二次創作小説(紙ほか)

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ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産
日時: 2015/07/13 03:02
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

”読者の皆様へ”

 はい、どうも読者の皆様、自分はタクと申します。どこかで、見かけた事があるかもしれませんね。二次で、ポケモンとか、デュエマの小説を書いていました。
 今作は、ポケットモンスターXYのストーリーをモデルとしたものです。
また、オリジナル要素が多々あります。そして、今作から後書きを付けることにしました。まあ、書く事がないときは、何も書いてないかもしれませんけど。応援、よろしくお願いします!

ポケモン第六世代を最初に飾るゲームソフト、XYのノベライズ化!! 最後まで是非、ご覧あれ!!

登場人物紹介>>12
 
プロローグ
>>01

アサメタウン編
>>09 >>10 >>11

ハクダンシティ編
>>21 >>22 >>23 >>40 >>41 >>42 >>45 >>47

ミアレシティ編
>>50 >>51 >>52 >>53 >>56 >>57 >>61

コボクタウン・パルファム宮殿編
>>62 >>68 >>69 >>71 >>76 >>77 >>79 >>80

コウジンタウン編
>>83 >>86 >>87 >>90 >>95 >>96 >>99 >>102 >>103 >>104 >>110 >>111 >>112 >>113

ショウヨウシティ編
>>114 >>115 >>119 >>120 >>121 >>124 >>125 >>126

シャラシティ編
>>127 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147 >>149 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>158 >>161

ヒヨクシティ編
>>164 >>165 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>173 >>174 >>175 >>176 >>179 >>182 >>183 >>184

ミアレシティ編2
>>185


ss・短編置き場

1.木登り騒動 >>148

飽き性な作者ですが、応援よろしくお願いします。また、読者の皆様の意見を聞きたいので、コメントには感想を添えてくださると幸いです。

Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ”オリキャラ募集” ( No.38 )
日時: 2013/11/16 19:58
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

竜さん

確認しました。


プツ男さん

オリキャラ投稿ありがとうございます。

展開が興味深い・・・・・・ありがとうございます。自分自身、まだまだ試行錯誤の身なので、これからも精進していくつもりです。

それでは、また。

オリキャラ採用決定! ( No.39 )
日時: 2013/11/16 20:32
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

というわけでオリキャラの募集を締め切ることにいたしました!ええ、できることなら全員採用でも十分OKだったんですけど、前作で全部採用が祟り、自爆した思い出があるので、仕方なく、3人という採用枠にしました!非常に悩んだのですが、最終的にこの3人に決定しました!

リュウヤ(竜さん) >>25

フリル(白黒さん)>>33

ナツトキ(プツ男さん) >>37

の3人に決定しました!採用されなかった人は、申し訳ありません。また、登場時期は、誰が先になるかは分かりません。

それでは、また!

第七話:ポケモン勝負の極意 ( No.40 )
日時: 2013/11/16 22:36
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

 突如、始まったテイルとカルムのバトル。カルムは、ニャスパーを繰り出す。一方のテイルは、デデンネを繰り出した。非常に小柄で丸っこく、体長は20㎝ほどしかない。ニャスパーは二倍の40㎝で、結構な差だ。

「先手必勝!デデンネ、体当たり!」

 何だ、体当たりか。その技なら、ハクダンの森で見かけた。あまり、強い技ではない。

「ニャスパー、回避!三時方--------------------------------」

 と言いかけた途端、目を疑う出来事が起こる。目の前で、デデンネが消えたのだ。視界から、デデンネを見失ったカルムとニャスパーは、きょろきょろと辺りを見回そうとした------------------が、次の瞬間。ニャスパーは吹っ飛ばされた。直後、消えていたデデンネの体が再び現れる。

「なっ!?」
「デデンネは最初から、直進していたんだ。どこにも行ってねーよ。ただ、余りにも、コイツのスピードが速すぎて、お前の目に追い切れないだけ。ってこと。」

 ま、速すぎて俺の目にも追えない訳なんだけどね。と続けるテイル。デデンネの素早さが、どれほど異常なのかが分かる。ニャスパーは、吹っ飛ばされはしたものの、何とか立っていた。しかし、あれほどの速さで突っ込まれれば、それ相応のダメージは受ける。

「何も小細工してるわけじゃねえ。ただ、言えるのは1つ。これが、ポケモンにおける、レベルの違いって奴よ。」
「小細工・・・・・・なし!?」

 攻撃力、素早さ、防御力。全ての面で、テイルのデデンネはカルムのニャスパーを上回っていた。

(セレナは・・・・・・!こんな人が使うポケモンを、倒していったのか!!)

「そーいや、さっきバッジケース渡したセレナって奴も、ニャスパーを使っていたな。まだレベルが低いとはいえ、俺の”もう一体の”エモンガ倒してしまったしな。」
「も、もう一体!?」

 ということは、今テイルの肩に止まっているエモンガと、さっきセレナが戦ったエモンガは、別個体ということになる。つまり、テイルはエモンガを二匹所持していることになる。

「いっとくけど、今俺の肩に乗っかっているのは、俺の相棒で、超強い。お前らのポケモンじゃ太刀打ちできないほどのな。俺は、別の地方に住んでいる同じ種類のポケモンで、能力に差がでるのか?というのをテーマに研究してるんだ。セレナのニャスパーと戦わせたのは、カロスで捕まえたばかりの個体。とはいえ、”ああも簡単に”やられるとは、思ってなかったぜ。」

 自信たっぷりに言うテイル。それを聞いていたカルムは、武者震いすら感じる。この人は、相当な強者だ。今使っているポケモンのレベルこそ低いが、この人が本気のメンバーでぶつかってきたら、今の自分たちでは勝負にならない。
 しかも、ポケモンの強さとは、ポケモンの経験のみで決まる者ではない。トレーナーの実力も問われるのである。今戦っているデデンネも、決してニャスパーと強さは離れていないはず。にも関わらず、苦戦を強いられているのは、彼のトレーナーとしての実力が高いからだ。
 そう、推測したカルムは速攻で決めに行く。

「やるんだ!ニャスパー、サイコショック!」
「無駄だ。デデンネ、パラボラチャージ!!」 

 直後、紫電一閃。電撃が迸る。念じ玉をすり抜けて、一筋の光がニャスパーを貫いた。同時に、念じ玉がデデンネに炸裂。しかし直後、デデンネの体が光った。一方のニャスパーは、膝をついてしまう。

「い、一体今のは・・・・・・!」
「パラボラチャージ。電気を一気にためて、放出する技だ。しかも、余った電気で体力の回復もできる優れた技だぜ。」

 つまり、今のダメージはチャラということになってしまう。

「そ、そんな・・・・・・!強すぎる・・・・・・!」
「ポケモンはお前の都合で動いちゃくれない。お前、それ分かってんの?とどめだ、体当たり!!」

 次の瞬間、ニャスパーの腹へデデンネの体が突っ込んだ。そして----------------ニャスパーはその場に崩れ落ちた。






「俺の勝ちだ。一応、バッジケースはくれてやるけど、お前がポケモン勝負の極意が分かるまで、お前の図鑑は・・・・・・」

 ひょいっと図鑑をカルムの手から取り上げて続けた。

「俺が持っておく。」
「・・・・・・!!」

 カルムは、何も言わずにニャスパーを抱えてその場を駆け抜ける。

「おいっ!バッジケースは!」

 その言葉も聞こえなかったのか、カルムの姿は居なくなっていた。

「ったく・・・・・・。」

 呆れたように、テイルが呟くと女性の声がした。

「あら?テイル君じゃないの?」

 それを聞くと、テイルは振り向く。そこには、シャツにレギンスという動きやすい服装の女性。肩には、エリマキトカゲのような容姿の発電ポケモン、エリキテルが止まっていた。

「パンジーさん。」

 テイルは、見覚えのあるその女性の名を呼ぶ。女性は、微笑むとテイルに訪ねた。

「さっきの子は?」
「あ?新人トレーナーっすよ。ちょっと負けたくらいで、逃げ出して・・・・・・。バッジケースも渡し損ねちまったんすよ。俺、この後急用で、本当なら他の3人にも渡しときたいんですけど、何せ時間がない。」
「それなら、私が4人の新人トレーナーに、残りのバッジケースを渡せばいいのね?」

 それを聞くと、テイルは慌てたように

「だ、ダメっすよ!アンタにそんな手を煩わせちゃ・・・・・・。」
「良いのよ。どうせ、この後妹のジムに取材しに行かないといけないから。」

 仕方なく、テイルはバッジケース4枚を彼女に渡した。

「ほんと、すみませんっす!一応、これが新人トレーナー達の顔写真です!あと、これも・・・・・・あいつに届けてくれませんか。」
「分かったわ。前の取材で協力してくれたお礼がしたかったのよ。困ったときは、お互い様だから。」

 そう言って、パンジーは手を振ってテイルと別れた。




 ポケモンセンターでニャスパーを治療して貰った後、センターの中でカルムは1人、ぼんやりしていた。

「僕、ほんとにバカだよな・・・・・・。」

 勝負に負けて逃げ出した。トレーナーとして、ここまで情けないことがある者か。

「ポケモン勝負の極意・・・・・・か。」

 カルムはふと呟いた。そして、ニャスパーのボールを見つめた。

「俺・・・・・・トレーナー失格だよ・・・・・・。」

「あれ?」

 聞き覚えのある、凛とした声。セレナだった。

「セレナ。」
「私、たった今ハクダンジムのジムリーダーに勝ってきた所よ!」

 ああ、そうなのか。自分はまだ、こんなところでクヨクヨしているのか。そう思うと余計に情けなくなってくる。

「なぁ、セレナ・・・・・・・。」
「ん?どーしたのよ。元気ないよ?」
「ポケモンバトルの極意って・・・・・・分かるか?」

 挙げ句の果てには、自分で探そうともせずに答えを直接他人に求めてしまった。ダメなトレーナーだ。そう感じて、ため息さえ出る。

「う〜ん・・・・・・よく分からないわ。」


 でも、と続ける。


「それは、バトルの中でお隣さん自身が見つければ良いんじゃない?」


「へ?」

 カルムは彼女の言葉を頭の中でリピートした。

(そうだ、僕はトレーナーなんだ。情けなくたって、ダメダメだったって、答えはバトルの中で見つけるしかないんだ!)

 カルムは立ち上がった。なら、早速ジムに挑戦しに行こう。そう思って、センターの自動ドアをくぐる。

「ちょ、どうしたのよ!」
「ありがとう、セレナ!僕、ジムに挑戦してくるよ!」

 答えはバトルの中で見つけるしかない。それは、自分が今ココにポケモンと共に在り、ポケモントレーナーだからだ。ポケモンセンターを出ると、そこには1人の女性が居た。

「カルム君ね。」

 自分の名前を唐突に呼ばれ、内心驚くカルム。しかし、手渡されたバッジケースを見て、彼女が何故ココにいるのか悟った。

「私はパンジー。ジャーナリストをやっているの。テイル君が急用でバッジケースを渡せなくなったから、私が代わりに届けに来たのよ。」

 しまった。カルムはそう感じた。自分があの場で逃げた所為で、こんな人にも迷惑を掛けてしまったのだと。

「す、すみません!!僕が・・・・・・僕が逃げた所為で・・・・・・!」

 それを聞いて、パンジーは目の前にいる彼が、さっきテイルと戦っていた少年と確信した。

「別に良いのよ。負けて、逃げたくなるのは誰だって同じ。そうだ、私、これから仕事でハクダンジムに取材しに行くの。君、ジムに挑戦しに行くんでしょ?ついでに案内しようか?」
「え!?そんな!」

 だが、よくよく考えてみればカルムはジムの場所を知らなかった。

「じゃ、じゃあ・・・・・・。」

 お言葉に甘えることにした。


後書き:今回、初めてカルムが負けます。そして、セレナの言葉でジムに向かおうとします。そして今回登場した新キャラ、ジャーナリストのパンジーですね。そして、この先どうなっていくのかお楽しみに。

第八話:夢 ( No.41 )
日時: 2013/11/17 00:16
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「着いたわ。ここよ。」

 案内された先は、立派な建物があった。中に案内されると、大広間。そこには色々な虫ポケモンの写真が並べてあった。そして、その奥には1人の女性の姿。

「あら、姉さん。予定通りね。」

 その女性は、パンジーに声を掛けた。

「ね、姉さん?」
「ええ、そうよ。彼女------------------ハクダンジムリーダー、ビオラは私の妹よ。」

 なるほど、そういうことか。と、カルムは思った。彼女はタンクトップに多数のポケットが付いたズボン、と姉のパンジー同様動きやすそうだった。そして、カメラを首からぶら下げていた。
 そして、ジャーナリストがジムリーダーの妹を取材しにくることもあるんだな、と感じる。

(そんなこともあるんだな・・・・・・。)

「あら?姉さん。その子は挑戦者?」
「ええ、そうよ。彼はカルム君。ポケモントレーナーよ。ねえ、カルム君。私、さっきも言ったように、妹に取材があるから、しばらく写真でも見ながら時間をつぶしていてくれないかな?」
「あ、はい。良いですよ。」

 そう言うと、パンジーはビオラと共に奥の部屋へ入っていった。さて、写真を眺めているが、いつの間にか強烈な睡魔が襲ってくる。

(やっべ・・・・・・カフェイン切れた・・・・・・。)




-----------------------何だコレは・・・・・・!?

 カルムの体は宙に浮いている。そして、1つの光景を見た。ここは、土壁に塗られた、遺跡のような場所。奥には王座が見え、誰かが座っていた。

-----------------------王か、何かか?

 そして、家来と思われる人物がカルムへ向かってくる。それは、カルムをすり抜けた。

-----------------------僕を、すり抜けた?

 にしても、やたらリアルな夢だとカルムは感じた。すると、家来が杉で削ったような長方形の箱を王(と思われる人物)に渡した。その中身を、王(かもしれない人物)が覗く。

-----------------------あれは・・・・・・ポケモン?

 カルムも近づいて、中身を見た。どうせ、向こうがこちらを見たり触れたりすることはできない。と、思って覗くと、そこには小さなポケモンが、枯れた花を抱えたまま息絶えている。トロバが使っていたフラベベに似たポケモンだった。

----------------------フラベベ・・・・・・じゃないな。その進化系か何かか?

 すると、それを見た王と思われる男は、その亡骸を優しく手に包み込み、すすり泣きを始めた。

----------------------自分のポケモン、だったのかな。

 ふと、カルムは昨日見た夢を思い出した。戦争の光景、そして悪魔の光。あの夢と、何かしらの関連があるのか?
 頭に映し出されるのは、ポケモンや人間同士が血で血を洗う残酷な戦いを繰り広げているシーン。夢にしては、はっきりと、鮮明にそのシーンが映し出されていた。今思い出すだけでも、気分が悪い。そして、何故こうも何度も、この後味の悪い夢を見せられるのだろうか。睡眠の邪魔ったら在りはしない。
 と、カルムはカルムらしい思いを頭の中で呟いていたのだった。だが、自分のポケモンを失った、この男には共感できたし、自分も、もしニャスパーを、いや、それだけではない。自分のポケモンを失ったら、どんな気持ちになるのだろうか。そうも、考えていた。

 次の瞬間、カルムは目の前の光を失った。





「カルム君、カルム君!?」

 パンジーの声が聞こえた。目をとっさに開く。やば、寝ていたのか。

「す、すみません。寝ちゃって・・・・・・。」
「ユ、ユニークな子ね、姉さん。」

 ビオラが苦笑いを浮かべた。

「それじゃあ、バトル始めましょうかしら。」

 ああ、そうだ。自分はジム戦しに来たんだと、カルムは思い出した。
缶コーヒーをグビッと一気飲みし、

「はい!」

 と、元気よく返事した。





「バトルフィールドは・・・・・・ここよ!」

 奥の部屋へ突き進むと、そこは蜘蛛の巣のように張られたロープ。隙間は小さく、落ちることはないだろうが、弾力性があり、乗れば跳ねそうだ。

「な、何ですかここは・・・・・・!」
「このフィールドでは、普通のポケモンが乗ればトランポリンの要領で跳ねるようになってるの。」

 成る程。普通のバトルのようには行かないのだろう。

「それじゃあ、私の一番手はこの子よ!」

 そう言って、ビオラはボールを投げた。中から現れたのは、アメンボのようなポケモン、その見た目の通りあめんぼポケモンのアメタマだった。アメタマは、ツーッと滑るようにロープを動き回っている。

(つまり、フィールドの影響を受けるのは、一方的にこちらのみ!)

 ならば、こちらは機動力の高いポケモンで攻めに行くまでだ。

「行け、ケロマツ!!」

 カルムが一番手に繰り出したのは、ケロマツだった。

「ここ一番の勝負、勝ち取るぞ!」

 カルムが叫ぶと、ケロマツも同調するように力強く鳴いた。

「それじゃあ、行くわよ。シャッターチャンスを狙うように、勝利を狙っていくんだから!」

ビオラ:ハクダンシティジムリーダー
『笑顔を見逃さないカメラガール』


後書き:はい、今回は前回と比べると短めです。とりあえず、特殊なバトルフィールドですが、多分、今作のジム戦では、こういった特殊な状況での戦いになることが多いので、自分でも書いていて面白くなってきます。それでは、次回からハクダンシティジム戦ですが、お楽しみに。

第九話:VSハクダンジム戦 パート1 ( No.42 )
日時: 2013/11/17 11:56
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「さっきも言ったように、手持ちは2対2。手持ちの交代は、チャレンジャーにのみ認められるわ。さっきも言ったように、バトルはここ、通称”アリアドスフィールド”で行うわ。それじゃあ、いくわよ!」

 ビオラは、闘争心をこめたまなざしで言った。

(ポケモンバトルの極意・・・・・・!それは、僕が戦う中で発見しまければいけないんだ!)

 相手は、初めて見る形状の虫ポケモンだった。今まで戦ってきた虫ポケモンは、いずれも芋虫のようなものか、蛹のようなポケモン、そして蝶や蜂のような形状だった。しかし、今回見たものは、今まで見たもののどれにも当てはまらない。

「先攻はもらいましたよ!ケロマツ、大ジャンプして水の波動!」

 ケロマツは、ロープを大きくしならせ、ジャンプした。このジムは天井が高いので、頭をぶつけることはなく、ケロマツは大きく飛び上がる。そして、両手を合わせ、波動の力を全神経に集中させた。が、

「でも、ジャンプしている間は身動きとれないわよ!アメタマ、フォーカス合わせて、ねばねばネット!!」
「なっ!?」

 直後、アメタマは空中でとどまっている途中のケロマツに、狙いを定めてねばねばとしたネットを飛ばす。そして、ケロマツは技を放つ前に、アリアドスの巣に掛かったバタフリーの如く、この蜘蛛の巣のようなバトルフィールドの一端に括り付けられてしまうのだった。

「ケ、ケロマツ!!振り解くんだ!」

 しかし、Gホイホイのネバネバのようにべとつく為、なかなか脱出ができない。それどころか、もがけどもがけど、どんどん脱出が困難になってくる。
 一方のアメタマは、元々水面上を自由にすべることができる体のため、スケートの要領でスイーッとケロマツに近づいていく。

「アメタマ、ベストショットよ!電光石火!」

 アメタマは、体当たりとは比べ物にならないスピードで、突っ込んでくる。ケロマツは、避けようと思っても、避けられない。

(くそっ・・・・・・!こっちは、虫ポケモンに有利な飛行ポケモンや、炎タイプのポケモンがいるわけじゃないから、相性上不利だったとしても)

 すると、テイルの言葉がよみがえる。

『ポケモンはお前の都合で動いちゃくれない。』

 次の瞬間、閃く。

「ケロマツ、戻れ!」

 咄嗟の機転で、ケロマツをボールに戻した。そして、-------------------

「行け、ニャスパー!」

 相棒を繰り出すことにする。こうやって、ネットに捕まってもボールに戻せば、問題ない。こうすれば、実質ケロマツはネットから脱出したことになる。

「あーあ、逃げられちゃったか。せっかくの、シャッターチャンスが・・・・・・。でも、エスパータイプは虫タイプに不利。それは知ってるわよね?」
「知ってますよ。だけど、相性だけがバトルじゃない!」

 そういって、カルムは再び缶コーヒーを取り出して、一気に飲み干した。本当に、いつの間に買いだめしたのだろうか。

「ひゅー、すっきりしたぜ・・・・・・さぁ、行くよニャスパー!・・・・・・あれ?」

 カルムは、目を疑った。なぜなら、出したばかりのニャスパーの足元にネバネバした何かが纏わりついているからである。

「ネバネバネットの効果は、交代してもなお続くわよ。それは、相手のすばやさを下げること!」
「嘘だろ・・・・・・でも、遠隔攻撃で攻めれば!ニャスパー、サイコショック!」

 ニャスパーの目が光り、幾つもの念じ球が現れ、アメタマめがけて飛んでいく。しかし、アメタマは素早いスピードで滑りまくり、どれも避けてしまう。

「なら、ニャスパー!自分に念力をかけろ!!」
「へっ!?」

 次の瞬間、ニャスパーは自身に念力をかける。そして、一気に浮遊した。同時に、足に纏わりついていたネバネバから脱出。

「念力で自分を浮かせて、ネバネバから脱出するなんてね。いい発想よ。でも、これならどう!?アメタマ、連続でネバネバネット!!」

 アメタマは、そう指示されると、大量の蜘蛛の巣のようなネットを噴出した。フィールドには、Gホイホイの如き罠が張り巡らされる。

「動いたら、お終いかよ!!」
「アメタマ、電光石火!」

 一方のアメタマは、ネバネバネットの上でも、華麗に滑りまくる。

「い、一体どうなってるんだ!」
「アメタマが、水上などでも移動できる理由、それは足に油が分泌されて、水を弾いたりネットを弾いているからよ。だから、どんな場所でもすべるように移動ができるのよ!」

 そうだ。アメタマは、水上ですべることができるが、その理由は足から常に油を分泌しているためである。しかも、それが水やネバネバを弾くため、どんな環境でも動き回ることが可能なのだ。現に、アメタマは自らが張ったネットの上をもすいすい走っている。

「くそっ、ニャスパー!ひっかけ!」

 カルムに指示をされ、駆け出したニャスパー。しかし、ここは蜘蛛の巣型のアリアドスフィールド。フィールド自体がネバネバしているわけではないが、不用意に動けばボヨンボヨンと跳ねてしまい、最悪足元をすくわれる。

「なら、ジャンプしながら接近しろ!」

 今度はジャンプ。ビョーンと跳ねたニャスパーは、ネットの無いところへ着地。直後、再びジャンプしてアメタマの上空から襲い掛かる。当然、アメタマは滑って避けようとした。が、

「ニャスパー、念力でアメタマの動きを止めろ!」

 ニャスパーの念力で動きを止められてしまった。そして、直後。ニャスパーは馬乗りになって、連続でアメタマを引っ掻いた。悲鳴を上げるアメタマ。しかし、


「アメタマ、振り払って!フォーカスあわせて、シグナルビーム!!」
「なっ!!」



 アメタマは、ニャスパーを振りほどき、至近距離でビームを放った。吹っ飛ばされるニャスパー。やはり、相性が悪いことには変わりなかった。しかも、フィールドの面でもこちらはアメタマに引けを取ってしまう。ぼよんぼよんと、動きづらいフィールドでニャスパーは不利。得意の遠隔攻撃も、すべてエスパータイプ。虫タイプに効果が薄いのは分かりきっていた。
 一方のアメタマは余裕そうだった。相手に与えるダメージは大きい上に、こちらが受けるダメージは少ないからだ。

「勝負あったわね!」
「まだ、分からないじゃないですか!」

 とは言ったものの、フィールド上に仕掛けられた罠の数々は、Gホイホイ改め、ニャスパーホイホイとも言わんばかりに、ニャスパーが足を踏み外して引っかかるのを待っていた。

「ここで決めてやろうかしら!アメタマ、今度こそフォーカスあわせてシグナルビーム!」

 まずい。これを食らったら、お終いだろう。一巻の終わりだ。せめて、ここは勝利してポイントは稼いでおきたい。ここでニャスパーを勝たせるには・・・・・・。

(あれ?ここで戦ってるのって、ニャスパーだけか?)

 自分も、気づけばニャスパーと共に戦っていたのだ。曲がりなりにも、自分はポケモントレーナーだ。ならば、ニャスパーの事を第一に考えて、戦わなければならないのである。

 観戦していたパンジーは、彼の目の色が変わったことに気づいた。

(気づいたわね。ポケモンバトルの極意に!)

 
「ニャスパー、念力でさっきみたいに体を浮かせられるか?」

 カルムは問うた。ニャスパーは、こくりと頷く。ハクダンの森で、短い間だったが、曲がりなりにもニャスパーの念動力は強化されていた。自分をも動かせるほどに。

「ニャスパー、念力で自分の体を浮かせろ!」

 イチカバチカの賭け。ここでネットを踏まないようにするには、これしかない。ニャスパーは、超能力を発動させ、体を浮かせる。ニャスパー程度の超能力ならば、持って1分。だが、それで十分だった。

「何をしたいのか、分からないけど、アメタマ!シャッターチャンスよ!シグナルビーム!!」
「ニャスパー、避けろ!」

 次の瞬間、言葉通り、ニャスパーの体が動いた。ビームは見事に避けられ、消えていく。

「う、嘘でしょ!超能力で、自分の体を横に動かしたって言うの!?」

 自分に念力をかけるような戦い方をするポケモンなど、ビオラは見たことがなかった。だが、同時に面白くもなってくる。

「良いじゃない!良いじゃないの!アメタマ、シグナルビーム!」
「ニャスパー、チャームボイス!!」

 新しい技。ニャスパーは、一気に空気を吸い込み、大音量で大声を上げた。ビームは掻き消されて、アメタマは見事に吹っ飛ばされた。チャームボイスは、その名のとおり声で攻撃する、フェアリータイプの技。虫タイプには普通に通用する。

「とどめだ!ニャスパー、飛び上がってひっかく!!」

 最後に、自分に掛けていた念力を解除し、大きく飛び上がるニャスパー。そして、鋭い爪でアメタマを切り裂いた。アメタマは悲鳴を上げて、落下と同時に動かなくなる。

「言っておきますけど、僕はそれと同じやつを、毎朝食らってますよ。」

 カルムは、まるで決めゼリフのように言った。が、決まっていない。

「うぅ・・・・・・!戻って、アメタマ。」

 ビオラは、悔しそうに唇をかむ。しかし、こちらも手負い。相手がジムリーダーである以上、油断は禁物だった。


後書き:はい、今回はジム戦でした。非常にアクション性の強いフィールドとなっております。アメタマは、機動力でニャスパーを追い詰めましたが、最終的にはカルムの機転で倒されます。ちなみに、アメタマがゲームでは使用しない、ネバネバネットなどを使うのは、アニメからの流用です。それでは、次回でハクダンジム戦は、完結です。お楽しみに。


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