二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産
日時: 2015/07/13 03:02
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

”読者の皆様へ”

 はい、どうも読者の皆様、自分はタクと申します。どこかで、見かけた事があるかもしれませんね。二次で、ポケモンとか、デュエマの小説を書いていました。
 今作は、ポケットモンスターXYのストーリーをモデルとしたものです。
また、オリジナル要素が多々あります。そして、今作から後書きを付けることにしました。まあ、書く事がないときは、何も書いてないかもしれませんけど。応援、よろしくお願いします!

ポケモン第六世代を最初に飾るゲームソフト、XYのノベライズ化!! 最後まで是非、ご覧あれ!!

登場人物紹介>>12
 
プロローグ
>>01

アサメタウン編
>>09 >>10 >>11

ハクダンシティ編
>>21 >>22 >>23 >>40 >>41 >>42 >>45 >>47

ミアレシティ編
>>50 >>51 >>52 >>53 >>56 >>57 >>61

コボクタウン・パルファム宮殿編
>>62 >>68 >>69 >>71 >>76 >>77 >>79 >>80

コウジンタウン編
>>83 >>86 >>87 >>90 >>95 >>96 >>99 >>102 >>103 >>104 >>110 >>111 >>112 >>113

ショウヨウシティ編
>>114 >>115 >>119 >>120 >>121 >>124 >>125 >>126

シャラシティ編
>>127 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147 >>149 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>158 >>161

ヒヨクシティ編
>>164 >>165 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>173 >>174 >>175 >>176 >>179 >>182 >>183 >>184

ミアレシティ編2
>>185


ss・短編置き場

1.木登り騒動 >>148

飽き性な作者ですが、応援よろしくお願いします。また、読者の皆様の意見を聞きたいので、コメントには感想を添えてくださると幸いです。

第二十話:欲求不満 ( No.68 )
日時: 2013/12/11 17:25
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: wJNgr93.)

 5番道路を抜けた先にあるのは、コボクタウンという街だった。しかし、民家は所々が焼けており、まるで戦争にでもあったかのようだった。

「ひどいな、これは・・・・・・。」
「ニャー」
「一緒に言うな。」

 腕に抱えているニャスパーも、同調したかのように鳴く。頭の上のプラスルも不安そうに、怯えた顔をしていた。

「・・・・・・てか、お前ら・・・・・・重いわァー!!」
 
 と、カルムはいきなり腕に抱えているニャスパーとプラスルを振り落とした。2匹は華麗に地面に着地。

「僕が何も言わなかったら、ずっと居るつもりだったのか!?いい加減腕は痺れて、首は凝って来たんだけど!!」

 カルムはそう言いながら首を回して見せた。ゴキゴキと首が鳴る。2匹は、「ニャーニャー!」と「プラプラー!」と抗議の声を上げたが、カルムに通じるはずがなく、

「戻れお前ら!」

 と、あっさりボールの光線を当てられ、ボールの中に戻されるのであった。

「ったく、大人しいケロマツの方が、よっぽど良いっての!あれ?そう言えばケロマツ出てきてないな、ちょっと出て来い!」

 そう言って、ケロマツを出した。が、ケロマツは--------------------------寝ていた。

「寝てんのかよ!!」

 思わず突っ込む。しかし、その声でケロマツは飛び起きた。そして、怒った顔をして水を吹く。

「冷てえ!!分かった、悪かったって!戻れ!・・・・・・はぁ。」

 カルムはため息をつき、そのまま街を見て回った。しかし、ひどい有様だった。




 ポケモンセンターでポケモンを回復し終わったあと、受付のお姉さん------------------通称、ジョーイさんにこんな事を言われた。

「バトルで戦わせてあげるのも良いんですけど、たまには甘えさせてあげていますか?」
「何でそんなことを?」
「ええ・・・・・・何か、ポケモンが少し怒っていたような・・・・・・。」
「怒ってた?まぁ、直に治るんじゃないすか?それじゃ、ありがとうございました!」

 と、スルーしてとっとと去------------------らなかった。

「って、その前に聞きたいことがあるんすけど。この街、一体どうしたんですか?何があったんですか?何か・・・・・・家はあちこちが焼けたり、所々の施設が壊れたりしてるんですけど・・・・・・。」

 疑問をぶつけてみるカルム。すると、ジョーイさんはこう答えた。

「それが、先ほど・・・・・・フレア団と名乗るスーツを着た人たちが、爆撃を行って、街の人のポケモンを取ってしまったんです。」
「な------------------フレア団が!?」
「ええ、詳しいことはショボンヌ城の城主に、聞いてみたら如何でしょうか?」

 と、言うことだったのでショボンヌ城に行ってみた。




 ショボンヌ城は、結構小さな城だった。しかし、それでも風情があり見栄えはある城だった。ただ、違和感を感じたのは、城主の格好と、意外な来訪者だった。

「あ、カルタロ!来てたんだ!」

 -----------何でこいつがいやがるんだ!?
 と、言いたくなったが、それ以上にもっと言いたいことがあったので、喉に勝手に引っ込んでしまった。

「あら、いらっしゃい。今日はお客さんが妙に来るわね。」

 激しく違和感。城主の格好は、空手服にハチマキ。まず、城の雰囲気に釣り合わない。そして何より、オカマ口調だった。

「・・・・・・何コレエエエエエエエ!!」

 思わず、叫んだカルムであった。




「はい、オレンジジュースとコーヒーよ。何もないけど、ゆっくりしていってくださいね。」

 3階の部屋は、思いの外広かった。何もない、というのが一番の要因だろうが。コーヒーをご馳走してもらい、眠気は吹っ飛んだカルム。まず、疑問を、目の前の少女にぶつけることにした。

「サナ・・・・・・何でお前がここにいるんだ!?」
「えー、だってここが観光名所だって聞いたから、来てたんだよ?」
「成る程、観光名所ねえ。」
「この城は、とても長い歴史があるんだよ?この城にものがほとんど物がないのは、その歴史の中で色んな人にあげちゃったからだって。」
「それ、借金の代わりに献上しただけじゃね?」

 貧乏臭い城主の格好で、大体見当は付いた。冷めた様子でカルムはコーヒーを啜る。一方、ストローでオレンジジュースを吸っていたサナは、彼の冷めた反応も気にせず、切り出した。

「あ、そうだそうだ!ポケモン見せてよ!」
「は?まぁ、いいけどよ。あ、城主さん。ここでポケモン出して良いっすか?」
「ええ、いいわよ。」

 城主は2つ返事でOKを出した。カルムは3つのボールを投げる。中から、自分の手持ち3匹が現れる。

「うわぁー、ケロマツもニャスパーもプラスルも可愛いね!」
「あ、そう?」
「うん!でもなんか・・・・・・機嫌悪いみたいだよ?何か、拗ねてる感じ・・・・・。」

 ニャスパーとプラスル、そしてケロマツの表情を見て、サナは言った。

「ね!カルタロ、ポケモンたちと遊んでる?」
「うーん、あんまりそういう時間は取らねえつーか、何ていうか・・・・・・。」
「そりゃさ、戦わせたり、トレーニングするのも大事だけど、ちゃんと休む時間も上げないと!」
「ボールに戻してる間は?」

 悪びれもせず、カルムは言った。

「そーいう意味じゃなくて、トレーナーと触れ合う時間をもっと増やせって言ってるの!後・・・・・・やっぱりー!!ほら、よく見てよ!ニャスパーも、プラスルもケロマツも、体が汚れてるじゃん!ニャスパーの毛並みも乱れてるよ!」
「え?だからどうしたんだよ。バトルに関係な----------------」
「大アリだよ!体が汚れたままだと、当然ストレスは溜まるよ!つまり、バトルでもいつか影響が出るよ!ブラッシングや、体は拭いてあげないと!」

 「て言うか・・・・・・。」と、サナはケロマツ達に自前のブラシをかけながら言った。

「カルタロって、バトルのことしか考えてないの!?」
「え、いや・・・・・・その・・・・・・。」
「サイテー!ポケモンだって生き物なんだよ!?」

 痛いところを突かれた。確かに、そういった事は----------------例えば、家にいたころのニャスパーの世話だが、餌やりこそしていたものの、毛並みの手入れは母に任せることが多かった。

「わ、悪かったって!今度からがんば-------------------------」

「旦那ァー!!大変だよ!!」

 階段を駆け登ってくる音。見れば、金髪の男だった。思わず、振り向く3人。男は息を切らせて言った。

「またッ・・・・・・、また”あいつ”が現れたよ!!」


後書き:今回、ショボンヌ城にカルム達が到着しました。現時点では、まだ言うことは何もありません。取り敢えず、続きをお楽しみに。

”あいつ”とは、あいつのことです。前回のラストに出てきた・・・・・・。

第二十一話:リビエールラインを塞ぐもの ( No.69 )
日時: 2013/12/09 07:20
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

突如現れた男に連れられて、7番道路・リビエールラインに歩を進める一行。すると、そこには橋が架かっていた。いや、それだけならば何ら問題無き平常な光景なのだが、それに黒い「何か」が寝転がっていた。

「ほら、見てよ!!山みたいだよ!!通行止めだよ!ほら旦那、アレがあっただろ!?ポケモンの笛!!・・・・・・って、あれはもうないのか。」
「えーっと、これって?」

 カルムは恐る恐る聞いた。男は答えた。頭を抱えている。

「大食いポケモン、カビゴンッ!!こいつは、時々やってきて数日感の間寝ちまうんだよ!!」
「す、数日ゥ--------------------!?」
「いや、酷い時は1,2ヶ月行くな・・・・・・。」
「い、1,2ヶ月ゥ---------------------!?」

 思わず叫んでしまった。ダメだ、こんなの退くのを待っている暇はない。

「ケロマツッ!ニャスパー!プラスルッ!奴に、今できる最大の攻撃をしろ!!」

 3匹で巨大なカビゴン(休眠)に挑むカルム。ケロマツは電光石火、ニャスパーはサイコショック、プラスルは電気ショックを放った。が--------------------どれも全く効いていないように見える。

「・・・・・・。」
「ほら見たことかッ!!寝ているカビゴンに、攻撃は無力に等しいんだよ!!・・・・・・”ポケモンの笛”なら唯一カビゴンを起こせる救いだけどな・・・・・。」
「んじゃ、それを使えば!」

「あげちゃったのよ。」

 城主は言った。

「パルファム宮殿の主にね・・・・・・。」
「借金を返すためにな。まさか、ここで必要になるなんて!!」

 まさか、無いとなると、このままではずっと待つことにもなりかねない。

「・・・・・・パルファム宮殿か。」




「すんませーん、ここって入れるんですかねぇー?」

 カルムは正しく今、そのパルファム宮殿の前に立っていた。そして、今にも入らんとの雰囲気だった。

「ええ、入場料は1000円でございます・・・・・・。」

 門番はそう言った。入場料を取られることを知っていたカルムは、あっさり渡した。

「あ、そうなんすか?分かりましたぁー。」

 道中で戦って倒したトレーナーから貰った賞金で、1000円など直ぐに溜まってしまった。今、所持金は3万はある。そして、今にも門を開けて宮殿に入ろうとした瞬間-----------------------

「ぐえっ!!」

 襟首を引っ張られた。後ろを振り向いたら、サナの姿。

「ちょっと!!どうして来たのよ!!」
「いや、だからさぁー。見学したくなっちゃって・・・・・・。」
「嘘つき!どうにかして笛を買おうとしたんでしょ!」

 とにかく、金で買い戻せないかと、カルムはこのような結論に至った、そのため、宮殿のことを色々と聞いていたのだ。

「笛がねえと、あそこは通れないんだ。だから、どうにかしてでも笛は手に入れなきゃいけねえ。」

「笛?ポケモンの笛ならば、先日ご主人様-------------コバルト伯爵がこのようなことを申しておられましたが?」

 門番が言った。

「確か、『今度また、バトル大会を開こうと思うんだ。出場料もたんまりとってね。優勝賞品は・・・・・・ポケモンの笛がいいかなぁー?あれ要らないし。ただ、もう少し待とう。カビゴンがやってきたら、これを必要としてあちこちから皆やってくると思うぞ?そしたら、また大儲けだぜ・・・・・・!』って言ってましたが。」
「「・・・・・・。」」




「バトル大会ですって!?」

 帰ってきたカルムとサナの話を聞いて、城主は驚いたように目を丸くした。いや、事実驚いていた。

「そう言えば、宮殿の主は気まぐれでバトル大会を開いていたな。優勝賞品は、他の奴から借金替わりに取り立てた品々ばかりだ。」

 運が良かった。このバトル大会で優勝すれば、笛を手に入れることはできるはずだ。だが、気になることが1つあった。宮殿の主、コバルト伯爵は、なぜそこまでして金が欲しいのか。彼ほどの財力の持ち主ならば、もう金を稼ぐ必要さえも無しに感じる。確かに、生活費として金は必要だが、それにももう困っていないようだった。それを裏付けるのは、宮殿にあった石像の数々。そして派手に飾り付けがされた屋敷の中。そんな余裕があるくらいなら、やはり金を稼ぐ必要はなしに感じられて仕方が無かった。だが、今考えるべきことは1つ。

----------------バトル大会で勝つこと。

だった。

「カルタロ!絶対にバトル大会、お互いに頑張ろうね!あ、勝つのはサナだよ?」
「あ、ああ!」

 我に返るカルム。そして、聞いた話によると、城主が今日は城の個室で別々に泊めてくれるとの事だった。




 
 個室にて。

「・・・・・・あいつらのブラッシングもしてやらなきゃな。」

 カルムはそう呟きつつ、ポケモンを出して、サナから借りたブラシで丁寧にポケモンをブラッシングし始めた。最初こそ、ぎこちなかったが、終わる頃には慣れてきていた。そして、機嫌が良くなったのか、ニャスパーとプラスルは彼に飛びついてくる程になった。

「わっ、くすぐったいって・・・・・・。」

 そう言いつつも、サナに言われたとおり、今日はこいつらのワガママに付き合ってやるか、と思ったのだった。




「金はいくらあっても、困らないからな・・・・・・。」 

 パルファム宮殿の主、コバルトはこの手のタイプによくある、小太りな体型ではなかった。むしろ、スマートでやせ型な体型をしており、整った顔立ちの若い青年男性だった。彼は、安楽椅子に持たれながら、トリミアンを撫でる。そして、手元にある小さなカードに目をやった。そのカードには-----------------------フレア団の紋様が施されていたのだった。




 ---------------大会当日。

『レディース・エーン・ジェントルメーン!私、この宮殿の主を努めます、コバルトと申します!!今回の大会のバッジ制限は3個!初心者〜初級者までの、同レベル同士での面白い対決が見れそうです!!』
 
 コバルトという男は、司会業も得意らしい。そして、観客席には多くの人が座っていた。宮殿の奥にあった大きな闘技場。それが、今回のバトルフィールドだった。

--------------勝つ、この大会に優勝して笛を手に入れるんだ!!



後書き:取り敢えず、更新完了です。パルファム宮殿あたりのストーリーは、完全にオリジナルですね。そして、コバルトという人物にも、後々スポットを当てていきたいと思います。次回からは、大会がスタートです。投稿していただいたオリキャラも登場するかもしれませんよ?誰が出るかは、お楽しみに。

キャラクターファイル3:サナ ( No.70 )
日時: 2013/12/11 00:50
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「可愛いポケモンがいたら、どんどんボールを投げてゲットしちゃお♪」

サナ 女 13歳

容姿:黒くてゴチルゼルのように大きいリボンが付いたピンクのTシャツを着ており、ショートパンツとピンクの靴を履いている。 Tシャツに合わせたリボン付きのバッグを肩から掛けている。
性格:気さくで年相応に無邪気、そしてフレンドリーな性格。故に、誰とでも仲良くできる。可愛いものが好きな、女の子っぽい一面を見せる一方で、バトルやその他いろいろな面に置いても積極的。
解説:セレナのよき理解者にして、幼馴染。当初、周りの人間を怖がっていたセレナが今では割と社交的になったのは、彼女の存在があったからこそ。バトルの腕前はそこそこ。
一人称:あたし、自分の名前(サナ)
二人称:貴方、君

手持ちポケモン

フォッコ:♀
技:炎の渦、炎の誓い、?、?
特性:猛火
性格:控えめ、もの音に敏感
経緯:旅立ちの日にもらった。
解説:万能なアタッカー。炎の誓いなど、特殊攻撃にやや偏る傾向があり。本人が、あまり戦略などを考えていないせいか、タイプ相性で不利な相手に、絶望的に相性が悪い。しかし、それを補うすばやさは、目を見張るものがある。
備考:彼女の趣味で、耳にリボンが付けられている。

エネコ:♀
技:猫の手、体当たり、?、?
特性:メロメロボディ
性格:気まぐれ、ちょっと怒りっぽい
経緯:野生で捕まえたと思われる
解説:特性、メロメロボディによって、カウンターを狙うことが可能なトリッキー質なアタッカー。
備考:結構わがまま。

第二十二話:パルファム宮殿・バトル大会 ( No.71 )
日時: 2013/12/14 10:22
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: wJNgr93.)

「ケロマツ、電光石火ッ!!」

 カルムが指示を出した途端、ケロマツは地面を蹴って走り込み、相手のウサギのようなポケモン------------------ホルビーの懐に潜り込んで一気に手刀を食らわせた。呻き声をあげたホルビーは、その場に倒れこむ。

『第一回戦、カルム選手の勝利ッ!!』

 実況者が舌を巻くほどの快勝だった。

『ちなみに今回、実況はこの私、”Mr・実況”の異名を持つ宮殿の主、コバルトでお送りさせていただいております!解説は、ハクダンジムジムリーダー、ビオラさんを特別に呼んでおります!』
『はい、どうも!シャッターチャンスを狙うように解説をしていきたいと思います!』

 見た顔だと思ったが、まさかビオラが解説者としてこの大会にいたとは思わなかった。

『先程のカルム選手のバトルですが、いかがでしたでしょうか?』
『ええ、彼とは一度ジム戦で戦ったことがありますが、やはり成長していますね。それ以上に、”ポケモンの動きのキレ”が半端ではないように感じられます!』

 ブラッシングや手入れはやはり効果があった。今回パワーアップしたわけでもなく、今まで100%の力が出しきれていなかっただけだったのだ。

 余談だが、今回のルールは1対1のシングルバトル。試合ごとにポケモンを変えることができる。
 しかし、第二回戦、三回戦とポケモンをなるべく変えずに相手を倒していくカルム。ケロマツのみで、次々と相手を倒していく。一方のサナも、同じだった。あまり、手の内は明かしたくないからだろう。ほかのポケモンは、決勝、準決勝で使うつもりか。




「次は、準々決勝かぁ・・・・・・。」

 意外と相手が弱かったり、相手のミスによるラッキー勝ちだったりなど、割とここまで苦戦する相手はさほどいなかった。

「次の相手は・・・・・・。」

 と、モニターを見た時だった。

「おいおい、またガキが相手か・・・・・・?」

 と声がした。振り向けば、そこには黒いTシャツに青いズボンを履いており、サングラスをかけた男。20代程か。初見でいうなれば、”不良”だった。

「あんた、一体何なんだ!!」

 いきなりの相手の失礼な態度にムッときたカルムは、食ってかかった。相手の男は、苛立つように口元を歪める。

「何だぁ?勢いは随分と良いじゃねえか。勢いだけは。だが、俺はこの大会で優勝し、笛を売っぱらって、この自宅警備員(ルーム・セキュリティー)という職種から成り上がるんだよ!!警備する家もないわけだけど。」 

 要するに、この男は”自称”、自宅警備員だが、警備する家もないホームレスということだ。呆れた。世の中にこんなだらしのない男がいるとは、と自分も寝てばかりで堕落しているカルムが言える話ではなかったのだった。

「とにかく、ガキ。覚えておけ。この俺、ナツトキは今日限りでホームレスと自宅警備員を卒業してやる!良いか!」
「僕に言われても困るんですけど!?てか、あの笛ってそんな代物なの!?」

 その後、問答が続いたが、結局時間が来たので有耶無耶となってしまった。




『このパルファム宮殿バトル大会も大詰めになってきました!まず、準決勝第一回戦!ハクダンジム・ジムリーダー、ビオラさんをかつてない方法で破った期待の一番星、カルム選手!』
「大袈裟な・・・・・・一体、どっからそんな情報が・・・・・・。あ、パンジーさんが広めたなら納得できる。」

 周りの歓声に反し、自分でも引くくらいカルムは落ち着いていた。

『一方、ギャンブル好きな現代のパチスロニート!でも、バトルの腕は一級品!自宅のない自宅警備員!ジムバッジ未所持なだけに、その実力は未知数、のナツトキ選手!』
「一言余計だっつの!!」

 さっきの男-----------ナツトキは、実況者に突っ込んだ。

『それでは、試合開始!!』

 審判の声とともに、両者ボールを投げる。

「いけ、ケロマツ!!」
「やれっ、バケッチャ!!」

 ナツトキのボールから、見たことのないポケモンが現れたため、図鑑で確認をとるカルム。それは、丸っこいカボチャのような部分から、霊体が伸びたようなポケモンだった。

「かぼちゃポケモン、バケッチャ。見たところ、草タイプでこっちは不利・・・・・・。だけど、ここで負けるわけにはいかない!」
「先にポケモンを繰り出したのがアダになったな!お前のケロマツは、俺のバケッチャには、勝てないな!!」

 しかし、カルムは決してポケモンバトルが相性のみによって、勝敗が裏付けされるものではないことを知っていた。

「そうだとしても・・・・・・バトルは、最後まで諦めない!」
「ほーう、なんならいいぜ。こっちから行くぞ!バケッチャ、宿り木の種!!」

 バケッチャは、頭の先から種を吹き出す。そこから、蔓が無数に伸びでてケロマツに絡みついた。

「なっ、これは!?」

『カルム選手のケロマツゥー!!”宿り木の種”を食らって身動きが取れなーい!!』
『宿り木の種は、寄生したポケモンの体力を奪い続ける厄介な技!しかも、動きにくくなります!』

 ケロマツは、必死に取ろうとするが、取れない。

「まだまだぁ!!バケッチャ、シャドーボール!!」

 影の玉が、一気に収束して放たれた。ケロマツは動けないまま、シャドーボールを食らって、仰け反る。

『おーっと、今のは痛かったぞ!!大丈夫か!?』
『ナツトキ選手は、補助技で相手を止めたり、自分を優勢にしてから攻撃しに行くタイプのようですね。堅実な点で、ギャンブラーとは思えません!』

「くそっ、ケロマツ!まだ立てるかよ!?」

 ケロマツは、煙の中起き上がる。まだまだ行けるということを表した。

(とはいえ・・・・・・こっちの状況は、ちーときついぜ・・・・・・!)

 汗を拭うカルム。しかし、すぐに笑みを浮かべると、

「ケロマツ、水の誓い!!」

 指示を出した。間欠泉が吹き出し、バケッチャを上空へ飛ばす。しかし、元から浮遊しているバケッチャにはあまり関係ない話。そのまま、さらに上空へ浮かんで、シャドーボールを撃った。

「よけろ!三時方向!!」
「バケッチャ、大ギャンブルだ!!連続でシャドーボール!!」

 ケロマツの後を追うように、バトルフィールドに弾幕が走らされた。

「避けろ避けろ!そのまま、電光石火で飛び上がれ!!」


 ケロマツは指示されたとおり、上空へ飛び上がる。しかし、

「バケッチャ、怪しい光ッ!!」

 突如、奇妙な光がケロマツへ襲いかかった。そして、くるくると周回したかと思うと、ケロマツはふらふらとよろめき始めてしまう。

『おーっと、これはぁー!!ケロマツ、混乱状態になってしまったァー!!』

「こ、混乱だと!?」

 カルムは思わず声を上げた。相性が悪い上に、状態異常。以前もこんな状況に直面したことがあるが、今まで食らってきた「麻痺」とは違って今回は、「混乱」という状態異常だった。

「一体・・・・・・!?」

 トレーナーまで混乱し始める。カルムに勝機はあるのか、それは誰にもわからなかったのだった。


後書き:今回、プツ男さんのオリキャラ、ナツトキを登場させました。投稿された順だと、どうしてもストーリーが難しくなるところがあるため、結構バラつくと思います。とりあえず次回は、カルム対ナツトキ戦、決着です。お楽しみに。

Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.72 )
日時: 2013/12/14 20:24
名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: SMalQrAD)

 創立何十周年記念だかなんだかで、休日なのに登校しなければならない白黒です。嫌なタイミングで入学してしまったものです。

 やっぱりカビゴンが出て来ましたか。白黒は捕まえようとしたら間違って倒してしまって、殿堂入り後に捕まえたんですが、レベルが全く変わっていないことに少々驚きました。巷では殿堂入りするまで山で何もせず寝てたのか、などと言われているようです。

 ただ、そこからバトル大会に発展するとは思いませんでした。あの長ったらしいイベントをこんな形で仕上げて来るとは驚きです。
 しかし気になるのは宮殿の主ですね。金はいくらあっても困らない、という考えそのものは変わっていませんが、コバルトという名前とフレア団の文様が描かれたカードを持っているということは、まさか……?
 いやでも、カードだから、違うのか……?
 しかし、さんざシリアスな場面を見せておきながら、翌日になってやたらハイテンションになっていたのはちょっと笑ってしまいました。

 まあともかく、いよいよバトル大会が始まったわけですが、自宅警備員と書いてルーム・セキュリティーと読ませるのには笑いました。自宅警備員自体、結構ぼかした言い方なので、それにルビ振ってさらにそれっぽく見せるとは。しかもそこから、警備する自宅がないという流れだったので余計に。

 実況にも散々言われているナツトキですが、ケロマツにバケッチャは辛いですね。ケロマツの攻撃の主力技はすべて半減ですし、電光石火に至っては効果がない。しかも混乱状態にまでされるとは。
 かなり苦しい展開のカルムですが、ここから逆転できるんでしょうか? 相当厳しそうですが……

 バトルの行方と同時に、コバルトが何者なのかも楽しみにしながら、次回の更新を待つとします。
 それでは、これにて。


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