複雑・ファジー小説

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私は貴方たちを忘れない
日時: 2016/06/29 09:33
名前: 小鈴 (ID: ZfyRgElQ)

小鈴です。『貴方たちを忘れない』の続きを書こうと思います。
時代背景は幕末で登場人物たちも前回と同じ人たちが出てきますので読まれる方は前回からお願いします。注意としましてできるだけ史実にそい書いていきますが途中で捏造も入りますのでよろしくお願いします。
初心者ですので書き間違いもあると思いますが流してください。

主人公 楠 楓〈くすのき かえで〉十七歳少女
    立川 紫衣〈たちかわ しい〉十七歳少女
この二人を視点にして書いていきます。
登場人物 大久保 利通。桂 小五郎。西郷 隆盛。新選組。土方 歳三。

他にもいろいろ出す予定ですので、楽しみに待っていてください。  時代は1867年のころからです。

追加 大久保利通〈三十七歳〉桂小五郎〈三十四歳〉  

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.11 )
日時: 2016/07/08 17:14
名前: 小鈴 (ID: ZfyRgElQ)

きりきりと眉を吊り上げている。
「さわがないで、今ならまだ間に合う。私は足を引っ張らないと約束したの。早く行って、ねぇ。私も楓ちゃんを守りたい」
強い眼差しを向ける。

後ろはダメなら目の前にある路地なら走って通り抜けられる。逃げる算段を始めていた。隠しもっている懐刀を取り出した。ふいにとんっと前に押されよろめき一歩足を前にだす。とっさに後ろを振り返る。厳しい目をしていた。
「いって。早く」
素早く言われたので短く声を発した。
「わかった。」
楓はすぐに切り替えた。前のみ見つめると走り出していく。背中が小さくなるまで見送り気を引き締めた。荷物の中にあるものは薬道具のみ武器になるようなものはない。荷物を抱え直し振り返る。
「動くな。背を向ければ斬る」
引き抜かれた刀が首筋に押し付けられた。覚悟はしていたがやはり萎縮してしまう。体が自然に震えて力が抜け地面にへたり込んだ。研ぎ澄まされた刃のような眼差しに声すら出せない。
「てめえ。何もんだ?どうしてこんなとこいやがる」
低い声そして殺意すらこめて睨んできていた。

この人の名前は確か。土方っていた。思い出す。

その時。
「平助ーっっっ!!」
誰かの叫びが聞こえてくる。
「しっかりしろーっっっ」
「いやぁぁぁ」
男たちの叫ぶ声に少女の声も交じる。


紫衣はその声に引かれて地面に座ったまま顔をそっちに向ける。
「平助。おい、しっかりしろよ。」
男が小柄な青年を片腕に抱き必死に叫んでいた。
「平助?」
小さく土方が呟く。顔を向け気になるようでちらちらと見ている。
すぐさま紫衣は土方に顔を戻すと提案する。厳しい目を向けながらもあちらが気になっているらしい。
「助けたい?」
「なんだとう?」
怪しんで眉をよせる。そうするとしわが深くなる。
「ねぇ、助けたい?」
もう一度問いかけた。別にどっちでもよかった。目の前に死にかけてい
る人がいても知り合いでもないのに助ける義理はない。見捨てたとしても良心は痛まない。すると土方は刀を鞘に戻した。「来い」目で合図をしてきたので立ち上がる。

そばによると抱きかかえられている青年の様子を診る。背中からばっさりと斬りつけられている。
「邪魔。」
一言で男をわきにどかすと着物を脱がせていく。うつぶせにさせると
「どうだ?」
土方が問う。
「わからない」
冷静に答えを出す。正直に感想を口にした。



Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.12 )
日時: 2016/07/11 17:05
名前: 小鈴 (ID: ZfyRgElQ)

背中を斬りつけられていた。彼女は迷うことなく帯へ手をかけ女中用の着物を脱ぎ捨てると背中を向けている青年に体重をかけ、布がわりにした。
「一応血は止める。助かるかはわからない」
汗をかき頭をふりそれをはらう。頬を伝い落ちる汗がうっとおしい。血まみれの手でぬぐう。

あっけにとられてなりゆきを見守っていた男たち。
「なあ、あいつは誰だ」
首をひねっていた。
「さあ」不思議そうにしていた。しばらくし血が止まる。
「これで血は止まった」
片言の言葉で伝え土方を振り向く。青年の横顔をうかがうと息をしている。
「なあ、こいつは何者なんだ」
「新八。黙っていろ」
ぎろりと睨んできたのは土方だった。「ひっ」永倉は怯えた。
「ありがとうよ。お嬢さん」
礼を言いながら原田は自分の羽織を少女の肩にかける。ほとんど下着であったのだ。


紫衣の肩にかけられるあさぎの羽織は風にあおられる。これこそ血をすったもの。いくつもの返り血を浴びて多くの仲間が斬られていった。よく見ると血の跡がいくつもある。点々としたしみ。よく洗ってあるがそれは落とせるものではない。切なそうに視線をあさぎの羽織に落とす。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.13 )
日時: 2016/07/12 21:00
名前: 小鈴 (ID: ZfyRgElQ)

今まで着ていたものは使い物にならないくらい血にまみれていた。
「いらない」
思った以上の冷たい声が出た。
「どういう意味だ?」
背の高い人が睨んできた。
「私のことは気にしないで」
羽織を脱ぎその男に返す。着ていたくない。大切な人の血を吸った新選組という象徴するもの。だんだら模様。嫌悪しかわいてこない。
「原田ーっっ!!平助を連れて行け」
土方が鋭くさえぎった。そこで原田は永倉と共に平助を背中にかつぐと屯所に連れていく。
「お前もいけ」
男装をしている少女に気がつく。おろおろしていた。土方が強い声で言う。
「行けといっただろう」
びっくと肩を跳ねさせ頭を下げて原田たちを追っていく。
「さてっ。お前は・・・・どうする?」
にやり笑いかけられぞくっとした。土方はすぐに鬼の顔に戻っていた。

研ぎ澄まされた刃のような目で見られ身がすくむ。
「どうなさいますか?」
仮面をかぶる。友のように桂のように笑う。
「お前は何もんだ」
「医者であり女中をしています」
「嘘をつくな」
怒鳴られた。びりびり伝わってくる殺気に内心怯える。ここで負けてはいけないと顔を上げる。唇をきつく結ぶ。
「どうして嘘と思うのです」
「てめぇはただの女中じゃねぇだろう。調べらぁ。すぐにわかんだよ」
問い詰めてくる。
「なら調べてから出直してください。証拠もなくそんなこと言われても困ります」
土方らとて捕らえるには大義が必要なのだ。やみくもに捕らえるわけにいかない。はたから見ればただの女中にしか見えない。
「私はただの黄衣です。」
ただそれだけと笑う。大した女だ。鬼と対峙しても笑うのだから。
「そちらこそ探られては困ることがあるのでは」
こってんと首を横にさせ土方の様子を探ってくる。とたん、ぎりっと鋭くなる目つき。
「可愛らしい女性でしたね。」
口にしてはいけなかったらしい。土方は「てめえ」といい。睨みを強くさせ、足を大きく踏み込んできた。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.14 )
日時: 2016/07/14 16:41
名前: 小鈴 (ID: ZfyRgElQ)

新選組目線。
斎藤一がとある情報をもって戻ってきた。「近藤の暗殺」というものだった。この男は新選組三番隊組長であったが密偵もしていた。
「近藤さん。向こうがその気ならば仕方がねぇ。」
「やむおえまい。」
近藤と土方が難しい顔をして話をしている。
「永倉.原田の隊士だけで行け」
決定事項であった。その場で話を聞いていた望月陽菜は口にした。
「藤堂さんは?一緒に斬るつもりですか?」
辛辣な言葉をぶつけてくる。
「仲間ではなかったのですか?」
何も言わないのでさらに言う。とがめるように。土方は新選組のためなら心を鬼にしてなんてことなく言う。
「はむかうようなら殺せ」
声すら落ち着いているように聞こえる。不器用な人だ。本当は誰よりも仲間を思っているのに態度にも見せない。陽菜は振り返り後ろにいる人たちに問う。
「それでいいのですか?」
「いいわけねぇだろ。」
原田と永倉は憤りを隠さない。
「近藤さん」
難しい顔をしながら近藤は決意する。
「これは局長としてでなく近藤勇として平助を助けてやってくれ」
と頭を下げる。
「私も行っていいですか?」
「え?」ほぼ全員の声が揃う。
「またか。お前なぁ」
ため息をつき睨んできた。陽菜は睨まれても怯えないそして引かない。
「お願いします。連れていってください。」
永倉と原田に頼みこむ。二人はお互いに困ったように土方を見ていた。
「戦闘になるぞ。」
「わかっています。藤堂さんのことは私が説得します」
「まったく。」いつもこの娘は新選組のために動いてしまう。
「覚悟はできているならそばをはなれるな」
「そばにいれば守ってやる」
永倉は陽菜の頭をなでてやる。ぽんぽんと手の平をのせにっと笑った顔が光輝いていた。


必死に陽菜は藤堂を探していた。戦闘が始まっている中あちこちに目を動かしていた。はっとする。
「あそこ。」
ある一点を陽菜は指し示すと走り出した。
「待てって陽菜」
原田が槍を振り回す中声をした方に目で追いかけた。永倉も刀を交わりながら陽菜を探す。
「平助」
永倉が平助のそばに駆け寄っていく。
「新八さん。俺を殺しにきたの?」
刀と刀を合わせながら話をしている。
「違う。近藤さんに言われて。口では冷たいこと言うが土方さんだって・・・逃げろ。」
「平助。生きろ。俺たちの分も生きてくれ」
原田もそばによりながら背中に鋭く叫ぶ。
「藤堂さん」
「陽菜もきたんだ」
「はい」
陽菜もそばによる。
「わかった。」
実に彼らしい笑顔を向けると背中を向け走り出した。その時平隊士が背中を斬りつけてしまう。
「平助っっー」
「いやぁぁ」
悲鳴をあげた。原田が藤堂を腕に抱えた時に土方が駆けつけてきた何故か見知らぬ娘を連れて
「邪魔」
一言。永倉をわきにどかした。手早く手当てをはじめてしまう。

Re: 私は貴方たちを忘れない ( No.15 )
日時: 2016/07/16 20:19
名前: 小鈴 (ID: ZfyRgElQ)

紫衣側。
土方が足を前に踏み出す。問い詰めるように睨んでくる。その時。
銃声が鳴る。一発の弾丸が空気を切り裂く。パーンと乾いた音が鳴った。一人の娘が「ぴすとる」を上空に向けていた。
「紫衣からはなれろ」
楓は両手で「ぴすとる」を握りかまえていた。次に土方の「頭」に狙いをさだめている。鋭い目をしていた。
「私は紫衣ほど甘くはないぞ。土方さん?次は当てる。」
土方は女が「ぴすとる」を持っていることに驚いているようだが、すぐに眉をよせた。
「他にもいやがるな」
辺りに視線を向けて声を張る。「出てこい」と。男たちが姿を見せた。中村、緋色、薩摩と長州の人斬り。桂、大久保、南方、佐々木だった。
「六人か。随分豪華じゃねぇか」
有名人ばかりが揃っていた。土方は笑うしかなかった。いかに鬼と言われようとも人である。全員からの殺気にあきらめるほかない。
「紫衣。こっちに」
名を呼ばれた娘はこくりと一つ頷くと駆け出していく。

一人の少年が駆けつけてきた。
「土方さん」
それは少年でなく少女だった。声が高いのだ。誤魔化しきれていない。
「来るなっっー」
鋭く遮り土方はとっさに前に出てかばう体制になる。焦っているように感じた。「なんだ」と楓は「ぴすとる」をかまえながら首をひねる。土方は腰の刀に手をかけた。
「なんでくんだよ」
視線は前を問は後ろに。
「ごめんなさい。心配だったので」
しゅんと下を向く。
「俺のそばをはなれるな。」
というものの「どうすればいい?」内心はかなり焦っている。
「陽菜。あとで覚えておけ」
低い声に背中にいる陽菜は怯えた。「怒られる」
「土方君。引き時ではないかね」
大久保が腕を組んで言う。楓の隣に堂々と立っていた。

この人数を一人では相手にはできない。舌打ちをし、刀の柄から手を放すとかまえをといた。
「次にあった時は・・・」
「お互いに斬り合いになりましょう。」
笑みをたたえたまま桂も刀の柄から手を放す。

土方は言うだけ言うとさっと背を向けた。陽菜も追いかけるように背を向ける。一度だけこちらに視線を流しすぐに走り出して行く。

しばらくそれを見つめていた桂が口を開く。
「あの、少年」
ぼそりという。
「え?」
小さいな声で言われたので聞き返す。
「あれは・・・少女だった。」
「え?」
その言葉に驚く楓は桂に顔を向ける。
大久保はバカにしたように笑う。
「気がついていなかったか。敏いのか鈍いのかわからん奴だな。」
あきれたような目をされた。
「ちょっと、ひどくないですか?」
むうっとむくれてしまう。


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