二次創作小説(紙ほか)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

遊戯王 七つの輝きと光の守り手
日時: 2015/03/20 00:00
名前: 緋兎雫 ◆cW98CwF.kQ (ID: 0ZLVN9hQ)


リアルの事情でロックします。

追記
いきなりロックしてすみません。オリキャラも募集していたのに、このような形になって頭を下げるしかありません。
リアルで色々あり、現在名前を変えています。
調子がよすぎるとは思いますが、お知らせを。
何やかんや言って、遊戯王からは離れられず、カキコで新しい遊戯王作品を書いています。諸事情でタイトルは書けませんが御興味のある方は、お探し下さい。版は映像版の方です。
最後に小説をご愛読頂いていた皆様、本当にありがとうございました。


Re: 遊戯王 七つの輝きと光の守り手 ( No.114 )
日時: 2014/08/07 00:10
名前: 緋兎雫 ◆UaO7kZlnMA (ID: XK9MY/AM)  

>>午前の麦茶

>もしかしなくても青眼龍です。ストラクチャー三箱は決闘者のたしなみだよね←

出た、ルビーQBwピクシブのイラスト思い出すw
契約と言えば、決闘の才能ない男の子がフォーチュン・レディと契約して決闘者になる話を考えたことはあるなぁ。ボツになったけどw

最初は、ルビーが水葵にボクと契約して決闘者になってよとか言わせてたねw水葵は、宝玉獣は弱いからシャドールと契約したいとかさらりとひどいこと言ってましたが。

TFすごいよね。サイドに首なし騎士(マミさん)とかさ……あの遊び心はデュエルカーニバルにもほしかったなー。

このSSのルビーは喋り方がQB化してるよねwあれと違ってルビーは幼いけど。

エクシーズの扱いは次回で!
……いつものごとく現実とは、時系列がめちゃくちゃになってるけどね←では、コメントありがとうございました!

Re: 遊戯王 七つの輝きと光の守り手 ( No.115 )
日時: 2014/08/07 00:42
名前: 午前の麦茶 ◆s5/dFsxZtI (ID: gOceoAmU)

更新乙。

>「BF」や「魔導」に到底勝てるとは思えない。

インチキ効果もいい加減にしろ!
まあ↑のデッキも制限で弱体化したけど宝玉獣は5期のアニメテーマだしね。

>カード屋に持ってけば、10円くらいにはなるかな

リアリストwいや、(そんなに高値で売れないという意味で)ロマンチストか……?

遊戯王見てると奇抜な二次創作を思いつくことはあるけどデュエル構成難しいからね〜
前にモリンフェン教の信者が主人公の二次書こうと思ったけど無理だったw

ARC-Vは異世界説が濃厚になってきたね……。
お楽しみはこれからだ!←

Re: 遊戯王 七つの輝きと光の守り手 ( No.116 )
日時: 2014/08/08 22:58
名前: 緋兎雫 ◆UaO7kZlnMA (ID: DDShUS1b)  

「水葵、大変だよ!ボクたち、デスサイスが作り出した空間に閉じ込められたよ!」

 デスサイスは背筋に寒気を感じさせる、低く不気味な声で笑う。顔に口らしきものがないせいで、怖さが倍増していた。
 恐怖のあまり、水葵は足が動けずその場に立ち尽くす。さらに運が悪いことに、助けを求めようにも辺りには誰もいない。

「ちょっと!水葵、聞いてる?」

ルビーが強い口調で聞くが、水葵は聞いていない。

「ガーディアン・デスサイスのコスプレ……よね?」

 目の前にいるデスサイスに、水葵は見覚えがあった。遊戯王に登場するカードの一枚、『ガーディアン・デスサイス』がカードから抜け出したようにその場にいるのだ。コスプレにしてはよく出来ている。目をこすっても姿は消えない。

「……水葵、あのデスサイスは実体化した本物だよ」

 ルビーの言葉を聞いた水葵は本能的に勝てないと悟った。デスサイスに背を向け、その場から走り出した。

「誰か、助けて下さい!」

 腹から声を出し、走りながら助けを求めるがそれに応じるものはいない。昼間とは言え、それなりに人がいるはずなのだが。いつもと同じ風景、光景は目の前にあるのだが。まるで時を止めたように異様な静かさに包まれ、物音がしない。
 助けが来ないなら呼ぶまで、と水葵は鞄からスマホを取りだした。しかし。

「うそ、何で圏外になってるの!?」

 携帯の画面には、今日に限って圏外の通知が出ていた。この辺りで圏外になることなど、今までなかっただけに水葵は驚くしかない。
 こうなれば、人を探すしかないだろう。走れば誰かに会うかもしれないと水葵は希望を捨てずに走り続ける。

「だから、ボクたちは結界に閉じ込められたの!いくら逃げても誰もいないし、助けてくれないよ!」
「ど、どういうことよ。それ!」

水葵は悲鳴を上げながら、無我夢中で走る。

「ルビー、あれガーディアン・デスサイスよね? 何か変な首飾りしてるけど……あれ何者?」

 ちらりと後ろを向くと、デスサイスが、宙を移動しながら水葵を追いかけてくる。その首には虹と同じ、七色の石がはめられた金細工の首飾りをしている。だが金は錆び、七色の石はくすんでいて、首飾りはボロボロだった。カードのデスサイスにあのような首飾りはなかったはずだ。

「……デスサイスは、ボクを捕まえに来たんだ」「追われてるの?」
「うん。ボクじゃデスサイスから逃げられないよ。水葵、助けて」

 無理よ、と水葵は叫ぶ。

「あんな鎌持ってるモンスターとどうやって戦えばいいのよ!」

 水葵には、デスサイスに対抗できる手段はない。とにかく逃げるしかないとひたすら走るが、デスサイスもまたしつこく追いかけてくる。

「メイレイ……ルビー・カーバンクル……決闘(デュエル)デウバウ……カツ……」

 デスサイスは水葵の脇を素早く通りすぎて彼女の前に周り、進路を塞ぐ。表情のない白い顔がじっと見つめてくる。

「……エアトスはもう奴等に」

 ルビーは悔しそうに言葉を吐き出す。一方、水葵は助かるためにある考えを思い付いた。

「デスサイスにルビーを渡せば……」

 途切れがちな言葉は、ルビー・カーバンクルを決闘で勝って奪うと聞こえる。やはり、デスサイスはルビーを欲しがっているようだ。なら大人しく渡せば、と魔が差した水葵だが、

「ひどいよ、水葵」

 今にも泣きそうなルビーの声で止めた。
 助けを求められているのにそれを拒否するのは、水葵には出来なかった。

「でも、どうすればいいの……」

 ルビーを守るように両手でカードを握りながら、後ずさる水葵。鋭い鎌をちらつかせながら、デスサイスはゆっくりと歩み寄ってきた。

「水葵、デスサイスから逃げられる方法が一つだけあるよ」
「あるの?」
「デスサイスと決闘するんだ!」

 水葵は耳を疑う。

「なんの決闘?」
「デュエルモンスターズに決まっているじゃないか!」

 決闘(デュエル)、とはカードゲームで戦うことである。つまり、デスサイスと遊戯王カードで戦うと言うこと。

「え、決闘? 本当なの?」
「本当だよ! デスサイスは水葵と決闘したがってるじゃないか!」
「決闘……決闘……」

 確かにデスサイスは先程からしきりに決闘、決闘と呟いているが。

「……何で決闘?」

 決闘は所詮カードゲームである。
 ルビー・カーバンクルを奪うのが狙いなら、持っている鎌を使った方が確実なはずだが。デスサイスは、何故か決闘にこだわる。

「デスサイスは決闘をして、宝玉獣を操る力を持つ水葵を消し去るつもりなんだ。ここから逃げるには、勝つしかないよ」「たかがカードゲームで?デスサイスもあなたも考えすぎじゃないの?」
 まるでアニメのような話を、水葵は信じられなかった。
 が、デスサイスは決闘、決闘と詰め寄ってくる。

「ニゲル……ムダ……決闘……決闘……ククッ」
(決闘しろたって……今、ストラクチャーデッキと買ったカードしか持ってないし)

 いつもなら、水葵は決闘を受けていた。だが、今手元にあるのはストラクチャーデッキだけ。いつものデッキはテスト中のため、親に没収されているのだ。ストラクチャーデッキは、すぐに遊べるよう組まれてはいるが、実戦で使うには強いカードの枚数が不足していたり、等問題点が多い。決闘を受けたら、デッキを組む時間は与えられない。
 このデッキで戦うのは無理だと水葵は逃げ続けるが、とうとう逃げ場がなくなった。辺りは塀に囲まれ、道らしい道がない。前にはデスサイス、後ろは家の塀。完全に行く手を遮られた。

「水葵、決闘だよ! それしかない!」

 ルビーの言う通り、助かるにはそれしか方法がなさそうだ。
 水葵は覚悟を決め、デスサイスに頭を下げる。
「デスサイス、お願い。今からデッキ組ませて」
「ダメだよ!決闘前にデッキを弄れば、サレンダーになるよ!」

Re: 遊戯王 七つの輝きと光の守り手 ( No.117 )
日時: 2014/08/08 23:07
名前: ひ!と!しずく (ID: DDShUS1b)  

「決闘者……デッキイツモモツ……アタリマエ……ダメ」

二匹のモンスターに否定され、水葵も反論する。
「日常的にデッキ持ってる人なんて、どこにいるのよ!?」
「決闘……!」

 その言葉でデスサイスが鎌を掲げると、水葵の腕と額の近くに小さな光の球が集まり始める。光の球は徐々に膨れ上がり、弾けた。すると水葵の左目には片目だけの眼鏡のような機械、左腕には小さなタブレット端末のような機械がそれぞれ装着されていた。
 デスサイスの包帯が巻かれた腕にも、水葵と同じタブレット端末のような機械が付けられていた。

「な、な、何これ! 取れない!」

 機械を取り外そうと水葵が引っ張ったその時。機械が独りでに動き始め、中から何かが飛び出してくる。幾つかの仕切りで区切られた、不思議な板。区切られた板一つは、丁度カード一枚を置ける程の広さがある。
機械の動きが止まるのを確認すると、水葵は腕をじっと見つめた。

(これ、デュエルディスクみたいだけど……ZEXALの番宣でこんなのあったかも)

遊戯王アニメのキャラクターたちは、デュエルディスクと呼ばれる機械で決闘を行う。
腕に着けている物は、四月放送予定のアニメの予告編で見た気がした。

「ARヴィジョン、リンク完了」
「えーあーる?」

機械的な女性の声が、何かを告げるが水葵には意味がさっぱり分からない。

「今のは機械がデュエルの準備が完了しましたって言ってるんだよ」
「え!あたし、決闘するなんて一言も言ってないんですけど!」
「デスサイスが勝手に始めちゃったんだ。でも、もう決闘は始まった。逃げられないよ。水葵、持ってるデッキで戦うんだ」
「デッキの構築弄るのは……」
「もちろんダメ」

最悪、と水葵は頭を抱える。
手持ちのデッキは、実戦に向かないストラクチャー・デッキだけ。これでどうやって戦えと言うのだろうか。

「しかも、デュエルディスクなんて使ったことないし」
「ボク、知ってるよ」
「え、分かるの?」
「うん。仲間の精霊に教えて貰ったことがあるから分かるよ!」
(精霊も決闘するんだ)
デュエルモンスターズの精霊が何故デュエルディスクの使い方を知っているか疑問だが、そういえばアニメでもタイタンやユベルがデュエルディスクを使っていたか。前例が幾つかあるから、知っていてもおかしくはないが。
水葵はルビーに機械のことを質問する。

「えっとこの眼鏡と機械は何?」
「その腕の機械はD・パッド。眼鏡は、D・ゲイザー! どっちも決闘をするのに必要なものだよ」
「……これでどうやって戦えばいいの?」
「んっとね。まず……」

 ルビーに教えられた通り、準備をする。まず、ストラクチャー・デッキからあるカードを一枚取り出す。「蒼眼の銀龍」。このモンスターは、普通のデッキと違う、エクストラデッキと言う別のデッキに入れる必要がある。デュエル・ディスクにエクストラデッキを入れる場はないので、仕方なくカードを裏にし、足元に置いた。
ストラクチャー・デッキは、腕の脇にある穴に入れる。するとデスサイスと水葵、両方のデッキが自動的にシャッフルされ、お互いにカードを五枚引く。ルビー曰く、カードのシャッフルや細かい裁定は全部このデュエルディスクがやってくれるとのこと。

「便利だなぁ」

 こちらではシャッフルは人間がやり、細かい裁定も多少は覚えないといけない。遊戯王は細かいルールがとても多く、遊戯王歴が長い友人ですら時々混乱するくらいだ。コンマイ語を覚えなくていいとなると、非常に楽である。

「よし、早速デュエルよ」

 水葵が張り切って言うと、デスサイスのデュエルディスクに赤い光が灯る。

「ランプが付いた方が先攻なんだ」

エクストラのデッキの隣に置かれたルビーが言う。

「じゃあ、デスサイスからか……」

遊戯王は基本的に先攻が有利とされる。

「気をつけて、水葵」
「ルビー……ウルサイ」
 デスサイスが赤い目を光らせこちらを見ると、ルビーの声が聞こえなくなった。

「ルビー?」

カードを拾い上げ、呼び掛けるが返答はない。

「ルビー……フウイン。ドロー……」

カードを一枚引くと、一枚をデュエルディスクに裏側のカードを横にセット。フィールドに紫電が弾け、裏側のカードが出現する。

「オワリ……」
「カードが実体化してる!?」

水葵は、フィールドに存在するカードをまじまじと見つめる。これは、恐らくソリットヴィジョンと呼ばれるものだ。遊戯王アニメにおいてカードを実体化させる技術のこと。

(ソリットヴィジョンと言い、デュエルディスクと言い、どうなってるの?それにルビーは……封印とか言ってたけど)

 混乱しかかるが、今はそんな場合ではない。水葵は考えるのを保留にし、ルビーを足元に置くと決闘に集中する。

「あたしのターン、ドローっ」

 勢いよくカードを引き、引いたカードを手札に加える。水葵は、手札を見て自分の運のなさに愕然とする。

・カイザー・シーホース
・馬の骨の対価
・調和の宝札
・エネミー・コントローラー
・滅びの爆裂疾風弾
・リビングデッドの呼び声

(……これでどうやって戦えって言うのよ)

 自分の運がないと言うべきか、さすがストラクチャー・デッキと言うべきか。戦える手札がない、いわゆる手札事故の状態だ。
 手札にあるのは魔法カードと罠カードばかりでモンスターはたった一枚しかない、引きの悪さにがっくりくるが、水葵は息を整え、戦術を練る。

(手札が悪すぎるわ。ここは、守りを固めるべきかな。いや、エネミー・コントローラーがあるし、少しでもモンスターを減らしておいた方がいいかも)

 しばし迷い、水葵は一枚のカードをD・パッドにセットする。

「……あたしは、カイザー・シーホースを攻撃表示で召喚!」

カイザー・シーホース
効果モンスター
星4/光属性/海竜族/攻1700/守1650
光属性モンスターをアドバンス召喚する場合、
このカードは2体分のリリースとする事ができる。
 
 フィールドに現れたのは、馬のような体躯を持つ生き物。身体中を鋭い突起覆う姿は、鎧を身に纏うようだ。実体化したモンスターは色と言い、質感と言い、本当に目の前にいるようで感動を覚える。攻撃力が1700もあれば、ギリギリアタッカーとして使用できる。

「そのまま、裏守備表示モンスターを攻撃!」

 主の指示に従い、カイザー・シーホースは手にした槍で裏守備表示のモンスターを突き刺す。攻撃シーンは迫力満点だ。
 カードが真っ二つに割れ、ネズミらしいモンスターが断末魔を上げて消えた。映像と言え、自分が殺したような気がして後味が悪い。

Re: 遊戯王 七つの輝きと光の守り手 ( No.119 )
日時: 2014/08/08 23:14
名前: 緋兎雫 ◆UaO7kZlnMA (ID: 22LHFLcQ)  

(なんか嫌な気分……いや、ダメダメ)

 決闘は集中力が大切だ。水葵は、頬を手で叩き、無理やり気分を変える。

(今の巨大ネズミ?)

巨大ネズミ
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻1400/守1450
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
デッキから攻撃力1500以下の地属性モンスター1体を
表側攻撃表示で特殊召喚できる

 巨大ネズミは、条件が限られてしまうが、デッキから特定のモンスターを出せる便利なモンスターだ。デスサイスは一度デッキを取り出し、一枚のカードを引き、またデッキを戻した。
 何が出てくるのか、と水葵が身構えていると、

「レスキュー……キャット」

 ヘルメットを被った猫がフィールドに出てきた。レスキューキャットを見た水葵は、すぐさま非難する。

レスキューキャット
効果モンスター(禁止カード)
星4/地属性/獣族/攻 300/守 100
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地に送る事で、
デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体をフィールド上に特殊召喚する。
この方法で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

「それ禁止カードじゃない!」

 禁止カードとは、言葉通り通常の決闘で使用が禁止されているカードのこと。遊戯王カードの中にはあまりにも強力な効果であるため、決闘で使用するのが制限されたり、禁止されるカードが存在する。
 友人同士での決闘では禁止カードを使うこともあるが、それは互いに了承しあった場合だけ。知らない人間と決闘するなら、正式なルールで行うのが普通だろう。

(裁定はデュエルディスクがやるんじゃなかったの?)

 デュエルディスクがレスキューキャットを認める以上、ルールを破ったことにならない。人間の審判がいない以上、異議は認められないのだから。
 水葵はしぶしぶターンを終了する。

「カードを一枚伏せて、ターンエンド」
「ドロー……ゴウヨクナツボ……ニマイドロー」
「ご、強欲な壺まで入れてるの?」

強欲な壺 
通常魔法(禁止カード)
デッキからカードを2枚ドローする。

 強欲な壺。遊戯王が始まった頃から存在する、古いカード。ドローを強化するカードの代名詞的な存在だ。このカードが禁止カードになったのは、無条件で二枚ものカードをドローできる強力な効果にある。
遊戯王は、基本的に手札から戦いが始める。どんなに強力なカードでも、デッキに眠ったままでは意味がない。
 このようなカードを使い、ドロー回数を増やすことで強力なカードを引く確率を上げる。これがコストなしに行えるのが、強欲な壺の怖いところだ。

「また禁止カードじゃないの! 卑怯よ!」
「シンパンイナイ……ヤッタモノガチ……」

 デスサイスは二枚のカードを引く。表情が読めないため、いいカードを引いたかは分からない。

「レスキュー……ラビット」

 続けてフィールドに出てきたのは、ヘルメットを被ったウサギ。首には無線機をぶら下げている。

レスキューラビット
効果モンスター
星4/地属性/獣族/攻 300/守 100
このカードはデッキから特殊召喚する事はできない。
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードをゲームから除外して発動する。
自分のデッキからレベル4以下の同名通常モンスター2体を特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。
「レスキューラビット」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

「レスキュー……キャットボチ……アメジスト……キャット……オオカミ……」

 レスキュー・キャットが粒子となって消え、そこから新しい光が二つ生まれた。それぞれフィールドに降り立つと、胸元にアメジストの飾りを着けた白桃色の猫、白いオオカミに変化する。
 現れた一匹、白桃色の猫を水葵は凝視する。

「何かやけに目が虚ろね……」

 白桃色の猫、アメジスト・キャットの目付きはどこか遠くを見るようにぼんやりしている。感情を感じさせない瞳は、作り物のぬいぐるみのようだ。

宝玉獣(ほうぎょくじゅう) アメジスト・キャット

効果モンスター

星3/地属性/獣族/攻1200/守 400

このカードは相手プレイヤーに直接攻撃できる。
この時、このカードが相手ライフに与える戦闘ダメージは半分になる。
このカードがモンスターカードゾーン上で破壊された場合、
墓地へ送らずに永続魔法カード扱いとして
自分の魔法&罠カードゾーンに表側表示で置く事ができる。

オオカミ

通常モンスター
星3/地属性/獣族/攻1200/守 800
今ではあまり見かけないオオカミ。よくきく鼻で獲物をさがす。

「レスキュー・ラビットジョガイ。タイガー……アックス」

タイガー・アックス

通常モンスター

星4/地属性/獣戦士族/攻1300/守1100
オノを手にした獣戦士。素早い動きからくり出す攻撃は強い。

 レスキュー・ラビットは突如フィールドに現れた穴へと吸い込まれた。代わりにそこから飛び出して来たのは、二足歩行の虎。手には斧を手にしている。凶暴そうに見えるが、その攻撃力はカイザー・シーホースに及ばない。

「ワンターンでモンスターが四体……」

 立て続けに召喚されたモンスターたちは、カイザー・シーホースより攻撃力が低い者たちばかり。 恐れる必要はないかもしれないが、水葵には気になることがあった。モンスターたちのレベルだ。同じレベルのモンスターが揃っているのは何故か。

(同じレベルのモンスターがいればエクシーズ召喚出来るけど、まだ実装されていない)

 モンスターを召喚する方法は、幾つかある。その中の一つがエクシーズ召喚。今月末から実施される新しい召喚方法だ。同じレベルのモンスターを使い、エクシーズモンスターと呼ぶモンスターを呼ぶ方法らしい。雑誌やネットで情報は公開されているが、まだ実装されていないので水葵には使えない。しかし。デスサイスは。

「エクシーズショウカン」

まだ実装されていないそれを、あっさり行った。
〜つづく〜

リアルでバタバタするため、9月下旬〜10月上旬辺りまで更新スピード落ちます。その前に纏め更新。


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