二次創作小説(紙ほか)
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- ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産
- 日時: 2015/07/13 03:02
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
”読者の皆様へ”
はい、どうも読者の皆様、自分はタクと申します。どこかで、見かけた事があるかもしれませんね。二次で、ポケモンとか、デュエマの小説を書いていました。
今作は、ポケットモンスターXYのストーリーをモデルとしたものです。
また、オリジナル要素が多々あります。そして、今作から後書きを付けることにしました。まあ、書く事がないときは、何も書いてないかもしれませんけど。応援、よろしくお願いします!
ポケモン第六世代を最初に飾るゲームソフト、XYのノベライズ化!! 最後まで是非、ご覧あれ!!
登場人物紹介>>12
プロローグ
>>01
アサメタウン編
>>09 >>10 >>11
ハクダンシティ編
>>21 >>22 >>23 >>40 >>41 >>42 >>45 >>47
ミアレシティ編
>>50 >>51 >>52 >>53 >>56 >>57 >>61
コボクタウン・パルファム宮殿編
>>62 >>68 >>69 >>71 >>76 >>77 >>79 >>80
コウジンタウン編
>>83 >>86 >>87 >>90 >>95 >>96 >>99 >>102 >>103 >>104 >>110 >>111 >>112 >>113
ショウヨウシティ編
>>114 >>115 >>119 >>120 >>121 >>124 >>125 >>126
シャラシティ編
>>127 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147 >>149 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>158 >>161
ヒヨクシティ編
>>164 >>165 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>173 >>174 >>175 >>176 >>179 >>182 >>183 >>184
ミアレシティ編2
>>185
ss・短編置き場
1.木登り騒動 >>148
飽き性な作者ですが、応援よろしくお願いします。また、読者の皆様の意見を聞きたいので、コメントには感想を添えてくださると幸いです。
- Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.108 )
- 日時: 2014/01/18 15:00
- 名前: Dr.クロ (ID: /PtQL6mp)
デュエマのほうは?
- Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.109 )
- 日時: 2014/01/19 15:50
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
白黒さん
コメントありがとうございます。自分も、英検を受けることになっています。自分は中1なので、5級を受けることになっています。まぁ、自分だけでなく学年全員が受けることになっているんですけどね。
オペラは、七炎魔将の中ではまとめ役と言った形ですかね。本来は、序列一位の『炎魔灼熱(タルウィ)』の仕事ですがね。この異名は、伏せ名としても役に立ってくれました。名前を明かしたくない時点では役に立ちます。
テイルは仰せの通り、です。ベテランとして、先輩としての風格を漂わせていますね。突き放すのや煽るのが得意なのも、年長者としてのイメージを立たせたかったからです。逆にカルムはまだ、未熟といった感じですかね。精神的にも。
自分は特に、『とある魔術の禁書目録』シリーズを参考にして書いています。戦闘シーンなんかをですね。恐縮ですが、自分の小説が何らかの役に立ったのならば、幸いです。
それでは、また。
Dr・クロさん
デュエマの方の更新が遅れてすみません。ですが、こちらもリアルの都合などがあって、なかなかデュエマの方の話を書けなかったり、最近はデジモンの方面にも興味がわいてしまって、スレ立ての準備を進めている以上、しばらく更新できないものと考えてください。
ご理解いただければ幸いです。それでは。
- 第三十七話:ギリギリ・バトル ( No.110 )
- 日時: 2014/01/19 22:02
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
砂浜に、空を切って何かが落ちてくるような音。ベシャッと何かがへしゃげたような音が響いた。
完全に真っ黒焦げになってしまったニャスパーの姿が、そこにあった。
つまりは、完全に戦闘不能にされたといったところか。
無言でニャスパーをボールに戻すカルム。喉の奥で全力待機していた声が、気付けばようやく出るようになっていた。
激しく、鬱。1匹目からこんな負け方では、先が思いやられるばかりである。
風が、「やめろやめろ」とケラケラ笑いながら囁いているかのようにすら思えた。だが、振り払う。そんなもの、弱気になっている自分が勝手に作り出した幻想だ。
再三帽子をかぶりなおし、ボールを握り締める。自然と力が入った。
------------戦えるか?
半透明になったボールケースからは、中の自分の相棒が自分の気持ちを察したかのように、強く、強く頷いた。
相手は最終進化のポケモンで、決定打となるタイプの攻撃は通用しない。ステータスは一回りは愚か、二回り大きいのである。
------------何だ、逆に言えば”それだけじゃねえか”。
そう、所詮相手はポケモンであって”化け物”ではないのだ。倒すことの出来ない、創造神話上の化け物ではないのだ。
絶対に攻略法はあるはずだ。 正攻法にせよ、そうでないにせよ、だ。
相手が自分の使うのと同じく、ポケモンという一種の生き物である、そう考えれば気が楽になった。すると、シビルドンの体には無数の傷のようなものが、見える。そして引っ張り出した自分の知識から、カルムは確信した。
----------------賭けになるけど、勝てる見込みはある!!
「行けッ、ゲコガシラ!!」
カルムが次に繰り出したのは、ゲコガシラだった。自らに最も忠実な相棒。だが、主従なんていう関係は、とっくに超えている。地面を踏みしめる。
カッと目を見開き、カルムは腕を振るった。そして、今までのどの奥に押し込めていた声を張り上げて出した。
「ゲコガシラ、水の誓い!!」
刹那、ゲコガシラは地面を思い切り殴る。裏拳気味に放ったゲコガシラの拳は、水色のオーラらしきエネルギーを放っており、地面を叩き割った、というよりは地面という一種の空間を切り裂いて、そこから水を出現させた、というのが正しかった。
無数に拡散して、シャワーのように降り注ぐ水。それを見ていたテイルは、自分も水を浴びていることに気付いた。
----------何のために?
ギリッと歯を噛み締める。常に電気を放つポケモンは、水に濡れると自らの電気で感電するらしい。
ただ、それでも電気タイプは電気に対し非常に強い。仮にそんなことが起こっても、平気なはずだ。
それを知っていたテイルは、そんな使えもしない知識を伴った理由でびしょ濡れにされたと思うと、今にも脳の血管がはち切れそうだった。
「馬鹿馬鹿しい!!」
テイルは、息を荒げて叫ぶ。
「シビルドンは、自ら電気を生産する故にゴムのような皮で自らの電気が自分の体へ通電するのを防いでいるんだ。いくらこいつが常に発電してるからって、感電してぶっ倒れた、なんてオチになると思ったか!!」
「ああ、”知ってますよ”。」
さも、そう言うのを読んでいたかのように、カルムは不適な笑みを浮かべた。それをいちいち聞いていたら、またキレそうになるので、テイルは敢えて聞き流した。
雨はまだやまない。つくづく、びしょ濡れになっている体が腹立だしかった。
-------------いや、待て。”まだ降っているのか?”
テイルは再三辺りを見回した。間欠泉が原因で降り始めたはずの擬似雨がまだやまないのは幾らなんでもおかしい。
気付かなかったが、地面が暗くなっている。しかし、その範囲は見て取るに半径10m圏内と言った所か。だが、なお降り続けるその雨を見て、テイルの決して悪くは無い頭は、1つの結論を出した。
「雨乞いか------------------------!!」
ギリッと歯を食いしばった。だが、逆に言えばそれだけだ。奴は何の目的で、雨を降らせた?
しかし、そんなことをいちいち考えるほどテイルは大人ではない。
「関係ねえ、ぶっつぶせ、10万ボルト!!」
腕を振り回し始めるシビルドン。紫電が何本にも腕に集中し----------------------体中へ拡散した。
「はっ!?」
全身が電気で輝いているようにさえ見えるシビルドン。電気を放つ前に、濡れた体のせいで電気が全てそれを通り道とし、流れてしまったのである。さらに、シビルドンは、さっきのワイルドボルトの如く輝いているのではない。
”苦しんでいるように見えた”。
「なっ、何で・・・・・・・!!」
見れば、シビルドンの体には無数の擦り傷のようなものが見える。さっきのサイコショックの爆発で、体に傷が付いたのだろう。あくまでも、ゴムの役割を果たしているのは体の表面層だけだ。
だけど、サイコショックの爆発で弱点の層が露見するほど弱くは無いはず。
「分かりませんでしたか?」
カルムは笑みを浮かべる。
「俺はさっき、とにかく我武者羅にサイコショックをニャスパーに撃たせた。」
「ば、バカ言え!!シビルドンの体がそこまで軟弱な訳が・・・・・・。」
「確かに、サイコショックの爆風ではそう簡単には傷つきませんよ。でも-----------------」
テイルは何となく分かっていた。目の前で為すすべも無く金色の光を放ち続けているシビルドンを横目にするしかないほど、焦っている。
「”石の破片を”あんなに食らったんだ、傷ひとつ付かないわけが無いでしょ。」
「くそっ・・・・・・!!」
ニャスパーの念動力は確かに強くなっていた。だからまず、サイコショックで爆風を起こした後、念力で岩を砕き、そしてその破片をシビルドンへ叩き付けたのだ。
「岩があの時砕けてたのは、シビルドンの10万ボルトじゃなくて、ニャスパーの念力だったって言うのかよ!!」
「そうですね。後は、電気を傷口に集中させるためにシビルドンを濡らす必要があった。」
「お手上げだ・・・・・・まさか、進化してから殆ど無敗を誇っていたシビルドンがこんな形でやられるとは・・・・・・!」
雨は止み、そこにはぐったりと横たわった電気魚の姿。テイルはボールの光線をシビルドンに当て、中へ戻した。
「柔を以って剛を制せ・・・・・・か。」
まぐれだ。はったりに決まっている。自分がこんなことで、奴とイーブンになるなど、考えられない。
------------いや、俺は過去の奴の戦い方に囚われすぎた。
それにしても、なんと言うやり方だろう。型破りというか、なんというか・・・・・・。
------------だから、こちらも極上のおもてなしをしねぇとなッ・・・・・・!!
「こっからだ。てめーは癖こそあるが・・・・・・所詮アイツは俺らには敵わないってことを証明してやるんだ!!存分に暴れてきな、カットロトム!!」
空を切って飛んだボールは爆ぜて、中からは芝刈り機のような影が現れた。それも、電気をまとったような。
しかし、カルムはこれだけは信じたかった。今のそれのケラケラ笑いは、自分の敗北を予感させるものではない、と。
後書き:今回、テイル戦の続きです。辛くも、これで2対2です。でも、相手はテイル。このまま負けるほど、弱い相手ではありません。ちなみに、今回のシビルドンの倒し方はデンキウナギの生態を基にしました。この小説では、そういった工夫した戦い方を展開したバトルをメインにしていきたいと思う今日この頃です。次回は、テイル戦の続きです。あまり、長々と続けるわけにはいきませんからね。それでは、また。
- 第三十八話:ビリビリ・バトル ( No.111 )
- 日時: 2014/01/25 22:39
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
テイルが繰り出したプラズマポケモン、ロトム。電化製品に入って悪戯をするゴーストタイプのポケモン・・・・・と聞いていた。が、
”何か、違った。”
「あれ?図鑑とは姿がぜんぜん違う・・・・・・。」
「とーぜんだな。」
テイルはケラケラ笑うと言った。
まるで、彼を小馬鹿にしたかのような笑みで。
「ロトムは、フォルムチェンジの出来る数少ないポケモン。それも、”電化製品”に取り付くことによって、だな。」
ロトムの姿は、芝刈り機のようで、鋭い歯が立ち並んでいた。
まるで、草は愚かこちらまで刈り尽くしてしまわんとばかりの形相で。
無邪気に邪気あり、とはこのことか。
テイルは続けた。
「んでもって、だ。こいつの今の形態は”カットロトム”。通常とはタイプが異なっている。電気・草といったところだ。」
「バラして良かったんですか?」
「構わねぇさ。どうせ俺が勝つ。」
自信満々の笑みが鼻に付いた。
イラッと来たのが分かるくらい、カルムの額に青筋が浮かんだ。
いや、イラッでは済まされないだろうだろう。
「言ったな!?言ったな?!んじゃぁ後悔しても遅いですよ------------------」
「ああ、遅ェ。」
うんざり気味に言ったその口は、不愉快そうに歪んでいた。
次の瞬間、電気が地面を迸った。
まるで、短距離走者(スプリンター)が駆け抜けるかのように、颯爽と。すっきりするぐらい。
速いと感じる前に、それはゲコガシラの指に到達し、電気という名のバトンを渡す。
しかし、ゲコガシラはバトンを持ったまま走ることは出来なかった。 そのまま、電気は火花を散らしながらゲコガシラの体を走り回る。
と、思えば、ゲコガシラはビクビクと痙攣してその場に跪いて前のめりに倒れた。
「お、おいっ嘘だろ!?」
「ハッ、だから言ったんだ。”遅い”。”遅すぎる”。」
テイルの黄色い瞳が光ったように見えた。
次の獲物が何なのかを楽しみにしている、というよりは次の獲物がどう倒れるかが楽しみにしているのか。
獰猛な獣。それがお似合いだった。
「電気-----------つまり光はな、この世の何よりも速い。故に、どんな手を行使したとして、光を止めることは不可能!!」
「ニュートリノの速度が光の速度を超えたって話は聞いたことがありますが?」
「・・・・・・。」
黙りこくるテイル。
が、次の瞬間口を開いた。
「知らね。」
「・・・・・・。」
「知らね。」
「二回も言った!!」
ちょっと待て、この人無かったことにしてるよ、と叫ぼうとした瞬間、再びテイルが口を開く。
「てゆーかぁ、今バトルの途中なんですけどォー?無理やり横道逸らすつもりですかコノヤロー。」
目線を逸らして、気だる気味に言った。
が、これでは理不尽である。
「横道逸らしたのは間違いなくアンタだろうが!!」
「いーや、こういう場合”先輩敬いやがれコノヤロー条例”に則って、お前が悪い。」
「んな条例聞いたことねーんすけど!?」
「だって今俺が作ったから。」
「いや、そうだろうと思ったよ!!」
突っ込みとボケの連鎖が続く。
が、このままやっていては埒が明かないので割愛。
「ぜぇ・・・・・・ぜぇ・・・・・・。」
「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。」
へたり込む2人。
互いににらみ合う。
「このままじゃ、埒が明かねぇ・・・・・・。」
今頃気付いたか。
一方のカルムも、怒鳴り疲れて方で息をしている。
アホだアホ。
「もういい!!とっとと三匹目出しやがれっつってんだろが!!」
「分かりましたよ、分かりましたよ。」
そういうと、カルムは気だるそうにボールを握った。
次の瞬間、空を切ってボールが手から離れる。
光が放たれてボールが弾けた。中から”何か”が飛び出す。
「頼んだぜ、目には目を、歯には歯を。電気には、電気を!ゴー、プラスル!」
カルムが最後に繰り出したのは、プラスルだった。
電気タイプとまともに戦えるのは、プラスルのみ。だから、今まで温存していたのである。
「電気タイプ。それもプラスルか。」
------------はっ、笑わせんな。
幾ら電気タイプといえども、電撃を食らえば少しはダメージを受ける。
まして、カットロトムは特殊攻撃力が高い。
が、それ以前にカットロトムは草タイプを複合している。たとえ、電気技が効かなくとも--------------
「草タイプの技で、対抗できるんだよ!!カットロトム、リーフストーム!!」
刹那。
カルムは聞き慣れない、妙な音を聴いた。
空気と空気が渦を巻き------------------互いに切り裂きあう音。
-------------竜巻だ!!
リーフストームは、葉を竜巻によって巻き上げて、相手へ一気にぶつける技。
その威力は破滅的で、草タイプの技の中では最強クラス。
しかし、その代償として特殊攻撃力を大幅に下げてしまうという欠点がある。
だが、その代償を差し引いてもこの技は一撃必殺にもってこいだったのである。
「生ける刃のッ、糧になれェ-------------------------!!」
生ける刃。すなわち、この技によって巻き上げられた葉のことだろう。
草タイプの技は、普段は大人しい自然のあらぶる本性を引き出す技。
背を向ければ、木々は、自然は、大地が容赦なく牙をむくように。
無論、リーフストームも例外ではない。
しかし、所詮は”空気の渦”だ。
「飛び上がれ、プラスル!!」
地面を蹴って高く跳ね、竜巻を避けるプラスル。
しかし、これではカットロトムの格好の餌食。
味を占めたのか、テイルはいつも不敵な笑みを浮かべると、カットロトムに命じた。
「カットロトム、一撃で決めろ。雷!!」
黒い雲はいまだに宙に浮かんで雫を降らせていた。
今こそ、チャンスだ。
雷は、天候が雨の場合、100%の確立で成功する。
さらに、相手が宙に浮いていれば、威力は倍。
いくら特殊攻撃力が下げられているとは言え、これを食らえば一たまりも無いはずだ。
ただし、「食らえば」の話だが。
天・罰。
暗雲から、それを揶揄すように聖なる光が一直線に落ちた。
耳を割らんとの勢いで轟く轟音。
思わず耳をふさぐ。
だが、カルムは知っていた。
この一撃では勝負が付かないことを。
確かに、雷光はプラスルへ一直線に落ちた。
同時に、プラスルも渦の中央へ落ちる。
だが、様子がおかしい。何故、瀕死のダメージを貰って都合よく渦の中央へ落ちたのか。
そして、渦の中央へ落ちることで何が起こるのか。
その可能性をテイルは片っ端から脳内で挙げてみる。
が、その前に結果は導き出された。現実に。
大量の紫電が放出される。
竜巻が裂けて、空気の渦は、葉は散り散りになって燃えた。
そして、大胆不敵に夷敵は目の前に立っていたのである。
「ば、馬鹿な!?」
テイルは大声を上げた。
何故、何故立っていられるのか。
「空気の渦・・・・・・台風なんかは”目”の部分は全く風が来ないらしいですよ。」
「違う!!それより何故、俺のカットロトムの渾身の雷を食らって立っていられる!?」
竜巻の目に入れば、リーフストームのダメージが0になるのは分かりきった話である。
だが、それでは雷のダメージは?
タイプ一致1.5倍、空中補正2倍のダメージはどこへ消えたのか。
「種明かししましょうか。こいつの・・・・・・プラスルの特性は避雷針。電気技を引き寄せ、無効化する優れモンですよ。」
テイルはポケモンの特性に詳しいわけではなかった。
というのも、正確に言えば、それは研究中の未知の領域。
前に居た地方でもプラスルは見かけた。
だが、特性はプラス。それだけだ。隠れ特性・・・・・・通常ではありえない特性を持つ個体は居なかった。
しかし、このカロスには確かに存在する。
”隠れ特性”を持つプラスルが。
が、そんなことはどうでも良かった。
「あー、そーかよ・・・・・・だけど・・・・・・でっけぇ口はコイツを倒してからにしろ!!」
カルムの最大の失敗は、”その後どうすればいいのか”考えてなかったことであった。
有効打は考えられない。
ていうかこれは・・・・・・。
「せめて、手厚く葬れ!!カットロトム、シャドーボール!!」
一直線に影の玉が飛んでいく。そして、プラスルに直撃。
煙が上がる。
リーフストームをどうにかしたところで、他に色々技があるかもしれないのに。
その対処法は考えなかったし、むしろ攻撃方法も考えてなかった。
というか、プラスルのウェポンは不利。
カルムは、つくづく感じた。
爆音を耳に捕らえながら。
(やば、負けたわコレ。)
と。
横たわるプラスルを垣間見た後、己の敗北を直感するのであった。
後書き:はい、今回再び敗北を喫するカルム。やっぱりテイルは強かったということで。
長々とバトルを続けるのもあれだったのもありますが。さて次回は、そろそろショウヨウシティに向けて出発です。というか、結局テイルはもう一度カルムの能力を目にすることは出来ませんでしたね。
それでは、また。
- 第三十九話:能力者 ( No.112 )
- 日時: 2014/01/26 11:15
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)
「・・・・・・すみませんでした。」
ぶっきらぼうにカルムの口から飛び出たのは、謝罪の言葉だった。
「い、いや良いんだよ、俺も悪かったな!!ハハッ・・・・・・。」
ただ、お前の能力の秘密が知りたかっただけだ、などとは口が裂けてもいえなかった。
それでも、一応それなりのフォローはしておき、テイルは一旦、カセキ研究所へ帰った。
「お隣さん?」
自動ドアの音がして、カルムの影を認めると、セレナはタタッと自分のお気に入りの帽子を落とさないように掴んで駆けていく。
「どうだった?バトル。」
「負けちゃったよ。」
残念そうな笑みで、彼は返した。
「えっ・・・・・・。」
セレナは声色を落とした。
「でも大丈夫、ちゃんと仲直りしたから。」
「よ、良かった。」
「ねぇ、お隣さん?」と、セレナは続けた。意を決して、あのことを聞いてみようか。
「私たちに隠してること、無いよね?」
「・・・・・・は?」
カルムは怪訝そうな顔をして返した。
「無いよ、そんなの。」
「貴方の能力のこと!!」
じれったくなって、とうとうストレートに切り出してしまった。カルムの顔色が一気に変わる。
そして、目つきを変えると、セレナに迫った。
今にも噛み付かんとの勢いで。
「それに二度と触れるな・・・・・・!!」
怖い。
初めて、そう感じる。
「ご・・・・・・ごめん。」
涙目で、謝るセレナ。その声で、我に返ったのか、カルムも沈んだ声で返した。
「ああ・・・・・・僕も悪かった。」
よどんだ空気が、ただただ支配していた。
何とか、話題を変えようとカルムは模索する。
思い出した。あのモノズは大丈夫だろうか?
「そうだ!!あのモノズは?」
「えっ、だいぶ良くなったみたいで、ご飯を自分から食べるようにはなったみたいだけど?」
「・・・・・・僕、あいつが放っておけないんだ。」
何かを見据えるように言った。
「もう一回、あいつと顔合わせてくるわ。」
そういうと、カルムは去っていった。
すれ違い様に、互いの温度差を感じる。
(やっぱり・・・・・・私じゃ何も出来ない?そんなに私は足手まとい?)
「彼の能力は異端そのものだ。」
-----------は?
その夜、プラターヌ博士からテレビ電話ごしに告げられた事実は、テイルにとってとても興味をそそるものだった。
能力者とは、結構この世に存在していたりする。
特に、ポケモンの能力を著しく開花させる類は。
事実、テイルが以前旅をしていた北の地方にもちらほら居たような気がする。
が、博士は全くの別物と言った。
自分が今まで見てきたものとは。
「カロス地方を構成する2つのエネルギー・・・・・・知っているよね?」
----------知っていますよ?
素っ気無く返した。
前から懇々と説かれていたことだ。そして、そのエネルギーのバランスが崩壊しつつあることも。
テイルは肩をすくめた。
----------一体全体、何の関係があるっていうんですか?
と、言ったときだった。頭の中が再生される。
洞窟でのオペラとの戦いの際、カルムが怒ったのと同時に、ゲコガシラの生命エネルギーが活性化した、とマロンは言っていた。
”生命エネルギー”?
テイルは思わず口ずさんだ。
「そうだ。それこそが最大のポイントだ。」
---------マジですか・・・・・・まさか・・・・・・”X”と関係があるっていうんですか。バカ言わないでくださいよ?俺はこの年になって、後輩のバカの正体がポケモンでしたバカなんてバカバカしいエンディングを迎えるつもりなんて無いっすよ?
「何回バカ言うんだね?」
--------サーセン。冗談ですよ。
「相も変わらず口が悪いね君は。」
--------昔からなんで・・・・・・すんません、以後気をつけます。
平謝り。
「さて----------」と博士は続ける。
「彼の能力を調べてほしいんだがね。ただ以前、彼の経歴を調べたところ、”酷い過去”が浮き彫りになったんだよ。」
----------------酷い過去?まぁいいや。その話なら長くなりそうなんで、また今度で。
「いや、ちゃんと話を聞いてよ。」
----------------もう夜中の3時っすよ!?唯でさえバトルで疲れてるのに、もう俺寝るんで。
「いや、とても重要なんだ。」
根負けして、仕方なく聞くことにした。パソコンをいじってしょぼついた目を擦りながら。
しかし、その過去は、あまりにも聞くには耐え難かった。
---------------マジかよ・・・・・・。
「マジだ。」
いつになく真面目な顔で博士は言った。
---------------くそっ、そんなことも知らずに俺は、あいつの能力を無理やり引き出そうとしちまった!!
「何、仕方が無いことだ。自分を責めなくていいんだよ。」
しばらく沈黙が続く。博士は思わず、この沈んだ雰囲気を元に戻そうと切り出した。
「あ、マロン君と何か進展はあったかい?」
にやにやしながら、博士は痛いところを突く。
----------------べっ、別に・・・・・・俺はアイツとは何にも無いんで!!
顔を耳まで真っ赤にして、沸騰しそうな勢いでテイルは受話器を叩き付けた。
胸の鼓動が高速でビートを刻んでいくのが分かる。
----------------分かってんだよ、畜生。お前の気持ちも。なのに・・・・・・。
素直になれない自分が、そこにはいた。
嘘を吐き続ける自分が、そこにはいた。
そして---------------それらに容赦なく刃を突き立て、咎める自分が居た。
後書き:今回、かなり短いです。2200文字台。今回は、色々とキャラの心理を描くのにやはり楽しいのも同時に大変でした。
次回、そろそろショウヨウシティに行きたいところです。まぁ、もう一話はさむとは思います。
それでは、また。
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