭い牙をむき出しにして。
 
 ずるっ

 歯は突き刺さらなかった。ぬめりと滑って、モノズは地面へ転ぶ。
 ぬめぬめとヌメラが分泌した粘液が纏わり付いて、動けなくなった。

「は、はは」

 笑えない。舐めてかかった結果がこれだ。

「手はぬいてないよね!」
「へっ、バカ言ってんじゃない」

 帽子を被りなおすと叫んだ。

「ここからに決まってるじゃないか! モノズ、竜の怒り!」
「ヌメラ、纏わり付く!」

 速い。
 流の怒りを即座に避け、そしてモノズの背後へ回り込んだ。
 ぬめぬめが邪魔をして、良く動けない。
 ヌメラはそのままじゃれ付くようにして、モノズに纏わり付いた。

「竜の息吹!!」

 コンボが炸裂した。
 ぬめぬめで動けなくなったところを、纏わり付くで接近し、至近距離での竜の息吹は痛かった。
 煙が上がる。
 効果は抜群だ。

 
 ***

 所代わり、ここはある地方の廃工場。1人の少年が立っていた。

「……リオ、来いッ!」

 少年が一声上げると、青い獣人のようなポケモン、ルカリオは少年の足元に跪いた。

「これも、連中の仕業だって言うならば……」

 廃工場は、昨日まではきちんと稼動していたはずだった。
 にも拘らず、今日は最早ただの廃墟と化していた。
 人が働いていた面影は無い。

「力を持て余した奴らが、ここを爆撃したか。”能力”で」

 そういうと、一つのモンスターボールを投げた。

「出て来い、ナック。そこにいる奴をッ、炙り出せ!!」

 出てきたのは精霊ポケモン、フライゴン。”ナック”はニックネームと思われる。

「大文字!!」

 次の瞬間、大文字の炎が一気に放たれた。直後、大文字は爆発する。
 パラパラと、コンクリートの壁が崩れ落ちた。
 
 直後、真っ黒焦げになった鳥ポケモン、ヤミカラスが目を回して落ちてくる。

「心配するな、威力は弱めた。命まで奪おうとは思わねえよ」
 
 そういうと、ヤミカラスの足にくくりつけてあったカメラ(の残骸)を目に留めた。

「やっぱりな……」

 少年は、確信したように呟き、廃工場を後にした。

Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.116 )
日時: 2014/02/08 19:09
名前: 青虎 (ID: y68rktPl)

ポケモン 一昨日買いました!
続きを待ってます!

Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.117 )
日時: 2014/02/08 20:16
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 少し見ない間に随分と話が進んでいて、どこからどうコメントすればいいか戸惑っている白黒です。

 とりあえず、やっぱりカルムもテイルには勝てませんでしたね。奮戦はしたみたいですが、気持ちだけで勝てるほど二人の実力差は小さくない、ということでしょうか。

 他にもカルムの能力が判明しつつあったり、セレナとの関係が軟化したり、モノズが仲間になったり、謎の少女やら自称探偵やら、ポケモンをニックネームで呼ぶ人が出て来たりと、目まぐるしく変化が表れるので、ちょっと状況の把握に手間取りますが、面白くなってきたと思います。とりあえず、最後の少年だけは誰だか想像つきました。

 しかし、やっとショウヨウシティですか……感覚的には、もう物語中盤な気がしてなりませんが、まだカルムはバッジ一つなんですよね……まあ、ジム戦の方も楽しみにしておきます。

 あ、フリルの登場も、ありがとうございます。もっと天然な感じかと思いましたが、意外と挑発的なこと言ってますね。それでもキャラ崩壊と呼べるような点もないので、今のままでオーケーです。
 何気にモノズとヌメラでドラゴン対決になっていますが、なんか、微笑ましい光景ですね、この二体が並ぶと。

 ここまで読んで、少し今までの作風と毛色が変わってきていて、よりラノベっぽくなっているように感じました(もしお気を悪くされたらすいません)。自分は不器用なのであまりそういう変化をつけることができないので、純粋に羨ましいです。羨んでいる場合でもないのですが……
 まあ、なにが言いたいかというと、更新と共に作風の変化が表れていて面白いですね、ってだけです……白黒の知り合いでは、一つの作品で作風が変化していく人はいなかったので、凄く新鮮です。

 最後の方はなんだか知った風なことをよく分からないままに書き連ねてしまいましたが、気に障ったら無視してくださって結構です。
 お忙しい身だとは思いますが、更新頑張ってください。
 それでは。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。