複雑・ファジー小説

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ジャンヌ・ダルクの晩餐
日時: 2020/09/22 17:50
名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)

ボンジュール!マルキ・ド・サドです。

自分のことはサド侯爵、またはサドちゃんとお呼びくださいwwww
こんな私ですがどうぞよろしくお願いします!後お見知りおきを。
私はこれから名前に恥じぬようなダークな小説を書こうと思います。

コメントやアドバイスは大いに感謝です。

悪口、荒らし、嫌み、不正な工作などは絶対にやめてください。

私は小説が不器用なので全く恐くないと思いますがこの文を見て不快さを感じた場合はすぐに戻るを(人を不快にさせるのが一番嫌いなので)

タイトルに『ジャンヌ・ダルク』とありますが物語の舞台は近未来の日本です。


【お知らせ】

小説カキコ大会2016年夏では銀賞を受賞させていただきました!
更に2018年夏の大会では銅賞を受賞!
これも皆様の温かいエールの賜物です!本当にありがとうございました!


・・・・・・お客様・・・・・・

銀竹様

風死様

藤尾F藤子様

ふわり様

Re: ジャンヌ・ダルクの晩餐  ( No.9 )
日時: 2018/12/26 20:16
名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)

 ここは河川敷だった。どこにでもありそうな普通な場所。特に変わったものはなく何かあるとすれば小さな公園くらい。川の水が静かに流れていた。そのせせらぎが疲労した身体と心を安らげる。もしゆっくり休息をとったり外で読書をしたいならここがもっとも最適な場所だ。

 公園から離れた所にあるベンチに1人の女子高生が座っていた。読み終えたのかやや厚い本を膝の上に置きたまに左右を見回している。すると向こうから1人の女子高生がふらふらと片足を引きずりながらやってきた。よく見ると微笑みながら手を振っておりそれに対しこちらも笑顔で手を振る。

「お待たせ詩織、結構待った?」

 後から来た女子高生が言って自身もベンチに座った。

「ううん、10分くらい。今日は早かったんだね?部活休んだの?あれ?その右腕の包帯は・・・・・・!?香織ちゃん怪我したの!?」

「まあそんなところ。だから今日は部活を休んだ」

 香織は今日あった嫌な出来事を誤魔化す。

「そんな事より今日はどうだった?」

「あ、うん・・・・・・今日はね・・・・・・」

 2人は今日体験したことを互いに語り始める。香織にとって学校帰りにこの河川敷のベンチで友人と待ち合わせをし話をするのが何よりの楽しみだった。それがいつもの日課で唯一心の安らげる時間帯。

 香織が詩織と出会ったのは2年前、高校1年生の時だった。ある日の夕方、学校から帰宅している途中で香織は道路の横の道を歩いているとそこで後ろ足を負傷した猫を見つけた。猫は道路沿いにいて苦しそうに何度も鳴いていた。車にはねられたのだとすぐに香織は確信した。可愛そうに思い猫に駆け寄ったのだが自分と同じ行動をとった人間がもう1人いた。それが森川詩織だった。彼女は急いで猫に応急処置を施した。

 そして私が抱きかかえ動物病院へと連れて行った。その後、の手術で猫は無事に命を取り留めた。詩織が応急処置をしなかったら猫は助からなかっただろう。その日をきっかけに彼女との付き合いが始まり最終的には親友となった。そして今に至るのである。

「へえー、今日そんなことがあったんだ」

「うん、それでね・・・・・・」

 香織は今日自分がいじめられていた下級生をかばったことを話した。自慢しているつもりはなかったが話のきっかけがそれしかなかった。いつもの授業と剣道、それといじめばかりで他は何もない。そんな内容を毎日話してもつまらないだろう。詩織は"すごいね"と誉めるわけでもなくただ香織の話を最後まで聞いた。

「もしかして、そんなことしたからいじめてた人にやられて怪我したの?」

「・・・・・・!」

 絆が深いだけあって流石と言うべきか、それとも彼女の勘がいいだけか?それとも香織の嘘が致命的なくらい不器用なのか?どうであれこの親友を誤魔化すことなんてできない。全くと言いたそうな顔をしてため息をする。

「まあそんなところ。心配しなくてもいいよ。大した怪我じゃなかったし」

「そんな想いをしてまで守らなくていいと思うけど」

「そうね、でも何故か見て見ぬふりできないのよね」

「それじゃ香織ちゃんが・・・・・・」

「あなただって弱い者いじめを見たら放っておけないでしょ?」

「そうだけど・・・・・・」

 詩織の顔が急に暗くなった。少し嬉しそうに微笑んではいるがいつ泣きだしてもおかしくない表情だった。何か傷つけるようなことを言ってしまったかと香織は不安になる。

「さっきメールで話さなきゃいけないことがあるって言ってたよね?このことは香織ちゃんに直接会って話した方がいいと思って・・・・・・」

「え、何?」

 香織も真剣な顔で詩織を見る。表情を見るからにしていい知らせではなさそうだ。すごく嫌な予感がする。顔を近づけよく見ると詩織の口が震えているのが分かる。

「実は私・・・・・・、2週間後にアメリカに行くの・・・・・・!」

「え、嘘!?どうして!?」

 香織は当たり前な反応をした。驚きを隠せなかった。ネガティブな感覚が体に重くのしかかる。

「お父さんの仕事の都合で・・・・・・仕方なかったの・・・・・・」

「その事が決まったのはいつ・・・・・・?」

「今からちょうど2ヶ月前、すぐ言おうと思ったんだけど早く言ったら香織ちゃんを悲しませると思って・・・・・・」

「・・・・・・そう・・・・・・」

 香織は親友を責める気はなかった。ただ残念でならなかった。あまりにも急なことだったので逆に涙が出なかった。

「じゃあもう、二度と会えないの?」

「ううん、いつかまた日本に帰ってくる。でも当分は会えない。帰ってこれるのはしばらく先かも・・・・・・」

 今の言葉を言い終わってすぐに詩織は涙を流した。それは香織にとって二度と会えないと言っていることとほぼ同じ事だった。今は平気そうな顔をしていても家に帰ったら自分の部屋で声を出して泣く事だろう。

「ごめんね・・・・・・ごめんね・・・・・・」

 香織はそんな詩織を優しく抱きしめる。

Re: ジャンヌ・ダルクの晩餐  ( No.11 )
日時: 2018/12/26 20:30
名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)

 彼女は温かい。優しい温もりが肌に伝わる。

「泣かないで・・・・・・!」

 香織が涙を堪え陽気に振る舞う。

「地球は1つ、世界は繋がっているのよ。だから、悲しむことなんてない。私、手紙書くわ。そうすれば寂しくないよね?」

「香織ちゃん・・・・・・!」

「それにアメリカに行くのは今日じゃなくて2週間後でしょ?だったら、その間にたくさん遊びましょ?」

「うんいいね!どこに行く!?」

 詩織が涙を流しながら笑顔で頷いた。そして2人は互いに提案を出し合う。

「洋服屋なんてどう?」

「その前に映画でも見に行かない?」

「いいね!恋愛系なんてどう?」

 楽しい時間はあっという間に過ぎていく。気が付いたらもう日が暮れていた。今日初めて寒さを肌に感じたのはその時だった。

「そろそろ帰ろうか?」

「そうだね。寒くなってきたし風邪引いたら大変だよ」

「じゃあまた明日、今度映画でも見に行こう?」

「うん、約束だよ。楽しみにしてるね」

 こうして香織と詩織はさよならと言って別れそれぞれの家へと帰って行った。





「ただいま!」

 香織は自宅の玄関の扉を開け中に入った。

「お帰りなさい」

 母の声が台所の方から聞こえた。もう夕食の準備ができているのか食欲をそそる香りが漂う。

「よお、やっと帰ってきたな!」

「出たなガリ勉」

 背の高い青年が階段から下りてやってきた。

「おいおいガリ勉はねえだろ!?お兄ちゃんだろ!?」

「はいはい」

 香織は兄の言葉を聞き流し階段を上り彼の横を通り過ぎた。

2階へ上がると扉から今度は小さな少年が出てきた。

「ただいま茂!」

「・・・・・・お姉ちゃん、実の弟の頭撫でて喜んでるなんてキモい・・・・・・」

「何よ、優しく接しただけじゃない!」

 茂はそれだけ言うとまた自分の部屋に閉じこもってしまった。兄と違って非友好的なのが玉に瑕。でもそれは病弱なことが原因で心を閉ざしているからだと香織は知っていた。本当はとても優しく人の痛みを理解できることも分かっている。


 香織は兄の部屋を通り過ぎ自分の部屋に足を踏み入れるとまず机に鞄を置いた。次に制服を脱ぎ私服に着替える。上着を最後に着替えを済ませたら置いてあったリモコンを手に取り気紛れにテレビの電源を入れる。いつも通りどのチャンネルも暗いニュースばかり流れていた。


『・・・・・・今日の午前10時頃、千葉県に住む25歳の女性が自宅で血を流して倒れているのを隣人が発見し通報しました。被害者の女性は病院に運ばれましたが既に息は無く死亡が確認されました。現場である民家の壁には被害者の血で書かれたフランス語の文字や遺体の口元に置かれていたチョコレートの破片などから見て連続殺人鬼ファントムの犯行と見て警察は今も捜査を続けています。続いてのニュースです・・・・・・』


 殺人鬼『ファントム』、今世間を騒がせている連続殺人鬼だ。目撃証言によるとそいつは男性で骸骨の仮面で素顔を覆い鋭利な刃物を用いて人を殺害するのだ。被害者は男、女、老人、子供。そいつと出会ったら最期、その日が被害者の命日となる。正体不明のシリアルキラー(連続殺人鬼)で被害者の数は100人以上にも上っていた。

「千葉・・・・・・近くじゃない。恐ろしいわね」

 香織はそう言うと不快そうにテレビの電源を切るとリモコンをベッドに置き部屋のドアを開け下の階の台所に下りて行った。

Re: ジャンヌ・ダルクの晩餐  ( No.14 )
日時: 2015/11/16 22:22
名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)

参照200感謝です!

これからもこのマルキ・ド・サドをどうぞよろしくお願いします!

Re: ジャンヌ・ダルクの晩餐  ( No.15 )
日時: 2018/12/26 20:32
名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)

 夕食を食べ終え香織は自分の部屋に戻った後、すぐに浴室に向かった。女子は清潔好きだから一番最初に風呂に入る。脱衣所でいつものように服や下着を脱ぎ裸体となる。腕の包帯は取らなかった。部屋に戻ったら取り外しアルコール消毒を施そう。傷はまだ痛む。痛みが引くのは1週間以上かかるかも知れない。浴槽に入る前に鏡を見た。

「・・・・・・」

 目の前に映る自分の姿、どこにでもいそうな普通の女子高生。幸せそうにも不幸そうにも見えない。身体には今朝のいじめによってつけられた暴行の跡。友達もいなくなりまた孤独となってしまう。そん自分の姿を見ているうちに香織は泣きたくなっていた。

「こんな不幸な日々もいつかは終わるのかな・・・・・・?」


 部屋に戻ると時計の針はまだ8時を指していた。この時間帯はほとんどの人間が起きている。香織は普段夜更かしなどをして深夜まで起きているのだが今日は何故か今までにない疲労感が身体を包み込む。香織はちょっと不安になった。

「明日は今日よりもマシな1日になりますように・・・・・・」

 そう心の中で祈りリモコンで灯りを消す。ベッドに潜るとだんだんと意識がなくなり夢の中へ・・・・・・




「ねえ?またあのブスが学校に来ると思う?」

「・・・・・・!」

 1人の少女が誰かと電話で会話をしていた。そいつは今日学校で香織をリンチしていた女子高生の1人だった。電話の相手も彼女の仲間の1人だろう。またよからぬ事を企んでいる最中のようだ。

「いい方法があるの。あいつの人生を灰にできてしかも大金を手に入れることもできるわよ。皆で山分けしましょ?」

「・・・・・・!?」

「それにはまず犠牲になってもらわなきゃいけない人がいるの。あいつよ。あのブスに好意を抱いてる底辺女。もう分かったでしょ?」

「・・・・・・?」

「そう!あいつよ。森川詩織。あいつを利用すれば・・・・・・」

「・・・・・・!・・・・・・?」

「心配いらないわ。私がこれ以上のない助っ人を用意しているから」

「・・・・・・!!」

「あはははははは!!」

 恐ろしい陰謀が企てられていることを誰も知る由はなかった。

ジャンヌ・ダルクの晩餐  ( No.17 )
日時: 2018/12/26 20:37
名前: マルキ・ド・サド (ID: FWNZhYRN)

 翌日の午後・・・・・・

 この日は何故か異様な空気が漂っていた。どういう訳か今日は誰も絡んでこない。いつもと様子が違う。誰がどう見ても平凡で平穏な学校生活だ。昨日のクラスメイトの奴らが気味の悪い笑い顔を浮かべながらこっちを見ているが手は出してこなかった。気持ち悪いほどの違和感を感じる。奴らが何かを企んでいるかは明白ではない。

 心を読めないなんて人間とは不便な生き物だ。そう思いながらあまり気にせず今度のテストに向けて教科書とノートを使い勉強に励む。昨日のほとんどの傷も大分良くなった。これで部活を再開できるだろう。香織は剣道部の主将だからこの程度で休むわけにはいかなかった。それに部活は学校での数少ない楽しみでもあったからだ。


 昼食も今日は美味しく食べられデザートにジュースを飲んだ。午後の授業も何事もなく終わり生徒達が帰っていく。お待ちかねの部活の時間がやってきた。部室で制服を脱ぎ剣道の防具を身に付ける。香織にとってこのオニキスのように黒光りした鎧の重さがたまらなかった。

「・・・・・・っ!」

その時だった。破裂音のような音がしたと同時に頭に衝撃が走った。どうやら後ろから竹刀で叩かれたらしい。軽い力でやられたからよかったものの頭蓋骨にひびが入る程の痛みを実感する。香織は不機嫌そうに後ろを振り向いた。

「ふふん、今の不意打ちをかわせないとはまだまだだな。それとも腕が相当鈍ったのか?」

「零花、それやめろって言ったわよね?やるなら自分の頭にやりなさいよ」

「無理、頭が悪くなったらどうすんだ」

「はあ・・・・・・」

 このいかにも低能そうな女は竹之内零花(たけのうち れいか)。剣道部の副主将を務めている主将である香織に対し敵視に近いライバル心を抱きいつも後ろから竹刀で叩く。彼女は力に頼り過ぎてそれが仇となりこの前の県大会でも相手を大怪我させ反則負けとなった。香織はこんな奴なんてライバルなんてこれっぽっちも思ってはいない。本心を明かせば剣道部の面汚しだ。

「まいったか?」

「はいはい、まいったまいった」

 こんな奴は無視してさっさと着替えて広間に向かう。自分用の竹刀を取り出しロッカーを閉めようとした時だった。鞄にしまってあったスマホの着信音が鳴る。メールではなく電話、この時間帯にくるなんて珍しかった。

「誰かしら?詩織?」

 それを取り出し画面のマークを押す。

「もしもし?」

「もしもし香織、今話せるか?」

 電話の相手は兄だったので香織は不思議に思った。

「どうしたのお兄ちゃん?」

「大変なんだ。お袋が倒れてしまって・・・・・・!」

「え・・・・・・!?」

「今布団に横にさせて寝かせている。茂が付き添って看病しているところだ。さっきからずっとお前の名前を苦しそうに呼んでで・・・・・・すぐに帰ってきてくれないか?」

「・・・・・・分かった、すぐ帰宅するわ」

 急いでせっかく着用した防具を脱ぎ捨ていい加減にロッカーへ押し込む。そしてまた制服に着替える。

「何だ。帰るのかよ」

 零花が喜んでいるのか残念そうなのか分からない表情で言う。

「悪いけど急用ができたから帰るわ。気が進まないけど後輩達の指導はあんたに任せるわ。優しくしなさいよ?」

「はいはいサボり乙」

 今度は彼女が香織の口調を真似した。鞄を持って家に向かって足を進める。走っていけばすぐ着くはずだ。

「断言するよ」

「え?」

 零花のその言葉に香織は後ろを振り向く。いつもふざけたような性格をした奴が真剣そうな真顔で見ていた。気味が悪かったしちょっと恐かった。

「あんたは二度と剣道をすることができない。永遠にな・・・・・・」

「何それ?脅迫?」

「予言」

 呆れて皮肉も言えなかった。何も答えず無視して部室を後にする。非常に残念だが今日は詩織とは会えない。後でメールが来るだろうが忙しいから今日は会えないと返信して誤魔化す事にした。まずはとにかく急いで自宅に向かう。


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