複雑・ファジー小説

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私は貴方たちを忘れない
日時: 2016/06/29 09:33
名前: 小鈴 (ID: ZfyRgElQ)

小鈴です。『貴方たちを忘れない』の続きを書こうと思います。
時代背景は幕末で登場人物たちも前回と同じ人たちが出てきますので読まれる方は前回からお願いします。注意としましてできるだけ史実にそい書いていきますが途中で捏造も入りますのでよろしくお願いします。
初心者ですので書き間違いもあると思いますが流してください。

主人公 楠 楓〈くすのき かえで〉十七歳少女
    立川 紫衣〈たちかわ しい〉十七歳少女
この二人を視点にして書いていきます。
登場人物 大久保 利通。桂 小五郎。西郷 隆盛。新選組。土方 歳三。

他にもいろいろ出す予定ですので、楽しみに待っていてください。  時代は1867年のころからです。

追加 大久保利通〈三十七歳〉桂小五郎〈三十四歳〉  

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.151 )
日時: 2017/04/20 21:18
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

「本題に戻っていいか」
黒田に言われて全員の空気ががらりと変わる。背筋を伸ばした楓が言う。
「どうしても会ってお話がしたかったのです」
「この目で見てみたかった」
紫衣がぼそりと呟きこてんと首を傾げた。
「何故だ」と目で二人に見られた。
「まさか名前を教えていただけるとは思いませんでした」
「普通は伏せるものではありませんか。特に女の言葉に耳を傾けて話さえ禁じることさえあります」
彼女の記憶の中に会津の子供たちの姿がよぎった。【十の掟】下を向いてしまう。
「紳士としては当然だよ」
なんて明るく笑い大鳥が言う。
「西洋では女性を優先させる」
なんてことはないと榎本もそう説明をしていた。
それを知り実際に行動を移せる人がどれだけいるだろう。幕府の人間の中にいた。それだけに、奇跡だった。
面白いと楓は光輝いた。
「そうですか。判断は」ちらっ。隣を見たら同じだと頷く。
「正しかったということですね」
すうっと笑みを消し去り真剣な目で言う。さらに追加で紫衣が問いかけた。
「望月陽菜ちゃんをご存知ですか」
次には男たちははっきりと表情を変えた。「何故知っている」と顔が言っている。
ここから交渉が始まる。ここからが本番なのだ。
「どういうことだ」
「彼女はどこにいるんだ」
ガタンと椅子から立ち上がると大鳥はテーブルに両手をついた。
「お、おちついて、ください」
紫衣大きい音に驚き悲鳴を上げる。
「大鳥さん。榎本さん。説明します。大鳥さんは座って下さい」
黒田に視線を向けるも「私は口を挟まん」と態度で示される。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.152 )
日時: 2017/04/23 19:35
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

交渉するとはいったがさてとどうするか。変に口をすべらせれば失敗に終わる。陽菜から話を聞いてはいた。楓は言う。
「陽菜ちゃんは無事です」
まず無事と聞きあきらかにほっとしていた。やはり彼女のことをとても心配していた。
「そうか」
「無事だったか」
あんどしていた。束の間男たちは喜びを分かち合う。

実は土方たちのことは大鳥が見守っていたのでとても気になっていたのだ。土方が亡くなったと聞きその上陽菜まで失ったとあっては申し訳がたたない。別の疑問が浮上した。榎本は鋭く問いかけてくる。
「何故彼女のことを知っているんだ」
流石は榎本総裁だ。その名前は伊達ではない。
「詳しいことは話せません」
「友人です」
紫衣が後を引き継いでそれだけは言う。
「「友人」」見事に重なるそこ言葉に女たちはこくりと頷く。
「いつどこで知り合ったかは話せません」
先手を楓が質問される前に後手を紫衣が言う。
「陽菜ちゃんから聞いていたのです。お二人にはよくしていただいたと」
ゆるりと話して男たちを見た。
「もう一度確認したい。生きているんだな」
榎本の言葉に大鳥ははっとした。ばっと顔を向ける。
無事でいるとは聞いたが、それはどの程度のことを言っているのかと怪しんでいる。
侮れないな。内心楓は舌を巻く。『さすがです。そう切り返されるとは思いもしませんでした』慎重に答えていく。
「生きています」顎を引き紫衣も頷く。
「会いますか」
「会えるのかい」
大鳥が前のめりに聞いてくる。
「もちろんです。その前に約束してください」
「約束とは何だ」
榎本が聞いてくる。こちらも慎重になる。
交渉するにはどんなことを約束されるか気になる。大鳥も真面目な目をした。
「生きてください」
楓がそう言った。
生きたくても生きれない人がいる。きっともっと生きたかった人たちがいる。ぎゅっと拳を胸に楓は当てる。『私は貴方たちを忘れない』私たちが志を継いでいく。
「最後まであきらめないで生きてください」
男たちに新しい風が吹いた。何て女たちなのか。そんなことを言われるとは思わなかった。敵側の人間にだ。声を失った。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.153 )
日時: 2017/04/25 20:32
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

こんな人間がいたなんて僕らは最初から勝ち目何てなかったのかな。
敗北を認めた。
「命を粗末にしないで」
強い目で言ってきた。
「皆さんをただの罪人に何てさせない。斬首何てそんなことにはさせませんから」
「処分させないってどうやってだ」
黒田の言葉に楓の唇が持ち上がる。悪い顔だった。
黒田は思った。『なんか嫌な予感がする』背中に汗をかいた。
正義は楓にある。拒否権はなかった。これは決定事項となる。
「まずここにいる黒田さんに一肌脱いでもらいます」
「「巻き込んだ」」
やがて覚悟をして楓に問いかける。
「何をすればいい」
「助命嘆願をしてください」
「幹部クラス全員です」
最後を締めくくるのは紫衣だった。おっとり追加してくる。
「全員だって?おいおい、そんな無茶なこと・・・・」
「ここまできてそれを言いますか」
にこりと笑いかけ来る楓はかわいいのだが何故か黒いと感じた。
「今の話を聞いたでしょう。お願いします。黒田参謀」
役職名までつけた紫衣に圧力を感じた。
「確かに彼らを死なせるのは惜しいと感じる。だが戦には責任を負わねばならない。それをどうするつもりだ」
楓はきょとりとした。
なにそれ。と言う顔である。
紫衣は首をこてんとさせる。
その時察した。すっとぼけるつもりだと。
「ええー。何それ私わからない」
といいたいらしい。
こういう時だけずるい。丸投げ作戦を二人の女は取ったのだ。
「全てをおまかせします。黒田さん」
「はい。全てをお願いします。黒田さん」
二人の女は黒田を見てぺこりと下げる。
黒田はその場にがっくりとうなだれた。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.154 )
日時: 2017/04/28 18:35
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

敗北したのは黒田だった。参謀であったとしてもこの二人の前では肩書なんてない。
「うそだろ。しっているだろう」
ぶつぶつ言っていたが無視をされた。
そののち黒田は助命嘆願のため頭をそり丸坊主にして助命をして回ったそうだ。苦労人であった。
「ちなみに大久保さんには許しは得ています」
「たぶん木戸さんも大丈夫です」
二人の女はいけずうずうしくいった。
『まじですか?あのがちがちの堅物の男ですらいいなりですか?』黒田は思う。勝てぬと。
「わかった。やってみよう」
きっとこの時彼は血の涙を流していたであろう。

「それから・・・」
「まだあるのか」
「ここからが重要なことです。他言無用で」
ちらと紫衣を見てそう切り出す。彼女は外に出ていくのを目で確認したので落ち着くためにお茶を飲んだ。だいぶぬるくなってはいたが構わない。
男女を連れて戻ってきたのを視界にとらえたとたんに大鳥と榎本はがたっと椅子を蹴倒した。
「生きていたのか」
そこにいたのは土方と陽菜であった。
「どうして」」
ははと笑い「驚いたか」と言った。元気そうに見える。
二人のそばに慌てて駆けつけた。陽菜は青のリボンをしていて女の姿に戻っていた。やはり女だけあり男装より様になっている。
「見違えたよ」
「その方がいい。綺麗になった」
「ありがとうございます」
陽菜は目にいっぱいの涙を浮かべて土方の隣に立っていた。
「土方君。なんで僕を睨むんだ。榎本さんだって褒めていたじゃないか」
「人徳の差だろ。陽菜は俺のなんだよ。大鳥さん。やらねぇからな」
土方は大鳥を睨みつけて威嚇している。あまりにも普段通りなもので和んでしまった。その眼つきの鋭さに怯えて後退した。

「気になっていたんだが。何故君たちはそろって同じ髪型にしているんだ。その髪にしているものはなんだ?」
真面目な顔をして榎本が聞いてくる。
「えっと。これのことですか?」
紫衣は髪にしているリボンに手をそえている。
「これのことですか」
そう言いリボンをしゅるりとはずした。思い切りのいい楓が手でリボンをはずして榎本に見せた。
「これはリボンというものです。どうぞ」
「いいや。そんなことよりもその髪型は一体どうしたんだ」
目が釘付けになっているのはリボンよりもその髪の短さである。
「目が落ちそうです」
紫衣がぼそりという。
「目は落ちんだろう」
いつの間にか大久保がそこにいた。呆れた目で楓を見ていた。きっと楓しか見えていない。
「私もです」
そう言いリボンを外した。同じ髪型になる。陽菜を見た土方は悲し気にしていた。
「大丈夫です。また、伸ばしますから」
「そうしてくれ」
短すぎる髪を指に絡ませると手早く元に戻してやった。
「本当に呆れてしまうよね。君たちには」
「え?あ。木戸さん」
振り返ったら彼がいた。ポンと頭を叩かれた。
「さて、よろしいですか」
楓が言うと空気が変わる。
「ここにいますのは土方歳三ではありません」
いきなり意味不明なことを言い出す楓に戸惑う一同。
「つまり一本木関門にて銃撃をうけた土方は死んだのです。5月11日が命日です」
どきっぱり言い切った。実に堂々と土方は死んだという。
「ならここにいる彼は誰だ」
「話が早くて助かります」
にこりとして引き続きいう。
「相原誠さんです」
ばばーんとどうだと言わんばかりに両手を広げている。晴れやかに笑っていた。皆が心で言った誰それ。一切の突っ込みは許されない。それが楓のすごいところだ。次の瞬間皆が笑いだした。
「あっはっは。流石は楓だな。くっくっ。」
「くすくす。楓らしいね」
「ははは。と言うことらしい」
大久保、桂、土方が次々笑いだす。
「楓さんはどうやら俺たちの上をいくらしい。ふふふ」
「あははは。楓さんには叶わないね」
榎本、大鳥も笑う。そこに黒田も加わる。
「くっくっく。楓さんには負けた」
誰もが笑っている。そんな時間を過ごしていた。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.155 )
日時: 2017/05/02 19:23
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

次の話に移る。
「それならば別の場所に移してはどうだね」
「しかし謹慎しなければこの人納得しないですよ」
楓が言うと大島と榎本もはその通りと頷く。
「「たしかに」」
「おいそこで同意すんじゃねぇ」
突っ込みを入れる土方に陽菜は苦笑した。
「私も一緒にいきます。置いていかれるのはもう、嫌です」
必死に陽菜は言う。ここで置いていかれたら二度と会えない予感がした。土方は黙って陽菜の肩を抱く。
「なら皆さんのお世話係になってはどうですか」
またとんでもないことをいいだす。
「陽菜ちゃんだけでなく私たちも手伝います」
「まてそんなことまで許すと思うな」
しかしそんな大久保のせりふなどあっさり無視をした。
「下女としてはどう?」
「賛成」
「いいのかな」
三人はそんなことを話をしていた。
唖然としている男たち。
「おい。勝手にぬかすな」
「勝手なことですか」
「そうだ。それはお前の仕事ではないだろう」
不満そうに大久保を見つめた。
「その顔はやめろ」
ピンと指ではじかれた。
「いたっ。何するんです」
「文句を言うな」
「大久保さん。だったら話を聞き世話を誰がするんです」
「なんだとっ?」
あ、まずいと思った。雷に備えるため耳をふさいだ。それと同時に怒鳴り声がした。
「それこそキサマのでるまくではないっ」
きーんとした。耳をふさいでもこの威力すごすぎる。
「お、おち、ついてください」
楓がなだめる。
「ほほーう。だ、れ、のせいで」
そこで言葉をきる。第二弾にそなえて耳をおさえる。
「こうなっているんだ」
叫んだ大久保はすさまじい迫力だった。





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