複雑・ファジー小説
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- ジャンヌ・ダルクの晩餐
- 日時: 2020/09/22 17:50
- 名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)
ボンジュール!マルキ・ド・サドです。
自分のことはサド侯爵、またはサドちゃんとお呼びくださいwwww
こんな私ですがどうぞよろしくお願いします!後お見知りおきを。
私はこれから名前に恥じぬようなダークな小説を書こうと思います。
コメントやアドバイスは大いに感謝です。
悪口、荒らし、嫌み、不正な工作などは絶対にやめてください。
私は小説が不器用なので全く恐くないと思いますがこの文を見て不快さを感じた場合はすぐに戻るを(人を不快にさせるのが一番嫌いなので)
タイトルに『ジャンヌ・ダルク』とありますが物語の舞台は近未来の日本です。
【お知らせ】
小説カキコ大会2016年夏では銀賞を受賞させていただきました!
更に2018年夏の大会では銅賞を受賞!
これも皆様の温かいエールの賜物です!本当にありがとうございました!
・・・・・・お客様・・・・・・
銀竹様
風死様
藤尾F藤子様
ふわり様
- Re: ジャンヌ・ダルクの晩餐 ( No.47 )
- 日時: 2019/01/01 20:17
- 名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)
- 参照: ht
「毒なんて入ってないわよね?」
開けられた蓋と包装紙を眺めながら一応確認する。
「なら食べなければいい。フランス製の高級菓子なんだが」
かなり怪しいが甘い物の誘惑には弱い。香織は数秒くらいお菓子箱の中身を黙したまま眺める。その直後に地面に落ちた金を慌てて拾う物乞いのようにチョコを鷲掴みにした。そして震えた両手で包装紙を取り除き一気に口の中へ放り込んだ。アルコールが混じっていていささか癖があるがそれでも美味しかった。ここに入れられてから1週間近く経った。たったの数日なのにただの甘い物がかなり甘く感じた。幸せなあまり大粒の涙が溢れ出てきた
ファントムはその様子を見て
「変だな、涙が出る毒は入れてないはずだが・・・・・・」
しばらくして涙も治まり心も大分落ち着いた。なかなか心地よい満足感に一度だけ大きく息を吐く。香織は数十分間だけだが今の苦悩を忘れる事ができた。
「少しは正気は取り戻せたか?」
「・・・・・・ええ」
そして軽く余裕そうに微笑んだ。
「あの・・・・・・ファントムさん・・・・・・?」
「何だ?」
香織が唇を震えさせながら聞く。
「罪のない命を奪う事に罪悪感を感じないの?」
「人々は皆罪人だ。たとえ自分が殺されても別に文句は言わない」
(異常者ね・・・・・・)
そう香織は心の中で思った。
「無論異常だ、私は自分が正常なんて少しも思ってないぞ?」
香織は今の言葉に焦り慌てて口を塞いだ。何故頭の中の言葉が分かったのか?
「どうして私を助けようと?」
香織はありきたりな質問をする。
「なかなか面白い質問だ。当ててみるがいい」
とりあえず頭に浮かんだ答えを口にする。
「私が哀れに感じたから?」
「そんな慈悲深いものではない」
彼と話していると暗号の解読に挑んでいるような、そんな頭痛にかられる。
「じゃあ何なの?ただの気まぐれ?」
ファントムは気味の悪い笑みを浮かべ言った。
「ゲームだよ。お前に他者を殺す許しを与えてやる」
「はあ?もしかして殺しの依頼?重罪よ?まあ殺人鬼のあなたにはただのお使い程度のお願い事なんだろうけど」
その言葉にファントムが呆れと皮肉を込めながら言った。
「呆れさせてくれる。運動能力は優れているが頭はもう少しのようだな。脳みそも筋肉でできてるのか?」
「それどういう意味よ!?」
香織が邪険な態度でファントムを睨みつける。
「じゃあ私に何をさせたいの?具体的に説明してくれない?」
「お前に親友の仇打ちをさせてやろうと言っているんだ」
その一言に香織は無表情になり、え?と言いたそうに口を開いた。嬉しいような感覚と不信の感覚が心の中で混ざり込む。複雑な気持ちでどう返答すればいいのか分からない。短い時間で迷いに迷ったが香織はゆっくりと口を開き
「それ、本当の話・・・・・・?」
ファントムは不気味に薄笑いし左手で仮面を掴んだ。
「お前の親友、森川詩織を殺害した犯人は分かっているのか?」
「知ってるわよ、あいつしかいないわ。竹之内零花・・・・・・!」
「なるほど、一部分は正解だ。確かにその女は容疑者の1人だ」
「え?容疑者の1人!?」
香織は無意識に驚愕の言葉を漏らす。
「復讐の標的は数人存在する」
「それってどういう事!?詳しく教えて!」
とにかくその聞き捨てならない内容に飛びつく。ネガティブな内容だが有力な情報なら何としても問いただしたかった。香織は必死になり両手でファントムの服の腕部と肩部の服を強く掴んだ。
- Re: ジャンヌ・ダルクの晩餐 ( No.48 )
- 日時: 2016/03/26 21:32
- 名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)
- 参照: ht
参照数1000突破!やりました!!
この小説を始めてから早5ヶ月、苦労しながら描いた甲斐がありました!
この小説を読んでくれた読者の皆さん、本当にありがとうございました!
そしてアドバイスをくれた藤尾F藤子様、感謝しきれません!
これからもどんどん頑張りますのでよろしくお願いします!
Merci
- Re: ジャンヌ・ダルクの晩餐 ( No.50 )
- 日時: 2016/04/01 21:43
- 名前: 煎沙 (ID: QYM4d7FG)
おもしろいですね
(副管理人が一部削除しました 2016.04.01)
がんばれ 応援しているぞ
- Re: ジャンヌ・ダルクの晩餐 ( No.52 )
- 日時: 2019/01/01 20:42
- 名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)
- 参照: ht
その瞬間、その場の空気が大きく変わった。寒い。身体が雪に埋もれたような猛烈な孤独感に見舞われる。香織は何故か喋らない。いや、喋れない。沈黙が喉を包み込む。
「・・・・・・」
喉元に殺気を感じた。気がつけば香織はナイフを首に突き付けられていた。ボロボロで古い灰色の刃の先端、ファントムが殺意のこもった目でこっちを睨んでいた。吸いこまれそうな紫色の瞳には光なんかなかった。
「もしこの服が破れていたら、お前は死んでいただろう」
そう言って香織を手放しナイフをしまう。どうやら不快になるような事をしてしまったらしい。
「ごめんなさい、お気に入りの服だとは思わなくて・・・・・・」
気まずい空気、そしてその謝罪を無視しファントムは話の続きをする。
「お前の親友を殺したのは零花だけではない」
「他にも共犯者がいるの?」
「答えは単純だ。犯人達というのはお前をいじめていた女子生徒達だ」
「まさか、あいつら全員が犯人!?あいつらが詩織を・・・・・・私、復讐するわ」
香織が鋭い目つきで言った。
「憎しみを感じているのだな?なかなかの憎悪だ」
「こんな所で余生を過ごしている場合じゃないわ!私をここから出して!あなたのゲームに乗るから!」
ファントムは表情を変え腕と脚を組んだ。
「焦るな、まだ言っておきたい事がいくつもある。冷静になって聞け」
偉そうな姿勢に香織は呆れたように息を吐いた。だが有力な情報は多い方がいいと思い素直に話を聞く事にした。
「森川詩織を犯し殺した張本人、つまり黒幕は別にいる」
そんなの今まで考えていなかっただけで最初から分かっていた。
「詩織を犯して屋上から突き落とした男ね!?そいつも仕留めるわ!」
「で、その男の名前は?」
「知らん」
ファントムは表情を変えずきっぱりとそう答えた。
「知らないの!?」
期待を裏切る返答だった。そこが最大の眼目だというのに。そいつの情報がなければいくら望んでも復讐は成し遂げられない。黒幕を亡き者にしなければ意味がない。
「私の力をもってしても何故かそれだけが分からなかった。その男はただ者ではないだろう。人である事かさえも怪しい」
「それじゃ仇討ちは成り立たないわ」
当然、香織は不機嫌そうに文句を言う。
「真犯人は自分で探せ。心配するな、ゲームを楽しくするアイテムを与えてやろう」
ファントムは再び仮面を掴みゆっくりそれを外す。香織はシリアルキラーの素顔を見た。紫色の瞳を除けばどこにでもいそうな三十路を迎えた男性だった。
「随分と風変わりな仮面ね、ハロウィンの日に使っていたの?」
「これは『エディスの仮面』と言い表社会では知られていない秘密結社が作り出したものだ」
香織が不信を抱きながら"ただの仮面じゃないの?"とバカにする。外面から見ればその代物はただの仮面にしか見えない。悪く言えば100円ショップのガラクタにも見える。貧乏人の身につけるジャンクの装飾品ってところか・・・・・・
ファントムはにやりと頬笑みその仮面を香織の顔に装着した。とても軽く着けている感じがしない。
「何よこれ・・・・・・」
香織はある異変に気がついた。まわりにある全ての道具がスキャンされ情報が表示される。
「その仮面を着けた者は視界に入った人間や道具の情報や状態を瞬時にスキャンする事が可能だ。容易に他人の情報を覗けるぞ?私以外はな」
次にファントムは
「赤外線を頭に思い浮かべてみろ」
言われた通りにする・・・・・・
「・・・・・・なっ!?」
目の前がサーマルゴーグルをかけたような視界に変わった。
「ちなみに暗視機能や透視機能も備わっている」
「何よこれ!?恐い!」
香織は怖気づき怯えた表情で仮面を外した。この仮面の目にはレンズはついていない。それなのに身に付けた者の目に魔法のような効果を及ぼすなんてあり得ない。
「あり得ない!今の科学でもこんなの作れないわよ!?」
「それをお前に貸してやろう。これで伝えておきたい事は2つ言った」
「さっきの瞬間移動と言いこの仮面と言いあなた一体何者なの!?」
香織は当然のごとく質問攻めをする。だが残念な事にファントムはそれに対しほとんど答える事はなかった。
- Re: ジャンヌ・ダルクの晩餐 ( No.58 )
- 日時: 2019/01/02 15:38
- 名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)
- 参照: ht
「今から言う事が私にできる最後の手助けだ。これを承諾しない限りまず復讐はできない。ゲームを始める前にゲームオーバーとなる」
その言葉に香織は身を引きしめる。同時に緊張と不安が沸き起こる。
「ブラックジョークと言う組織は知っているか?日本各地で暗躍し悪人を闇に葬る裏組織だ」
「いえ、初耳よ・・・・・・で、そんなのが本当に存在しているの?」
「この組織に加入するのだ。鍵は開けてある。牢獄を出たら真っ直ぐ駐車場へ向かえ。彼らの車がお前を迎えに待っているはずだ。それに乗せてもらえば隠れ家まで行ける。そこで武器や食料、寝床などを提供してもらえる。運よくお前は剣技に長けているのだからそれなりに歓迎されるだろう。恐れる必要はない」
「私は一度死んだ人間、もう何があっても恐れないわ」
「ならばその仮面を持ってここから出るのだ。復讐の達成を期待しているぞ」
閉じていた鉄格子が開く。香織にとっては自分に相応しい光景にも思えた。
「色々ありがとう、あなたとはまた会いたいわね」
「それも悪くない。お前が生き残っていればの話だが」
香織は久々に光を取り戻した目で彼を見つめただ手を振りそして別れの言葉を言いながら廊下を走り去っていった。
「さらば、哀れな少女よ・・・・・・絶望に逆らうのだ」
ファントムがその後ろ姿を見送り静かに呟く。
香織は牢獄を出て警察署内を通り過ぎる。好都合な事に何故かここにも警察官はいなかった。ここも普段の空気とは違いまるで時そのものが止まっているかのようだ。廊下がひんやりと涼しい。異常なくらいの静けさに、不気味ささえ感じる。誰もいない事に安心しているが念のためにその場を駆け抜け仮面を大事そうに抱え出入り口の方へ向かう。複雑な精神状態だったが少しわくわくしていた。何故なら久しぶりに娑婆に出られるからだ。ここに来てからはや1週間、だが香織にとっては数年の感覚だった。狭い個室生活で身体が鈍ったのか全身に違和感がある。
「はあはあ・・・・・・」
衰えた体で外に出る。夢にまで見た自由の身だ。一度だけ力一杯に背伸びをし大きく息を吐く。夜の風がすごく気持ちよかった。
「!」
一瞬だけ駐車場に無造作に置いてあった黒いバンのライトが光った。運転席は暗く誰が乗っているか判別できずただ真っ黒なデザインで近づきたくない雰囲気を放っていた。正に裏組織ににぴったりだ。
「・・・・・・」
香織はおそるおそるその車に近づく。すると助手席のドアが開き中から声が聞こえた。
「・・・・・・何してるんだ?早く乗れ。黒い車は嫌いか?」
男性の声だった。この車が殺し屋のお迎えに違いなかった。香織は不安を押し殺しバンに足を踏み入れる。そしてドアを閉める。
「姫川香織か?」
予想通り乗っていたのはまだ若い青年だった。短髪で背が高く年は香織より2歳年上くらい。目つきが悪くこの男に前科がある事はすぐに分かった。意外だったのは服装だった。どこにでもありそうな普段着で武器は見当たらない。
「ええ、私が姫川香織。あなたがブラックジョークの?」
「三村博仁、あだ名は『運び屋』。ブラックジョークのシールドチーム、主に護衛や輸送が任務だ」
男はそう自己紹介をした。
「出発するぞ?」
「え?・・・・・・え、ええ・・・・・・!」
博仁はバンにエンジンをかけアクセルを踏む。
「夜のドライブを楽しんでおけ。」
駐車場を出て道路の上を走る。言われた通り外の景色を眺める。
「あの・・・・・・博仁さん?・・・・・・あ、いえ、何でもないです・・・・・・」
車は走り続ける。隠れ家に向かっているのだろうが場所に関しては見当もつかない。だが、見事牢獄から脱走し強い味方も手に入れた。香織はこれからの戦いの事を考える。
(詩織、仇は絶対に取るからね!)
こうして香織の復讐劇は幕を開けるのだった・・・・・・
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