二次創作小説(紙ほか)
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- ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産
- 日時: 2015/07/13 03:02
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
”読者の皆様へ”
はい、どうも読者の皆様、自分はタクと申します。どこかで、見かけた事があるかもしれませんね。二次で、ポケモンとか、デュエマの小説を書いていました。
今作は、ポケットモンスターXYのストーリーをモデルとしたものです。
また、オリジナル要素が多々あります。そして、今作から後書きを付けることにしました。まあ、書く事がないときは、何も書いてないかもしれませんけど。応援、よろしくお願いします!
ポケモン第六世代を最初に飾るゲームソフト、XYのノベライズ化!! 最後まで是非、ご覧あれ!!
登場人物紹介>>12
プロローグ
>>01
アサメタウン編
>>09 >>10 >>11
ハクダンシティ編
>>21 >>22 >>23 >>40 >>41 >>42 >>45 >>47
ミアレシティ編
>>50 >>51 >>52 >>53 >>56 >>57 >>61
コボクタウン・パルファム宮殿編
>>62 >>68 >>69 >>71 >>76 >>77 >>79 >>80
コウジンタウン編
>>83 >>86 >>87 >>90 >>95 >>96 >>99 >>102 >>103 >>104 >>110 >>111 >>112 >>113
ショウヨウシティ編
>>114 >>115 >>119 >>120 >>121 >>124 >>125 >>126
シャラシティ編
>>127 >>131 >>132 >>133 >>134 >>135 >>138 >>139 >>140 >>141 >>142 >>145 >>146 >>147 >>149 >>152 >>153 >>154 >>155 >>156 >>158 >>161
ヒヨクシティ編
>>164 >>165 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>173 >>174 >>175 >>176 >>179 >>182 >>183 >>184
ミアレシティ編2
>>185
ss・短編置き場
1.木登り騒動 >>148
飽き性な作者ですが、応援よろしくお願いします。また、読者の皆様の意見を聞きたいので、コメントには感想を添えてくださると幸いです。
- 第五十三話:目的 ( No.133 )
- 日時: 2014/07/02 23:20
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
「ルカリオ、ルチャブル、グロウパンチ!!」
先手はコルニが打った。
2匹とも、全く同じ技で一糸乱れぬ動きを見せる。
グロウパンチ。意味は正しく成長する拳。打てば打つほど拳は硬さを増し、威力を上げていく。
つまり、殴るたびに攻撃力が上がる技なのである。
早速、ハリボーグは強固な守りでそれを受け止め、ワカシャモは強靭な足で返すも-----------弾かれた。
「ワカシャモ、ルカリオに二度蹴り!」
「ハリボーグ、ルチャブルにニードルアーム!」
ワカシャモの足が唸りを上げてルカリオの鋼の体へ吸い込まれるように放たれた。同時に、棘に包まれた腕がルチャブルに襲い掛かる。
さらにワカシャモは、追い討ちを掛けるようにもう片方の足で蹴りを喰らわせる。
しかし、条件反射かルカリオはその足を掴んで空中へぶん投げた。また、ルチャブルもひょい、と腕を避けたかと思うと、そのままハリボーグの腹へ突っ込んだ。苦悶の顔を見せたハリボーグに、お返しとばかりのパンチを食らわせ、巨体を吹っ飛ばす。
完全に、パワーは向こうが上回っているか。
「くっ、パワーじゃ押し負けるかっ!」
「お隣さん、タッグプレーよ! そのワカシャモ、炎の誓いは覚えてる!?」
「そうか、合体技か!」
ワカシャモは運よく、炎の誓いを覚えている。炎の誓いと草の誓いが合わされば、あたり一面は焼け野原と化すのだ。
その威力の高さは以前、セレナとサナを相手にしたときに身をもって確認済みだ。
ここでぶつければ、あわよくば一撃必殺----------!!
「ルチャブル、ツバメ返し!」
一瞬、何かが横切った。
こちらが指示を出す前に、向こうが仕掛けてきたのだ。
鋭く、冷たい風が辺りを包み込む。
目を開ければ、既にハリボーグはダウン。
余りにも、あっけなさ過ぎる決着だ。
「セレナっ!?」
「ご、ごめんカルム……!!」
「やったやったぁー!! 流石、ルチャブル! 今度はルカリオ、ボーンラッシュ!!」
焦燥感に包まれる2人を横目に、コルニは続けてルカリオへ指示を出した。
ルカリオの手に青いエネルギーが棒状に固まる。
そして、一気に野球の要領でワカシャモの身体をバットで打つように振り切る。
「止めのグロウパンチ!!」
空中へ跳ね飛ばされて、反撃不能のワカシャモへルカリオは地面を蹴り、そのまま-----------グロウパンチを打った。
ぐりっ、と胴に硬い拳がめり込む。
悶絶の表情を浮かべてから間もなく、轟! と音を立てて地面に激突したワカシャモは、そのまま動かなくなった。
決着を見た。
誰がどう見ても、カルムとセレナの完敗だった。
***
ポケモンセンターにて。ポケモンを回復させた2人は、コルニと向き合う。
あまりにも速い決着、そして余りにも大きすぎる実力差だった。
カルムの場合、弱点タイプのニャオニクスをぶつければ、また話は違ったかもしれないが、直感で分かった。
ニャオニクスでもあの打撃を受けきることはできないと。
「つ、つええ……流石ジムリーダー」
「へへーん、だってあたしの格闘ポケモン達は最強だもん!」
そう言った後、彼女は地図を投げて渡した。
「この地図に、メガストーンが埋まっていると思われる場所が記されてあるんだ」
カロス地方全域の地図。そこには所々に×マークが施されている。恐らく、その地点にメガストーンが埋まっているものと見て間違いないだろう。
唯、既にフレア団によって回収されていたり、同じくメガストーンの回収を行っているテイルとマロンに先を越されている可能性もあるので、場合によっては無駄足他ならない。
「難しいよな、この辺さ」
「でも、フレア団に悪用されないように早く行動を起こさないと-----------」
メガストーンの回収という1つの大きな目的は見つかった。
フレア団よりも先に、より早く迅速に目的地に向かわなければならない。
だが、すぐにはいけない場所もある。
そこでカロス一周の過程で回る場所回る場所で探せば良い、という結論に至った。
「じゃあ、この辺で解散ってことだな。セレナはどうする?」
「とりあえずメガシンカについての情報をテイルさんとかから聞いてみるわ。メガシンカを手に入れて、強くなりたい」
「強くなりたい、か。それは僕も同意見だ。最下級のネープル相手でさえ、僕達は追い詰められてしまった」
まだまだ、実力不足だと言う事を痛感する2人。
そして、コルニは
「じゃあ、あたしはおじいちゃんに報告したいことが沢山あるから真っ先にシャラシティに行くね!」
とのことだった。
「ああ、そうか。気をつけてな」
「ジム戦、2人共楽しみにしてるよっ!」
ローラースケートの軽快な音と共に、彼女の後姿は直ぐに見えなくなった。
強くならねばならない。
シャラジムでの戦いは、恐らく本気を出した彼女によってより激しいものになる。よって、今のうちにポケモンを鍛えておかないと、間違いなくさっきのように瞬殺される。
「フレア団を倒さないと……そのために、僕はメガシンカを手に入れる!!」
***
----------フレア団本部。通路で、スーツを身に纏ったボーイッシュな少女、ネープルは苛立った声を極限にまで抑え、(あくまでも自分の主観だが)目の前にいる場違いな執事服を羽織った金髪ショート、そしてモノクルを掛けた上司・オペラに告げた。
「以上が報告です」
「フライゴン、ですか。了解です」
彼は顎に手をやると、「ふむ」と一声発する。
そして、笑みを浮かべた。
「ネープル君。それと、この間頼んだ例の研究は?」
「ええ。丁度良いモニターも見つかったことですし、なかなか良い具合に進んでいます」
「結構」
懐中時計に目をやると、オペラは歩を進める。
「定刻です。故にアニメ鑑賞の時間にします。実験はその後。良いですね?」
「了解です」
「くくく、これはどうなるか分かりませんね。ですが、私の理論が正確ならば、絶対的な確立で実験は成功します」
カツーン、カツーンとブーツが地面を打った。
オペラの笑い声が室内に響き渡る。
冷酷に、そして冷たく。
ドラゴン使いとは無縁のそれは無慈悲に反響する-----------------
後書き:久々の後書きです。今回は短めですね。どっちかというと。メガシンカの力をゲームで思う存分に感じています。対戦は厳選・育成の時間が取れないのでからっきしですがね。さて、今回ようやくセキタイタウン編が終わりです。圧倒的な力を見せるコルニ、そしてメガストーンの回収という新たな目的。そして相変わらず不穏な動きを見せるオペラですが、その彼の計画は前作のある人物に通ずるものがあるんですよね。ここで言ったら100%ネタバレですが、あくまでも通ずると言うだけなので。次は映し身の洞窟辺りになると思うので、お楽しみに。
それでは、また。
- 第五十四話:強襲 ( No.134 )
- 日時: 2014/08/10 11:31
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
ホテル・セキタイで2泊して体の疲れを癒したカルムは、シャラシティへの唯一の移動経路である映し身の洞窟へ足を運んでいたのだった。
***
大まかに今まで起こったことを説明しよう。
リア充に何回か絡まれた。
あ、分からない? それでは説明しよう。
カルムは天然の鏡によって構成されたこの洞窟で、道中鏡を通して目を付けられた多くのポケモントレーナー(とリア充)に勝負を挑まれ、いずれも返り討ちにしていた。
「いや、どいつもこいつもやれダーリン、はいハニーだのやれラブラブカップルだの、終いにはハネムーンだの、ふざけんなゴルァァァァァァ!!」
という、非リア共の悲痛で虚しい咆哮は置いておき。
さっきから飛び出してくるポケモンも、バリヤードやダンゴロなどが多いが、ぶっちゃけ前者が徘徊しているのを見たときはゾッとしたものである。
しかし迷った。どうも道が入り組んでいるからかどちらに行けば良いのか分からない。
この洞窟を抜ければシャラシティだが、このままでは餓死してしまうという彼の飛びすぎた杞憂はさておいて。
「ぎゃあー!」
悲鳴が聞こえた。
でも多分、野生のポケモンに襲われたものだろうと思って無視していた。
だが、大きい足音がこちらに向かってくる。
バックパッカーの男がこちらを通り過ぎると、見れば冬眠ポケモンのリングマが目を血走らせて腕を振り上げて「うおりゃー!」とどっかのバイソンの如く走ってくる。
リングマは、樋熊のような巨体を持ち、2足歩行する上、凶暴極まりない(というイメージが強い)ポケモンである。
「……リングマって、洞窟にいるポケモンだっけ」
そういって、図鑑を開いた。
何かがおかしい。だって、首には変なチョーカーが付いてるし。
と、そのときだった。
カルムの姿を認めると突然襲ってきた。
さらに、それに続くかのように岩陰から、毒針ポケモンのスピアーが飛び出してくる。しかも首には同じ形状のチョーカーがついている。
さらにカルムを狙うかのように他にも同じチョーカーをつけたポケモン、ハブネーク、ザングース……完全にカルムを包囲してしまった。
「は、はははは……ひょっとして僕狙い?」
こくり、と頷く代わりに一気にポケモン達が飛び掛ってきた。
瞬間的に本能が、危険信号をビリッと右手へ伝達した。
咄嗟にバッグへ閉まっていたモンスターボールを全て投げる。
飛び出したゲコガシラ、ニャオニクス、プラスル、ワカシャモ、モノズは即座に戦闘態勢を取り、主へ向かってきた伏敵を吹っ飛ばした。
後退はしたものの、完全に退けた訳ではない。
まだ、油断ならない。
これはバトルではない。乱闘である。止むを得ない。
「おーやおやおやおや。また会いましたねぇ、カルム君」
つかつかと洞窟の奥から歩みを進める音。
その正体は正しく、憎き七炎魔将、オペラだった。
虫唾が走る。
「先日は部下が失礼しました。お詫びに、ポケモン達をプレゼントしに来たところですよ」
「プレゼント? ……ふざけんな、何でお前がこんなところにいるんだ!」
「実験ですよ、実験。チョーカーをつけたポケモンが、どこまでフレア団のために従順になるか? の実験をね。そこで君が来たので、どこまで彼らの性能が底上げされるか、ここで観察させてもらいますよ」
「まさかこいつら……奪ったポケモンか!!」
「そうですねぇ。コボクタウン襲撃はそのために行ったんですよ」
とのことだった。
どうやら、他のトレーナーを(さっきのバックパッカーか)ダシに勝手な実験を行っていたところだったらしい。
これはさすがに座視できない。というか、フレア団の行い全部が座視できないものなのだが。
「フライビーユニット、起動!」
そう叫ぶと、機械の蜂が現われて、空中で大きく円を描き始めた。カシャカシャ、としきりに音を立てているのを見ると、カメラ機能か何かと思われる。
「そこのポケモンは好きにして良いですよ? そのチョーカーはまだ試作品。戦闘データを取るために協力してもらいます」
悔しいが、そうなるしかないようだ。
真に悔しいが。
「それでは、私はこれで」
そう告げてオペラは洞窟の奥に消えていった。
いや、私はこれで、じゃないでしょ、と。
無責任すぎんだろ、と。
突っ込みたいが、抑える。どうやら、ポケモンを放って、あの変なカメラ仕掛けるだけだったらしい。
と思ってる間にリングマ、ザングースが早速襲い掛かってくる。
「ゲコガシラ、ズルズキンにアクアジェット! ニャオニクス、リングマにサイコショック連打!!」
何とか撃退、とはいかない。
ニャオニクスの念じ球は確かにリングマがあっさりと振り払ってしまう。あのチゴラスを一撃で薙いたサイコショックが全く通用しない。
恐らく、レベルの差か。認めたくは無いが。
また、ゲコガシラのアクアジェットもザングースを吹っ飛ばしたが、倒しきれていない。
「ワカシャモ、ツンベアーに二度蹴り!!」
ドカドカッと二発、蹴りを入れるワカシャモだが……やはりというべきか、相手は唸り声を上げただけで響いていない。効果は抜群のはずなのに。
「モノズ、ハブネークに龍の怒り! プラスル、ツンベアーに10万ボルト!」
だが、ダメだ。なかなか倒せない。
「やばいな……!!」
--------数分経過。味方は完全に疲弊しきっており、そろそろ逃げることを考えなければいけない。
このままでは全滅だ。
相手はチョーカーの力で相当強化されているのか、今だ疲れた様子を見せない。
そのとき、ニャオニクスがとうとう疲労に耐えられなくなったのか、膝を付いた。
それを狙って、リングマの巨大な腕が振り下ろされ、今にもニャオニクスが潰されそうだ。
「ニャオニクスッ!! 戻れ!!」
しかし、間に合わない。
そのときだった。
-----------刹那、青い風を見た。
ぎゅん!! という音と共に、流れるような拳がリングマの背中を撃つ。
しかも、あれほど疲れを見せなかったリングマが唸り声も上げずに倒れてしまった。
さらに、青い風は敵ポケモンの間を縫っていく。バタバタバタ、と一瞬で形勢は傾いた。
速すぎて、残像しか見えない。
それはようやく全ての敵を殲滅すると、止まった。
青い風の正体が分かった。
それはポケモンだ。
それも、青い獣人のような自分が、ついこの間出会ったポケモン-------------ルカリオ。しかし、コルニが所持していたものとは違い、肌色の体毛に包まれ、黒いラインが体中を迸っている。
「リオ、お疲れ」
誰かが言った。
すると、ルカリオの姿は自分が知るものに戻る。
メガシンカだったのだ。
暗闇にうっすらと影が見えた。そして、そのトレーナーの元にルカリオは駆けて行く。
「大丈夫だったか?」
「は、はぁ」
ゴーグルを掛けている上に暗い所為で姿は分からない。しかし、身長はテイル程の長身ではないものの、自分よりも背格好は高く見えた。
声から相手は男だ。トーンは若干、テイルよりも少年味がある。
「なら良いや。それと------------」
去っていくのか、男の声が遠のいていく。
しかし。
「連中にこれ以上関わるな。お前、いつか大切なモンを失うかもしれねえぜ」
その言葉だけははっきりとカルムの脳裏に焼きつき、離れなかった。
後書き:今回、度々現われる少年。彼の人物像がだんだん見えてきたでしょうか。そして、だんだん明るみになってくるオペラの実験。アニメのアクロマに似ていたかもしれませんが、残念ながらアクロマとは一切関係ないので悪しからず。
それでは、次回はシャラシティに到着です。お楽しみに。
- 第五十五話:招待状 ( No.135 )
- 日時: 2014/07/08 23:12
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
***
映し身の洞窟の一件から、カルムは自分の実力の低さを思い知らされていた。
ワカシャモやニャオニクスでさえ、進化したとはいえまだまだレベルの高い相手に対しては不利だし、プラスルは強力な技を手に入れたといってもレベルの高(以下略)、モノズやゲコガ(以下略)。
おおう、ゲコガシラが半透明のモンスターボールの中から凄い勢いで睨んできた。
面倒くさくなってとうとう名前まで略してしまったのでご立腹のようだ。
ケロマツのときといい、今といい、最近カルムはゲコガシラの扱いが雑な気がする。特に名前。
さてそんなことはさておいて。
最後に、あの男が言った言葉……。
”連中にこれ以上関わるな。お前、いつか大切なモンを失うかもしれねえぜ”
大切なモノ……やはり真っ先に浮かぶのは自分のポケモン、そして自分の命、そして------------仲間達。
「……あれは一体、どういう意味だ?」
恐怖。将来、何かを失うかもしれないという恐怖に包まれる。
だけど、逃げるわけには行かない。
フレア団と戦うこと、それが今の自分が前に進むための糧となるのだから。
---------これ以上、悲しむ人やポケモンを増やしたくない!!
守ってやる。全部。この手に収まりきらなくても。
***
浜辺に聳え立つマスタータワーの光景に思わず、カルムは足を止めた。
洞窟を抜けた先には、すぐにシャラシティが待っていたのだ。
しかしなんという絶景だろう。自然とマッチしているとは正しくこのことだろうか。
早速、マスタータワーに向かうことにしたカルムだった。
ローラースケートで滑りながら、ポケモンセンターの前まで辿りつく。
しかし、よく見てみたら何かクレーンだのなんだのが色々集まっている。
これってひょっとして……。
「もしかして、修復工事中とか?」
「そのまさかだ」
後ろから声を掛けられた。見れば、テイルの姿が。傍には相棒のマロンの姿も。白衣姿を常日頃から羽織っているので直ぐに分かった。
「フレア団にやられたんだよ。マスタータワーの外壁の一部をぶっ壊されてな」
「じ、実行犯は!?」
「和服を着た女がエアームドに、紅いスーツを着た男女が数名、ゴルバットにぶら下がってやってきたそうだ-----------バーミリオンで間違いないな。クソッ。さらに、入口からも青いドレスの女と紅いスーツの女が数名、入り込んできたらしい。いずれもフレア団の犯行と見て間違いないようだ」
「やっぱりっすか……」
「知っていたのか?」
怪訝な顔で彼が聞いてきたのでカルムは返した。
「ああ、此処に来る前にシャラジムのジムリーダーのコルニに出会ったところだったんで。マスタータワーが襲撃されて、キーストーンが大量に奪われたんだとか。後で調べたんですけど……研究所襲撃の前みたいです」
「ああ、俺もそれは”此処に来て初めて”知った。どうも最近ニュースが知りたいことを教えてくれないんだよな……」
そして、話すまいか迷ったが、カルムは切り出した。
「後……映し身の洞窟でオペラに会いました」
「っ!! 大丈夫だったのか?」
「いや、チョーカーで洗脳したポケモンを使ってきて……コボクタウンでのポケモン強奪はこのためだったんじゃないすか?」
「ポケモンをチョーカーの実験台に……許さん、オペラのヤツ!」
「せ、せんぱいおちついてくださいっ! とにかく、かるむさん。こるにさんがめがすとーんに付いて、何かいってませんでした?」
苛立つテイルをマロンが押さえ、カルムに問うた。
「ああ、それについてだけど……メガストーンがあるらしい場所を示した地図を渡されて。で、どうするんすか? メガストーン回収はテイルさんに任せていいですか?」
「いや、地図があるんなら、俺達とは別の場所を回ってくれ。俺達は今から、引き返して洞窟の中にチョーカー付きのポケモンがいないか探して、ショウヨウシティ、ハクダンの森、そして22番道路の近くにある虚ろの間を当たる」
「ですっ! こっちは任せてください!」
つまり、テイルたちはこのままカルムとは逆方向に進むと言う事だろう。余計な手間を掛けさせてしまったか、と心配になったが彼のことだし問題なさそうだ。
「お前はこっから真っ直ぐいって、クノエシティに行ってくれ。今のところ、俺達はアズール湾でデンリュウナイトをゲットしたくらいしか収穫が無いんでな。少し、今まで来た道を後戻って調査だ---------としたかったんだが」
「はい?」
彼の言い振りだと、今すぐそれを始めるわけではないようだった・
「そうは行かなくなった」
それと-----------続けたテイルが小さな封に包まれた手紙を放った。
わざわざ投げなくてもいいのに、と思う。
カルムは慌ててキャッチする。
「な、何ですかコレ」
「これはお前ら選ばれし子供たち共々含め、俺達も呼ばれているパーティの招待状だ。場所は”バトルシャトー”と呼ばれる場所で、レンタルの車を経由すればここからすぐに着く場所だ。普段はバトル施設だがパーティ会場の貸し出しも行っているらしい」
パーティ、か。
ああ、自分も招待されているから簡単には此処を離れられないのか。
それも選ばれし子供たちということは、どうやらセレナにサナ、ティエルノも来ると言う事だろう。
カルムは生まれてこのかたパーティというものに参加したことが無い。
だが楽しそうな言葉の響きから、好きな単語ではある。
まして招待されているのならば、参加しなければ悪いだろう。
そう思っていた。
いや、そう思っていただけだった。
差出人が気になる。思わず聞いてみることにした。
「で、差出人の方って一体?」
「差出人は、プラターヌ博士の師匠、ナナカマド博士の友人に当たる人物。プラターヌ博士は、その人からオーレ地方などの遠く離れた地方について教わったそうだ」
オーレ……?
頭の中に引っかかる単語だ。
まさかと思う。
まさか、”あの人物”では?
「世界的に有名な軍人のカーマイン大佐だ」
「--------カーマイン大佐!?」
こくり、と頷いた。だがテイルは自分から”そのこと”を話すつもりはない。”そのこと”とは、カーマインという人物とカルムがどのような関係にあるかということだ。
「カーマインさんが、どうして……?」
「知り合いか」
敢えてテイルは知らないふりをした。本当は知っていた。以前にプラターヌ博士から彼の過去を告げられたときに。
もうこれ以上、彼の心は傷つけたくは無い。
「はい……」
少し懐かしいような、複雑な感情が顔に浮かぶ。
「カーマインさんは……僕の、僕の恩人なんです」
後書き:今回は今作のコアに迫る展開の導入みたいなものです。また、バトルシャトーの場所は原作とは違って、シャラシティから別の道路を経由すれば着く、まさに”知る人ぞ知る貴族の秘境”といったかんじです。普段はご存知の通り限られた人物のみが入れるバトル施設ですが、劇中の説明どおりこのようにパーティ会場の貸し出しもしているわけなんですね。
それでは、次回から遅いバトルシャトー編ですが、お楽しみに。
- Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.136 )
- 日時: 2014/07/08 23:05
- 名前: 白黒 ◆QpSaO9ekaY (ID: hF19FRKd)
さて、どこから感想を言おうかなと悩むモノクロです。
とりあえず全体を見た感想だと、モノ……じゃない、白黒が書いていた作風と、随分と様相が違ってきているな、ということを思いましたかね。
いやさそれは個性が出ているということなのでいいことなんですけどね。白黒が書いていた頃は、毎話バトルしているか、一話か二話バトルなしの回が挟まる程度だったな、と軽く懐古します。
とまあそんな懐かしむ自分は置いておいて、絶体絶命の危機を救ったのは、アチャモでしたか。完全に忘れていましたね、存在を。
そして、個人的にはタクさんの作品のキャラクター特有のものだと思っている、急激な憤慨を見せたネープルは、メガシンカさせましたか、ヤミラミを。
まあメガクチートがいましたし、この流れもありえそうではありましたがね。ちなみにモノクロはメガクチートの方が断然好きです。
謎の人物が助けてくれたり、アチャモが進化したりしましたが、ここでやっとコルニの登場ですね。なんだかんだで、XYのジムリーダーでは彼女が一番目立っていると思います。ゴジカとかウルップとか、後の方のジムリーダーってなんでこうも地味なんですかね。
それはともかく、セレナとタッグを組んだコルニとのダブルバトルは、あっという間に負けましたね、カルムたち。ゲームではさして強くないですが、小説ではジムリーダーらしい強さを見せつけていますね。しかも、まだ力を出し切っていない様子ですし。
続いて映し身の洞窟ですが、ここは軽く流す程度だと思っていたのが、まさかのオペラが登場して、謎の機械の実験とは。これも謎の少年が助けてくれましたが……この作品、話が進むごとに、解明される謎よりも新たな謎の方が多いですね。白黒の頭は不明な部分が飽和状態になっています。
そしてやっとシャラシティに到着し、テイルたちとも合流したカルムですが……ここでバトルシャトーに戻るとは思いもしませんでした。しかもパーティて。そんなことにうつつを抜かしている余裕はあるのか、と言いたくなります。
が、ここでカーマイン大佐なる新しい登場人物が出て来たことで、さらに物語が複雑化していきますね。名前の感じとか、大佐という称号とか、ナナカマド博士の友人だとかいう肩書も気になりますが、なにより気になるのは、カルムの恩人だという点ですね。
一体どういう意味での恩人なのか、その人となにがあったのか、ということを考えながら、バトルシャトー編を楽しみにしています。
ところで話は変わるのですが、以前、フレンドコードを教えてもらったことがあったような気がするのですが、その時に登録し忘れていたみたいです。先日、たまたまネットに接続できた時に判明しました。
モノクロは近場にネット接続環境がないので、すぐに登録、というわけにはいかないのですが、もしよろしければフレンドコードを交換しないでしょうか。
しないでしょうか、とか言っておきながら、実際は自分が登録し忘れていただけで、完全にこちらの落ち度で申し訳ない限りですけれども。
もしかしたら自分の記憶違いの可能性もあるので、一応こちらのフレコも載せておきます。
4914—2730—1829で、サファリは確かユキワラシ、イノムー、カチコールだったと思います。
……もし登録し忘れていたのも勘違いで、実際はちゃんと登録されていたら凄く恥ずかしいですね、これ。
- Re: ポケットモンスターXY 命と破壊の遺産 ( No.137 )
- 日時: 2014/07/08 23:49
- 名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: sEySjxoq)
白黒さん
コメントありがとうございます。
ネープルのようなキャラは、やはり白黒さんの小説では見られませんからね。自分の場合は感情が激しいキャラが好きですし、動かしやすいので。
また、ハンパな悪人は描きたくないんですよね。悪ならば徹底した悪を、といったかんじです。ただ、ゲームのアクロマのように善か悪かはっきりしないキャラも好きです。
さて、メガクチートの登場はまだいえません。ですが、そう遠くは無いと思っていてください。
コルニの優遇っぷりはやはり今作のジムリーダーの中では飛びぬけていると思います。後、アニメでレギュラーになったシトロンも。
今作ではこういった伏線はかなり後に回収することになりそうです。あーだこーだ予想や妄想をしてくだされば、と思っています。
パーティにうつつを抜かしている暇ですか。まあ、招待されたのでまあ行くか、みたいなかんじです。今のカルムの心情としては。メガストーンの回収も急がなければなりませんがね。
というわけで、次回からのバトルシャトー編は本編でも重要な回となるので。見逃せないと思います。いや、読み逃せないか。
フレンドコードの交換ですね。了解です。自分は2809−9638−8089です。まだ試していないので何ともいえませんが、もしもはずれだったらすみません。
それでは、また。
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