複雑・ファジー小説

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私は貴方たちを忘れない
日時: 2016/06/29 09:33
名前: 小鈴 (ID: ZfyRgElQ)

小鈴です。『貴方たちを忘れない』の続きを書こうと思います。
時代背景は幕末で登場人物たちも前回と同じ人たちが出てきますので読まれる方は前回からお願いします。注意としましてできるだけ史実にそい書いていきますが途中で捏造も入りますのでよろしくお願いします。
初心者ですので書き間違いもあると思いますが流してください。

主人公 楠 楓〈くすのき かえで〉十七歳少女
    立川 紫衣〈たちかわ しい〉十七歳少女
この二人を視点にして書いていきます。
登場人物 大久保 利通。桂 小五郎。西郷 隆盛。新選組。土方 歳三。

他にもいろいろ出す予定ですので、楽しみに待っていてください。  時代は1867年のころからです。

追加 大久保利通〈三十七歳〉桂小五郎〈三十四歳〉  

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.146 )
日時: 2017/04/06 23:53
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

木戸と紫衣。
横抱きにされた彼女は落とされまいと両手を彼の首に回す。
「あの、あの。どこに向かって?」
おろおろしながら木戸に訴えているがその足は緩まない。
抱えたまま下ろされずに軽々とある場所を目指し歩いていく。廊下にいる人たちの視線も気にせずに前だけを見ている。彼女だけが情けなく恥ずかしいと顔を隠している。
とある部屋の前にてようやく足を止めた。
「木戸様。その娘は?」
腕に抱えている紫衣に視線が流れてびくっとなり慌てて降りようとしたが無視をされた。ううー。知らず呻いてしまう。
「気にしないでくれ」
さらりとそんなことを言う。それは無理であろう。見張りの男も思わず聞き返す。
「は?」
木戸は顔を見せないように抱えていたので先ほどのこの扉の奥にいる者たちと共にいた少年兵とはわからない。「追及するな」とすうっと一度横目に見られた見張りはびくっとなった。
「それよりここを開けてくれ」
「はい」
慌てて扉を開けた。びくびくしている見張りに思わず顔を向けそうになるがそれは許されなかった。さっさと中に入ってばたんっと閉められた。
「ここは?」
「さぁ」
全てを隠す微笑みを向けられて何も言えなくなる。


土方は人の気配にばっと飛び起きた。
陽菜は土方に庇われて後ろにいた。
「だれだ?」
「え?」
紫衣は木戸の腕に抱えられたまま目を大きくさせていた。はたと我に返りばたばたと暴れ始める。
「どうして?」
「なにが?」
それにはいろいろ含まれていた。下してくれないのかとかここに連れてきたのかとか。この顔はわかっていて聞いているのだとわかる。まずこれだけは言う。
「おろしてください」
懇願したらあっけなく床に下ろされる。次には陽菜のそばに駆け寄ろうとしたら腕をつかまれて引き戻される。
「ふえっ」
驚き振り返るとぐっと力を込められて肩を抱き寄せられた。あまりにも早い動きについていけない。
「へぇー」
それを見ていた土方は木戸の考えが見えるようだ。
「え?え?」
しかし陽菜にはわからず視線が行ったり来たりだ。
「お前は動くんじゃねぇぞ」
獰猛な獣が再び目を覚ましたような低い声をだした。
「さてと君には問いたいことがある」
殺気がこもった目を向けているにもかかわらず涼し気な顔を変えずに木戸が土方にこう切り出した。
二人の雰囲気に女たちは飲まれて固まる。
「なんだ」
「その顔は私の知っている人物によく似ている」
「そうか?」
にやりと土方は笑う。挑発しているかのように。
「君は誰だ?」
「・・・。新選組副長土方歳三・・・」
静かな声でそう言った。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.147 )
日時: 2017/04/08 20:55
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

思わず二人の声が出た。「相原さん」悲鳴のような声を上げた。
「て・・・言ったら、どうする?」
土方はそう言いにいっと唇を持ち上げる。
木戸は扉をふさぐようにして立っていたが気を取り直して名前を聞いた。
「君の名前は?」
「相原誠」
短く偽名を告げる。しばらく二人の男は睨みあう。

「失礼いたします」
聞き覚えのある声がした。
「楓ちゃん?」
陽菜と紫衣が入り口を見ると木戸はその声にすいっと横にずれた。
扉を開けてきょとりとした楓がそこにいた。その隣には憮然とした大久保がいた。
「話はすすんでいるのか」
「大久保さん」
紫衣が小さくつぶやく。
「楓。」
低い声で名前を呼ばれた。ばっと楓が顔を大久保に向けた。
「隣の部屋に行け。そこのほうけた小娘二人もつれて」
顎で隣に行けと示されて不満ですと目で訴えた。「いけっ」ともう一度強く言われ眉をきゅと寄せて仕方ないと動き出す。大久保の隣から移動をしていく。その時に二人の手をつかみ歩いていく。鍵を手にしていて堂々と開けて二人を中に押してちらと横目で見た。
「忘れていた」
ふいに口にされて「ん?」と振り返ったら荷物をぶん投げてきた。
「ぶっ」とほとんど顔で受け止めた。
「ちょっと。なにするんですか」
文句をいってやろうとしたら「そいつの着替えだ」と言われた。
ふむ。心当たりのある楓は荷物を手にした。
「そいつ?」
陽菜たちは首を捻る。紫衣はともかく陽菜は初めて会う人だ。意味がよく分からない。だというのに大久保は陽菜を見てにいっと意地悪く笑う。
「ありがたく頂戴します」
慇懃無礼にそう言い楓は隣の部屋に二人をうながした。
「どういう意味だ?」
「・・・・」
木戸は無言で土方は唸り声を出し睨んでくる。
「頼まれていた。それを渡しただけだ」
その視線から嫌そうにそらす。
「そろそろ女に戻してやってはどうだ。哀れを誘うぞ」
「うるせぇ。わかってんだよ」
いたいところをつかれたらしい。目をそらす。
「あれに任せておけ。問題ないはずだ」
すたすた大久保は歩き始めて椅子を引っ張りだしてきどすんと座る。
「君らも座ったらどうだ」
そのままではろくにはなしもできんだろうと告げてきた。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.148 )
日時: 2017/04/12 22:12
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

女たちは隣の部屋で待機となる。
「楓ちゃんそれなに?」
楓が手にしている荷物に目が行く。両手で抱えているそれを陽菜に説明する。
「陽菜ちゃん。とりあえずこっちに着替えて」
「着替えてってもしかして女の人用の?」
「そう」
戸惑いを顔に書いたまま陽菜が楓を見てくる。
「つまりね。そろそろ女に戻っても良い頃合いかなってね。適当で悪いけど・・・」
適当と言う割にかなり上質な生地でできていた。紫衣がいう。
「これ大久保さんが・・・」
「そう。頼んだけど。急に頼んだからあの人の趣味でね。まぁ。桜が似合うとは伝えといたんだ」
「かなり質のいいものだよね」
「私にも同じ物用意されたんだよね」
肩をすくませる。楓の着物は上質のものとわかる。陽菜用は薄い色で桜の柄が入った着物だった。リボンは青色だ。二人の手を借りて着替えていく。
「まぁっ。陽菜ちゃんに桜はよく似合うわ」
紫衣は両手をぱちんと合わせると口元を緩ませる。
「適当にしてはよく似合っているよね」
皆が適当適当と言っていることがなんだかかわいそうになってくる。楓は感心しているようだが・・・。陽菜はこてんと首を捻る。
「桜が・・・そういえば・・・あの人も・・同じことをいっていたのよ」
ふんわりと笑うと陽菜は懐かしそうに目元を緩ませる。
「あとは後ろを向いて」
「うしろ?」
楓がくるりと後ろに回りリボンを片手にしている。
「青だね」
「うん」
「そうだね。けどこの色似合うね」
るんるん言いながらもリボンを回す。
「楓ちゃん。振り回さないで」
めっと叱ってくる。てへっと片目をお茶目に閉じる。次には真面目なものに戻して布でまとめ上げてリボンで結ぶ。
「さてっ・・・」
表情を引き締めて扉を顔を向ける。
「どうなるかな」
「わからない」
「相原さん大丈夫かな」
気になっていることをそれぞれ口にしている。

一方隣の部屋では男たちは顔を突き合わせて舌戦を繰り広げていた。
「君は何者だ」
大久保はいぶかし気に相原と呼ばれた男を腕を組み見ている。
「幕府軍の生き残りです」
ただそれだけを言う。
「そうですか」
木戸は興味がないのか視線は紫衣たちの方に向いている。

大体の見当はついているくせに大久保はあえてそれを聞く。
「俺はただの一兵士にすぎません」
苦笑する男を「そんなわけないだろ」じろっと木戸が横目で睨む。楓たちが気にかけるのだ。それなりの人物でなければ助けてくれとは言わない。
「ではこんな話をしよう。ある日罪人の首をさらしていた。次の日には別の首になっていたらしい」
大久保はにやりと笑う。「何が言いたい」と土方は眉間にしわをよせる。
「そうだ。ある浪士集団の局長の首だ。その首をさらしていた」
ぎろりと途端に獣の目を向けてきた。
「場所は板橋の刑場だ。思い当たることはないか」
木戸は真っすぐ土方に視線を向けた。
「まさか」その顔が言った。しかしその動揺は顔にも声にも出さずに全てを消し去る。
「ありません」
「ないのか」
「ええ」
大久保と相原はお互いに睨みあう。


Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.149 )
日時: 2017/04/19 11:59
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

「思い当たる事がないと言うなら勝手に罪人の首を挿げ替えてくれた人物を捕らえねばならんな」
さてどうする?と大久保は言っていた。土方はてめぇと低い声を出した。一度気分を変えるため息をつく。
「どうぞ」不敵に笑い切り返す。
意外というように大久保は肩眉を持ち上げた。
「ならばそうさせてもらおう」
挑発するようににいっと笑う。
ずっと隣の部屋で盗み聞きをしていた楓が扉を開け放つ。
「こらっ勝手なことばかりいうな」
勢いのまま叫んだ。
「待って」
「だめ。話の邪魔しては」
慌てて陽菜と紫衣は楓を止めようと両腕をつかんだ。
大久保は余裕の態度から楓の乱入に視線を彼女に向けこれでもかと目をむいた。かっと。
「なにしているのかな」
木戸も三人を見てぽかーんとした。
「なっ」
土方は声を失う。
大久保はすぐ我に返るこの男の精神は強かった。
「ここで何をしているのだ」
「いいえ。その・・・」
「かえで・・・」
ふいっと顔をそらしていた。後ろ暗いことが少しはある。反省は多少はしている。ようには見えなかった。ふっと優しく笑った。次にはがっと楓の頭をわしずかんできた。
「いたっ。何をする」
口答えをしたことすら許せないと罰をというようにぎりりと力をこめてきた。
「ずいぶんと反抗的だな」
「ほんと.いたいですって・・・・いたたたっ。わかりました。ですから力を抜いてくださいってば・・・・。まだ許してくれないのですか。どんだけ偉いんです。あ、はい。ごめんなさい」
その間ずっと地味に力をぎりと指の力を込めていたのだ。いじめっ子。心の中で思ったがやっと手を離してくれたが心がこもっていないことと悪意を向けたことがばれた。べし遠慮なく叩かれたのは頭。
「いたっ。暴力反対です」
「どこがだ。これはしつけだ。頭の悪い小娘にはこれで十分だろ。だいたい反省も謝罪も口先だけだろうが・・・」
やはりばれていたがここで認めてはいけない。楓にも意地がある。むうっとへの字に唇を曲げて視線をそらした。態度だけは図星だといっていた。
「べ、べつにそんなことは「あるどろうが」・・・」
くいこみぎみに大久保に言われた。
「あるだろうね」
やれやれだと木戸も呆れた目をしている。


「だいたいその件にしては不問にするといっていたではないか」
「ええ?」
なんの話だ土方は突然変わった話に目を点にさせた。
「さぁな」
あっさりとかわされてしまう。
「ちょっとなんですかそれ」
聞き捨てならないと楓は大久保に向かって行く。身分が上だろうと恐れない。負けない。まわりなんて見ていない。
「新選組の局長の首を取り換えたのは誰だ」
何が言いたいのかわからないが楓は真っすぐ男の目を見て答える。
「ふん。そうですね。私が考えやりました」
「一人でか」
「・・そうです。納得してくれましたか」

そんな話を聞き陽菜と紫衣が反応する。はっと。

「いくらなんでも無理がある。お前でもわかるだろう。矛盾している」
「そうですか」
あくまでものらりくらりとはぐらかす。
「おい。小娘二人。身に覚えはないか」
今度はらちが明かないと小さくなっている二人に問いかける。
「やめて・・・。」
ついに声を強くさえぎり二人をかばうように両手を広げる。
「お前の態度で全て語っている。策士には向かんな。」
「むかなくてけっこうだよ」
失敗したと顔に書いてある。くっくっと楽し気に笑うのだった。
「失態を悟るのも勉強のうちだ」
「うるさい」
次には楓の頭をぽんぽんしてくる。腹の立つこと。
余りのことに驚き固まる人たちに視線を直してがらりと態度を一変させた。真面目な話を始める。
「ここの参謀の黒田清隆さんに皆であいにいきましょ。」
「いってどうする」
「皆を助けます」
はっきり言い全員を見回した。計算なんてなくただ真剣なまでの想いだけがあった。
「お前の策は」
「ですから策なんてありません。とにかく話をしようと思います」
その話を聞いてふんわりと土方に聞くのは紫衣。
「相原さん。榎本さん大鳥さんを知っていますね」
ここでの突っ込みは一切無視されているのであえて何も言わないがじろっと木戸だけは睨んでくる。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.150 )
日時: 2017/04/19 13:26
名前: 小鈴 (ID: C1fQ.kq4)

今一訳が分からないと陽菜はおろおろしていた。
「そういやぁ。その着物似合っている。俺が用意したものじゃねぇのが癪に障るがな」
土方にそんなことを耳元にささやかれて赤く頬を染める。
「お前たちが行くとまた別の問題が生れかねん」
したかなく土方たちはここに待機とされた。
「待機ですか?」
「何か不満でも」
「ありません」
即答したら扉が閉められた。
「ずいぶんと独特な個性の持ち主の男たちのようだな」
「大丈夫ですよ。あの人たちに任せておけばなんとかなります。今は信じて待ちましょう」
楓がいい紫衣も頷く。
「そこまで信じてんのかよ」
呆れたように二人の女を見た。
「そう言う人たちです。言った言葉は必ず守る人です」
紫衣土方を見上げる。
「へぇー。立場がち違がければ俺たちは分かり合えたのかも知れねぇな」
寂し気に口にして瞳を閉じる。


新政府軍陣。
「ここに一列に並びそれぞれの所属した部隊名と己の名を一人一人書いていけ」
司令官が声を張り上げる。
降伏した部隊の兵士たちは大人しく指示に従い一列に並んでいく。皆が疲れ切った顔をしている。机の上の帳面に筆で名前を書いていく。目を光らせて監視している。目的の人物を見つけた男はくわっと目を開かせた。
「ここを頼む」
「ええっ」
後に残された兵士は不満の声を上げたが知ったことではないとさっさと歩いていく。
「大鳥と榎本だな」
いきなり名前を呼ばれて大鳥は警戒の目を向けた。鋭く目つきをさせて榎本をかばう体制になる。それを制したのは榎本だった。
「何故。俺たちのことを知っているんだ」
あくまでも冷静に黒田に目を向ける。
「いいや。実はな・・・」
黒田自身なんていうべきか迷っていた。頬をぽりぽりかいている。
「とにかくついてきてくれ。ここでは話せない」
すたすた去っていく。あっけにとられていた二人はお互いに見合わせる。
「とりあえずいってみるか」
「そうですね」
そのままついていくと客室と思われる場に通された。靴のまま中に入ると黒田がいう。
「いろいろ聞きたいことがあると思うが少しだけ待ってくれ」
椅子に座るように指示を受け二人はかなり何か言いたそうな顔をしていた。

しばらくしノックの音がして女性の声が響く。なぜ、女性がと思わなくもない。
「失礼いたします」
楓と紫衣がそこにいた。
「こちらだ。楓さん、紫衣さん」
気さくに声をかけている。それを見た榎本達は一体何なんだ。と思わず睨んでくる視線さえなれたものだった。お茶を片手に彼らのそばに歩いてくる。
「どうぞ」
と言いまた驚いたことにお茶を差し出してくる。
「毒など入っておりませんからさめぬうちにお召し上がりください」
丁寧に作法通りに差し出されて大鳥は目を丸くしている。ただの使用人ではありえないと礼儀作法に敵兵に対してのもてなし方に声を失くしている。緩やかに紫のりボンをした女が笑う。
「出されたものを飲まんのは礼儀に反するな」
と言い榎本は一口すする。スーツと口ひげが特徴的だ。
「うまい」
と言われ嬉し気に笑うのは色違いのリボンをした女である。
「大鳥君も飲んでみたまえ」
大鳥と呼ばれた男もお茶に手を伸ばして飲んだ。「おいしい」という。
「どういたしまして」
すっと背筋をのばしお盆をテーブルに置いた。
「私は立川紫衣と申します」
ふんわりと一度片膝を引いた軽く頭を下げた。西洋の身分の低いものから身分の上に対するものにする令の仕方だ。
「楠楓です」
一度頭を下げる。西洋の挨拶の仕方を真似したものだ。
「何者なんだ。彼女たちは?」
まぁまぁと宥められた。
「少しだけ西洋の知識を学んだだけですよ」
黒田は軽く流すが、これだけのことをできる女がこの国にどれだけいるのか。聞きたいことがまた増える。
「俺は榎本武揚だ」
「僕は大鳥圭介だよ」
スーツ姿のやや童顔の男はよろしくと片手を差し出してきた。楓はその手をとりよろしくと言う。
「どうかなさいましたか」
「いや、これが通用したのは初めてでね。なんだか、嬉しくなってしまったよ。」
「あはは。仕方ありません。握手なんて日本の伝統にはありませんからね」
片目を閉じる。
「それって、【ウインク】。じゃないのかい。」
「そんなことも知っているのか」
何故榎本までも興味が出てきたらしい。食い込み気味にいろいろ話をされて目を白黒させる。

ごっほんと咳ばらいをされ我に返る。楽し気に花を咲かせていたが終わりを告げる。
「話をもどしていいか?」
「どうぞ」
神妙な顔で女たちは席に着く。

私たちはめぐまれていたのかもしれない。楓は思った。運が良かったのかもしれない。紫衣は思った。こうして話を聞いてくれる人がいたことがついていたのだから。幸運だったといえよう。




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