二次創作小説(紙ほか)
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- 遊戯王 七つの輝きと光の守り手
- 日時: 2015/03/20 00:00
- 名前: 緋兎雫 ◆cW98CwF.kQ (ID: 0ZLVN9hQ)
!
リアルの事情でロックします。
追記
いきなりロックしてすみません。オリキャラも募集していたのに、このような形になって頭を下げるしかありません。
リアルで色々あり、現在名前を変えています。
調子がよすぎるとは思いますが、お知らせを。
何やかんや言って、遊戯王からは離れられず、カキコで新しい遊戯王作品を書いています。諸事情でタイトルは書けませんが御興味のある方は、お探し下さい。版は映像版の方です。
最後に小説をご愛読頂いていた皆様、本当にありがとうございました。
- Re: 遊戯王 七つの輝きと光の守り手 ( No.272 )
- 日時: 2015/01/23 18:03
- 名前: ひとしずく (ID: 9kyB.qC3)
- プロフ: 修正しました。
互いのD・ゲイザーが反応しあい、ARヴィジョンによる空間を作り出す。
「今回わしの秘蔵デッキはないので、秘蔵デッキ2で相手をする」
「いや、いくつもあったら、秘蔵って言いませんよね?」
「わしのターン、ドロー」
水葵が指摘すると、イデアは話題を逸らすようにカードをドローした。ランプが示す先攻は、イデアだった。
(……こういう時って、アニメだと大抵洗脳されているんだよね)
様子がおかしいイデアをじっと観察していた水葵は、洗脳されている、と言う仮説を立てていた。遊戯王のアニメでも洗脳はよくある話で、例えば主人公の親友が敵の一人として現れる展開があった。こちらの話を全く聞かないイデアの様子は、アニメ内の彼らに似ている。
リサルダの一族は、人間を洗脳する力があると言うしその可能性が高い。ならば、デュエルに勝たねばならない。しかし、手札はあまりよくなかった。イデアからこのデッキはキュアバーンと聞いていたが、その関連のカードがほとんどない。
(……キュアバーンなのに、ピケルの読心術やレベルを弄るカードが入っている意味は?)
運が悪いのかイデアのデッキ構築のせいか。キュアバーンに使用するカードがほとんど揃っていない。
どうするか手を考える水葵を前に、イデアは淡々とデュエルを進行させる。
「現れろ、我がデッキの看板モンスターが一人。憑依装着エリアちゃん」
憑依装着−エリア
効果モンスター 星4/水属性/魔法使い族
攻1850/守1500
自分フィールド上の「水霊使いエリア」1体と 水属性モンスター1体を墓地に送る事で、 手札またはデッキから特殊召喚する事ができる。 この方法で特殊召喚に成功した場合、以下の効果を得る。 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、 その守備力を攻撃力が越えていれば、 その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
フィールドに飛び出してきたのは、爬虫類のモンスターを従えた少女。水をイメージさせる長い髪に、茶色の丈の長いコート。水葵もよく知るモンスターである。
(ピケルの次は霊使い。……本当に可愛い女の子モンスターが好きなのね)
——『霊使い』シリーズ。イラストの可愛さから非常に人気が高いモンスターたちで、人気からか様々な形態がある。憑依装着はその一つだ。霊使い関連のモンスターでは一番攻撃力が高いシリーズである。
「またアイドルカードですか?」
「アイドルではない。これはわしの秘蔵っ子たちの一人じゃ」
呆れた口調で水葵が聞くと、洗脳されているイデアは感情を感じさせない声色で答える。アイドルカードと言うのは観賞用のカードのこと。霊使いやピケルなどイラストが可愛いカードは、目の保養と言う意味でも人気があったりする。
(……洗脳されているけど、根本的なところは変わってないね)
イラストが可愛いモンスターを好む性格は、大して変わっていない。完全に洗脳されている、と言う訳ではないようだ。
元々好んでいるピケルを出せば、あっさり洗脳が解けるかもしれない。水葵は少しだが希望を見つけた。
「カードを二枚伏せ、ターンエンドじゃ」
「あたしのターンです。ドロー」
いいカードが来た、と水葵が笑うと同時にイデアがリバースカードを発動する。
「ここで、永続罠『憑依解放』を発動するぞ」
「憑依解放? どんなカードですか?」
イデアのフィールドで、セットされていたカードが持ち上がった。
聞いたことがないカード名に水葵は首を傾げ、効果について尋ねる。
「このカードには、三つの効果があるとだけ説明しておく」
「それだけ?」
「さあ、早くターンを進めろ。わしの憑依装着たちの活躍が見れないではないか」
水葵は尋ねれば、イデアがうっかり効果を説明してくれないかと期待した。が、さすがに甘い考えでイデアはターンを進めるよう急かしてくる。
カードの効果は自分で受けないと分からない。ならば、こちらからはまりに行ってやろうではないか。
「堕天使ナース—レフィキュルを召喚します」
堕天使ナース—レフィキュル
効果モンスター
星4/闇属性/天使族/
攻1400/守 600
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
相手のライフポイントが回復する効果は、
相手のライフポイントにダメージを与える効果になる。
レフィキュルは一見すれば、白衣を来た女性に見える。しかし、髪は毒を連想させる紫、堕天使の名に相応しい蝙蝠の羽に似た六枚の羽。先には刺が生えており、LPにダメージを与える効果を再現しているようだ。
「レフィキュル……LPを回復する効果を、ダメージを与える効果に変換するモンスター」
(うーん。反応薄いからレフィキュルは好みじゃなさそう)
淡々と効果を説明するだけで、イデアは特に反応を見せない。女性のモンスターなのでもしや、と狙ったがレフィキュルではイデアの心を動かせなかった。
「そうです。ここで、ソウルテイカーを発動。エリアを破壊し、イデアさんのLPを1000回復します。ですが、レフィキルの効果で1000のダメージになります」
ソウルテイカー
通常魔法 相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して破壊する。 その後、相手は1000ライフポイント回復する。
癒しの力は、レフィキルの力で痛みへと変換される。
悲鳴と共にエリアの身体が砕け、イデアにその煽りである熱風が吹き付けて、LPを奪っていく。
イデアLP4000→3000
4000のLPにおけるデュエルで、1000近くのダメージを与えられたのは大きい。
さらにレフィキュルで直接攻撃を仕掛ければ、半分以上LPを削れる。
「憑依解放、第三の効果を発動するぞ。わしのモンスターが破壊された時、デッキから属性の異なる守備力1500の魔法使い族モンスターを一体呼び出すことができる。出でよ、憑依装着—ヒータちゃん」
だが、イデアは追撃を許さなかった。憑依解放のカードから、一つの影が飛び出した。狐に似たモンスターを従える赤髪の少女。エリアによく似た服と杖を持つ彼女は炎の霊使い、ヒータである。
憑依解放
永続罠
「憑依解放」の(3)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分の「霊使い」モンスターは戦闘では破壊されない。
(2):自分の「憑依装着」モンスターの攻撃力は、
相手モンスターに攻撃するダメージ計算時のみ800アップする。
(3):このカードが魔法&罠ゾーンに存在し、
自分フィールドのモンスターが戦闘・効果で破壊された場合にこの効果を発動できる。
そのモンスター1体の元々の属性と異なる属性を持つ守備力1500の魔法使い族モンスター1体を、
デッキから表側攻撃表示または裏側守備表示で特殊召喚する。
憑依装着−ヒータ
効果モンスター 星4/炎属性/魔法使い族/
攻1850/守1500
自分フィールド上の「火霊使いヒータ」1体と 炎属性モンスター1体を墓地に送る事で、 手札またはデッキから特殊召喚する事ができる。 この方法で特殊召喚に成功した場合、以下の効果を得る。 このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、 その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
(……サーチ効果か。簡単に直接攻撃させてくれそうにないね)
直接攻撃を決められず、水葵は顔をしかめた。
レフィキルは攻撃力が低い上に、守れるカードがないので次のターンで破壊されるのはほぼ間違いないからだ。
出来ないものは仕方ないと思考を切り替える。
- Re: 遊戯王 七つの輝きと光の守り手 ( No.273 )
- 日時: 2015/01/23 18:02
- 名前: ひとしずく (ID: 9kyB.qC3)
イデア LP3000 手札 三枚
場 憑依装着ーヒータ
魔法・罠 憑依解放
伏せ 一枚
水葵 LP4000 手札 四枚
場 堕天使ナース・レフィキュル
伏せ なし
「カードを一枚伏せて、ターンエンド」
「わしのターン、ドロー。手札から死者蘇生を発動。墓地のエリアちゃんを復活させる。さらに憑依装着—アウスちゃん召喚」
紫の魔方陣からエリアが復活。それに続き、新たな憑依装着が召喚された。茶色の髪。眼鏡をかけ、真面目そうな顔付きをした地の霊使いアウス。傍らに付き添うのは角と翼を持つ、茶色の獣。
「さらに二重召喚(デュアル・サモン)を発動する。わしはもう一度、通常召喚を行える。憑依装着ウィンちゃんを召喚するぞ」
短い緑の髪。快活そうな風の霊使い、ウィンが出てきた。こちらは小さな龍のようなモンスターが控えていた。手札を使い切ってるとはいえ憑依装着を一ターンで四体揃えるなど、前回とは別人のようだ。
(デュエルの腕上がってる……)
「刮目せよ! これが我が愛しの憑依装着たちじゃ!」
イデアの叫びに呼応するように、それぞれ杖を持ち上げる憑依装着たち。だがそこに忘れられている憑依装着がいることを水葵は知っていた。
「あのダルク含めてませんよね?」
「わしの脳裏にダルクと言う言葉は存在しない。バトルじゃ。エリアでレフィキュルを攻撃。ここで罠発動。マジシャンズ・サークル。互いにデッキから、攻撃力2000以下の魔法使い族モンスターを特殊召喚できる。わしは二体目のエリアちゃまをデッキより呼び出す」
通常罠
(1):自分または相手の魔法使い族モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
お互いのプレイヤーは、それぞれ自分のデッキから
攻撃力2000以下の魔法使い族モンスター1体を攻撃表示で特殊召喚する。
とうとう場に五体の憑依装着(ダルクを除く)が並べられる。思ったより速く憑依装着を並べられ、水葵は内心焦っていた。レフィキュルを破壊されれば、残り四体の憑依装着の攻撃でLPはゼロになってしまう。
だが、幸か不幸かイデアはマジシャンズ・サークルを使った。これは、相手のデッキにも作用するのだ。デッキを引き抜き、水葵はイデアのデッキを見て苦笑いを浮かべる。
あるのはピケルとクランに関わるカードだらけ。どう見ても邪魔にしかならない『王女の試練』、『魔法の国の王女(プリンセス)ーピケル』、『魔法の国の王女(プリンセス)クラン』。そこに、申し訳程度にレフィキュルやシモッチの副作用が入る。
(……これ完全にピケクラデッキね。シモッチと防御カードを中途半端に入れるから回らないんだろうな)
「何をしている」
イデアに声をかけられ、水葵は顔を上げる。
そして一枚のカードをデッキから引き抜いた。イデアが溺愛するカードにして、前回は敵だったカードを今回は水葵が僕として召喚する。あまり性格が変わらないイデアを元に戻すきっかになるかもしれない。
「頼んだよ。あたしはピケルを特殊召喚します」
*
イデアの伏せカード枚数ミスを修正。
- Re: 遊戯王 七つの輝きと光の守り手 ( No.274 )
- 日時: 2015/01/23 18:25
- 名前: ひとしずく (ID: 9kyB.qC3)
- プロフ: 修正しました。
>午前の麦茶
TFは秘蔵デッキだらけだからねw
ダルクを忘れられたのだ…イデアの場合、ピケクラ(読心術、魔法陣、魔法の国入り)>シモッチバーンの構成で作ってるから対して強くないけどね。リアルはウォンもいるし、今はサイクロンですぐに破壊されるからね…
まさにファンサービスだね。初代的な意味で。決闘王のラインナップ見たけど、レアリティの高いカードェ…封入率が怖い。
いよいよTFSPでたね!噂だとAIが相変わらずらしいけど。某所で王様が相手の墓地から沼地蘇生したけど、お前融合モンスター持ってないだろと突っ込まれてた。
オリカはオリカで別パック? コマンド入れると出現するとかカードを集めた率90%とかのファンサービスで。
カード集めって大変だよね。何箱も買って切っての繰り返しが止んなる時があるw
- Re: 遊戯王 七つの輝きと光の守り手 ( No.275 )
- 日時: 2015/01/24 21:58
- 名前: 午前の麦茶 ◆s5/dFsxZtI (ID: OnRzE.oe)
更新乙。
魔方陣はまだしも他は完全に事故要員だね。
今時マテリアルウォンバットは見かけないけどチェーンハネワタが苦しい
結構偏ってるらしいから悪いほうに偏ってるほう引くと…。
きっと無意味な生け贄召喚は神を生け贄に捧げて嫁召喚した社長リスペクトだよ(白目)
パートナーデッキ編集しろって事かね?
コマンド入力はしたし全パック85%以上のSR以上確定パックも登場させた。
オリカパックも無限イベント中に出た。
後はLv50以上orチャレンジ全クリor100人攻略で登場するキャラクリアと連動特典パックだけ。
もう禁止相手にハンデ用クイズでサンドバックにするしか…。
クエン酸やOCG機皇帝とか書籍付属はTFSPでの入手条件分からないし念のため集めときたい。wikiはよ
でも1枚あれば引き継げる(らしい)
- Re: 遊戯王 七つの輝きと光の守り手 ( No.276 )
- 日時: 2015/01/26 18:45
- 名前: ひとしずく (ID: 9kyB.qC3)
ぽん、と気の抜ける音と共に現れたピケル。
その姿を見たイデアの表情が大きく強張る。瞳は驚きで見開かれ、心なしか全身も震えている。やはりお気に入りのカードを前にしたことで、心が揺さぶられているのだろう。洗脳解除に向け、一歩前進したと水葵はほくそ笑んだ。
(お、いい感じに揺さぶられてる)
「じ、じゃがバトル続行。エリアちゃんでレフィキュルを攻撃。この時憑依解放第二の効果を発動。相手モンスターとバトルするとき、攻撃力は800ポイントアップする」
憑依装着ーエリア
ATK 1850→2650
しかしイデアは迷いを振り払うように攻撃を仕掛けてきた。ただしレフィキュルを狙われるのは想定済みだ。
「なら、罠、ガード・ブロックを発動します。ダメージーを0にして、カードを一枚ドロー」
通常罠
相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。
その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。
エリアが杖を傾けると同時に控えていた、爬虫類のようなモンスターがレフィキュルに襲い掛かる。助走をつけ拳でレフィキュルの腹を殴りつけ、粉砕した。これで水葵を守るモンスターはピケルのみ。それを分かっているのかピケルは主を守ろうと、杖を前に出し戦闘態勢をとる。 しかし、対峙するのは鋭い牙や爪を持つものたち。怖いのか瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。それを見ているイデアは恍惚の表情を浮かべていた。
「主を守ろうとするピケルちゃまたまらんのぅ。泣き顔なのがまたよい。しかし倒さねばならん、ウィンちゃんで……」
「……」
一度言葉を切ったきりイデアは言葉を発さない。どうやら攻撃をためらっているらしい。頭を抱え、考え込んでいる。
ウィンは身を屈め、イデアに指示を出すよう視線で促す。ただの映像のはずだが、こちらのモンスターは生きているように様々な表情を見せる。水葵は感心していた。
無言を貫くイデアは、対峙するピケルをじっと見つめていた。真顔だが鼻から赤い雫を垂らしていた。怖がりながらも懸命に水葵のために叩こうとするピケルに心を打たれたのか、大好きなピケルを攻撃できないのか、
「ピケルちゃまを攻撃するなど、恐ろしくてできんわ! ターンを終了する」
イデアはピケルを攻撃することはなかった。ウィンはしぶしぶと言った感じでイデアのフィールドに戻り、主に非難の眼差しを送り付ける。
ターンエンドの宣言がされ、ピケルは安どの表情を浮かべた。次のターンに備え、姿勢を正す。ピケルちゃまの安心した表情たまらんウィンちゃんの睨みたまらんと、イデアは暴走していた。水葵は呆れて言葉が出てこない。
(もうノーコメント)
もうエンド宣言はなされている。さっさとターンを進めようと水葵は、デッキからカードを取ろうと手を伸ばした。
「じゃあこちらのターン」
「おい小娘」
「なんでしょう?」
声をかけられた水葵は手を止める。
「よくもピケルちゃまを使ったな。ピケルちゃまを人質にとるなどお前は悪魔じゃ! 小娘、お前には血も涙もないのか!」
「あたしのターンです。ピケルの効果でLPを400回復」
水葵
LP4000→4400
わけの分からないイデアの言葉は完全に無視し、デュエルを進める。ピケルが持っていた杖を輝かせ、水葵に白魔法を送る。
イデアの表情を見たくないので水葵は振り向き、カウンターの上にある時計へと視線をそらす。蓮と別れてから既に十五分は経過していた。まだ帰っていないのは手に捕らえられたか、あるいはカード泥棒が見つからないのか。嫌な結果ばかりが頭をよぎる。早くデュエルを終わらせ、セキュリティに連絡せねば。
(蓮くん大丈夫かな? イデアさんみたいに洗脳されてたりしたら……)
「大体今時の若者は、ブラック・マジシャン・ガールに走りすぎじゃ! あの太ももがたまらんなどとわしは思っていないぞ。小娘、アイドルカードを愛でるわしの気持ちが分かるか?」
イデアが熱く語っているが、残念ながらその気持ちは水葵には分からない。
「イデアさん、今洗脳から解放しますから。今度は黒導師クランを召喚しますね」
黒導師クラン
効果モンスター
星2/闇属性/魔法使い族/攻1200/守 0
自分のスタンバイフェイズ時、相手フィールド上に存在する
モンスターの数×300ポイントダメージを相手ライフに与える。
コメントしづらいイデアの言葉は完全に無視し、水葵はクランを呼び出す。おっとりしたイメージがあるピケルに対しクランは少々目つきがきつい。兎を模した黒い帽子、黒いワンピース。手に持っている鞭はピンクで、長さがあまりない。
「クランちゃまとピケルちゃまの夢の共演……たまらん」
イデアがうっとりしながらピケルとクランを眺める。二人は助けを求めるように水葵に視線を送った。元々の主を変な人間を見るような目つきで見ている二人を見ていると、水葵は複雑な気持ちになった。
「あ、あたしはレベル・アワードを発動します。このターンのエンドフェイズ時まで、モンスターのレベルを1から8の任意の数に変化させられるカードです。対象のピケルのレベルを7に変更します」
レベル・アワード
通常魔法
自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して、
1から8までの任意のレベルを宣言する。
このターンのエンドフェイズ時まで
選択したモンスターのレベルは宣言したレベルとなる
白魔導士ピケル
星2→星7
かの有名なブラック・マジシャンとレベルが同じになるピケル。ただこれだけでは意味はない。
「だが、たかだか攻撃力1200では憑依装着たちは倒せないぞ」
「それはどうですかね? 何のためにクランがいると思ってるんですか」
「姉妹に何をさせるつもりじゃ?」
「これです、マジシャンズ・クロス。魔法使い族のモンスターが二体以上存在する時、一体の攻撃力を3000にします。ただし、指定したモンスター以外はバトルが出来ない」
通常魔法
自分フィールド上に魔法使い族モンスターが
表側攻撃表示で2体以上存在する場合、
その内の1体を選択して発動できる。
選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで3000になる。
このターン、選択したモンスター以外の魔法使い族モンスターは攻撃できない。
「なに?」
「クランの力をピケルに集約。ピケルの攻撃力は青眼と同じ3000です」
ピケルは杖を、クランは鞭をそれぞれ合わせお互いの手を握る。双子の姉妹が力を合わせることにより攻撃力は青眼と同じ3000にまで上昇した。
「ピケルちゃまとクランちゃまが力を合わせる! 胸が熱くなるぞ!」
興奮するイデアの瞳に理性的な光が戻っている。洗脳が解けたのかどうかは判断が出来ない。
「さらに拡散する波動を発動。LPを1000払い、あたしのフィールドのレベル7以上の魔法使い族モンスターは相手のモンスター全てに攻撃できます」
「さっきのレベル・アワードはこれの伏線かの」
「はい。レベル・アワードの効果でピケルのレベルは7。拡散する波動の対象になります」
「わしよりピケルちゃまを使いこなしおって。羨ましい限りじゃ」
拡散する波動
通常魔法
1000ライフポイントを払い、
自分フィールド上のレベル7以上の魔法使い族モンスター1体を選択して発動できる。
このターン、選択したモンスター以外のモンスターは攻撃できず、
選択したモンスターは全ての相手モンスターに1回ずつ攻撃しなければならない。
この攻撃で破壊された効果モンスターは効果を発動できず、無効化される。
「ピケルで、憑依装着のモンスター全てに攻撃!」
水葵
LP4400→3400
拡散する波動の効果によりピケルの小さな杖とクランの短い鞭に、目がくらむような強烈な光が宿る。手を繋いだままピケルとクランは空中に飛び上り、輝く杖と鞭を勢いよく振り下ろした。そこから生まれた、光の玉の形をしたエネルギー弾が憑依装着すべてを飲み込んでいき、イデアのフィールドはまばゆい光とモンスター撃破を示す煙でおおわれ何も見えなくなった。
イデア
LP3000→0
フィールドには何も見えないが、WINと書かれたイデアの写真がフィールドに現れているのは確かだった。
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