複雑・ファジー小説
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- 私は貴方たちを忘れない
- 日時: 2016/06/29 09:33
- 名前: 小鈴 (ID: ZfyRgElQ)
小鈴です。『貴方たちを忘れない』の続きを書こうと思います。
時代背景は幕末で登場人物たちも前回と同じ人たちが出てきますので読まれる方は前回からお願いします。注意としましてできるだけ史実にそい書いていきますが途中で捏造も入りますのでよろしくお願いします。
初心者ですので書き間違いもあると思いますが流してください。
主人公 楠 楓〈くすのき かえで〉十七歳少女
立川 紫衣〈たちかわ しい〉十七歳少女
この二人を視点にして書いていきます。
登場人物 大久保 利通。桂 小五郎。西郷 隆盛。新選組。土方 歳三。
他にもいろいろ出す予定ですので、楽しみに待っていてください。 時代は1867年のころからです。
追加 大久保利通〈三十七歳〉桂小五郎〈三十四歳〉
- Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.76 )
- 日時: 2016/11/10 12:11
- 名前: 小鈴 (ID: JQzgI8be)
目的地に着くと目当てのものを手にして原田の元に行き再び外に行く。女の姿に変わると歩き出す。
宿についたら声をかけて頼みこむ。
「すみません。握り飯を二人分用意していただけませんか。」
宿のおかみさんに説明をしていく。連れが怪我していて昨日から何も食べていないと。
「あんた、まさか、旧幕府の関係者かい」
小さな声で問われて曖昧に笑う。深くは関わらない方がいいとお互いに理解できただろう。察してからは無言で二人分用意してくれたのでいくらか小銭を手渡した。すぐにそこから去っていく。
楓は原田の怪我が治るまで世話を焼いていた。7月17日には江戸を東京と改名した。
「原田さんはどうするつもりですか」
「そうだな。新八が会津で待っているからな、いかねぇとな」
「なら決まりですね。会津にいきましょう」
にこりと楓は笑う。太陽のように明るく。
8月21日。新政府軍は会津領内に進行してきた。旧幕府軍は母成峠にて立ち向かう。8月22日。要約白虎隊士の出陣が決まる。正規の兵で無い彼らをできるだけ戦場に行かせたくないと考えていた松平容保公はぎりぎりまで待機を命じていた。
「16,7,8の子供を戦地に向かわせるのですか?」
家老の西郷頼母が言った。
「会津のために戦うのだ。子供などと言ってはいられん」
これは決定事項となる。彼らは初陣だった。
午後のこと。母が言う。
「いいですか。おめおめと再び生きて帰るような卑怯な真似をしてはなりません」
といい送り出した。「はい」と彼は返事をした。背中を向けていた少年にはわからなかっただろう。母は声を出さないように片手で口をふさぎ泣いていた。会津のためとはわかるが子供を思わぬ母はいない。気丈に振る舞い迷いがないようにしっかりと戦いって来いと言った。『どうか、生きて帰ってきて』それだけを願っていた。
集合してきた彼らに言った。
「会津にため、親兄弟のために戦え」
「はい」全員の声が揃う。「出発」隊長に従い歩き出す。主君のために命を捨てる覚悟で威風堂々と歩いていく。歩きながらも家族の人が見送りに出ていた。
「悌二朗さん、命は粗末にしてはいけませんよ。」
「八重様。いってまいります」
凛とした声で八重に答えると伊東悌二朗は通り過ぎていく。
午後3時。隊長は携帯品を預けることを命じた。
- Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.77 )
- 日時: 2016/11/12 23:07
- 名前: 小鈴 (ID: JQzgI8be)
茶屋に預けることになった。初陣のためにできるだけ身軽になれるようにとの配慮だった。握り飯もここに置いていく。銃に弾をこめさせた。「いそげ、戸ノ口原に向かう」
「はい」
隊長の指示の元に彼らは急ぎ弾を込め始めた。
午後4時。戸ノ口原についた。この時戦いがすでにはじまっていた。不利な状況に白虎隊は一時撤退を余儀なくされた。
午後6時。待機を命じられてからニ時間が過ぎてその内に雨が降り始めてくる。空腹と寒さに体が振るてくる。体が冷え体力を奪られつつあった。隊長は見かねて声をかける。
「我らには食料がないからちょうたつしにいってくる。私が戻るまでここで待機だ。いいな」
「はい」
しかし日向隊長は戻ってこなかった。
「なぁ。隊長は」
「戻ってこないな」
「そうだな」
だんだん少年たちは不安になってくる。
「どうするんだ」
「このまま待機するのか。それとも」
「きっと戻ってくるよ」
必死に考えて答えを出そうとしていた。夜になって銃声が鳴る。前面に敵の気配に待機を命じられていたためなんにもできなかった。疲労と緊張が少しづつ積み重なっていく。母成峠の山中で夜をあかしていく。
8月23日午前5時。新政府軍の攻撃が開始されて戸ノ口原は制圧されていた。
朝。雨が降っていた。城下は早鐘が鳴り響いていた。「カン、カン、カン」と。それは城に入れという合図であった。しかしその音は大砲、銃声にかき消されて聞こえなかった。町は大混乱になっていた。その時八重は弟の軍服を身にまとい、スペンサー銃をかつぎ飛んでくる銃弾の中をかいくぐりながらも走っていった。山本一家は城へ無事に入れた。
「これは」城下町にようやくたどり着いた時原田と楓は大混乱の中に立っていた。あまりのことに声を失う。多くの人は城の外と中に入ろうとしていた。
- Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.78 )
- 日時: 2016/11/24 16:03
- 名前: 小鈴 (ID: JQzgI8be)
荷物を抱えた人が町の中を慌ただしく走っていく。あまりの人の多さにどうやって前にいくか戸惑う。
「どうするつもりだ」
その声に視線を上に上げた。原田は悔し気に顔をゆがめていた。
「遅かったか。俺が怪我していなければもっと早く会津にたどりつけたはずだ」
ぎりぎりと拳を握りしめられた。楓はそっとその手を重ねる。
「あなたのせいではないよ。仕方なかったのです」
空を見上げて楓を抱えて横に飛んだ。「あぶねぇ」と言った瞬間地面が何かかすめた。「大丈夫か」と聞かれて「平気」答える。次々に大砲や銃声が鳴る。足元にはじいたのは弾丸であった。すぐさま立ち上がり移動する。
「まさかここまできているなんて」
「このままだと挟み撃ちにあうぞ」
人にもみくちゃにされながら声を張り上げる。
「紫衣をさがす」
「さがすたってどうやってだよ」
もうすぐここは地獄になる。それはよくわかっていた。
「原田さんは新選組の仲間を探してください」
「俺は」
迷うように口ごもる。
「行ってください」
さらに強い声で言う。新政府軍は新選組を許さないはずだ。つかまれば殺されてしまう。
「どこを探すんだ」
しばらく悩んでからこういう。
「感」
「おい。」
呆れた目で見られたが気にしない。
会津藩兵は籠城戦に決めたらしく門を固く閉ざした。台風の影響で城外は火縄銃や旧式銃は全く役に立たなかった。城に籠城していた会津側では狙撃用の窓により攻撃ができた。
八重は心配していたまだ年の若い彼らは無事であろうか。
「悌二朗さんたちは大丈夫でしょうか。」
山の方を見てからすぐに頭を切り替えていく。
皆がそれぞれに戦い生きていた。今を必死に会津のために戦っていた。
〈なんで、私たちの故郷がこんなことにならなくてはいけないのだ。私たちが何をしたというのか。〉
- Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.79 )
- 日時: 2016/11/14 23:20
- 名前: 小鈴 (ID: JQzgI8be)
城に入ったさいに男たちに懇願した。
「私は弟の仇をうちたいのです。会津のために戦いたい。これは男たちだけの戦いではない。この地に住む全ての人たちの戦いです。女も男もない。」
と言い男らを黙らせてしまう。必ず役に立ちますと言って聞かない。
「敵にお城は渡さねぇ。故郷はこの手で守る」
スペンサー銃を構え直す。そして男たちに交じり残った兵士らともに戦いに行く。土佐藩兵士を撃ち殺していく。八重の正確な狙撃に苦しむことになる。結果土佐藩兵らは後退していく。
「敵に外堀を超えさせるな。ここを何としてでも死守しろ」
あちこちで怒号が飛び交う。
「よーく狙ってうちなんしょ。そうすれば必ず当たる」
「はい」八重の言葉に少年たちは返事をする。
「さすけね。私が一緒だ。」と励まし続けた。
「いくべ」先頭を八重が少年たちは後ろをついていく。
「いいか。あの旗を持っている奴を狙ってうちなんしょ」
近くにいる少年に耳打ちをした。柱の陰に隠れながら真っすぐに構えて狙いを定めていく。
「打てっ」の合図にいっせいに発砲していく。
午前中「日新館」は会津藩らは火矢を放ち焼き払われる。16人の白虎隊が山のふもとにたどり着いた時であった。時間は11時ころ。飯盛山より彼らはこれを見たのだ。
とある西郷家の屋敷では「辞世の句」をよみ自刃の覚悟をしていた。西郷頼母の家族たちだった。
「会津はなんも罪もないのに敵は会津を滅ぼそうとしている。そんな非道には死んでも屈してはなんね。覚悟はいいな」
「はい」と皆は返事をした。おばあさまの言葉に頼母の妻は頷く。
「ねぇ。人は生まれ変わるものですか?」
「きっと生まれ変われますよ」
小さな子供らはこくりと頷く。あまり意味は分からないと思う。四女は4歳そして五女は2歳であったのだ。皆は白装束に身を包んで覚悟は決まっていた。
- Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.80 )
- 日時: 2016/11/15 17:02
- 名前: 小鈴 (ID: JQzgI8be)
「大丈夫です。皆が一緒です。怖くありませんよ」
先におばあさまが喉を切った。そのあとに妻千恵子が幼い我が子の首を切った。それに続き頼母の妹は自らの喉をつく。長女、次女も喉をついた。最後に母が喉をついた。
そこに土佐藩兵が屋敷を見て回り陣をおくのに調度いいと屋敷の中に踏み込んだ。長い廊下を進みある部屋の障子を開けた。そこは血の海に倒れていた女、子供たちだった。あまりの光景に声を失う。
「中島様どうかなさいましたか」
「来るな」
鋭い声に一度楓は足を止めるが再び中島のそばによる。
「きてはならん」
「どうして」
なんでこんなことになっているのか。立ちつくしてしまう。とっさに視界を中島にふさがれた。女や子供は全て部屋の中で血に倒れていたのだ。言葉を失い楓はふさがれた視界の中体をふるわせていた。一人の女がうつぶせのまま動いた。16歳の長女であった。自ら喉をついたのだが死にきれなかった。血にまみれながらも目が開けられないのかそのまま問われた。
「お味方ですか?」
男は迷うことなく「見方だ」と言った。楓は少し離れる。女は近くに転がっていた懐刀を差し出す。何を頼みたいのか理解する。
「よし」頷くと「楽にさせてやる。」長女を中島は腕に抱き首に刃を押し付けた。その時「母上さまたちは?」問われる。
「皆立派な最後であった」
「そうですか」
ほっとしたように口元を緩める。そのまま一気に引き裂いた。
「なぜです。どうしてこんな・・・」
言葉を失い涙を流して言った。これが戦と言うものなのか。あまりにもむごいことであった。
時間を少しさかのぼること一日前。白虎隊たちの視点。23日朝。5時夜が明けても日向隊長は戻ってこなかった。
「この中で年上は儀三郎さんですから指揮を取ってください」
「わかった。皆もそれでいいな」
確認を取り後をどうするのか話し合いをした。
「敵に背中を見せるわけにいかない」
「ならば戦うか」
彼らは戦うことを決めた。そして水のない溝を発見し身を隠す。側面より発砲した。身を潜ませている中敵との距離はわずかであった。
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