複雑・ファジー小説

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私は貴方たちを忘れない
日時: 2016/06/29 09:33
名前: 小鈴 (ID: ZfyRgElQ)

小鈴です。『貴方たちを忘れない』の続きを書こうと思います。
時代背景は幕末で登場人物たちも前回と同じ人たちが出てきますので読まれる方は前回からお願いします。注意としましてできるだけ史実にそい書いていきますが途中で捏造も入りますのでよろしくお願いします。
初心者ですので書き間違いもあると思いますが流してください。

主人公 楠 楓〈くすのき かえで〉十七歳少女
    立川 紫衣〈たちかわ しい〉十七歳少女
この二人を視点にして書いていきます。
登場人物 大久保 利通。桂 小五郎。西郷 隆盛。新選組。土方 歳三。

他にもいろいろ出す予定ですので、楽しみに待っていてください。  時代は1867年のころからです。

追加 大久保利通〈三十七歳〉桂小五郎〈三十四歳〉  

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.81 )
日時: 2016/11/17 16:50
名前: 小鈴 (ID: JQzgI8be)

新政府軍は奇襲攻撃をうけ混乱にみまわれたがすぐさま立て直し反撃を開始した。
発砲しても前進してくる新政府軍に必死に攻撃を続けていた。なのに弾は当たらずそのいったいは煙が立ち込め視界は奪われ気が付くと仲間はあちこちで倒れていた。篠田は声を上げる。
「引けっ」
退却を命じた。それしかなかった。この時多くの仲間とはぐれてしまう。9時ごろ。「飢え」「疲労」でとてもではないが戦うことはできなかった。「疲労困憊はきわみに達していた」休みをとりながらこのあとどうするか話あっていた。
「万が一にも敵の手に落ちればこれ以上悔やむことはない」
「その前に自刃をしてこその武士の本分」
その言葉に腹を切る覚悟をしていく。
「待ってください」
悌二朗が叫ぶ。
「皆待ってくれ。今だ銃は壊れず刀は折れていない。まず主君をそしてお城の無事を確認をするのが先だ。私は死ぬのを恐れていっているんじゃない」
「僕もそう思います。八重様たちがおられるのです。きっとお城は無事です」
続きを伊東悌次郎が言った。西川の言葉と伊東の言葉に自刃をふみとどまった。

少年らは城に目指すことを決めていく。敵兵に遭遇し攻撃を受ける。永瀬雄次は腰に怪我をしてしまう。
「逃げろ。敵兵だ」
洞窟を通り山の中へたどり付いた時11時になっていた。体力も限界に近かった。


八重は城より山の方を見た。
「くじけてはなりません。あの山では16,7,8の子供たちが戦っているのです。なんとしてでもこのお城は守らねばなりません」
あの子らが戻ってこられるように八重は指揮を高めていた。なんとなく察したのではないだろうか。『生きては戻らない』と「俤次郎さん」心の中で彼らのことを心配していた。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.82 )
日時: 2016/11/24 16:23
名前: 小鈴 (ID: JQzgI8be)

彼らはろくに傷の手当てもせず血はあふれるままに重い銃と刀を杖のかわりに険しい山の中ひたすらに進んでいく。城を目指した。ゲベール銃の重さ4k。そこに弾薬と火薬。和紙につつんでいたのでこの雨により火薬はしけり使い物にならなくなっていた。『どうすればいいのか』内心ではかなり動揺していた。はぐれたものも多くの多くいた。兎に角山頂を目指す。その時小隊長に出会う。
「お前たちはどこに行くつもりだ」
石山虎之助が大きい声で言う。
「このまま戦いに行きます」
「敵は大群で我らは少数だ。いたずらに命を粗末にするな」
逆に叱責をうけた。さらにこういう。
「私に従い。一度敵を避け再起を図れ」
その言葉に別の少年が言う。
「腰をぬかされましたか」
「勝敗を見極めずにやみくもに進んで死ぬのは道理のわからぬ子供と同じだ。」
彼はそういい山の中を去る。迷っていたが付いていくことに決める。
「儀三郎さん。山内隊長の言っていることは正しいです。後を追いかけましょう」
「そうだな。再起を図るにはここにいても仕方ない。皆もいいな?」
「はい」皆が返事をする。しかし彼らが追いかけていった時には姿がなかった。山内小隊長はこののち生き残ることになる。

酒井峰治と伊東又八は仲間とはぐれてしまっていたのだ。

彼らは洞門を進んで行く。雨のため水かさが増していた。力をふりしぼり中に入る。
「ここをいくのですか」
怯えたように尻込みするものもいた。
「ここを通らねば先には進めない」
仕方なく暗闇の中に足を入れた。昼間でも薄暗い中に一人、また一人と中に入っていった。彼らの腰のあたりまで水が来ていた。くじけそうになりながらも必死に歩いて行く。ただ城に帰るために。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.83 )
日時: 2016/11/24 17:57
名前: 小鈴 (ID: JQzgI8be)

長さ約150メートルの洞穴を潜る。冷たい水が容赦なく流れる洞穴の中を身をかがめて足をとられながら歩く。はぐれないようにと刀などをつかい命綱がわりにした。

そのころ一人の少年が雨にうたれながらも山の中さまよい歩いていた。彼の名は酒井峰治だった。昨夜から飲まず食わずにいてその上重い装備を身につかせて疲れ果てていた。見渡す限り緑で同じような景色についに力つきた。彼は今孤独であった。頭の上から土砂降りの雨が降り続けていた。「ここまでかな」寂し気に一人ぽつんと言葉をこぼす。空を見上げたらざあーざあーと顔を濡らしていく。歯を食いしばり地面に両膝をついた。へたりこんでしばらくそうしていた。
「申し訳ありません。母上。父上。峰治は何もできませんでした。潔くここで腹を切ります」
意識が薄れていく中で力をふりしぼり刀を捨て銃を下した。雨にうたれながらも脇差を引っ張り出した。左肩を怪我していたため右手で軍服の前をくつろげる。はぁと肩で息をして力を使い体を引き起こすと片手で黒の軍服と白いシャツも全てボタンをはずして前を大きくくつろげてから左のわきに抱えて右手で鞘を払う。抜き身の刃を腹に狙いを定めた。
「すまない。みんな」
きつく目を閉じて利き手を大きく振り上げた。
「やめろー」
鋭く叫ぶ声が聞こえたと思った。次の瞬間。小石が命中し脇差がはじかれて地面に落ちた。

間に合わないと思った。楓がその場に居合わせた時すでに脇差を振り上げていた。何かないのかと辺りを見回して小石を拾った。迷うことなく離れた位置にいる彼に狙いを定めるとぶん投げていた。
「やめろー」
叫ぶと投げつける。小石により脇差をはたき落としていた。
「何をしているの」
原田にも言った言葉を口にする。「武士」というのはこうも簡単に死に急ぐのか。
「ほおって置いてください。僕はここで腹を切ります」
かっとなる。楓は名も知らぬ少年につかみかかっていった。
「いい加減にしな」
肩をつかむと激しく体をゆすった。
「生きたくても生きられない人が多くいるんだ。自ら死を選ぶのはバカだ。何故。生きようとしない。ここであきらめてどうするの」
いきなり知らない少年に怒鳴りつけられて流石に頭にくる。
「あなたには関係にないではありませんか。」
やけのように叫ぶ。楓を突き飛ばした。酒井は落とされた脇差を拾うと今度は首に刃を押し付ける。「やめろと言ったでしょ」右手をつかんだ。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.84 )
日時: 2016/11/26 22:06
名前: 小鈴 (ID: JQzgI8be)

楓は帽子が地面に落ちたが気にせずに必死に腕をつかむ。このままではらちがあかない。やはり少年でも男だ。力ではかなわない。わずかに刃が少年の首筋に傷をつけた。楓の髪留めが外れてそれも落ちていく。ばさりと髪が広がった。酒井はその時固まった。見とれていたのだ。こんな人見たことない。力が自然にゆるむ。すきを逃さない。すぐに奪い取り拾っておいた鞘にしまう。
「なに。」
視線に気が付き酒井に問う。
「あなたは一体どこの方ですか?」
どういう意味か計りかねる。

自分より年上のように見える人に驚きを隠せずにいた。何故こうまで助けようとしているのか。その容姿に見とれてしまう。声を失う。
「私はどこの藩にもぞくしてはいない。楠楓というもの。あなたは?」
「僕は酒井峰治といいます」
お互いに名前をつげていた。楓は帽子を拾い髪留めを見つけて素早く髪をまとめてから帽子をかぶる。
「立てる?」
楓が片手を酒井に差し出した。「はい」といいその手に重ねると引き上げられた酒井は「うっわ」と声をもらす。
「あ、の、一ついいですか?」
楓の手をつかんだ時酒井は疑問を感じた。
「楠さんは本当に男の人ですか?」
違和感を感じて聞いていた。目をぱちとさせて酒井に向ける。
「はは。やっぱり気が付いた」
あえて男らしくしていたはずなのに。
「そうよ。私は女です。あ。でもこのことは秘密でね。」
片目を閉じるとよろしくと言う。途端にうろたえ始めた。
「うそ。あ。どうしたらいいのでしょう。僕掟を破ってしまいました。」
そして何故か落ち込みはじめた。ぶつぶついっている。戸惑いが激しい。
「そもそも私は会津の人ではないからね。」
純粋な少年は話なんて聞いていない。すうっと息を吸う。
「落ち着け。峰治さん」
低い声を出し叱責を飛ばした。我に返りびしりとした。
「移動しよう」
「はい」
すでに軍人の顔に戻っている。酒井に肩を無理やりかして歩き出す。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.85 )
日時: 2016/11/29 21:06
名前: 小鈴 (ID: JQzgI8be)

二人は歩いていたが、酒井は前方に誰かいるのを確認する。
「あれは又八。又八じゃないか」
といい駆け寄る。楓はおいていかれた。『まぁ、いいけど』酒井の後ろに続く。
「生きていたから知り合いに会えただろう」
にいっと唇の端を持ち上げた。
「又八しっかりしろ」
木によりかかり伊東又八は目を閉じていた。
「その声は峰治か。おいていってくれ。俺はここに残り死ぬ」
とたんに楓は酒井を横にどかす。よろめいて地面にどさっと転がるが気にしない。ずんずんと近くによる。「おい」と言う。
「いい加減にしな。どいつもこいつも同じことばかりいいやがって」
いきなり怒鳴りつけられた。見知らぬ少年にだ。
「あんたが死んだら・・峰治さんが一人になっちゃうだろうが、まだ生きているうちにあきらめるな。愚か者だ」
言うだけ言い、肩で息をしていた。
「この人は誰?」
友にきいた。
「楠楓さんと言う方だよ」
どう説明したらいいのかと戸惑う。驚き固まっていた。
「今はどんなにつらくてもいつかは雨は止むよ。」
「?」少年二人には意味がよく分からなかったが、にこっと笑い楓は片手を空に掲げた。
「雨が・・・」
峰治が空を見上げた。
「止んでいる」
又八もいう。同じように空を見上げた。
「ほら・・向こうの空を見て」
楓は向こうの空を指し示す。
「虹が・・・」
「綺麗・・」
それに見とれていた。
「生きてさえいれば必ずいいことがある。二人ともそうは思わないか」
「生きてさえいれば・・・」
「どんなにつらくとも・・僕らは何のために戦っているのでしょう。一体僕らが何をしたというのか。会津を逆賊と決めつけ滅ぼそうとしている」
「教えてください。楓様。我らはどうしたらいいのですか?」
あまりにも理不尽な戦いであった。気持ちは痛いほどわかるのだ。がしっと右に酒井を左に伊東を抱きしめた。
「私からは何も言えない。ごめんね」
ポロリ涙をこぼしていく。それにつられたのか二人も泣き始めた。もう、わかっていた。敵には勝てないぐらい。


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