複雑・ファジー小説

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私は貴方たちを忘れない
日時: 2016/06/29 09:33
名前: 小鈴 (ID: ZfyRgElQ)

小鈴です。『貴方たちを忘れない』の続きを書こうと思います。
時代背景は幕末で登場人物たちも前回と同じ人たちが出てきますので読まれる方は前回からお願いします。注意としましてできるだけ史実にそい書いていきますが途中で捏造も入りますのでよろしくお願いします。
初心者ですので書き間違いもあると思いますが流してください。

主人公 楠 楓〈くすのき かえで〉十七歳少女
    立川 紫衣〈たちかわ しい〉十七歳少女
この二人を視点にして書いていきます。
登場人物 大久保 利通。桂 小五郎。西郷 隆盛。新選組。土方 歳三。

他にもいろいろ出す予定ですので、楽しみに待っていてください。  時代は1867年のころからです。

追加 大久保利通〈三十七歳〉桂小五郎〈三十四歳〉  

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.111 )
日時: 2017/01/17 09:48
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

「ここは駄目だ。あきらめろ」
「別の道をさがせ」
迂回する道を開いていく。楓と紫衣は兵士たちの行動を見て少し離れて話をしている。
「そろそろ。さがそうかな?」
「どうやって?」
「まぁ。そのあたりは感で」
「・・・」
「なに?」
無言で見られて問いかける。なかったことにして
「たぶん。今度は勝つと思う。」
と言った。じっとまたみられた。
「それも感?」
「ん?まぁ。そうだけどこれはなんとなくだから深くは聞かないで」
そっと耳元にささやいた。
「今行かないと陽菜ちゃんには会えなくなりそうだから」
「わかった」
戦の波がなんとなく読めるだけ本人は全て感だと口にしている。

4月29日
連戦連勝していたが、大鳥の守る松前口が破られた。
陽菜たちは体を休めていたが知らせを受けた土方が陽菜を起こす。
「起きろ。」
その声にばっと飛び起きる。
「撤退する準備をしろ」
「え?」
ぱちぱちさせて土方を見上げてくる。皆は体を休めている姿が見える。
「ここは無傷だがあそこを奪われたら五稜郭に帰れなくなる」
「皆さん頑張っていらしたのに残念ですね」
すぐさま撤退をしていく。

またある日には皆はそれぞれ覚悟を決めて最後の宴を開いている。
五稜郭のとある一部屋。
「土方さんは行かなくてもよろしいのですか?」
「いいんだよ。俺はああいうのはなれねぇ。」
陽菜と土方は最後の夜を過ごしている。
窓を開けて外を眺めている。その背中は何を想うのだろう。私は少しは重荷を和らげてあげられているのだろうか。役に立てているだろうか。ふいに笑う声に目を丸くさせる。いつの間にか彼はこちらを向いている。優しく笑いかけてくれている。
「明日の総攻撃で全てが終わる」
真面目な顔に戻るとそう言う。
「お前は本当に」
「いいのです」
とっさに彼の腕にすがりつく。
「お願いします。あなたのそばにいさせてください」
「今の俺が守りたいと思うのはお前だ。お前以上に大切なものはいない。生きたい・・・・そう、思うようになった」
と言うと陽菜をしっかりと腕の中に抱きしめた。そうすると土方の腕の中深く入り込むことになる。
「よかった。生きたいと思うようになってくれて」
ぽろぽろ涙をこぼしていき胸に頬を押しつけてしゃくりあげていく。
「俺はあきらめねぇよ」
「はい」
二人はお互いに視線を合わせていく。




いよいよ函館戦争の終わりに近づいていきます。この後は話をどう持っていくのか考え中です。とりあえずは戦争の終わりまでは書いていきたいと思います。この話にお付き合いくださる方には心より感謝をいたします。作者小鈴より

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.112 )
日時: 2017/01/21 19:18
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

新政府軍本陣。
「黒田さん。お願いがあります。武器庫に案内していただけますか?」
実に良い笑顔で黒田にそう言う。
「武器庫に何の用があるんだ?」
いぶかしげに楓に顔を向けると不敵に笑うだけだった。祖rを見て嫌な予感がしてくる。ろくでもないことをたくらんでいるようにしか見えない。
「武器庫にあるものが、必要です。」
「あるものとは?」
それはなんだという目をした。
「いけばわかります」
にんとした。はぁとため息をつかれて仕方ないと苦笑した。どうやら私にはこの方を止めることはできないと判断した。やりたいようにやらせるしかないと思い直す。あの大久保さんに止められないのだ。武器庫に案内していく。にこにこしながらついていく楓はついたら武器庫の中を
物色していく。何を探しているのかわからないが蔵の中を歩き回りひとつひとつ木の箱を開けていく。
「楓さぁは一体何をさがしとおんだ?」
後ろから声をかけられて振り向かずに説明する。
「実はこれの弾薬をさがしています」
「うん?」と言うので腰のあるベルトに革でできた袋から【ピストル】を引き抜き黒田にさしだした。差し出されたその手に乗せるとそれの形状を確かめる。
「こいつならそけの箱の中にあう」
まだ中をあらためていない別の箱を示された。そこを開けると大量に出てくる「弾たち」それを見たとたんきらんとした。そのあたりにある西洋のカバンを拾い遠慮も容赦もなくそれをがっさがっさとつめていく姿にあっけにとられている。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.113 )
日時: 2017/01/23 21:59
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

「ここにあうもの全て持っていくつもいか?」
冷たい汗を流しながらも問い詰めた楓は一度だけちらっと見て詰め込んでいく。
「さすがに全ては入らないので入るだけ入れようと思います」
黒田は心でそれ一体何に使うつもりなんだと思った。
「それだけつめこんだらけっこうな重さになうが・・・・大丈夫か?」
いわれて初めて気が付いた楓は持ってみたがずしりとした。肩からカバンが落ちる。「おい」あわてて黒田が手に持つ。
「これほど持つ必要性はあっとか?」
「わかりませんがあればあるだけ持っていきたいのです」
「持って歩けにゃ意味ないだろ」
呆れた目を向けられた。よいしょともう一度黒田から奪い取り肩に担ぐとたんよろめいた。
「詰めすぎだ」
不満な顔をしながらも仕方ないと数を減らす。
「これからどこにいく?」
「わかりません。なので私のことはもう、いないものと思ってください」
「大久保さんはこのことをしっとうと?」
「いいえ。ただどうしても助けたい人がいるのです。絶対にみつけないといけない人です。行かせてください」
それは深く問いつめないでくれと言う意味だ。
「何も聞かないでください」
言うだけ言うと楓は背を向ける。誰にも迷惑をかけてはいけないと。だから黒田は何も言えなくなる。どこに行くとも言わずに去る気持ちを察し小さくなっていく背中を見送ることしかできない。無事を祈るだけ。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.114 )
日時: 2017/01/24 22:03
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

新政府軍側。医療軍。紫衣は南方と向かい合う。
「南方先生。私は楓ちゃんと一緒にいこうと思います」
誰にも怯えないほどに強くなっていた。自分の意見も口にできそして強い目をする。
「探したい人がいます。どうしても見つけないといけないのです」
「紫衣は決めたんだな。好きに生きればいい。まぁ。桂が聞いたら怒り出しそうだがな。」
と言い、頭を撫でてくれる。次にカバンの中に薬道具を入れていく。
「いいか。薬は使い方次第による。つまり毒にも薬にもなるから気をつけて使え」
にやりと唇の端を持ち上げる。
「護身術を忘れるな。危険と判断したら逃げろよ」
締めくくられる。カバンを受け取り先生に顔を向ける。
「行ってきます」
「言って来い」
と南方はそう言い見送る。

最後の戦いが始まろうとしていた。5月11日函館総攻撃が始まる。弁天台場が新政府軍に包囲されたと報告を受けた土方隊は出陣を決める。
「陽菜。お前も来い」
「はい」
土方の後に続いていく。先に馬の上にまたがり陽菜に片手を差し出してくる。その手につかまると軽く引き上げられる。そのまま馬を走らせていく。向かった先は一本木関門であった。土方は声を張り上げる。
「この柵より退くものは斬る」
ここに彼は陣取り七重浜より攻めてくる敵兵に応戦していく。馬上で指揮をとっていた。乱戦中一つの銃弾が土方の腹部を貫く。その衝撃で落馬してしまう。うまく陽菜にはそれはかすめなかった。地面に転がる。
陽菜はうめき何が起きたかわからなかった。はっとして土方をすぐに探す。後ろを向くと地面に倒れたまま動かない男を見つけた。
「土方さん」
目を閉じたまま動かない。
「土方さん。大丈夫ですか?」
必死に声をかけているのに動かないのだ。嫌な予感がする。
『いやよ。このままなんて』焦りばかりがつのる。『約束したのに。生きていたら・・・・伝いたい言葉があるのに』「うっ」うめいた。はっとした。顔を見たら口が動いた。
「陽菜か。」
目を閉じたまま問われている返事を返す。
「そうです」
「け、けがは?」
「ありません」
「そ、そうか」
陽菜は辺りを見回すとあちこちで銃声がしている。急いでここから離れなくてはいけない。それくらいはわかる。上半身を引き起こした。
「とにかく五稜郭まで戻りましょう」
「ああ。」
陽菜につかまり立ち上がると腹のあたりからぽたぽたと血が零れ落ちていく。地面はその色のしみをつくっていった。歯を噛みしめながらも肩に担ぎ歩いていく。戦場から少しでも離れないと危険なことがわかる。ただ敵に見つからないことを願いながらも。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.115 )
日時: 2017/01/25 15:52
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

肩に担ぎながらも話をしている。
「大丈夫です。島田さんたちはまってくれています」
「あ、当たり前じゃねぇか」
しぼりだすようにそう言う。息をするのも辛そうだった。急がなくてはいけない。二人は深い森の中を目指していく。歩いていくとまわりを木に囲まれたところに出た。
「ここまで来れば」
汗をかいていた。大人の男を一人で肩に担ぎここまできたのだ。疲れもでる。隠れるために林の中に入り込む草をかきわけ木の根に土方を地面に下ろす。
「土方さん。いまのうちに手当てをしておきましょう」
「頼む」
背中を木に預けたまま目を閉じる。黒い上着のボタンをはずしシャツのボタンをはずしていく。布を歯でかみ縦に引き裂いていく。すぐさま体に布を巻き付けていく。じわじわと血は止まることはなく赤に染まる。
「血が止まらない」
焦りばかりが身をおおいつくす。
「土方さん」
名前を読んでも返事がない。
「嫌です。土方さん」
強い声で呼んだ。そしたら
「き、きこえてる。耳元でわめくな」
はぁはぁと息を乱している。『どうしよう。時間がない』そしてわかってしまう。もう、助からないと。この人が息をしなくなったら私も一緒にいこう。悲痛な覚悟をしてしまう。横に座るとそっと彼に寄り添う。
「ねぇ。土方さん」
「な、なんだ」
「私はあなたが好きです」
するりと言葉を伝えてくる。優しい笑みをたたえてそう言う。
「ば、か、や、ろ、う。何で今言いやがる」
うっすらと目を開けると陽菜は涙をたたえていた。ゆっくりと腕を持ち上げて目じりを払う。

がさりと草をかきわける音がした。かっと目を開けた土方は陽菜をかばう態勢にはいる。

「ねぇここどこかな」
暗闇の中紫衣は友に問いかるが残念ながらそれに答えられる言葉は持っていなかった。
「うーん。ごめんね。私にもわからない」
舌を出した。てへと。泣きたいと本気で思った。迷子になったのはこれで何回目だろう。楓は全て感で動いていた。遠い目になる。
「楓ちゃん、地図」
片言で言うと意味を理解してすぐに手渡された。ん?と突き出される地図を受け取りばさりと広げて地面に置いた。ランプを掲げるとほのかな明かりに照らされて浮かび上がる。
「今はどこ?」
冷たい風が吹いていく。びゅーと「それならわかるよ」とんとんと指でここだという。
「このあたりだと思う」
「私たちはどこにいくつもり?」
「五稜郭」
地図をたどり五稜郭までの道を差していく。
「まっすぐいけばいいみたい」
流石は楓。動物的本能で合っていた。ここまで考えてあえて何も言わない。と判断した。がさがさと草をかきわけて二人は進む。





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